521. エグゼクティブ・デシジョン
「ダイ・ハード」ばりの、さりげない伏線のはりかたが後半に生きてくる。こういう計算された演出の積み重ねが、アクション映画としての厚みともなって来るわけで、そういう意味で本作は水準以上の出来ばえで、頭脳戦が緊迫感を高めクライマックスまで一気に楽しめるように作られている。 8点(2000-10-08 17:20:57) |
522. シベリアの理髪師
19世紀の帝政ロシアの時代、青年士官と年上のアメリカ人女性とのはかない恋を描いたもの。一見、堅苦しそうで長尺ということもあって敬遠されそうだが、冒頭から実にコミカルかつユーモラスな話の流れについつい引き込まれ、ニキータ・ミハルコフ監督の演出は快調そのもの。さまざまなエピソードの積み重ねも手堅く、スケール豊かにそして情感たっぷりとまとめあげられていく。さらに主人公2人と脇を固める登場人物たちが、それぞれ魅力たっぷりに描きわけられていく。ただ終盤ばたばたと急ぎ足みたいな展開で、主人公の2人の心の機微がいまひとつ伝わってこなかったのが惜しい。 8点(2000-10-08 17:09:13) |
523. ワンダー・ボーイズ
さまざまなエピソードが小さな事件(出来事)を絡めて、静かにそして淡々と語られていく。それだけにかえって深く胸の中に残る。K・ハンソン監督だからこその老成した大人の映画です。うらぶれた冴えない中年の小説家M・ダグラス、なにかにとり憑かれたような不思議なキャラのT・マグワイヤ、そしてほとんど“地”でやっているような翔んでるR・ダウニーJr等、キャスティングも見事! 8点(2000-10-08 16:45:22) |
524. スチュアート・リトル
スチュアートの表情やしぐさ毛並みのリアル感など、実に愛すべきキャラクターの誕生です。(はやばやと続編が決まったとか!)もう一人(匹)のスノーベルを中心とした猫チャンたちも、見事な芸をみせてくれる。ジーナ・デイビスってこういう作品にも全く違和感のない女優さんで、ほんとうに凄いと思います。スタッフの中にN・シャマランやJ・ダイクストラというビッグネームもあり、実に贅沢な作品であります。 8点(2000-10-08 16:20:13) |
525. パピヨン(1973)
極限状態よりももっと悲惨で、心理的には絶望的な苦しみの連続が一人の男パピヨンに襲いかかる。そして死ぬことも出来ぬから生きていこうとする姿が、次々と手をかえ品をかえて感動的に描かれていく。上映時間も主人公と同じ体感をさせるには、必要であり十分な長さだったと思います。最後の悪魔島からの脱出はあまりに呆気なく、又、白けてしまうような部分もありましたが、作品全体を傷つけるようなことはでは無かったようです。 8点(2000-10-08 11:00:03) |
526. フレンチ・コネクション2
ジーン・ハックマンが走ると、いかにもこの人の人柄がでて地鳴りを感じるほど。ポパイ刑事が出帆するヨットを追って湾を半周したとき、監督が求めていたものは人間臭さである。波止場の先端ギリギリのところで、よろけながらもシャルニエを撃ち倒すポパイ刑事。彼は、警察という権力機構ではなくて、独力で相手を倒したのである。だからこそ、この切れ味鋭いラストは一種の倫理観を伴ったカタルシスをもたらすのである。一人の主人公を徹底的に走らせる事によって、カーアクションと拮抗するほどの迫力と緊迫感を出せたのも、J・フランケンハイマーの力量というもので、彼だからこそ成し得たレベルの高い続編だったと思います。 8点(2000-10-03 23:34:02)(良:1票) |
527. ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
あんまり期待しないで観たせいか、拾い物の一作でした。ドイツ映画っぽくなくて、むしろハリウッド映画に近い感覚で作られているせいか、テンポもノリもそしてエンディングも実にアメリカ的。 8点(2000-09-30 23:19:19) |
528. フルメタル・ジャケット
S・キューブリックが描いたベトナム戦争映画。しかし一連のベトナムものとはやはり肌ざわりが違う。前半、軍隊の非常さを否応無しに描かれる。教官は訓練というなのもとに人間の尊厳を徹底的に踏みにじるかのように罵声を浴びせつづけ、訓練兵は狂人と化して自殺にまで及んでしまう。後半の戦闘シーンになぜかジャングルが出てこないことや、女性スナイパーの“シュート・ミー”のセリフのシーンが妙に艶っぽかったり等、キューブリク独特の作品世界が展開される。ベトナムというのはたまたまであって、いつの時代にも通じる普遍的な戦争の狂気を、彼なりに表現した秀作です。 8点(2000-09-29 15:25:59) |
529. バリー・リンドン
S・キューブリックが18世紀の世界とその時代の人々の営みを、まるで美術絵画を見るかの如く再現した映像叙事詩。その素晴らしさは光や風や空気までもが、いかにもその時代のものと感じとれるほど。ただ主人公をはじめとする登場人物には最後まで感情移入できないままでした。 8点(2000-09-29 14:55:35) |
530. スター・ウォーズ/帝国の逆襲
シリーズ中、唯一好きな作品。ストーリに一応の工夫がみられ、又、空中都市のシーンが素晴らしく印象に残ってます。 8点(2000-09-29 00:22:57) |
531. ヒドゥン(1987)
アボリアッツ映画祭で「ロボコップ」と競って見事グランプリを獲得した秀作。悪玉エイリアンを追っかけて善玉エイリアンが地球上で対決するというお話。人間(又は動物)の体に次々と乗り換えるというのは、一種のボディスナッチャー物で、“それ”を追い詰めるという設定は明らかにポリスアクションそのものです。そしてその両方が見事にマッチしてスリリングな興奮を与えてくれます。悪玉がなぜかハードロックが好きだったり、善玉(=カイル・マクラクランがいかにも“それっぽく”演じています)が酒に弱かったりと、ユーモラスな部分も用意されて最後まで飽きさせません。 8点(2000-09-24 23:17:41) |
532. バウンド(1996)
「マトリックス」で大ブレイクする前のウォシャウスキー兄弟の、小品ではあるけれど緻密に計算された演出に、ただならぬ才能と力量を感じざるを得ませんでした。舞台の一幕モノのみたいな、限られた空間内で展開されるサスペンスの連続に、ハラハラ・ドキドキしっぱなしでした。ここでも“電話”がひとつのモチーフになってましたっけ。 8点(2000-09-22 00:34:01) |
533. ダイ・ハード2
輸送機に閉じ込められて機銃攻撃を一斉に浴びせられる中、緊急脱出装置で危機を逃れるという場面を、俯瞰で見せてくれるシーンが印象的で、レニー・ハーリン監督は前作の雰囲気を継承しつつ、尚且つ新しいアクションの見せかたに腐心していることが良く分る。アクション監督としてマクティアナンへの強烈な対抗意識ともとれるんですが・・・。ただ中盤の爆弾をセットした教会での攻防戦は、ちょっとした演出上のミスで盛り上がりに欠けたようにも思えます。前作以上にド派手なシーンが多い分、ちょっと節操がないようにも思えますが、PART2ものとしては良く出来ているほうです。ただ愛すべきキャラクターのパウエル巡査長の出番が少なかったのが残念です。 8点(2000-09-21 11:38:21) |
534. アンタッチャブル
ブライアン・デ・パルマ監督の作品って、いつも途中までハラハラドキドキなんだけど、終盤になるにつれて肩透かしというか腰砕けになってしまうんですよネ。でも本作は脚本の良さもあって、冒頭からエンディングまで隙がなく巧くまとめています(彼らしくないといえばそうなんだけど・・・)。クライマックスの駅構内の階段でのド派手な銃撃戦は、スローモーションでさらに効果をあげ、映画史に残る(かな?)名シーンになっています。でもあの赤ん坊は可愛くないっ!(笑) 8点(2000-09-20 23:52:18) |
535. ラン・ローラ・ラン
いいですネ~!おもしろいですネ~!“愛の強さは運命をも変える”ってか~!映像と音楽が実にパワフル。こういう映画の作り方って、もっとドシドシ出てきてほしいものです。自分の人生もリセットできたらなぁ~! 8点(2000-09-20 11:45:14) |
536. 隣人は静かに笑う
なんの予備知識もなく期待しないで観たせいか、やっぱりラストの大ドンデンには座席で凍り付いてしまいました。ティム・ロビンスが相手ならさもありなんか・・・。ただ“ここ”ばっかり話題になってますが、そこへ到るまでのサスペンスの盛り上げ方など実にスリリングに描かれていて、最近では異色のサスペンス物として良くできている思います。 8点(2000-09-17 23:58:55) |
537. ピースメーカー
女流アクション監督としては、キャスリーン・ビグローが先駆者ではあるけれども、その映像の豪快さとスケール感では、このミミ・レダーが圧倒している。さすがスピルバーグが白羽の矢を立てただけのことはあると思いました。で、このポリティカル・アクションですが、国家や民族のために命を散らしていく者の悲しみをもキッチリと描いていて、決して派手なアクションだけに終わっていない点など、本当に良く出来た作品だと思いますが、ただ残念なのは某老舗映画雑誌のベストテンの投票では、なぜか誰一人として票を投じていなかったことである。 8点(2000-09-17 23:27:13) |
538. コンタクト
外宇宙から銀河系へ、そして太陽系のそれぞれの惑星を通り、やがて少女の目に受け継がれるというところを、ワンショットで見せきるオープニング・シーンや、実験台の爆発をパースペクティブなスペクタクルとして見せるシーン、そしてフォスターが思わず「なんて美しい・・・」と表現してしまう程、永遠ともとれる一瞬の間に見る異空間の素晴らしさ等々、我々観客にも疑似体験したような不思議な感覚を体感できる作品です。J・フォスターってどんな作品でも全力投球しているのがよく分る作品でもあります。 8点(2000-09-14 14:01:07) |
539. タイタニック(1997)
ほとんど外れのないJ・キャメロン監督の一世一代の入魂の一作。これぞ万人受けする映画の中の映画と言えるでしょうね。歴史的事実をよくあれだけ創作できるもんだと感心すらおぼえます。こんなスゴイのを撮って、アカデミー賞をも独占してしまったあと、彼はいったいどんな作品を用意するんでしょうか?。 8点(2000-09-14 12:57:30) |
540. パラサイト
以前“なんでもベスト5”でもコメントしたんですけど、本作は過去のSFヒット作を巧妙に“いいとこどり”して、尚且つ、B級作品にありがちなSFXの荒っぽさがなく、いささかも手を抜いていない点、実にしたたかな作品として仕上がっています。なんの期待もしないで観たせいか、なにか得した気分になりました。 8点(2000-09-12 23:14:19) |