561. 闇金ウシジマくん
《ネタバレ》 原作未読。ドラマは一部見たことあり。映画版だからといって、無駄に派手な展開を入れ込まず、カネで転落する人たちの地味な群像劇に徹しているのはマル。ただ、アイドル出身の女優さんの起用は逆効果だったような。大島さんの演技は悪くなかったけど、この物語の魅力は、どん底まで落ち込んでもう行き場もなくなった人たちの人間模様にあると思うので、落ちるところまで落ちずに中途半端なところでこらえてしまうミコの話はやっぱりイマイチ。その物語的な中途半端さが、アイドル女優さんの起用が理由だったとすれば、それはキャスティングする側の問題でしょう。一方の林君がよくがんばっていただけに、この対比は残念。あと、ドラマではテンポよく進む話が、映画になったとたんに停滞気味になるのもマイナス。この内容で2時間越えはダメでしょう。片瀬さんも完全な蛇足。ドラマ版できれいに退場していたのだから、再登場は全く必要なかった。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-10-16 11:43:40) |
562. ソロモンの偽証 前篇・事件
原作既読。タイトル画面で原作者の名前がでてきて、なんというか志の低さに不安になる。原作でも裁判になるまでは結構好きだったので、それなりに見ることはできた。ただ、『八日目の蟬』の成功が足かせになってるのか、似たような音楽がこの話と合ってない。それから、どうにも類型的で見るに(聞くに)堪えないセリフの数々。先生たち、マスコミ関係者、そして親たち。こういう主軸になる物語の周辺的部分こそ、映像や演技で膨らましてリアリティをもたせられる部分なのに、そこが大きく足を引っ張っている。そもそも途中でふつうに終わるので、1本の映画として評価できない。前編だけを映画館で見る気って個人的にはまったくしないのだけれど、興行的にも難しいんじゃないかな。原作読んでる人だったら、きっと前編では何も起こらないってわかるし、原作読んでない人だったら怒るでしょ、こんなところで終わったら。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-09-09 15:09:54) |
563. アメイジング・スパイダーマン
《ネタバレ》 作品単体としてはまあまあ。ただ、やはり「リブート」のタイミングとして謎。アクションはサム・ライミ版のほうがクオリティ高かったと思うし、青春ドラマとしても素材をいかしきれていない。ヒロインも敵も早い段階でスパイダーマンの正体を知っているという展開も、マスクものの利点を自ら捨ててるようなもの。そして最悪なのは、ラストで(今作の本編とは直接的には関係がない)謎かけをするとこ。結局、この作品単体では観客を続編に呼び込めないってことを、監督や製作陣が白状しているようなもので、ラストのグウェンの笑顔がよかっただけにそれに見事に水を差してしまった。 [DVD(字幕)] 4点(2014-08-09 12:24:04) |
564. ワイルド・スピード/MAX
なんかシリアスなんですけど・・・。しかも、ヴィン・ディーゼルがシリアス演技をしようとしてる・・・。しかもカーアクション不足・・・。せっかく彼が復帰するので、思いっきり車バカのおバカ映画にしてほしかったなあ。ただ、ラストのラストでやっとおバカ解禁になったみたいで、次作にも手を出してしまいそう。ある意味、制作側の思うツボですね。 [CS・衛星(字幕なし「原語」)] 4点(2013-08-12 12:35:01) |
565. うさぎドロップ
原作もアニメも未見。設定も演出も脚本も、なんかうまくかみ合っていない。芦田愛菜は、僕が見ただけでも、「他人」と暮らすことになる話が3回目(あとの2つはテレビドラマですが)で、さすがにキャラ被りすぎ。大吉の喜怒哀楽の感情表現はマンガ的で、急に6歳の女の子を育てることになった「不安」の表現としては理解できるのだが、せっかくの実写映画なので、もう少し丁寧にとその不安感や不安定さを表現してほしかった。それから、映画のクレジットにいくつか「イクメン」系の団体の名前があったが、本当に彼らが監修や助言をしたのかと思うほど、「男の育児」という点では安易な表現が目立つ。たとえば、子どもに相当の熱があれば、保育所がどういう対応をするか「イクメン」なら知ってるでしょ。あんなふうにほったらかしなんてあり得ない。子ども抱いて走ってれば育児を表現したことになるのか。そういう細かい表現の荒さや薄っぺらさが積み重なって、映画としての完成度を低くしてしまったようです。残念。 [映画館(邦画)] 4点(2011-10-13 05:18:55)(良:1票) |
566. プリンセス トヨトミ
《ネタバレ》 原作既読。3人の会計監査官の性別が微妙に変わっている(原作では鳥居がおっさんで、ゲンズブールが若い女性の設定)のは何でかなあ。綾瀬はるかを走らせるため・・だけ・・? 物語はほぼ原作どおり。ツッコミどころも原作どおり多数あるが、原作の場合は、そういうツッコミをするのが無粋に感じるような世界観づくりの巧みさがあったように思う。でもこの映画は、小説の文章をそのまま絵にしてみましたという感じで、映像でしかできない世界観を作り上げようという気概がゼロ。原作も個人的にはあまり好きではなかった(若干期待はずれ)だったのだけれど、この映画版は、原作のダメな部分を忠実に映像化しましたという感じの残念な出来でした。 [映画館(邦画)] 4点(2011-09-05 14:18:30) |
567. インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
期待よりも不安が大きいまま鑑賞。最初の感想は「意外と楽しめた!」でした。でも、「インディ・ジョーンズ」シリーズとして考えれば大いに不満。このシリーズは、荒唐無稽な冒険をワクワクドキドキしながら楽しみ、「あーお腹いっぱい」でエンドクレジットを迎えるものだったはず。それが「意外に楽しめた」なんて感想がでてくるなんて! それだけで大いにがっかりです。 じゃあ、インディ・シリーズでなければ及第点の出来かといえば、とんでもない。結局「意外に楽しめた」のはシリーズ作におなじみの小ネタの部分だけで、本筋はそれはそれは「酷い」ものでした。というわけで、シリーズのファンにも、新しい観客にも、どちらにも優しくない。つまりそれはフツーの「駄作」ということなのです。 [地上波(吹替)] 4点(2010-10-30 00:33:00) |
568. ダーリンは外国人
《ネタバレ》 原作シリーズは妻が好きなので既読。映画にする以上、仕方がないのだとは思うが、日本語ネタよりもラブストーリーのほうをメインにしてしまったので中途半端な作品になってしまった。前半は、トニーの変人ぶりを描くかわりにどうやって2人が「つきあう」ようになったのかは省略されてしまっている。で、語学ネタ、トニーネタ中心で行くのかなと思っていたら、一転して後半は、ただの安いラブコメになってしまい、そこに無理矢理に埋め込んだ語学ネタも空振り気味。夫婦の日常を描いた原作を、結婚前のカップルによるラブコメに改変したのは、おそらく主演女優が「若い」からなのだと思うが、そういう外部的な要素をうまく1本の映画に昇華させるだけの力量も熱意も、本作のスタッフに欠けていたのだと思う。 [DVD(邦画)] 4点(2010-09-05 06:57:44)(良:1票) |
569. ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
《ネタバレ》 子どもが想像する世界を映像化したような作品。そう思えば、多少都合良すぎる展開もまあまあ許せる。ただ、その映画を30歳も過ぎた人間が見て楽しかったかといえば、ノスタルジックな感情は抱いたものの(とくにクローゼットの奥に未知の世界が広がるっていう妄想・・・)、やっぱり面白くはなかった。自分が子どもの頃に見ていれば、そこそこ楽しんだろうなとは思うけれど、やっぱり心に残る映画にはならなかったと思う。そういうタイプの作品。場面設定やキャラクターは魅力的だったのに、ちょっとした展開や見せ方に失敗しているように思う(とくに、魔女の最期をちゃんと見せなかったのは大きな間違いだと思う。「子ども向け」でもちゃんと見せるべきでしょう)。「子ども向け」だから面白くないのわけではなく、ただイマイチなファンタジー映画なのだと思う。 [地上波(吹替)] 4点(2009-05-20 00:21:16)(良:1票) |
570. 相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン
無駄にスケール感を煽った導入部から、やたらととっちらかった脚本に振り回されたあげくに、最後は何だかこぢんまりとした話になってしまいました。マラソンのシーンは、たぶんほとんどの観客が「どうせこれもダミーだろ」って思いながら見てたんじゃないかな。それでも、いっしょに振り回されるのを楽しませるのがエンターテインメントなんだろうけど、この映画はそのへんの演出が単調で、あれで一気に気持ちが萎えてしまいました。マラソンとは無関係の本筋のほうは、実際に何年か前に起きた事件をモチーフにしているのは明らかなんだけど、その事件を取り巻く社会の描写やそれをめぐる政治的な構図にまったくリアリティを感じることができなかった(ああいう一方的な側面はあったと思うけど、それでも右左そのほか入り乱れて、もっとややこしいことになっていたと思う)。こんな描き方しかできないのなら、中途半端な社会派(を装ったお涙頂戴モノ)を気取らずに、ふつうに「サイコな大量無差別テロとの対決」にしたほうが後味もよかったと思う。 [地上波(邦画)] 4点(2009-03-30 12:07:12) |
571. コブラ
中学時代に友人と映画館で鑑賞。スタローン世代の私たちでもこの映画はきつかった。「マリオン・コブレッティ」という強引すぎる主人公のネーミングに苦笑・・・。 [映画館(字幕)] 4点(2009-03-19 13:28:26) |
572. マリー・アントワネット(2006)
ソフィア・コッポラの映画はまあまあ面白いんだけど、決定的な何かが欠けている。『ロスト・イン・トランスレーション』で「日本」との接点をまったく描かなかったように、今作では「男」をまったく描いていない。頼りないルイ16世やら愛人を囲うルイ15世やらプレイボーイの北欧の貴族やら・・・。彼らは、マリーの孤独を際だたせるためだけに存在しているキャラで、それは『ロスト・・』での「日本」の役割とまったく同じだ。ぼくが気に入らないのは、ソフィア自身、それを確信犯でやっているっぽいところ。「日本のことなんてわからないけど、何か?」「男なんてわからないけど、何か?」という開き直った態度の上に彼女の映画は成り立っている。こんなガーリーで自己中な哲学はインディーでやってるぶんには新鮮で楽しいけど、もうそろそろ飽きてきました。 [映画館(字幕)] 4点(2007-02-05 14:50:57)(良:2票) |
573. パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
やたら長いし、ジャックとウィルとエリザベスを妙な三角関係にしたせいで、映画の爽快感そのものも失われてしまった。この映画に求められているのは『マトリクス』の謎解きでも、『指輪物語』の壮大な世界観でもなく、ディズニーアトラクション的な爽快感だと思うんだけどなあ。正直、ジャック・スパロウの謎とか、たいして印象に残ってもいない前作のキャラクターの再登場とかどうでもいい・・・。ただ2時間、冒険を楽しませて最後はスッキリさせてもらえればよかったのに。 [DVD(字幕)] 4点(2007-01-08 07:29:29)(良:1票) |
574. フライトプラン
これは厳しい。見てる最中は、ジョディ・フォスターの緊迫感ある演技でまあまあ楽しんで見ていられたけど、終わってみれば、わきあがってくるクエスチョン・マークの嵐。こんな穴だらけの脚本によくOKが出たものだ・・・。映画としては、明らかに失敗作の部類に入ってしまうだろう。ただ、「9.11以後の時代の飛行機のなか」という空間が持っている相互不信をちゃんと表現しているところはよかったと思う。この飛行機の機長・乗組員・乗客の対応は、主人公目線で見れば「冷たい」ようにうつるけれども、他の乗客の立場になってみれば、現代の飛行機という空間のなかでは、あれはとても「普通」な反応だ(いちゃついていた乗員を除く)。そのような相互不信の空間で娘が消えた!というアイデアはすばらしい。だけど、その着想だけでは、映画は面白くなるとは限らないのだ。 [DVD(字幕)] 4点(2006-09-29 18:29:47) |
575. モナリザ・スマイル
個人的に50年代のアメリカに興味があるのと、個性的な出演陣のおかげで退屈せず最後まで見ることができたけど・・・。どうせありきたりの設定なんだから、『いまを生きる』並みのベタな展開のほうがよかったような。ここ数年のあいだに、『エデンの彼方に』と『めぐりあう時間たち』という50年代の女性を描いた佳作があったのも(両方ともジュリアン・ムーアだ!)、この映画にとっては不幸だったかも。この2作に比べると、この映画の登場人物たちも当時の社会の描写も、薄っぺらく感じてしまう・・。ジュリア・ロバーツは、いいときと悪いときの差が激しいなあ。今回は、残念ながらダメなほうでした。 [DVD(字幕)] 4点(2006-02-02 11:16:30) |
576. ナショナル・トレジャー
もう少し物語にメリハリが欲しい。アメリカ独立期の旧跡めぐりは楽しいけれども、「謎解き→手がかり」の繰り返しが冗長。ゲイツがあまりに簡単に謎を解いてしまうのも、逆に興ざめ。独立宣言書とヒロインが同時に奈落の底に落ちそうになるシーンは、「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」のラストの聖杯のシーンを思わせるけど・・・。個人的には、インディ・ジョーンズのほうを支持します。アドヴェンチャー映画にありがちなグロテスクなショック描写も皆無で、「家族で楽しむディズニーアトラクション映画」を目指すのは理解できるけど、全体に漂う愛国主義のムードがちょっと鼻につく。 [DVD(字幕)] 4点(2006-01-07 10:38:39) |
577. エターナル・サンシャイン
なんとなく思ったのだけれど、カウフマンとゴンドリーの組み合わせは、実はけっこう相性が悪いんじゃないかな。アイデア勝負・感性一本勝負みたいな二人がタッグを組んだところで、ケミストリーはあまり感じられず、基本的に印象的な断片の積み重ねに終始してしまって、結果的には退屈だった。『マルコヴィッチ』や『アダプテーション』がよかったのは、もの悲しいのに笑える場面があったことだったと思うのだけれど、この映画は、そういう部分に欠けていた(というかイライジャやキルスティンの場面も笑えるほど面白くなかった)のが残念。 [DVD(字幕)] 4点(2005-12-21 01:57:49) |
578. 69 sixty nine
エロだったり、下ネタ・汚ネタだったりは、はるか昔に読んだ村上龍の原作でもそんな印象が残ってたんで、そんなに嫌悪感を感じることもなかったけど、「笑い」まで達せず「苦笑」で終わるネタ多数。たしかに、妻夫木聡が走るシーンとか、佐世保の海と山の光景とか、印象的なシーンも多かった。けれど、爽快感がウリの映画なのに、テンポが悪い。「盛り上がりどころ」で肩すかし風の演出は狙いなのか?? なんだかスッキリしない映画だった。そのモヤモヤ感の極みは、エンドクレジットのケミストリー。ここだけ何でケミストリー? タイアップとか関係あるのかもしれないけど、そういうウラの存在を感じさせた時点でダメでしょう。こういうところで商業主義が出てくるんだったら、映画のなかでもエンターテインメントに徹して、徹底して観客を楽しませてほしかった。あ、でも、もしウラもなく、演出上の理由があってケミストリーだったのなら、もっとダメだけど。 4点(2005-03-20 09:37:03)(良:1票) |
579. ヴァージン・スーサイズ
どうやらぼくは「金髪白人少女」の区別をつけるのが苦手らしい。姉妹の区別がちゃんとつかなくて、「これ、誰だっけ?」とひたすら考えながら見てた。それはさておき、そこそこセンスのいい映像と音楽に、鑑賞者がそれぞれ自分勝手に意味を補填しやすい「自殺」というテーマを絡めるというあざとさには反感を覚える。少女達の内面や心情をあえて描かなかったのではなく、単に描けないだけなんじゃないか、という疑念がどうしても離れない。ま、ぼくがガーリーな世界を理解できていないというだけの話なのかもしれないが。 4点(2005-02-01 09:43:19) |
580. ハリー・ポッターと賢者の石
《ネタバレ》 序盤(寮をわけるところくらいまで)は、夢のある物語でワクワク。だけど、そっから後が、原作のエピソードをこなすためか(原作未読ですが)、詰め込みすぎで、展開としてはグダグダ。特に、ホウキ競争以降(でも物語的には本筋なのに・・・)は、メリハリなくエピソードを消化していくだけで、逆に眠くなった。ラストに近づくほど眠くなる娯楽映画なんて・・・。あと原作もそうなのかもしれないけど、ポケットのなかの「賢者の石」の謎を最後に校長にネタバラシさせちゃうのも、教育的効果はあるのかもしれないが、娯楽「映画」としては失格です。 4点(2004-08-15 11:56:43) |