Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧。31ページ目
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117118119120
>> カレンダー表示
>> 通常表示
601.  女は二度生まれる 《ネタバレ》 
小えんはドドンパしか知らない芸無しのいわゆる枕芸者、つまり客に春を売る方が得意と言うわけ。やたらと靖国神社が映るので、たぶん神楽坂あたりの置屋の芸者なんでしょう。そんな小えんが芸者を辞めてバーのホステスから一級建築士の妾となり、その建築士と死別するまでの男性遍歴がメインストーリーです。とは言っても体を許した男たちとは短いエピソードの羅列みたいな構成で、一種の群像劇みたいな感じです。まあ昭和三十年代のお話しですから、この映画に出てくる登場人物たちの行動というか言動は、現代の観点からは顰蹙を買わざるを得ないでしょう。小えん=若尾文子からしてよく言えば自由奔放、何を考えているのか理解不能な感も無きにしも非ずです。そんな彼女に建築士の山村聰だけは彼なりの愛情を注ぎ小えんもそれに応えようと努力するのですが、だいたい愛人を囲って所帯を持たせて妻や娘を蔑ろにするってのは、ちょっとどうなんでしょうかね、まあこの頃は“男の甲斐性”という感じで決して悪行とはとられていなかったんだからしょうがないかも。山村聰にしては珍しく男の欲望に正直なキャラを演じていました。唯一小えんと純愛的な関係性を持っていた藤巻潤にしても、芸者に復帰した彼女を取引先の外人顧客に接待で上納しようとして、とにかくこの映画に出てくる男どもはどいつもこいつもろくでなし揃いですな。おっと映画館で知り合った若い工員=高見國一だけは例外だったかもしれませんね。あと不協和音が強調される妙に不安を煽るような音楽が、印象的でした。 と言うわけでちょっと変わったテイストの作品ですが、妙に後味が残るところがあります。ところで小えんはこの映画のどこで“二度生まれた”んでしょうかね、やはりラストなんでしょうかね?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-31 22:01:36)
602.  セーラー服と機関銃 《ネタバレ》 
およそアイドル映画とは思えない撮り方の映画、まさに相米慎二らしいと言えるでしょう。薬師丸ひろ子の登場シーンではブリッジしているうえにセーラー服のリボンがかかって顔が見えないし、やたらに望遠レンズや魚眼レンズまで使って薬師丸の顔が小さくしか見えない、アイドル的な女優が主演していてこれほどアップが少ない映画ってのも珍しいんじゃないでしょうか。それまでの角川映画の配給先だった東宝と揉めて東映に変えたという事情もあって、角川春樹がほとんど口を出さなかったというのも大きかったのかも。ストーリー自体はかなり荒唐無稽なんだけど、思った以上にヤクザ映画的なシリアスな撮り方だったと思います。やはり当時を知るものとして思い出に残るのは、この映画が公開された時の薬師丸ひろ子フィーバーの凄さで、まさに社会現象でしたね。そして彼女が歌った主題歌の大ヒット、作者来生たかおのデモテープを聴いた角川春樹は「こんな曲はクソだ!」と言ったそうで、ほんとこの人はセンスがない(笑)。いまやアイドルソングとして80年代を代表する名曲と評価が定まっているのにねえ。有名な「カ・イ・カ・ン」のシーンも、改めて観ると官能的ですらあります。薬師丸ひろ子は御存じのように今や大女優ですが、私の中では青春真っ只中の彼女が映像に焼き付いている本作が一番です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-28 23:26:21)
603.  M3GAN ミーガン 《ネタバレ》 
人形ってよく考えると怖いですよね、とくにそれがリアルな造形であればあるほどね。そういう人形/人型ロボットはホラーではけっこうこすられた題材ではあるが、その中でも本作は新境地を拓いたかもしれません。 おもちゃの人形ホラーと言えばもちろん『チャイルド・プレイ』が有名だけど、チャッキーはあくまでただの人形おもちゃでそこに悪霊が憑りつくというある意味正統的なストーリー。対するミーガンは自己学習するAIを組み込んだ最新型ロボットというところがミソです。失敗作続きでクビが目前になったおもちゃメーカーの技術者が突然の閃きからこんな凄いものを開発しちゃうと言うのはちょっとご都合主義が過ぎるけど、メーガンのシステム自体は現実のテクノロジーを盛り込んだ“なんかほんとに造れそう”感があるところが良いです。記憶部分がクラウドに蓄積されるなんて“なるほど”と感心しました、なんせこれなら本体にメモリーシステムを装備しなくて済みますからね。前半がタルいという意見も見受けられますが、私はメーガンがケイディとの交流から母子感情を学習してゆく過程を丁寧に描いているので良かったと思います。ケイディの叔母のジェマはほぼ育児放棄しているような感じですから、ケイディがまるでスマホ依存症みたいに“ミーガン依存症”になってゆくのは納得できますね。後半になるとその賢くなりすぎたミーガンが完全に怪物化する展開は、もうチャッキー人形とターミネーターのパクりみたいになるのはちょっとありきたりかなと感じます、まあみんなこの展開を待っていたんでしょうがね。そこでバズったのが例のミーガンのタコ踊りダンス、確かにこれはインパクト絶大で、もっとダンスして欲しかったな。ラストの展開はまあ読めたけど、ブルースの登場は予想外でした。中盤でミーガンのデータに不正アクセスしていた社員、あっさり殺されちゃったけどこの外部流出されたデータがきっと続編のネタになるんだろうな。 確かにミーガンはおもちゃと考えると凄い製品だけど、商品化したらどう見ても一万ドルは下らないだろうな、そんな高価なおもちゃ誰が買うんでしょうかね?やっぱチャイナマネーかな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-25 22:49:56)
604.  ロボコップ(2014) 《ネタバレ》 
全然違う製作陣だったけど『トータル・リコール』のリメイクが予想通りの出来だったので、しょうじき全然期待はしてませんでした。製作会社のロゴを観ればチャイナマネーが注入されていることは明白でしたが、オムニ社の生産拠点がもろ中国本土に置かれているという設定には、ちょっと頭がクラクラしてしまいました。という開始冒頭での懸念はその後も尾を引きましたが、けっこう真面目に撮られていることは確認できます。 オリジナルの傑作『ロボコップ』はなんせヴァーホーヴェンが監督でしたからグロ要素とデフォルメされたブラックセンスが満載でしたが、このリメイクはロボコップ化されたマーフィーの物語に重点が置かれた脚本で、荒唐無稽さは極力おさえられたストーリーテリングだったと思います。今作も悪の根源は当然オムニ社ですが、デトロイト市を乗っ取っているようなぶっ飛んだ存在ではなく、連邦議会の法律に規制をかけられている巨大兵器産業という感じです。本作での究極の悪役はCEOであるマイケル・キートンで、もう彼の芸風通りの悪辣さで、オリジナルのダン・オハーリヒーの様なとぼけた味わいは皆無です。オムニ社側のもう一人のキャラがロボコップ開発責任者のゲイリー・オールドマンですが、オールドマンらしくなく善玉でマーフィーを助けようと奮闘します。そう言えば彼は昔ほど悪役キャラを演じることが無くなってきている気がします、オスカー受賞したしイメージを気にするようになってきたのかな(笑)。ロボコップ=マーフィーの造形と思考なんかはより人間的になっているが、オリジナルにあった様なマシーンと化してしまって妻子にも正体を明かせないマーフィーの苦悩が観られないところはどうかと思うところです。マイケル・キートンが強烈過ぎて全般的に他の悪役が影が薄いのが難点と言えなくもないけど、軍事教官役のジャッキー・アール・ヘイリーだけは存在感を出してましたね。マーフィーの相棒も黒人刑事に変わったりしているけど、名前はナンシー・アレンの役名と同じルイスだったり、随所にオリジナルからの引用というか小ネタも使われていました。その相棒ルイスがブラック・カラーのマーフィーのコスチュームを見て、「お前、黒い方がいいな」と笑うところは、この映画で唯一笑えるところだったかもしれません。 結論としては、オリジナル版の毒味が好物な自分としては物足りないところが多々ありますが、オリジナルの無視した要素を膨らませた脚本として観れば面白いし、『トータル・リコール』のリメイクよりははるかにマシ、普通に退屈させないアクション映画だったと思います。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2024-01-16 23:32:40)
605.  ぼくの伯父さんの休暇 《ネタバレ》 
山田洋次がフーテンの寅のキャラを思いつくきっかけとなったムッシュ・ユロ=ジャック・タチがスクリーン初登場となった作品。でもユロ氏は挙動不審だけど礼儀正しいし根っからのジェントルマンで、テキ屋の車寅次郎とは大違いなのが面白い。どちらかと言うと、自分にはユロ氏のあの長身の容姿からはシャルル・ドゴールのカリカチュアだったような気もします。 フランス人と言えばバカンス(偏見か?)というイメージ通りの、ノルマンディー海岸でのホテルに集う人々の一夏をスケッチしたような作品です。劇中でともに宿泊しているユロ氏はまるで背景の様に動き回っている感じですが、彼なりにバカンスを愉しんでいたみたいです。彼は決して部外者というわけではなくて他の宿泊客もユロという名前は認識して話しかけたりしていますが、彼は好きなように行動して意図せずに騒動を引き起こしてしまいます。タチはその長身を生かしたまるで機械仕掛けのような一種のパントマイム芸で、これは彼じゃなきゃ出来ないまさにフランスのエスプリの体現という感じの名人技です。これは絶対ドリフや志村けんのコントは影響を受けていると思います。とくに私にはテニスをするときの珍妙な動作がツボでした。またユロ氏とマルチーヌの間に淡い恋愛感情が芽生えるところも良かったですね。 ちなみに『ぼく』って誰だと?という疑問ですが、これはシリーズ三作目の『ぼくの伯父さん』の方が日本では先に公開されていたのでつけられた邦題です。『ぼくの伯父さん』のユロ氏は若干キャラが変わって能動的な感じになったような気もします。宿泊客の中にいるパリから頻繫に電話がかかってくるビジネスマンとその一家も、『ぼくの伯父さん』の妹夫婦としてスライドしているような感じですね。
[ビデオ(字幕)] 7点(2024-01-10 22:44:31)
606.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
やっぱお正月休みにはこれを観なくっちゃ、ミッション:インポッシブル=トム・クルーズ大サーカスをね(笑)。前作を観たのはずいぶん前だったのですっかり忘れていましたが、本作は実質的に前作の続編みたいなものです。思えばこのシリーズ、回を重ねるごとに尺が長くなっていて、最新作に至ってはPART1・2に別れていて、PART1だけで2時間40分の上映時間ですからねえ。本作はメイン舞台がパリでアドレナリン中毒のトム・クルーズが骨折までして身を張ったアクションを見せてくれますが、観てるこっちも麻痺しちゃってるのかもしれないけど心なしか地味な感じがしましたが、やっぱ終盤カシミールを舞台にしたチョッパー・アクションは見応えがありました。あれってやっぱトム・クルーズ本人がぶら下がってるんですかね?だとしたらやっぱこの人頭おかしいですよ(笑)。というか実際にカシミールでロケしたわけじゃないけど(ニュージーランドとノルウェーらしいです)、あんな凄い断崖絶壁で撮影したこと自体が狂ってます。ストーリーはよくあるカウントダウン・サスペンスで閉めるあたりはさすがにマンネリと脚本家は思ったのか前半にいろいろと複雑な要素を詰め込みましたが、とくに前作を観てないかストーリーを忘れてしまった自分の様な観客には状況を把握するのには骨がおれます。まあそれでもジョン・ラ―クの正体はすぐ判りましたけどね。ホワイト・ウィドウが一作目に登場した武器商人マックスの娘だというのにはシリーズ愛好者の琴線をくすぐりますが、ジュリアがイーサン・ハントの知らないうちに再婚していたのは、ちょっと衝撃でしたね。IMF長官のアレックス・ボールドウィンが殉職したのもなんか興味深い、なんせ彼は三年後の撮影事故騒動でハリウッドから追放状態になってしまったから妙にタイミングが良かったというか… というわけでシリーズお約束通りの出来栄えでしたが、みんなが期待している要素はとりあえず全部見せてくれたし、まあ自分としても満足できたと思います。やっぱこういうアクション満載の映画は、尺の長さは感じさせないところが好きです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-07 22:59:40)
607.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
ノリはもう『トレマーズ』という感じのB級モンスター映画の王道です。細かい理屈はともかくとして、巨大化した蜘蛛たちが田舎の町を群れとなって襲撃!というシンプルな構成ながらもスピーディな展開で飽きさせない面白さがあります。アサイラムあたりのZ級とは違って人物設定などもきちんと造りこまれているのも良し。巨大化したと言ってもタランチュラ以外はせいぜいセントバーナード犬ぐらいで、蜘蛛としての分別は守ってすぐ殺せるのも好感(?)がもてます。でも群れとなって追っかけてくるところなんかは蜘蛛嫌いには卒倒ものだろうし、集合体恐怖症の方も要注意です。オスがメスに贈り物をして気を引くというコガネグモの習性を上手くストーリーに取り入れたりして、この監督きっと蜘蛛好きなんだろうな(笑)。ティーンのころのスカヨハが出ているところも得点が高い、今じゃ彼女がB級やインデペンデント映画に出演するなんてとうてい考えられなくなりました。所々に仕掛けている映画ネタや陰謀論ネタも、センスの良さが感じられます。けっこう死人が出ているのになんか笑えちゃう、ってところも『トレマーズ』風味がありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-18 23:32:17)
608.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 
この作品がオスカー作品賞を獲ったのは、韓国では大統領がまだザイトラとかいう人だったころ。当時の韓国は国策でKポップとやらが世界でムーブメントになっていると有頂天になっていて、ボーイズアイドルのグループをなんと国連総会に連れてってスピーチさせるなんて暴挙に出たりしていた。私からすれば韓国映画がアジア映画としては初めてオスカー作品賞を受賞したってことの方がよっぽど一大快挙、「ついに韓流映画もここまで来たか」と感無量でした。ところが韓国では何とか少年団の時とはほど遠い冷めた反応だったんじゃないかと思います。まあそれは華やかで先進的なイメージをアピールできるポップスと違いこの映画のテーマが格差社会である韓国の恥部に触れていたからなんだろう、こういうところは実に判りやすい国だと思います。 日本でも山の手と下町という区別が昔からあるように、富裕層は“上”庶民層は“下”というところはどんな国の都市にもある地理区分みたいですね。それにしても“半地下”という住環境はちょっと凄いですね、これは黒澤明の『天国と地獄』の設定が彷彿されます。前半の一家四人がそれぞれ他人を装って使用人としてセレブ家に入り込んでゆく過程は、ブラックでとぼけた演出もあって面白いですね。これはジョセフ・ロージーの『召使』みたいな感じで主人一家を操ってゆくのかと思いきや、嵐の晩を境に想像のはるか上を行く展開になってゆくわけです。この映画の中ではセレブ家のセットの造りこみが豪華で、こういうカネのかけ方からして日本映画が韓国映画に勝てないのが納得できます。ただラストはいかにも韓国映画らしい惨劇展開でしたが、後日談をつけた引っ張り具合はちょっと冗長だなと感じました。決して凡作ではなくその切れ味にも鋭いところがあるのですが、オスカー作品賞を獲るほどの出来なのかはちょっと?というのが感想です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-09 22:55:49)
609.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
前半は「えらくオールドスタイルなミュージカルだな」と思っていたら、中盤以降は完全にほろ苦い大人のラブストーリーでした。売れないジャズピアニストと女優志願の娘が主人公という典型的な“ボーイミーツガール”なんですが、デイミアン・チャゼルはあえて奇をてらわないというか一周回って新しさを感じさせるようなノスタルジー、スタジオ・クレジットと“CinemaScope”のロゴの見せ方なんかはモロでしたね。この映画はミュージカルではなく、いわば“ミュージカルをフューチャーした恋愛映画”と捉えるべきでしょう。多彩なミュージカル・シークエンスを期待していたこちとらにはちょっと拍子抜けでした。それでもベタではありますが、ラストの“二人が歩んだかもしれなかったもう一つの人生”を見せるミュージカル・シークエンスは感無量です。この映画は音楽以上に色彩設計が素晴らしい。冒頭のダンス・シークエンスはもちろんですが、セブとミアの心情を表すのに青系や赤系そしてそ補色として黄色と緑が、セットや情景そして衣装に効果的に使われています。演技としては、やはりエマ・ストーンが良かった。これほど演技しているような表情(ちょっと変な表現ですが)で歌唱できる女優だったとは、観直してしまいました。あと前半にワン・シーンだけ出演してライアン・ゴズリングをクビにするJ・K・シモンズ、これは『セッション』のパロディなんですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-06 21:41:08)
610.  透明人間(2020) 《ネタバレ》 
“ドラキュラ伯爵”“フランケンシュタインの怪物”“狼男”、この三つがユニバーサルが産み出した定番のホラーモンスターですが、彼らよりちょっと影が薄いのがこの透明人間。そりゃあただ透明になっただけで本質は普通の人間ですし、H・G・ウエルズの原作があるが映画化されると三大モンスターとは違ってそれぞれ独自のキャラ設定になっているし、どの作品も製作当時の時代が反映されたリブート的なストーリーになっている。いわば普通の人間が透明になってどんな悪さをしでかすかが透明人間映画のキモなんですが、この映画ではなんと透明ストーカーになっちゃうんですね。ソシオパスの天才科学者が透明スーツを開発して逃げ出した恋人に付きまとうわけですが、そんな世紀の大発明、もっと違う使い道があるだろう(笑)。それでも恋人の就職面接を邪魔したり妹に成りすましメールを送って仲たがいさせたり、いかにもストーカー気質野郎がやりそうなことで、あまりに陰湿でゾッとさせられます。ひとつ前のヴァーホーヴェン版の『インビジブル』がCG多用のやり過ぎぐらいのグロさだったけど、低予算を逆手にとったような誰もいない空間を見せるパン撮影が多用されていて、ヒロインの心理的な動揺も同時に表現出来て上手いなと思いました。監督があの『ソウ』シリーズの産みの親であるリー・ワネルですから、極力CGに頼らず緻密な計算に基づきながらも手造り感もある映像には工夫が見られます。ラストに向けての文字通りのサプライズは天才科学者の兄弟関係だったと言えますが、あの展開にはやっぱ腑に落ちないところがありますよね。でもいちばん私が震えたのは物語が進行するにつれてどんどん険しくなってくるヒロインの表情で、ラストのカットなんてもう鬼の微笑みでした。 ヒロインが宿した科学者の子種、この後いったい彼女はどうするんだろうか、とふと考えると怖いものがあります…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-03 22:32:44)
611.  三十九夜 《ネタバレ》 
私にはどうしても解せないのは、この映画なんで『三十九夜』というシェイクスピア劇の様な邦題になったのか?ということで、ジョン・バカンの原作小説や後に製作された二本のリメイクも『三十九階段』と(正しく)翻訳されているのに、なんかこうなったエピソードがあるんでしょうかね? ストーリー自体はかなり脚色されているそうですが、これが戦前の映画とは思えないスピーディな展開でなかなか面白い。主人公のハネイ氏については「カナダから来た」という以外は一切情報が提示されずに終わるけど、スパイ事件に巻き込まれてからは出会う人物が男女を問わず怪しげで非協力的なところがサスペンスを高めています。パメラとハネイが手錠に繋がれてからの展開はヒッチコック版スクリューボール・コメディという感じで、ヒッチコックにしてはかなり洗練されていました。“ミスター・メモリー”を使って機密情報を国外に持ち出すという原作にはないアイデアも、なんか突拍子もない気がしないでもないですか、スピーディな演出なのでなんか納得させられてしまいました。小指の先のないボス(ヘタ打ってエンコ詰めされたヤクザか!)と三十九階段なるスパイ組織の細かいところもスルーなので、悪役に対する恐怖が伝わってこないところは難点だったかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-10-27 22:33:16)
612.  MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 《ネタバレ》 
タイムループものは好物なんだけど、このカテゴリーの邦画は初めて鑑賞。劇中でも言及があるように『ハッピー・デス・デイ』や『オール・ニード・ユー・キル』そして『恋はデジャヴ』なんかが有名作だけど、これらが恋や死をテーマにしているのに対して本作では仕事がテーマになっているのがいかにも日本らしいところです。謂わば“社畜たちの最悪の一週間”がテーマでループしてゆくわけだけど、ラストで“個人の夢をかなえる”と“仕事はチームワーク”というオチで閉めるところは、いかにも日本人らしいが自分としては少し薄っぺらい様な気がしないでもない。私が今まで観てきたタイムループものはループの幅が一日程度が多かったが、一週間というループ幅は最長かもしれない。そりゃあ人間誰しも仕事や生活で失敗した時、「嗚呼、もし時間を戻れたら…」と臍をかんだことが一度はあるでしょう、でも一週間を何度も繰り返すならそりゃどんな仕事や作業でも完璧にこなせるのは間違いない。もしループしていることに気が付いたなら、その間に社会で起こる出来事を参考にしてとんでもない金儲けや、それこそ犯罪だって平気で犯せる、まあ一週間たてばもとに戻るんだから意味ないか(笑)。最初は徹夜続きの社畜たちを尻目にさっさと帰宅しちゃう部長・マキタスポーツはとんでもない奴だと思わせておいて、実はストーリーに感動要素を与えてくれるキーマンだったというのは、ちょっとあざといかなと思うけどまあアリかなと思います。 なんか腑に落ちないところはあるけど、誰もが憂鬱になる月曜日と毎日同じことの繰り返しのようなサラリーマン生活をタイムループのストーリーに落とし込んだ発想は、けっこう上手くいっていると感じます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-10-21 22:49:59)
613.  レベッカ(1940) 《ネタバレ》 
ヒッチコックのフィルモグラフィ中で唯一オスカー作品賞を受賞した映画ですね。もっともオスカー像はプロデューサーのセルズニックに与えられ、自身がノミネートされた監督賞は受賞ならず、これが生涯貰えなかったオスカー監督賞とのお付き合いの始まりとなったわけです。 割と当時としてはモダンなプロットが多かったヒッチコックのフィルモグラフィ中で、唯一のゴシック調ドラマなわけです。ホラー的な要素としてはあくまで心理的な描写がメインですけど、なんか背筋がゾクゾクさせられるようなサスペンスはさすがヒッチコックと言えましょう。彼のお得意の女優虐待演出のおかげでジョーン・フォンテイーンのおどおどぶりが真に迫ってましたが、まだ駆け出しの頃の彼女ですからローレンス・オリヴィエとの共演もかなりのプレッシャーだったと想像できます。でもやはりジュディス・アンダーソンが演じる女中頭に、この映画の美味しいところをすべて持って行かれたという感は否めないですね。この人劇中で一度も笑顔を見せないどころかまったく表情が変わらない。そして登場シーンでは毎回いつの間にかジョーン・フォンテイーンのそばに立っている、この女こそまるで幽霊みたいな感じです。そして亡妻レベッカを映像としてまったく見せない演出も効果的だったんじゃないでしょうか。 最近Netflixでリメイクされたようですが、どうもグダグダで評判が悪いみたいです。やはりあの解決にいたるラストの展開は、ヒッチコックのような名手でないと嘘くさくなってしまうんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-09-23 23:41:10)
614.  ハウス・オブ・グッチ 《ネタバレ》 
誰もが知るブランドであるグッチ創業家の、“事実は小説よりも奇なり”を地で行くようなゴタゴタ劇の映画化。グッチが世界的な企業であるにも関わらず同族経営でかつ株式非公開だったというのが一つのポイントだと思いますが、洋の東西を問わずファミリー・ビジネスには功だけでなく負の部分がつきまとうってことですね。現時点で我が国でも中古車販売と芸能ビジネスの同族企業が世間を騒がせていて、そう言う視点で観るとこの映画のテーマには感慨深いものがあります。 リドリー・スコットは20年前に映画化権を入手していたけどお約束のゴタゴタがあってようやく製作出来たそうですが、紆余曲折があった映画には苦労の割には報われないというジンクスからは逃れられなかった感がありますね。いや、錚々たる顔ぶれの俳優陣はみな熱演を見せてくれてますけど、オスカーにはなんと一つもノミネートされず、彼とは見抜けないぐらいの鬼メイクで怪演していたジャレッド・レトに至ってはラジー賞が授けられたぐらいですからねえ。特に稀代の悪女パトリツィアを演じたレディー・ガガはもう熱演を通り越して怪演に近いレベルです、その迫力には圧倒されました。アル・パチーノとジェレミー・アイアンズのグッチ兄弟としての顔合わせは貴重でしたが、どうも自分にはパチーノの演技の劣化が気になりました。あれじゃマイケル・コルレオーネがデブって歳取った風にしか見えないんですよ、この人こないだも歳にもよらず若い女に子供を授けたぐらいなんですからまだ(アッチの方は)元気、スクリーンでももう一花咲かせてください。笑っちゃったのは怪しい占い師役のサルマ・ハエック、この人グッチの親会社のCEOの妻なんだって、そりゃ出演できますよ(笑)。 夫殺しのパトリツィアはすでに刑期を終えて出所しているそうですが、製作中にパトリツィアは執拗にガガとの面談を希望したけど拒否られたそうです。現在もバリバリ活躍しているトム・フォードも含めて、こういう現存の人物を気にすることなく映画化しちゃうところが、腰抜けの邦画界ではマネができない海外映画界の強みなんだろうな。グッチ家自体はこの映画を非難しているらしいが、現在創業家とは縁が切れているグッチは映画撮影には非常に協力的だったとのこと。こういうところは『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』とは真逆ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-09-20 21:40:08)
615.  ガンパウダー・ミルクシェイク 《ネタバレ》 
この映画は“『ジョン・ウィック』のような世界線をタランティーノ風味で撮ってみました”という感じでしょうか、あと音楽の使い方やアップショットの多さなんかも、マカロニ・ウエスタンの影響もありますよね。まあタランティーノ自体が、マカロニ風味が強い作風になっているわけですけど。“ザ・ファームと呼ばれるマーダーinc”“銃持ち込み禁止のダイナー”“図書館が闇の武器店”などなど、もうまるっきり『ジョン・ウィック』のガールズ・バージョンという感じですけど、こういうの自分は好きです。最近はこういう若い女性が大暴れする系のアクション映画が増えてる印象だけど、カレン・ギラン姐ちゃんのキレキレの身のこなしには惚れ惚れしてしまいます、彼女きっと身体能力が高いんだろうな。とくに“三バカ”殺し屋との対決はアイデア満載のアクションで面白い。この映画ではレナ・へディら四人の熟女たちの暴れっぷりも見どころですが、それにしてもミシェル・ヨーはずいぶんと老けた感じですね。まあストーリー自体は単純でリアリティのない不思議な世界の出来事って感じですけど、明らかに掘り出し物だったかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-30 22:06:17)
616.  ア・フュー・グッドメン 《ネタバレ》 
それにつけても、80年代~90年代のトム・クルーズの目覚ましいキャリアアップには目を見張るものがあります。ポール・ニューマンやダスティン・ホフマンなど大物俳優と共演してはたまたキューブリックの遺作にまで主演、そしてついにと言うかジャック・ニコルソンと堂々と張り合うことに。この頃のトム・クルーズは初期のチンピラ感のあるキャラから独特のオーラを持って演じられる演技力を高めていた時期でもあり、本作でもその力量を示し始めていたんじゃないでしょうか。 お話し自体はハリウッド映画お得意の法廷ドラマという感じでしたが、我々日本人には縁遠い軍事法廷の様子が観れて興味深かったです。ちょっと衝撃だったのは、弁護側と検事が被告人のいない場で、まるでポーカーの駆け引きみたいに取引して判決の落としどころを決めようとするところで、これは民間の裁判でも同じような米国の刑事訴訟の実態なんでしょうね。ボンボン育ちでいい加減な法務士官トム・クルーズがだんだんと真剣になってゆくのは定石通りといったところですけど、さすがにジャック・ニコルソンを証人として出廷させての最終弁論は迫力がありました。被告の二人の兵士が無罪を勝ち取っても海兵隊を不名誉除隊させられるのは、やはり俗に言う“軍の威信”というやつなんでしょう。そこで改めて観る者に「これは軍事法廷だった」と再認識させるわけです。 まあそれなりにカタルシスは与えてくれるストーリーでが、もちろんフィクションなのは承知ですけど、同じ軍事法廷でも『オフィサー・アンド・スパイ』の史実通りのドレフュス裁判とはえらい違いでした。米国では裁判でも、善悪・勝ち負けをはっきり見せるストーリーじゃないとウケないんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-24 23:42:19)
617.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 《ネタバレ》 
最近のハリウッドで#MeToo運動やらカトリック聖職者問題やらでの内部告発ものを題材としたお話しが流行っているけど、巨匠スピルバーグとドリームワークスが選んだのは50年も前のペンタゴン・ペーパー事件。7000ページもの紙文書を一人で手焼きコピーしたなんて、デジタル化が進みSNS全盛の現代では想像を超えるものがあります。この米国史を変えた大事件をメリル・ストリープとトム・ハンクスを使ってスピルバーグが映像化してるんだから、そりゃ見応えがあるってもんです。その特ダネを巡ってワシントン・ポストとNYタイムズのライバル紙同士がが凌ぎを削る展開をテンポよく見せてくれるのは、スピルバーグの力量にすれば余裕です。メリル・ストリープはスピルバーグ作品には初出演ですけど、夫の死後ワシントン・ポスト社主を継いだキャサリン・グラハムを余裕の好演で、今やお約束のオスカーおよびゴールデン・グローブの主演女優賞ノミネート。ふてぶてしささえ感じさせるポスト紙の編集長はトム・ハンクスですけど、さすがのハンクスも今回はメリルに喰われてしまった感がありました。この映画でのスピルバーグの視点は『リンカーン』に通じるところがあり、米国の民主主義の原点を真正面から見据えていこうとしています。ジャーナリズムが政治を正した世界史でも稀有な事例ですから、こういう風に感動作になるのは必然でしょう。まあこれがオリヴァー・ストーンなら『スノーデン』を撮っているぐらいだから、もっと捻った後味の悪い映画となったでしょうね。 それにしてもこういうテーマの作品を観るたびに実感させられるのは、“報道しない自由”を乱用する我が国のマスコミのだらしなさですね。そりゃ米国だってジャーナリズムはビジネスですけど、なんかその根幹があまりに違うんじゃないでしょうか。まあ記者クラブなんて組織がある時点で、もう問題外ですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-15 22:59:34)
618.  ポゼッサー 《ネタバレ》 
監督しているのは、デヴィッド・クローネンバーグの息子ブランドン。最近は老いて枯れてきた風のある親父とは違って往年の親父を凌駕するようなグロい作風で、変態の性癖というのは遺伝するとは知らなんだ(笑)。この映画で見せられる殺人シーンのどれもエグいこと言ったらもう、とくにショーン・ビーンのやられ方なんて鉄杭みたいな棒を口に突っ込まれて…(以下自粛)、でもあれで死ななかったというのが信じ難い、人間という生物は思ったよりも頑丈なんですね。“マーダーinc”みたいな殺人請負企業で活躍するヒット・ウーマンがアンドレア・ライズブロー、第三者の脳に寄生するような形で操ってターゲットを仕留めたのちに操られた者を自殺させてオフィスの自分の肉体に戻ってきて任務完了、このシステム自体は『マトリックス』なんかで散々見せられてきた感じで斬新さはない。でもこんな反社企業が活動しているのが独特な世界線なんですね。時代は現代でターゲットが経営しているのはソフト制作企業みたいなんだけど、なんかレトロな雰囲気なんだよな。劇中でスマホもガラケーも誰も使っていない(ワンカットだけ携帯が鳴ったけど)、ヒロインが会社に連絡するのも自宅にある固定電話なんです。現代が舞台の映画でスマホやSNSが登場しないとここまで違和感があるとは、驚かされました。シメントリーを意識した映像や凝ったセットなどは印象に残ります。そして、ヒロインと操られた男の意識が混濁してゆくところのグロさは、これぞクローネンバーグ・ワールド!ヒロインが殺しにやたらと刃物を使って血まみれになるのが、これまたエグいんです。 ラストの展開は、私には正直?でしたが、けっこう印象に残る作品でした。ブランドン君、この調子を貫いて親父を越えていってくれ!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-09 22:16:26)
619.  ラブ ゴーゴー 《ネタバレ》 
パン屋くんと同居している男女、三人とも吉本の芸人をスカウトしてきたような風貌なのが面白い。この若者たちの恋愛模様と言っても、髭男爵の相方・ひぐち君みたいな風貌の郷里に帰る素人音楽プロデューサーは恋バナには絡まず、けっこうイケメンだけど気弱なスタンガンのセールスマン君を含めての三人というわけなんですね。塚地武雅を可愛くしたようなパン屋君と小学校の卒業式の前夜に消えた“透明人間”彼女との再会と彼女に認知してもらおうとする奮闘ぶりがストーリーの軸に当たるんだろうと思いますが、面と向かって話してもパン屋君のことを全然思い出さないところが哀しい、彼は十数年ぶりの遭遇でも一瞬にして認知したのにね(笑)。そんな美容師として店を持つ彼女の方は、中二病を引きずっているような吉本三人組とは違って、不倫して奥さんに店に突貫されるような大人の恋愛中なんだから、パン屋君に気が向くはずもないんでけどね。でもこの映画の最注目キャラは、ポケベルを拾ってから見知らぬ持ち主に会うためにダイエットに奮闘するメタボねえちゃん・リリーとなることは間違いない。どう見ても女芸人としか思えない彼女も、コミカルにダイエットしてゆくうちにだんだん可愛くていとおしくなってくるのが不思議。でもそのポケベル男が、あの前半で売り物のパンにグチャグチャに噛んだガムをねじ込むようなサイコ野郎だったとは、そりゃリリーちゃんが可哀そうってもんだよ。失恋してバーガー屋でヤケ食いしてる横の席で、マナーモードの携帯がブルブルしているラスト、やはりこの映画が撮られた97年当時は携帯の黎明期だったのかな、台湾でも。 三人の導線が交差しているとも見えなくもないラストの展開には、なんか独特の余韻がありました。台湾の映画界って、中韓とは違って日本人に馴染みやすい感性の映画作家が多い様な気がします。この監督チェン・ユーシュンは、寡作ですけどやはり台湾ニューウェーブの旗手として注目してゆきたいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-31 22:56:34)
620.  センチュリアン 《ネタバレ》 
ニューシネマ全盛時代に撮られたいかにもニューシネマらしさに満ちた警察ストーリーです。こういう警察の日常を淡々と描くドラマは、タイトルは忘れたがTVシリーズになって日本でも放映されていましたが、70年代中期のアメリカではこういう風味が好まれていたみたいで、同時期の日本では『太陽にほえろ』や『西部警察』のような単純かつド派手な警察ドラマが流行っていたのとは対照的ですね。 “何も起こらない”というわけではなく、ジョージ・C・スコットの自殺やラストでのステイシー・キーチの殉職など、いかにもニューシネマ的な悲劇はきっちりと盛り込まれています。毎回癖のあるキャラを演じてきたスコットですけど、私が観てきた中ではもっとも人間味があふれる善良なキャラでした。彼が独自の行動指針としている“キルビンスキー法”からすると理想主義者の様でもありますが、実際に警官として社会に接するにあたっては柔軟かつ人情味を持っていて、こんな善人を説得力を持って演じれるのも名優の力量でしょう。妻子に逃げられて酒に溺れてぐれてゆくステイシー・キーチの姿には心が痛みますけど、「他人は守れても家庭が守れない」なんて彼を責める女房には1ミリも感情移入できなかったです。監督はリチャード・フライシャーで、この人のフィルモグラフィを見ると『トラ・トラ・トラ』『ミクロの決死圏』などの大作から『マンディンゴ』のような問題作まで幅広く撮っていたから、このような小品は余裕でこなしてしまえる職人芸の持ち主だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-04 23:05:23)
030.13%
1110.46%
2351.47%
31265.29%
42038.52%
535614.94%
644218.55%
761325.72%
842717.92%
91375.75%
10301.26%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS