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コメント数 1395
性別 男性
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61.  ミイラ再生 《ネタバレ》 
”ホラーのユニバーサル”という一般的評価を決定付けるのに恐らく最大の貢献を果たしたであろう、ホラー映画史上屈指の傑作!!ドラキュラやフランケンシュタイン(の怪物)といった原作付きのモンスターと違い、本作に登場する”ミイラ男”は完全オリジナル。先ず評価したいのは、この志の高いオリジナリティである。実際、つい最近のリメイク版をはじめ幾多の作品に強い影響を及ぼしている「包帯グルグル巻きに鋭い眼光」というビジュアルは先陣たる本作で既に完成形として提示されている。悪いが後続の作品群は全て本作の亜流としか思えない。次いで評価すべきはカール・フロイントの処女作とは思えぬ見事な監督ぶり。恐らくは独ウーファ時代にカメラマンとして、ラングやムルナウといったサイレントの巨匠との仕事から貪欲に吸収したのであろう、モノクローム映像を知り尽くした画作りは圧巻の一語。中でも白眉は深い皺の刻まれたイムホテップ(カーロフ)の顔のドUP。怖さの中に時空を超えても尚その思いを遂げんとする執念、長過ぎた孤独の歳月を(説明的な台詞でなく)あくまで映像で語る流石の手腕だ。最後にカーロフについて。ホエールの「フランケンシュタイン」ではJ・ピアースの特殊メイクばかりが際立ち、彼の真価が発揮されたとは言い難かったが、ここでは堂々のTOPビリングで怪奇俳優としての地位を確立する怪演だった。恐らく若い方(の大多数)はCG大洪水のド派手なリメイク版を支持なさるだろうが、天邪鬼な私はロマン溢れる本作を断然支持する。まぁオリジナルとリメイクの作品間の優劣というよりも、単に個人的な好みの問題なので悪しからず。
9点(2004-09-24 00:38:02)(良:2票)
62.  ニーベルンゲン 第II部 クリームヒルトの復讐 《ネタバレ》 
ガーーーーーーン!!!数年前に録画していた貴重なビデオテープがカビてしまったぁぁぁぁ!!!!…って第一部と同じ前振りで失礼w。本作は元は一つの作品を日本初公開時に二部構成で別々に公開した為に別作品で登録したものです。しかし、配給元が二部構成にセパレートしたのも無理はないという程に本作と第一部では内容が大きく趣を異にしています。パウル・リヒター演ずる華麗な主役ジークフリートが退場したことでファンタジー要素が完全に払拭され、異様にリアルな歴史ドラマの様相を呈してきた訳です。実際、アッティラ大王率いるフン族が登場しますし。ここでヒロインのクリームヒルトが夫の復讐に執念を燃やす姿は正に”鬼気迫る”の一語。第一部での可憐さとのコントラストも一層鮮烈にアピールする仕掛けです。流石はラング、無敵モードまっしぐらですな。ラストで見事に復讐を成就し、死に行く彼女の姿には荘厳さが漂う気がしました。ただ、余りに重苦しく救いの無い展開に何ともやりきれずマイナス1点。ただ、見応えは十二分にありますよ。
9点(2004-09-08 02:09:02)(良:2票)
63.  アスファルト・ジャングル 《ネタバレ》 
ジョン・ヒューストンによる犯罪映画の佳作。周到に練られたハズの強盗計画が様々な思惑が絡み合った末に呆気なく水泡に帰す、というヒューストン十八番のストーリーがモノクロ画面の中、実に快調なテンポでスリリングに展開する。冒頭の面通し場面などは間違いなく「ユージュアル・サスペクツ」辺りに影響を与えていると思う。この手の作品は(仏のフィルム・ノワールも含め)枚挙に暇がないくらいに量産されて今日に至るが、詰まるトコロ名画のステイタスを獲得できた僅かな作品群に共通するのは描写の緻密さとキャラクターの活写である。本作を例に採れば、並みのカントクなら多彩な登場人物全員を捌くのは到底無理で精々ディックスとドク辺り止まりだっただろう。しかし流石はヒューストンだけあって弁護士エメリックや運転手ガス、金庫破りルイに競馬ノミ屋コビー、ハーディ署長に汚職警部補ディトリックに至るまで徹底的に人物像を掘り下げて物語に深みと厚みを加えることに成功している。ただ…漢(おとこ)を描くことには天下一品のヒューストンだが、女性を描くのは余り得意ではないようでドールとアンジェラは(役者のせいもあろうが)凡演。さしものモンローもこの時点では単なる添え物だ。ココが弱点と云えば弱点だが、元来が女性メインのストーリーではないので或る意味仕方が無いかも。場面的には宝石店襲撃シーンも勿論イイが、矢張りディックスがドクと交錯しつつボブを射殺する場面の鮮やかなショットが見事。原作はW・R・バーネットの同名小説だが、人物造形から何から映画の方が圧倒的に優秀。よって9点。
9点(2004-04-16 03:37:16)(良:1票)
64.  悪魔が夜来る 《ネタバレ》 
STING大好き様に粗方語り尽くされた感もあるが、私なりに本作をコメントしてみたいと思う。カルネ作品は初レビューなのでチョット緊張するけど(笑)。私はどんな作品でも役者の演技に引かれる性質(たち)なので中心はどうしてもソコに来る。本作キャストでの個人的なMVPは矢張り、悪魔を演じたジュール・ベリとなる。実際、ナチズムの理不尽さを体現し、ジルとアンナの純粋な「愛」に拮抗させる狡猾極まりないインパクトを生み出したのは彼の凄みを利かせた名演あってのコト。次いでドミニクに扮したアルレッティが秀逸。彼女のデッドパン(無表情)ぶりがユーグ男爵とルノーを両天秤に掛け、殺し合わせるに至る妖艶な魅力に絶大な説得力を放っていたと思う。ジルはアンナとの愛に目覚めるが、彼女は最後まで男を破滅させる悪女の道を貫いてピカレスク・ロマンの醍醐味というモノを我々に教えてくれる。本作でのドミニクというステップを踏んだからこそ「天井桟敷の人々」でのガランスに結実したのでは、とも思ったりする。レジスタンス魂を代表する主役カップルも勿論素晴らしい。特にジル役のアラン・キュニーのイケメンっぷりは「甘い生活」や「エマニエル夫人」での彼からは想像もつくまい。アンナを演じたマリー・デアも初々しいだけでなく、ジュール・ベリの怪演に一歩も退かぬ芯の強さを垣間見せ天晴れ。これら一連の演技を(新劇調のオーバーアクトを百も承知で)巧みに引き出したのが、見事にバランスの取れたカルネ演出とプレヴェールの格調高き台詞にあるとすれば、ましてやレジスタンス魂の最高傑作とも云うべき「天井桟敷の人々」への重要なワンクッションとするならば、本作は決して軽視さるべきではない!と確信する。
9点(2004-02-24 00:13:25)(良:1票)
65.  愚か者の船 《ネタバレ》 
今回の衛星第二のオンエアで、学生時代に名画座リバイバルで鑑賞して以来の再見となった本作だが矢張り見応えのある秀作だった。本作最大の魅力がオスカー(撮影賞)をゲットしたアーネスト・ラズロの超絶カメラワークにあることはSTING大好き様の仰られる通りなので敢えて繰り返すまい。ただ蛇足を承知で付け加えるならば、群像劇の各エピソードが多彩なキャラクターの人物造形に深みを与えることに成功している点であろう。無論キャサリン・アン・ポーターの原作あっての成功であるが、並みの監督ではビビアン・リーやシモーヌ・シニョレ、オスカー・ウェルナーら主演級の数人を描き出すのに汲々としていたハズ。クレイマーの非情なまでに醒めた演出はハインツ・リューマン演じるユダヤ人ローウェンタールやマイケル・ダン扮する狂言回しの矮人グロッケンをも活き活きと描き出す。三等客室のキューバ人暴動シーンの迫力は出色である。しかもどの人物も簡単にこちらの予想を許さない複雑な性格設定であり、月並みな群像劇とは明らかに一線を画している。つまりクレイマーは「こいつらは脇役だから」と俳優ネームバリューで手抜きをしたり差別化したりはしていないというコトだ。ぐるぐる氏ご指摘の”犬を助ける為に死ぬ彫刻家”が最も印象に残る、というコメントはその格好の証明となっていると思う。事ほど左様に所謂「グランドホテル」形式というヤツは下手にやると目も当てられぬ出来となるので要注意なのだ。個人的には矢張りビビアン・リー最後の映画出演が痛ましくも深く印象に残る。殊に酔って階段を降りつつシャンパングラスを置き、突如踊り出す場面の滑稽さは鬼気迫るものがあった。惜しむらくは明らかなスタジオワークが「海上」という隔絶された舞台装置をフルに生かしきれていない恨みが残る。当時ならばロケーションを敢行するのは不可能ではなかったハズなので遺憾ながら1点マイナス。
9点(2004-02-16 00:19:49)(良:3票)
66.  革命児サパタ 《ネタバレ》 
メキシコ独立の立役者エミリアーノ・サパタの生涯を描いたエリア・カザンの力作。脚本を手掛けたのは作家ジョン・スタインベックという異色さだ。ドキュメントではないので史実に相当な脚色が入っているのはスタインベックの作家魂といったトコロか。カザンという監督は”赤狩り”に際して「裏切り者」の烙印を押されて以来、毀誉褒貶の激しい人物ではある。が、こと演出には筋金が入っており圧倒的な自信を持って役者を制御していることが本作を見ると実によく分かる。あの強烈なオーヴァーアクト男優マーロン・ブランドをここまでねじふせ、持ち味を遺憾なく引き出す監督は他にいまい。「ゴッドファーザー」のコッポラなんぞカザンの足元にも及ばない。場面的にはサパタ逮捕を知るや、農民たちが石と石を打ち合わせつつ集結するシーン、雨中をついてマデロが暗殺されるシーン、ラストのサパタ射殺シーンは鳥肌モノの緊迫感で圧倒される。鉈彫りの如き荒削りな演出タッチが絶妙にマッチして一層味わいを深くしていると思う。お見事!
9点(2004-01-25 22:04:38)
67.  ピクニック(1955)
流石はピューリッツァー賞を受賞したウィリアム・インジの原作戯曲を忠実に映画化しただけあって素晴らしい出来。ジョシュア・ローガンのベストワークと言って差し支えあるまい。主役のホールデンとキム・ノヴァクも勿論良いが、スーザン・ストラスバーグやロザリンド・ラッセル、アーサー・オコンネル、ベティ・フィールド、クリフ・ロバートソンら脇役に至るまで見事に人物造形が的確なのが凡百の作品と一線を画す最大のポイント。殊にダンスパーティの場面はシネマスコープの横長画面をフルに活かして圧巻。これぞ正に映画ならでは。舞台では絶対に出せない味でウットリさせられた。同じインジ原作でも「バス停留所」よりも格段の完成度に9点。行かず後家役のロザリンド・ラッセル、イイ味出しまくってて好っきやわぁ~!!
9点(2004-01-14 03:31:22)(良:1票)
68.  眼には眼を 《ネタバレ》 
イラク戦争が泥沼化する今日を予測したかのような白人医師とイスラム教徒との相容れぬ相克を描いた異色作。本作でのカイヤットは「ラインの仮橋」とは対極的な作風で異文化間の相互理解の困難さを、舞台となる中東の砂漠さながらの乾いた視点の下で描き続ける。全編ほぼクルト・ユルゲンス扮する白人医師ワルテルとフォルコ・ルリ扮するシリア人ボルタクの圧倒的な二人芝居から成り立っており、荒涼とした砂漠のロケーションが秀逸な舞台効果をあげている。殊にラストシーン、ボルタクに欺かれたワルテルがヨロヨロと歩む彼方に無情に広がる砂漠の俯瞰撮影はクリスチャン・マトラのカメラワークも相俟って鳥肌モノの絶望感に包まれる。まぁ確かに後味は最悪だが人間性の真実を直視するカイヤットの力感溢れる演出に嘘が無いので、色々と示唆に富むことは否定できない。
9点(2004-01-13 13:24:23)(良:1票)
69.  吸血鬼(1931) 《ネタバレ》 
当時のドライヤーはムルナウの傑作「吸血鬼ノスフェラトゥ」を絶対に意識していたに違いない。彼とは異なる手法でヴァンパイア映画の傑作を撮るには一体どうすれば??と。そういう意味でオーソドックスなホラーの展開を悉く外し、ジュリアン・ウェスト扮する主人公アラン・グレイを徹底的に木偶の坊の狂言廻しにしている点は如何にもシニカルなドライヤーらしい。中でもズバ抜けて凄いのは”影”の演出。と言ってもムルナウのような撮影技法のことではない。影(SHADOW)そのものが本体たる人間とは独立して闊歩するのである。コレを今を去ること73年前の作品で見せられる驚き!トリックが見え見えでチャチい?いやいや、発想のオリジナリティにはもっと畏敬の念を込めて接するのが映画ファンとして最低限のエチケットというものだろう。老婆の吸血鬼といい、粉挽き小屋でのラストといい、意表を突いた展開に大いに瞠目させられた一篇。モロにビジュアルで見せ過ぎず観客のイマジネーションに訴える奥の深い作りは流石の一語だ。「裁かるゝジャンヌ」同様、ルドルフ・マテのカメラワークも絶品。
9点(2004-01-08 02:41:52)
70.  小早川家の秋
小津作品は(当然だが)若い頃はあんまり好きじゃなかった。淡々としてうねるようなドラマティックな展開もカタルシスも皆無。コレで一体何を楽しめと?てな感じw。中年になって改めて観ると実に味わい深い逸品であることに気付かされる。本作の場合、松竹蒲田の撮影所を出て珍しく東宝で製作されたことで数ある小津作品の中でも極めて特異な位置を占める。特に森繁がイイ。50~60年代の彼は全くもって上手過ぎる。特に加東大介との飲み屋での遣り取りはケッサク!あ、鴈治郎(二代目)の上手さは勿論云うまでも無いけどね。浪花千栄子の愛人も杉村春子の娘も各々溜め息が出る上手さ。こんな名脇役にも二度と出会えまい。ところで本作を通して小津が描きたかったモノ、実のところは彼のみぞ知る…なんだろうけど、個人的には戦後米軍占領下で根こそぎ否定された戦前の家父長(戸主)制へのオマージュではないかと思う。戦後民主主義によって次々と失われつつある戦前の日本の風習、コレを完全に消滅する前にフィルムに込めて残したい。そういう屈折したエコロジカルな視点が散見される。その意味で小津は(右翼などとは違った)真性の保守派であると言えよう。※因みに本作の読みは「こはやがわけのあき」であって「こばやかわ」ではないので、お間違えなきように…。
9点(2004-01-07 14:42:08)(良:2票)
71.  血槍富士
内田吐夢の戦後復帰第1作。何ともペーソス溢れる道中モノだが、ロケーションが抜群の効果を上げ、東海道界隈の日本的な美しさを余す所無く映像に収めて実に見事!加東大介扮する供の源太がトボけてイイ味を出している。月形龍之介扮する藤三郎のエピソードもやるせなくてイイ。しかし、何と言ってもクライマックスでの千恵蔵扮する槍持ちの権八が見せる槍をメインにしたド迫力の殺陣!に尽きるだろう。酒樽を実に上手く活かして屈指の名場面となっている。流石は内田吐夢、満映以来のブランクをものともしない天晴れな再起。ただ、些か重苦しいので個人的に1点マイナス。
9点(2003-12-30 05:16:39)(良:1票)
72.  モスラ(1961)
イヤ全くファンタジーの具現化とはこういうものだ~!という好例として永遠に記憶されるべき傑作ですね。「卵→幼虫→繭→成虫」の4大変態をビジュアルで納得させる力強さは、平成リメイク版も遠く及びません。特に東京タワーに繭を作り、羽化するシーンは絶品かつ圧巻!モスラの羽化を助長することになるロリシカの原子熱線砲のデザインが又素晴らしい。ザ・ピーナッツ扮する小美人が歌う「モスラの歌」も実に見事!容姿よりも歌唱力で勝負していた当時の歌手らの中でもズバ抜けて上手かったピーナッツ姉妹をこの役に抜擢した製作側の慧眼には恐れ入るばかりです。加えてカラーであることが当たり前の現代では到底考え及ばぬ色彩への拘り。先述の羽化シーンの息を呑む美しさも、この拘りが有ればこそだと思います。キャストも上原謙・フランキー堺・志村喬・香川京子ら一流を揃え、抜かりナシ。とどめにインファント島住民を嬉々として演じた東宝大部屋俳優たちの群舞!に圧倒されつつ…9点進呈。福永武彦先生が本作にどれほど貢献したのか甚だ疑問なのでマイナス1点。円谷英二特技監督ごめんなさい…。  
9点(2003-12-29 18:16:05)(良:2票)
73.  女相続人 《ネタバレ》 
「壁の花」という言葉がある。舞踏会で誰にも相手にされぬ魅力に乏しい娘を揶揄したものだが、本作のヒロインであるキャサリン(オリビア・デ・ハヴィランド)は正にそんな女性だ。「人間は外見ではなく人柄だ」と安直なヒューマニズムを謳うような凡作をワイラーが撮るハズもないので弥が上にも期待は高まる。何しろ原作はヘンリー・ジェイムズだ。登場人物の心理描写にかけては一級品のジェイムズ原作を如何に料理するかがワイラーの腕の見せ所。観終わった結果は…確かに凡作ではなかった。が、ジェイムズ原作を凌駕するには至っていない。デ・ハヴィランドは本作で見事オスカー(主演女優賞)をゲットする名演技ではあった。が、原作のキャサリンが有する絶望感に迄は及んでいなかった。ココが実に惜しい。マイナス1点。とは言え、充分に見応えがあるのは疑いようもない事実。殊にラルフ・リチャードソン扮するスローパーが娘キャサリンに示す歪んだ愛憎表現は絶品である。自分を裏切ったモンティ扮するモーリスがドアを叩き続けるのに耳も貸さず、閂を掛けてゆっくりと階段を昇ってゆくキャサリンの鬼気迫るラストも実に素晴らしい。階段を使わせたらワイラーの右に出るものは無いと本作でも実感。
9点(2003-12-15 13:06:42)(良:2票)
74.  ベン・ハー(1925)
ネットで検索してたら、何とワイラーは本作で助監督だった事実が発覚!そりゃ本作の魅力を知り尽くしてる訳だ…。後はそれをスケール・アップするだけなんだから59年版が勝って当然ってもんだろう。と・こ・ろ・が・如何に名匠ワイラーと言えど、勝ててないんだなぁコレがw。ハッキリ言ってスケール・アップしたのは予算と上映時間だけ。まずもって映像の有するセンス・オブ・ワンダー!ここでニブロのセンスがズバ抜けている。ガレー船の戦い、チャリオット・レースのド迫力は今を去ること77年前の映像とは思えない斬新さだ。流石のワイラーも並びはしても超えてはいない。実に33年の後というアドバンテージを何ら活かしきれていないからだ。カラーになり音声が付加されはしたが、新たなオリジナリティは皆無だ。見せ場は全てベタベタにニブロの演出をなぞっている。加えて59年版でも話題を集めたチャリオット・レースの迫力はひとえにスタント監督ヤキマ・カナット&第2班監督アンドリュー・マートンの手柄であって、ワイラーではないのだから尚更だろう。第一、ニブロ版(128分)の方がテンポが圧倒的に速く快調で全く飽きさせない作りに仕上がっており、ワイラー版(222分!)が却って冗長に思える程だ。「モノクロでサイレント」というだけで喰わず嫌いな方には是非ご覧頂きたい逸品である。そうそう、一部パートカラーだったっけ。強いて言えばベン・ハー役のラモン・ナヴァロが(ヘストンに比べ)チト「なよっちい」のが難かなぁ。1点マイナス。でもオススメ!
9点(2003-12-05 04:45:56)(良:1票)
75.  ダーティハリー 《ネタバレ》 
「ブリット」の超絶カーチェイスにもシビれたが、矢張りコイツには敵わない。本作で衝撃のデビューを飾ったハリー・キャラハンの硬派な”漢”っぷりには惚れ惚れしてしまう。本作で人気を決定付けたのも納得の渋さだ。プールの女性をネチっこくスコープ越しに追った後で容赦なく狙撃するサソリを描いたオープニングで一気に画面に引き摺り込むシーゲルのパワフル演出が光る。次いで銀行強盗を44マグナムで仕留めるハリーの描写が又凄まじい迫力!その際のハリーの台詞がラストの伏線になっているのも実にウマい。身代金受け渡しで電話ボックスを転々と移動させるのと並行して盗聴する場面のスリルも抜群だ。何より恋人とのラブラブなベッドシーンといった余計な水増し場面が一切無く、贅肉を削ぎ落としたかのようなストイックさが「ブリット」を凌駕する最大の理由だろう。「ブリット」はジャクリーン・ビセットが単なる彩りの域を出ず、ハッキリ言って邪魔だった。ハリーは「妻は死んだ」の一言でオシマイ。回想シーンも無し!と実に潔い。つまり、「主人公がキマっていて」・「悪役がインパクト(アンディ・ロビンソン最高!)があって」・「ラブシーンなどの冗長な部分が無くて」最後に「スカッとするカタルシス!」この条件をキッチリ満たせば刑事アクション映画の傑作が出来上がる…という訳なんだが、何故か条件を全て満たす快作はそうそう滅多にお目にかかれないのが何とも辛いトコロだ。本作以降じゃ精々「ダイ・ハード」(1作目のみ)くらいかなぁ。精悍なハリー・キャラハンに敬意を表し9点。蛇足なシリーズ化でマイナス1点!
9点(2003-11-28 02:48:49)(良:3票)
76.  銀嶺の果て 《ネタバレ》 
ギラつく野性のオーラを全身から発散させる若き三船敏郎の記念すべきデビュー作であり、監督谷口千吉にとっても処女作となった山岳サスペンス・アクションの決定版!!黒澤が(谷口と共同で)僅か20日で書き上げたというシナリオが何と言っても第1の勝因。キビキビと過不足なく誠に理想的な脚本だ。谷口の初陣を飾るに最高の贈り物だったと言えよう。第2の勝因は勿論、凄まじく極悪な強盗犯・江島役の三船に尽きる。ほとぼりを冷ますべく投宿した山小屋で主人や娘の温かい歓待を受けながら一切改悛の情など見せぬ鬼畜外道ぶりを見せつけ正に圧巻!第3の勝因は冬の北アルプスにロケーションを敢行したことによる圧倒的な舞台効果。殊に犯人の1人が発砲した弾みで起こる雪崩のド迫力、三船が自滅するクライマックスの息詰まるサスペンスはロケーションをフルに活かしきった賜物であろう。谷口は結局コレを超える傑作を二度と作れなかったが、三船は黒澤との出逢いにより一層の高みへと飛翔する契機となる。デビューした二人の皮肉なまでのコントラストが際立つ本作に…9点。登山未経験にもかかわらず志村喬が山男・河野秋武を救うラストでややリアリズムに欠け腰砕けなのでマイナス1点。
9点(2003-11-04 00:40:11)(良:2票)
77.  刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
ちょいとそこの↓2番のお方、「悪い」影響は余計です(笑)!!さて、コロンボシリーズ中屈指の名作と誉れ高い本作ですが、犯人の美術評論家役ロス・マーティンが実~にイイ!!加えて「欲望という名の電車」の(マニアックな方にとっては「猿の惑星」ジーラ役かな?)名女優キム・ハンターに、ベテラン・ドン・アメチー(「コクーン」)まで出演している豪華さ!!コロンボの芸風も本作で完成の域に達したと見て間違いないでしょう。ヤッパ初期シリーズはクオリティがズバ抜けて高いですなぁ。
9点(2003-11-03 01:20:21)(笑:2票)
78.  悪魔のような女(1955) 《ネタバレ》 
傑作「恐怖の報酬」には惜しくも及ばないものの、こちらも素晴らしい。何と言ってもラストの衝撃のどんでん返し!!一見ミステリかと思わせておいてホラーという展開は或る意味反則に近いのだが、アラン・パーカーの「エンゼル・ハート」なんかと違って、クルーゾーは直接ビジュアルで見せるような愚を犯さず、少年のさりげない台詞で絶妙に暗示するだけなので観る者の感性に遥かに訴えて実に秀抜。ジョルジュ・ヴァン・パリスの音楽が幕切れの不気味さを一層増幅させて見事!このミステリとホラーの絶妙なブレンドの味わいはディクスン・カーの傑作「火刑法廷」にも通じるものがあるナァ…。出演者では矢張りヴェラ・クルーゾーがMVP。名優シャルル・ヴァネルの使いドコロを誤った感が拭えないので悪いけど1点マイナス。リメイク版?論外!
9点(2003-10-16 15:00:23)(良:1票)
79.  眠狂四郎 無頼剣
柴田錬三郎の原作「眠狂四郎無頼控」を大映が市川雷蔵の主演で映画化し、好評の為シリーズ化された中での第8作が本作。何故8作目を?それはシリーズ全12作中でも屈指の面白さと完成度だから。MVPは何と言っても、簡潔にして明瞭なシナリオを提供した名匠・伊藤大輔。流石に時代劇に必要な娯楽的要素を知り尽くした彼ならではの名脚本だ。それが三隅研次のタイトでスタイリッシュな演出と絡み、僅か79分という一切贅肉を削ぎ落としたかのようなコンパクトかつシンプルな逸品に仕上がっている。最大の見所は天知茂扮する浪人・愛染と狂四郎が江戸の大火をバックに屋根の上で互いに繰り出す”W(ダブル)円月殺法”だろう。矢張り敵が手強いと弥が上にも盛り上がるというモノだ。第7作から担当し始めた伊福部昭の音楽も(「大魔神」ほどではないが)良し。どうせまだ誰もコメントしてないし、恐らく今後もコメントする方は(殆ど)いらっしゃらないだろうから今の内に高得点にしちゃおうw。よって9点進呈~♪ ↑あ、黒猫クロマティさん有り難う御座いますぅ~!!
9点(2003-10-16 00:23:30)(良:1票)
80.  わんぱく戦争
開巻、ジョゼ・ベルグマンのマーチ風主題曲が軽快に流れるだけでニコニコとゴキゲンになれる。ジャック・タチの「ぼくの伯父さん」にも通じる”のほほん”とした本作の魅力を見事に伝える名曲だと思う。仏語原題は「ボタン戦争」の意だが、コレだと何とも誤解を招きそうな感じが強く、ハッキリ言って邦題の方が遥かに本作に相応しい。ボタンを巡る子供の戦争ごっこを通して現代の核戦争の脅威を風刺している…という深読みは実際そうなのかもしれないけど、あれこれ理屈をつけず無邪気な子供の情景を素直に楽しむのが正解だろう。特筆すべきは矢張り素っ裸でおちんちん丸出しのアントワーヌ・ラルティーグ坊やの愛くるしさ!!に尽きる。俳優出身のイヴ・ロベールは作風のみならず寡作(僅か6本!)な点でもジャック・タチとの共通点が多い一風変わった監督だったが、個人的には本作を発表しただけでも不滅の名監督である。こんなに童心に還らせてくれる映画は稀有な点も込みにして9点進呈!!
9点(2003-10-12 21:15:38)(良:2票)
070.50%
180.57%
2221.58%
31007.17%
41228.75%
533123.73%
625918.57%
722215.91%
819413.91%
9856.09%
10453.23%

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