61. ピースメーカー
《ネタバレ》 内容的にはイスラム教徒がNYをテロで爆破するという話だが、アクションはそれなりに楽しめるものの、現実に4年後に起こった事件と比較するとスケールがやや見劣りする。しかも動機が家族が殺されたという小市民的な理由で、それで国連を核爆破しようとするのも手段と目的の整合性の点でちょっと理解できない。 尚、吹き替えで見たので主人公は「24-TWENTY FOUR-」のジャック・バウアーそのものだった。 [地上波(吹替)] 5点(2020-08-19 11:55:47) |
62. MARCO 母をたずねて三千里
《ネタバレ》 TVシリーズはちゃんと見ていない。大幅に短縮されているので話は飛んでいるのだろうが、概要は把握できるし過酷な旅であったのはわかる。赤ひげ先生である父により苦労させられたマルコが、結局父と同じ道を歩む事を決心するという、旅を通じての少年の「家庭から社会」への意識変化や成長物語として中々よくできた作品だと思う。いつかTVシリーズも見てみたい。 たまたま同日に同じ病気の母を訪ねる物語である『となりのトトロ』を見たのだが、マルコにはトトロはいないし、ネコバスも使えないし、無銭乗車を繰り返すという過酷な旅の連続であるという対比構造に気がついた次第。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-08-18 01:47:56) |
63. パーフェクト・ワールド
冒頭にイーストウッドと犯罪心理学者とでやりとりされる「データ分析や論理では人を判断する事はできない」という主旨の会話がテーマと言えるだろう。この辺は先日見た『人生の特等席』に共通するものがある。言い換えれば、人間は多種多様って事になるだろう。ステレオタイプに人を見るな、生身の人間と直に向き合えというか。この点はイーストウッドが映画で訴えたいひとつの信念なのかもしれない。役柄では脱獄囚のケビンコスナーに対して、野性の勘で対応するイーストウッド、データー分析や論理で対応する犯罪心理学者、ステレオタイプに対応するFBI捜査官という役割分担になっているが、現実社会ではデーター分析や論理を基盤にしつつも生身の人間というものに直に向き合う必要があるだろう。作品のオチもそういう教訓になっているように思える。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-10 12:40:46) |
64. マークスの山
原作未読だが、大変有名なので期待していたのだがハズレだった。これだけの権力ネットワークで知能犯でもない水沢ひとりを殺すのがそんなに難しいとも思えず、殺害に何度も失敗して次々を犯罪を繰り返す事に違和感があった。物語それ自体もそんなに面白いという事もなく、謎解き要素もあまりない。原作者の作品は読んだ事がないが、アチコチで発言しているので、どういう思想の持ち主かはだいたいわかる。たぶん主題というか訴えたい事は他にきっとあるのだろうが、それを2時間超では映像化しきれなかったのだろう。または、元々そういうつもりもなくて、映像の力を利用してエログロで押し切ろうとしたのかもしれない。という意味においては、映像化の可能性よりも限界を感じさせる作品でもある。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2020-08-07 07:50:10) |
65. 八月の狂詩曲
原作は芥川賞作品なので、一応それなりの水準の作品ではあるのだろう。原作未読でどの程度原作に忠実なのかわからないが、脚本・映像化に失敗したのか、元々映画化には不向きな作品なのか。そもそもなぜ映画化しようと思ったのだろうか。直木賞ならまだしも、芥川賞の映像化には困難がありそうだが。オールロケらしく、家の中にも虫が飛んでいるのが印象的ではあるし、「夏休み」の雰囲気は伝わってくるものの、主人公の老婆を除いて出演者の演技は総じてダメだし、終始不自然さとぎこちなさを感じた。 尚、原作者の黒澤に対する想いは色々とあるようで、興味がある人は「ラストで許そう黒澤明」で検索してみるとよいだろう。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2020-08-06 11:37:21) |
66. 依頼人(1994)
少年がちょっとバカで無茶するし、それに大人が振り回されるし、法廷モノにはなってないし、展開にも少々疑問もあるし、色々とイライラするんだが、掴みは上手いしリズム・テンポはいいのでダレル事はない。「法とは何か?」という問いも垣間見えるのだが、もうちょっと突っ込んで欲しかった気も。とはいえ、単なるサスペンス系娯楽作品として見ればそれなりに楽しめるのではないのかと。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-07-30 11:31:05) |
67. ニンゲン合格
《ネタバレ》 目が覚めたら、イキナリ10年後の世界だった。周囲には10年の時間経過があるが、少年にとっては翌日でしかない。少年は「現実」に修正を加えようとする。それは少年にとっては「現在」の継続でしかないが、周囲にとっては「過去」を取り戻そうとしているように映る。この各々におけるある種の「10年ギャップ」が淡々と描かれる。製作者の意図するメインテーマは家族の崩壊と再生なのだろうが、時間論的テーマを見落としてしまうとこの作品の面白さがわからないだろう。終盤の加害者による少年の「現実」の破壊行為は「現在」の継続と取り戻せない「過去」との交錯・対比が見事に描写された名シーンだ。が、ここはもっと派手にやってもよかったような。また、西島の演技にはやや達観が感じられ、精神年齢14歳の少年ならではの戸惑いや苦悩のようなものが少々欠如していたように思える。全体的にはもうちょっと丁寧にわかり易く描いてもいいようにも思えるが、あんまり説明過多になると、単なる家族の物語といった人情物になってしまうので、難しいところなのかもしれない。『ニンゲン合格』の題名が意味するところは「存在」(の価値)なのだろう。と考えると真のテーマは『存在と時間』という事になるのかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-07-12 13:37:28) |
68. アドレナリンドライブ
《ネタバレ》 逃走始めるまで50分もかかるし、逃走劇としてもテンポが悪いし緊張感もない。逃げてるのに周囲に行き先連絡したりしてコメディとは言え言動がオカシイ。が、この2人はどうなるんだろうという興味から飽きる事なくは見られるが、オチがかなり弱いので最後にシラケル。石田ひかりは悪くはないんだが、安藤政信が魅力に欠ける。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2017-02-09 11:14:11) |
69. トキワ荘の青春
映画としては地味で盛り上がりもない。寺田ヒロオについても全く知らなかった。が、調べてみると、それなりに頑固な人だったようで、実際はちょっと違うのかなあという印象も受けた。高度成長の始まりとしては、時代背景にやや勢いに欠けるし、トキワ荘の雰囲気が実際どうだったのだろうか?という疑問もあるのだが、時代の流れに迎合するか否かはアーティストとしてのジレンマなのだろうとは思う。「漫画なんだから売れるモノを描けばいいんだよ」という編集者の言葉が印象的。トキワ荘についてはよく知らなかったので、その背景・経緯について知れたのは勉強になった。漫画家アパートで、その後売れっ子輩出したのは偶然ではなく、必然だったし、その影で敗者もいたんだなあと。 <追記>6年ぶりに再見。今回は予備知識を持って見られた。実際にはトラブルも色々とあったようだが、当時は存命の方も結構居たので悪い話は描けなかったのか、その辺は一切省かれており、結果的には表面的にあっさり描き過ぎてしまっている。映像的にはCGを使わずに時代感を出そうとしてるのは評価できるのだが、やはり内容的には物足りない。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-11-23 22:12:30) |
70. あの子を探して
昔の作品なので現状がどうなのかわからないが、国民性が垣間見れて興味深い。先生の無謀さにも少々呆れるが、若さとある種の情熱故と思えば許容範囲。今はどこに行っても中国人だらけで、あの大声で早口でまくし立て、マナーお構いなしな態度には辟易しているが、当時で100万人の児童が貧困で退学しているという国内事情はどうなのだろうと思ってしまう。ちなみに90年代に中国でホテルでコーラを飲んだときは30元ぐらいしたかな。作中の10倍。たぶんボッタクリで店員が懐に入れてたんだろうけど。タクシーも怒鳴り散らして因縁付けて割り増し料金要求するし。そういう「カネ・カネ・カネ」の雰囲気はよく伝わってきた。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-10-21 11:07:37) |
71. すべてをあなたに
《ネタバレ》 実話かと思ってたんだけど創作?いかにもありきたりな話なんだけど、そこにリアリティーが感じられる。が、最後解散しちゃうところはアッサリしすぎかな。もうちょっとメンバー間でのゴタゴタがあってもよさそうだが、これが若さというか勢いなんですかね?解散を惜しむ程売れたワケでもないし。が、トムハンクスは会社始まって以来のヒットバンドなわけだから、諦観しないで粘れよ。って思いましたけど、最後は監督目線になってしまったのでしょうか? [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-19 12:18:08) |
72. フィフス・エレメント
導入部分は悪くなかったんだが。そもそも、SFとコメディーってのがそもそも相性悪いわけで。日常を非日常にひっくり返すのがコメディーだから、非日常であるSFをコメディーしてもツイテイケナイだけ。地球を救う話がドタバタ劇以下になってしまった。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2016-10-13 12:26:42) |
73. ボビー・フィッシャーを探して
結局この主人公の少年はその後大成しなかったようで、今では普通の大人として生きているのかな?その原因・理由が本人の意志なのか?性格なのか?環境なのか?はわからない。現在、この主人公が幸福なのかどうかもわからない。そもそも有名人になって勝者となる事が幸福なのかどうかもわからない。人それぞれにいろんな才能があって、いろんな要素でそれが生かされたり殺されたりするんだろうけど、才能を発揮する事の是非と人生の幸福とは基本的に無関係であって、最終的には本人が納得できる人生を送れるかどうかが重要なんだろう。やや映像や音楽で不必要に盛り上げている印象があって、もっとストーリーで才能と幸福の関係性について丁寧に描いて欲しかった。昔の映画なので「高校生プレーヤーとして活躍中」で終わってしまって、その後の主人公については想像するしかないし、ボビー・フィッシャーの運命を調べてみたりすると、いろいろと考えさせられるものはある。才能がありすぎると政治利用されたり、政治に左右されてしまうという事をあらためて思い知った。<追記>主人公のその後を調べてみたら、頭脳派から肉体派に転向し、太極拳で有名となり、現在はメンタル系を中心に諸々の先生稼業をして普通の人生を歩んでいるようですね。人生とは面白いモノだなあと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-10-04 17:05:51) |
74. もののけ姫
自然=神とし、自然との戦い=神との戦いとして描きつつも、神内部・人間内部の抗争も描かれ、恨み・復讐の連鎖まで言及しているので、複雑で少々分かり難い。ジブリは説教クサイので基本的に好きではないのだが、コレはある種の諦めや絶望感があってよかったかな。基本的に皆ものわかりがよくて善人であるというのはマイナスではあるが。クビを狙う爺さんには諦めずに最後まで固執して欲しかったな。必要なのは欲と怒りのコントロール。これが出きれば苦労はしないのだが。ただし、戦いは極力避けるべきだが、納得できない事にはNOと言い、時には戦う事も必要だろうとは思う。 [地上波(邦画)] 7点(2016-09-14 12:49:06) |
75. スターシップ・トゥルーパーズ
バカ映画と覚悟してバトル期待で鑑賞していたのだが、前半はダラダラとした男女関係が続くので退屈する。肝心の対決部分は約20年前の作品としてはまあまあかなと思うが、問題はこの全く中身がないグダラナさをどれだけ楽しめるか否かでしょう。 [地上波(吹替)] 3点(2016-08-05 11:23:11) |
76. 夏の庭 The Friends
少年小説とは言っても、大人が書いているのだから大人の視点が入ってしまうのは仕方ないのだが、少年の「妊婦を殺した負い目から離婚してしまったんだよ」という物分りのよさには少々シラケタ。皆良い子ちゃんで爆発力がない。単純に「老いる事、死ぬ事」を少年の視点で真正面から描けばよかったのだと思うのだが、戦争や離婚等が介入してしまったので、焦点がボヤけてしまった。先生が元妻の孫だったというのも都合が良すぎる。相米の子供作品という事で名作『お引越し』レベルを期待したのだが、ストレートで少々説教クサく感じた。数々の賞を取った作品が原作なので文部省・学校推薦のようになってしまうのも仕方ないのかもしれないが。震災直前の神戸という事や既に死んでしまった役者達、歌手等々に感じる所はあるのだけど、作品そのものとは無関係だし。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-08-04 12:14:47) |
77. 午後の遺言状
「生」と「死」を映像的に表現しようと試みたようだが、ややまとまりに欠ける。もっと堂々と「生」の喜びと「死」の苦しみに正面から向き合ってもよかったのではないか。死に際で重要なのは自分の人生を肯定できるか否かだろうな。 [DVD(邦画)] 5点(2016-07-13 12:47:45) |
78. 東京上空いらっしゃいませ
《ネタバレ》 成仏できない主人公が「私今がいい。とってもいい。最高。今まで生きてきた中でイチバンいい。変だけど、よくわらないけど、今の自分がイチバンいい。(中略)それみんな私なんかじゃない。私。死んじゃった。でも、私今がいい。私と私が合った気がする。今みたくしていたい。ずっとここにいたい」というシーンは「自分とは何か?生きるとは何か?死ぬとは何か?」を考えさせられるシーンだが、その後の(成仏覚悟?の)『セーラー服と機関銃』を彷彿とさせる殴り込みへの展開が少々不可解(地上での生活と引き換えに復讐するにはワリが合わないような)なのと、そして『帰れない2人』への繋がりは、もはや言葉では説明できない世界で、こういう世界観なんだから仕方ないんだけれども、もうちょっと丁寧に盛り上げて欲しかったかな。牧瀬の演技には賛否があるんだろうが、自分探しの17歳の初々しさがあって、これはこれでいいんじゃないの?って思うが。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-06-28 11:04:34) |
79. マイ・ガール
《ネタバレ》 どうもあざとい印象がぬぐえない。子供使って、相方殺せばどうにかなるとでも思ったのだろうか。子役もカワイイとは思えない。1971年を舞台設定にしたのもよくわからない。そもそも自分は男なので少女の成長過程に共感できない。てっきり「20年後の私」が登場して、その後の成長まで描くのかと思ったので期待はずれ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-06-27 10:43:56) |
80. 奇人たちの晩餐会
最後までバカを通して欲しかったが、なんかキレイにまとめちゃったな。最後の最後で、ヒネリはあるけど、とってつけた感じで、あんまり笑えない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-06-17 12:50:04) |