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61.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
2度観ましたが、骨格はボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーだということを確信しました。ブルースの最初のシーンで出会い、最後フィレンツェでのシーンも2ショット、しかもどちらでも母のネックレスを装着。ベインに負けゴッサムを離れる闘いのときにそばにいたのはセリーナ。戻ってきて最初に会うのもセリーナ。2度目鑑賞のとき、2ショットシーンでの会話を細かくチェックしながら観てましたが、実はブルースとセリーナの互いの出自や生育環境に対する様々な想いが台詞上かなり交錯してるのね。ブルースは、バットマンとしてハーヴィー・デント殺害のこと、個人としてレイチェルとの関係とその死という「恋愛問題」をクリアする必要があるってのが、実はこの作品の骨子なんですよね。バットマンのお話だから観客の関心は恋愛に向いていないんだけど、レイチェルのことを乗り越える「恋」をちゃんと描いたからこそ、「バットマンという絵空事」をリアルに感じることができると気づきました。しかも不~二子ちゃんと見せかけといて実はクラリス、ということで、ウェルメイドなボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーに満点評価。作品内、シリーズ通しての伏線回収もほぼ完璧ですね。渡辺謙の取扱と、レイチェルのキャスト変更が残念ですけど。なお、pitと呼ばれる穴は、連れて行かれるときベインも一緒だったんだから、案外近所にあるんじゃないかな。ハリウッド的発想なら「必要なら完コピ作っちゃえば?」ですから、ストーリー上でもね。ミランダの財力を持ってすれば簡単でしょ。そうそう、穴の中でトム “Mr. Lawrence” コンティにまた会えるとは!
[映画館(字幕)] 10点(2012-08-02 19:25:26)(良:3票)
62.  実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 《ネタバレ》 
ちょうど高校入試の真っ最中だったので中継を見た記憶が希薄、少し前に札幌オリンピック、横井さんが「発見」された年の事件です。最初ゆるい気持ちで観はじめたんですよ。ナレーションが原田のオッサンだって気づくまで少しかかった。従兄弟たちが大学在学中だったし、わたし自身ませたガキで時代の空気もそれなりに受けとめてたから背景はわかります。入山するまでに起こったことを淡々と列記し、悪夢の記述に取りかかってからは目を離せなくなってしまい、そのままエンディングまで一直線。事実は後でわかることなんだけど、とてつもなく「牽強付会」な殺人が主義や理念のもと実行されたのは、文革、ポル・ポトにも匹敵するくらいの出来事ですね。森は「脱走」の汚名返上のため先鋭化したんだと理解できる演出で、彼自身が為したことはとてもひどいことなんだけど、まだ理解の範疇というキャラクター設定がされていますね。フィクションだったら「受け入れられる」役。それに引き替え永田の描写は一刀両断。35のかたが書かれてるようにしつこく捲土重来の機会をうかがい、そのチャンスが到来するや嵩にかかって攻撃するという「ケチな人格」。わたしそんな人何人か知ってます。結局、赤軍の残党には「カス」しかいなかったという現実をちゃんと語っているのでこの評価。なお党派的修辞学がわからないと、彼らのしゃべっている言葉がまったく頭に入ってこないので低評価になると思いますが、当時の活動家はこんなだったんです。徹底的に赤軍側を描くことにより、山荘での警察側や「鉄球」という費用がかかるシーンを出さずに成立させたのはうまい。寒さ、冷たさ、そしてなにより「臭い」があまり伝わってこなかったので1点減点。
[DVD(邦画)] 9点(2012-07-03 08:35:55)(良:1票)
63.  スノーホワイト(2012) 《ネタバレ》 
きっちりとみんなが知ってる「白雪姫」をなぞってて、実は丁寧な作りなんじゃないかと思いました。問題は主演の女の子が「美人」じゃないこと!! ここを外したらストーリーが成立しないでしょ? シャーリーズ・セロンとの対比で小っちゃな娘をキャスティングしたんだろうけど「スカ」でしたね。せめてルーニー・マーラだったら美人じゃなくても納得したんだけど… 全体に初期FFに代表されるRPGの雰囲気が強いなと感じました。それから「洞窟の女王」な要素も垣間見えたのは、わたしが年寄りだから? みんなふれてるけど、ジブリの影響がふんだんにまぶされてて好き嫌いがはっきりわかれるでしょうね、わたしは好きだけど。ただ、いかにCGとはいえ「ぞわぞわ」したものを実写で見せられるとちょっとね。鹿は「あれ」って感じより、むしろ昔の「清酒白鹿」のCFそっくりで大笑い。そうそう、ほとんどの人は気がつかないでしょうけど、出てた馬はサラブレッドじゃないようです。ヨーロッパ在来種は残ってないのでそれに近い体型の個体を使ってますけど、蹄が大きく脚が太めで華奢な感じがしなくてよかったと思います。ところで、シャーリーズ・セロンずっと見てるとだんだん小島慶子が浮かび上がってきて、ウンザリしてしまうのはわたしだけの現象?
[映画館(字幕)] 8点(2012-06-21 16:05:36)
64.  ロビンとマリアン 《ネタバレ》 
そのうち観よう観ようと思ってたんだけど、ちっちゃなレンタル屋はみんな廃業だし、近隣のTにはこのレベルの作品置いてないし。ロビン・フッド伝説は日本でいうと真田十勇士(こちらは吉川英治というちゃんとした作者あり)みたいなもんで、リチャード獅子心王(獅子王でもOKみたいですね)について第3回十字軍に参加、帰国後シャーウッドの森を拠点としてジョン王と戦い、マグナカルタの成立をバックアップした、ってことが押さえてあればどんな物語として進行してもよいことになっているみたい。この作品は後者が抜け落ちているわけですが、ま、よいでしょう。しかし、最後二人揃って死ぬという展開にしてしまうとは。テンポもぬるかったりするわけですが、一騎打ちシーンで剣と斧の組み合わせで闘うところは、RPG「ファイアーエンブレム」みたいでけっこうおもしろかったですね。また、最近の中世を舞台とした作品では端折っている、鎖帷子や兜(馬を含む)の脱着シーンなどディテールが細かいところは楽しめたと思います。あくまで個人的興味ですけどね。あ、オードリーは歳食っても可愛い。しかし、リチャード・レスターって監督はよくわからない。ビートルズ2本とジョンのやつ、それにジャガーノート観てますけど、今度ほかのも観てみよう。ちなみにロビン・フッドの物語ではラッセル・クロウのやつが一番好きですね。
[地上波(吹替)] 6点(2012-06-08 12:20:18)
65.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 
素晴らしい。たぶん、個人的に本年度No. 1。満点じゃない理由は後述。観に行くかた、お金に余裕あるならパンフレット買った方がよいですよ。私、劇中で語られるブニュエルの映画タイトルが分からなかったので、もしかしたら載ってるかなっていう程度の気持ちで購入したら、ちゃ~んと記載されてました。たぶん、時代や登場人物の背景が細かくわかる人は少ないと思いますが、パンフレットがほぼ補ってくれます。本題に戻って、今回タイムスリップものという話を聞きつけたので観たわけですが、そんな「えすえふ」な設定ではなく「ホラ話」というか、出来のよい新作落語をみせてもらったという感じですね。台詞の組み立てが見事で、特にポールというキャラクターの造形、それに対する各キャラクターの絡みかたと台詞は見事ですね。ディレッタントでもなくスノッブでもなく「ペダンティック」という言葉がぴったりの人物を見事に作り上げた上で、「そんなヤツは大嫌いだ」ってモード全開でたたみかけていくところがよろしい。しかし、相変わらずアレンは「女好き」全開ですな。婚約者イネズ役のレイチェル某には関心ないんだけど、マリオン・コティヤール(TAXIから注目してた)、レア・セドゥー、その上カーラ・ブルーニだぞ!!!。個人的には前大統領夫人、最高です。偶然だけど、最近レア・セドゥーの出演作(ルルドの泉で、ロビン・フッド)を続けて観て存在感の強い娘だなと思ってたら、今作でもやっぱそうでした。そうそう、英語が多少聞き取れる自信があるなら、字幕を後追いにするとかなりディテールがくっきりしてくると思います、むつかしい単語少ないし。さて、減点1の理由。「支払いはど~すんだよ、支払いは」ってことが、心のスミに最初から芽生えてたんですよ。フード理論(©福田里香)的に「(心の中で)済ませたことにする」で解決しようと思ってたわけなんだけど、ムーラン・ルージュのシーンで言葉に出して言わせちゃったでしょ、だからダメ。時空を越える設定の場合これはとても重要なことで、映画でいうと「ある日どこかで」だとそれがきっかけで戻されることになるし、小説だと広瀬正「マイナス・ゼロ」に代表されるように、過去の紙幣・貨幣を準備してから向かうのが当然だから。ここさえちゃんとしてりゃ100点満点なのに。でも、たぶん上映中にまた観に行くだろうな。
[映画館(字幕)] 9点(2012-06-01 08:11:10)(良:1票)
66.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
今まで、コンテナに代表される寒々しい場所に住む人たちをメインに据えた作品を撮ってたカウリスマキが、場所をフランスに移しそんな寒々しい場所に住む人たちを助ける側の人々を扱った作品とみました。つまり視点を移動させて、そんな行き場のない人たちを見守る人々(フィンランドのときは「いなかった人」たち)が今作の主人公。フィンランドほど過酷ではないけど、ノルマンディはメキシコ湾流のせいでイングランドによく似た天気で、雨が多い上に海沿いだから風も強いので、陽光あふれるってほどじゃないと思いますよ。そうそう、シェルブールはノルマンディ。今回「過去のない男」の警備員に相当するのは、警察に何度も密告電話を掛けるキャラでしょうけど、彼も決定的にヒドイ人ってわけじゃない。警視なんかは結局いい人としてエンディングを迎えますよね。酒場の女主人と、主人公マルセルや警視とのあいだに、それぞれむかしなにかがあったのを暗示させる台詞がうまく埋め込まれてます。いつも通り、余計なことは語らせない作風です。マルセルが最初に帰宅するシーンで、パン屋も八百屋(何でも屋?)も彼に「ツケ、払って」と言ってるのに、話が進むと変わって行くのがいいですよね。なんかすべてが寓話のようで、観終わったのち、温かい気持ちになりました。病気が寛解するのも、それがカティ・オウティネン演ずる妻に起こるのもご都合主義と言えばそれまでなんだけど、素直に「よかった」と感じられます。相変わらず、犬、いい味出してるし、ライブ演奏の使いかたもうまい。ところで、挿入歌のうちミシシッピ・ブルーズなのはBlind Wille McTellだったんですが、音楽の趣味も相変わらず素晴らしいですね。
[映画館(字幕)] 9点(2012-05-25 21:06:30)
67.  ダーク・シャドウ(2012) 《ネタバレ》 
まず、字幕が変!! 妙に大きく間延びした明朝体にしたのは何故?「底」って字が何度も出てくるんだけど、漢字わかんない人が作りましたっていう風に見えちゃって気持ち悪かった。お話はご都合主義で、張った伏線がちゃんと回収されなかったり(ヴィクトリアの出自がその代表)、変な方向に転がったままだったり、なによりもたかだか魔女ごときが人間を吸血鬼にできるっていう設定自体、雰囲気で突っ走ってる感じでした。「フロム・ヘル」「スリーピィ・ホロウ」にようにきっちり作ってるわけじゃない。あ、この2作はここのサイトにはコメントしてませんが、ともに10点扱いです。ただ、サウンドトラックで意味が理解できる人には楽しめる作品ですね、パーシー・フェイスも含めて。いきなり「サテンの夜」だもん。そうそう、ヒットガールがドノヴァンの「魔女の季節」で踊るシーンでは、「ムーンチャイルド」で踊るクリスチーナ・リッチを思い出してしまった。アリス・クーパーが当時の曲(1972年って設定だから“Elected!”はダメ)たとえば「エイティーン」とかやってくれたらもっとよかったんだけどね。エンディングの“Go All the Way”、イントロ聴いたときは「やった~」って思ったんだけど、すぐ微妙に違うことに気付いてガッカリ。ラズベリーズじゃないのは契約の問題? しかし、エリック・シーガル「ある愛の詩」の引用含めてかなり笑える部分があるシナリオだったんだけど、クスッともしない人が多かったですね。本論に戻って、蘇って最初に下僕になる男は当然「イゴール」って名付けるべきだし、直接陽に当たらなければ昼間行動できるのか? 吸血された側は死ぬんじゃなくて吸血鬼になるんじゃないのか? などつっこみどころ満載ですが、なにかの割引の日に観るんならよろしいんじゃないでしょうか。本家の吸血鬼もこっそり出てますし(なんと吹き替えが家弓家正さん:さっき知りました、DVD出たら観直す)。最後に、ミシェル・ファイファー出すんなら、やっぱ彼女もヒビ割れないとでしょ。
[映画館(字幕)] 6点(2012-05-22 17:50:59)
68.  ぼくのエリ/200歳の少女 《ネタバレ》 
よい映画だと思います。静謐で、余計なことは絵でもセリフでも語ってないから。ただ、吸血鬼が鏡に映っていることはありえない(ハマー・プロ、ポランスキーに失礼、そうそうジョニー・デップにも)、退治にはナイフじゃなく木の杭を使用する、という2点を見ても制作姿勢が雑。“Let me in”にこだわるなら細部を詰めなきゃ。次にこちらではオスカーと呼ばれている少年の持つ疎外感が「なんとかなりそう」なレベルだってこと。イジメは別として、離婚した両親がまだオスカーに関心を持ってることがわかり、観客にとっては「時が解決する」って思える人物造形。またイジメをする側の兄弟関係をきちんと表示してない(弟が何故イジメてしまうのかということ:台詞だけでも可能、この点はハリウッド版は見事)。ということで、私としては「モールス」が上。性別問題は原作読まないとなんとも言えないのですが、ちょっとわかりにくい。少なくとも男の子じゃなくなった理由が語られてないから。もしかしたら1700年代末期(200年前)にそんな魔女狩り的なことがあって、ほとんどのスウェーデン国民は知ってるのかも知れないけどね。ところで、この作品やミレニアムのスウェーデン版なんかを観てて気付いたんだけど、結構人間関係が田舎的というかベタベタしていて「やかまし村」みたいだとか、福祉国家といっても悪いヤツ(色々な意味で)がいたり、イジメも深刻なんだとか、スウェーデン語ってドイツ語+英語みたいな音なんだとか、夜に子供がヒッチハイクしても乗せてくれるとか新しい発見ができて楽しいですね。
[DVD(字幕)] 7点(2012-05-21 11:21:33)
69.  モールス 《ネタバレ》 
公開時に観てましたし、その後DVDも購入してます。もちろんキック・アスなクロエが出てるからなんですけどね。コメントが今になったのは「ぼくのエリ」観終わってからにしようと思ってたから。わたくし、こっちのほうが好きです。初見の時から思ってたけど、オーウェンの「世界中のどこにも居場所がない」感じがすごく染み入ってくるので。エリと比較してもそれは変わらないし、こんだけかわいそうな男の子の主人公に感情移入しなくてどうする。ラストシーンのオーウェンの幸せそうな顔が、この破滅的なストーリーのすべてですよ、彼は居場所を見付けたんだから。ということで「モールス」ってタイトルもあり。倒叙法の謎解き、うまくCGを組み込んだショット、カーチェイスのカメラワークなどハリウッド的な手法も散りばめられてますけど、テンポよく見せるためのおまけ。最後に、この作品は「あの」ハマー・プロダクションがひさびさに制作した「吸血鬼」映画だということ。
[映画館(字幕)] 9点(2012-05-21 10:24:02)
70.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
ずっと前、公開時に観ていました、それも2回。チャプター分けしてそれぞれにタイトルを入れてるところで「勝ち」ですね、私的には。みなさん色々書かれてますのでそれ以外のことにふれてみたいと思います。まず「地下の居酒屋」での会話。山岳映画のスターとしてダイアン・クルーガー演じるハマーシュマルクが登場しますが、こんなジャンルが成立してたのは、ナチスが山に登ることをリクリエーションとして推奨したから。ワンダーフォーゲルってのがドイツ語だってことでわかると思います。これは「愛を読む人」でのリゾートのシーンにつながります。ナチスは健康や衛生を政策に組み込んで「清潔」を目的化したわけです。その到達目標はユダヤという「汚物」を排除することだったんですが… 次に、挿入される「国家の…」って映画は、たぶんリーフェンシュタールの「民族の祭典」「意志の勝利」を意識してるんだろうなって思えるところ。作った人の「つもり」を考慮せず、作品として映像表現だけを評価した場合「これはあり」ってレベルまで到達してますね。フル・サイズがセルDVDに入ってるようなのでチャンスがあれば観てみたい。メラニー・ロラン「オーケストラ」よかった、ダイアン・クルーガーますます好きになってきました、ジュリー・ドレフュス90年代からずっと好き、ってことで女優陣も申し分なしです。最後に、個人的に心の奥底に引っかかっていた疑問を解いてくれたのが「映画館の看板掛け替え」。エルトン・ジョンの「ピアニストを撃て」のジャケットで描かれているフランスの映画館、間違いなくトリュフォーへのオマージュなんだろうけど、この上部にある白バックで赤と黒の文字がならんでいる看板がほんの少し気になってたわけですよ、70年代前半から。あ、こういうことだったのねってことで、個人的評価は10点ですが、人様に手放しでお勧めするものではございませんのでこの点数。
[映画館(字幕)] 7点(2012-04-30 04:56:08)
71.  アレクサンドリア 《ネタバレ》 
封切り時観てたのですが、ブックマーク等をすべて失ってしまうという大惨事に見舞われてましたので今頃レビュー… このヒュパティア(英語だとハイパシア)という人の存在、1969年(多分)から知識としてありました。角川書店から出てた「科学史物語」という本にこの件について記述があり、そこには「キリスト教徒によって石打ちにされ、肉片は骨から削り取られた」となっていたのでかなり鮮烈に覚えています。その本は父親が購入したのですがそのまま放置、当時中2で無線マニア&フォーク・クルセダーズ・ファンだった私がそれを読んだのですが、記憶の隅に置き去りになって40年。その間、中学高校の世界史、大学の西洋史(カトリックだったからここでこれに関する講座は当然ないか)では思い出すこともなく過ぎていって、朝日新聞の沢木耕太郎氏のコラムでこの映画の存在を知ったわけですよ。 最初、近所では公開されなかったので、ちょっと離れた大きな街で観ました。ヒュパティアが先進性があったことを示すため地動説+ケプラーの法則を組み込み、また古代の奴隷制からの解放と初期キリスト教がリンクしたように話を作って、現代の人々にもわかるようにしてますが、ちょっと無理があるんじゃないでしょうか。ただ、宗教がそのときの体制、人民を飲み込み、大きな流れとなって全く違った世界を作ってしまうってことは、この辺では2~300年のあいだに2回発生し、その後というか現代にまで影響をおよぼしているわけですから、その原初のエネルギーの一端が映像化されたってことは評価すべきだと思いますね。「ネロの迫害」から「ミラノの勅令」まで250年間のキリスト教徒のことは、日本に住む私たちはほとんど知りませんから。つけた点数は、古代アレクサンドリアを様々な文献・伝承からできるだけ再現しようとした熱意と、このまれな女性学者(次に学者として女性が出てくるのはキュリー夫人、つまり19世紀)を主人公に据え、古代における科学と宗教という問題を映像作品にしたことに対してです。 ところで、ネルソン・ミンゲラの息子マックス・ミンゲラ、ライティングによっては「小島よしお」に見えませんでした?
[映画館(字幕)] 7点(2012-04-25 19:26:17)
72.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
スウェーデン、ハリウッド両方観ました、原作読んでません。こっちはリスベットが心動かしたことになっちゃってるんで「ナシ」この後続けようがないもん。でもディテールはこっちの勝ちですね、なにはともあれ、寒さ、冷たさがリアルに伝わってきますし、クリストファー “フォン・トラップ大佐” プラマーがまたまた名バイプレイヤーぶりなのでこの点数にしました。そうそう、みんな書いてるけど “Immigrant Song” はベストだよね。これらの要素がなきゃ2点か3点だよ、こりゃ。
[映画館(字幕)] 6点(2012-04-20 21:23:26)(良:1票)
73.  アーティスト 《ネタバレ》 
全体の批評は朝日新聞紙上で大林宣彦、中野翠両氏が対談されてる内容でほぼすべてだと思います。(レビュー時点では http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201204120267.html で講読可)特に、アステアじゃなくジーン・ケリーだってとこに気づかれた大林監督はすごい。華麗さよりも、どちらかというとデフォルメに近いダイナミックさを優先させたステップですからね、ジーン・ケリーは。「ブロードウェイのバークレイ夫妻」と思わせて「雨に唄えば」へのデディケイトで締めくくってると考えれば、ハッピーエンドもこじつけじゃないと思えます。フィルム燃やすシーンは「イングロ」でリアルさ知ってしまった以上、いい加減に見えてしまって残念。ジャン・デュジャルダンは「毒気を抜いた」植木等というイメージ。ってことは、東宝の「無責任/日本一」シリーズはダグラス・フェアバンクスがジーン・ケリーばりのステップでスクリーン全体を駈け、踊るっていうコンセプトだったのね。あ、犬のUGGYは100点。
[映画館(字幕)] 8点(2012-04-17 09:00:53)(良:3票)
74.  ヘルプ 心がつなぐストーリー 《ネタバレ》 
内容については他のかたが書かれているので、短めに… 主人公(というか狂言回し)スキーターの動機は純粋に内から出てきたものでしょうけど、60年代初頭という時期だから表面まで達し行動を起こさせたと考えるのが妥当です。公民権運動、ワシントン大行進、マーチン・ルーサー・キング、そしてブラックパンサーなどによって、奴隷解放から100年後に南部にもツケが回ってきたわけですから。合衆国自体が景気よく、全米で最も貧しい州と言われているミシシッピでさえ貧困は黒人だけ(本当はヒルビリーもいるんだけど)っていう時代です。で、別の面からの評価を。音楽がすばらしい。時代にフィットし、それらの楽曲を選ぶことで歌詞が持っているメッセージまでも折り込まれてます。いきなりジョニー・キャッシュ&ジューン・カーター・キャッシュ「ジャクソン」。この曲ティン・パンアレーの「キャラメル・ママ」で松任谷正隆くんがカバーしてて知りました。ヒリーが暴走するシーンではチャビー・チェッカー「レッツ・ツイスト・アゲイン」。そしてエンディングはこの深南部ミシシッピ出身メイヴィス・ステイプルズの“Don't Knock”。この曲は一家でやってたステイプル・シンガーズがこの頃流行らせた曲なんですが、このバージョンは最近ソロでレコーディングしたもの。ほかにもフォー・シーズンズ、ボ・ディドリー、ロイド・プライスなんかが使われてますが、白眉は、スキーターが振られるシーン後のディラン「くよくよするなよ」これはベストマッチングでしょう。アメリカのルーツ・ミュージックに関心のあるかたは必見です。ところで、シリーの母親役が「キャリー」のシシー・スペイセク、ニューヨークの編集者役が「タイム・アフター・タイム」「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」でおなじみのメアリー “時をかける” スティンバージェンだったのにはビックリ。 〈追記 2014.2.4〉DVDで再見して… シーリア役はジェシカ・チャステインだったのね。彼女、どの作品も素晴らしい!
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-10 18:01:04)
75.  おくりびと 《ネタバレ》 
わたくし、母→父の順で葬式の(本来の意味での)MCをやりましたが、ここに描かれている納棺師(この師でよいのかちょっと疑問)という存在についてまったく知りません。母は三多摩、父は北部九州での葬祭でしたが、ともに遺体を清拭し衣服を整え死に化粧する役割のかたは来られました。しかし、ここで描かれている「納棺の儀」的な特別なものはありませんでしたし、脱脂綿を詰めたのは病院だったと記憶しています。葬祭は地方によってかなり段取りが異なるようです。田舎だと谷ひとつ隔てても作法が大きく異なることもあると仄聞しております。ということで、実体験と大きく違った点に注意が行きすぎあまり感情移入できませんでした。映画として少し評価します。まず、小劇場出身者がちょっとやりすぎ。余貴美子、おまえだ。笹野さんは数々の作品で名バイプレイヤーですが、編集のせいでしょうけど存在感ありすぎです。彼は風景に溶け込んでこその役者さんだと思いますから監督の力量の問題ですね。吉行和子はよかったね。本木くんはチェロの指捌き、ボウイングが見事でした。よく練習しましたね。それから、ここははっきり述べたいのですが、西日本が舞台だと絶対に成立不可能な内容です。こんな簡単に描くことは不可能。わからないかたは「差別」について調べてみてください。
[映画館(邦画)] 6点(2008-09-26 19:02:19)(良:1票)
76.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! 《ネタバレ》 
素晴らしい!!! ロバート・ロドリゲスが褒めたっていう以外予備知識まったくなしで観ました。制作会社がワーキング・タイトルだったので、基本的に自分の趣味に合う可能性高しと思ったのですが大正解。細かいくすぐり満載、蒔いた種はたんねんに刈り取ってくれて言うことなし。すでにレビューなさってるかたがたが多くを語ってくださってますので、その部分はスルーして選曲の良さのみ書き込みます。基本的にイギリスのロックの名曲が使われてるんですが、ちょっとマニアックなものがベースですね、たとえばキンクスの「ヴィレッジ・グリーン」や T レックスの「イージー・アクション」など。極めつけはクレージー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンの「ファイア」でした。この曲、発表時には日本でもけっこうAMラジオでかかってたんですが、今となってはとてつもなくマニアック。やはりワーキング・タイトルは選曲の趣味がよいことを再確認させていただきました。DVD 出たらまちがいなく買いますね。
[映画館(字幕)] 10点(2008-09-01 17:37:11)
77.  アクロス・ザ・ユニバース 《ネタバレ》 
ビックリしたね、歌詞うまくつないでストーリー作ってて。歌詞ちゃんと聞いていない日本人には想像つきません。台詞にうまく曲名紛れこませたり、登場人物が歌詞に登場する人名だったりするのもうまい。"All You Need Is Love" でエンディングってのは "She Loves You" を使いたかったからでしょうね。もしかするとこれがきっかけでこの作品生まれたのかも。そうそう、屋上で Gig ってアイデアもよかったよ。途中なんとなく「いちご白書」になりかかって、それで減点しましたけど、満点でもよかったと思います。セットの風景が "Rent" にも似てたし。ただビートルマニアじゃなきゃつまんない作品じゃないかな。ボノがドクター・ロバートってのはすぐ気付いたけど、ジョー・コッカーとサルマ・ハエック出てたのね。
[映画館(字幕)] 8点(2008-08-29 09:48:13)(良:1票)
78.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
ものすご~く普通の家族の会話のように聞こえる台詞ですが、日常であんなに説明することはありえない。おたがいの言葉がほとんどかぶらないし。そういう意味でとてもとても向田邦子的。日常会話に聞こえないほどカリカチュアライズされてたとしたら橋田壽賀子ですけど(笑) ということで「ただいま11人」に始まるTBSホームドラマの王道を継承している作品だと感じました。是枝くんは今度はこれをやりたかったのね。毒のある言葉が思わず出てしまうところなんか「寺内貫太郎一家」そのまま。風呂場での「板橋」はその極みでしたね。そうとう笑える台詞が散りばめられていたのだけれど、あんまりクスクス笑う人いなかったなぁ。きんばあちゃん=悠木千帆(樹木希林)主役で、里子さん=加藤治子がアクセントつけてるってのはうまいキャスティングでしたね。この二人の絡みのシーンもほしかったけど、やりすぎないのがさりげなくてよろしい。夏川結衣うまくなったねぇ。「花よりもなほ」のときもそう感じたけど、鈴木杏の母親役やってたTBSドラマ「青い鳥」のときはどうしようもなかったのにね。そうそうYOUは最高ですよ。浅田美代子、風吹ジュンを出すといかにもって感じだけど、YOU使ったことで趣に変化つけられたと思います。多分「誰も知らない」で使ったときこの着想が生まれたんじゃないかな。ゴンチチの音楽と「ブルーライトヨコハマ」だけでも評価高いですよ。特に「ブルーライトヨコハマ」のシングル出してくるところでジャケット見せないのはうまい、コロムビアの内袋をさりげなく見せててね。
[映画館(邦画)] 9点(2008-08-15 18:39:58)
79.  スピード・レーサー 《ネタバレ》 
「宇宙エース」からのタツノコファンゆえ、評価の基準は「マッハGo!Go!Go!」を知らない人とは異なります。初回オンエア時、くり返される再放送含め小学生時代からずっと観てたので刷り込まれてますので。巷間、興行成績が伸びないので失敗作という烙印を押されそうと言われてるらしいですがなんとかがんばってほしい。ここまで「マッハGo!Go!Go!」だとは思わなかった、嬉しい誤算でした。三船剛=スピード・レーサーのコスチュームがトリコロールのダッサいそのままだったとこ含めて完璧。エンドロール最後まで見てたのはおっさんばかりというところに観客の温度差を強く感じました。日本語版主題歌をワンコーラス聴かせなかったから少し減点。日本公開用にいじくってもよかったんじゃないでしょうか? もしかして吹替版では聴けたのかな。そうそう、クリスティーナ・リッチ、King Crimsonの"Moonchild"バックに踊ってた人と同一人物とは思えません。すばらしいかった。これで実写版「ヤッターマン」つまんなかったら本気で怒るぞ。
[映画館(字幕)] 9点(2008-07-13 18:52:20)
80.  アイム・ノット・ゼア 《ネタバレ》 
素晴らしい!!! ディラン・ファン以外にわかるのかな?って不安もあるけど、当時を見事に再現しつつ再構成されてて堪能しました。ディラン本人が公式伝記として認めたってのもよくわかる。選曲最高だし、なんといってもケイト・ブランシェット!!!、言うことございません。「エリザベス」今作「クリスタル・スカルの王国」と今年は彼女を堪能する年なのかな? DVD化されていない「ビリー・ザ・キッド」のエピソード出されると観たくてしょうがなくなってくるんで1点減点(後にちゃんと発売されましたが、そのままにしときます)しましたけど… 冒頭とエンディング近くに2回バイクシーンが挿入されるのは「アラビアのロレンス」意識したんでしょうな。こりゃ間違いなくDVD出たら買ってしまいます。重箱の隅つついたような解説付きでお願いしたいですね。
[映画館(字幕)] 9点(2008-06-10 16:17:55)
020.93%
110.47%
241.87%
373.27%
452.34%
5157.01%
62210.28%
74320.09%
85927.57%
94521.03%
10115.14%

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