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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
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自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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61.  重力ピエロ 《ネタバレ》 
そこそこかあ……。残念だ。 コインロッカーが原作物としては信じがたいおもしろさだったので異常に期待してしまったのもいけなかった。話としては面白いんだけど、あの軽い記述方法でないと雰囲気がとてもじゃないけどバランスしないようだ。  これに原作があるって言うことを知らずに、社会派映画とか勘違いしてたなら結構面白く観てしまったのだろうけど、やっぱり読んでしまった話を映画でもう一度観てしまうとやはりよほどの好条件でないととんでもなく面白くなるってことは無いんだな。残念。   文字で疎通する兄弟と何人か。これを演技と声と画と画角で表現、出来るわけないものを字面を追って同じ事をしようとしても失敗するような気がする、 原作小説にきちんと読み取れる形で存在していた微妙に狂ってる兄弟と、対象者。これを画で見ても分からない関係に置き換えることで、読者に想像させるっていうのが、あまりに姑息だったように思う。  小説でも映画でも読んでる観てる人間に任せる部分が多少なりともある。それをやたら結末でやろうとすると、そのように議論を前提とした文書的な資料が作中でフォローされているかそうでないかで、決定的に落ちない、もう自力じゃ落ちない.ってことになる。じゃあ面倒くさいから読者にお任せ。で、という消極的なやりかたになって絶対最悪の読後感がまっている。  映画の場合、文字でしっかりその振りとなる資料を混ぜ込めない以上、読者の倫理や正義感、法の力などという文書で抑えておくべきな部分をセリフや状況で読み取らせようとする。 結果として、この映画のように、精神的に近い側の人間にしか共感されないと言う事がおこる。 共感できない人間が、理解できない行為をしてしまったことに気付いてしまった。どのように葛藤したら良いだろうかと言う方法まで楽しめる部分が、ない。 似たような因子がある人が「弟わかるわあ」で終わってしまってはまるで意図しない方にいってしまっている。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-20 21:24:17)
62.  その男ヴァン・ダム 《ネタバレ》 
ヴァンダムが非アクションな演技をしている。 なんか可哀想なストーリーが、現実なのか嘘なのかわからない。作り込まれた映像美にドキュメンタリズムを排除した優しさがあるのに、なんかヴァンダムに容赦ない。 どの程度ヴァンダムが可哀想なのかホントのところが謎めいて虚実入り交じったこの話で、一番うろたえてるのは誰か。 ヴァンダムではなく、見てるオレだった!  どうすんだよヴァンダム。この後どうすんの?って、って思わずヴァンダムを調べると、2012の新作に超重要キャラとして登場するらしくて安心した。  マジで安心した。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-20 17:24:38)
63.  ヴィレッジ(2004) 《ネタバレ》 
 森の中に隠された人生。誰の目にもとまらぬように。   デバイスとインフラに管理された現代の人間には、彼らの悲喜交々はわからない。彼らを管理しているのは伝承と習慣であり、完全に文明から分離され自律的な存在を信じて疑わない彼らには、旧来の人間の形をした布をかぶせたような不自然さが漂う。  人工的な生命であるような気味の悪さを彼らに感じつつも、無理にでもその居心地の悪さを飲み込んでしまうのは、彼らの生活に何らかのリアリティがあるからなのだろう。   決して万能ではない、たとえ異能を持っていたとしても外界の人間を超越することが出来ない彼らの箱庭に生かされる彼らは、この後どうやって人生を振り返り、拓いて行くのだろう。  そう思うと、色々な枠の中に綺麗に収められて大切に扱われているに過ぎない現代人がなぜか強大な力を持った異文明の中で暴威をほしいままにする存在のように感じられてしまう。  無力な彼らに対する憐憫は、彼らの境遇を作り出した人間にも向けられ、結局何をすべきだったかを間違ってしまっているのに受け入れてしまうそうになる。   色々に気持ちが揺れたまま、静かに終わるこの物語はどうしてこんなにも心地良いのだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2012-05-20 17:12:44)
64.  ALWAYS 三丁目の夕日 《ネタバレ》 
良い邦画。 とにかくCGの使い方が巧妙。なんかギトギトしていてゲームのムービーみたいなんだが、それがアニメのような効果を生んでいる。たぶん意図していないんだろうけど結果オーライ的な良さ。  それが不思議な架空の昭和時代に誘ってくれる。寅さんとか石原裕次郎や黒澤映画に漂う、じっとりした空気感ではなく、清潔で現代から文明が飛び出した部分を切り落としただけのような不思議な街。お年寄りに言わせるとこれが良いらしい。本当の当時っていうのは暑くて寒くて汚くて不便なだけだったとか身も蓋もない事を言ってしまいつつ、「でも生活の中にいろんな事があった」とこの映画の美しい昭和に自分の思い出を合体させて懐かしむ。 このもくろみは大成功だったといえるんだろう。どの年代が見ても楽しめて、思い思いの昭和をかみしめる的な。  この世界の中で普遍的な感動劇を様々なキャラが演じるとなれば、もう泣くしかないでしょ?いい話だった。見終わった後、全編通じて学生時代だった90年代を振り返った。昭和を生きた人たちと自分の年代、不便の度合いは違うけど自分の子供時代を同じように振り返るんだろう、きっと。この後の年代の人もずっと延々とそうだろう。 特別な時代だけど普遍的。そういうテーマって優しくて良いものだ。
[地上波(邦画)] 8点(2012-05-17 17:07:00)(良:1票)
65.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
この映画の気持ち悪さはハンパ無いんだが、嫌いじゃないから不思議だ。 そもそも、ブラッドピットが全く機能してないにもかかわらず、出て来るだけで締まる。ウケるわけだが、彼はこういう気持ち悪い万能感に冒された重症患者のような異常性を演じるときむちゃくちゃな存在感を発するから凄い。それを躊躇無く入れる。他の大物監督がまじめに作っても成立しそうな話なのにね。  結果としての内容が「で?」としか言いようのないところに、残虐性とか怖さが乗っかるのはやっぱり監督の個性なのか。私はそれが大嫌いで、金と時間を払ってなんで観なきゃいけないわけ?と思うわけだが、意志に反してついつい観てしまい釘付けになるわけだ。  この大嫌いな要素を上回る魅力がたまらない。だからタランティーノを無茶苦茶大ッ嫌いで不愉快だと思い続けることで、その作品を観たときのゾクリが味わえる。たまらん。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2012-05-11 18:29:29)
66.  シャフト(2000) 《ネタバレ》 
ギャー、シャフトマジカッケエ。 黒いジャガーより良く出来てるし。結構満足度高けえ。 残念なのは、サミュエルLだね。彼でさえスゲエかっこいいんだからさ、普通にカッケエ俳優使えば異常にかっけえ映画になったのは間違いなかったんじゃないだろうか。  何回も見たのに内容は全然覚えていない。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-11 18:18:57)
67.  アザーズ 《ネタバレ》 
 部分的な記号性を散りばめた狭い空間は、僕が今、いったいどこにいるのかという判断をする力そのものを奪ってしまうのだった。  「あなたが生きていくこの先の全部、この空間にこもっているのと同じなのよ。どこに行ったって、どんなに自分の内面を飾っても。あなたの本質が、この家と同義なんだから。」   そんなことをためらわずに吐き出す。姉なのか、母なのか。それともそのどちらでもない、誰でもないただ漠然とした単なる女性という認識をさせるためだけの性別を持った誰か。その人を、彼女を、睨み付ける僕の瞳は涙に溢れていたけど、僕の中身が持つ力はこの視線のように嘘で作られた強さすら持っていないからだんだんと、今の気持ちと同じような模様がいくつも並んでいる彼女の足元に、向かってそれていった。  いつもこの家の中で僕を縛り付ける本当の偽物は、彼女の中にあるがらんどうの愛情だった。   自分自身が作り出した出来損ないの空間に閉じ込められて、今もじっと閉じこもりつづける友人は、こうやって袋小路に迷い込んでしまったのだという。でも、彼だけの意志でも、彼と生きる彼の家族の意志も、一意に彼の存在をうつろにしてしまった訳じゃない。部分的に散在する様々な原因が、丁寧に紡がれていくべき途中で放り出されてしまったからそうなったのだった。   この映画を見たとき、丁寧に紡がれていくグレースの生活と、不穏に過ぎて傍観するに過ぎない私自身が身構えてしまうような屋敷のたたずまいが、完璧に不気味な調和を見せたことで永遠に意志が作り出す循環にはまり込んだ友人を思い出させた。  二人の本質も、立っている場所も全く違うのに。でも、彼女の住む屋敷も彼の肉体も永遠じゃない。本当はいつか気づかなきゃいけないのに、傍観する私にはどうすることも出来ない。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-11 17:25:21)(良:1票)
68.  コラテラル 《ネタバレ》 
 少し前の話だ。  友人が急に電話を掛けてきた。同じ学校の同期だった彼は、大変な仕事をリタイアしてなにやら大きな事の準備をするらしい。同時に全く合っていない仕事をなんとかギリギリにこなし続ける自分の能力を過剰に評価する会社に困り果てているのだという。僕は緑の箱から引き抜いたたばこに火をつけようとするけど、火花ばかり飛ぶライターに一向に火が着かない。羨慕の中頷きながら話を聞き、お互い大変だよなと笑っていると、 「起業のことだけど、手伝ってくれないか」などという。  詳細の一歩手前くらいの話をおもしろおかしく説明するこの事業は、確かに僕の能力とかぶっている。 「そういう訳で、損はさせない。固まったら連絡するから一度会って説得させてくれよな」と友人は電話を切った。    タクシー運転手のマックスはじきに独立するのだという。そこに乗り合わせたヴィンセントは大きな仕事の最中な訳だが、彼は本物のプロだった。恐らく軍人として訓練を受け研ぎ澄まされた技術を修めたはずなのに、何故かいま彼は素人を相手に一方的な殺人を行っている。  マックスは彼の職業意識と、従業員然とした自分の人生を見比べて覆い隠せない落胆を自分の中に見咎めてしまったようなのだが、ヴィンセントの職業そのものを受け入れることができない。  しかし、受け入れることができないのはヴィンセントも同じだった。自分の人生を作り出す道を選んだ先駆者だったはずだが、その手前にいるマックスに自分を重ね、その背中を押すようにマックスを殺さなかったヴィンセントは、やり直せない人生の幕引きを、マックスに任せた。   この映画を時々思い出す。地震の後、仙台にいた友人から連絡は来ない。不安と期待で蜷局を巻いていた気持ちはもう無い。彼があの日どうなってしまったのか、その後なんとか知ることはできた。もう彼と会うことは無い。  僕はずっとマックスのように、しもしない起業のことを得意げに吹聴し続けるのだろう、ずっと。僕の人生は11年の3月で止まってしまった。背中を押してくれるヴィンセントのような人間との危険な遭遇はもう映画の中だけの話だ。  だから、美しい夜景と、巻き添えを食うマックスと彼の行為の巻き添えを食うヴィンセントの、二人の短い物語には何となく憧れてしまうんだ。   というのを同級生から聞いて、自分の無個性さに自殺しそうになった。
[映画館(字幕)] 8点(2012-05-05 11:29:53)
69.  ぼくのエリ 200歳の少女 《ネタバレ》 
うげぇ。これしか出てこない。 意図的にハーフスピードで区切られているとおぼしき間は、この映画の映像と様式を人間の世界にない美しさに昇華させて、そこに置き去りにしてしまった。  いや、違うな。置き去りにされたのはむしろ私の方で、この映画が一人で高い遠いところに行ってしまったんだと、見終わってから気づく。美しい情景に、凄惨な殺害が重なっているその場面に視線を保っていられなかったのは私。酷い有様になった死体が引きずられていく時だって、対比もせずに美しい世界は美しい世界のまま死体が引きずられていく。 この世界に嫌悪感と恐怖感を覚え、そこに近づくことが出来なかった。  美しい少年と少女の愛情は、何世代にもわたって何人にも引き継がれ続けていくのだろうか。それとも社会の高度化とともに彼女と彼女が愛した人間の居場所は消滅してしまうのだろうか。その寂しさをかみ砕けないまま、エンドロールが始まり私は黙りこくってお茶を口にすることしかしなかった。  だからホラー耐性、スプラッター耐性が低いとこう言う映画は全く楽しめなくて損をする。うわぁ気持ち悪い。
[DVD(吹替)] 4点(2012-05-01 02:28:13)(良:1票)
70.  きかんしゃトーマス劇場版 魔法の線路
うわあああああ。もうね、俺たちのトーマスを返せと。 この実写パートが許せねえ。アレックボールドウィンの無駄遣いじゃねえか。 もっとトーマスを出せトーマス。
[地上波(吹替)] 3点(2012-04-29 19:42:48)
71.  小説家を見つけたら 《ネタバレ》 
良い話。凄く良い話。 老人と少年の友情っていうのは、それだけで深みを感じちゃったりして。この話に限らず良いよな。 ページが折れてるのを見つけたウォレスはジャマールに「作者に失礼だ」っていう。ちょっと良いな。  こう言うやりとり、良いなあ。すがすがしい。
[DVD(吹替)] 7点(2012-04-15 04:20:11)
72.  トレーニング デイ 《ネタバレ》 
ジリジリと長い一日が過ぎる。誰にでも経験があるのだと思う。 こうなんだからしょうがないだろ、とどうしても腑に落ちない説明を受け、真似させられる。それがいつしか、真似じゃなくなる。  それが不正であったり、不法行為であったとしても、明らかに犯罪ではないだろうかという行為でも人はそこから抜けられないかもしれないと思えばだんだんと染まっていく。最初は屈従だったものが、ただの言い訳になって最後にはしょうがないだろうと同情までさせようとしてしまう。ただし、それが人間かというとそうではない。そういう人間もいる、と言う話だ。多くの人はこのような引き返すことが出来ない生き方を選んでしまうが、同時に多くの人はそんなはずないだろうと牙をむいて不軌をさらけ出す。  アロンゾとジェイクはその狭間を見て、お互いが決して選ばなかった方に歩を向けた人間だ。アロンゾは自分の言いなりになる追従者に支配者然とした圧力を当然のように掛けたが、ジェイクはそう考えていなかった。自分の人生とまるで交わらない人間であるという気持ちを確かなものにした。  マフィアを絡めた物語になっているが、根底に流れる人間の心理は誰の日常にも漂い得るものだ。恐ろしいのは、アロンゾのように抜けられないと思い込んで抜けられなくなるまで染まった人間は、自分の行為に酔っていることだ。端から見たら馬鹿じゃないのかと黙殺されるような事柄に恐怖感や閉塞感で他人を引きずり込もうとする。そうなる分かれ道に理由なんかない。人間の強さがあるかないかだ。  そういうわけでかなり骨太な映画だと思う。
[DVD(吹替)] 8点(2012-04-15 03:58:42)(良:1票)
73.  イーグル・アイ
驚きの既視感。 実験的とすら言える新しさの無さ。ちょっとスゴいんじゃないのかこれは。 観ながらもしかして……と思った瞬間その通りに起こる。事件事故。先入観をなくしてすら頭によぎる。  とは言え、自然さを追求している映像が結構好き。SFと言えばSFで、現代劇だがキーとなるSF的オブジェクトが最小限に抑えられていて、話のバランスが非常に良い。普段この手の映画を全然観ない人が最初に観るとしたら非常に高品質だと思う。  話そのものは可もなく不可もないのだが、製品としての作り込み度は相当に高い。
[DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2012-04-15 00:24:54)
74.  アイランド(2005) 《ネタバレ》 
結構良く出来てる。 画も綺麗だし、話もそつがない。  ただ、80年代の懐かしい管理社会ものを今やるには設定が雑過ぎるような気がする。設定を気にしなければ結構楽しめるが、それほど先の未来ではないはずなのに、飛ぶ乗り物が出てきたりネットがあるんだかないんだか解りづらかったり。  それから様々なSF的なデバイスが、雑。これがまずかった。オーパーツ過ぎる。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2012-04-14 23:33:51)
75.  ハルク 《ネタバレ》 
絵に描いたように可もなく不可もなく。 CGとかの完成度とか結構凄いし、アクションシーンもよく考えられてるんだけどやっぱりなんというかひと味も二味も足りない。 量産型という感じのお話だった。
[DVD(吹替)] 5点(2012-04-14 21:07:14)
76.  ファイナル・デスティネーション 《ネタバレ》 
そこそこおもしろかった。 加害主体が誰なのか、何なのか解らないところが良さなんだろう。 スプラッターな感じの話はあまり好きじゃないのだけど、結構楽しめた。  それにしても家の中の角とか尖ったものが恐ろしくなる。机の角とかガクブル。
[DVD(吹替)] 6点(2012-04-14 20:43:58)(笑:1票)
77.  かいじゅうたちのいるところ 《ネタバレ》 
なかなか面白かった。  あの島がなんだったのか。マックスの妄想が作り出した虚構では有るのだろうが、手のつけられないあの荒くれ者でかいじゅうな彼らがマックスを癒して、しかるべき道筋に乗せてくれたのは決して都合が良い空想であるということだけでは無い。  ゆったりと、哀しくもないのにそう言う風に流れていく時間。子供の頃、親戚の家で年下のいとこたちと留守番をした日を思い出してしまった。何をして遊んで良いのか解らず、ああやってよく分からない王様ごっこを順番にやったのだけど、同じように飽きてしまってみんな疲れて黙り込んでしまった。 それぞれが夢中で役割をこなす内に、求めてるものは無いんだなって気づいてしまうとうちに帰る時間が猛スピードで近づいてしまっているのに気がついた。  そうやって迎えたおうちに帰る時間は、そんなはずは無いのに妙に切なかった。映画を見終わってしばらくすると何故か記憶の中でこれが選び出されて、頭のストレージから引っ張り出されてきた。  子供の頃、確かにあんな風にちょっと怖くて、我が儘を言えて、我が儘を言う仲間が居てくれる島に行ってみたかった。でも実際に行ってしまうときっとああやって切なくなっちゃうんだろうな。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2012-04-12 01:32:33)
78.  レスラー 《ネタバレ》 
叫び声がいくつも、いくつも重なって画が暗転したとき、少し感動した。でも、何に感動したのだろう。彼の人生にだろうか。  ランディが本当に実在したのは、彼の中で80年代を生きたラムというプロレスラーの中で。90年代に入ると、ショウビジネスの変遷はそこに居た誰もが考えるよりも速く、容赦が無かった。そうだ、僕たちが生きた90年代も、彼が生きた90年代も自分が考えるよりも速く移り変わっていき、そうして終わった頃にはたった10年が何十年前と同じようにレトロな記憶になってしまった。  その時代をプロレスラーとして生きたことは、彼にとって実は幸運だったのかもしれない。僕たちが今、普通に暮らしているこの瞬間も、彼が普通に暮らすことが出来なかったあの瞬間も実は何かに寄り添って生きている。でも、寄り添うことが出来る何かは彼にとって適当でも優しくもなかった。それは彼自身が蒔いた種に他ならないのだけど、そんな彼がずっと昔は誰よりも優れた人間で居られる時代にいることが出来たのは間違いない。僕たちの多くは彼のように誰よりも高いところに立って大活躍はしていないだろうから。  それを何十年も引きずっていた彼を、なすすべもなく見つめるしかないのが僕たち。そして、僕たちの中にも彼のような僕らが居て、救いをどこかで欲しがっている。そうしている内に、彼は諦観に押しつぶされて燃え尽きようとしてしまった。  ラムジャムを繰り出すあのほんの僅かな瞬間。彼の中で確かなものが完全に終わったのが聞こえた。僕らはその音を間違いなく聞いたけど、無情にもフィルムはそこまでだった。 でも、もしかしたらそれは慈悲のようなものかもしれない。だって、あの後、あれ以上続いたら涙が止まらないと思うから。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2012-04-12 01:16:19)(良:1票)
79.  アヒルと鴨のコインロッカー 《ネタバレ》 
面白かった。すごく良く出来てた。 小説の映画化ってたいていうまくいかないものだが、こんなにうまくいっている物を久しぶりに観た。ストーリーラインだけを借りて、雰囲気は全然独自の物に収まっている物が映画として完成度の高い物になることが多いように思うが、これって作者の雰囲気が結構ある。それでいてコスプレや物まねのような単なる動画化ではなく巧い。かなり試行錯誤と作り込みに力を割いたに違いない。   で、本作は小説の方を読んでない物を選んで観たのにそう感じた。この映画を作った人たちってすごいと思う。省きどころをきちんと選んで、きちんとストーリーを活かす技術があるんだよな、この国の映画は。誇らしい。  ベースは本当に切ないやりきれない話なのに、それだけの物に感じさせない。作者のテイストが心地よかった。この後の人生がどうなるのか。河崎と椎名二人の行き先に交差の予感がない、寂しさがいつまでも残る。
[DVD(邦画)] 8点(2012-04-10 15:03:43)
80.  マイアミ・バイス 《ネタバレ》 
そこそこ面白かったが、話としてはテレビシリーズを小一時間でサクッと何話も観た方が満足感が高いのには参った。マイアミバイスって好きなドラマだから補正が掛かってるけど、全然思い入れがなかったらどうなんだろうか。映画と言うよりは、二時間ドラマとして観たらイケるのだろうか。  ともあれ、リメイクされたとき結構喜んで観た。ソニーのキャラが立ちすぎてリコが全く空気だったのには違和感が大きかった。 おかしいな。微妙になんか腑に落ちないエンディングまで、マイアミバイスのお約束を網羅してはいるのだが、なんか違うんだよな。  これを観て一番しみじみしてしまうのは、やっぱりドンジョンソンってカッコ良かったんだなってところ。ジェイミーフォックスがもったいないとか、映像の美しさとか置いといてそんなところに気が行ってしまう。   あと、見終わってから半日経って気がついたけど、で、結局、FBIの裏切り者を探す件って途中から無くなってる。作ってる途中で大勢が同時に設定忘れちゃうのって凄い現象。でも現実に起きているからこう言う形でリリースされちゃうんだよね。これはひどい。
[DVD(吹替)] 6点(2012-04-08 18:17:28)
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