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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 577
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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61.  横道世之介 《ネタバレ》 
87年といえば私は中学生。あの頃自分の頭の中は、期末テストの順位、部活でレギュラーを取ること、同じクラスの気になるあの娘のこと、そしてドラクエのレベルを上げることくらいであったか。あ、ジャンプの発売日っていうのもあったな。視野が本当にせまくて、世間はバブルで浮かれていたなどと当時は気が付きもしなかった。(というか、自分のことで精一杯で世間に目を向ける余裕などなかった、というべきか) 前置きが長くてスミマセン。この映画で秀逸だったのは、当時の雰囲気を完璧に再現していることは言うまでもありませんが、やはり、横道さんは誰なのか? を視聴者にアナウンスするタイミングでしょう。あえて冒頭でもエンディングでもない部分に持ってきたところに監督のセンスを感じます。ここを分岐点に以降は映画自体がセピア色した全く別の姿に変貌します。時折映し出される現在の光景もお見事で、彼のいない虚無感が恐ろしいほど蔓延していました。前2作も良作だった沖田修一監督、私の中ではこの監督の作品は品質保証マークが付きました。まだお若いし、この先が本当に楽しみな監督であります。
[DVD(邦画)] 8点(2013-12-09 14:32:55)(良:2票)
62.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
難民問題や密入国といった深刻なテーマを扱いながら、そこまでの重苦しい空気はありません。いやむしろ、年老いたバンドマンに一曲まるっと演奏させたり(笑)、アキ・カウリスマキ監督ならではの遊び心が随所に効いていて、思わずニヤリとさせられる場面も多い。世界には深刻な(人権)問題は山ほどあり、私は映画を通じてそれを伝えたいが、やはり映画は娯楽であり楽しくあるべきである。こういった監督の流儀、映画を撮る上での哲学が本作でもよく伝わってきます。登場人物たちは総じて、人生の成功者ではないが人間味のある描き方をされていて、それはとても好感が持てました。そして淡々と観ているうち、黒人の少年が不意に言い放った「あなたのことは一生忘れません」の言葉には強く心を打たれました。本作に込められた、弱い者同士みなで助け合って生きていこう、というメッセージに私も心から賛同します。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-20 22:11:26)
63.  ブータン 山の教室 《ネタバレ》 
良くも悪くも、ブータンという国を世界に発信する「PR」映画、といった内容です。ただし、作られること自体にとても意義のある映画とは思いますし、見たことによって得られたもの、私がブータンの人々に教わった「こころ」の価値を考えて、この点数とさせていただきました。 道中の、コイナ村 (と言っても人口3人) 。貧乏なので裸足で暮らす父親、その幼い息子はピカピカの靴を履いている。これは端的に、ブータンという国を私に教えてくれたエピソードでした。 標高4,800メートルのルナナ村から眺める絶景、生徒たちの純朴な瞳、、全てが忘れ難いものです。当然、この環境では、食べ物、物資、、その一つ一つの有難みも、全く違うでしょう。 見ていて、「二十四の瞳」を思い出しましたが、青い大空の下、小高い緑の丘、ギターを持った先生、そして生徒たち、、「これは、このシチュエーションは、、あれが来るに違いない・・・」 ビンゴ! サウンド・オブ・ミュージック!! ですよね? (歌は違うけど) なお、国民の幸福度が高く「幸せな国」として有名なブータンですが、残念ながら近年は下方修正しているそう。情報の普及により、色々な世界を見て知ってしまったから、、でしょうけど、、それならば、ルナナ村のように外界から僻地で情報に乏しいこと、これも幸せの一つの在り方なのかと考えさせられます。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-24 22:43:36)(良:1票) ★《新規》★
64.  ちょき 《ネタバレ》 
まず、導入部から波多野青年 (吉沢悠) の日常を丁寧に描いており、とても好感が持てる。続いて、美容室にて常連客たちとの軽口があり、彼の人柄や人間関係もわかりやすく、実に手際が良い。 やがて、満を持してサキ (増田璃子) が登場すると、まるで「そよ風」が吹いたように、映画全体が爽やかな空気に包まれた。 その彼女が青年と二人、バイクに乗って海岸線沿いを颯爽と走り、マリーナシティを楽しみ、砂浜を歩く。それだけで視覚的には十分に楽しめるものだが、、しかし、彼女は盲目だ。バイクの疾走感と彼の背中、海のかおりと潮風とつないだ手の感触、、我々も一度は目をとじてみて、彼女の「体感」を想像してみるのもいいだろう。 神社の「絵馬」のメッセージが感動的なのは、その前段において、サキが見えない目で書道に取り組んだからである。それはつまり、伝えたい言葉を (つたなくても) 自分で書きたい、、そう思わせる下地があったからこそ。 全体的には、透明感ある青と白を基調とした、色合いのキレイな映画だったと思う。 また個人的には、なぜだか「ジョゼと虎と魚たち」を思い出す映画だった。 最後に余談だが、和歌山県産の映画に好作多し。大げさではなく、有田みかん、紀州梅干、と併せて、もはや "和歌山三大特産物" に認定したいほどだ。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-04-12 21:26:43)(良:1票)
65.  ウインド・リバー 《ネタバレ》 
ストーリーはありがち。 しかし、ジェレミー・レナー演ずるコリー・ランバート、この男たった一人の存在によって、この映画一本がズッシリと観応えあるものとなっていた。 舞台は見渡す限りの白銀の世界。 あたり一面の「白」に同化して潜むその姿は、雪原のプレデターの如し。 射撃の腕前は正確無比、一度狙った獲物はアメリカン・スナイパーのように外さない。 そして、命を救った女性捜査官には見返りを求めることも、もちろんない。 強く、優しく、高潔であれ。その美学には、西部劇のC・イーストウッドを観た気がするのである。 しかし、そのジェレミー・レナーさん、その後プライベートでは重機による除雪作業中の事故で大ケガをされたとか。「雪原のプレデター」らしくない大事故だが、、どうか一日も早い回復を祈りたい。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-04-02 23:03:56)
66.  島にて 《ネタバレ》 
山形県唯一の有人離島「飛島」と、島に住む人々の暮らしに密着したドキュメンタリー映画。 まず、上映開始直後の巨大なタコに思わずニヤリ。ちょうど、今日の晩酌のつまみにタコの唐揚げを考えていたからだ。私がスーパーで購入した真だこは130gで550円、いったいこの巨大な真だこはその何食分になるだろうか (笑) さて、本作は島民の方たちの素朴な暮らしぶりがよく伝わる内容となっていた。 映画的な出来映えとしては、場面が変わるところの挿入画に監督の光るセンスを感じさせた。 島の緊急ヘリポート。 放し飼いになった山羊。 寂れながらも生活感のにじみ出る古民家の数々。 はるか海の向こう (の本土) にそびえ立つ雄大な鳥海山・・・。それぞれ、この島ならではの風景を厳選しており、いつの間にか私は次の挿入画を心待ちするようになっていた。 本作は、島の過疎化問題への取り組み (島おこし) が大きなテーマとなっている。その事例として、UターンやIターンによる新規サービス業や、バーベキューイベントなど催しの様子も紹介されていた。しかし、とても良い取り組みであると素直に思う反面で、島おこしが大当たりして多くの人と喧騒で賑わい、まるでリゾート地のように開発される島 (の姿) もあまり想像したくない自分がいた。 手付かずの大自然。 140人が暮らす島。窓から海が一望できる教室で、たった一人の生徒にたった一人の先生。 それはそれで、この島ならではの贅沢だろうし、誇りたい文化でもあるように思えたからだ。「飛島」自身は、どう考えているのだろうか? 少し身勝手な意見になったが、、この島の古き良き文化を残しながらの、飛島と島民みなさまの繁栄を願いたい。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-01-29 23:08:08)
67.  お父さんと伊藤さん
お父さんと伊藤さん、そして語呂悪く題名から除外された娘さん。(山中彩34歳) 同居しながらも、心のうちを見せず、心のうちに踏み込まず、ほどよい距離感・緊張感が持続する心地よい120分。部外者であるはずの伊藤さんによる機転・気配り・先回りによって、何とか成立していた父娘の関係性。きっと、彼は人生を2周目なんだろう。だから、何でも知ってるんだろう。もちろん、2周目の余裕からもう仕事にこだわるようなことなどしないし、欲もない。うん、そういうことにしておこう。(ファンタジーだし) お父さん74歳、伊藤さん54歳、山中彩34歳。 どうりで、父娘の間にピッタリおさまる伊藤さん。でもこう並べると、(彼に) 14歳の隠し子がいそうな予感の今日この頃。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-01-15 19:24:05)(良:1票)
68.  さんかく 《ネタバレ》 
百瀬、佳代、桃、という、主要な三人については、みなさんのレビューで大いに笑わせていただいたし、その人物評については出尽くしておりますので (笑) 、あえて別の切り口から一つコメントを。 本作、と言うよりは、この監督のほとんど全ての作品で言えることですが、年頃の少女が主演のごとく登場するにもかかわらず、「親」が全く登場しません。(壊れた父親、がいることはある) 三人の会話の断片にちらっと登場しても良さそうですが、それすらない。 かつての相米慎二監督は、その作中において、子になおざりな親たち、離婚寸前の親たち、、といった、大人の不在 (喪失) を通して子供たちの成長、を描いていましたが、吉田恵輔監督の支柱はそこに近いように感じています。(そもそも、田畑智子、一夏の物語、お引越し、親の不在、といった本作のキーワードから、相米慎二監督「お引越し」へのリスペクトは隠せません) もちろん、本作を恋愛劇として観るなら「さんかく」ですが、桃という子供、に対して、百瀬、佳代の二人は未成熟な大人、、その視点で観ると、大人たちが不甲斐ない歪な家族ドラマのようにも見えるのが本作の面白いところ。 しかし、二人の監督それぞれ個性があり、相米監督はあくまで "家族" がテーマですが、吉田監督は "恋愛群像劇" にこだわっているようです。それも、いじわるで挑発的な (笑) 実は、優しくて愛がある、というところは同じかな。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-08-17 12:01:05)
69.  福福荘の福ちゃん
私見ですが、これは「性同一性障害」がテーマではありませんか。 もちろん、ストーリー上は全くそういう話ではありません。しかし、そうでも考えなければ、男らしい外見の女性が男の役を演じる、という、このキャスティングの意味を他に説明できない。つまり本作は、自身の性別に強い違和感を感じている女性にむけて、「こういう生き方もありだよ」という映画であり、この "隠しメッセージ" に気づかなければ、ただの話題性重視のおバカコメディで終わってしまう。 大島さん、この仕事をよく引き受けたと思います。きっと、あなたの姿に勇気づけられた方、大勢いらっしゃいますよ。 ※なお、大島さんが「性同一性障害」と言っているわけではありません。そこはご理解いただきたく、お願いいたします。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-13 21:35:50)
70.  こっぴどい猫 《ネタバレ》 
この、こっぴどい猫ほどじゃあなかったけど、こういう娘、自分の人生でもちょっと心当たりがありますわ。 さて、客観的にコメントを。(無責任なことばかり言うぞ~ 覚悟しとけよ~ モトさん 笑) 二人は交際するに至っていない、つまり高田さん (モト冬樹) は相手を責めることはできない。でも一回くらいは手を出しておけばよかったなあ、、そういう後悔ともどかしさばかりが、悶々と後を引くパターンよね。 しかし、お金をわんさか貢がされたわけでもない。まだ (彼女を) 手に入れてもいないので、失ったものは何一つない。(よね?) だから、楽しい時間をありがとう、、そう前向きに考えましょうや、和製ニコラスケイジこと、モト冬樹さん。 全編にわたって、あなたの哀愁が漂いまくりでした。 最後はたいへんお気の毒でしたが、かなりオモロかったです。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-13 22:09:55)
71.  おじいちゃん、死んじゃったって。 《ネタバレ》 
おじいちゃんは死んだ。だからもちろん、台詞はない。それなのに、まるで「桐島、部活やめるってよ」の桐島のごとく、いないながらも (いるけど) 抜群の存在感で、一族たちを混乱に陥れてゆきます。 日本映画は、冠婚葬祭の「葬」にまつわる映画をやらせたら、まずハズレがない。期待した通り、古臭い慣習に振り回され、てんやわんやの一族たちのお姿にニヤニヤと笑いの絶えない105分でありました。不意打ちのように、時折、ほろっとさせるところもよかったと思えます。 家族の「死」は確かに不幸です。しかし、散り散りになった一家を否が応でも結集させる、という大きな役割を果たしており、だから死という不幸の中にも一見の「幸」あり、と私は思ってます。 全体を通して一言苦言を言わせていただくなら、吉子ちゃん (岸井ゆきの) 。大切な人の死に対する感度は、人それぞれだ。だから、「悲しくないの?」とか、感情の決めつけと押しつけはやめた方がいい。あなたが、まさにその時セックスをしていた、という居心地の悪さから、悲しいフリだけでもして罪悪感から免れようとしていたようにも、私には見えましたけど。 また、本作は岩松さんと光石さんの絡みが面白かったです。大いに笑わせていただきました。二人にとって、「口げんか」はコミュニケーションの手段であり、コノヤローバカヤローには間違いなく愛がこもっていた。この兄弟、決して仲は悪くない。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-12 22:57:38)
72.  友だちのパパが好き 《ネタバレ》 
前半だけを観るなら、ユルくて笑える恋愛群像劇風であり、どこか今泉監督の映画を彷彿させます。しかし後半は一転して、かなり痛々しいブラックコメディとなっている。(まるで、ヒメアノ~ルのごとく、その導入部からは予想もつかない、、) さて、映画の様相が変わるに当たって、大きなターニングポイントがあります。マヤがパパの愛人ハズキに対して、「初めまして、妙子です」としゃあしゃあと挨拶する場面。ここで初めて、マヤの「悪意」が示されたわけです。ただの純愛娘と思っていた彼女は、かなりの悪女だった。すると不思議で、今度はパパが被害者のようにも思えてくる。確かに彼はダメパパではあるが、下半身に脳ミソがある典型的な無責任男で、悪意はなかった。(と思ってる) ハズキは不倫の当事者だし、ダメ教師はダメパパを刺した。 一昔前に、妻夫木くん主演の「悪人」ていう映画があったけど、本作はよく似ていると思います。本当の悪人は一体誰なのか、第三者 (視聴者) に揺さぶりをかけてくるあたりもよく似ている。 本作は、含みのある終わり方が秀逸でした。マヤが病室に入ってきたけど、もしかしたら、ナイフを忍ばせていて、パパと今度こそ心中するつもりだったのかもしれない。なぜなら、私が制作者であったなら、二人が愛の逃避行をするならば、最後に空と太陽ときれいな海の見える丘で "未来" を描写するから。でもそうなっていたら、残念ながら点数は2点をつけていたけどね。 病室で終わったということは、二人は病室で終わる、ということ。悪意なき妙子とミドリの人生をメチャクチャに破壊したお二人は、潔く罪を償うべきだ。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-12 22:51:54)(良:1票)
73.  サバイバルファミリー(2017) 《ネタバレ》 
ソフトなパニックムーヴィーで、お気軽に楽しめました。 やはり、小日向さんファミリーが、本当にサバイバルしているところがよい。(大雨、野ぐそ、豚と格闘、いかだ作りに川渡り、、) 高速道路の交通網を遮断して撮影したり、意外と制作費もかかっていますよね。 生活必需品がほぼ品切れ状態のスーパーマーケットの光景とか、どうしても「3.11東日本大震災」直後の買い占め状態を思い出してしまったけど。 この家族を見ながら、色んなシミュレーションができて楽しかったけど、こういう大混乱 (パニック) は、ある意味では日常生活の「ありがたみわかり機」ですね。電気、ガス、水道。(ライフライン) 魚、肉、飲料水。(食全般) 車、電車、飛行機。(交通網) あってアタリマエなので、いざ無くなってみないと、そのありがたみになかなか気がつかない。 そもそもですが、身体が健康であること、そして家族がいること、、その「ありがたみ」に気がつきたい。一人暮らしのお年寄りとか、病人やケガ人からしたら、こんなに笑えるコメディになりませんよ。 そうそう、スマホがなくても生活できるには賛成、都心の星空の美しさに感動。 色々な意味で「気づき」のお話でありました。
[DVD(邦画)] 7点(2022-05-09 20:49:45)
74.  名前 《ネタバレ》 
待ちに待った (笑)、個性派の津田寛治さん主演作。 実に彼らしい得体の知れない役どころであり、ナイスキャスティングであったと思えます。 鈴木、吉川、石井、、いくつもの名前を持つ彼でありましたが、その人柄もあって、どうにも悪人には見えません。むしろ、彼の生き方が少なからず羨ましいと思えてくるのはなぜでしょう? 人生のしがらみに疲れた人にとって、今の自分を捨てて全くの別の自分として生きていきたい、、という、ある種の潜在的な欲求に彼が応えているからかもしれませんね。 笑子 (駒井蓮) が正男 (でよいのかな?) の人生に一方的に割り込んできて、彼の生活を面白おかしく翻弄したこと、、これは彼女の生い立ちを知った後では、私はこのエピソードに笑えません。なぜなら、子は親を選べない、が世間一般のセオリーであるなら、親は子を選べない、という、逆の立場になってよく考えてみろ、という痛烈なメッセージであるからです。 正男が複数の名前を使い分けていること、とか、笑子が演じる彼の娘役や女優D、とか、それはつまり、生きていくことは (いくつもの) 自分を演じること、、というお話でしたが、まずはブレない自分が前提にあること。 (そう、川を走っても決してブレることない舟の船首のように) 本作の「名前」とは、「自分」に置き換えられると思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-05-01 22:58:01)
75.  カセットテープ・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
私は、ブルース・スプリングスティーンはあまり聴いたことなかったけど、もちろんロックは大好きだし、自作のお好みカセットテープをウォークマンで聴きながら、毎日チャリで高校まで通った者として、懐かしくもあり共感できる音楽系青春映画、だったと思う。 作風として「シング・ストリート」や「ウォールフラワー」あたりとよく似ているけど、はっきりと違うのが、この映画は何から何まで彼の名曲ありき、というところ。彼の代表曲をつなげてみて、そこに脚本を乗せた感じ。他のアーティストの曲もいくつか出てくるけど、Bossの前座的な意図ではありませんかな。満を持して、御大のご登場!! はい、それが目的。 音楽映画って、登場人物たちに演奏をさせてしまうと、そこに時間を割いた分、どうしても人物描写が足りなくなる、といったジレンマがありますが、本作はいい意味でバックミュージックなので、そつなくジャベドという人物、その心の声がよく描けていた。 彼 (Boss) は、自分が体験したことしか、歌に書かない。(だったかな?) ジャベドが最後にスピーチしたその言葉の数々、それがなぜ心に響いたのか、まさにそこにもリンクしていますよね、いい映画でした。 ストーリーに関係ないところでは、ジャベドさんが「ジェイ」ってニックネームで呼ばれていたけど、私は彼がジェイク・ジレンホールに見えて仕方がなかったな (笑)
[インターネット(字幕)] 7点(2022-02-13 12:55:53)
76.  エクストリーム・ジョブ 《ネタバレ》 
面白かったです、この5人。 確かに、彼らのお顔からお姿から、そのコメディっぷりから、80年代の香港映画を懐かしく思い出す映画でありました。個人的には、なぜか「ハイスクール奇面組」の5人を思い出しちゃったけど。(女性の方、ゴメン!) 観終えてからよくよく振り返れば、彼らのような猛者たちが署長にペコペコしたり、チキンを揚げてはお客さんにペコペコしたり、、こういう、能ある鷹は爪を隠す「情けなさ」と、最後のバトルの「勇ましさ」、このギャップこそが気分爽快だったと思えます。 ついでに、本作の監督はイケメンのイ・ビョンホンという、そのギャップもまた可笑しい。 脚本が実によいので、例によってハリウッドによるリメイクがありそうですが、、でもそうなった場合、ケンタッキー・フライド・チキンの国としてはどうするんだろう? って心配は余計なお世話?
[インターネット(字幕)] 7点(2021-10-07 14:10:57)(良:1票)
77.  シェフ 三ツ星フードトラック始めました 《ネタバレ》 
まず、「料理」をモチーフにした映画として、ちゃんと料理をしている、そしてその出来上がった料理が美味しそう。ここはポイント高い。やや展開が都合よすぎる感じはしますが、こういう観終えた後に元気の出る映画はキライじゃない。 それはさておき、個人的にすごく感じたことを。 あくまで料理の映画ではありますが、モノを作るプロが (一人) いて、そこにまつわる人と経営と評価とお金、という、本質的には「ビジネス」のお話。すると本作は、「アイアンマン」シリーズのジョン・ファヴローだし、ハリウッド映画界の大作至上主義 (金満主義) とか、その映画評論家たちへの当て付けですかね、そのあたりの含みをどうしても感じるんです (笑) フードトラックとキューバサンドの組合せは、ミニシアターと良質な低予算映画の愛すべき関係を意識してるのかなぁ、って。 監督、本当は「クレイマー・クレイマー」みたいの、撮りたいんじゃない?
[DVD(字幕)] 7点(2021-08-31 13:38:05)
78.  RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ 《ネタバレ》 
1作目、そして近年に公開された「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」と合わせた鉄道三部作 (勝手にそう呼ばせていただく笑) の中では、最もよかったです。 まず、他の二作にありがちな登場人物たちの唐突な心境変化がなくて、人物を丁寧に描けていること。そして、他二作と比較して、必ずしも電車や鉄道ばかりに執着することなく、あくまで仕事としての鉄道員(と看護師)、その誇りとか、人の命を預かる責任感とか、、これは普遍的な「仕事」の映画として秀逸でした。 また、熟年離婚というテーマも併せ持っていて、うまく仕事と家庭の問題を織り交ぜながら、大人の恋愛ドラマとしても観応えある内容だったように思えます。もちろん、観応えがあるのは、三浦友和さんと余貴美子さんの好演があるからこそ、それは言うまでもなく。 しかし、、日本の田舎の風景をたった二両ほどの電車がてくてくと走っていく、、この光景はなぜにこれほど心が癒されるんでしょう? 個人的には、日本全国、場所を変え、人を変え、エピソードを変え、これからも続けてほしいシリーズではありました。 そういえば、彼が高校時代? の恋人と再会した件、その後の関係はどうなったの? と思うし、これについては、やや消化不良なエピソードに感じました、はい。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-06-21 12:08:47)(良:1票)
79.  犬猿 《ネタバレ》 
まず、四人の兄弟姉妹に対して、四人の役者たちが全く違和感なくハマっていて、とてもよいキャスティングだったと思えます。(これ重要) ちなみに私は兄と弟がいるけど、私の経験からして、ハッキリと言いたいことを言い合える、ってのは仲の良さの裏返しみたいなもんだ。本当に犬猿の仲なら、ほとんど口を聞かず目も合わせずお互いに干渉することすらないし。でも、こんなふうに吠え合って引っ搔き合うような関係、だからこそ「犬猿」なんでしょうけど。 問題児ばかりの本作ですが、登場人物たちの素行や性格については、割と温情的な描き方をしています。しかし、夢や希望を持つことには徹底的に現実的。どう見たって、この兄では、起業や商売は無理だろうし、この妹では、女優は難しいでしょう。そしてこの姉さんでは、彼とは不釣り合いな気がします。つまり、「分相応に生きろ、そして人に迷惑をかけるな」という、根は実にシンプルなテーマのお話。だから、(自分に近い) 誰かに感情移入するのもアリですが、唯一ご自分をよくわかっている弟さん、彼の目線で客観的に人間観察をしても面白い映画かもしれません。 個人的には、吉田大八監督「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」を思い出す映画でしたが、ご自身のオリジナル脚本で良質な映画を撮り続ける吉田恵輔監督にこれからも注目したいと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-06-12 20:38:33)
80.  ミッドナイト・バス 《ネタバレ》 
雪がちらつき、旅情を感じさせる新潟の風景に、利一という不器用男の人生路線。なんとなくですが、かつての降旗監督と高倉健コンビ作を彷彿させる味わいがありました。 しかし、本作を平成の「現代劇」としてハッキリと認識させてくれるのが、登場人物たちの中では唯一今風で明らかにまわりとは色合いが違う娘さん (葵わかな) の存在で、そのコスプレとか、大人たちにはっぱをかけるその姿とか、彼女の一挙一動が映画をがぜん面白くさせているように思えました。 そして、多くの方が言われているように、これは長い、、とても長い映画でした。 しかし、この157分という長いストーリーの中で最も重要な場面はどこか? と言われるなら、私は利一が志穂に別れを告げる場面ではないかと思えます。一見、彼女に対して冷たい仕打ちのようにも見えます。でも、「長い目で見ればいいことだ」という言葉から察するに、美雪との関係をしっかりと清算してから、また志穂の元に戻りたい、という彼なりのケジメ (覚悟) だったようにも思うのです。しかし、その真意はうまく伝わらなかったように見えるし、こういう不器用さ、優柔不断さがいかにも彼らしいと思う。 思えば、この映画は、利一 (としかず) と書いて「りいち」と読むことにこだわりました。また、白鳥 (しらとり) は「はくちょう」でもよい、とも。それなら私は、優柔不断と書いて「優しさ」ということにしておくよ。 人生を長く生きていけば、家族、女性、、その人間関係も広がっていく。だから、気遣いのできる人、彼のように人に優しい人ほど生きていくのは苦しいのかもしれません。 最後に見た家族写真には別れの予感が漂います。やがて離散し、扇の要も時代とともに変わっていくけど、それでも不器用に愛し合う人や家族を描いた良作だと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2021-06-01 12:46:06)(良:1票)
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