61. サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-
《ネタバレ》 はい、またネット映画ですよ。 Netflix映画がアカデミー賞で幅を利かせ始めて以来、昨年のコロナの影響で近年調子あげまくりのネット映画ですよ。 いえね、ネット映画は悪いとは言わない。 でもなんだろう…昨今の映画の、小粒感… 面白いけど歴史に残るかっていうほどでもない佳作が多いこと多いこと…。 そしてネット映画の最大のデメリットは、配信サイトと契約しないと見れない敷居の高さもあって レビューサイトの感想が少なかったり、レビューページの開設が遅いこと。 見たい映画だけ見るためにお金を払ってはい終了っていうのと違って、「『サウンド・オブ・メタル』を見るために、アマゾンプライムに契約しないといけないのかぁ…」ってなってる人も少なからずいると思うんですよね、二の足踏んでるみたいな。 まぁ、コロナと一緒で、いやがおうにも適応していかないとダメな時代なんでしょうけど。いやな時代ですね。 特にこの映画、アカデミー賞で音響賞を取ったくらい、音が命。 聴覚障害の主人公の音の聞こえ方(素の状態での人の声や物音の聞こえ方、収音マイクの聞こえ方など…)が作品の見どころのひとつなので、劇場公開なしで家のTVやPCで見ろってのも、もったいないですしね。 WOWOWの授賞式の放送で、ゲストのケンティーが「ぜひヘッドフォンで聞いてほしいです」って言ってたけど 新作でアカデミー賞2冠の作品を、ちっこい画面でヘッドフォンで聞かなくちゃいけないなんてね。 うちはYAMAHAのスピーカーをTVとは別に入れているので、ある程度いい音では聞けますけど、やっぱり見るなら劇場のほうが いいでしょう。 …と一通りぼやいたあとで。 作品の内容はまぁまぁです。 耳が聞こえなくても何とかドラマーを続けたがる主人公。無茶な男です。 聴覚障害者のコミュニティに入る際は、外部といっさい連絡禁止なのに コッソリと運営者のオフィスに侵入してPCで恋人と連絡とっちゃう。我慢ってものをできない男です。 気持ちのもちようをどうにかするんじゃなくて、手術で治したいって、音楽機材もトレーラーも売り払い 手荷物ひとつになってでも、なんとしても手術を受ける。短気で強引です。こうと決めたら頑として気持ちは変えられない。 でも収音マイクで聞く音は、雑音のように不快…人生は思うようにいかない。 彼女のもとへ戻ったけれど、彼女は彼なしの、金持ちパパのもとで裕福で何不自由ない生活の中で、腕をかきむしる自傷行為もストップしていて そこそこ幸せそう。もはや彼女を貧乏生活の道連れするわけにもいかない。 ”こうと決めたらやり抜く”性格で突っ走っても、その勢いで壁を突き破ることはできない。 壁にぶち当たり、どんなにあがいても聴覚を失ったことで、音楽も恋人も失うという現実に抗うことはできない。 自分は主人公と性格が似てるから、その気持ちよくわかる。 無茶して、それが後で無駄になって、途方にくれる。 ラストシーンでは、現実にうちのめされ、街中のベンチに座るルーベン。 人の足音、声、車の音…街の喧騒が、収音マイクを通して耐え難い雑音として響く。 美しい教会の鐘の音も、不気味なほどの不快な音となる。 ふと彼が収音マイクをとると、映画から音がさっと消え…スケボーで遊ぶ子供たちや、風にゆらぐ木の葉っぱが映し出される… そうだ、収音マイクで雑音にすがって聴覚を持つより、 収音マイクを頼らず、物を見て ”音を心で感じる”ことのほうが、幸せかもしれない。 おそらく彼はそう気づいた瞬間。 シーンはここで終わるが、たぶん彼はまたコミュニティに戻るだろう。 彼はそこでは歓迎される。 運営者の右腕になるか、先生になってほしいと言われていたのだから、あらたな生きがいをそこで見つけられるだろう。 アリシア・ディキャンベル似のあのコミュニティにいた女性とも、けっこう仲良しモードだったから おそらく彼女が新恋人になるだろう。 いくつかのハッピーな展開を想像させてくれる伏線を中盤でばらまいておく、なかなかうまい構成ではあった。 でもね、劇中にレズビアンな女性をモブとしてぶっこんできてるけど、LGBTに対して偏見ありませんみたいな 優等生っぽい作りにしてるなって感じて、そういうのがいちいち気になるんですよね。 あと、収音マイクでは雑音に聞こえるっていうことを、映画でさんざん有名にさせちゃったから 世界中の収音マイクインプラントをやってる病院の、営業妨害になってると思う笑 [インターネット(字幕)] 4点(2021-04-30 09:53:29) |
62. リミットレス
《ネタバレ》 主人公の男が、薬を元嫁の弟の家から大量にかっさらっていったら、まず最初に 「この在庫がなくなったらもう入手先はない。ずっと常用したいから、どうしたら増やせるか?」って考えるべきだと思う。 頭が冴え渡ってない私でもすぐそう考えるのに、なぜそこに思いが至らず、デニーロとの重要な会合の時にお薬ケチって飲まなくてドジふんだり、チンピラに「薬よこせやい」って言われた時に薬がなくてされるがままにメタメタにされてるのか、シラケてしまう場面が多い。 その最たるものは、常に持ち歩けるように特注スーツに、隠しポケットを作れって頼んだのに、全然隠しポケットじゃなくて普通の内ポケットになってるところ。 そりゃ、そんな分かりやすい普通の内ポケットの位置になってたら、薬持ってかれるに決まってますやん笑 普通隠しポケットっていったら、襟をぺろっとめくった襟の内側(背中側)とかにしますがな。 そんなこんなで、話を展開させるために、”おマヌケ場面”がたびたび登場するのが、ちょっと…っていう映画。 テンポはいいので最後まで見きれたけれど、また見たいかといえば、そこまで中毒性のない内容ですね。 [DVD(字幕)] 4点(2020-08-28 17:19:23) |
63. アリス・イン・ワンダーランド
《ネタバレ》 まぁもともとアリスの原作も、ナンセンスで意味不明なわけなので、この映画の中身も意味不明で構いません。 ヘレナ・ボナム=カーター、若い頃に「眺めのいい部屋」のお嬢様役とか「十二夜」のお姫様役をやっていた当時の姿が私の彼女のデフォルトイメージなので、バートンと事実婚状態になってからはすっかりバートン色に毒々しく染められているなぁと、バートン映画に出ている彼女を見るたびに思う。 アカデミー賞でも美術賞と視覚効果賞を受賞しただけあって、この映画は中身ではなく、映像のユニークさを楽しむものだと思います。 赤の女王の顔にしてもそう。 [DVD(字幕)] 4点(2020-06-19 13:16:26) |
64. 女王陛下のお気に入り
《ネタバレ》 もともといるベテランを、野心に燃えるシタッパが、あの手この手で策をうってはいあがり、やがてベテランを追い抜く… たとえば「ショーガール」のような痛快な物語だと思っていた。 だが、アン王女が、モールバラとアビゲイルを自分をめぐって戦わせて「私ってモテルゥ~♪」と悦に入っている中盤以降は、重くてただただ暗い物語だった。 ツンデレのモールバラ。 無償の愛を注ぐかのようなアビゲイル。 月と太陽のような対比を見せるふたりも、分かりやすいキャラ設定。 最終的には誰も幸せにならない。 アビゲイルにハメられ、最終的に国外追放となるモールバラ。 モールバラを追い出したものの、彼女から歩み寄ってくれる手紙が来ることを心の中では待ちわび、しかしアビゲイルのせいで手紙が隠され、最終的には本当に愛し愛されていたモールバラの喪失感にさいなまれ続けるアン。 成り上がっていくにつれて心がすさみ、夫への愛もなく、女王への愛もなく、酒を飲まずにはいられなくなっていくアビゲイル。 最後の場面は、ひざまづいてアンの足をもまされるアビゲイルだが、執拗なほどの長い時間それを見せつけられて、ふたりの表情がイラマチオにしか見えず、ひどい嫌悪感に襲われた。 予告CMのイメージとは違う、ドロドロバッドエンド。 昼間は、外光だけで照らされた城内。 夜はロウソクのオレンジに照らされる部屋。 リアリズム漂う光の表現だけは目を引いたが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-02-11 16:49:41) |
65. トレヴィの泉で二度目の恋を
《ネタバレ》 シャーリーマクレーンの、口のまわりのシワシワとか、もともとちっちゃかったオメメが、年を重ねてますますちっこくなってるとか、「甘い生活」の再現シーンで見せる、がっつり太くてでも枯れ木のようにシワシワで水分のない二の腕とか、とにかくもうシャーリーの姿が痛すぎて、そればかりに気がいってしまった。 おいらくの恋を描いた作品はいろいろあるが、男性については何歳になってもダンディ度が上がるだけであまり痛さを感じない。 実際のところ、アラ還俳優でいえば、ジョージクルーニーは17歳下の女性と結婚しちゃえるくらい魅力は衰えてないわけだし、ブルースウィリスは23歳年下、アレックボールドウィンは26歳年下、70歳前後の俳優でいえば、ハリソンフォードは23歳年下、リチャードギアは34歳年下の女性と結婚できるくらいイケ続けてる。(ギアなんて68歳で子供まで生まれるとかどういう肉体) しかし女についていえば、60を超えてしまえば、お年寄り同士の当人達がよければすべてヨシみたいな恋愛はもちろんあるだろうし否定はしないけど、やっぱりシャーリーおばあさんの水分の抜け切った枯れ木の二の腕や、スリットからのぞく枯れ木のような太い足を見て、寒気がゾワゾワしないではいられない。 「ジュリエットからの手紙」という私が好きな映画でも、60超えのおばあさんの恋が描かれているが、こちらはフィジカルな面をいっさい前面に出していないため、とてもすがすがしく見られた。 しかしながらこの映画は、シャーリーの肉体やら、イチャイチャを、おりゃおりゃと画面上で見せられて、まるで水分が抜け切ったマドレーヌを皿に乗せて目の前に置かれ「さぁどうぞ」とニコニコされているような、とにかく”受け付けない感”が半端なかった。 シャーリーのかわいらしさは健在であることは認めるから、ここまで肉体をさらさないでも彼女の魅力を引き出せるいい台本が作れなかったのかなと思う。 あと、プラマーにとっては彼女が二度目の恋かもしれないが、シャーリーにとってはプラマーは二度目の恋じゃないことは間違いないと思う。日本語タイトルの不覚。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-02-13 10:11:00) |
66. パーフェクト・プラン
《ネタバレ》 ギャングのボスが持っている金は汚い。だから、やつに使わせるなら、別の人間が奪ってイタダイチャっても、それはそれでありだ。 というのが、この手の、作品の大義名分だ。たとえばウォシャウスキーの「バウンド」やサムメンデスの「ロードトゥパーディション」などなど・・・ でも「パーフェクトプラン」については、最後がスッキリしない。それはおそらく、バウンドやロードトゥパーディションなど、”ギャングのボスの金を奪う系”の映画として成功している例と違って <イージーすぎる> からだと思う。 夫婦のどちらも犠牲が出ていない。途中でちょっと巻き込まれちゃった、奥さんの姉妹と赤ちゃんも無傷。 一番盛り上がるはずの、屋敷でのハンドメイド殺傷トラップでのスッタモンダのところも、敵はギャングAもボス&部下、ギャングBもボス&部下という、たったの4人だけ始末すればよいことにしているので、あっけなさすぎて物足りない。 もっと中盤部分をスピード感ある編集にして、屋敷でのトラップ場面の尺を大きくし、敵の数を3倍くらい&トラップの数も3倍にすれば見ごたえもあっただろう。 あるいは、夫婦どちらも、かなりの重症を負って全治数ヶ月レベルになっていれば、最終的にギャングの金の一部を手にするための”ひきかえ”として相当だった。 ところが、夫婦はケロっと、お金を手にして、しかも「自然妊娠でできたわよ!フフゥ!」というオマケまでついて、車に乗って颯爽と新しい生活をスタートさせましたとさ、めでたしめでたし・・・なんて、虫が良すぎて、嫌悪感しか残らない。 さらに、中盤で銃で撃たれて倒れたのに死んでなかった警部。終盤では衝突事故で頭から血が出たまま動かなくなったのにまたしても死んでなかった。 この警部の、撃たれても衝突しても「ボクは死にましぇん」的スタンス。 鑑賞者を上手にドキドキさせる脚本が書けないがゆえ、こうやって主要人物を、完全に死んだようにみせかけて、実は生きてました~みたいな、そんなくだらない戦法しかとれないところもがっかりした。 「ミザリー」を保安官を見習えと言いたい。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-01-05 09:12:58) |
67. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 SF大好物な私であるが、「オデッセイ」に関しては、ズバリ、私とは相性が悪い。この主人公の、取り残されたことが分かったときの落ち着きっぷりが、どうしようもないのである。 宇宙飛行士たるもの、いかなる非常事態にも冷静さを保てる強靭なハートを持つものであることは重々承知。 NASAの宇宙飛行士の訓練の9割が非常事態に対応する訓練だということも承知。 だが、何が起きても数秒間だけオーマイガッなポーズをとってみせた後からのただちに解決策をシュクシュクと行う場面も、何度も繰り返されるばかりでは、ワンパターンで単調なのである。 火星で穴があいた宇宙服のヘルメットの前面をガムテをペタっとはるだけで修理完了!とか 吹っ飛んだ小屋(アレは何という名前でしたっけ)も巨大なビニールシートをガムテをペタっとはるだけで修理完了!とか 「火星ってそんなにガムテだけで生きていける場所なのだろうか?」と、そのあたりのイージー感も没入感がそがれた理由だ。 宇宙に一人取り残されるというテーマでは「月に囚われた男」が傑作なのだが、主人公は企業の社員であって、宇宙飛行士ほどの訓練は受けていないしメンタルも弱いという相違点はあれ、「オデッセイ」と比べたら”ひとりだけ取り残されたもののココロ”がヒリヒリするほど伝わってくる。 (地球との交信もリアルタイムではなかったり、そもそも地球に帰還させてもらえる前提すらないところも、ヒリヒリポイントだ。) ならば「オデッセイ」はサバイバルに徹した作品として優良かといえば、よくよく考えれば、帰還計画についてはNASAの陣営のほうが尽力しているところが多く、実際NASA関係者がアーダコーダと話し合っている場面が、ダラダラするくらい長い。 「主人公が全然出てこないよ!」っていう場面が長すぎて、これはNASAのキャラが主人公なのではと思うくらいである。 かといって、たとえば「アルマゲドン」に登場するNASA陣営のビリーボブ・ソートンのような、個性がきわだつキャラがいるかといえば、まったく没個性の、上司&部下の”イカニモ”な顔ぶれがワラワラ出てきてアーダコーダと三流の企業ドラマのごとき帰還計画のやりとりをしているだけなのであるから、褒めようがない。 唯一心が揺さぶられたのは、マットディモンが前半ではムキムキマッチョの肉体だったのが、後半のシャワールームから出てきた場面ではゲッソリやせほそった体になっていたという、体重の増減も自由自在な役者根性のみ。 ところでコレを書きながら今ふとすごいことに気づいちゃったのだが、SF映画において、宇宙空間で主人公のサバイバルを描く場合、その主人公は、「オデッセイ」のように宇宙飛行士のようなプロではダメなのかもしれない。 思い起こせば、「アルマゲドン」は、ただの掘削屋だった。 「月に囚われた男」は、ただの社員だった。 あの「ゼログラビティ」は、ただの博士だった。 宇宙における危機トラブルに関する豊富な知識や経験を持ち合わせていないセミプロが主人公だからこそ、何かあったときの、取り乱し方も、それを乗り越えて、解決したときの鑑賞者の感動も、ひとしおなのだ。 いずれにしても作品としてのデキがよろしくなかった「オデッセイ」の中でも一番ワケがわからなかったのは、イモの水をあげるために爆発事故起こしてまで苦労して手作りの水発生装置を使って水を作っていたのに、後半あたりでシャワールームから”水”で洗いたての濡れた頭をフツーにタオルでゴシゴシしながら出てきた場面。 だったら最初から風呂場から水もってこいよ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-05-11 09:25:17)(良:1票) |
68. ビッグ・アイズ
妻の絵はビッグアイズ。 その夫はビッグマウス。 そういうこと。 [DVD(字幕)] 4点(2016-01-19 21:29:34)(笑:1票) |
69. 96時間 レクイエム
リーアムニーソンの娘が想定外妊娠。 彼女はそれをニーソンに黙っていて一人で悩んでいるが、刑事に追われるニーソンと学校のトイレで落ち合った際、個室トイレの中で突如ニーソンに妊娠を告白。 ニーソンはそんな娘を抱きしめるが、体育会系とーちゃんの脳内に、「妊娠した女性の体は気づかうべき」という思考回路はない。 母殺しの真犯人をつかまえようと、悪徳ロシア人のアジトに乗り込む際に、胎児の状態が不安定な妊娠初期の娘を同行させ、アジトの地下駐車場でニーソンとの通信係にさせるという、危険きわまりない仕事をさせるのである。母体のメンタルが胎児に与える影響など、体育会系とーちゃんにとってはおかまいなしだ。 さらに、そんな危険な状態においたものだから当然の流れで娘は真犯人に誘拐される。 するとニーソンは娘を人質にして小型ジェットで逃亡をはかろうとする真犯人を阻止しようと、ポルシェで飛行場の滑走路にツっ込み、車輪走行を始めて離陸態勢の飛行機にポルシェごと真横からヒット! 車輪を破壊し、ドカーン!! ! はらばい状態で急ブレーキがかかった飛行機は炎をあげながらガゴゴゴゴゴゴゴ・・・とぐるんぐるん回転しまくる。 ヤッタ!という表情のニーソン。しかし、娘のおなかの赤ん坊も、遠心力で胎内でぐるんぐるんはじき飛ばされているであろうことは、体育会系とーちゃんには想像することは不可能だ。 逃亡は阻止できたものの、胴体着陸の衝撃で、外部からの精神的&肉体的衝撃は避けねばならないデリケートな妊娠初期の妊婦はジェット機の中で座席からスっとび、真犯人にバシバシぶたれたり、銃をつきつけられる事態に。 娘が妊娠していることなど、娘を助けることだけを考えている熱血体育系パパの脳みそからは、完全にはじき飛ばされているのである。 かくして精神的・肉体的にもヨレヨレになった娘であるが、無事最後の場面では海辺で娘とニーソンは妊娠について話し合う。しかし。 「ママは殺されてしまったけど、今おまえのおなかの中にいるのはママのDNAが入っているわけだ。 つまり、唯一ママがいたことを存在する証明だよ。 だからパパはおまえにぜひ産んでほしい。 きっとその子はママの生まれ変わりだから。」 くらいのことを言ってほしかったが 実際は 「パパは寝ないで考えたんだが・・ ・・・ この件はおまえたちに任せるッ!!」 やっぱり熱血体育会系元CIAパパは、そのキャラクターどおり”家庭人”ではないということが立証された本作であった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-11-18 12:23:24)(笑:1票) (良:1票) |
70. ダンケルク(2017)
《ネタバレ》 30万人の決死の脱出作戦。 でもいまいち心に迫るものがないのは、脱出に失敗して沈没したりして命を落とした人たちの描写がライト過ぎるから。 上空からとらえた、海上で転覆しつつある船の様子とか、すでに転覆した船の上で座り込んでる兵士とか、そういうライトな描写で”沈没被害”を描くことが多すぎるのだ。 実際に魚雷が当たって転覆していく様子も描かれたが、いまいち兵士たちの悲惨さが描き足りない。 空爆されてボーンって兵士が飛ばされでも、兵士の腕や足がバラバラになって飛んでくることはないし。 イギリスの民間船に乗ってたあの17歳の少年の頭からの出血も、オランダの船の中に潜んでいた兵士たちが船の外から銃撃された時の出血も、ほんのわずか。 会場で放り出されて船からもれた重油にまみれて、そこに戦闘機が墜落して体に火がついてタイヘンだぁ~っていう場面の迫力もいまいち。 顔が燃えてケロイドになって蕩けていくみたいなCGを使うこともないので、火の向こう側で「うわ~」って顔してる姿しか見えないから、リアリティがない。 それじゃぁ代わりに、登場人物に深みがあって、感情移入できるかといえば、それもない。 イギリス人の民間船を出したオジちゃんも、ずっと桟橋に立ちっぱなしのケネスおじさんも、存在感勝負ってかんじ。 思い出せるのは、2つだけ。 上空からとらえた広大な海。太陽の光で美しく光る海。 そして、蛾みたいな模様のイギリスの戦闘機。 ノーランにしては珍しく、ノンヒット・ノーランの作品。 [DVD(字幕)] 3点(2020-06-05 16:54:34)(良:1票) |
71. フライト・ゲーム
身内を失って心の傷を追って依存症をわずらっている人間が「この飛行機に犯人がいるー!」と主張して大暴れして、逆に「それってお前がPTSDで、妄想にとりつかれて勝手にそう思い込んどるだけやろ!」と乗客から総スカンくらっちゃう という本作の展開は、私の大好きな映画「フライトプラン」を彷彿させ、しかし「フライトプラン」ほどPTSDっぷりが描ききれておらず、孤軍奮闘を応援したくなる感がないのが「フライトゲーム」である。 また、座席のそばにたまたまいた女性が、事件にまきこまれつつも、主人公の味方となって、一緒に戦ってくれる という本作の展開は、私の大好きな映画「ミッション:8ミニッツ」を髣髴させ、しかし「ミッション:8ミニッツ」ほど、女性と主人公が深くつながりあうこともなく、結局ただ近くの席にいた親切なオバチャンというだけで終わってしまっているのが「フライトゲーム」である。 すなわち、既存の映画のデジャブ感がすさまじいわりに、不発に終わっているのが「フライトゲーム」なのである。 リーアムニーソンとジュリアンムーアがもったいないことになっているのが「フライトゲーム」なのである。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-31 17:51:10) |
72. スノーピアサー
見終わってもう随分たつのだが、いまだに記憶に残っているのは窓から出された腕が寒さでコチンコチンになってポンってたたいたらカチンって折れるという愉快な場面と、ティルダ・スウィントンの破天荒な怪演。 ティルダはもうね、魔女とか、女王とか、そんなの序の口で、背中に羽がはえちゃう現代に生きる堕天使とか、生き血を求めさまよう現代に生きるドラキュラとか、破天荒な役になればなるほど、さえわたる女優なんですね。 そんな彼女が、この映画ではもう完全にメーターの針ふりきっちゃってます。映画の中で走り続ける列車よりも、飛ばしてます。 地球をまわる列車が舞台ですが、一周まわってくる頃には、線路の上に大量の雪が降り積もってるだろうに誰が雪かきするんじゃい、雪かきせんで列車とおれるんかい、みたいなツッコミどころが大盛りサービスなんですが、この映画、ティルダを見るためだけに、また見直してもいいなと思う。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-29 18:50:33) |
73. マリアンヌ
《ネタバレ》 期待はずれにして、オチは想定どおり。まことに退屈な作品である。 基本的な話しになるが、スパイ映画においては、敵が「おまえスパイだろ」と見抜く(あるいは見抜こうとする)場面での緊張感あふれる場面をいかに演出するかが、重大要素の一つだ。 で、この作品において「おまえスパイだろ」をやる役者が、アウグスト・ディールという脇役名人俳優。 実はこの俳優、「イングロリアスバスターズ」でも、ドイツ軍人役として登場していて、居酒屋で密談を交わすスパイたちを見抜いて「おまえスパイだろ」をやっている。 イングロリアスバスターズの、あの居酒屋でのシーンはスパイ映画の「おまえスパイだろ」の名場面の1つだと評価しているのだが、一方の「マリアンヌ」では同じ役者を使って、同じ行動(「おまえスパイだろ」)をやらせていて、どんだけ緊張感あふれる展開にさせるのかと期待させておいて、いまいち盛り上がらないままサラっと終了する。 これはもう、最高級のコーヒー豆と、お高いコーヒーカップを用意しておきながら、焙煎作業で失敗して最悪の味になっちゃったコーヒーみたいなものですよ。 そこですでにテンションは下がりまくりです。 そして、”美しき女スパイと、それを知らずに結婚する軍関係者。ふたりの未来の行方は?”っていう物語については、「マリアンヌ」と同じ2016年に公開されたレベッカ・ファーガソンの「愛の亡命」(日本劇場未公開)と同じ設定で、テンションが下がっている状態で「うん、でもまぁすったもんだやったところで結局、女スパイは彼と共に幸せに暮らしましたとさってならないんでしょ、選択肢は死しかないんでしょ」って思いつつ最後まで見たら、やっぱりそうなるんだから、もう、3点で精一杯です。 記憶に残っているものといえば、コティヤールが着てた衣装がどれもこれもテロテロのシルクだったなぁということだけ。 とにかく、ドレスやナイトガウンのテロテロしたシルクのツヤしか思い出せない。私の脳内では「マリアンヌ」=テロテロのシルクの映画、っていうイメージ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-19 11:27:19) |
74. ラ・ラ・ランド
《ネタバレ》 ミュージカルにしては、あまり盛り上がらないナンバー、おとなしいダンス。 でもミュージカルにしないと、魅せにくい ありがちなストーリー。 このジレンマのぬるま湯に上映時間の9割ほど浸かっていた。 最後の二人の再会のシーンで、ライアン君のピアノに乗せて「これまでの二人が、もしこうだったら・・・」という 妄想ワールドで観客をイッキに引き込む演出だけは秀逸だったもの、結ばれることのなかった二人が最後に微笑みを交わすエンドとか、うん、やっぱりありがちすぎて、結局ミュージカルでなんとか場を持たせてる作品でしかないと結論。 夢をもった二人。そして夢のために別れた二人。LAはそんなステキロマンスがそこかしこに満ち満ちています。ウェルカムトゥーハリウッド。ドリームズカムトゥルー! うん、やっぱり浅い。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-09 13:29:46) |
75. グレイテスト・ショーマン
《ネタバレ》 映画の主人公が、すべて善人とは限らない。バーナムとてしかりで、最初からバーナムを ”見世物小屋をサーカスにしただけの、結局はフリークスを利用して金儲けをした男” つまり、クズ野郎として鑑賞すれば 「よーし、クズ野郎の顛末を見てやろうじゃねえか!」 と、潔ぎよい気持ちで見ることができるだろう。 英国でバーナムが女王に謁見した際のパーティーに、一緒に参加したがっていたフリークスたちを追い出してドアをバタンと閉じて締め出した場面など 「おお!これぞまさにクズ男の真骨頂!」 と拍手すらしたくなるはずだ。 ところで、心に刺さる映画に必ずあるものの一つに主人公の”心の葛藤”があるが、主人公はそのクズっぷりにふさわしく、今作ではこの”心の葛藤”が見事なまでにズボっと抜け落ちている。 たとえば同じくフリークスを扱った映画「エレファント・マン」では、ジョン・メリックを見世物小屋から病院に引き取った医師は、彼のためを思って上流社会の人たちとの交流を彼に薦め、実際ジョンもつかの間の幸せの時を味わっていたが ある日医師は、暗い部屋で妻に「僕は、ジョンを利用していただけかもしれない。偽善なのか。僕は最低な男なんじゃないか」と、心の葛藤を打ち明ける。 この場面がもし「エレファントマン」になかったら?心に刺さる映画にはなりえなかっただろう。 もう一例挙げるなら「シンドラーのリスト」。この映画では、単に金儲けのために安いユダヤ人を雇っただけなのに、結果的にユダヤ人をホロコースト送りから救い出すことになった事に、主人公が気づかされるにつれ、心の葛藤を抱く描写画面が何度も出てくる。 どちらも「私がしていることは善か?偽善か?」と、心の葛藤で悩む姿があってこそ作品として心を揺さぶるのだ。 しかしバーナムは、フリークスを雇っている事についての心の葛藤は一切ない。 お悩みは 「上流階級に認められてぇえ~~!」 であり 「妻子を幸せにしてやれる世帯主になりてえぇえ~~!!」 だけなのである。 フリークスも、美人 オペラ歌手も、彼にとってはそうしたお悩み解決のためのツールでしかない。 サーカスのテントが火事で焼失した後、フリークス達が「ここが私達の家なんだ!再建してくれ!」とバーナムに懇願したが、その時点でもバーナムの頭の中心にあるのは 「妻子を幸せにするカッコいい世帯主になりてえぇ~~!!」 だ。 再建はフリークスのためではなく、フリークスに対する義理を果たして、さっさと家族関係を再建したいだけなのである。 テントを再建したら即フィリップに全部まる投げし、ゾウさんに乗ってド派手な演出で家族の元にゴー!とか、クズ男は、実に、最後の最後までクズなのである。なんとも痛快なクズ物語! そして、そんなクズなストーリーを華やかに彩るのが、素晴らしい音楽とダンス!! 何を隠そう、ザック・エフロンが大好きな私である。 「ハイスクールミュージカル」シリーズや「ヘアスプレー」では、ピッチピチの彼の歌と踊りに心沸き立ち「将来このまま、もっとのびる!」と期待していたのに、その後のびるどころか全く話題作に恵まれず、すっかり落ち込んでいた矢先に、久々にミュージカル映画で登壇! やはりザックは歌い踊ってこそ輝く俳優だと改めて思った。 バーでの「The Other Side」といい、ゼンデイヤとの「Rewrite The Stars」といい、期待以上の素晴らしさ。20代の頃より、声もずっと太く、ついでに顔と体も太くなっていたが、やはりオーラは健在だ。 そしてゼンデイヤといえば、娘が昔見ていたディズニーチャンネルのティーン向けドラマ「シェキラ!」に出ていたこともあり、彼女にも親近感も持ちながら楽しむこともできた。 ぶっちゃけ、ストーリーはクズいし、予告でサーカスシーンがてんこ盛りだからシルクドュソレイユみたいなエンタメが楽しめるかと期待したのに、迫力あるサーカス場面の割合はめちゃくちゃ少ない(予告編の場面がほぼすべてw)しで、評価できる部分が少なくて0点を付けたいところだけど、ザックの復活を祝して3点献上。 あと、アカデミー賞にノミネートされ舞台でのパフォーマンスの場まで作ってもらっていたのにオスカーを逃したキアラ・セトルの「This is Me」も、私にはそこまでグサっとは刺さらなかった。 たぶん、彼女が歌っている最中ずーっと心の中で 「そんなにヒゲがイヤなら、剃っちゃえばいいじゃん・・・」 って思って気が散っていたせい。 [映画館(字幕)] 3点(2018-03-08 11:01:38)(笑:1票) (良:2票) |
76. ザ・ギフト
《ネタバレ》 昔自分に酷い嫌がらせをして人生をぶち壊しにした同級生。大人になってその同級生が夫婦としても会社員としても順風満帆になったところを、復讐のごとく、ぶち壊しにかかるゴートという男の物語。 不審な贈り物が届くというは、けっこう映画としては多い手法だけど、この映画が頑張ったところは、その贈り物が、いじめっこだった男の妻ロビンの赤ちゃん(つまり夫がいない間に不法侵入&寝ている妻に強姦)という大胆設定だったところか。 ただ、恐怖感というのもあまりなく、赤ちゃんをプレゼントとかいっても、だって当事夫婦はせっせと子作りに励んでいたし、一度きりの強姦で、ゴートの子がビンゴでできるというのは、いまひとつピンとこない。 さらに、映画のオチを想像するのが苦手な私でさえ序盤でゴートが家の中を案内されて、ロビンが「子供できたけど産まれなかったの」とさびしげに言ったときに、あ~ゴートはそのうち彼女に子供をプレゼント(強姦)するなって読めてしまったのだから、この映画はあまりよくできた作品とは言えないと思う。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-08-30 11:03:36) |
77. ワイルドカード(2014)
《ネタバレ》 ジェイソンステイサムが出てるアクション映画はほぼハズレなしかと思ってきましたが、今回初めてハズレに出会いましたw ラスベガスを舞台にしてるといいながら、ぜんぜんラスベガスを感じさせません。 最初のほうは、ラスベガスの夜景をイメージビデオのようにいろいろ画面に出して「ここはラスベガスですよ!」と一生懸命アピールしてるんですけど、その後、地味で薄暗いなカジノがメインになり始めたあたりから、もうこれはどこの場末の賭博上だって感じになってきます。おそらく経費節減のため、屋内の撮影をベガス以外のロケ費用の安い地域ですませて、そうした映像がたぶんこの映画の8割くらいつかわれている。 とにかく”どーでもいい”画面作りが目立ちます。 物語が始まってまもなく、ステイサムは、ヤクザにレイプされた女に復讐の手伝いを頼まれ、助けないといいながら手助けするわけですが、特にその主犯格を探し出すのに時間も労力もかからず、滞在先のホテルで働いてる黒人メイドが「~号室の~~って人だよ」とサクっと教えてくれて解明できちゃうので面白くもなんともありません。 その後、ステイサムは主犯格の男にもとへ行って、主犯格の手下2名とお決まりの数分間の対決シーンを済ませたあとは、被害女性が後から登場して主犯格の男から札束とその男のペニスを手土産に早々に退散。 いってみれば、この映画の盛り上がりは始まって数十分のこのエピソードが一番の盛り上がりどころ(盛り上がりといっても、その盛り上がり具合は高さ3cm程度のお粗末さですが)であり、その後は、”どーでもいい”エピソードが延々と垂れ流されます。 ほめるところはほとんどなく、もちろんいつも通りステイサムはかっこいいのですが、作品によってガラリとキャラクターを変えてアカデミーノミネートも視野にいれたような渾身の演技をみせるハリウッド役者と違い、「どの映画のステイサムも、だいたい同じ」なので、つまりこの映画を見なくても、ほかの映画でも、この映画で見たようなステイサムが見られるので、つまりこの映画は見なくてもいいかもしれません、という悲しい結論をつけさせていただきます。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-10-24 11:13:02) |
78. ゲット・アウト
《ネタバレ》 車で向かった人里離れた土地…そこにいる人たちはどこか変…という「ステップフォードの妻たち」の舞台設定に 「招かれざる客」の白人と黒人カップルという人種問題を盛り込んで、 主人公が怪しいと思っていた人たちは実は…という「スケルトンキー」の、謎の真相の中身を足して3で割って、 そこに、「性奴隷だー!」という失笑モノのレベルの低い下ネタをぶち込んでミキサーにかけてドロドロに出来上がった、非情に低レベル映画。 これがアカデミー脚本賞?笑わせますね。 自宅で、あんなチャチイ手術器具と部屋で、人の精神を別の人の体に移植できるわけないでしょう。 あのお母ちゃんがティーカップをチンチン鳴らしたり、スプーンでクルクルすだけで、相手がコテンっと寝ちゃうとか、いくらなんでも説得力ゼロ。 それならそれで、テリーギリアムが作るSF映画みたいに、全体がハチャメチャなムードで作らないとダメです。 コメディー出身の映画好きな黒人のジョーダン・ピール監督が、 「黒人は優秀な遺伝子で、白人が黒人の体を乗っ取りたいと思うほどすごいんだぜ!」ということを描きたいがために 過去に見たお気に入りの映画の中身をツギハギして低予算で作ったら、それだけでオスカーもらえちゃうなんて、悪いジョーダンだろと思いました。 [インターネット(字幕)] 2点(2021-09-30 19:41:36) |
79. チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛
《ネタバレ》 ヒロインの不倫がメインテーマですけど、まずなぜ画家が好きになったかの理由づけに説得力がなく、その時点で感情移入できない。 「ピアノレッスン」のように、夫が性格が悪くてヒロインをぞんざいに扱っているなら、優しくしてくれた男に惚れていくのは分かる。 あるいは「マディソン郡の橋」のように、夫の性格は普通でもそれが退屈で、趣味の話しが合う男に惚れていくのも分かる。(キーツの詩を理解するとか) しかしこの映画えは、夫(クリストフ・ヴァルツ)はひたすら優しくヒロインをお姫様のように大事にしてるのでダメだ。 画家と話しが合って惹かれたわけでもないからほんとダメだ。 つまりは、”おじいさんの刺激のないエッチより、若い男の激しいエッチのほうが、すっごくイイわぁ…”っていう、うすべったさ。 だから、ヒロインが死んだフリして画家と駆け落ちをするつもりが、急に熱が冷めたのもよく分かります。 だって画家とは、ただエッチが良かっただけですもんね。 そんな相手のために、エッチがムードがないとはいえ自分に尽くしてくれた真面目な夫をだまして、 召使の子供をヒロインの子だとだましたあげく、夫にその赤子をヒロインの子だと押し付けて、 死んだフリして、駆け落ちしようなんて、若い男とエッチざんまいの日常を手にするだけのためにそこまでするかい…って どんな単細胞な脳でもわかりますよね。 そもそもあの画家、頭相当悪いし。 (彼女との駆け落ち資金を、彼女を育ててくれた修道院からチューリップ盗んでお金にしようとか、もう人としてアウト) 状況次第で高騰したり暴落するチューリップは、まさにヒロインの気持ちの象徴だと思えば このなんの感情移入できない作品も、あらての不倫映画としてはアリといえなくもない。 ヒロインに裏切られても、ヒロインとグルになって自分をだました召使と、その彼氏の魚売りの魚くさい男に いきなり家と資産をあげちゃう人の良さは意味不明だし その家にのうのうと居座って 元魚売りの男と夫婦になって、おしゃれな洋服を着込んで子供をワラワラ生んで生活してるマリアも、まぁ調子がいいこと…って意味不明。 (マリアの性格がピュアで優しいならともかくとして マリアが妊娠したことをヒロインに告げたら「もし私を追い出したら、あなたの不倫を旦那様にばらすぞ」って ゆすりをするような、雑草みたいにたくましくていやらしい貧困層の女ですからね) ラストシーンでは、修道院で、絵の仕事を頼まれてやってきた画家が、修道女になっていたヒロインと再会したわけですが まぁあのヒロインの性格からして、修道院の夜の庭でまた画家とめくるめくエッチを楽しんで 「やっぱりまた死んだフリして今度は修道院から逃げ出してあなたと一緒になるわ!ひゃっほ~!」 ってなりそう。 [インターネット(字幕)] 2点(2021-04-01 09:32:42) |
80. スリー・ビルボード
《ネタバレ》 個人的に「月に囚われた男」で1人芝居かつ1人二役をやってのけたサムロックウェルが好きだったので、この映画で彼がアカデミー賞の助演男優賞をとったこともうれしく期待値高め設定で鑑賞。 結論からいえば「そうだね、うん、サムロックウェルの名演技が見れてよかったよ」程度の映画である。 特にサムロックウェルが、ヤケドして入院した病室で、窓から突き落とした男にオレンジジュースをおごってもらってシクシクするところは印象的だった。 でもそれ以外に何かグっとくるものがあるかといえば特になく期待値を大きく下回った。 イライラしている人たちをこれでもかこれでもかと見せ付けられて、胃もたれするな映画。上映時間の8割はイライラしてる人たちのイライラしてる場面ばっかりである。 「広告出したのはオメーか!」 「ホモはむかつくんだよー!」 「このウサギの置物ぶっこわしたるわ!」 「車かしてくんないならいいわよ!」 「あの娘、くさいわね!」・・・・ 見てるこっちも 「さっきからイライラしてる人間ばっかで、いい加減飽きるわ!」となり、オチのフワっとした終わりかたに「もっとエッジはっきりさせぇやゴルァア!」 ってイライラする映画だった。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2018-06-29 20:52:18) |