81. この森で、天使はバスを降りた
《ネタバレ》 とても綺麗ないい話だとは思うけど、それ以上に閉鎖された田舎町の、変化に対する恐怖感と見えない暴力が恐ろしくて仕方が無い。何だか過去を乗り越えようという努力はムダだ、と言われているような感じで欝になった。死んでから聖人扱いするなら生きてるうちに優しくしたれや、という素朴な疑問は、実はいつの時代にもどこの国にもある永遠のテーマかもしれない。 6点(2004-05-23 01:27:50)(良:1票) |
82. タクシードライバー(1976)
孤独で悶々とした毎日を過ごし、「こんなはずじゃない」「何かをやりたい」と一人考え込む男の心がズドンと響く。男なら誰でも一度は通過する心理だと思う。彼にとって、少女の幸福は初めからどうでもよかったのかもしれない。欲しかったのはきっかけだけ。爆発後の彼の顔のいかに爽やかなことか。 10点(2004-05-23 01:20:30) |
83. 春の日は過ぎゆく
《ネタバレ》 この映画はずるい女の逃避が主題だと思う。心の深い部分でつながっていた(多分)、夫と離婚し、それでも平気だと思って次の恋愛へ。軽い気持ちで「一緒のお墓に入れたらいいね」などと甘えたりしてみたものの、いざ現実に結婚の気配がすると過去の失敗という恐れが顔を出す。結果、表面的なスカした男との浅い楽しい付き合いに逃げる。別れ話を切り出した時「僕を愛してる?」と男に聞かれて「愛してない」とはっきり言えない。言えるわけがない。終盤、腕を払って花を返すシーンは、男が成長したのではなくやせ我慢で拒絶した感じで、そこがまたいい。多分あの女性は人生において幸せになることを放棄してしまったのだろう。ラストの、男の幸せそうな顔に救われる。 10点(2004-05-23 01:12:18) |
84. マルコヴィッチの穴
《ネタバレ》 普段から自我や自意識について考えすぎちゃっている変な人が書いた話だと思う。後半から割りと筋の通るまともな映画になっていくのが物足りないけど、メタな視線の持ち主なだけにそれすら狙いか?と段々監督と脚本家を信用できなくなってしまう。実に不思議な映画だった。オープニングのマリオネットはかなり素晴らしいです。 8点(2004-05-23 00:56:59) |
85. 13F
ジャンルはSFなのに、なぜか中世ヨーロッパの風景で始まるオープニングシーンからセンスがいい。ものすごく斬新かと言えばそんなこともないけれど、こういう現実世界に対する不安をかきたてるような作品は好きです。 7点(2004-05-23 00:39:52) |
86. 息子の部屋
何度も何度も後ろを振り返って妄想してしまい、前に進めない。悲しみというよりも、自分が許せないというやり切れない気持ち。出口が無いように見える脳内の地獄も、自分が苦しんでいたことに対する他人の何てこと無いリアクションに「あれっ?」と一瞬思い、気が付いたら自然と抜け出ている。そんな、目をそむけたくなるくらいリアルな心理を描いた秀作でした。 7点(2004-05-23 00:36:11) |
87. フレンチ・コネクション
《ネタバレ》 題材から言えばもっと緊迫しそうなもんですが、なぜか退屈で仕方が無かった。一番白熱するのはカーチェイスでも電車内のおっかけっこでもなく、車の解体シーンだと思う。でもその後結局銃撃戦になり釈然としないラスト。有体に言って失敗作では。 3点(2004-05-23 00:28:56) |
88. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
頭が切れる人は大概感性の鋭い人が多く、小さい頃に感じた恐怖が心の底にこびりついていつまでも取れ無かったりする。その恐怖は、虐待という直接的な行為だけではなく、環境の変化や新しい人間関係などの感情を動かす可能性のある要素もすべて排除してしまう。主人公は心に流れ込む感情が、過去のつらさや哀しさを刺激しそうで怖くて仕方が無い。その呪縛から解放してくれたのは、初対面のやりとりで「君は私を傷つけた」と同じ目の高さではっきり感情をぶつけてくれたカウンセラー。自然発生の感情をそのまま見せ合える、計算の無い本当の友人が人生において最も大切なものなのかもしれない。 9点(2004-05-23 00:20:45) |
89. APPLESEED アップルシード
RPGのポリゴンムービーイベントシーンで一本映画作ったような感じで、序盤はかなり不安になった。でも乳は良かった。キャラクターの人柄が定着しないまま話がどんどん進んでしまうので、終盤の展開についていけないところも少々。でも乳は良かった。プライドの高い軍人の考え、未来に絶望した老人の考え、情で動く若者達の考えと、立場の違う三者の分かりあえなさはとても良く伝わった。希望あるハッピー・エンドや泣かせどころも実にすがすがしいストレート勝負で、たまにはひねくれたところのない映画を見るのもいいな、と爽やかな気分になった。それにしてもいい乳だった。 7点(2004-05-14 18:09:43) |
90. 悪魔のようなあなた
《ネタバレ》 ものすごく緊迫感の無い密室劇。退屈だった。それにしてもテープレコーダーは無いと思う。あれはひどい。終盤はもう、誰が犯人でもいいや、という感じ。一番緊張感のあるシーンはオープニングでした。 1点(2004-05-13 15:55:59) |
91. 裏窓(1954)
とりあえず「なぜここの住人達は丁度窓の真ん前でばかり行動するのだろう」という素朴な疑問は置いといて、男の神経質と女のおせっかいという男女の本質が色濃く出てたように思う。 8点(2004-05-13 15:51:31) |
92. モダン・タイムス
皮肉と希望に満ち溢れた名作。現在の社会と比べてみると、この映画内よりもっとひどくなっていることに気づく。例え社会からはみ出ても、何をやってもうまくいかなくても、希望と人間性を失わず前を向いて人生を歩んで行こうというラストに涙した。 10点(2004-05-13 15:46:31)(良:1票) |
93. ライムライト
チャップリンほどの天才でもこうなってしまうのか、天才だからこそここまで考えてしまうのか。とにかく老いの寂しさ、絶望、妙なプライド、自信喪失等、年を取るのが嫌になるほど後ろ向き。心に残るセリフはいくつかありますが、そもそもここまで自分を語りたくなるという事実が老いの怖さを証明している。とても鬱な気分になった。 7点(2004-05-13 15:42:32) |
94. キル・ビル Vol.2
《ネタバレ》 復讐劇のそもそもの発端が実はビルの復讐劇だったという、復讐という行為の真理をついたような展開。両方の言い分がそれぞれ分かるだけにやりきれなさが増幅し、心に響いた。そして行き着く先は男にとって最大最強の存在である母の愛。タランティーノ監督個人の内面世界を1、2通じてたっぷり堪能させてもらいました。 10点(2004-05-13 02:05:38) |
95. タイタンズを忘れない
よくある感動もののようで結構深い。黒人への差別意識は、言ってみれば親がやっていることを小さい頃から見ていた中で心の中に培われていくもので、いきなり政治的な理由で「差別をやめましょう」と押し付けられてもできるわけがない。それは親を否定することにつながる。ではタイタンズのメンバーがなぜ差別意識を超えて分かり合えたかと言えば、合宿という閉鎖された空間の中で分け隔てなく鬼のように接するコーチという共通の敵がいたから、という理由が大きいように思う。結局今までの意識を変えるには努力でも外圧でもなく、インパクトのある出来事であると。一番心に残ったシーンは、自分は厳し過ぎたかと反省したコーチの「勝っても負けてもいいからベスト尽くせ」という言葉に対し、部員たちの方がいつのまにか厳しくしっかりしていた、という試合前のロッカールーム。ジーンと響いた。 9点(2004-05-13 01:55:17)(良:4票) |
96. 遠い空の向こうに
涙が止まらない名作。父と息子の確執、友情、夢と現実の間での苦悩。少年が大人になるために避けて通れない要素がたっぷり詰まっている。途中から積極的に父に対して寛容に接していく少年と、寂しいけれどどこか嬉しく誇らしい気持ちの父の顔。思い出すだけで涙が・・・。 10点(2004-05-13 01:40:15)(良:1票) |
97. 真実の行方
《ネタバレ》 結構長めなのに、緊迫感あふれる展開で飽きずに見られた。ストーリーの整合性という点では少々強引なラストだと思ったけど、無罪か有罪か、どちらに転んでも結局救われないという何ともやり切れない感情は秀逸。わざとらしく味付けしたようなラブラブエピソードは、はっきり言って必要なかった。 9点(2004-05-13 01:32:51) |
98. ベッカムに恋して
薄っぺらくて冗長。話に何のひねりもない。理解の無い親が単なる悪役で、最後に特に理由も無く改心するという最悪の展開。つまらなそうだけど意外と掘り出し物かも、と思って見たらやっぱりつまんなかった。 2点(2004-05-13 01:26:59) |
99. 戦場のメリークリスマス
たけしと坂本龍一のセリフが聞き取りにくくて弱った。アメリカの戦争映画にありがちな、何か違う日本軍像を日本の監督がやってるとこが面白い。暴力シーンでカメラがさっぱり動かないのも好き。話全体で見れば特に大きな出来事もない地味な話だけど、厳しい戦時中に兵士たちが見た一時の夢、という感じで見ればとても良い話だ。ラストはなぜか涙があふれてしまった。 9点(2004-05-13 01:22:34) |
100. インサイダー
確かに男たちの信念のような熱いものは伝わった。でもジャーナリストとしてはどうなのか。問題にすべきはトップの発言と隠蔽された事実の違いではなく、子供でも体に悪いと常識的に知ってるタバコに対し、体に害は無いと平気でトップが公的に発言し、それが事実としてとりあえず認識される社会のゆがみ、とかではないのか。この映画が伝えたいのはそういうことでないというのは承知してますが、とにかく釈然としなかった。 6点(2004-05-13 01:15:21) |