81. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 ワタシの先祖は神主ですが、何代か前に廃業しており、ワタシ個人は完全なる無神論者です。 只、昔から「人はなぜ神や仏を信仰するのか?」という問いにはなぜか非常に惹かれるものがあり、本作も興味深く拝見しました。 本作の中では完全に非キリシタンの日本人がワルモノとして描かれていますが、布教も侵略も結論から言えば同じであり、現代日本人の視点から見ると宣教師たちの処遇は、「ま、そうなるわなぁ・・・」という感想しか持てず、キリスト教に縋るしかない農民達が次々と殉教して行き、哀れでなりません。 全ての宗教で言えることですが、信じて祈ることが大事だった時代は確かにあったと思います。しかし祈っても神様は決して助けてくれないのです。 故に、今や誰もが目で見えるものしか信じず、そして何者も恐れなくなったのではないでしょうか? キチジローは本当に最低の屑ですが、信仰を弄んでいるわけではないので、ある意味ピュアなんだろうなぁ。 映画としての見ごたえはあったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-14 22:28:29) |
82. エイリアン3/完全版
《ネタバレ》 「クレオパトラ」や「地獄の黙示録」に並ぶ難産だったという本作。 劇場公開版を観た当時、事前に読んでいたノベライズ版と内容がかなり異なっていたので、現場の混乱は噂通りだったんっだなぁと思ったものだが、完全版を見るに、なるほど、ノベライズ版が本来の形だったのか。 劇場公開版はゴリックが突然劇中から消えたりとか物語的に破綻している部分があったが、これで一応ストーリーは筋が通ったと言える。 当時の某映画誌にデヴィッド・フィンチャーのボヤキが載っていたが、最初は映画を撮るだけの話だったのに気が付いたら「問題点をどうしよう」になり最期には「とにかく完成させよう」になったのだそうだ。ヒデェ・・・ [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-09-10 00:46:02) |
83. 借りぐらしのアリエッティ
《ネタバレ》 そんなに悪い作品でもないと思いますが、皮肉が効いていて娯楽性も低いので「楽しいアニメ」ではないですね。 「姿形や生活習慣が違えばお互い分かり合うことなど不可能である」とするのが、大勢であったとしても最後に翔とアリエッティは僅かではあるものの分かり合えた。 世界中が内向きになっている今、少しだけ考えさせられる内容でありました。 [地上波(邦画)] 5点(2020-08-31 10:25:35) |
84. さすらいのカウボーイ
《ネタバレ》 映像がどこか懐かしく詩的でとても美しく、引き込まれました。 そして美術関係がかなりリアルで、アメリカの古典的な西部劇やマカロニウエスタンとはまた違った開拓時代のリアリティが感じられます。 ハンナがコリングス、というより「男の勝手気ままさ」そのものを憎悪しており、コリングスが旅先で知り合ったおっさん(ハリス)を浮気相手呼ばわりするところなんか、女の情念を感じます。コリングスが浮気した相手は「自由」であり「さすらい」なわけですね。コリングスとの平穏な暮らしの邪魔になるハリスを、決して悪い人間じゃないと分かりつつも、さっさといなくなって欲しいと強く願うところとか、何かリアルだな~と。 只、クライマックスで決着を付けるべき相手が只の小悪党過ぎてそこがちょっと減点。まあ、リアリティを追求するならばあの程度の小競り合いで丁度良いのかもしれませんが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-30 21:24:21) |
85. グリーン・インフェルノ(2013)
《ネタバレ》 80年代の如何わしいモンド映画を復活させたという試みはいいと思うけど、この映画で最もゲンナリしたのは食人族側のメインキャスト(?)が他の食人族連中と明らかに人種が違うのが丸わかりだというところ。あの禿げとか族長とか・・・それっぽくメイクしてるけど不自然極まりない。例えるなら、ハリウッドで日本の時代劇作ったとして、メインキャストの侍や忍者が日本人っぽいメイクでキメた欧米人、みたいな。そこでもう完全に冷めてしまった。 かつてのモンド映画もチープ感を楽しむものだったとは言え、なんかちょっと違う気がした。 [DVD(字幕)] 3点(2020-08-29 22:58:22) |
86. ダーティハリー5
《ネタバレ》 サスペンスとしては完全に破綻しているし、そもそもこれがダーティハリーなのかというと大いに疑問。でも、リーアム・ニーソンやジム・キャリー、ガンズ、ラジコン、ラストの銛と語るべきネタだけはやたらに多い。それとエンドロールの曲が過去作のバージョン違いとはいえ哀愁を帯びていて妙にカッコよく、昔サントラまで買ってしまった。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-08-26 23:36:34) |
87. ゴジラVSビオランテ
《ネタバレ》 ゴジラ1984の落胆が大きかっただけに、ビオランテの牙だらけのデザインと、バイオテクノロジーが生み出した怪獣という設定(公開当時はまだまだ設定として珍しいモノだった)を聞いて「おぉっ?何だかハードなカンジになってる?」っと思って期待したものだが、冒頭のアメリカのバイオメジャーと自衛隊のまるで緊張感のない銃撃戦と、そのときに流れるマヌケ過ぎるゴジラのテーマのアレンジ曲にすぐさま脱力してしまった。 他のことはもうほとんど覚えていないが、ラストの沢口靖子の昇天シーンの破壊力はかなりのものだったと記憶している。 それと、ゲスト出演しているデーモン小暮閣下が自身のラジオ番組で本作を猛プッシュしていたなぁ、と。 [ビデオ(邦画)] 3点(2020-08-20 11:13:50) |
88. 遥かなる大地へ
《ネタバレ》 なんか全体的にNHKの朝ドラのようなストーリー展開ですが、ロン・ハワードらしく、非常にわかりやすく普通に楽しめました。 ・・・まぁ冷静に考えるとネイティブ・アメリカンから巻き上げた土地を他所から来た移民が取り合いするという、爽やかさからは程遠い内容なのですが、どこの国の歴史もそんなものなので、そこは言いっこなしということで。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-18 22:23:44) |
89. MEG ザ・モンスター
あまり評判は良くないみたいですが、そこまででもなかったかと思います。 でも面白いかと言われるとそんなことは無いというのが正直なところ。 もっと「あっ」と言わせるようなシーンがあるのかと期待していましたが、全部想定を下回るようなものばかりで、エンターテインメントとしては食い足りないです。 それと、娯楽作にしては妙に自己犠牲や仲間の死を悼むようなシーンが多かったような気がしますが、あれは中国側が入れたエッセンスだったのでしょうか?何れにせよ表面的で薄っぺらいものでしたが。 [地上波(吹替)] 3点(2020-08-14 10:01:58) |
90. 日本沈没(1973)
やろうとしていることに対して映像技術が追い付いていなくてチープ感は否めないのですが、凄くまじめに造られていて、下手をすれば荒唐無稽なバカ映画に成りかねないところを、ギリギリのリアリティでまとめ上げてあり退屈はしませんでした。 ちょっとストーリーがブツ切りで話が飛ぶところもありますけど。 この昭和の「超」大作感って嫌いじゃないんですよね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2020-08-11 23:11:01) |
91. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(2017)
《ネタバレ》 何というか・・・いろいろと浅過ぎます。 実写の、それもSFものをアニメでリメイクしたのであれば、いろいろと表現の幅が広がっていくらでも面白くなりそうなのに、映像もストーリーもテーマも薄っぺらく何も感じるところがありませんでした。 まあ、タイムスリップの表現が、時を戻しているわけではなくて選択肢によって世界が多層構造になっている、みたいなのは少しだけ面白いと思いましたが・・・今時のアニメじゃ今更なのかな?そういうの? この内容なら30分アニメで十分でしょう。一時間半でやるのなら全てに於いてもっともっと踏み込むべきではないでしょうか? [地上波(邦画)] 2点(2020-08-09 11:41:52) |
92. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 昔観たときは、何か凄いモノを観たっていう印象だったんですよ。ラストのオチの写真とか。得体の知れない怖さがありました。 でも久しぶりに再見するといくつか違和感がありました。 まず、よく議論になる、ジャックが凶行に走ったのはホテルの怨霊の所為だったのか、それとも作家としてのストレスが原因だったのかという点ですが、改めて見るとジャックが最初から狂っているようにしか見えず、凶行に走ったのは単なる必然のようにも見えてしまいます。 それと、何か怪異が起こっても解決を見ないままに画面が暗転して日数が経過してしまうことがあり、その間は普通に生活していたのかと思うと少し不自然に感じてしまいます。 あとこれは鑑賞後に気が付いたのですが、昔観たときにはホテルがその本性を現した描写として、晩餐会に出席していた人達は実は骸骨でした、というシーンがあったと記憶していたのに、それがなくて「あれっ?」っと思ったのですが、今回見たのはコンチネンタル・バージョンという短縮版だったんですね。以前見たときと全体的に印象が違ったのはその為だったのかもしれません・・・ 骸骨のシーンはチープと言えばそうなんですけど、ホテルが呪われていることが最も分かり易く表現されていて、それなりに効果を上げていたと思うんですよね。これは個人的な好みの問題ですけど。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-08-02 20:41:40) |
93. バビロン A.D.
これは面白くない・・・ あれこれ設定を盛り込んでる割にはSFとしても超が付くほど中途半端。 たぶん皆がヴィン・ディーゼルに望んでいることって理屈抜きで楽しめるアクションだと思うのだけど、何故か彼は、設定(だけ)細いどうでもいいようなSF映画に主演していることが多いような気がする。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2020-07-21 10:20:47) |
94. スモーク(1995)
《ネタバレ》 ラスト、ハーヴェイ・カイテルがウィリアム・ハートに聞かせる話。眼が見えない老婆の消息不明の孫のフリをして乗せられてやるカイテル。実はカイテルが孫じゃないと薄々気が付いていながらもそれに触れずに、孫の帰還を喜ぶ老婆。 さらにその話が只のネタかもしれないと気が付きつつ、うんうんと聞くウィリアム・ハート。 まさに優しい嘘。なぜかここのシーンでボロボロ泣いた・・・ [地上波(字幕)] 6点(2020-07-20 23:48:04)(良:1票) |
95. オペラ座/血の喝采
《ネタバレ》 アルジェントの作品はいつも映像と音楽に拘りを感じるけど、オペラ座を舞台にしておきながら全編ヘビメタに彩られているのはどうか?しかも全く無名の謎バンド。この辺りの変化球がアルジェントといえばそうなのだが。 とは言え、ダリア・ニコローディがドアスコープ越しに拳銃で頭を打ち抜かれるシーンで、CGのない時代にわざわざ大きな弾丸とドアの模型を用意してまで弾丸の軌道を執拗に描写したり、ラストで犯人が一般の群集にボコボコにされて事件が解決したりと、予想の遙か斜め上を行くシーンが用意されており、これもまた紛れもなく安心のアルジェント印だった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2020-07-20 10:25:09) |
96. エイリアン:コヴェナント
《ネタバレ》 神話や聖書からのモチーフがあちこちに見受けられて深読みすればそれなりに面白い内容だったと思う。でも表面的には浅くスカスカでツッコミどころ満載の映画にしか見えないのでエイリアンに特別思い入れでもなければかなり辛いだろう。 そしてなにより残念に思ったのは、リドリー・スコットは一作目のときからゼノモーフの神秘性に拘りがあって、「エイリアン2」でジェームズ・キャメロンがゼノモーフの生態を昆虫みたいにしてしまったことにずっと憤っていたのに、回りまわってその誕生に人類が関わっていたという結論に持って行ってしまったこと。40年越しに明かされた謎なのにこれでは神秘性も何もちょっと発想が箱庭的過ぎやしないだろうか? とはいえ現代の映像技術で作られた一編としてシリーズ全体から見れば良い方だと思うので5点献上。しかし「プロメテウス」と一応ストーリーは繋がっていたけど、2本合わせて4時間以上も掛けて語るほど中身がある物語にはとても思えないのだが・・・ [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2020-07-19 22:49:45) |
97. キュア ~禁断の隔離病棟~
《ネタバレ》 オカルトならもっと振り切ればいいのに、ウナギをフィーチャーしている意味が良くわからない。 だって、未知の生物とかならまだフィクションとして割り切れば許せるけど、どう考えてもウナギをあんなことしても若返りの薬はできんでしょう・・・ 映像や雰囲気はなかなかいいと思ったけど、やはり「何故にウナギ?」っていう感想しか持てませんでした。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2020-07-18 23:14:16) |
98. 張り込みプラス
《ネタバレ》 製作年を差し引いても全てに於いて余りに地味過ぎてキツかった。正直、犬が猫を追い回すシーンの犬の主観映像くらいしか印象に残らなかった。(そこ?) [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-07-15 23:38:41) |
99. 地獄の変異
《ネタバレ》 全体の印象として、そんなに悪くもないと思うけど、寄生虫云々の設定は別にいらなかったような気もする。 モンスターの一匹々がそんなに強くないので、クライマックスの戦いがクライマックスなのかどうかがよくわからなくて、洞窟からの脱出に成功したとき、「あれ?もう終わり?」という感じがした。 それと、モンスターについて。余りにも「エイリアン」に似過ぎで、思いっきりテンションが下がった。 他の映画でもそう感じるのだが、パトリック・タトポロスがデザインしたモンスターは非常に没個性的だと思う。もう少し何とかならなかったのだろうか。 [DVD(字幕)] 3点(2020-07-11 00:40:48) |
100. レディ・プレイヤー1
《ネタバレ》 うわ~マニアックだな~。原作者繋がりとはいえ、バカルー・バンザイのネタをよく映画本編に採用したものだ。知らんでしょう(笑)誰も。シャイニングのネタもかなり作り込んで入れてたけど、見る人によっては何のこっちゃではないかと。 全体的にちょっと油が浮きそうなほどのオタッキーさで、好きな人はサイコーだと思うけど、ダメな人はドン引きしそう。 でも、こんなマニアックな企画をハリウッドのメジャー大作として成立させてしまうところがスピルバーグの凄さなんだな~と、つくづく思いました。オタク上がりの「大物」でしか創り上げることなんか出来ません。こんな映画。 一部ではオタクに媚びた集金映画との見方もあるようですが、ワタシ自身はメカゴジラVSガンダムで燃えてしまったクチです(笑) [地上波(吹替)] 6点(2020-07-05 11:34:00) |