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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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101.  牛乳屋フランキー 《ネタバレ》 
天才喜劇俳優・フランキー堺のパフォーマンスを堪能すべし! 日本の映画俳優の中で彼ほどスラップスティックなコメディが上手い人は他にはいないし、今後も現れないでしょう。まあ何と言うか、彼の身体の動き自体がもうコメディのリズムになっているんです。映画自体は他愛のないストーリーですが、二役のフランキーが同時にフレームに映っているところが綺麗に合成されていて、この時代にこんなCG顔負けの技術が有ったとは驚きました。 そしてびっくりしたのが、石原慎太郎をパロった石山金太郎なる大学生の小説家を登場させて徹底的にコケにしているところです。だってこの監督中平康は同時期に『狂った果実』を撮っている人なんですから、ふつうここまで関係者をバカにしますかね。そのおちょくり方もけっこう辛辣で、書いている小説を読まれて「あんた小学校出てるの?」なんて酷評されたりするんです。けっこうこれが中平康の石原慎太郎に対する本音だったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-01-11 23:26:57)
102.  俺たちは天使じゃない(1955) 《ネタバレ》 
だってクリスマス映画ですもん、ゆる~くたっていいじゃないですか。でも緩いながらも、ボギー、ピーター・ユスチノフ、アルド・レイ、この三人の曲者を観てるだけでなんか幸せな気分になっちゃいます。三人の中でもいちばん良く喋るのがやはり我らがボギーで、彼は寡黙なヒーローよりもこういう肩の力を抜いたしゃべくり芝居の方が似合っている感じがします。 展開は原作の舞台をそんまんま映像化しちゃった様な撮り方なので視覚的な面白さはないですね。後半の殺人劇(?)も、英国のイーリング・コメディの様なブラックな笑いにつながってないのが残念と言えるでしょう。この分野のコメディは、やはり英国映画の方が上手いですね。でもラストは蛇のアドルフくんにも天使の輪っかがついたので、一点プラスさせていただきます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-13 23:01:55)
103.  日本誕生 《ネタバレ》 
“東宝製作1000本記念映画”と言われていますが、当時の映画界の状況からすると記録的な大当たりとなった新東宝の『明治天皇と日露大戦争』を意識して製作されたんだろうと想像できます。“不偏不党”がモットーの東宝だけに、外野からケチをつけられにくい古事記と神話の世界を題材に選んだというところでしょうか。でもそこは天下の大東宝、巨匠稲垣浩を監督に据え他社のスターも呼び込んだ一大オールスター・キャストになっています。そのおかげで三船敏郎と鶴田浩二の滅多に見られないチャンバラ対決や、天照大神に扮した原節子の小津映画では決して見せない凛々しい姿などを観られてなんか得した気分になれます。 『日本誕生』というので天地創造から神武天皇あたりまでの映像化かと思っていましたが、実際には日本武尊を主人公に据えて神話シークエンスは劇中劇で見せるという脚本構成です。三船敏郎が日本武尊と須佐之男命の二役を演じて大活躍ですが、服が違うだけでどっちも同じ演技というのはまあご愛敬でしょう。古事記の記述とは違い日本武尊は大伴一族の軍勢に騙し討ちにされて壮烈な最期を遂げるのですが、それが火山噴火の天変地異が起きて大伴の軍勢を滅ぼす壮絶なラストに繋がるのです。このスペクタクルは円谷特撮の独壇場で、特に地割れのシーンは地面をスライドさせる仕掛けを造って実際に俳優たちが呑みこまれるという凄い映像で、ほんと驚かされました。 二部構成で正直後半はだれ気味なんですけど、やっぱ前半第一部の方に見どころが多かったと思います。とくに“岩戸隠れ”で乙羽信子(天宇受女命)が奇天烈な踊りを見せるシーンには強烈なインパクトがあります。八百万の神々も、エノケンや金語楼といった当時の第一線のコメディアンや横綱朝潮まで揃えていて実に豪華。こうやって見ると、日本の神話もギリシャ神話に劣らず豊潤なんですね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-23 21:50:44)
104.  毒婦高橋お伝
高橋お伝と言えば、最後に斬首で処刑された女囚として歴史に名を残している人物で、その犯罪を脚色した芝居が明治時代に大ヒットしたという、いかにも新東宝にはピッタリの題材です。でもそこは巨匠中川信夫が自身のミューズである若杉嘉津子を起用しているだけあって、詩情あふれる映像で丁寧に撮っています。明治の街並みを再現したセットが新東宝映画とは思えない様な出来栄えなのも見逃せないところでしょう。脚本は所詮講談の焼き直しの様なもので、実在のお伝の毒婦と呼ばれる様になった悪行はかなり薄められているのは不満なところ。でも若杉嘉津子のため息が出る様な奇跡の美貌には、ただただ見惚れるばかりでした。そういや、怪談ものでは話の半分は醜く崩れた顔になっちゃうので、若杉嘉津子と言う女優を堪能するのには本作がベストなのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-02 21:57:52)
105.  明治天皇と日露大戦争 《ネタバレ》 
左翼全盛の50年代に、こんな映画が観客動員記録を塗り替える大ヒットしたというのが面白い。インテリは決して観に来ないだろけど庶民には受けるだろうと見抜いて、新東宝始まって以来の製作費を投入した大蔵貢の炯眼は大したものです。さすが活動弁士から成り上がってきただけのことはある。アラカンの明治天皇は、きっと実物もこうだったろうなという説得力が抜群です。場面ごとに挿入される明治天皇御製もなかなか効果的でした。まあ映画自体は相変わらず新東宝テイストの紙芝居調で、史実もかなり脚色された部分が目立ちます。乃木将軍の息子保典が白襷隊の一員として戦死するなんて、ちょっとやり過ぎの感があります。でもこの203高地攻防戦はけっこう力が入った撮り方をしていて、後年の『日本海大海戦』なんかよりよっぽど迫力があります。野砲を撃つと反動で砲が後退するのをちゃんと再現しているなんて、芸が細かい。 邦画では、戦争が絡む歴史ものだと末端の兵士や庶民の目線で描かれることが多いのですが、こういう“上から目線”で撮られた映画というのは、不思議と新鮮な感じがしました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-09 01:12:51)
106.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
“怪しいセールス・マン”はやっぱり悪い奴だった、というオチがどーも昔から気に喰わないのです。実は新婚カップルの方がずっと深刻で、あの部屋で恐ろしいことが起こっていたという展開にした方がずっと面白いのにと観るたびに感じるんです。ヒッチコック先生もでかいセットを作ってもらえたので、ちょっとカメラの技巧に凝り過ぎちゃったのかな。 この時のグレース・ケリーは、その美しさと優雅さは間違いなく頂点に達していたと断言しちゃいます。やっぱグレース・ケリーとジェームズ・スチュアートのカップリングは最高です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-30 00:10:08)(良:2票)
107.  ハーヴェイ 《ネタバレ》 
観る前は、てっきりハート・ウォーミングなコメディだと思っていましたが、かなりシュールなところもあり、一歩間違うとサイキック・ホラーじゃないですかこの映画は。ふつうに考えるとハーヴェイが見えるジェームズ・スチュアートは立派なキ○ガイ、むかしで言うところの精神分裂病なんでしょうけど、実はお姉さんにも見えていたと言うのがミソ。終いには精神病院の院長までもハーヴェイが見えるようになるところは、ちょっと不気味です。またハーヴェイが妖精の様なものだという説明はありますが、とくに可愛らしいことをするわけでもなく、ジェームズ・スチュアートにくっついているだけというのも変です。 本質的には大層ヘンな話しなのに、ファンタジーみたいな演出にしたのは監督のヘンリー・コスターも確信犯なのだろうか。 この作品が持つダークな本質を21世紀に甦らせたのが『ドニー・ダーコ』なんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-02 23:15:59)
108.  翼に賭ける命 《ネタバレ》 
まずこの時期のダグラス・サーク作品にしてはモノクロなのがなぜか不思議。題材からモノクロがふさわしいというわけではもちろんなく、単純にバジェットの問題なのだろうか。サーク映画の美しいカラー映像をこよなく愛する者としてはとても残念です。フォークナーという作家は『意識の流れ』を重視したジョイスみたいなタイプだと思っていましたが、こんなメロドラマの題材になる様な小説を書いていたとは知りませんでした。二人の男とひとりの女が生活を共にしていて、女が生んだ子供の父親がどちらなのか本当は良く判らないって、けっこう凄いシチュエーションじゃないでしょうか。おまけにどっちの男が結婚するかをサイコロを振って決めるんですから、いやはや何と言って良いのやら。こんなお話しをメロドラマにしちゃうんですから、そこはサークの真骨頂と言えるでしょう。撮影所の方針でメロドラマを撮りまくりましたが、舞台演出家からキャリアを始めたサークは文学にも造詣が深い教養人で、本当はメロドラマを撮るのは不本意だったそうです。本作もプロデューサーが介入しなければもっと違った文芸ドラマになってたかもしれません。まあ私とすれば、ゴージャスなドロシー・マローンを堪能できたのでそこそこ満足できましたが。スカートの中を丸見えにしてパラシュート降下を見せてくれるシーンには、思わず眼が釘付けでした(まさにプロデューサーの思うつぼにはまったわけです)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-06-04 01:38:18)
109.  炎の人ゴッホ 《ネタバレ》 
「誰を演じてもカーク・ダグラス」で有名なカーク・ダグラスですけど、ゴッホ役は見事になりきったと言えるでしょう(なんせ、昔から自分がゴッホに似ていると自覚していたそうですから)。もっとも、髭面のゴッホだからトレード・マークの顎が隠れたのが成功の要因かも。 ジョン・ヒューストンの『赤い風車』が大ヒットしたので企画されたというのが真相らしいですが、その分ゴッホの実物画を大量に撮影に使って華やかさを出そうとしています。ゴッホの絵のモデルになった人たちを絵とそっくりのふん装で登場させるところなどはなかなか良いアイデアです。そしてゴッホの絵に合わせたカラー映像は見事な色彩で、特に後半アルルが舞台になってからは数あるヴィンセント・ミネリ作品の中でも屈指の鮮やかな映像です。有名な“耳切り”事件はわりとあっさりした描き方ですが、そこも含めてこの作品の弱いところは、アンソニー・クイン演じるゴーギャンとの交流と確執に至る経過にインパクトが感じられないことでしょう。クインもこの役でオスカーを獲ったぐらいで良い演技ですが、どうもダグラスの大芝居と上手くかみ合ってないのではと思いました。あくの強い俳優同士を共演させて映画を撮るのは難しい、という良い見本なのかもしれませんね。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-19 00:02:50)(良:1票)
110.  白鯨
原作が世界文学史に名を残すメルヴィルの『白鯨』ですからジョン・ヒューストンもあまり手の込んだ脚本にせず直球勝負しています。しかし『白鯨』の映像化としてはちょっと尺が短すぎて、映像紙芝居みたいに筋を追ってゆくだけの印象になってしまったのは残念です。それでも、イシュメイルやスターバックの造形はリチャード・べースハートとレオ・ゲンがイメージ通りのキャラになっていてその点は完璧。問題はやはりエイハブ船長のグレゴリー・ペックで、やはりペックでは力不足だったのは間違いありません。では誰が演じるのがベストだったのかと考えたのですが、個人的にはやはりジョン・ヒューストンが自らエイハブを演じるべきだったかなと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-27 16:29:05)
111.  暁の出撃(1955) 《ネタバレ》 
ピーター・ジャクソンがリメイクしているそうですが、オリジナルもこのたびDⅤD化されました。第二次大戦で英空軍がルール工業地帯のダムを爆撃した『チャタライズ作戦』は戦史上有名な作戦で、本作はこの冒険的な作戦を史実かつオーソドックスに再現しています。 ダムを破壊するには普通に爆弾を落とすだけでは効果がなく、特別に製作したドラム缶型爆弾を低空飛行で接近して水面に落とし、水上を跳躍(スキップ)させてダムにぶつけ、なおかつダムの底で爆発させないと効果がない。実はこの作戦自体がマイケル・レッドグレーブが演じる民間技術者が考えついたもので、彼が軍を説得して実行させたというのが面白いところです。この人ちょっとマッド・サイエンティストみたいなおっさんなのですが、レッドグレーブはおたくっぽい雰囲気で感じを出してましたね。リチャード・トッドが演じる爆撃隊長はレッドグレーブの無理な要求に苦労して解決方法を見つけてゆくのですが、このいかにも英国人らしいタイプのヒーローぶりは好演です。実際に作戦に使われたランカスター爆撃機は飛行可能な実機を使っているので、私の様な飛行機マニアにはたまりません。肝心のダム爆撃シーンですが、これがオスカーにノミネートされたとは思えないちゃちな出来で、そこは非常に残念でした。作戦は成功しますが爆撃隊は4割も撃墜されてしまい、「こんなに犠牲が出るとは思わなかった」とレッドグレーブが嘆くところでこの映画は終わります。ダムが決壊して大洪水がおこりルール地帯の重工業は一時的に大損害を被ったのですが、史実では民間人に1,200名もの死者が出たそうです。そういうことはこの映画ではまったく触れられてはいませんが、戦争に関してはアメリカもイギリスも大して変わらない、どっちも非情だなとしみじみ思います。 ちなみに夜間に爆撃に行って明け方に帰還する作戦なのにどうして『暁の出撃』という邦題になったのでしょうか? 大間違いです。 
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-01 01:10:53)
112.  地球防衛軍 《ネタバレ》 
おそらく本作は日本初の本格的なエイリアン侵略ものSF映画です。東宝特撮映画は前作『ラドン』からカラー制作されており、個人的には本作あたりがもっとも色鮮やかな東宝特撮映画ではないかと思っています。ミステリアンのコスチュームやマーカライト・ファーブの塗装など、鮮やかな色使いですよね。ちなみにミステリアンの首領(赤のコスチューム)は土屋嘉男が演じていて、本人いわく「日本映画史上、初の宇宙人役者」なのだそうです。突っ込みどころはけっこう豊富ですが、そもそもこのミステリアンの地球(日本?)侵略はシリアスに考えるとほとんど『プラン9・フロム・アウター・スペース』と一緒みたいなもんで、そこをここまで大真面目な活劇にまとめ上げた本田猪四郎の力量は大したものです。余談ですが、あの入浴シーンで有名な白川由美は、なんと二谷友里恵のお母さんなんですね。 当時出回りだした画期的な新素材(プラスチック!)を多用して製作されたミステリアン要塞のセットは同時期の『禁断の惑星』と比べても決して引けを取らない出来で、東宝特撮のレベルの高さがわかります。伏線もなくいきなり登場するα号β号もミサイルの様なスタイルが垢ぬけていて、けっこう好きです。 若い人たちが観れば「なんじゃこりゃ」と感じる部分が多いでしょうが、私たちの世代は伊福部昭のメインテーマを聞くと思わずアドレナリンが噴出しちゃんですよね。
[地上波(邦画)] 6点(2010-09-29 20:56:36)(良:2票)
113.  熱いトタン屋根の猫 《ネタバレ》 
“ビッグ・ダディ”はいかにも大物という貫禄ですが、P・ニューマンとの会話で判るように実は親父はホーボーだったという成り上がり者。妻やニューマンに自分が注いだと思っている愛情もお金や物質的なものに過ぎず、家族はそういう“ビッグ・ダディ”にはうんざりしてそれぞれ割り切った感情しか持っていないのに、本人はそれに気がついていない。ただの傲慢で専制的な南部男の様で、実は心の奥底には成り上がったのに消えることがない虚しさを抱える人間像をバール・アイブスが好演しています。自分としてはテイラーやニューマンより彼の存在がこの映画では大きいと感じました。ニューマンがテイラーを嫌う理由が、テイラーがゲイの相手と不倫したことになっては、原作劇の本質が台無しになってしまったのではないでしょうか。そして強烈な印象を残してくれたのは、グレムリンみたいな面相の兄嫁とそのガキどもでした。
[DVD(字幕)] 6点(2010-05-23 20:21:50)
114.  天はすべて許し給う
破天荒なメロドラマ『心のともしび』が大ヒットしたのでフォローアップ企画として製作されたのが本作。J・ワイマン、R・ハドソン、A・ムーアヘッドの三人は共通キャストですが、作品の内容はメロドラマではありますが『心のともしび』とは無関係で、いわば岡本喜八の『独立愚連隊』と『独立愚連隊西へ』の様な関係です。未亡人のワイマンが出入り庭師のハドソンと歳の差を乗り越えて結ばれるという単純な物語ですが、前作に比べて作品の質は上がっています。特にハドソンの演技が見違えるほど上手くなっています。舞台は郊外の街で、その街の上流階級が集まるカントリー・クラブでの人間模様が巧みに物語の展開に生かされるところが良く出来ています。サーク映画の特長でもある美しいカラー映像が見事でした。
[DVD(吹替)] 6点(2010-02-03 23:28:49)(良:1票)
115.  最前線 《ネタバレ》 
ちょっと異色の戦争映画です。舞台は朝鮮戦争で、山中に取り残されたベンソン中尉の米軍小隊は10キロ先にある高地に撤退する命令を受けます。途中でモンタナ軍曹と負傷した大佐が乗ったジープに出会い、無理やりジープを徴発し軍曹にも部隊に編入して戦うことを強制します。この軍曹と中尉はそりが合いませんが、小隊は有能な軍曹の活躍で狙撃兵や地雷原といった危機を乗り切り目的地に到着しますが、そこは敵にすでに占領されていました。この映画、おそらくかなり低予算で製作されたと思います。ほとんど全編山中でのロケ撮影で、画面には建物一軒すら映らないのです。登場人物も小隊の兵士17名と軍曹と大佐、後は北朝鮮軍の兵士4・5名だけです。と書くといかにもZ級映画みたいですが、低予算を逆手にとって緊迫した演出で結構はらはらどきどきさせられます。またこの作品は音響効果に凝っていて、兵器を操作する音や銃声などの金属音がとても効果的に使われています。カネがかけられないので派手なアクションシーンが撮れないが音響演出で緊迫感を出そうじゃないか、という製作スタッフの発想なのです。ベンソン中尉はロバート・ライアンが演じていますが、この中尉が途中から迷走しだして最後の攻撃前には「俺には指揮出来ない」などと部下に言いだしたりしてちょっと脚本のキャラ設定に疑問を持ってしまいました。若きヴィック・モローが繊細で神経質な兵士を好演しています。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-09-15 00:38:29)
116.  あの日あのとき 《ネタバレ》 
原題通り、ノルマンディー上陸作戦を絡めた戦争メロドラマです。ダナ・ウィンター演じるイギリス女性と、米軍将校のロバート・テイラーとリチャード・トッド演じる英軍将校が三角関係を繰り広げるお話しです。ウィンターとトッドは婚約していますが、トッドが出征中に女房もちのテイラーと恋仲になります。D・ウィンターって清純そうな顔立ちなのですがこの映画でやってることは尻軽で、「パール・ハーバー」のケイト・ベッキンセールを思い出してしまいました。負傷して帰国したトッドは二人の関係を知り大いに傷つきますが、ここはお約束通りウィンターはトッドのもとに戻ります。そして奇しくも同じ部隊でトッドが司令官、テイラーが部下という関係でノルマンディー上陸作戦に参加した二人には過酷な運命が待っているのでした。と書くといかにも通俗メロドラマですが、丁寧に撮られていて観られる映画にはなっています。脇にもテイラーの上官役でE・オブライエンが出ていたりして、結構しっかりした作品でした。ただ戦闘シーンは低予算の悲しさでショボい出来です。ドイツ兵が第一次世界大戦型のヘルメットをかぶっているのにはがっくりでした。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-10 00:07:24)
117.  愛する時と死する時 《ネタバレ》 
メロドラマの名手ダグラス・サークが撮った唯一の戦争映画で、原作は「西部戦線異状なし」のエーリッヒ・レマルクです。レマルクは主人公エルンストの恩師役で出演していて、結構達者な演技を見せてくれます。ロシア戦線に出征していた主人公が休暇で故郷へ帰り、空襲で破壊された街で行方不明の両親を捜すうちに幼なじみの女性と再会して恋におち結婚しますが、休暇が終って前線に復帰すると命を助けたパルチザン青年に撃たれて戦死してしまうというのがストーリーで、戦争映画といっても戦時下のドイツの市民生活や恋愛模様の描写がメインです。映像はサークらしく非常にきれいで、空襲シーンは結構迫力がありました。いかんせん、レマルクの原作小説自体が凡作なのであまり印象が残らない映画の出来になってしまいました。ラスト、妻から来た子供ができたと知らせる手紙に手を伸ばしたところで息絶えるのは、「西部戦線異状なし」のまるっきり二番煎じでした。サークはナチス迫害を逃れてアメリカに亡命したオーストリア人ですが、俳優の息子はドイツに残りロシア戦線で戦死しています。きっとサークは亡き息子のことを偲びこの映画を撮ったのではないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2009-05-06 08:58:25)
118.  非情の罠 《ネタバレ》 
キューブリックの実質的デビュー作で原作も彼のアイデアですが、結構ストーリー展開に粗さが目立ちますね。でもそこはキューブリック、あのマネキン大乱闘を筆頭に随意にキューブリックらしい構図と伏線があって興味深い作品です。ただあの女の描き方だけは訳わからんし、とってつけたようなラストにも納得がいきません。そこら辺は、キューブリックも若かったということでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-27 00:08:38)
119.  大菩薩峠 第二部 《ネタバレ》 
第二部が始まるとなぜか机竜之介は盲目になっている、これは前作のラストの爆破攻撃で傷を負った為らしい。相変わらずの超特急的なストーリーテリングだが、本作では盲人のくせに虚無僧姿で飄々と東海道を東へ向かう竜之介と追うお松・兵馬のロードムービーという展開です。この竜之介が盲人なのに随所で斬りまくるしラストでは槍技まで披露します。これはもう座頭市どころじゃない特殊能力ですが、座頭市みたいなリアル指向がないチャンバラなのでやっぱ怪物としか思えない。道中では後から後から女性がモーションかけてくるし、ここまで来ると眠狂四郎もシャッポを脱ぐでしょう(笑)。そしてさすがの竜之介も未亡人のお徳と捨ててきた我が子と同年齢の息子と接するうちにその山中の湯治所で静かに暮らそうかと達観するけど、槍を振るって血の臭いを嗅ぐと元の竜之介に戻ってしまう。竜之介はゆく先々で因果をまき散らせているようなものですけど、悪旗本=神尾主膳がなぜか竜之介の近くに引き寄せられてるような印象があります。この神尾主膳=山形勲の悪辣ぶりはなかなかのものです。 もう後から後から登場人物が増えるので筋を追うだけで必死になりますが、このカオスの様な物語、どういう結末を迎えるのでしょうか?
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-05 23:07:14)
120.  大菩薩峠(1957) 《ネタバレ》 
時代劇映画できってのダーク・ヒーロー机龍之介、オープニングでいきなり通りすがりの老人を何の躊躇もなく斬捨てる、もうサイコパス人斬り魔でしかない。演じるは“山の御大”こと片岡千恵蔵、机龍之介役としてはやはりこの内田吐夢版の千恵蔵がやっぱいちばん有名でしょう。このキャラの鬼畜ぶりは眠狂四郎でさえも正義の味方に思えるぐらいで、そのニヒルぶりもかなりのもんです。千恵蔵はこの時すでに齢五十を超えている半ば御老体で龍之介を演じるにはちょっと老け過ぎの感もありますが、その貫禄と威厳はさすがとしか言いようがないです。中里介山の原作は超長編のうえに彼の死で未完という問題作、映画化されると長編の尺で三部構成というパターンが主流ですが、それでもストーリー展開は超高速でダイジェスト感があるのは否めません。やっぱ完全映像化となると、アヴェル・ガンスの『ナポレオン』ぐらいの尺が必要でしょう。 第一部しかまだ観ていませんが、とにかく一つ一つのエピソードが短く次々に繰り出されるので、参考資料を片手に観ないと着いていけなくなります。その分どうしてもキャラたちの掘り下げが甘くなりがちで、とくに龍之介が単なるぐうたらにしか見えないところが残念でした。近藤勇や土方歳三なんかとつるみ出したんでどうやら新撰組に龍之介は参加したんだなと判りますが、どうして彼がその気になったのかはまったく描かれていないので?でした。あと『用心棒』以前の古い時代劇にはいわゆる斬撃音がないので、どうも迫力が感じられないのは私だけでしょうか?
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-02-17 22:31:36)
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