101. ハドソン川の奇跡
《ネタバレ》 ずいぶん予想と違った。不時着するまでをドラマティックに演出するのかと思っていたが、ハドソン川への不時着が妥当なものだったのかどうかを検証する公聴会がクライマックスに、ドキュメンタリー映画のような構成。リアリティがあって面白い。 [DVD(吹替)] 6点(2017-04-29 19:38:21) |
102. レッド・ファミリー
キム・ギドク作品は暗くてシュールというイメージがあって苦手だけれど、これはわかりやすかった。 監督を別の人に任せているからなのだろうか。 [DVD(吹替)] 5点(2017-04-29 19:35:19) |
103. 怒り
《ネタバレ》 東京、千葉、沖縄を舞台に三つの話が並行しているので、どこかで絡んでいくのかと思えば、まったくリンクしていかなかったので拍子抜け。 群像劇というより3本のオムニバスで、それを犯人のミスリードに利用した感じ。サスペンス効果はあるけど、どうしても一つの作品としてのまとまりに欠ける印象は拭えない。 少し気になったのは沖縄の米兵の描き方。好意を寄せている少女が米兵に乱暴されているのに、震え上がって何もできないほど怖いというのがちょっとリアリティがないような…。米兵なら大声だせば民家が近いこともあって立場的にも絶対逃げるだろうし、それなら地元のチンピラや不良少年のほうがタチが悪くてよっぽど怖いはず。そこに政治的偏向性のようなものを感じたのは気のせいか。 豪華キャストの競演は見応えがあった。 [DVD(邦画)] 5点(2017-04-16 10:29:43)(良:1票) |
104. 最後まで行く(2014)
《ネタバレ》 内部監査で不正を摘発された殺人課の刑事たちが、内部監査部の弱みを調べようとする。 「奴らだって警官だ。たたけばホコリは出る」 警察不信の韓国だからこそリアリティを持つ言葉なのかも。 汚職仲間のゴンスだが、車で轢いてしまった死体の隠蔽に一人で悪戦苦闘で、内部監査どころではない。母の葬儀を利用して死体を母の棺に入れて隠すのだが、特殊工作員並みの必死の働きが笑える。死体が実は訳ありの犯罪者で、ゴンスは事件に巻き込まれて脅迫を受けながら事態はどんどんエスカレート。もう何でもアリのハチャメチャな展開に。 ターミネーターじゃあるまいし、爆破されても死なない不死身の黒幕が追ってきたり。警察内部も収賄、犯罪の隠蔽、押収麻薬の密売と、腐りきっている。 巻き込まれながら秘密を隠そうとして事態が悪化していくのは、シリアスなサスペンスにちょっと三谷幸喜のコメディーテイストを加えた感じ。 ストーリーは意外性があって面白いが、好感の持てる人物がいない。 主人公が悪でも憎めないってケースもあるんだけど、刑事のくせにチームで汚職はするは轢き逃げで死体を隠そうとするような奴では…。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-03-13 19:50:02) |
105. セッション
《ネタバレ》 フレッチャーが『フルメタルジャケット』の鬼軍曹そっくり。汚い言葉で罵倒してニーマンをぎりぎりまで追い込んで鍛える。そんなやり方にろくに怒られたことのない現代っ子がついていくのは難しい。 ニーマンにもあまり好感は持てない。友達ができないのもわかる、嫌なヤツだ。フレッチャーに潰されたという気持ちは理解できるが、父親が出しゃばって密告したのはガッカリ。もう大学生なんだし、自分から情け無用の競争に挑んでしくじったのは自分の責任でもあるんだから。 ただ、密告の報復を謀るフレッチャーのワナにハマり、負け犬のように去るかと思えば、引き返してからのセッションは息を飲む。 まさに闘い。憎悪に狂ったフレッチャーを、音楽の力で目覚めさせる。「なかなかやるじゃねえか」フレッチャーの目がそう言っていた。 ラストで彼女とよりを戻すといったような、興ざめなラブストーリー色を入れなかったのも良かった。 [DVD(吹替)] 7点(2017-03-12 08:31:50) |
106. メビウス(2013/韓国)
《ネタバレ》 音はあるけどセリフは一切ない。でも、セリフが想像できるように伝わってくる。 ペニスを失っても痛みでエクスタシーが得られるとしても、リアルに考えれば誰もがそうなるものでもないだろう。 そこにリアリティを離れた寓話性を感じる。タブーに挑んだ変態的でちょっとホラーな寓話。 キム・ギドク監督の独特の歪みが滲み出た作品。タブーや恥部をえぐり出してシュールに描く。 同じく鬼才とされるクローネンバーグ監督にも通じる苦手意識を感じる。ついていけない。 [DVD(字幕)] 4点(2017-03-12 08:22:14) |
107. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 アニメを映画館で見るなんて、子供の頃以外は記憶にないが、「君の名は。」とこの作品だけは見る気になった。 見てみると評判通りの佳作。日本昔話に出てきそうな朴訥でほんわかした雰囲気。 そんな中で絶対幸せになるしかないと思える主人公が、戦争で悲惨な目に遭う衝撃。 ほんわかした声や画柄と、シリアスなストーリーのミスマッチにやられた。 それでいて陰惨に終わるのではなく、最後に救いもあるので後味は良い。 ただ、そこまで深く感情移入はできなかった。 [映画館(邦画)] 7点(2017-03-01 21:09:09) |
108. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 アニメは見るならDVDで十分と思っているが、これは映画館で見て良かった。好きな画柄だったし、ストーリーにも惹かれた。 男女の入れ替わりやタイムスリップだけなら凡庸なものになりそうなところを、口噛み酒、隕石落下の大災害、組紐などの要素を入れて、ドラマティックにしている。 よく考えると綻びも目につきそうなストーリーで、腑に落ちないところが幾つもあるのだけど、勢いに飲まれて作品世界に巻き込まれていく感じ。終盤は映画館で必死で涙をこらえるしかなかったのだから、心を動かされたのは間違いない。 [映画館(邦画)] 8点(2017-03-01 21:06:39) |
109. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 なんだこのできそこないゴジラは?とそのカッコ悪さにビックリ。 が、それは進化途中の形態で、最終形態はゾクゾクするようなカッコよさ。待ってました大統領って感じ。やっぱり映画館で見ると大迫力。 フィクションの世界なら、正義の味方だろうが悪の化身だろうが、強くて存在感のあるものには得も言われぬ魅力がある。 従来の怪獣ものと違い、ゴジラを巡る政府や官僚の動きがリアルで面白かった。 [映画館(邦画)] 7点(2017-03-01 21:05:28) |
110. アントマン
アリのようなヒーローとはユニークだけど、内容は記憶からすぐに消えそう。 [DVD(字幕)] 4点(2017-02-28 20:44:21) |
111. ニンフォマニアック Vol.2
《ネタバレ》 ジョーは突然性感を失ったにも関わらず、子供を産んでも落ち着くことなくSEXに耽るのが不思議。ジェロームが手に余って他の男漁りを提言するほど異常ってこと。極め付けは、言葉も通じない黒人をナンパして、その黒人兄弟と3Pになるシーン。プレイの最中に兄弟がどっちの穴に入れるかを巡って勃起しながら喧嘩を始めるという笑える展開。しかも、若いステイシー・マーティンではなく、肌のたるんだシャルロット・ゲンズブールが演じているのもシュール。 失ったセクシャリティを回復しようと、ジョーは会員制SMクラブのようなところにまで出入りする。そんなことで回復できるとは思えないのだが、とりあえず何でもやってみようということか。夫と子供を失ってでもムチ打たれに出かけていくいくジョーは、凡人には理解不能。ジョーは集団カウンセリングで「色情狂」と自己紹介し「セックス依存症」とはっきり区別しているようだが、その違いさえもよくわからない。 ジョーが借金取りになって男の性的嗜好を探りながら責めるシーンも面白い。大男が脅迫してもオチなかった男の下半身を露出させて、いろんな性的嗜好の物語を聞かせ反応を見て、ついには男児愛好家とわかるや男は泣きながら金を払うと屈服する。色情狂としてのいろんな性体験が仕事に生かされることもあるわけだ。性的疎外者であるジョーが同じ孤独を味わう男児愛好家にフェラしてやるのも色情狂ならではの共感の印なのか。 蘊蓄を語りながら分析するセリグマンの博識ぶりがすごい。ジョーがムチ打たれたときに縛られた縄の結び方が、登山のプルージック結びと推察して、それが生まれたエピソードまで披露している。 その紳士然として性欲など無縁のような童貞老人が、ラストに豹変したのはビックリ。おまえも性欲から逃れられない男だったのかと。 セクシャリティをすべて捨てることを決心したジョーも、結局そこからは逃げられなかった。セリグマンがジョーに拒絶されて最後に言ったセリフ――「大勢の男とやったくせに」 それまでの博識な紳士像を全部引っくり返してしまうインパクト。 神経症を抱えたトリアー監督の、人間の性や業を冷徹に見つめる屈折した皮肉な視線を感じる。 この監督、皮肉が好きなようで、ジョーが片腕として育て上げたPにジェロームを寝取られた上に小便を掛けられたのもそう。 丁寧に積み上げたものを最後に粉々にぶち壊してみせる感じ。 もっと軽いタッチの映画かと思ったら、とても深くて数学、バッハ、聖書など、いろんなメタファーがこめられているようだ。深すぎて理解するのが難しい。特に、聖書や宗教が絡むと、その方面での関心や知識がないので、東方教会や西方教会が出てきてもピンとこない。 でも、わからないながらも幾つものシーンにインパクトがあって印象に残る。この特異な映画の全体を理解したい気もするが、一方でそれができない自分に安心する気持ちもある。 [DVD(字幕)] 7点(2017-02-28 20:37:25) |
112. アンコール!!
《ネタバレ》 父と息子の溝は修復できないほどに広がっていた。考え直して関係改善しようとする父を、もう遅いと拒絶する息子。そこには積もり積もったものがあるのだろう。 老人合唱団をボランティアで指導する音楽教師、老夫婦の深い絆、無謀とも思えるコンクール挑戦。アイテムはきっちり揃っているものの、どれも定型で感動までには至らない。 [DVD(吹替)] 5点(2017-02-27 19:58:54) |
113. ソルト
《ネタバレ》 子供からのスパイ養成、二重スパイ、陰謀、裏切り、二転三転するストーリー。 スパイものとしてはスタンダードな要素がしっかり入っているものの、何か物足りない。 アンジー好きなら。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-26 08:30:46) |
114. ニンフォマニアック Vol.1
《ネタバレ》 ボコボコにされて倒れている女を初老の男が連れて帰って、女のこれまでの人生を聞き出していく形で物語は進む。 ヒロインのジョーは友達とお菓子を賭けたゲーム感覚で男漁りをするようなヤリマン女。となれば、下衆で俗っぽいストーリーになるのかと思えば、哲学的な話も交えてどこか高尚な香りがする。例えば、3+5突きで終わった屈辱の初体験。そんな下ネタもフィボナッチ数になぞらえてしまう。 一番印象に残ったシーンは、妻子ある男と不倫して、捨てられそうになった夫人(ユマ・サーマン)が子供3人を連れて乗り込んできたところ。たまたま訪ねてきたジョーのボーイフレンドも加わって、なんとも言えない雰囲気の中7人がテーブルで向かい合う。夫人の抑えきれない怨念と怒りが滲み出て、トリアー監督の才気を感じた。 この監督にこのシーンの調子でコメディを作らせても面白そうだけど、暗くてシリアスな映画ばかり作っている印象がある。 セックスシーンは随所に出てくるが、ステイシー・マーティンの顔はキレイでも体が華奢すぎてそそられない。 全体に落ち着いたトーンで、どこか不思議で面白い雰囲気を持っている映画。セリグマンがジョーの話を聞くさまは、博識の老学者がカウンセリングをしているかのよう。 バッハの旋律にもフィボナッチ数が潜んでいるとし、低音部、中高部、高音部の三部によってポリフォニーが作られる。一見ジョーの色情狂とは何の関係もないような話だが、バッハとジョーの話を関連させていくのがユニーク。 ジョーは大勢との性交渉も単に性的体験の総体としてしかとらえていない。だから男は一人だけと同じことなのだと。毎晩7、8人の男と寝ていたジョーは、低音部、中音部、高音部に男を分けて振り返っていく。 単なるヤリマンの話かと思えば、すごく哲学的な分析にまで発展して、ちょっとついていけない。 ラストは、あれだけヤリまくってた色情狂が、ベッドの上で男とまぐわいながら「何も感じない」と泣き出す。 つまらなければVol.2は見ないで済まそうと思ったが、この後どうなるのか続きを見たくなる。 [DVD(字幕)] 5点(2017-02-26 08:24:50) |
115. おじいさんと草原の小学校
《ネタバレ》 どこから見ても立派な美談なのだが、あまり共感できず。おじいさんが小学校入学をゴリ押ししたのが、どうもスッキリしない。 その年になって一から文字を学ぼうとすること自体は立派だが、それは子供だけが通う小学校でなくてもいい。他に大人が学べる学校がないなら話は別だが、大人だけの学校はあったのだから。 いくらそれが騒がしい環境であったとしても、例外を認める理由としては弱い。 おじいさんも他への配慮よりも自分がその小学校に入学することに執着しすぎているように見える。 子供は子供だけの世界を持っている。自分が小学生のときに大人のクラスメートがいたら、正直嫌だけどな。教師や実習助手としてなら構わないけれど。 [DVD(字幕)] 4点(2017-02-25 22:34:08) |
116. アジョシ
《ネタバレ》 質屋の元特殊部隊要員に扮する主人公のウォンビンが、文句なしにカッコいい。 ロワンとのタイマン対決は昔ながらの男と男の決闘という感じ。ロワンは拳銃を使えば簡単に殺せた場面で、あえてナイフでのタイマン勝負を挑んだり、少女を最後でイカれた医師から救ったり、敵だけれど憎めないキャラ。 少女も殺戮に慣れたテシクやロワンの心を動かすだけの何かを持っている。少女が臓器売買の餌食に…というそのまま終わっていれば後味が悪すぎるグロテスクなシーンもあったが、ラストはちゃんとカタルシスもある。 結局あの目玉は?と最初はピンと来なかったけど、見返してみると伏線は張ってある。子供を犯罪の手先に使ったり、臓器売買で殺してしまうマンソク兄弟の極悪キャラも、主人公を引き立てていた。 血生臭いシーンがテンコ盛りだが、それが嫌いじゃなければ楽しめる。『レオン』とまではいかなかったけど、これはこれで面白い。 [DVD(吹替)] 7点(2017-02-24 20:00:47)(良:1票) |
117. バイオハザードIV アフターライフ
映画は続編を作るにしても2作、長くても3作までにまとめないと。さすがに飽きて右肩下がりに。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2017-01-18 06:11:49) |
118. ホーリー・モーターズ
映画を作るとき観客のことをまったく考えていない、観客より自分自身のことを考える。そう言った監督の言葉通りの印象。 シュールで前衛的かつ哲学的、最も苦手なタイプの映画。 [DVD(字幕)] 2点(2016-11-03 06:40:55) |
119. 薄氷の殺人
《ネタバレ》 魔性の女がキーパーソンになったフィルム・ノワール系。 わかりにくいところや不自然なところもチラホラ。最初に射殺された容疑者兄弟は、結局事件には関係なかったのか。 雰囲気や情緒を重視して辻褄の合わない不自然なところが出てくる映画は苦手。 女のキャラもブレてるように感じたが、グイ・ルンメイの美貌は印象に残った。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-23 22:51:50) |
120. 星の旅人たち
《ネタバレ》 息子の遺灰を撒きながら巡礼の旅を引き継ぐ老人、メタボ対策で痩せようとしている大食漢、禁煙しようとしてるヘビースモーカー女、スランプでネタを探しに来ている作家。たまたま出会った4人が800キロに及ぶ聖地巡礼の旅に同行するロードムービー。 巡礼の目的もそれぞれ。ヘビースモーカーの女は禁煙目的とは言っているが、DV夫との離婚という過去を背負っており、そのトラウマ解消が本心か。大食漢の男も単なるダイエットの他に何かわけがありそうにも思える。自分探し、再生の道のり。 断絶していた父と息子は、父が息子の巡礼を経験することでその気持ちを理解しようとした。遺灰を撒き終えて幻影の息子と見つめ合う父の顔からは、二人の距離が縮まった喜びが感じられた。 じんわりとくる良作だと思うが、聖地巡礼というのがそもそもいまいちピンとこない。今では信仰心がなくてもこの映画のように自己実現やスポーツ的に挑戦する人も多いようだけど。やってみればわかるのかな。 [DVD(字幕)] 5点(2016-10-23 22:49:55) |