1221. 恋におちて
共に既婚者である市井の男女が一緒にはなれないが愛し合う。ほんのひと時の幸福感を味わう事。胸に飛び込んで思い切り泣きたいと願う時に限って会えない辛さを腹に飲み込む事。罪と罰の部分が、言葉に表れない部分のメリル・ストリープとデ・ニーロの演技から感じられます。エキセントリックでないデ・ニーロもなかなか良いです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-10 09:11:36) |
1222. 昭和残侠伝
昭和残侠伝シリーズは小学生の頃、テレビで父と一緒によく観ました。登場人物とストーリーの細部は忘れましたが「親にもらった大事な肌を・・・」の歌をバックに健さんが単身敵地に向う道すがら池部良と合流し並んで歩くシーンは歌詞共々覚えており、毎度毎度池部良のカッコよさにメロメロになったものです。何十年か振りかの鑑賞でしたが、前奏が流れただけで鳥肌が立ちました。本作ではお馴染みの二人以上に江原真二郎に魅了されました。優男が見せる滅びの美学に、不覚にも涙ぐみそうになってしまった私は、いい歳になってもシビアに物事を考えられない甘ちゃんなのだと感じました。 [DVD(邦画)] 7点(2006-12-02 12:52:00) |
1223. 氷点
『汝の敵を愛せよ』は人を責めない事に通じる事で、その困難さと尊さを辻口一家から感じます。川べりの陽子の姿に「そんなに何回も飲んだらあかん、死んでしもたらあかんがな」という思いと、太陽の如き彼女の心を凍てつかせた、啓造の偽善者振りと「女は子宮で物を考える」という妄言も止む無しの夏江の浅はかさに、沸点の低い自分は腸が煮え繰り返りました。葛藤の末彼女を兄として愛した徹のためにも死なないで欲しいと祈り続けました。本作のテーマである『原罪』という考え方には納得出来ません。罪は犯した時に責任を取り背負うものであって、生まれた事が罪ではないと考えます。原作を読んでみることにします。 [DVD(邦画)] 7点(2006-11-26 00:53:59) |
1224. 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼
《ネタバレ》 爆弾魔との対決でテンポ良く進む中盤とじっくりと見せる終盤、めりはりが利いていて観応えがありました。私は赤を切ってしまうと思っていましたので、蘭ちゃんの台詞には唸らされ、年甲斐もなくグッときてしまいました。クサくて大いに結構、大切な絆は切られてしまうのは止む無くとも自らが切ってはいけないのです。 [映画館(邦画)] 7点(2006-10-04 00:38:22) |
1225. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 子供の付き添いで鑑賞しました。細かなアラの部分を差し引いても良く出来た作品で嬉しい誤算でした。未曾有の災害により日本の国土が消滅してゆく過程でどれ程の恐ろしさ、悲しさが一人一人にあったかを細かに描かなくとも、廃墟の列島、日本を後にする人々の姿が想像させてくれます。日本国政府や国際社会からの視点を深く掘り下げていない事は、かえって色々考えさせてくれるので本作では正解だと思います。自然の力にひれ伏さなかった結末にも満足できました。 [映画館(邦画)] 7点(2006-08-03 01:38:06) |
1226. サイドウェイ
後戻りのきかない年齢故の焦燥感、自己評価の低さを水と油のようなマイルスとジャック双方が抱いています。真っ直ぐな道を颯爽と走らなくても、寄り道、回り道しながら曲がりくねりながら歩いて行こうとする事に、もうこの歳からでは遅すぎるという事はないと言う事を、ユーモア溢れる珍道中の中にほんのりと感じさせてくれます。ラストシーンは好きですね。マヤと結ばれる、結ばれないという結果以上にドアをノックした事が素晴らしいのですから。 [DVD(字幕)] 7点(2006-07-18 01:32:23) |
1227. 暗くなるまで待って
《ネタバレ》 恋愛物だと思っていたのにサスペンス物であった事に驚き、鑑賞後「面白かった、観てよかった」と満足の出来た作品でした。限られた舞台設定での巧妙に伏線が張られた脚本と、スージーの抱いた疑念が確信に変わって圧倒的不利の状況から活路を開いてゆく、めりはりの効いた展開に知らぬ間に物語にぐいぐい引き込まれていきます。また、淡い感情を抱きながらスージーと対決する甘ちゃんな悪党マイクと、あとに続く、スージーと観る者に「お楽しみはこれからなんだよ」とばかりにサディスティックに迫る正真正銘の悪党ロートの二人は刺身と刺身のツマの様でうまいキャラクター設定です。このクライマックスは見応え十二分の一進一退の攻防でしたが、惜しむらくはロートが致命傷を負うシーンです。もう一捻り効かせて欲しかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-17 01:36:48)(良:2票) |
1228. ポゼッション(1981)
ポーランド人監督によるベルリンが舞台であろう1980年に製作された本作。尋常ならざる情念をぶつけ合う男女は、変革していこうとする国家の体制であるように感じました。私もアンナと保母さんが一人二役である事になかなか気づきませんでした。何時もの「恋に破れた果て」ではないアジャーニの完全に常軌を逸した様の凄まじさ。彼女の役者魂にただただ脱帽です。不明な点が多々ありましたので、また観てみたい作品です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-06-11 15:54:31) |
1229. 蘇える金狼(1979)
《ネタバレ》 いろいろな点で懐かしさを感じさせてくれた作品です。学生時代、大藪晴彦にのめり込み、主人公達のような男性に憧れた一時期があり、その中でも朝倉哲也は今もって印象に残るキャラクターです。映画は初めて観ましたが、キャスティングの絶妙さに唸らされました。ラストは原作通りであって欲しかったですが、松田優作の強烈な最期もまた良しと言ったところです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-12 23:58:14) |
1230. めぐり逢い(1957)
《ネタバレ》 前半のコミカルさたっぷりの浮世離れした恋のときめきと、後半の生活してゆく厳しさの中における愛情の深さ。対比が鮮やかです。彼に負担をかけたくないという一念は、愛する人に同情される事が彼女にとっての負担だったように思います。ラストの女々しさ漂う彼に対する、彼女の愛するが故に慰めを拒む姿は神々しいまでの美しさです。私の憧れの女性の一人です。安堵感で体の力が抜けてしまったエンディングでした。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-01 22:21:58) |
1231. 酔拳2
味のある脇役の面々が忘れられない作品。とりわけジャッキー作品の敵役ではピカイチのボスの面構え、いでたち、足さばきは何度見ても見惚れます。まずまず練れていたストーリー。最後の最後でプッツリ終わるのが何とも惜しまれるところです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-30 00:39:45) |
1232. ALWAYS 三丁目の夕日
懐かしい情景と「カイ・・カン」の薬師丸ひろ子の母親ぶりに、時の流れを感じました。観終わって、現代の暮らしの豊かさと、人の心の豊かさが比例していない事を考えさせられました。それは、便利で豊かな事を当たり前ととらえ感謝の気持ちが希薄になっているからではないでしょうか。自分が9歳の時、母にプレゼントした掃除機を今も母は使っています。自分が両親から感じた、生きている事に感謝する、自然の恵みに感謝する、家族に感謝する、ご近所に感謝する、道具に感謝する等々感謝する気持ちを思い出し、我が子へ伝える事が自分の努めであると自戒をこめて思いました。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-18 22:45:41)(良:1票) |
1233. マスク(1994)
初めて観ました。マスクのスタンリーのハチャメチャさは、CGを駆使したとてつもないものですが、素顔のスタンリーの対比という点で決して度は過ぎておらず、正義のヒーローでもないので笑わされ通しでした。こういうキャラの受け手が重要で、相棒に犬のマイロをもってきたのは旨いというか反則です。大爆笑させられました。このコンビには及びませんが、とぼけた味の警部と部下の正味の人間キャラにも笑わされました。お話はスタンリーのティナへの想いから悪党たちの対決へという展開になりますが、ボスキャラが小悪党の割にワル知恵もなくセコさもなく変身しても対比の妙が無くといった具合で、受け手として弱かった所が残念でした。ラストはハッピーだけど面白くないという予想された結末に落ち着くのは止む無しかと思った途端のオチには満足できました。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-12 23:43:55) |
1234. ロープ
映画にとって厳しい制約を自ら課した中で、これ程の作品に仕上げる監督の力量はプロ中のプロだと感じます。フィリップが何時崩れるか、観ている方はハラハラするのですが、もしかしたら、ブランドンはそんなフィリップの様子を楽しんでいたのかもしれないですね。露見するシーンがもう一捻りきいてくれたらと思うのは贅沢でしょうか。見応え充分の作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-05 23:31:44) |
1235. 燃えよドラゴン
子供心に、肉体美の美しさと一撃必殺の凄まじさに唖然とし、ストイックな姿に惚れ惚れしたものです。30年以上経って、ストーリーを「考えず」に割れた腹筋と「アチャ、アチャ、ウォァチャー!!!」を「感じて」観ますと、今も色褪せない作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-02 22:10:01) |
1236. 女と男の名誉
《ネタバレ》 銃弾は外れナイフは喉を貫くシーンのみ記憶していた作品で20年振りに観ました。惚れたアイリーンが同業者だったという事が、チャーリーにとって決着をつけねばならない不運であり、かつ決着をつける決断ができた幸運だったようです。復讐の泥仕合ばかりが強調されがちなマフィア物の中では異色である粋なストーリーで、色気の漂うニコルソンとターナーの名演と相まって楽しい作品でした。当時はニコルソンにゾッコンでしたので、ラストはホッとしたものですが、今観てみますと、銃弾がかすりもしていないのは大いに不満です♪ [DVD(字幕)] 7点(2005-11-15 22:52:47) |
1237. ジャスティス(1979)
祖父がアーサーに対して「お前は良い弁護士か?」「お前は正直か?」「正直でなければ意味がない」と言う台詞が法の根幹の部分に思えます。世の中の秩序は法によって守られ、法は正義に基づくものであって、正義は万民に共通のものであるはずです。しかし本作にあるように、法を作るのも人、裁くのも人、裁かれるのも人であり、強者で勝者が正義で、理があっても弱者で敗者が虐げられる状況が起こるのは、正直である事の難しさを示しているのではないでしょうか。アーサーが気骨ある「良い弁護士」であるのは、祖父の影響なのでしょう。呆けて衰えているものの、アーサーを見る慈愛に満ちた眼差しから、現役時代の凄みを感じられる凄い存在感でした。パチーノ演説シーンの原点、パチーノ名場面の一つである、弱者の無念を渾身の思いで代弁するラストは、本作の叫びに聞こえました。重いテーマなのに、何処か爽やかさも感じた不思議な作品でした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-01 23:53:48) |
1238. 刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM>
校長を全面降伏に追い込んだ、警部の決め手の理詰めの鮮やかさは、シリーズでも屈指で感服させられます。校長の「私は悔いてはいない、あれは必要だった、何度でもやる。」という敗北宣言。一見信念に溢れる人物のようですが、生徒に罪を被せようとした行為は、作戦成功の為には小さな犠牲はつきものだという幹部軍人の考えが垣間見えて不愉快で、恥を知れと言いたいです。警部が生徒に接する様子を見ていますと、校長には欠落している温かみがあり、規律だけでは人は育たないように感じました。 [DVD(字幕)] 7点(2005-04-01 20:36:56) |
1239. 座頭市の歌が聞える
絶対勝つ。今の暮らしを抜け出し、再び、二人で幸せを掴むために。市との対決での気迫、叶わなかった空しさを感じますが、前回の涙しかけた天知茂の心模様に比べ、今ひとつ自分には響いてきませんでした。代わって、市と琵琶法師、市と少年の絡みが印象に残ります。強さに憧れる少年。欲望のため弱い者を痛めつけて屈服させる強さと、無やみに力を示さず、ここ一番の時に弱い者を、我が身を守る強さ。どちらの道に少年を導くかはお前次第と法師に説かれた市が少年に違いを言葉ではなく身をもって教えます。子供は親のする事を見て育つ事を端的に示してくれた作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2005-03-30 15:18:24) |
1240. ゲッタウェイ(1972)
妻のとった行為に、怒りからか、嫉妬からかこだわりを捨てられない器の小さいマッコイですが、逃げる、生き延びるという本能の部分の凄みは、マックィーンの身のこなしの鮮やかさと相まって魅了されます。子供や孫を儲けて穏やかに過ごす事はなく、その時、が来るまで、ゴミとともに転がり落ちたように何としてでも逃げ続けるのでしょう。報いであっても二人一緒なら幸せなのでしょう。余韻の残るラストでした。 7点(2005-03-19 12:57:22) |