Menu
 > レビュワー
 > なんのかんの さんの口コミ一覧。65ページ目
なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2336
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115116117
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1281.  死の接吻(1991) 《ネタバレ》 
なんとなく漠然とこの会社に怨みがあると思っちゃうじゃない? 一族を順に殺していっちゃうんだもん。ところがショーン・ヤングと結婚しちゃって、あれれ、って感じになる。少年のころの夢、最もストレートな「立身出世」が動機だった、ってのが面白かった。母の期待(人生に失敗した父)、裕福な家庭のイメージが彼の中で鋭角的に結晶して、絶対的な父への憧れもありましょう。もっと堂々と原作と勝負して欲しいのに、冒頭からなんとなく『めまい』めいていて、ヒッチを越えるものを作ってやろうという意気込みはうかがえず、なんか随所にヒッチへのこだわりが卑屈に見受けられ、あまつさえヒロインが『めまい』のビデオまで見てたりすると、かなり興ざめ。
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-28 09:47:38)
1282.  婚約三羽烏(1937)
脚本も島津だから、会話がいい。上原と妹の雰囲気なんか、この監督は「妹的なるもの」の監督だな、と思う。語り口のうまさが、後味を良くしている。上原がホルン吹くのは『オペラ・ハット』の影響?(前年の映画だが、どれくらいの時間差で日本公開だったのか)笑わせるとこは、佐野の入社試験の際の河村黎吉のオヤマ。佐分利のずうずうしさ(送ってきた佐野の下宿に蒲団敷いて寝てしまい、そのまま住み込む)。上原が客寄せのために空を見上げて中へ連れ込んでくる。こういったあれこれに、当時の三人のキャラクターがどういう方向で受け入れられてたのかが確認でき、楽しい。
[映画館(邦画)] 6点(2013-03-27 09:56:35)
1283.  ポップコーン
ホラー映画を楽しむノリを、もう一つ外側から楽しむという映画。三つのホラー短編の上映会でホンモノの出来事が起こり、映画にはしゃぐ観客と実際の殺人とが重なっていく。スクリーンの裏側での画面と、ホントとの交錯などに工夫。あちらでは火傷した人を悪鬼になぞらえるのが平気で、お面が外れかけ耳がぷらぷらする描写などがある。ヒロインのジル・ショーレンて女優さんはB級テイスト版『オペラ座の怪人』にも出てた人で、普通の顔の人とは共演できないらしい。まあその大枠の話はどうでもよろしい。短編がいかにもそれらしくて楽しい。一つ目が「蚊」、巨大な蚊が襲うの。上映する学生仲間は劇場内に巨大な蚊の模型を飛ばす。二つ目は「驚異の??男」(ノートの私の字が略し過ぎててよく読めない、「電気男」? エセ科学がいかにもエセっぽくてよい、とある)。三つ目が「悪臭」、香港映画ということなのか、日本映画なのか、とにかく東洋ホラーがあちらでは一角を占める地位を築いているらしい。まだ『リング』以前だ。学生らは実際に劇場内に悪臭を立ち込めさせようとする。こうやってあちらのホラー自主上映大会は楽しんでいるんだなあ、というのが一番楽しめた。
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-26 10:20:46)
1284.  別れのタンゴ
戦後にも高峰三枝子のメロドラマは作られ、私は『懐しのブルース』ってのとこれを見て満腹になったが、ほかにもまだまだ『想い出のボレロ』とか『情熱のルンバ』とか、目が星と光るような題名のがある。『懐しの…』は見事なまでの通俗メロドラマで一つの典型として見られるものだったが、第二弾のこれは原案が吉村公三郎というせいか『暖流』の設定を思わせるような・ちょっと階級闘争的なヒネリを加えてあって、意外と拾いもの的に楽しめた。若原雅夫の高峰に対する憎悪が、階級憎悪と重なりかけるんだ。それがすぐ和解して愛になっちゃうのも、頬の傷だけで何とか納得させてしまう。そこらへんメロドラマの味付けにも時代的反映があるんだなあ、と思った。あと面白かったのは、ヒロインが劇中で歌手となりスターとなって、この映画の中で『別れのタンゴ』という映画を撮ってしまうこと。こういうスター成功譚は戦前からあるが、この作品を地方の映画小屋で見ている高峰ファンが、かつて彼女とラヴロマンスがあったと錯覚できるような作りになってる。メロドラマにもメロドラマなりの工夫の歴史があるのだ。
[映画館(邦画)] 6点(2013-03-22 09:56:06)
1285.  恋する人魚たち
シェールとボブ・ホプキンスの、家族観の違いが面白かった。シェールは娘たちと一対一であろうとするが、ボブは家族ワンセットで愛そうとする。そのズレ。あとは母と娘の葛藤もののモチーフがあり、ソツのない映画ではありました。ケネディ暗殺の日ってのが、アメリカ人にとっての共有体験確認日のようで、あの時どこで何してた? ってのが知り合ったときの会話になるんだろう。偉大な大統領だった、ってののほかにカトリックの大統領ってことも印象強いみたい(おそらく未来ではオバマも同じように特異な大統領として歴史の刻み目の目印とされることとなろう)。ウィノナ・ライダーのおでこの血管が気になったが、彼女より牧瀬里穂の十年前のような妹が気になる(なんてロリコンチックに当時記録してたが、クリスティーナ・リッチである)。
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-18 09:53:44)
1286.  悲しみのミルク
恐乳病なんて具体的なイメージがいかにも南米的で、じゃが芋で貞操を守るなんてのも、あちらのマジックリアリズムみたいなんだけど、よく知らない国の話で困るのは、こっちが奔放なイメージと思って感心したものが、あんがいあっちでは「普段」だったりすることがあり、あのじゃが芋はどうなんだろう。暴力の時代の、女性の苦難史の伝承が、あるいは母乳に託され、あるいは歌に託されていたよう。それをどんどんさかのぼっていった果てに、母の村にたどり着くのだが、この海が見えてきたところでかなりハッとした。映画で海が出てくると、だいたいハッとするものだが、この場合海は、さかのぼる旅がどんどん進み、まだ生物が肉食を始める前の、さらには有性生殖を始める前の、闘争のない穏やかな世界まで髣髴とさせてくれたよう。そういえばこの映画、結婚式シーンが繰り返され、有性生殖を始めて以後の生物の雌すべての物語として、悲しみの歌が連綿と続いているとまで受け取れないか。この手の映画は「そう理解したもの勝ち」だと思っているので、大風呂敷を広げてみた。あと好みのシーンは、結婚式での引出物のパレード。奔放なイメージと言うより、あちらでは「普段」なのかな。
[DVD(字幕)] 6点(2013-03-17 09:52:20)
1287.  浅草の灯(1937)
人間模様もの。昭和初期が大正を回顧しているのを現在の私(昭和末期でしたが)が見るんだから、ちょっとややこしい。映画製作時の彼らが抱いた懐かしさと、映画製作時への私の興味が複合して。娯楽の中心が銀座へ移ってしまった時代に、大正の娯楽の中心だった浅草を描いてるの。もっと風俗が織り込まれてるかと思ったが、大震災で壊れた十二階の内部がセットで見られたぐらい。ちょっと乱歩っぽい。肺病男が、伝染るといけないからとひげをあたってもらうのを断わって皆に歌を歌ってくれと言うあたり、浅草の滅びそのものが重なっているのか。杉村春子が歌って踊ります。島津監督としてはほかの代表作より若干劣るかと見えたのは、単純に高峰三枝子がヒロインだったせいかもなあ。
[映画館(邦画)] 6点(2013-03-16 10:08:33)
1288.  ハートブルー
悪役のキャラクターがちょっと不統一。人を殺さない銀行強盗とサーファーグループってのはいいんだけど、女を人質にしてFBI青年を強盗に誘い込むのは、ズレがある。一応弁解みたいなこと言ってたけど。大統領の面をかぶり蝶ネクタイを締めたスタイリッシュな銀行強盗団。車での追っかけよりも、走って人のうちを突き抜けていくほうが興奮した。追跡の基本は「人間の走り」。サーフィンシーンは爽快だが、スカイダイビングのほうが楽しそう。泳いだり、もたれかかるような感じになったりの浮遊感。圧倒的に重力に支配されながら、無重力状態の解放感があって。
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-15 10:15:06)
1289.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 
世の東西を問わず、父親の仇を討つのはもっぱら息子の役割りだった。その姉なり妹なりが、留守の間の家を守っていた。しかし娘が仇討ちに出たっていいだろう。男の時代だった西部劇の中に家長意識の強い少女を投げ込んでみた旧作(私は未見)のリメイク。少女の「けなげ」は、もっぱら家の中で描かれていたのが、ここではほとんど「したたか」と紙一重に社会の中で描かれる。縛り首の罪人が揺れる町で、大人と同等に権利を主張する。父のような大人を雇い、仇捜しの旅に出て行く。その一種のロードムービーで、旅の途上のあれこれに、西部劇時代末期の、無法者の時代が終わろうとし、同時に自由な時代の終わりでもある索漠とした空気がある。少女は父の仇を撃ち、その反動で穴に落ち込むという、初めて子どもらしいしくじりを経験する。それまで家長代理として気張ってきた彼女が、無力な子どもとなって穴ぼこの中で助けを求め、ジェフ・ブリッジスが父のように救出する。蛇に咬まれていた彼女を運ぶシーンが、本来あるべき西部劇の本当の父娘の幻想のように美しい。ずっと旅を共にしてきた馬は、西部劇の時代が終わったのを告げるかのように力尽きて倒れ、鉄道の走る味気ない近代に入る。そんな段取りの映画だからアクションの陶酔はあまりないが、女子どもをはなから脇役にイメージしがちな西部劇ってものに疑問を呈してみたみたい。
[DVD(字幕)] 6点(2013-03-13 10:09:55)(良:2票)
1290.  クリスタル殺人事件 《ネタバレ》 
最近ニュースで風疹流行のことがしばしば語られ、この映画をぼんやり思い出していた。津村記久子の新作読んでたら、この映画の原作についてちょっと触れた部分があった。何か周囲からさかんに促されているようで、レビューを書いとこうと思った次第。あのころクリスティの映画が流行って、だんだん粒が小さくなってきたころの一本。私は名画座で『殺しのドレス』の付き合いで見ている。いまキャスティング眺め、一昔前のスターをそろえた「あの人は今」的な興味狙いの映画だったのかと思ったが、ともかく私が初めてリアルタイムでエリザベス・テイラーを見た作品だった。このオバサンが昔の絶世の美女だったのか、と眺めた。何が起こっていたのかを了解する場面での彼女の透明な瞳に、かつてのスターの凄味を見た気がし、おそらく彼女にとっては本作なんかで思い出されても困るだろうが、私にとってはE・テイラーというとけっこう思い出される映画になってしまった。ロック・ハドソンの演技などしっかり一昔前のもので、おそらくそういう味を狙った映画だったのだろう。ブラックなところもあるが、イギリス式ユーモアで、女優同士のののしり合いなど、まあまあ楽しめた記憶。殺人の動機がユニークで、それが印象に残っていた。妊娠している方の周辺では風疹にご注意。
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-12 10:07:25)
1291.  大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇
この国で地獄は長らく死とセットになった恐怖の場所であった。現代日本人はついにそこまでレジャーの対象にしたか。この夫婦、帰ってこられるのは当然と思ってちょっととしたエスニック旅行気分で旅立っていく。そのあっけらかんぶりには、地獄への怖れは感じられない(アリスの不思議の国への旅立ちをなぞったような段取り。時計うさぎの代わりにジャーを盗んだ柄本明、うさぎ穴の代わりに屋上のバスタブ)。この「あっけらかん」が本作の笑いのツボで、夫婦の緊迫感のない会話が面白い。鬼にやるチップの相場はこれくらいだろうか、とか。だからあくまで観光旅行であったほうがいいので、赤鬼の襲撃や温泉での事故など「身の危険」を感じさせる出来事は余計な気がしたが、なにせこういう話なので、まあどうでもいい(タイトルでも「たのしい旅行」と断わっている)。最初の森の道で「後ろがパレードみたい」ってあたりが個人的にはウケた。ホテルやナイトマーケットになると、エスニック旅行への「なぞり」が、少しハッキリし過ぎて膨らみがない。死者が最後に行く場所というより、これから生まれる者の待機所でもあるようで、そういう輪廻に日本人の死生観がうっすら残っていたか。ともかくリアリズム好きの邦画界では貴重な作品でした。森の道のシーンで二人を追ってカメラの上下がひっくり返るところ、中川信夫の『地獄』への挨拶と見た。
[DVD(邦画)] 6点(2013-03-10 09:20:00)(良:1票)
1292.  瀬戸内少年野球団 《ネタバレ》 
敗戦後の地方小都市における風俗カタログという感じで、それ以上でもそれ以下でもない。つまり、ああこういうことあったな、とか、こういうの知ってる、とかうなずきながら観る映画。それはそれでもいいが、篠田監督ならもっと何かを加えてくれても良かったんじゃないか。登場人物がみな泣きすぎる。こんなにメソメソしていられた時代だったんだろうか。亭主の帰還や再会でいちいち泣くのはまあ理解できても、ラストで加藤治子が貰い泣きするのは、不必要に思えた。これまでの篠田作品はちょっとスマしたような感じが鼻に付くとこがあったんだけど、その反動か、これでは真面目な人間が無理に冗談言ってるようなぎごちなさがあって、けっきょく寛げない。月夜の砂掘りや、室内で少年たちがスイカ食べてるシーンなど美しかった。こんなにノスタルジックに語られるほど昔のことになってしまったのか。
[映画館(邦画)] 6点(2013-03-03 09:36:33)
1293.  サンダウン 《ネタバレ》 
パロディの形を採らないと、もう西部劇は描けないのか。しかも吸血鬼もの。パロディの枠の中で何か「マジ」なものも匂うのだが(たとえばこのころのD・リンチなんかそういう感じだった)。吸血鬼がコロニーを作るんなら、もっと薄暗いところに作ればいいのに、陽光さんさんの西部劇の世界に作ってサングラス掛けている。つば広の帽子かぶって。ドラキュラが保安官の役回り。神に祝福されて十字架でも融けないところで場内爆笑。木の杭の代わりは木製の銃弾となる。傘を突き刺したところでパッと開くなんてギャグもあった。やっぱパロディだけだったかなあ。音楽は完全に西部劇。かなりザツなコウモリが三匹飛行の図もおかしい。
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-02 09:46:23)
1294.  EVE/イヴ 《ネタバレ》 
女ターミネーターってな宣伝してたけど、ジキルとハイドだな。自分の抑圧されてた部分がロボットとなって動き出してしまう。兵器がわりのロボットになんでこんな精密さが必要なのか、と思うけど、派手な衣装で酒場で男を誘うの。後半になると子への妄執が前面に出てきて、子を求めてさすらう生霊ってな感じになっていく。一般人をあれだけ死傷してるんだから、自分の子どもが助かったからって、科学者ラストで笑わないでほしい。音楽フィリップ・サルドがちょっといい。リズムに乗って弦が切れ目を入れる大きな三拍子で、パラパラと木琴が入る。そうか、『最後の晩餐』の人か。
[映画館(字幕)] 6点(2013-02-28 09:42:57)
1295.  君の名は 第三部
短期間築地のほうにあった松竹直営の名画座「松竹シネサロン」ってので、総集編で見たんだけど(500円)、わざわざ新規登録しないでも、ここに書いていいですよね。ハモンドオルガンの響きが、たまらん。日本のメロドラマに合ってる。宗教性のない非日常の賛美歌と言うか、普通の人なら一生のうちに一度訪れるか訪れないかという「人生の緊迫した充実」を、みなで協力し合って長引かせようとしてる世界。メロドラマとはそういった「純粋」の持続競争なんだ。この二人、みなに愛されるのに、不可能なお互いの愛だけに賭けていく。当人自身が不可能へ不可能へと追い込んでいく、その凄絶さ。家族崩壊劇として、まさに戦後の物語でもあった。主人公二人はただただ愛に殉じ透明になっていき、そのぶん旦那の浜口が、いい人からネチっこいコンプレックスだらけの人物に変容していくのがメロドラマの技法。「黒百合の歌」ってのは、これの第二部の挿入歌だったのね。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-27 09:46:34)
1296.  夕陽に赤い俺の顔
「殺し屋」というイメージが持っているある種の情緒(ニヒルで・孤独で・斜に構えた)を、無効にしたい思いが感じられる。ちょうどヨーロッパ映画などでもポップな風潮が流行ってきたころで、その流れに乗ったのか。本来なら背反されるものが一緒にあることの「肩透かし感」みたいなもの。ドクターは医者と殺し屋を両立させていて、殺された人物に「ご臨終です」と宣告する。(当時の)近代的な団地をそれぞれの変装で行くおかしさ(殺し屋たちの個性が弱いのが残念、和風やくざの三井弘次なんかもっとうまく使えなかったか)。寺山の特徴は、情緒を排斥したい気分と、情緒にひたりたいウェットな志向とが重なっているポップ感で、殺し屋たちはドライにコンクールで腕を見極めようとするが、彼らが歌う歌は船頭小唄の替え歌で「俺は下町殺し屋さ~」となる。もちろんこの対比のおかしさがポップでもあるんだけど、情緒纏綿とした大正歌謡や下町という風土の肌合いへの志向は、ただ対比のために持ち出されたものでなく、彼の好みでもあったはずだ。監督篠田は松竹ヌーベルバーグとして括るのとは別に、鈴木清順と同時代人という(今まで考えたこともなかったが)世界的なポップの風潮での括りもあるんだなあ、と発見した。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-02-25 09:58:21)
1297.  探偵物語(1983)
なんとなくつけている松田優作がまず楽しい。望遠で縦の動き。薬師丸と先輩とガールフレンドと探偵が縦にいる。ジェスチャーでのやりとり、鏡を使ったドタバタなどなど、いろいろ工夫の跡は認められる。クレジットの間、松田優作はずっと立っていた。積極的に褒める映画じゃないけど、語り口は『遠雷』のときより上達してて、ちょっと藤田敏八を思わせる軽快さ。尾行したり尾行されたりするってのは、一つになりたいという願望でもあるということか。薬師丸嬢は思い入れを込めない表情のときのほうがいい。ラストの松田君の表情が難しい、本人も困ったんじゃないか。へんに深刻ぶっちゃってないか、などと。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-24 08:57:23)
1298.  番場の忠太郎 瞼の母
母と抱き合うので驚かされる。もともと長谷川伸も二通りの結末を考えてたらしいんだけど、いろいろ手を加えても本筋の“身内に対して構えてしまう世の中の酷薄さ”が残っていれば、「瞼の母」である。実際、大衆演劇で演じられやすいように著作権も自由にしていたらしく、そうやって大衆に揉まれて伝説のように変貌していくのを許していたんだろう。加藤版でもホロッとさせる、違う母の手に重ねて筆をとるところなんか、リアリズムじゃない。もう様式であって、わざとらしいなんて感じちゃいけない。様式ってのは、一つの感情を大袈裟に・意識的に誇張して高い次元に持っていくことだ。吹雪の中で刀を構える千恵蔵のかっこよさなど、様式が練り上げた姿。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-21 09:54:01)
1299.  ラジオタウンで恋をして 《ネタバレ》 
原作がバルガス・リョサ(いまではノーベル賞作家)だっていうんだけど、特別南米文学の雰囲気はない。アメリカ南部の話。ラジオでソープオペラ(まあ昼メロと思えばいいんでしょ)が流行っていた時代で、それのパロディになってるらしいけど、もとを知らなくても、まあ笑える。大袈裟な音楽、ご都合主義的なラストの畳み込み、「兄妹じゃなくてイトコだった、いやイトコでさえなかった」、と「実は」「実は」が続くあたり。アルバニア人への悪口のくすぐりもあり、ちょっとくどかったけど、笑った。ドラマの中の近親相姦、現実のなかでの叔母甥の恋、15歳の年の差、と「常識に逆らう愛の物語」というのが芯になってはいる(「愛とは常識に逆らうもの」というか)。ただ一本の映画として見どころが焦点を結んでくれないんだ。
[映画館(字幕)] 6点(2013-02-17 09:50:18)
1300.  昼間から呑む 《ネタバレ》 
豪放磊落なヒゲ面の漁師がこの世を謳歌するような題で、「なんか文句あるかっ」と凄んでるみたいな迫力があるが、そういう人生を励ましてくれる映画ではなく、「NOと言えない若者」のトホホコメディだった。それも人生、これも人生。呑んだ勢いでの友だち間の約束を、彼だけ守ってひなびた・寒い・虎が出る地方のペンションを訪れた主人公の苦難の旅路。市が立つ、と言っていたのは昨日のことだった。出会う人々につつがなく対応しようとして、窮地におちいり続ける。自分が年上だったらおだてられ、自分が年下だったら焼酎を呑まされ、儒教の国もつらい。韓国の地方の風物、小さな「なんでも屋」のおばさんなぞ実感ある。すけべ心というか、恋愛願望だけは挫けないのが若者の特権、いう話。ラストが秀逸。後半ちょっと分からなかったところがあり(公衆電話の外での財布回収?)、物語として何か理解し損なってるんだが、コメディとしてのノリは掴めたつもり。悪くない。
[DVD(字幕)] 6点(2013-02-14 09:47:32)
000.00%
100.00%
200.00%
320.09%
4331.41%
52279.72%
691439.13%
773931.64%
834314.68%
9682.91%
10100.43%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS