1301. 天使にラブ・ソングを・・・
《ネタバレ》 ウーピー・ゴールドバーグがギャングのボスの愛人というのが違和感たっぷりだが…。 デロリスは情夫からプレゼントされた高級毛皮がものと知り、怒って返しに行く。 そこで殺人現場を見てしまい、追われる立場に。 一転して立場が入れ替わるのが、冒頭のつかみとして効果的。 指導者次第でチームは大きな違いを生む。 デロリスの指導によって生まれ変わった聖歌隊の初披露は感動的。 音楽の楽しさを教えてくれる。 やっているほうが楽しんでいなければ、観ている人は楽しんでくれない。 ノリノリの聖歌隊にノリノリにさせられる。 聖歌隊がヘリの操縦士を「ほめ殺し」ならぬ「祈り殺し」で屈服させたのは愉快だった。 ハリウッドの王道的なよくできたコメディで、万人が理屈抜きで楽しめそう。 [ビデオ(字幕)] 8点(2013-06-13 00:11:05) |
1302. 河童(1994)
《ネタバレ》 『E.T.』のような泣けるファンタジーを目指したのかもしれないが、いろいろと粗が気になる。 石井竜也監督がアーティストだけあって音楽や映像美を大事にしているのは伝わるものの、ストーリーは陳腐でシラけてしまう。 なにより異星人である河童の正体があまり描かれていないし、交流のエピソードも弱い。 [ビデオ(邦画)] 2点(2013-06-13 00:05:34) |
1303. バタアシ金魚
《ネタバレ》 水をかけられたソノコに一目ぼれして、泳げもしないのに水泳部に入部する単純高校生。 冒頭からありきたりな展開のラブコメだが、まだあどけなさの残る高岡早紀のかわいさで成立している感じ。 ソノコがカオルを好きになる感情の流れがいまひとつピンとこない。 ストーカーのようにつきまとうカオルに、ストレスで過食症になっていたのに、あんなうぬぼれの強い勘違い男を好きになるとは…。 過食症で激太りの高岡早紀はメイクなのかボディダブルなのか、別人のようでインパクトがある。 坊主頭の浅野忠信とともに一見の価値あり。 [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-13 00:00:04) |
1304. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
パニック映画のお手本となるような基本的なものが詰め込まれている。 この時代のパニック映画では、本作と『タワーリング・インフェルノ』が抜けていたように思う。 『タイタニック』より人間ドラマとして深い。 [地上波(吹替)] 8点(2013-06-12 23:58:20) |
1305. 鍵泥棒のメソッド
男に元カノが思い出の写真を返すとき、引越しで片付けたゴミ袋から探す。 もう過去のものとしている女と、その女に未練がある男の微妙な空気。 そうした小ネタにもウィットが効いている。 内田けんじ作品は、三谷幸喜を彷彿させるようなコメディで脚本が緻密。 スレ違い、勘違いでどんどん事態が思わぬ方向へ進んでいく。 都合がよすぎる嫌いはあるものの無駄なアイテムがなく伏線がすべて収束していくので、観終わったときにパズルがピタッとはまったような感覚がある。 これほど脚本のうまい映画監督は邦画ではちょっと他に見当たらないくらいで、今後も非常に楽しみ。 [DVD(邦画)] 9点(2013-06-12 19:36:52)(良:1票) |
1306. ポストマン・ブルース
《ネタバレ》 的外れな推理で警察の捜査が迷走、とんでもない濡れ衣で追われる郵便局員。 勘違いとすれ違いが巻き起こす喜劇だが、リアリティなどクソ喰らえとばかりにマンガチックにぶっ飛ばすおバカコメディ。 警察がマヌケすぎてサスペンス性はなく、コントを見ているようではある。 単調すぎる仕事に嫌気がさすのはわかるが、郵便物を届けずに勝手に開封するというのは、実際に時折りニュースで見かけて不快になる事件だけに主人公への共感を損なう。 二人が手をつないで結ばれるラストは、ファンタジーっぽくて良かった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2013-06-12 00:26:47) |
1307. 台風クラブ
《ネタバレ》 こうしたストーリー性よりも感覚的なものを重視した映画は苦手。 哲学的、象徴的なところがあってシュールでわかりにくい。 夜の学校、台風という非日常で不思議とテンションの上がる状況で、抑圧から暴発するようなエネルギー。 台風の中を中学生が裸で踊っている場面は奇妙な高揚感が出ていてインパクトが強い。 思春期に特有のわけのわからない衝動、それをコントロールできない未成熟な思考、狂気を帯びたかのような暴走。 好きではないのに、なにか引っかかる映画ではある。 [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-12 00:22:29) |
1308. 東京ゴミ女
《ネタバレ》 言葉を交わしたこともない男の捨てたゴミを収集してその男の生活を想像する不気味な女が主人公。 男と同じタバコを吸い、食べ物も合わせ、使用済みコンドームを見つけて怒り狂うという、かなりいかれてイタイやつ。 男の写真に自分のプリクラの切り抜きを貼り付けて嬉々としている様子は怖すぎる。 生ゴミも入っていて汚いのに、これも愛がなせる業か。 男にファンレターを何通も送りつけた女を待ち伏せし、ストーカー呼ばわりしてなじるのもおもしろい。 ストーカー的だが危害を加えるわけではない一途な片思い。 着想は面白く、実は男はゴミを収集されたのを知っていたまでは捻りが効いて良かったが、そこからのストーリー展開が盛り上がらない。 男がゴミあさりを黙認していた理由が物足りないからか。 女もストーカー的に求めた男と結ばれておいて、一転して別れるに至った心の推移が伝わってこない。 アイデアを生かしきれず、後半尻すぼみの感がある。 チョイ役で出ている柴崎コウが寝た男の五大陸制覇の会話は、今となってはお宝ものか。 [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-12 00:08:57) |
1309. イル・ポスティーノ
島の美しさは印象に残るが、ストーリーは淡々と進行するので少し盛り上がりに欠ける。 無学な男が有名な詩人と師弟関係になる設定は良かったのだが、エピソードが弱い。 女が男の詩に惹かれたシーンがいまひとつ迫ってこず、労働者の抵抗運動ともあまりリンクしていない。 それぞれのエピソードが点として存在し、傑作映画に共通するような線としてのうねりは感じなかった。 [ビデオ(吹替)] 4点(2013-06-11 00:35:28) |
1310. 贅沢な骨
《ネタバレ》 不感症のホテトル嬢ミヤコと親友のサキコ、それにミヤコの客の新谷が加わっての奇妙な共同生活。 つぐみがしっかり濡れ場を演じているのに、ホテトル嬢役の麻生久美子が出し惜しみして中途半端な濡れ場しか演じていないのは興ざめ。 ミヤコは新谷と関係を持ちながら、新谷にサキコを抱いてくれと頼む。 新谷がサキコと仲良くなっていくるとミヤコがヤキモチを焼くが、その対象はサキコだったというちょっと複雑な三角関係。 サキコが自分のことを汚いと思い込むのは、その理由に説得力がない。 ずいぶん屈折しているので三人の誰にも共感できず、自分とは縁遠い作品に感じさせる。 ノドに刺さった鰻の骨、影踏み、ミキサーに入れられた三匹の金魚、バレエを踊る少女…。 こういうメタファーを多用して解釈を観客に委ねて投げっぱなしにする映画は、文学青年が自己陶酔しているような気取りを感じてしまう。 [ビデオ(邦画)] 3点(2013-06-11 00:25:23) |
1311. きらきらひかる
《ネタバレ》 江國香織の原作は未読。 ゲイカップルとその片方と結婚した女の奇妙な三角関係。 豊川悦司と筒井道隆が激しくキスするシーンは気持ち悪くて見たくなかった。 薬師丸は情緒不安定なアル中女を好演。 睦月に一度も抱かれない笑子は、いつも優しい睦月の態度にかえって傷つけられている。 笑子の親友に笑子に男を紹介させようとする睦月、子供を作りたい笑子、その狭間で複雑な思いの紺。 睦月が二人に別れを宣告して三人の奇妙な共生も破綻するかと思われたが、ラストは三人の微笑むショットで仲直りの様相。 その間にたいしたエピソードもなく、なんだかインパクトが弱いし尻切れトンボの感が残る。 ゲイに共感できないので、その部分で作品世界に入り込めなかったか。 [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-11 00:17:34) |
1312. ダンス・ウィズ・ウルブズ
《ネタバレ》 社会に馴染めず自殺まで考えた男が、インディアンとの交流に不思議な居心地の良さを見出す。 言葉も通じずコミュニケーションがなかなかとれない中で、友情を育んでいく。 異星人との遭遇を描くSFと同じような緊張とぎこちないコミュニケーションがおもしろい。 バッファローの大群に向かった狩りは迫力満点。 西部劇といえば白人の立場にたったものばかりだったが、ネイティブアメリカンに寄り添った白人の視点で描いたのがよかった。 白人は圧倒的な力を持った侵略者でしかなく、友情あふれる別れのシーンはその後のスー族が辿る運命を予感させる余韻が残るラストだった。 3時間もあるのに、おもしろいのでそれほど長くは感じない。 [ビデオ(吹替)] 8点(2013-06-11 00:15:49) |
1313. 希望の国
《ネタバレ》 園子温監督らしくない作品で、肩透かしを喰らった感が残る。 どぎついほどの描写や問答無用に巻き込んでいくような展開は影を潜め、じっくりと正攻法で描いた社会派ドラマになっている。 過激で異常ささえ覚える演出を抑えたのは、原発事故がもたらす世界自体が異常だからか。 生きた証を捨てることができずに避難勧告に応じない夫婦。 認知症の妻と銃を手にした夫の最後の会話は、長年連れ添った絆が見えて胸に迫るものがある。 悲しい選択ではあったが、それしかないとの思いも伝わる。 その夫婦に苛立ちをぶつけていた若い職員が、次第に共感を示す過程が興味深い。 原発事故から生じたさまざまな不協和音に、事の重大性や罪の深さを考えさせられる。 ただ、この作品で描かれたことはドキュメンタリーを凌ぐかというとそうは思えず、改めて映画でやる必要があったのかどうか。 [DVD(邦画)] 6点(2013-06-11 00:14:38) |
1314. リリイ・シュシュのすべて
《ネタバレ》 荒廃した中学生の実態として、レイプ、売春強要、恐喝、イジメなど刺激的な問題が描かれてもいるが、リリイ・シュシュに関することがよくわからない。 エーテルがどうのこうのとのくだりは、自己陶酔した痛い詩人か中二病を見るようで、こっちが恥ずかしくなってくる。 理解不能の世代のようでもやもやが残るが、それも作り手の思惑通りか。 なんだかわからないながらに、思春期の暴走や屈折、不条理などどうしようもない負のエネルギーを感じて、退屈はしなかったが。 学生時代にこうした陰湿で残酷な空気に触れた経験があるかないかで感想もずいぶん違ってきそうな作品。 自分には経験がないので、あまりピンとはこなかった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2013-06-10 15:11:43) |
1315. レナードの朝
《ネタバレ》 以前に小説の『アルジャーノンに花束を』を読んだが、それとよく似ている。 臨床の経験がなく研究ばかりしていた医師の試行錯誤に生真面目な誠実さが見える。 覚醒して生の喜びを得た後だけに、再び症状を自覚したときの衝撃が倍加する。 病気が健康のありがたさを教えてくれるように、レナードの悲しい人生の追体験が生のあり方を教えてくれる。 普通に生きていることがどんなに尊いか、人生は喜びであり神からの贈り物――レナードの言葉が胸に蘇る。 レナードがポーラと別れのダンスで痙攣がおさまるシーンは感動的。 いつもながらロバート・デニーロの演技はさすが。 医師が彼女をコーヒーに誘ったラストは、レナードから学んだことが端的に表れていて後味の良い映画になっている。 [ビデオ(吹替)] 9点(2013-06-10 00:30:59)(良:1票) |
1316. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 ストーリーはたいした内容もないが、小ネタが面白くてセリフもウィットに富んでいる。 ラブコメといえば主人公は若くてスレンダーなものだが、従来のものとかけ離れていてユニーク。 マークに彼女を寝取られたというダニエルの話はすぐバレそうな嘘で、場当たり的なダニエルの軽さを端的に表している。 キャラクター造形のうまさで、凡庸な話を一段上の物語に格上げできたようだ。 [ビデオ(吹替)] 6点(2013-06-10 00:28:01) |
1317. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 「君に何を言えばセックスしてくれるかわからないので、すでに言ったことにしてくれないか? 君も体液の交換がしたいんだろう?」 ぶっ飛んだ口説き文句が笑わせてくれる。 エリート学生たちの女目当ての会話は、経済学者アダム・スミスの理論を絡めているのがおもしろい。 コメディテイストで始まったので、後半の超シリアスな展開は予想外だった。 大学院のルームメイトや政府の仕事の依頼者が、妄想の中の人物だったとわかってビックリ。 統合失調症患者の目線で物語が進行していたので、そこに感情移入することができ、インパクトが強かった。 こうした患者にはなんだか近寄りがたくて怖いイメージも正直あったが、主人公に感情移入してその苦しみが伝わってくる。 副作用で仕事も性生活もできなくなることを嫌って、薬を飲まずに再発したのは責められない。 だが、側でサポートし続ける妻の心労と苦悩は想像を絶する。 万年筆を置くシーンや最後のスピーチは感動とまではいかない。 伝記ものは2時間に詰めると、どうしてもダイジェスト的なところもあって話の流れに乗りにくい。 なので、傑作と呼ぶには少しだけ足りない印象。 暴れん坊のイメージのあるラッセル・クロウが、違った一面を見せてくれた。 [ビデオ(吹替)] 7点(2013-06-10 00:26:26) |
1318. 天国までの百マイル
《ネタバレ》 八千草薫は優しい母親を演じさせたらこれ以上ないくらいにハマる。 ただストーリーや演出の泣かせよう泣かせようとするあざとさが鼻につく。 ベタでわかりやすいのは決して嫌いではないのだが露骨すぎ。 原作の浅田次郎の作風がそうなのか、それはタイトルから既に滲み出ている。 マリは原作ではデブでブスなのに、大竹しのぶは可愛いくて魅力的で、捨てられてばかりのホステス役には少し合わないかも。 百マイルっていえばすごい距離のようだけど、馴染みのあるキロでいえば160キロ。 車で運ぶのがそんなにたいした距離や苦労なのか、あまり伝わってこない。 母子の愛情という普遍的で感情移入しやすいテーマだし、兄弟との軋轢など誰でも身に覚えがありそうなシーンが出てくる。 なので、作品に物足りない点があっても、ある程度の共感を得ることはできる。 ラストはマリの別れの置手紙で、これで終わり?って感じのあっけなさ。 [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-10 00:24:38)(良:1票) |
1319. 誘拐(1997)
《ネタバレ》 犯行動機や犯人像がなかなかわからず、公害訴訟という手がかりを得たのが1時間経ったくらい。 それまで身代金を持って走っているシーンが長すぎてだれる。 アイデアは面白く、真相には『オリエント急行殺人事件』を彷彿させる部分もある。 捕まる覚悟であの主犯のキャラなら、被害者仲間を共犯にしないために最初から単独で実行すると思うが、そこが少し矛盾しているようにも思えた。 復讐される側はされて当たり前という説得力をもって描かれているので、作り手の思惑通りに犯人を応援してしまう。 渡哲也というキャスティングが最大のカモフラージュ。 [ビデオ(邦画)] 5点(2013-06-10 00:23:36) |
1320. バッファロー'66
《ネタバレ》 冒頭で刑務所から出てきて更には女を拉致する主人公は、どんな凶悪犯かと想像させる。 ところがこの男、賭けに負けた金を払えなくて犯罪者の身代わりをするハメになったオマヌケさん。 ダメ男にありがちな逆恨みで、賭けに負けたのはウッドのせいだと殺意を抱く。 ところが、ウッドを射殺して自殺のくだりがまさかの妄想シーン。 夢オチみたいな演出にはガッカリ。 結局、これといった盛り上がるストーリーではない。 ただ、会話はリアルで面白い。 実家での両親を含めた会話や、中学のときにフラれた女とバッタリ出会ったファミレスのシーンは秀逸。 主人公のカッコ悪さや中学生並みの頭の悪さが伝わってくる。 そんな男の良さをちゃんと見てくれる女もいて、ラストはハッピーエンドでめでたしめでたし。 ちょっとオシャレでちょっとハートウォーミングなラブロマンスに仕上がっている。 [ビデオ(邦画)] 6点(2013-06-10 00:22:24) |