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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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121.  共喰い 《ネタバレ》 
私は未読ですが、恐らく第一に原作が素晴らしいのでしょうね。ドブ河、驟雨、風呂場で流れる遠馬の精液、それらがテーマを雄弁に物語っている。話は最低のロクデナシの種子から産まれた主人公がその血筋、呪縛から抜け出せるのかというもの。それらは目では見えないものだから、前述した無形物で表現されている。この表現が美しかった。 原作も素晴らしいのでしょうが、その文芸作品を映画に上手く落とし込めているのは青山監督の力量なのでしょう。下手な監督が撮ると主人公の痛みはあれ程鮮やかに表現できなかったであろうし、田舎(北九州の人には悪いが)の閉じた世界観も出せなかっただろうと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2013-11-23 15:19:19)
122.  踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! 《ネタバレ》 
「踊る大捜査線」の基本といえば序盤で散りばめられた下らない要素が、終盤に回収されていくのは、基本的に大嫌いなこのシリーズで唯一好きな部分なのですが、それすら消え失せた本作。散りばめた要素を最後まで回収しないのは、「定番からの外し」でば無く単なる「不誠実」だと思います。 また長い上映時間の中で話にまとまりが無く、そして脚本が酷すぎてキャラクターの言動に意味が通らず、観ていて非常に混乱しました。「なんでコイツがこうするの?こうなるの?」という気持ちが頻出します。 撮影の仕方もカメラを署内の通路に沿わせてあっちへ行ったりこっちへ行ったり動きに意味がなく単に見辛いだけ。お偉方が暗い会議室の中の円卓で会議してる様は最早ギャグでしかありません。普通に電気つければいいのにね。 不満点を挙げていって感じたことは、こんな映画の基本を蔑ろにする監督や脚本家がビッグバジェットの映画に携われる、日本の映画界の異様さです。
[DVD(邦画)] 1点(2013-11-20 22:19:16)
123.  ばしゃ馬さんとビッグマウス 《ネタバレ》 
夢を追いかける人の姿を残酷に描いた良作。ここまで女主人公をどん底まで突き落とす作品も少ないと思います。特に結婚式の場面で旧友に、見栄を張ってしまうシーンの儚さは半端じゃない。その後にゲロまで吐かせる容赦のなさ。最後までばしゃ馬さんこと馬淵は一次審査すら通らない。努力しても才能がなく夢が叶わない人、つまり世間一般の人々の姿を徹底的に映し出す。 彼らを映す画も素晴らしい。ビッグマウスこと天童が落選し奇声を上げながら全力疾走する様を、クローズアップとロングショットを織り交ぜて可笑しく哀しく映し出す。介護の現場で大失態をしでかした馬淵の錯乱状態を一人称のカメラが揺れることで表し、第三者視点から外で泣きじゃくる彼女を映し出す場面も良く出来ていた。会話劇や元カレの家でのロングテイクも印象的でした。 しかし残念な部分もありました。まず上映時間が長すぎる。馬淵がドン底に突き落とされるシーンが謂わばこの映画の谷間。そこからエンディングまで40分近くもある。優れた映画ならクライマックスに至るまでをタイトに描くと思います。 この映画は色々な場所での会話が出てくる。居酒屋、レストラン、シナリオ教室、エレベーター前、etc...。そこの会話劇は面白いのだけれど話してる当人以外の人物は完全な背景と化してしまう。居酒屋やレストランのシーンは特にひどい。主人公二人が口論してるのに周囲の人達は普通に会話を続けている。そこは場が白けるとかそれなりのリアクションをするべきじゃぁ。 風呂場でのオッサンの股間のモザイクも意味不明。それまで主人公に感情移入してるのにモザイク映った瞬間に「あ、これ映画だよな」って我に返っちゃう。実に無粋。 また私は馬淵に足りないのは何より"ストイックさ"だと思ったんですよね。本人は「ストイックにやらないと~」と何時でも何処でもタイプしてるんだけど(正直場所や状況を考えろと大いに思いますが)、ボーイズラブのシナリオを書いているマツキヨさんに「私はそういうのはちょっと興味ないかな~」とか言っちゃってる。私からすればどんなに自分の好きじゃないジャンルの企画であれ足がかりに挑戦していく位のスタンスが必要だと思うんだけどな。どんなジャンルでも深い部分はあるわけだし。そういうとこには最後まで気づかず終いで自分の宇宙の中だけで完結している馬淵の姿に納得できなかったというのが正直なところです。
[映画館(邦画)] 7点(2013-11-11 22:23:17)
124.  恋の罪 《ネタバレ》 
「男性は女性の感情が分からず、女性は男性の感情が分からない」と断ずる人々はいますが、私は誰でも異性的な感情を持っていると思うし、園子温監督が今回の映画を作るに当たり、「自分をどんどん女性に投影していき女性に完全に同化していき映画を撮った」というアプローチは別にいいと思います。 ただ私はこの映画に関してどれだけ女性に感情移入しようとも余りにも理解不能な箇所が多かったと言わざるを得ません。その意味で女性にこの映画を観てどう感じたか凄く興味があります。女になりきって園監督が撮った映画が、本当の女性に理解できないのであれば、それは全くの監督の自慰行為でしかないでしょう。 そして意図的にでしょうがわかり易すぎるキャラクター設定がちょっと引っかかりました。社会的に世間的に性的な満足が得られず欲求不満に陥った女性が売春・浮気に溺れていく。その女性等は婦人警官・大学の助教授・小説家の妻と来たもんだ。いくらなんでも浅薄すぎる設定ではないでしょうか?小説家の妻が「ウインナーいかがですか~?美味しいですよ~」って最早ギャグに見えてしまいました。 現代美術家の大竹伸朗の様な色彩の死体発見現場やラブホテルの内装の美術は一見の価値有り。三人の女優さんの惜しげもなく裸体を曝け出した演技も一見の価値有り。
[DVD(邦画)] 5点(2013-11-11 10:55:28)
125.  標的の村
ドキュメンタリー映画はそれほど好きなジャンルではなかったのですが、この映画は最後まで大変面白く観れました。本作が描いているのは沖縄でのオスプレイ配置問題・普天間基地移設問題とセンシティブな問題ですので、面白かったというのは不謹慎かもしれませんがそう思ったのだから仕方が無い。 普通のドキュメンタリー映画というのは大抵監督の主張が前面に出ちゃっていて、上映開始から十数分も経つと私は「ああ、そういう主張がしたいのね、OKOK」とその後が苦痛になることが多いのですが、本作は終盤に見せ場とも言える普天間基地封鎖、そして沖縄県警によるその強制排除を持ってきており、最後までスクリーンから目が離せませんでした。 映画の内容について言及するとどうしても政治的な話をせざるを得ないので割愛させて頂きます。ただ敢えて二つだけ言うとするならば、死んでも還る(埋葬される)場所すら無い」と言うのは本当に辛いだろうと思ったこと、本作の主張も含めて両サイドの意見を吟味して自分で結論を出さなけれないけないと思ったこと。以上です。
[映画館(邦画)] 7点(2013-11-10 22:09:29)
126.  殺人の告白 《ネタバレ》 
観終わった後にジックリ考えてみると、結構粗がある作品なのですが、観ている間はテンポの良いストーリー運びに翻弄されるので全く気になりませんでした。終盤のドンデン返しにも鈍感な私はまんまと騙されてしまいまして。ただ個人的には終盤まで割とクレバーなミステリ物と思っていたので、クライマックスに唐突に始まる犯人とのアクションシーンは蛇足に感じました。観客が求めている要素と作り手は判断したのでしょうが、私にはサービスでもなんでもありませんでした。
[映画館(字幕)] 7点(2013-11-10 20:54:44)(良:1票)
127.  つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語 《ネタバレ》 
監督が苦手な行定勲だったので余り期待せずに観たのですが大変面白かったです。そうなんですよね、普通のラブロマンスとは異なり現実の恋愛ってのは呪いでしかない場合もあるんです。この映画の中の阿部寛はトコトン艶の呪縛に囚われている。その感覚にかなりシンパシーを感じたのでこの点数です。逆に今までノホホンと楽しい恋愛しかしたことが無い人にはピンと来ない内容なのかも知れません。 但し、いくらなんでも頭悪すぎる登場人物の描き方には萎えましたけどね!監督はアレキサンダー・ペインの様なトラジェディック・コメディーを目指したのかも知れませんが、余りにもキャラクターがデフォルメされてて真剣味込みの面白さが減じている。
[映画館(邦画)] 7点(2013-11-10 20:45:27)
128.  ラビット・ホール 《ネタバレ》 
印象を一言で表すと"繊細"な映画。交通事故で幼い子を亡くした夫婦同士、また夫婦を取り巻く周囲の人々との交流の描写が本当に繊細です。例えば妻のベッカは映画の冒頭で隣人の奥さんが知らずに庭の植物を踏んでしまったことに気づきちょっと眉を(ホントにちょっとだけ)顰める。ここでベッカは(少なくとも子どもの死以降)神経質な人間と解る。ベッカには妹がおり、妹は姉に妊娠を告げる。妹の彼氏は経済的に不安定なミュージシャンだった。また妹はかつて死んだ兄についてベッカから見れば早々に自分の中で決着を付けたらしい。 だから中々自分の子どもの死に決着というか踏ん切りを付けられないベッカは妹のタフさにコンプレックスを抱いていることが様々なシーンでチラリと描写される。またそれらの感情の機微が画面の構図やライティングと絶妙に対応している。この様な繊細な描写が凄く多いのでとても見応えがありました。 ストーリーもとても素晴らしく、どんなに忘れようとしても死んだ我が子の事を記憶から抹消できない事を冷酷に描いている。そんな中でベッカの母親の「重さが変わってくる。最初は重かった岩が段々ポケットの中の小石に思えてくる。でもポケットの中に手を入れた時に思い出さされる。それは無くならないけど我が子が居た証だと思えば辛くない」という言葉は主人公夫婦にとって福音だったでしょう。 我が子を亡くした夫婦という重い役柄を演じたニコール・キッドマンとアーロン・エッカートは流石の演技力。自制が効かず周囲に当たってしまうベッカと、携帯電話に残った我が子が生きていた頃の動画を愛おしそうに見つめるハウイーの姿には胸が締め付けられる思いだった。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-10 20:20:44)(良:2票)
129.  2ガンズ 《ネタバレ》 
気楽に見れるスパイアクション。ヒロインが途中退場したり、矢鱈と残酷シーンがあったり、それなりにシリアスな描写はあるものの基本的にはお気楽に明るいバディ物となってます。 とは言ってもシナリオをもっと洗練したものにすればより面白くなっただろうし、そういう点で残念な作品でもあります。DEAと海軍情報局とマフィアとCIA、それら全部から追われることになる主人公二人と、色んな組織が入り乱れた大金争奪戦であるにも関わらず、組織毎のカラーが殆ど活きていません。マフィアの牛を使った拷問が少し面白かった位かなぁ。 後は単純に「そりゃ無理だろ!有り得ないだろ!」って展開が多いですね。二人で海軍情報局に単身乗り込んじゃったり、わざわざご丁寧に全組織が一箇所に終結したり(わざわざご丁寧に姿まで見せるのはなぜ?)。まあその位の事は気にする様な映画じゃない!と言えばその通りなんですが。
[映画館(字幕)] 6点(2013-11-06 22:23:59)
130.  トランス(2013) 《ネタバレ》 
催眠にかかった人間の脳内を映像化するというアイデアでまずターセム・シン監督の『ザ・セル』を思い出しましたが、あちらの様なブッ飛んだ映像では無く、割と普通の絵画を巡るミステリーになってしまいます。スタイリッシュな映像に定評のあるダニー・ボイルなので映像も楽しめなくはないのですが、『ザ・セル』の方は連続殺人鬼の脳内したが、本作はセコイ男のジェームズ・マカヴォイの頭の中だからそんなに面白くないのが残念。 そうなるとミステリーの部分で楽しませてくれないと困っちゃうわけですが、これが基本的に後出しジャンケンのようなもので、真相を伏線から看破するのがほぼ不可能に近いので見終わった後は何とも言えない気持ちに……。 それから最後にエリザベスがフランクに催眠にして記憶を(完全にではないが)消すか、そのまま覚えておくか選択をさせて映画は終わりますが、それでいいんかい?クライマックスで彼女は自分の計画によって罪なき女性リズが殺され車内に放置されていたことを知り悔恨の涙を流した。それなのにまた催眠をしようという。あの涙はなんだったんだよ~。
[映画館(字幕)] 5点(2013-10-28 22:51:49)(良:1票)
131.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 
過去に起きた事故を何度も繰り返すという設定が面白く、次々とストーリーが展開していくので一気に観れます。最後に『恋はデジャ・ブ』と同じく、「その瞬間の隣人を精一杯愛することの大切さ」を説いており、それも感動的でした。佳作という言葉がピッタリくるSF作品です。
[DVD(字幕)] 7点(2013-10-15 22:47:20)
132.  ウォーム・ボディーズ 《ネタバレ》 
一応はゾンビ物かと思いきや、そんなことは無い只の奥手男子の恋愛奮闘記でした。だって序盤から喋ってるんだもん。意思もあるし。やりたい事はバルコニーのシーンでも分かる通り『ロミオとジュリエット』。最後にゾンビ側と人間側を隔てる壁を破壊することで両者の和解を表現している訳でしょう。 もう少しアクションシーン・サスペンスシーンにも力を入れてくれれば見れた作品になったかも知れないと思います。例えばヒロインはゾンビ居住区から逃げた先でガイコツに襲われる。いきなりガイコツが現れ襲ってくるのだが、それまでにゾンビの居住区とガイコツの居住区に境界線があるのか、どのラインを超えると彼らのテリトリーで危険なのかという情報が一切ないので、単なる脚本の都合で現れたとしか思えない。それじゃあハラハラしません。 しかもガイコツだけあからさまなCGなのでバトルシーンも違和感マックス。それにヒロインに襲いかかっても矢鱈と喰うまでにタメるし。もっと問答無用に襲いかからないと、怖くない。
[映画館(字幕)] 5点(2013-10-15 20:50:21)(良:1票)
133.  地獄でなぜ悪い 《ネタバレ》 
園子温監督は自伝の中で、如何に現在の日本映画界で「泣ける」「感動できる」映画が持て囃されていて、観客に「泣かせること」を至上命令とするような映画が溢れていることに憤りを顕にしていました。そして黒澤明や深作欣二など日本を代表する名匠の映画には、唯々泣ける映画は殆ど無く、自分はそういう映画を作りたいと熱い思いを吐露していました。 そして完成した映画が『地獄でなぜ悪い』です。いや、園監督は実質的デビュー作『自転車吐息』から基本的に常に同じ路線で突っ走っていると思います。「どうしたら観客にショックを与えられるか?」「自分が作りたい映画とはどういうものなのか?」、という問を追求されてきた監督です。しかも下手をすると単なる自慰行為とも呼べる映画になる所を、園監督は観客を満足させるサービスも忘れずふんだんに盛り込んで映画を作り上げる。これは別の芸術家の言葉ですが、芸術作品は畢竟「混沌(コンフュージョン)」と「秩序(オーダー)」のバランスが大事なのだ。園監督はそのバランスの取り方が実に上手いと思います。 本作も正にそういう作りで、クライマックスではヤクザ同士の殺し合いが只管に続き、血が其処此処にビュービュー飛び出て、首がポンポンすっ飛び、銃声がガンガン鳴り響き、怒号が飛び交う。これは観客に向けたサービスと取るべきでしょう。オープニングから『仁義なき戦い』のテーマが流れる通り、この映画は深作欣二監督のタッチに非常に近いと思います。迫力のある残虐描写と気の抜けたギャグが連続する。正に深作欣二の世界。観客は地獄の乱痴気騒ぎに身を委ねるのみです。そこに園監督の映画への熱い思い、一生に一本の映画を取れるなら命なんて要らない!いい暮らしをして平凡な映画を作り続ける位なら死んだ方がマシ。そんな話が展開していく。 ある種の観客や映画の作り手にとってはこれ程のサービスは無いでしょう。そのサービスを全く有難がらない方がいらっしゃるのも当然です。私には最高のサービスでした。
[映画館(邦画)] 9点(2013-10-11 22:51:43)(良:1票)
134.  そして父になる 《ネタバレ》 
オープニングは私立小学校の面接から始まる。ある一家が面接を受け、可愛らしい子どもが行儀良く質問に答えている。面接後、父親である主人公が「キャンプになんて行ってないよな?」と聞くと、子どもは「塾でそう答えるって教えられたから……」。父親は「お受験塾もよく考えるよなぁ」と単に感心している。この映画はそんな嘘の家族像から始まる。 そんなオープニングとは対照的に、映画のラストで主人公は何もかもをさらけ出して我が子の前に立つ。やっと本音を伝え本当の家族となった父子を観て自然と涙が出てきた。結局映画の始まりと何ら家族構成は変わらなかったのに、これだけ感動させられると言うのは矢張り主人公の描き方が優れているからだろう。 この主人公の嫌な感じの描写がとにかく素晴らしい。単に嫌味なヤツ、最低野郎などではなく、ギュッと絞ると自然に滲み出る様なヤな感じなのだ。例えば、樹木希林演じる義母に「(同じく子どもを取り違えられた夫婦が)どんな人だった?」と聞かれ、主人公は一言「電気屋だった」と答える。相手の人となりを見ず、相手を社会的地位や経済力で判断する主人公の感じの悪さが上手く現れている。また『ガリレオ』シリーズと同じく完璧人間を演じる福山雅治が実に良くその役柄に合っている。 「本当に父親らしいとはどういう事なのか?」というありきたりなテーマで、結論も「しっかりと子ども触れ合い、真剣に愛する」というありきたりな物なのですが、監督の手腕の高さで一級の人間ドラマに昇華されている。名監督に題材の平凡さは関係無いという好例だと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2013-10-10 23:04:18)(良:3票)
135.  ブルー 初めての空へ 《ネタバレ》 
素晴らしいです。フルCGアニメとしては間違いなくアイデア・脚本・演出・挿入歌等に於いてPIXARにも匹敵するレベルの出来だと思いました。まず人間と動物の描写の仕方がとても丁寧です。この映画では人間界(リンダやチュリオ)、動物界(ブルーやジュエル)が混在して描かれます。こういうタイプの映画では過去には『レミーのおいしいレストラン』や『ボルト』などが挙げられると思います。そこで問題となってくるのが動物同士で話す際には擬人化されている動物達を人間が観たらどう映るかという点ですが、本作は殆ど違和感無くその二つの世界を共存させている。つまり人間っぽくもあり動物らしさも存分に残している。 またストーリーの語り口のスマートさも特筆すべき点かと思います。本作では鳥と人間と二つのカップルが描かれますが、短い子ども向け映画の上映時間にも関わらず展開に無理がなく納得いくものとなっている。またどちらの男もボンクラなので、個人的に恋愛に関しての「あるある!」感が最高に面白かったです。 それから声優陣のキャストが実に良い!ペットとして育てられたからこそ矢鱈と博識でペラペラ喋りまくるブルーにジェシー・アイゼンバーグを当ててるのもホントにうまいなあと。アン・ハサウェイは『レ・ミゼラブル』で証明されたとおりの歌唱力、ジェイミー・フォックスの色男っ振りも様になっていますね。ウィル・アイ・アムは本業がラッパーなので当たり前ですが素晴らしいパフォーマンスでした。 まあ残念な部分はリンダが故郷のミネソタの店をどうしたかが全く分からない点ですね。最後にリオに店を移転した描写などあればまだ納得しやすかったのかも知れません。それから密輸業者の男が最終的に特に裁かれる描写がないのも少し残念でした。鳥の方の悪役がバードストライクまでかましたんだから、人間側の悪役にもそれなりの罰が与えられないと……。
[DVD(字幕)] 8点(2013-10-10 22:14:01)(良:1票)
136.  モネ・ゲーム 《ネタバレ》 
アラン・リックマン、コリン・ファースらイギリスの実力派俳優が馬鹿げた振る舞いをしている様は楽しくなくはないのですが、面白さがそこまでに留まっているのは残念な限り。 それから作り手の考える人間描写がとにかく適当。テキサスだから牛追いして、トレーラーハウスに住んで、酒場で暴れて……って呆れる位プロトタイプなイメージですねー。キャメロン・ディアスのテキサス訛りも頑張って演じているのは分かりますが、大変不自然。しかもロンドンに舞台が変わってからはいつの間にか訛りも殆ど消えているし。日本人の描き方も本来なら噴飯ものですが、あれはシャバンダーをだまくらかす為の演技と思えばまあ許せるかな。 かなり面白かったのが序盤の20分で計画が全て上手くいった場合の展開を全て描いてしまうこと。そこからどんどんと計画と違った方向に話が進んでしまい、主人公が泣きそうになりながら彼方此方を駆けずり回るってのは上手いなあ。
[映画館(字幕)] 5点(2013-09-28 08:32:09)
137.  エリジウム 《ネタバレ》 
ツッコミどころを挙げると色々とあるSFです。特に物語が後半に差し掛かると腑に落ちない点がどんどん出てくる。ドサクサとは言え何の障害もなくスパイダーがエリジウムに到着できたり、クルーガー一味が簡単にエリジウムでクーデターを起こしたり、肝心な時にドロイド達は姿を見せなかったり、主人公とクルーガーの最終決戦がショボかったりetc...。富裕層と貧困層の差、一方は永遠に近く生きれるが、他方はゴミのように死んでいく、という物語のテーマも、言いたいことは分かるのですが、分かり易すぎるように描くので少し白けてしまいました。矢張りうまい脚本とは、ある瞬間にハッとテーマが浮かび上がるものだと思います。 但し、ビジュアルだけは個人的には完璧でした。スペースコロニーと地球の貧富の差を描いたSFは古くはロバート・A・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』(これは月ですが)から、富野喜幸の『機動戦士ガンダム』に繋がっていく、言わばSFのド定番。ニール・ブロンカンプはその定番を見事に映像化出来ていたと思います。未来のLAのスラムの風景は砂埃が舞い散りドキュメンタリックに汚く見せ、エリジウムの風景は正にユートピアと呼ぶにふさわしい滅菌されたような世界として写す。だからエリジウムでは殆どカメラはブレない。 そんな世界だからこそ地上にいる人々は自然と空に浮かぶエリジウムを見上げる。まるでバベルの塔を造り登ろうとした人間の様に。このビジュアルを観ただけで正直私は満足してしまいました。 また海外で成功してハリウッドで映画を撮る大抵の監督が、大作になると描写が甘くなったり、個性が弱くなってしまうのに対し、ニール・ブロンカンプはそんな気配が一切ない。銃撃によって粉々に砕け散るドロイド(言わば機械のゴア描写!)、巨大なスラムの空撮、その上空に浮かんでいる巨大物体、人体改造&破壊描写、等のブロンカンプ印はしっかりと入っている。できれば次回作はもう少し脚本をブラシュアップして作って欲しいものです。
[映画館(字幕)] 8点(2013-09-26 00:02:06)
138.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 
ひどい映画です、疑いようも無く。とてもシナリオは上等な物とは言えませんし、肝心のアクションにも何らオリジナリティは無い。折角の日本を代表するアクションスター、真田広之も無駄遣いしちゃって。前作に引き続きウルヴァリン単体の映画には碌な作品がないなと思ってしまう出来です。エンドロール後にイアン・マッケランとパトリック・スチュワートが出てきて「え~、またあの二人のシリーズに戻んの?(『ファースト・ジェネレーション』の出来がシリーズ最高だったので)」というガッカリ感。 でも、面白かったんです。もう勘違い日本の描写の面白さだけで数多の不満は吹き飛びました。葬式に当たり前の様に銃を持ってる警備員がいる時点で笑うしかないです。日本は銃社会じゃないよ! ヤクザとウルヴァリンが新幹線上で乱闘なんて普通に考えてギャグでしょ。しかもこのヤクザは名も無き只の「ヤクザA」。ジャパニーズ・マフィアすげえ!因みに上野駅から東海道新幹線は出ません。 矢鱈とクルクル飛んで全然忍べてない忍者軍団もイイですねー。わらわらいた割には最終決戦にはどっか行ってるし。肝心な時に気配を消してどうするんだ。 ヴァイパーも要らない子だったなぁ。お色気要因かと思いきや、只のキス魔なだけで、しまいにゃ脱皮してハゲ頭……って誰がそんなもん見たいと思ってるんだよ!しかし心の中で大爆笑でした。 点数的にはアレですが、嫌いじゃないですよ。
[映画館(字幕)] 3点(2013-09-17 22:58:28)
139.  劇場版 ATARU‐THE FIRST LOVE & THE LAST KILL‐ 《ネタバレ》 
ドラマ版は未見です。辻褄が合わない脚本と、浅薄な演出、笑いを取るための出演者の変顔&ダジャレ、画面に合わないCG、何度も繰り返されるスローモーション&無音、等々……私が嫌いな映画の要素が悉く入っていて、遣りきれない気分でした。 それなら単に出来の悪い映画だなで終わるのですが、許せなかったのは主人公アタルの描き方です。犯人のマドカはアタルに「汚い大人にバツを与えよう」とアタルを誘いますが、これは彼ら知能に障がいがある人を純粋で天使のような者と扱っていることに他なりません。それはアタルが容疑者と断定された時に舞子が「アタル君は犯罪なんて犯しません!」と言っていることでも明らかです。つまり彼ら知的障がい者を一人前の人間としてこの映画は扱っていない。非常に差別的なシナリオだったと思います。倫理的に許容しかねます。同じように知能が健常者に比べ低い人を天使として扱った作品としては『フォレスト・ガンプ』がありますが、それに通じる不快なモノがありました。
[映画館(邦画)] 1点(2013-09-16 09:20:17)(良:3票)
140.  マン・オブ・スティール 《ネタバレ》 
う~ん、思ったことをそのまま書いてしまうと"乗り切れない作品"でした。もうオープニングのクリプトン星の大空中戦から掴みはバッチリで、人間では無いにも関わらず地球のヒーローとしての自覚を得て同胞と戦う展開もとても良かった。クリストファー・リーヴ時代の正義が巨悪を勇ましいBGMと共に倒すのとは違い、プロデューサーのクリストファー・ノーランの意向に因るものでしょうが現代に似合う暗く悲壮なストーリーは個人的には凄く好みでした。 では、どこに乗れなかったかというとアクションシーンです。ザック・スナイダーは前に撮った『エンジェル・ウォーズ』でもそうだったのですが、キャラクターが飛び上がったり、飛び降りたりする時に物理を無視した動きで魅せます。これは意図的なものだとは思います。エンジェル・ウォーズは空想の世界での話だったからどんな動きでも構わないし、スーパーマンも人知を超越した存在なのですから超スピードで動いても良いのでしょう。しかしドラゴンボールの様に動き、飛び交う主人公と敵の物理法則を無視したバトルは正直見ていて白熱できなかったのが本音のところです。この私たちの世界で戦っている感じがどうもしなくって。これは私の単なる好き嫌いの問題なので恐縮ですが。
[映画館(字幕)] 5点(2013-09-03 22:51:34)
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