1561. 七人の侍
《ネタバレ》 ハリウッド版の『荒野の七人』を子供の頃に観て感動したが、後になってこちらがオリジナルだと知ってビックリ。 野武士に立ち向かう七人の侍が頼もしい。 米の飯を腹いっぱい食わせるという条件で集まるのは、武士道の下地があってこそ。 観る前は、三船敏郎は椿三十郎のような役かと勝手にイメージしていたが、全然違った。 菊千代によって百姓の狡さと哀しみがまざまざと浮き彫りになる。 なかなかわかり合えない侍と百姓が、次第に距離を縮めていく過程がいい。 でも、最後生き残った侍に「勝ったのはあの百姓たちだ」と言わしめる百姓のしたたかな強さ。 そこにはどうにもできない距離が確かに存在する。 難点を挙げるなら、映像が見にくかったり、セリフが聞き取りにくいところや、演出にはさすがに古さを感じる箇所がある。 ただ、ストーリーは起伏があって非常によくできており、不朽の名作の名に恥じない。 こうした名作を次々と世に贈り出した黒澤監督が、世界の監督たちの尊敬を集めたのは納得だ。 [DVD(邦画)] 9点(2013-01-03 00:29:38)(良:1票) |
1562. 大日本人
映画館で観たが、大きな違和感を感じた。 松本人志のバラエティは大好きだが、これはテレビかDVDで十分な内容。 映画でやる意味がわからない。 インタビューで自画自賛していたのも聞いていたので、ハードルが上がりすぎて、観終わった後には失望感のほうが大きかった。 何の期待もせずにDVDで観ていたなら、もう少し印象は違ったような気がする。 [映画館(邦画)] 3点(2013-01-02 03:26:46) |
1563. 容疑者 室井慎次
本家の踊る大捜査線は好きだけど、これは…。 最後までたいして盛り上がらず。 [地上波(邦画)] 3点(2013-01-02 02:16:14) |
1564. 東京大学物語
映画化して原作をダメにする例は数え切れないが、本作もその一つ。 原作者が監督でも、こういうことが起こるのか…。 観る人の予想を裏切ることが先走ってしまった気がする。 期待は裏切らないでよ。 期待してなかった三津谷葉子は、意外と良かったのに。 [インターネット(字幕)] 3点(2013-01-02 02:15:33) |
1565. リアル鬼ごっこ(2008)
《ネタバレ》 山田悠介原作の映画化。 以前に、小説が面白いと聞いて読んでみたが、ある意味衝撃的だった。 内容以前に、文章が間違いばかりだったことに驚き。 これをろくに校正もせず、商品にして世に出せたのがすごい。 発想だけはマンガ的で少し変わっていたので、それを映画でどう生かせるかに興味があった。 映画では設定がパラレルワールドになっている。 その設定が妹(谷村美月)の口から説明されるが、いかにもご都合主義。 いくつか矛盾点が引っかかって、すんなり入ってこない。 セリフも展開も、陳腐でクサい。 まるでコントを思わせるような場面も散見する。 これなら、マンガかゲームにするほうがよっぽど適している。 ご都合主義で作り出した設定を伝えるため、妹の説明セリフが長々と続く。 破綻しているストーリーを、破綻していないように見せるため、ジタバタしている感じ。 佐藤姓の人間を全員抹殺するための理由を、もっともらしく作っているが、これがまたつまらない。 説得力のある理由にしたかったんだろうけど、逆効果。 原作にあった、王様の馬鹿げた思いつきのような軽いもののほうが、シニカルで面白いのに。 原作の一番使えない部分(酷い文章)を捨てて、一番使える部分(発想)を利用できたはずなのに、原作を下回るとは…。 材料がどうあれ、料理人が上手に使えなければどうしようもないということか。 [インターネット(字幕)] 1点(2013-01-02 02:14:22) |
1566. キラー・インサイド・ミー
温厚で評判のよい保安官助手に潜んでいたサイコキラーの凶暴性が目覚める。 サイコキラーが題材となれば、おどろおどろしいホラーになりがちだが、ポップであっけらかんとした描写。 それがまた違った不気味さを感じさせる。 でも、共感できるところがなく、後にはどんよりとした不快感が残るだけ。 [DVD(字幕)] 3点(2013-01-02 02:08:33) |
1567. オールナイトロング
過激な残酷描写が評判とかで、怖いもの見たさで拝見。 確かにグロい描写はあったが、ただそれだけの中身のない映画。 でも、シリーズ化されたということは需要もあるということか。 1本観れば十分。 [ビデオ(邦画)] 1点(2012-12-31 15:53:13) |
1568. ソウ
《ネタバレ》 冒頭で理不尽な状況に置かれている二人。 そこから回想も挟みながら、事件の概要が少しずつ見えてくるあたりがサスペンスとして面白い。 被害者をゲームのように追い詰めて殺人を楽しむような異常っぷりが不気味。 ラストは意表をつかれた。 いくらじっとしてても生きているなら気づかれないわけがないとは思うが、アイデア勝ちか。 映画の中ではアダムの正体など説明はほとんどされていないが、多くの意味が隠されていたことに驚く。 実は非常に緻密に作られていたことに感心するが、それを全て汲み取るのは難しく、詳しい解説を読まないとわからないのが難点。 いくら緻密でも観客にちゃんと伝わらなければ意味がない。 それに、グロ系の救いのない陰鬱な映画は、いくら完成度が高くても好きにはなれない。 [DVD(字幕)] 5点(2012-12-31 12:21:12) |
1569. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 20世紀博にのめりこむ大人たちに、置き去りにされる子供達。 昔の懐かしい臭いに未来を捨てようとするが、家族の愛がそれを防ぐ。 平凡な人生でも愛する家族と一緒なら満たされる。 言ってみれば気恥ずかしくなるほどベタな話だが、知らない間にその世界に魅せられていく。 それは、ノスタルジーが誰にでもある普遍的なものだから。 ひろしの回想する人生も、普遍的なものであるため感情移入できる。 お子様用アニメだと舐めていたが、十分大人の鑑賞に堪えうる映画。 むしろ、ノスタルジーに浸れる分、大人向けの内容だ。 [DVD(邦画)] 7点(2012-12-31 11:31:02) |
1570. O嬢の物語
『エマニエル夫人』を大ヒットさせたジャカン監督が次に送り出した作品。 主演のコリンヌ・クレリーは、シルビア・クリステルよりキレイだったのに前作ほど話題にならず。 二匹目のどじょうはいなかったということか。 芸術的に見せようとしているようだけど、ストーリーはピンと来ない。 もともとフォトグラファーなので、映画監督としてはストーリーで訴えるのに限界があったのかも。 [ビデオ(吹替)] 4点(2012-12-31 11:26:08) |
1571. エマニエル夫人
ソフトポルノとして女性にも人気があった映画。 子供の頃にテレビの深夜放送でこっそり観たので、かなり刺激的だった。 今観たら何てこともないんだろうけど、当時の自分を思い出すノスタルジーには浸れそう。 シルビア・クリステルも亡くなって、時の流れを感じてしまう。 [地上波(吹替)] 5点(2012-12-31 03:51:16) |
1572. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 しんちゃんが戦国時代にタイムトラップした先で、姫と幼なじみの侍のラブストーリーが並行する。 なんともベタな展開に斜に構えて観ていたが、次第に引き込まれる。 しんちゃん一家が車で敵陣に乱入する場面では、待ってましたとテンションが上がる。 又兵衛が死んで悲恋に終わるラストまで、お約束通りといえばそれまでだが、まんまと乗せられてしまう。 『クレヨンしんちゃん』で、まさか切ない余韻に浸ることになるとは。 [DVD(邦画)] 6点(2012-12-31 03:10:53) |
1573. わらの犬(1971)
平和主義のどこか頼りない主人公が、村人たちの理不尽な暴力に巻き込まれ、最後は暴力で対抗して皆殺しにするさまはやるせない。 妻や自分を守るために、どうすればよかったかを考えさせられる。 ただ、救いのないバイオレンスの嵐に後味が悪い。 暴漢どもをやっつけたカタルシスもない。 [地上波(吹替)] 4点(2012-12-31 03:05:31) |
1574. おっぱいバレー
顧問のおっぱいが見たいために奮闘するおバカな中学生たち。 どうせならもっと突き抜けてほしかったけど、こじんまりまとまった感も。 [DVD(邦画)] 6点(2012-12-31 00:28:41) |
1575. ラフ ROUGH
原作のあだち充が描いた漫画は青春物の傑作なのに、映画になるとさっぱり。 長澤まさみの容姿以外はいいところがない。 なので、長澤まさみのPVとして見るしかない。 [DVD(邦画)] 2点(2012-12-31 00:24:36) |
1576. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 1971年にこの映画を作ったキューブリックはさすが。 当時は近未来の設定で描いたものが、そのまま現在に当てはまる。 優雅なクラシック音楽をBGMに描かれる暴力とセックス。 ポップでシュールな演出に、センスの良さが光る。 今見ても面白いが、公開当時にリアルタイムで観ていたらもっと衝撃的だったか。 アレックスに施された治療は、人間としての自由意志を奪うもの。 善悪を判断して道徳的に善を選ぶような真の更正ではない。 アレックスの自殺未遂により、責任追及を恐れた政府がアレックスを元に戻す。 その結果、アレックスが女とファックしているラストシーンが象徴的。 社会でまた犯罪を繰り返すことを示唆しているのが恐ろしい。 いわゆる人権派は反対するだろうが、アレックスを元に戻していいのか? 治療が犯罪者の人間性を奪うことになっても、それに相当することをした報いだろう。 また犠牲者が出ても、社会に戻した人たちは誰も責任を取らないだろうことが腹立たしい。 アレックス役のマルコム・マクドウェルが好演。 こんな邪悪な顔つきは見たことがない。 アレックスらの使う造語が、理解しえない隔たりをうまく表現している。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-31 00:19:59)(良:1票) |
1577. コクーン
エイリアンといえば、恐るべき人間の天敵として描かれているものが多い。 が、この映画では「ザ・良い人」で、おとぎ話のようなファンタジー。 異星人との温かい交流という点では『E.T』と同じだが、『E.T』ほどほのぼのと訴えってくるものはない。 老人たちが主人公だが、老いなどこれっぽっちも頭にない若い頃のデート中に観たせいか、全然ピンと来ずに映画のチョイスを間違えたというほろ苦い思い出が。 [映画館(邦画)] 4点(2012-12-30 01:41:42) |
1578. ゆれる
《ネタバレ》 対照的な性格の兄弟間で交わる感情が、一つの事件を通して見事に描かれている。 深層心理にまで関わる心理劇のようで、複雑な人間の心の深淵を覗き見る思い。 兄弟ともに、抑圧された心理がチラっと顔をのぞかせる瞬間が見逃せない。 それが事件の真相への手がかりとなるサスペンスとなっている。 「智恵ちゃん、結構しつこいだろ……酒飲みだすと」 関係を持ったことがバレたかと思った弟は、酒のことかとホッとする。 兄に鎌を掛けられたと知ったのは、後の裁判中でのこと。 兄と弟の心の揺れを浮かびあがらせるような描き方がうまい。 兄弟役の演技も共に良かったが、特に香川照之が素晴らしい。 本作では、何が真実なのか明確には描かれていない。 『羅生門』のように人の主観によって真実が複数存在するようにも見える。 人間の心理を完全に解き明かすのは難しい。 一定のものではないし、本人でさえ気づかない要素もある。 証言に影響を与えた弟の深層心理も、本人は気づいていなかったのだろう。 ラスト、兄は弟の呼びかけに応じてバスに乗らなかったのか、それとも乗って去っていったのか。 これは、兄の心理を解き明かす上で、180度変わってくるところだ。 その解釈は観客に委ねられているが、これは作り手としてズルイと思う。 個人的な見解をいえば、兄はバスに乗って去ると思った。 後で原作も読んだが、小説のラストも明確な描写はないものの、その印象を強くした。 バスに乗らなければ、予定調和的なラストになって作品自体の評価が下がりそう。 あの状況で弟を受け入れるなんて、そんな簡単なものじゃないし、弟に都合がよすぎる。 でも、その結末が描かれていないと、評価のしようがない。 結末を描いてしまえば、バスに乗ってほしい観客とそうでない観客のどちらかが失望する。 都合のいいように受け取ってくださいというのは、ある意味無責任で、都合よく逃げているとも言える。 面白い映画だっただけに、その点が残念でマイナスポイント。 [映画館(邦画)] 7点(2012-12-30 01:08:50)(良:1票) |
1579. チーム・バチスタの栄光
《ネタバレ》 真相が影の薄い麻酔医の快楽殺人というのが、結末として今ひとつスッキリ決まった感がない。 やっぱりちゃんとした動機や人間関係、葛藤があったほうがミステリーは面白い。 竹内&阿部のコンビはなかなか良かったけど。 [映画館(邦画)] 5点(2012-12-30 00:58:45) |
1580. 幸福の黄色いハンカチ
『男はつらいよ』と同じく、わかりやすくて誰にでも親しめるヒューマンドラマ。 健さんが安定の渋さ。 [ビデオ(邦画)] 6点(2012-12-30 00:23:56) |