Menu
 > レビュワー
 > tottoko さんの口コミ一覧。8ページ目
tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
>> カレンダー表示
>> 通常表示
141.  search サーチ
これは凄い。新しい。PC画面だけで展開するパターンの作品は‶アンフレンデッド”を観たことがありますが、かの作品が「画面上だけという制約」から抜けられなかったのと反対に、画に奥行きもありますし、時系を(過去のLINE画面という形で)戻ったりしながら徐々に緊張を高めてゆく脚本力の高さはかなりのものです。 俳優の演技に頼れない分を、ゆっくり考えながら打ち込むあるいは勢いに乗せて一気に、といった書き込みのスピードで表現したり、やっぱり消去したりといった行為で逡巡が伝わってくるのは巧いなあ。 現在はコンピュータの中に個人の嗜好、考え、行動履歴が詰まってますから、PC一台のデータから映画も一本作れてしまうのですね。事件化した途端現れる自称親友や、上から目線の意見屋、心無い書き込み等、ネット社会の闇も織り込んでいてリアルです。  ‶見せ方”ばかりが斬新かというと、そうではなくストーリーも大いに起伏ありで、こちらの読みをあちこちに振られた末に驚きの展開を見せました。ネタバレしないように頑張って書いております。‶気づき”の鮮やかさ、search力、まさに一気呵成。お見事でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-11-14 23:33:07)(良:1票)
142.  ファースター 怒りの銃弾 《ネタバレ》 
D・ジョンソンが銃をぶっ放して復讐に邁進するドンパチものとイメージしていたら、意外や意外これがどちらかというとハードボイルドテイストでした。 登場人物は主に三人。それぞれが影を背負って渋くてイイ感じなのです。ええ、ロック様もきっちりと渋いです。 「怒っている」から復讐へ向かうのですけど、D・ジョンソンの元からの‶ちょっと困ったような顔”が今作の役柄になにやら奥行きをもたらす効果アリなのでした。今や聖職者になっているターゲットとの向かい合わせのやりとりは緊迫感でいっぱいです。元来悪人ではないドウェイン、‶神のしもべ”に切々と「許し」の大切さを説かれて例の困惑顔を浮かべつつ、引き金を引くべきか否かあり余った筋肉がふるふる震えるのでした。やめろ、やめておけドウェイン、な? ビリー・ボブはもちろん言わずともベテラン演技巧者らしく正体不明などっちつかずさを見せます。子どもとの会話もシーンは短いけれど気持ちが伝わる描写で、こんなささいな場面にも気を使っているステキな脚本でした。 惜しいのはキラーの彼。彼のみ掘り下げ不足な感もあり、割を食ってますがまあ次回ガンバレ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-10 23:15:54)(良:1票)
143.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
うん、「時」について色々考えさせられました。映画は中盤までは恋愛パートでコミカル、やがて人生の節目を迎え子どもの誕生と父を送るその時を経て主人公は悟るのです。「今流れるこの時間の美しいことを思おう」と。キレイにまとめやがったなあ。 時間を戻せるということは、いくらでもやり直しが効くということ。難関の試験だってオーディションだって何度でもトライ可能だし、失敗知らずの人生を送ることができますね。エグいことを考えればこの主人公だって、夫婦関係がこじれれば婚姻関係すらリセットすることもできるのです。新しい彼女と人生をやり直すことが。失敗の痛みを知らないゴーマンな人格になりかねない危険な能力ではないですかね。もちろん、主人公が決してそうはならない凡庸な性格設定のもとに作られたお話であるのですが。 ちなみに自分だったらどの辺に戻ろうかな、と考えました。でもまあ、同じ自分であるし、その都度下す選択や決断は似たような結果であろうから、結局は今現在の立ち位置と大して変わりないのではなかろうか、と思った次第です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-09 23:14:10)
144.  チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 《ネタバレ》 
フェルメールの画から着想しました、と言われなくても気づくであろうほどにザ・フェルメールな光と影カットがてんこ盛り。17世紀オランダの世相や風俗の再現にも全精力を注入した見事さで、アリシア・ヴィキャンデルの纏う衣装の美しさと同時に、庶民の雑然とした暮らしぶりや公衆衛生観念から程遠い社会の姿も描かれています。お産で命を落とす女性が多かったのもうなずけます。この背景が物語の重要な起点にもなっていますし。 小顔のアリシアは17世紀コスプレもよく似合って、「画」にこだわる制作側の熱意に良く応えています。 美術は素晴らしい。けどヒロインの心変わりについての描きこみがほぼ無しなのが不可解です。チューリップ相場の暴落と合わせて主人公の熱も一緒に冷めたような描き方ですけど。いや、なんでよ?棺桶に入っていた数時間で一生モノの約束を反故にされては男の方もたまりません。 豪商C・ヴァルツはお手伝いの娘に屋敷を丸ごと譲って(そんなことあるかい)誰にとっても都合の良いことに外国へ去ってしまうし、ラストに来ての強引な話の畳み方が減点となりました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-01 23:25:59)(良:1票)
145.  デッドプール2 《ネタバレ》 
前作より馬鹿度は2割増し、演出のキレは3割増しで1作目より面白かったです。ストーリーが太った男の子を救うってだけのシンプルさも観やすい。アメコミに詳しくないと矢継ぎ早に入れてくる小ネタに気付かないけど、それを差し引いてもかなりちょくちょく「ふふっ」と笑わせてもらいました。監督=「ジョン・ウィックで犬を殺した奴」のところで冒頭からいやいや(笑)となっちゃった。あとねラストらへんの、暗証NO必要→「7じゃない?」「まさかひとケタってことは」カチッ「ひでえ脚本だ」のくだりがツボでした。 ライアン・レイノルズが本気でこのおバカ映画に取り組んでいるのが伝わってきますよね。このひと「名探偵ピカチュウ」のオファーが入った時、お子さんを園に迎えに行く途中だったんですって。そして仕事熱心な彼は即役柄に入れ込むべく、「自分は今からピカチュウだ」→ピカチュウはうちの子を知らない→ので、迎えに行けない。という恐るべき強引阿呆思考でお迎えを放棄したそうで、それを記者に語るレイノルズと横で呆れ果てている妻ブレイク・ライブリー、というエピソードがしみじみ感慨深かったです。いやさすがだライアン・レイノルズ。デップーには貴方しかいないよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-26 23:08:59)
146.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 
ワタクシ史上、これまで観てきたアクション映画での死者数を大幅に更新しました。死にすぎ。しかも今回も念入りに殺すなあ。二発目三発目と撃ち込んで。これはサバイバルゲームの世界観まんまですよね。近年は(仮想空間で)人がばたばたと斃れるシーンに皆脳が慣れてしまってるんですね。映画の脚本に影響が及ぶのもむべなるかな。 現実にはもちろんのこと、ゲームであってもまあキアヌのようにやってのけるのはほぼ無理。互いに撃ち合っても仕留めるのはキアヌの方。彼の銃だけ連射速度がずば抜けて速いとしか思えません。あと体力がハンパなさ過ぎ。なにせ撃ち合いながら500mは走った後に揉みあって階段を200段近く転げ落ちたのち、取っ組み合いなどできましょうか。プロアスリートだってこの状況なら猫パンチを繰り出すのが精一杯ではないですかね。 しかしそこは伝説の殺し屋キアヌは出血を抑えながら次々襲い掛かる刺客らの腕を折り、首を鉛筆貫通させ死体の山を築くのだった。ああ痛たたた。 1作目よりドラマ性はぐっと減り、より「スタイリッシュに人を殺す」画ヅラとなっております。良くも悪くもすごく今風。数十年後にはどういう評価をされるのかな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-22 15:15:18)
147.  シンプル・フェイバー 《ネタバレ》 
ちょっとライトめの「ゴーン・ガール」といった感じで、アナ・ケンドリックが主婦探偵よろしく真相に迫るまでは面白かったんですがねえ。これまでたいてい‶健康的な優等生美人”を演ってきたブレイク・ライブリーのやさぐれ具合も目新しかったですし。 双子で保険金絡みとネタバレした後の雑な処理はちょっと呆気にとられちゃう。ヤマ場はなんと三者立ち話。事件と直接関係ないステファニーがなぜだかキレて銃を持ち出し、狂言芝居でエレンの自白を引き出そうとするも失敗→旦那ショーンはエレンに撃たれ、(ところでこの男はどっちの味方なんだ)生配信を知ったエレン外に飛び出す→ジャストタイミングで駆け付けたママ(パパ)友の車にはねられ、都合よく到着したパトカーにより逮捕。・・と書いててもぐだぐだ感が否めません。なんだかなあ。初めのうちこそ子どもの存在を大きく扱い、母親キャラを堅持してたのが、どんどんキャラブレしていって後半は子の存在がすっかり消えてんのも頂けない。 野暮ったい母さんファッションだったアナが、強気になるにつれ服装が垢ぬけていくのも見どころのひとつにしてるんでしょうが、そもそもアナ・ケンドリックは身長低く腕や脚も長くないため服を着こなせるタイプでないのです。よってあまり映えません。 前半の引きの良さに比べ、後半の安い展開で大きく評価が下がってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-10-17 22:51:19)
148.  バツイチは恋のはじまり 《ネタバレ》 
うーん、ユーモアの許容度が人によって試されるといいますか、ヒロインの行動が笑えるか笑えないか評価が二分しているラブコメですね。わたしはビミョーかな。そんなあー、と苦笑する感じ。イザベルは残酷だしジャン=イヴはお人好し過ぎるし、演者が違っていたら目も当てられない不快作になったかもしれません。 そう、ちょっとやり過ぎな話をも「これはコメディなんですよ」と発信し続けられているのはダイアン・クルーガーとダニー・ブーンが好感されているから。クルーガーは綺麗なので見てるだけで眼福ですし、今作は必死に目標を完遂しようとするおバカぶりが悪意の無いものに感じられるので、観てる側はギリギリイザベルを嫌いにならずにいられるのだと思います。 ダニー・ブーンも散々な目に遭いながら、話を重たくせずにする芝居をしています。傷ついてもそうは見えないように振る舞う彼の懐の深さにはこちらが救われる思い。ほんと、男性陣には現恋人のフィリップ含め、酷い脚本だものなあ。イザベルがジャンに心惹かれる説明描写も少ないですし。ラブコメだけど、誰もが楽しいハートウォーミング系ではないです全然。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-10-13 23:21:27)
149.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 
ストーリーは勧善(でもないか)懲悪、主人公がばったばったと敵をやっつける姿がみどころ、というほぼ時代劇コンセプトな殺し屋モノ。殺陣の美学をとことん追求している本作はキアヌの身のかわし方や銃さばきの華麗さに作品の成功がかかっているわけで、中年キアヌ頑張りましたねえ。 裏切るかと思われた親友W・デフォーの男気溢れる生き様はちょっとしたアクセントになってますが、基本 話はびっくりするほどシンプル。もっとも話が複雑になって深度を増すとキアヌの棒演技が目立ちますので、彼のための映画はこんなもんでいいのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-10-10 23:04:14)
150.  バッド・ジーニアス 危険な天才たち 《ネタバレ》 
タイ映画と聞いて抱いた先入観を吹っ飛ばすほど垢ぬけていて、大変面白いので失礼ながらびっくりしました。 実話ベースとはいっても、そこから広げたカンニングのアイデアが秀逸で、目が真ん丸になるばかり。企みがバレそうになる、ギリギリの際のドキドキ感を煽る演出も巧い。STIC本番で独り荷を背負うことになったリンの汗だく&手の震え場面は観てるこっちも冷や汗をかきますし、本国で待機する鉛筆待ちのバイク集団の時間との闘いなんかは大仰なのだけど、観てる間は「そんな馬鹿な」という気持ちを忘れます。 単純に「カンニング大作戦!」的なコメディにするのではなく、格差社会の青春を生きる若者らのドラマに仕立てたのも味わいを深くしました。清廉だったクリーニング屋の息子が金銭欲に呑まれてしまうラストは苦く、リンの抱いたほのかな恋情の終わりでもあるので切なくもありました。 スピーディな展開、暴走する子へのストッパーとなるリンの父の存在といったキャラクター配置の巧みなこと等、一流の脚本であります。近年のアジア映画は凄い。日本はうすぼんやりしたアイドル主演の青春映画を作っている場合ではありません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-09 23:13:37)(良:2票)
151.  ワンダー 君は太陽 《ネタバレ》 
この手の「いい話」を観ると実際当該の難病や障がいを抱える人が観たらどう思うんだろうと考えてしまいます。なにしろ徹底してキレイに仕上げた物語です。オギーの家族は愛に溢れ、両親はちょっと非現実的なほどに強くて優しく正しい。実際にハンデを負った子を育てるのは並大抵のことではないでしょう。ジュリアとオーウェン演じる両親はここに至るまでの傷跡が一切見られない演技で、つるんと明るく屈託が無さ過ぎに感じました。 と、鑑賞直後はかなりの低評価だったのですが、後に原作が児童文学だと知り見方が変わりました。なるほど子供向けであるなら、現実社会のキツさをリアルに描く必要はないですね。彼らの柔らかな感受性にすんなりと溶け込むような優しいタッチが必要になりますから、この映画は子どもが観るには適していると思います。 あと、複数の人物の視点から語りを入れるやり方。話が多角的に観られるかな、と期待したのですがあまり成功してないみたい。姉の‟ほっとかれた長女”エピソードも、ちと掘り下げ不足。ママが弟ばかり構って寂しいけど彼氏ができてハッピー、てだけ?友人ミランダのパートに至っては彼女の心理は100%理解不能ですし、必要なかったのでは。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-30 23:38:01)
152.  ラスト・ターゲット(2010)
とても寡黙なので観る者が細部を想像力で補わなければならないストーリーは親切ではないのですが、話の流れを追うより画の余韻を味わうべき作品です。元カメラマンという肩書も納得の監督の美的センスが1シーン1シーンに反映され、女優の裸体の美しさや机の前にただ座っているだけのG・クルーニーのショットすら西洋絵画のようです。 小高い丘に石造りの建物が並ぶイタリアはカステル・デル・モンテのロケーション力は抜群ですし、銃を改造あるいは組み立てる時の手さばきは熟練の技術の粋とも言え、もう「画のチカラ」で引っ張ってくれます。 ただキャスティング。ジョージ・クルーニーは評価しづらいです。どこまでもヨーロピアンな香りの本作に、いつも歯痛をかかえていそうな単なる仏頂面のクルーニー。もともと表情に奥行きの無い表層タイプの彼はあからさまに「アメリカ人」なのですが、考えてみれば原題はThe Americanですし、ここはクルーニーで正解なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-29 22:57:58)
153.  ディザスター・アーティスト 《ネタバレ》 
トミー・ウィソーは幸福な方へ倒れたエド・ウッドですね。共通してるのはあふれんばかりの映画創作愛と、それがハイスピードで空回りしちまってるトコ。 ラストで「ザ・ルーム」とのカットが並行して流れるのだけど、J・フランコがトミーを完コピしているのに驚きます。ひえ、つまりホントに実在したんだ、こんな奴が。 ホンは書けない、台詞は覚えられない、演出は無意味、と創作のセンスの欠片もないトミーにいかに周りが振り回されたか、が本作の見どころではありますけど、エドの時と同じように役者もスタッフも最後まで投げ出さずなんだかんだで駄作を作り上げたことに、ある種の愛すら感じてしまうのでした。おばあさん役の役者に問うシーンがあります。「なんでこんな仕事を引き受けたの?毎日80キロも運転してまで」に答えた彼女曰く「だって私は役者なんだもの」・・人は突き動かされてどうしてもそれをやる、止めがたい情熱があるのですねえ。 トミー・ウィソーはラッキーな人です。お金には不自由しないし、生きているうちに本作のような裏話映画まで作られて称賛されている。エド・ウッドにも同じ感動を与えてあげたかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-26 23:44:41)
154.  ノクターナル・アニマルズ 《ネタバレ》 
・・世間の激賞と相容れない感想なので発言しづらいのですけど。・・ありていに言うと「ちょっと何言ってるのかわからない」です。 まず送り付けられた小説と自分の過去を重ね合わせるって事がやや無理くりではないですか。陰惨極まる妻娘殺害事件と、男と別れた過去がオーバーラップする??男女間のもつれなんてそれこそ星の数ほどありましょうが、どんなにこじれた話であっても「レイプ殺人一家崩壊」とは次元が違いすぎませんか。 スーザンはたしかに無責任、無自覚、不誠実なお粗末女ですがね。この小説をもってエドワードの復讐なのだとする説が大方ですけど、あんなに「何かを愛したら頑張らないといけない」と力説していた男が20年も経って元妻に意趣返しするとは、ちょっとピンと来ないです。 いやいや、これは復讐ではなく愛なのだという解釈も見かけましたが、これまたすとんと落ちないなあ。さして出来がいいとも思えない暴力小説から愛を感じることはわたしには無理です。 スーザンは若き日の愛情を貫徹できず、軽蔑していた母の予言通りにその母そっくりのブルジョワになり下がり、結果中年になった今は空っぽの人生を送っています。わざわざ復讐なんぞのために、自分の20年をこの女に割く価値も無いと思うのですが。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-09-12 23:42:02)
155.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
・・ああやだやだ。嫌だーこの映画。なんか怖がらせてくるというより、ヤな気持ちにさせる嫌がらせのような映画である。えげつないんですよねやり口が。小説に「いやミス」があるなら、こちらは「えげつなホラー」とでもジャンル確立できそうな。 悪魔信仰云々といった正統ホラー描写は宗教の違いもあってか、別に怖くない。けど人の気分を胸糞悪くさせる中盤まではホント消耗する。妹を事故で死なせた兄ちゃんが現実逃避するあのいたたまれなさ。翌朝長々と耳障りに響くトニ・コレットの絶叫。トニ・コレットのガサガサした感じの顔もしんどいが、あの娘役の顔がこれまたキツイ。一体どうやったらあんな不吉なオーラをまき散らす顔になるのか。あの子の担任になるのは絶対ゴメンである。 ‟親として絶対子どもに言ってはいけない”ことばかりを息子にぶつけるトニ・コレットの毒親ぶり。その言葉に削られてゆく息子の土気色の顔。えげつないって。誰だって辟易する。 「家」もヘン。やけに奥行きあり過ぎ、だだっ広い空間が多くて昔の旅館みたい。撮影のために建てたんだとか。生活動線を考えてない住居ってこうも居心地悪いもんなのか。 現代アメリカンホラーの最高作との呼び声高い本作、たしかに強烈なパンチは食らうけれど個人的には「怖い、でも美しい」シャイニング的ホラーの方が好み。ほんとやだったあ 二度と観ない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-20 23:45:20)
156.  華氏119 《ネタバレ》 
何故トランプが大統領になり得たのか。その原因を民主党政権の時代にさかのぼって多角的に分析した本作は、これまで「怒り」をベースにしたムーア監督に「疲れ」や「絶望」も垣間見えてアメリカの闇が深まった感がありました。 ごりごりに「左」の監督が民主党への批判をも縷々織り込んで展開してみせるは拝金主義に陥った米政治の混沌ぶり。彼の故郷ミシガン州フリントの水問題のくだりでは、「新しいアメリカの象徴」として輝かしく大統領に就任したはずのバラク・オバマの骨抜かれぶりが記録され、かの地の住民ほどではないにせよ日本人のわたしも衝撃を覚えました。 ヒラリーが献金漬けなのは有名な話だし、政治信条など無いトランプは時に民主党以上にリベラル発言をしたりで場は混乱。結果「どっちも嫌」という有権者を大量に生むことに。 これまで漠然と「米国は民主主義のチャンピオン」と思っていたけれど、実はかの国でも未だ民主主義は到達すべき理想形に過ぎないのだという学者の指摘には、問題がそびえたつほどの山積なのだと思い知らされます。 すぐになど変えられない。でも声を上げないとどんどん専横がまかり通る事態になる。その恐ろしさを胸に刻んで、この国でも選挙には必ず行かなくちゃ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-18 23:31:07)(良:3票)
157.  ビューティフル・デイ 《ネタバレ》 
作品紹介でスリラーとあったのですが、本作は違いますね。人の死に方がオソロシくて血も飛びますけど、テーマはPTSDと闘う男の凄絶な心の軌跡。画も音楽もビターで内省的。とりわけ音楽は劇中のラジオが音源だったりすることが多く、これが作品世界にすっと入っていける効果をもたらしているように感じました。 ホアキン・フェニックスが只事じゃない重たさです。幼少期の父親の虐待に始まって、軍の任務で経験した数々の不条理な暴力でジョーはすっかり心をやられてしまいました。何度も死のうとして、でもギリギリ踏みとどまってきたのは母親の世話があるから。二人でフォークを磨いたり、子どもの頃に口ずさんだ歌を思い出したりする姿は、説明の少ない本作の中で彼らの結び付きがうかがい知れる心安らぐ場面でした。 母親は死んでしまったけれど、ニーナがいてくれる。観る者が希望を抱くのは、彼女が若くて心の芯が強そうだから。彼女もさんざん傷ついているのに「今日はいいお天気よ(It's a beautiful day) 」とジョーが立ち上がるきっかけを与えることができるのだから。 窒息しそうなジョーが息をつくことのできる人生を取り戻してほしい。ショッキングなラストの自死のシーンが現実でなかったと分かった時、わたしは本当に、心からほっとしました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-11 23:41:15)
158.  ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ 《ネタバレ》 
続編というのは難しいものですけど。これもねえ・・。デル・トロのキャラクターが変わってしまっているのは大変に痛い。前作の‟闇に生きる者”としての凄みがほとんど感じられない。三段階くらい安い話になりました。女の子一人を守る為に身体を張る元検事、現殺し屋。リュック・ベッソンかいな。 車中からトバす眼光の鋭さや、側頭部を撃たれてなお瀕死でハンドルを握る鬼気迫る姿は生への執着が漲り、さすがデル・トロ。彼の演技だからこそ作品水準は一定の高さに保ててはいますけども。 細部の粗も気になっちゃうなあ。冒頭の敵対マフィア弁護士を街中で撃つ描写がまず安っぽくて嫌い。あれでは三下のチンピラみたいです。 組織の使い走りの子が夜目にデル・トロを認識したのもあまりにも都合よくないですか。一度駐車場で車内の人間と目が合っただけでしょう?それをあんな闇夜で変装すらしている男と見破ることができるもんかね、とここはどうしても引っかかって嫌でした。他のプロットを考えてほしかった。わたしが人の顔を覚えるのが苦手だからかもしれないけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-10 23:24:41)
159.  オーガストウォーズ 《ネタバレ》 
ロシア製の堂々たる娯楽大作です。正直こんなに‟こなれた”映画を作ってくるとは驚きました。男優も女優も画面負けしない一流どころで、まあ冒頭のCGの出来はさておき人間が演じる部分には画の背景や質感に安っぽさがありません。とりわけ世界水準レベルなのが戦闘場面で、砲弾散らかるガレキだらけの現場のリアリティはもとより、狙撃兵からの攻撃がいつ来るのか静と動の描き分けが巧みで緊迫感を煽ります。ここらの演出の洗練ぶりは「ブラックホーク・ダウン」や「フルメタルジャケット」等の先達からきちんと学んでいるような感があります。 惜しむらくはいろんな娯楽要素を盛りすぎかなあ、ということ。CG仕立てのクリーチャーらが跋扈する様子はSFバトルのようで非現実気分になりますが、しかし人の命が軽い戦地の不条理や酷さは「ハート・ロッカー」レベルですし、箸休め的にちょっとしたロマンスまでぶっこんで節操がないまでのごった煮の様相を呈しています。作品を壊すほどにバランスが悪いわけではないですがね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-09 23:41:21)
160.  キッズ・オールライト 《ネタバレ》 
両親と子どもが二人の家庭。妻が家族ぐるみの付き合いのあった男と浮気してしまった。当然家庭の空気は悪くなり、思春期の子どもらへの影響も計り知れず・・と書くと凡庸なホームドラマだけれど本作は夫婦がレズビアンカップルで、浮気相手が子どもらの精子提供者だというヒネリにヒネったシチュエーションである。 いやあー、考えさせられましたねえ。なまじ設定をノーマルな家庭環境にしなかったため、「家族」というシステムの定義しづらさ、曖昧さを浮き彫りにする効果がありました。 即ち「生物学上の父は家族となり得るか?」 本父ポールはいい線行ってましたよね。独身の気楽さがちょっと鼻につくけど人好きがして、明るく積極的な性格がニックの家庭には無い資質で子どもらもジュールスすらも惹かれてゆく。アネット扮するニックはこの家で父性的な役割でしたから、初めからポールに対して「侵入者」への警戒心が強かったのも無理はないです。だって相手は「正真正銘の」父なんだもの。いくら女医でも彼女には真似できない。ほんと設定の妙が活きますな。 わたしはマーク・ラファロ扮するポールに反感は抱かなかったので、ジュールスと事があったのち、子どもらが一斉に怒りを向けてきたのにはむしろ驚きすら感じました。つまりこのことこそがこの映画のアンサーで、やはり「家族」を作り上げるのにかかった年月はそれなりに重いのです。特に子どもにとっては、人格形成期に愛情を注いでくれた大人がやはり親なのですね。 そして四人が「家族」なんだ、ということをこの上なく表したジョニの巣立ちの場面。ワタシは思わずもらい泣きしたのですが、一人家を離れる長女を別れ際に抱きしめる両母親の姿は娘を手放す寂しさや祝福、心配がないまぜとなりA・ベニングとJ・ムーアの演技力の真骨頂を見せられます。まさしく長年手塩にかけて我が子を育ててきた者でないと出せない感情であり、やはり「単なる良い人」ポールでは無理でありましょう。 そして、息子もまたちゃんと成長を遂げていました。15才という難しい年ごろ、両親がゲイ・カップルということに事あるごとに反抗的な態度を見せていましたが最後に車中で「別れちゃダメだよ。もうトシなんだから」ですって。涙なくして聞けましょうかこの台詞。 初め、正直なところレズビアン両親にどうも気持ちが入りづらかったのですが、観終わってみれば彼らの家庭にとても親近感を抱いていました。脚本も演技もとても良いです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-08-01 23:19:39)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS