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まいかさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 213
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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161.  ガメラ2  レギオン襲来 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 平成ガメラ3部作をすべて配信していましたが、第1作は集中力がもたずに途中で放棄。戦術シミュレーションのドキュメントみたいな作風が『シンゴジラ』の原型になったそうですが、肝心の樋口真嗣の特撮は期待ほどではありませんでした。遠景のスペクタクルは美しかったものの、近景の映像は魅力に乏しく、『シンゴジラ』で蒲田くんをクローズアップにした映像のインパクトには程遠かった。 こちらの第2作は、SF大賞を獲っただけあって脚本の内容が興味深く、「地球外から生命の種子がもたらされる」という水野美紀の話などは、先日の「小惑星でアミノ酸が見つかった」というニュースを予言したかのようでした。東日本震災の15年前の作品ですが、「半径6キロに避難命令、半径8キロに避難勧告」などと言いつつ仙台の壊滅を描いたのも予言めいている。NTTの職員がインターネットやコンピュータを駆使してますが、これも当時としては最先端だったと思う。 ただし、映画としての出来は平凡です。 宇宙生物の実態が明らかになって、ススキノに巨大植物が現れる序盤は興味深く、スペクタクルとしての魅力もあったし、終盤で怪獣どうしが戦う夜のシーンの特撮映像もよく出来ていたけれど、いかんせん中盤部分が退屈でした。つまり、怪獣の生態を解明して撃退方法を検討していく部分ですね。これは日本の怪獣映画の宿命かもしれないけど、この部分がどうしてもつまらない。ミステリー小説でいえばトリックの解明と犯人捜しにあたる部分なので、面白くすることも不可能ではないと思うけど、たいていの怪獣映画はこの部分で失敗しているのだと思う。撃退のロジックがややこしいからなのか、最後に怪獣が死んだ理由もよく分からず、なんか呆気なく終わってしまった感じです。 怪獣の撃退方法にかんしては、どれだけ緻密なロジックを作っても、しょせんは荒唐無稽なファンタジーなのだから、そんなものをゴチャゴチャやられても仕方ないのよね。むしろ時代劇の「大魔神」みたいに、この要素を取っ払ったほうが怪物映画としては面白い。伊藤和典の脚本は詳細に作られてるんだろうけど、映画のほうはそれを具現化するのに精一杯で、およそ物語としてのエモーションに乏しい。吹越満の役どころは、たぶんオタクっぽいインテリという設定なのだろうけど、やや軽薄なキャラが緊張感を削いでいる。少女とガメラが交信する神話的要素も、なんだか取ってつけたような感じで人間ドラマとして機能していない。 また、宇宙生物は意志をもたない植物のほうが不気味だったから、意志をもつ動物になった途端に怖さが半減してしまったのは、かえってマイナスポイントかもしれません。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-03-26 00:56:10)
162.  やくざ坊主 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。これまでに観た安田作品はひとつのハズレもなく、すべてに8点以上をつけてきたのですが…、残念ながらこれはハズレ。すべてにおいて精彩を欠いており、「ほんとに同じ監督の作品?」とクレジットに疑念を抱くほど見劣りがしました。画面の構図にも色彩にも高度な様式美は感じられないし、ブツ切りのシークエンスも繋ぎかたが不可解。勝新の殺陣にも創意や切れがない。そもそも題材自体があまりにインモラルで、大映時代劇の渋味のある作風には合ってない気がするのですが、脚本の軸もなんだかハッキリしません。駄作。オリジナルのせいかリマスターのせいかは分かりませんが、画面も全体的に暗かった。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-03-14 02:52:24)
163.  大怪獣ガメラ 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で倍速機能を使いながら視聴。 大映作品とは思えないほど稚拙な出来。海外のB級SFみたいなチープな風合いになったり、日活や新東宝の現代劇のような風合いになったり、映画の文体がちぐはぐして統一性がない。カット割りを見ても、俳優の演技を見ても、基本的な演出力の欠如が見て取れます。船越英二のセリフが意味もなく途切れたり、唐突にナレーションで説明が入ったりするのも謎。四苦八苦しながら辛うじて継ぎはぎだらけの映画にまとめた感じです。中盤の特撮は結構よく出来てるけど、そもそもカットの繋ぎ方がデタラメだったりして映画の文体をなしていない。 脚本も、科学者と自衛隊の現場指揮官が核使用の判断をしたりするのは御愛嬌としても、全体として何を表現したいのか見えてこない。ガメラを火星に飛ばすことが「生かすこと」なのか「殺すこと」なのかも分からなかった。ただ、亀の怪獣だけあって、浦島太郎っぽい訓話にする意図があったようには感じました。 永田雅一の予想どおり商業的には成功したらしいので、怪獣映画ってのは特撮のスペクタクルさえ成功していれば、文体が破綻してても関係ないのでしょうね(笑)。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-01-26 19:51:07)
164.  鯨神 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 捕鯨に取り憑かれた奇怪な村落共同体を描いたインモラルなプロレタリア映画。宇能鴻一郎と新藤兼人は、近世捕鯨を経済行為や食文化としてではなく、あくまでエロスとバイオレンスに突き動かされた人々の狂気の営みとして、男尊女卑もはなはだしいプロレタリアートの視点から捉えています。したがって、これは本来なら日活や近代映画協会あたりで制作すべきだった題材ですが、なぜか芥川賞受賞の直後に大映が権利を買い取ってしまったのですね。そして、あろうことか東宝の特撮映画を模範にしてしまった。 しかし、同じ特撮映画とはいっても、文明批判をテーマにした「ゴジラ」と、反理性的な習俗をテーマにした「クジラ」とでは、まるで方向性が逆だというほかありません。しかも終盤の特撮映像の嘘くささは、かえってリアリズムに逆行し、本来あるべき神秘性を損ね、たんなる安っぽい怪物映画にまで貶めています。 田中徳三の演出で勝新太郎が出演していますが、どこにも大映時代劇のような様式美は見られないし、伊福部昭が音楽をつけて志村喬が出演していますが、どこにも東宝特撮映画のような科学的理念は見当たりません。結果としては、やはり日活や近代映画協会のような野蛮かつ土俗的なテイストに帰着している。 特撮の安っぽさを大目に見れば、これはこれで成立してる気もしますが、だからといって、この映画や原作小説を引き合いに商業捕鯨を正当化できると思い込む人間がいるなら、途方もない馬鹿だと言うほかないでしょう。そんなことをしたら、かえって捕鯨文化の狂気と前近代性を世界中に触れまわることになります。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-01-11 04:12:02)
165.  天使にラブ・ソングを2 《ネタバレ》 
一作目も糞みたいなポップコーン映画でしたが、二作目もやはり大差のないポップコーン映画でした。これをもってコメディと言われても、どこが笑いどころなのかさっぱり分かりません。 とはいえ、商業的には大成功したらしいし、監督が代わっても作風が変わらなかったのだから、おそらく制作側は意図的にバカな映画を作っているのでしょう。むしろ大多数の観客がこの内容で満足していることのほうに驚くべきかもしれません。米国人がポップコーン映画に大喜びするのは仕方ないとしても、日本のレビューサイトでさえ軒並み平均点が高いのはかなりの驚異(脅威)です。 まあ、黒人が主体になったことで、音楽的には格段に素晴らしくなってるし(監督も黒人に変わっているらしい)、これなら「ゴスペル映画」として認知されるのも納得はできます。18才のローリン・ヒルが出演してることもあり、文化史的には重要な作品なのでしょうね。物語のくだらなさは、かえすがえすも世界最低レベルだと思いますが。
[地上波(字幕)] 6点(2022-12-10 00:28:19)
166.  大魔神逆襲 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 3作目は森一生。今回はお姫さまじゃなくて子供ですね。べつに子供向けに作ったわけでもないのだろうけど、だいぶ子供騙しの感があります。子供の言葉に大魔神が頷いたりと、あまりに身近な存在になりすぎてるのも拍子抜け。 まあ、山越えのスペクタクルはなかなか良かったし、雪山に現れる大魔神もカッコよかったし、丸太と大砲による攻撃も悪くはなかったけど、前2作に比べて脚本・演出・編集ともに、だいぶユルい。とくに筏を作って川を下るシークエンスはかなりお粗末でした。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-08-29 16:53:27)
167.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 「柳星張」と呼ばれる南の「朱雀(イリス)」を北の「玄武(ガメラ)」が封じているという風水的な設定。それを代々守ってきた旧家が「守部」だったりするのは面白い。イリスの味方をする少女の姓が「比良坂」で、ガメラの味方をする少女の姓が「草薙」ってのは、さしずめ「出雲と大和」(ヤマタノオロチとスサノオ)の関係ですね。 しかし、手塚とおるの台詞によれば「ガメラもイリスも古代文明が作り出した生物兵器」とのことで…。どうりでガメラはUFOみたいに空を飛ぶと思ったし、イリスは造詣がロボットみたいで、ヱヴァンゲリヲンよろしくコックピットに少女を格納したりするし…。つまり、これは怪獣映画というよりもロボット映画なのですね。そういう意味では『シンゴジラ』より『ヱヴァンゲリヲン』の原型といったほうが正しいかもしれません。特撮も、やはり遠景の美しさに対して、近景で見る怪獣の造形があまりにメカニカルで嘘っぽい。唯一、渋谷駅構内でガメラとイリスが倒れ込むクローズアップのショットだけはリアリティがありました。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-07-02 01:18:39)
168.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
さぞかし現代的にアップデートされてるかと思いきや、そういうわけでもなく、むしろSF的な要素を排して素朴な青春ドラマに回帰したという印象。かけがえのない出会いや人生への愛惜というテーマは基本的に変わっていない。それだけ原作の物語が普遍的だという証なのだろうし、はじめてこの物語に触れる世代にはこの内容でも十分なのでしょう。ただ、年寄り側の立場からいえば、もうすこし驚かせてほしかったというのが正直な感想です。 ひたすらタイムリープを繰り返すだけの展開はやや退屈で、やはり叔母の芳山和子の過去や、彼女が修復していた絵画の謎に踏み込む展開が見たかった。「もう一人の男子」(本作では津田功介)の役割も十分に効果的とは言いがたい。作画についても、物語についても、可もなく不可もなしといった出来。
[地上波(邦画)] 6点(2022-07-02 00:46:06)
169.  殺人遊戯 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。オシャレでユーモアもあって、カッコよくて、安定的に面白い。大野雄二の音楽も相俟って、まるで実写版のルパン三世のようにも見えます。 ただし「蘇える金狼」もそうだったのだけど、なぜ最後に女を殺すんでしょうね。この結末がいただけない。脚本の必然性の有無にかかわらず嫌悪感をもよおします。そのせいで最後のおちゃらけたシーンも後味が悪く見える。村川透×松田優作のコンビによる作品は国際的な評価に値すると思うけれど、こうした「女の扱い」はその足枷になるだろうと推察します。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-06-13 21:56:25)
170.  かくも長き不在 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。パルムドール受賞作とのことですが、正直言って面白くありませんでした。アンリ・コルピは編集の専門でもあるというのだけど、意図のよく分からない唐突なカットやカット繋ぎが散見され、はたして映画表現として優れているのかどうか疑問に感じます。抑制された叙述の中で何が描かれるか期待したものの、総じていえば、記憶喪失をネタにした通俗的なメロドラマという印象しか残りません。わたしは成瀬巳喜男が苦手なのですが、自分の価値観と国際的な評価が乖離する点でも、成瀬の映画と似たものを感じます。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-06-09 00:36:20)
171.  サムライ(1967) 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 雰囲気はやたらとカッコいいのですが、はたして脚本が緻密といえるのかどうか。Wikipediaに詳しいストーリーが書いてあって、それを読んだら納得できた部分もあるけど、映画を観ただけではそこまで読み切れません。のみならず、たとえば「いくらアリバイが完璧だとしても、あっさり警察に確保されるってどうなの?」「黒人ピアニストの偽証を疑うなら、警察はまず彼女を捜査すべきでは?」「いくら車だけ乗り換えて地下鉄の構内で尾行を巻いても、同じ場所に出入りしてたら意味ないでしょ」「四方八方から銃を撃ったら周囲の客に流れ弾が当たるのでは?」などのツッコミどころは払拭されません。 主人公は、なにやら鳥と心が通じ合ってる設定のようですが、はげしく鳴きながらバタバタしてる鳥を見ても、たんに「カゴから出たがってるのかなあ」と思うだけでした。手乗りインコだったら、もうちょっと説得力があったかも。 新渡戸稲造の本から一部分だけ引用すると、このように「サムライ=寡黙・無頼な生き方・死を潔く受け入れるダンディズム」みたいな解釈になるのでしょうけれど、これは忠義の武士というより時代劇に出てくる浪人や渡世人のイメージに近い。まあ、新渡戸の理念そのものが彼自身の「創作」だろうと思うので、フランス人の解釈を笑ったところで仕方のないことだけど。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-06-03 08:22:36)
172.  小さい魔女とワルプルギスの夜 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。たぶん原作のメッセージは「大人たちの善悪の基準に惑わされず、自らの良心に従いなさい」ということなのだろうけど、この映画を観るかぎり、異教の象徴である汚い魔女を退治する勧善懲悪物語のように感じられてしまう。ファンタジースペクタクルとして技術的にはよく出来ているけれど、内容的にいってミヒャエル・エンデのような深みに乏しいし、ドイツらしさもとくには感じられない。音楽がスメタナ風なのは何故なんでしょうか?
[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-20 06:06:48)
173.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 前半は、増村保造らしい明快で力強い演出が好感触だったけど、真相が明らかになっていくほど話のつまらなさに興味が減退しました。犯罪の背景になっているエピソードは、たんに「混み入った事情」という程度のもので、とりたてて心に訴える内容でもなく、社会的なメッセージ性があるわけでもない。本気で近現代史をテーマにするならば、大陸からの引き揚げ者の苦難にもっと焦点を当てるべきでしょう。お人形やら童謡やらの取ってつけたようなホラー演出は、陳腐にすぎて失笑しか出てこない。わざわざ映画化するほどの題材とは思えません。 自分でこの仕事を引き受けて脚本も書いたのだから仕方ないけれど、これが増村保造の遺作であり、なおかつ代表作のように思われているとしたら哀れです。映画作家というよりも、たんなる職業監督としての仕事でしかないように思う。やはり当時は、市川崑や増村保造のような名匠でさえ、角川の凡作のために従事しなければならなかったのでしょうか?
[インターネット(邦画)] 6点(2022-05-19 18:51:30)
174.  ボヴァリー夫人(2014) 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。美しい画面でつづったダイジェスト映像という印象です。原作のあらすじを知るには好都合ですが、物語に没入させるほどの細部の魅力には乏しい。人生の「退屈」というのが大きなテーマなのだけど、この映画自体が「退屈」から逃れられていないように見える。妻を主人公にしていますが、やはり夫の視点を軸にしたほうが物語としては面白くなるような気もします。以前、オリヴェイラの「アブラハム渓谷」も観ましたが、あらためて他の映画と見比べてみたいし、原作にも触れてみたくなりました。音楽はミニマル風で、マイケルナイマンにも似ているけれど、わたしはこちらのほうが好みです。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-13 14:33:17)
175.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
なんの挫折も苦悩も紆余曲折もなく、映画の冒頭わずか30分でロック界の頂点に駆け上がってしまう展開には驚き呆れました。伝記映画としては何ひとつ面白くないのですね。そして、その後は、ロックスターらしい身勝手な振舞いと裏腹な繊細さによって孤独に陥り、やがて身を持ち崩していくのですが、そこにも、これといって観客を感動させるような要素は見当たりません。たんに出っ歯でゲイのアジア人が、生まれ持った才能を使い果たして、最後はエイズで死んでいく…というだけのクソみたいな人生なのです。 そんなふうに、さほど面白みもないアーティストの伝記物語を、目立った美化も脚色もせずに描いているのですが、しかしながら、そんなクソみたいな人生を歩んだ男が、最後にこぶしを振り上げながら「俺たちが勝者だ!」と歌いあげる姿には、やはり絶対的な"肯定"のメッセージがあり、それゆえにこそ魂を震わせる力があります。 つまり、これは伝記というよりも、その楽曲のメッセージを読み解くための優れた「クイーン論」であり「フレディ・マーキュリー論」なのでしょう。物語としてはつまらないけれど、ひとつの音楽論として評価できる映画だと思いました。
[地上波(字幕)] 6点(2022-04-04 00:13:57)
176.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
英国人らしいブラックユーモアとクレイジーな想像力を満喫できるし、わがままな子供達の毒気のある描写も面白いのだけど…。どうにもこうにも、最後の最後に安易な家族主義に帰着するのが気に入らない!せっかくの毒が呆気なく抜かれてしまった感じ。おなじ英国のファンタジー作家でも、テリー・ギリアムだったら、きっと真逆のダークな結論に達するだろうに!ちなみに、この5年後には、ティム・バートン×ジョニー・デップによる「アリス・イン・ワンダーランド」があるけど、この姉妹編的な位置づけになるでしょうか?
[地上波(字幕)] 6点(2022-03-30 14:01:09)
177.  いつか誰かが殺される 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 良くも悪くも、テレビの2時間サスペンスみたいな気安い映画ですが、80年代のアイドル映画の楽しさは味わうことができました。映像が綺麗なら、もっと楽しめるだろうに。 なぜ永山家の子供達の名前を組み合わせると、それより後に生まれた主人公の名前に一致するのかがイマイチ謎。主人公の父は永山家を避けていたらしいし、その子たちにあやかって娘の名前をつけたとも考えにくい。 そもそも中国東北部の馬賊の話に結びつけねばならなかった理由もよく分かりませんが、もしかしたら赤川次郎の父が満州映画の人間だったことに関係してるのかしら?勇猛な馬賊の生き様を憧憬することで、卑怯なスパイの暗躍する国際社会を風刺したのかもしれませんが、この映画の観客にはまったく伝わらないだろうと思います(笑)。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-30 13:40:02)
178.  横道世之介 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。若いタレントを魅力的に見せる青春映画としては、じつにオーソドックスな作りで良く出来ている。2時間40分というのはずいぶん長いけれど、冗長だと感じるのは最初の30分ぐらいで、それ以降はむしろいつまででも見てられる感じになってくる。 この映画がユニークなのは、時制が前後することによって、物語の結末が途中で分かってしまうこと。しかもその結末は、主人公と関わりの深い友人や家族によってではなく、主人公ともっとも関わりの薄かった女性(伊藤歩)によって知らされる。それによって、この映画の伝えたいことが「結末」ではなく「過程」なのだということを観客は認識する。そして、それは映画の終盤にではなく、むしろ映画の全編にみなぎっているのだということを観客は理解します。 要するに、この映画の主題は「横道世之介の人生を愛でること」と「80年代へのノスタルジー」なのですけど、たとえば「セーラー服と機関銃」や「時をかける少女」が、いまなお若手女優を愛でるためのフォーマットとしてリメイクされ続けているように、この作品も、若手の男性俳優を愛でるためのフォーマットとしてリメイクできる余地があります。今回の高良健吾の起用が(べつに失敗ではないだろうけど)最善の選択だったかどうかは分からない。たとえば池松壮亮や柄本佑が世之介役だったとしても、それなりに成立しただろうな…という想像はできてしまうし、あまりにイケメンすぎる役者だと、ただの「リア充」に見えてしまうので、むしろイケてない俳優を起用したほうが、かえって愛おしさは増すだろうという気もします。 実際、この映画では、高良健吾よりも吉高由里子の輝きのほうが上回って見えてしまうという面は否めない。 長い映画にもかかわらず評価が高いのは偉いですけど、このサイトの平均点はちょっと高すぎなのでは? 6点台で十分でしょ。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-29 14:03:26)
179.  プラダを着た悪魔 《ネタバレ》 
原作は読んでいませんが、映画を見るかぎり『ファウスト』の女性版ではないかと思います。ゲーテが、魂を悪魔に売りわたして全能になろうとする男を描いて文明社会に警鐘を鳴らしたように、この映画は、人間としての魂をファッションに売りわたして全能になろうとする女性たちを描いています。そのことによって大切なものを失うとしても。ちなみに、ここでのスタンリー・トゥッチは、メフィストフェレスの役回りです。 ゲーテが『ファウスト』を書いた後も、科学技術などに自分の魂を売りわたそうとする人々は後を絶たなかったように、この映画を見てもなお、プラダに魂を売り渡そうとする女性は、おそらく後を絶たないはずです。むしろ、この映画自体がそのような「誘惑」に満ち満ちていますし、「お洒落こそが最大のコミュニケーションツールであり、お洒落になりさえすれば女性は全能になれるのだ」というメッセージで観客を啓蒙しているようにさえ見える。 プラダを身に纏って全能な女性になれるなら、魂のひとつやふたつ売り渡したって構わないと思う人のほうがきっと多いでしょう。そのためなら多少のパワハラだって受け入れるという女性さえいるかもしれません。それどころか、すっかりフィクションを真に受けて、メリル・ストリープばりに部下へのパワハラを行使する人や、上司のバカげた無理難題に応えることが仕事の成功なのだと信じる人もいるかもしれません。ゲーテの時代には男性しか全能になれなかったけれど、現代ならば女性でも全能になれるのだから、それはかえって喜ぶべきことじゃないかと考える人もいるでしょう。 一般に、この作品は、ひとりの女性がどんどんお洒落になっていく「シンデレラストーリー」だと理解されていますし、制作側も、そのように受け止められることを織り込み済みのはずです。この物語のなかに、ゲーテのような「批評性」を見出すことは可能なのだけれど、ほとんどの観客にはそんなことは伝わるはずもなく、たんなるエンタテインメントとして消費され、場合によっては「サクセスストーリー」だと誤解されるのです。制作側は、それすらも計算ずくで作っている。その意味では、とてもしたたかな映画だと思います。  「今までのアシスタントで最も失望させられた。そしてアンドレアを雇わなかったら大馬鹿者」 最後にアンドレアが面接へ訪れた出版社に、ミランダが送っていた矛盾に満ちたメッセージです。ミランダは、これを「悪魔」と「人間」の2つの視点で書いています。彼女は、「悪魔」としては大いに失望させられたけれど、「人間」としてはそれが正しいのだと知っている。自分は「悪魔」の道から抜け出せなかったけれど、アンドレアは「人間」の心を取り戻した。そして、アンドレアのような人こそがジャーナリストにふさわしいと言うのです。このメッセージを読み上げた面接官は「最高の言葉だ」と言います。 このシーンを描くことによって、映画自体が、そのようなジャーナリスティックな観点で作られていることを告げています。
[地上波(字幕)] 6点(2020-10-17 11:54:52)(良:2票)
180.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
すでに内容を知っている観客をターゲットにしているのかもしれませんが、そうでない者には、前半部分のスピーディーな推理についていくのは、ほとんど不可能です。誰が誰だか分からないし、どんなアリバイがあって、どんな謎に直面しているのか、ひとつひとつ整理しながら理解するのは難しい。ただゴージャスな映像の美しさと、上流階級の会話の雰囲気を、ぼんやりと味わうだけが精一杯でした。 その反面、後半になると、人種も国籍も違う乗客たちが、なぜかみんなアームストロング家に関係しているという不自然な事実が分かるので、もはやその時点で犯人探しの面白みは消えてしまいます。きっと共犯なのだという結論が先に見えてしまう。 では、この物語のどこに面白さがあるかと言えば、乗客らがこぞって私刑を実行するにいたった「動機」が明かされていくところであり、それによってポワロ自身の「善悪の観念」が崩れていくところであり、それによって「人種や国民性に対する偏見」が無化して、逆にユニバーサルな視点へ達してしまうところなのだと思います。 とはいえ、前半部分のチンプンカンプンな謎解きに費やした時間があまりにも徒労に思えてしまって、最後に充実感を得るほどのカタルシスはありませんでした。
[地上波(字幕)] 6点(2020-10-04 10:26:18)
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