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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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161.  彼奴(きやつ)は顔役だ! 《ネタバレ》 
ジェームズ・ギャグニーという役者は悪党を演じていても、最初に煙草を分けてくれたように、どこか気の良い優しい男にも見えるので、無償の愛を与え続けながら落ちぶれてゆく様は同情してしまうくらい不憫です(女も、助けを求めに来るのはともかく幸福な家庭に招き入れるのは可哀相じゃないか!)。もちろんナレーションをかぶせ時代が進んで行く度に、ギャグニーが少しずつ暴力性を増しヤクザな男へと変貌を遂げていくところは、軽快に物語を進めており説得力もあるのですが、ボガートが登場してしまうと、その悪党っぷりから比べれば、やはりどうして好漢に見えるのです(銃に関してもギャグニーの場合は基本、脅しの道具ですがボガートが持つと殺しの道具となる)。だからこそ余計に、あのラストに背中を撃たれ雪の舗道を疾走しながら絶命していくギャグニーの姿は、あまりに哀しく感動的であり涙腺にグッとくるものがあります。  惚れてしまった方が弱いのは仕方ないんですが、涙もんのギャグニーの男っぷりとラストランを見たら、彼女の心もほんの、ほんの少しばかりは動かせただろうか(当然、ギャグニーにはそんな打算もなかったのだけど)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-01 18:13:54)
162.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
デ・シーカ監督は自転車だけで「自転車泥棒」を撮りましたが、本作もたった一つの物〝靴〟だけで物語を成立させたばかりか、サスペンスも喜劇も感動も盛り込んで豊かに物語ってしまったのが凄いところです。  例えば、片方の靴が水路で流されていくシーンなど下手なサスペンス映画など比べものにならないくらいドキドキ感がありますし、3等狙いという喜劇的な制約がかかったマラソン大会ではスローモーションが始まった瞬間、これはどうあがいても3等にはなれないんだなと予感をさせ、すると懸命に走るスローモーション姿が何だか妙に可笑しくなってくるのです(頑張って走ってるんだ笑っちゃイカン)。 しかし、最も素晴らしいのは兄妹による靴のリレーで、お互いを想い、パタパタパタパタ路地裏を全力で走る姿はそれだけで感動的です。お父さんの自転車に靴が積んであった時、どれだけ〝あぁ良かったねぇ〟と思ったことか。それにあの少年の泣きそうな顔は反則だと思います。 
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-06-23 18:33:32)(良:2票)
163.  太陽は、ぼくの瞳 《ネタバレ》 
テロップに声だけで始まるオープニングは、これは視覚の無い者の物語だと思わせるものであり、作中でも音をよくとらえ、風や水などでモハマド少年が体感しているであろう感覚をしっかりと見せてくれます。…しかしながら、目の見えない者の心の目で見た世界を映し出すのは土台無理な話で、少年の頭に描いている世界を描出しているとは言い難いです。ということで、やっぱりこれは少年を見守る視点からの作品であり、例えば少年が気付くはずのない〝物陰から覗く父親〟の登場のさせ方などが非常に巧みで、観客に不吉さを予感させるものであり、物語にズンズンと引き込まれてしまいます。  個人的には、モハマドたちが授業で点字をうつ姿がとってもパワフルで感動的だと思いますが、「運動靴と赤い金魚」とは違った、あのラストのスローモーションの使い方はあまり上手くいってないように思います。ああいう場面は一気に見せてほしいです(それは父親に一瞬たりとも躊躇してほしくなかったと思ったからかもしれませんが)。 
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-06-15 18:35:47)
164.  化石の森(1936) 《ネタバレ》 
一言で言ってしまえば、これは饒舌すぎます。立て籠もりというシチュエーションにもかかわらず、人質たちは余裕しゃくしゃくでほぼ痴話喧嘩のような会話をするので緊張感が希薄になっていますし、いつもギャングを演じれば文句無しに悪党に見えるボガートのその寡黙さが、ここでは善に見えてしまいます。さも得意げに詩をそらんじ田舎の純な娘を口説くレスリー・ハワードよりも、早く逃亡すべき所をおそらくやっては来ない情婦を黙々と待ち続けるボガートの方が好感が持て、いくら前屈みの姿勢で腕を振らずに獣じみた歩き方をしてみても、もはやそれすら純朴な男の動きにしか見えず、悪党として機能していないのです。  またラストの銃撃戦も監督はこのシーンに興味が無かったのか、いいかげんです。例えば裏口でボギーの子分が射殺されるのですが、それまで裏口は一度も?登場しておらず全く別の場所での出来事のような印象を受けるのです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-06-08 18:35:00)
165.  追跡(1947)
運命的で因果な物語はギリシャ神話のような悲劇ですので、全編を通して暗い映像が基調であり、孤独感や陰鬱な空気が漂っています(家族がオルゴールで歌う楽しいシーンですらどこか暗い)。自身の出生について悩み続けるロバート・ミッチャムも決して笑顔を見せず精神的な屈折を感じさせますし、例えば出征の際に義兄弟とハグをしないところなどからも、完全に兄弟になりきれず一線が引かれているようで重いものがあります。しかしそんな籠った世界の一方で、ディーン・ジャガー演じるグラント一味(グラントの不気味さも良い)がミッチャムを追って来るシーンの切り立った岩山の高さであるとか、義兄弟の銃撃戦で見せる奥行きの深さであるとかは非常に開けており、ウォルシュ監督のまさに縦横無尽の働きっぷりがうかがえます。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-05 18:38:17)(良:1票)
166.  お早よう 《ネタバレ》 
住宅地の一画の何でもない日常生活風景なのですが奇妙な魅力を秘めており、それぞれの人物の登場させ方も絶妙で押し売りコンビまでもが完璧に出入りしています(押し売りを撃退するおばあちゃんが一番凄い!)。またオナラという下品なギャグも、返事と違えて奥さんが「何だい?」とやって来たり、干したパンツを旗のようにさわやかに見せたりと、品を損なわずにカマしてみせるところなども流石です。  それから「アイラブユー」と軽く言ってのける弟の存在がとっても効いており、本来ならもっと陰惨になる親子喧嘩などのシーンも弟の存在が柔らかい印象を与えてくれて、河原におひつを持って行ってご飯を食べるシーンなど、何とも気分が良いものです。ラストの駅で「良いお天気ですね」などと無意味な会話から恋愛が発展しそうなオチ?もくすりとしてしまいます。
[ビデオ(邦画)] 9点(2009-06-02 18:33:02)
167.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
本作といい「ダ・ヴィンチ・コード」といい説明すべき事柄が多過ぎる為、こんな事を言っては元も子もないのですが、ダン・ブラウンの小説は映画化には不向きなのだと思います。…という原作の細部と比較するのはやめにしても、サスペンス映画として頂けません。謎解きのための彫刻を何の工夫もなしに義務的に映し出し、ほとんどの場面でけたたましいBGMによる緊張感の水増しをしています。それから私にはヴィットリアを演じた女優さんの魅力の無さはちょっと酷過ぎやしないかと思えてしまいますし(おそらく個人の趣味の問題を越えている)、監督の魅力的に見せようという配慮も欠けており、例えば貴重な文献を躊躇なしにビリっと破いてしまう快活さをもっと活かせなかったのかなと。 そんな中で良かったのはユアン・マクレガーですね。もはや危険な優男が当然になってしまったエドワード・ノートンよりも、純粋な少年ぽさを感じさせるマクレガーの方がより危うく面白いです。彼が初登場する時は、しっかり暗い影がさし、この聡明なカメルレンゴはただの善良な人物ではないことを暗示させています。
[映画館(字幕)] 5点(2009-05-27 18:24:36)(良:2票)
168.  レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ 《ネタバレ》 
まるでサイレント作品のように僅かな字幕で状況を説明し、台詞など無くとも通用してしまいそうな所は凄いですし、ひもじい思いをしてもこの巡業に参加したくなってしまうほど魅力的なロードムービーなのですが、鉄格子から突き出た髪とか、棺桶から突き出たトンガリとか、追っかけて来る妙な奴とかの一連のギャグは、映画としては少々動きに乏しい感じがします。ただそれでも、レニングラード・カウボーイズが演奏する曲と歌は、どこの観客にも白けられるのが意外や意外なくらい強烈な印象を残すものであり、個人的には最初に売り込みに失敗したロシアの歌?がお気に入りで、見終わった後もしばらく勝手に頭の中でガンガン演奏されるのでした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-05-22 18:43:28)
169.  ビッグ・トレイル(1930) 《ネタバレ》 
とにもかくにも群集が大移動して行く感じと、その困難さが良く出ています。崖から馬車を降ろすであるとか、川を渡るであるとか、砂漠や雨や雪のシーンもしっかり用意されていて盛沢山な内容です。そんな中でも最大の見所はやはりシャイアン族の襲撃シーンでしょう。数多くの馬車でグルっと円陣の防御壁を作り、その周りをシャイアン族が駆け回る。俯瞰でその様子をとらえているのですが砂煙が舞い上がり壮大な迫力のあるシーンになっています。  また、個人個人の銃撃戦もそれぞれ抜かりなくちゃんと見せてくれますし、初主演のジョン・ウェインも根っからのスターであり、若い時分から既に魅力的です。それから忘れてはならないシーンがもう一つ…それはヒーローとヒロインの最初の出会いのシーンです。ジョン・ウェインが人違いでキスをしてしまうということが観客にはあらかじめ察しが付くのですが(キスの仕方も良い)、これは二人が運命的に結ばれることを予見させるシーンでもあり、この後いくら喧嘩がはじまっても二人の愛が成就することを確信させてくれるもので、あれこそロマンティックというのだと思います。ウォルシュ監督は他の作品でも度々、いがみ合いながら距離を縮めていく男女を描いており、監督にとっては喧嘩とは仲良くなる為にするものなのかもしれません。 
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-19 18:09:31)(良:1票)
170.  ガルシアの首 《ネタバレ》 
グリンゴ(アメリカ人)の殺し屋コンビが、廃車と見紛うオンボロの車に乗って追って来るガルシアの家族たちを一掃してしまうシーンの過激さはどうでしょう。ガルシア一家とは対照的にピシッと上品そうに決めていながら、コートの下から突然マシンガンをぶっ放すあの野蛮さが強烈に頭に焼き付きます。 もちろん、でっかいサングラスをかけたウォーレン・オーツがとことん格好よいですし、女が泣く姿もまるで聖女のように美しいですし、時折まざるスローモーションもことごとくバッチリ決まっています。…個人的にはスローモーションというのは、ほとんどの場合において滑稽に見えてしまい間の抜けた印象しか受けないのですが、ペキンパーが使うと凄く良いものに見えてしまうのですから不思議です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-15 18:40:16)
171.  大列車強盗(1903) 《ネタバレ》 
はじめに“train robbery”という題名が出るので、列車を襲うんだと事前に分かるのですが、題名が出ずとも最初の室内のシーンで窓から列車が走ってくる様子をしっかり見せているので、なるほど、これからあれを襲撃するわけだと納得させてくれるところが素晴らしいです。 初期映画で列車と言えば、リュミエールの「列車の到着」を思い起こしますが、あの映画のように観客の方へ向かってくる列車も映していれば、もっと迫力が出て躍動感にも満ちていたかもしれません。しかし、画面の向こう側へと走って行く列車は逃走をイメージさせるものでもあります。また、同じく「列車の到着」は観客が危険を感じて逃げたという伝説がありますが、本作の観客に向けて発砲するラストも当然そういった効果を期待して撮ったようであり、監督の茶目っけが感じられるシーンです。 
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-12 18:09:32)(良:1票)
172.  ダージリン急行
しょうもない兄弟のしょうもない親睦会を見せられている感じなのですが、それがなかなかどうして可笑しい。予定表がありながらも行き当たりばったりで、移動している感じがするのもいかにもロードムービーであり、三人兄弟と一緒に旅をしたくなってしまいます。そして全編を通して脱力気味であるにもかかわらず、随所で意外なまでに躍動感に満ちていますし、何度か使われるスローモーションも面白く、久しぶりに良いスローモーションを見たという感じです。・・・ただ残念?なのは、これの一番面白い所は冒頭に登場する本編とは何の関係もないビル・マーレーのシーンだったりするところです。…何の関係もないついでにもう一つ、三人兄弟のなかで最も男前なオーウェン・ウィルソンは包帯グルグル巻きで顔を隠していますが、彼は現在、プロ野球の巨人に在籍しているグライシンガーにソックリですね。いやぁただ誰かに伝えたかっただけなんです。ごめんなさい。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-08 18:34:41)(笑:1票)
173.  デッドエンド(1937) 《ネタバレ》 
これはほぼ街の一角だけで物語ってしまっているのが面白いところです。大都市ニューヨークの高層ビル群が高みから映り、そのままカメラが下に降りていくと貧民街となり、いかにも貧しい悪ガキたちがたむろしている。そしてそこから見上げれば金持ちたちがパーティをしている…。ドア一枚を挟んで別世界が展開される社会を見事に表現しています。 本作はギャングだヒーローだというよりも住む世界そのものを描いていて、格好良い人物というのは不在です。例えば、正義漢のようなジョエル・マクリーも育ちの良い女に目移りし浮気していますし、ボギーにしても悪としてのクールさなどとは無縁で、帰郷を母親にすら歓迎されず、昔馴染みの女のエピソードも酷なもので、ラストには高い所へ登って行き当然の如く落下し貧民街の地べたで息絶えてしまう物悲しさです(この時の銃撃戦も素晴らしい)。ただ、強いて言えばヒロインは存在していて、常に弟の見方をするシルヴィア・シドニーの優しさはこの世界の唯一の救いであり、あどけなさの残る表情が美しくとても魅力的です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-01 18:46:13)(良:1票)
174.  転々 《ネタバレ》 
主役二人をはじめドラ息子の石原良純さんまでキャスティングが良いですし、思わず吹いてしまう台詞が随所に散りばめられているのも面白いですし、カレーと雑に束ねられた一万円も別れの伏線として効いていますが…散歩の映画であるのに移動があまり感じられないのは問題だとおもいます(スーパーの三人組の方がよっぽど移動している)。その原因はおそらく時間の流れと擬似家族描写にあって、スタートした初日は日が暮れていったし常に歩いていたのに途中からすぐに夜になってしまいますし、ロード・ムービーではなくホームドラマに切り替わってしまうのです。そうすると奇妙な可笑しさは失せてしまい、例えばジェットコースターで昔に遡った映像を挿むところなど、やり過ぎていて面白くないなぁと思ってしまいます。 ただ、あまり本編とは関係ありませんが、岸部一徳さんの弁当シーンや、麻生久美子さんとハイテンションな吉高由里子さんが振り向く瞬間はとても魅力的だと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2009-04-27 18:14:20)(良:1票)
175.  遠い太鼓 《ネタバレ》 
フロリダの大自然の美しさをカラーでしっかり収めるというのも、一つのテーマだったのだと思いますが…どうもあまり上手くいっていないシーンの方が多い気がします。特に最初の方はウォルシュ監督はどうかしてしまったのか?と思ってしまうほど頂けないです。良いのは、同監督同年製作の「艦長ホレーショ」と同じくロマンスのシーンだったりします。二人が惹かれ合う展開というのがいささか乱暴であり、憶測で物を言えば未開の地で生活する日照り状態のところへグラマラスなブロンド女が登場すれば、空腹感を満たす為に近寄ったんじゃないかと思えてしまうのですが、そんな強引な成り行きも至極当然に見せてしまう余裕っぷりには恐れ入ります。そんな意味でもこれは王道を行く娯楽作品であり、唯一ドキドキさせてくれるクーパーの息子の消息ですら、少なくとも中尉の剣が手渡されるまでは死ぬはずがないと、どこかしら安心感を与えてくれるのです。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-21 18:07:40)
176.  市民ケーン
まず作品を観てビックリ、オーソン・ウェルズ二十代半ばで撮ったデビュー作という事実を知って二度ビックリ。写真に収められた他社の新聞記者たちが自社の記者として動き出した頃にはすっかり楽しくなり夢中になってしまいました。オーソン・ウェルズについて彼はおそらく天才なのであろうと思える作品。
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-04-14 18:19:51)
177.  ダーウィン・アワード 《ネタバレ》 
人間の突拍子も無い発想から生まれるダーウィン的事故を見聞していくのですが、その〝目線〟が工夫されています。たまにわざわざドキュメンタリー男のカメラの枠を画面に表示させ、観客の目線をドキュメンタリー男のものと同化させているのです。ドキュメンタリー男の姿は画面に映りませんし、時にその存在も無かったもののように扱われますので、あたかも神の目線の如く、人間の奇妙な行動を観察するダーウィン的なファインズを観察するのです。・・・ところが、途中からこのドキュメンタリー男のカメラを構えた姿がチラチラと映し出され始めます。〝あらら、おかしいぞ、神様の姿は見えないはずだろ?〟と思っていましたら、最後の最後でドキュメンタリー男がダーウィン的行動をして画面にもろにインしてくるのです。まるで雲の上から下りて来るように屋上からファインズの位置まで落下してきます。つまりアホな連中だなと思って見ていたら自分もダーウィン的人物の仲間だったというわけです。神の目線は事件の真相を映し出していた固定カメラの方だったのです。当初はハンディカムで撮ってドキュメ風なんて安易でお粗末すぎやしないか?と思っていましたが、見事な仕掛けでした。と言う事で、素敵なダーウィン的人類に幸あれ!
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-14 18:18:56)(良:2票)
178.  ハイ・シエラ 《ネタバレ》 
己の身より約束を優先するボガードの男っぷり。高みへ高みへと上りまっ逆さまに落下する呆気ない無惨さ…というこれは男の映画であるのですが、同時に女の映画でもあります。純情な娘とあばずれ女との対比。求婚されれば恋人がいると泣き出し、脚が完治すれば踊りまわる娘は残酷なまでに無垢。対して一度は頼った男を殴れないという女には不幸なまでの献身さを感じさせます。娘の脚が治った後、ボガードとこの女二人が対面するシーンが良いです。怪しげな恋人と踊りはしゃぐ娘は今までの純朴な描写と異なるからか、その喜ぶ姿は当然であるのにどこか退廃的なものを感じさせます。そしていけ好かない恋人に凄むボガードの怖さと幻想が立ち消えた失望の姿。さらにそこへ乗り込まずにはいられない恋する女…。男と女と、その繊細な恋愛模様がこの一幕でバッチリ描かれています。 それから凄いのは犬の使い方、抜群です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-14 18:14:55)
179.  バグダッドの盗賊(1924)
豪華絢爛な美術が凄いのですが、特に宮殿をはじめとする世界の広大さを感じさせるところが圧巻です。それは一つに恐ろしく高い天井が鍵になっていて、例えば怪物の口のようなデカイ門であるとか、外に見える月が画面の中央あたりに位置している宮殿の部屋であるとか、その他にも行く先々で縦を使って空間を見せることによって、どこまでも上に突き抜けて行く際限の無い解放感を生み出し、この世界を壮大なものにしています。近年のスペクタクル映画ではこのような構図があまり見られないのですが、スケールを大きくしたいのならば本作をもっと手本にすべきとすら思います。  それから主人公を演じるフェアバンクスの軽快な身のこなしが素晴らしく、画面に映えています。機敏だからこそ王女に惚れた後の体の重さまでもが際立っていて、恋の苦しみが痛いほど伝わってきます。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-14 18:13:00)(良:1票)
180.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
Part1と比べて明かにつまらなくなってしまったと感じたのですが、それは海上戦闘シーンの表情の乏しさや、キーとなる風の演出や火のスペクタクルの面白味の無さ(1ではあんなに巧く軍旗を使っていたのに)、1でほとんど出し切ってしまったのか個々の人物たちの魅力が発揮されなくなってしまったところによるものだと思います。 良かったのは小喬と曹操で、特に小喬を演じるリン・チーリンが今回も素晴らしく、例えば曹操に茶を立てようとするシーンの妖艶さや、勝機が見え始めた戦場を見て泣く姿がとことん美しいです。曹操に関してはジョン・ウー監督は撮っているうちに曹操が一番楽しくなってしまったのではないかと思えるほどで、1では周瑜が特別な存在として描かれていたのに、その対象が曹操へと移行し、例えば裏切り者を罰するため霧の中に姿を現すシーンであるとか、ラストの幽霊のような神出鬼没ぶりはもはやこの世の者ではない印象を与えるのです。 ・・・それから「三国志」好きの観点から一つ、逃げ帰ってしまう劉備の人物像についてはあれで良かったと思います。周囲が〝義理だ〟〝誇りだ〟〝命は惜しまぬ〟だのとアツーイ漢どもなので、撤退する劉備は情けなく裏切り者のように見えるかもしれませんが、尚香の友人で作中随一の好漢である蹴鞠の一般兵が死んでしまう姿が悲しく映し出されるのを見れば分かるように、最後には戦争の惨さを物語っているのです。格好良いこと言っている裏では犠牲者が大勢でているのだぞと。つまり劉備は常に真の弱者の味方だという事なのだと思います。将たる者は〝義〟や〝名誉〟等の男の甘美なロマンなどに陶酔してばかりいてはならんのです。
[映画館(字幕)] 6点(2009-04-13 18:23:42)
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