161. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 面白いんだからしょうがない。 絶対死なない。絶対ハッピーエンド。絶対善人。これのどこが悪いんじゃ。 が、場合によっちゃ悪いに決まってるけどね、でもこの映画は良いの。 [DVD(吹替)] 7点(2010-04-04 18:52:51) |
162. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 2009年に見た映画の中でダントツに面白かった。確かにグラン・トリノの方がグッとくる物は大きかったが、唸らされ度はこちらの方が高く実に甲乙つけがたい。 この作品のベースになっているのは実話とのことで、実話がここまで面白くなるには相当に見せ方が巧くないとこういう感想にはならない。本当の話にストーリーが乗っかってくるとどうもお話の部分と本当の部分がかみ合わなくなってくることがある。ストーリーとして進もうとする展開と実話の部分は一致してるが、プロットと実話が明らかに違う場合、受け手がどちらをとるかで印象が揺れる。 チェンジリングでは、プロットが実話よりもずっと整理されているが、整理された部分は実話を知るものであれば、何らかの感情的補完が必ず生まれるように作られている形跡があり、その計算高さには並の映画ではとうてい太刀打ちできない周到さが感じられた。 そういう話を独特の雰囲気でスピーディに完璧に表現する、監督イーストウッドという映画職人が存在するということがたまらなくウレシい。 [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2010-04-04 18:13:57) |
163. 舞妓Haaaan!!!
《ネタバレ》 序盤はグッと引き込まれるのだが、可笑しく見せるその高度な技法を物語に活かす方法論がすぽっと抜けている。そういうところが無念極まりない。 一つ一つの小ネタは宮藤官九郎然として、いちいち笑わせられ痛快ですらあるけれど、2時間をそれだけで過ごすんであればお笑いのライブの方が優れているのはいうまでもなく、物語も多少は楽しみたいから映画を見ようと思うという受け手のことを意図的になかったことにしてる感じが不愉快だった。 何となく、新しい形態の映画を作ろうとしている感じがする。でも、新しいものを作ることをなぜか第一義にしているようで、それ以外の概念が置き去りか。しかし、笑いで新しいものを作ろうとするには手垢が付き過ぎなやり方ではないかと思った。 この映画としては、共感する人間もそれなりに多いのではないかということを見越して、わざわざ宮藤官九郎ファン以外のお客を無視しているようだ。私は宮藤官九郎大好き人間だが、彼がそういう製品の脚本だけを書くようになってきているような、なんだかおかしな方向性に向かっているんじゃないかみたいな印象をもった。あまりよくはないような気がする。 [地上波(邦画)] 4点(2010-03-22 23:31:31) |
164. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 なかなか面白いのだが、2008年ってこれよりアカデミー作品賞的な映画って何本もあったような気がする・・・。例えば、同時期に上映していたグラン・トリノとかチェンジリングなんてスラムドッグ$ミリオネアよりも確実に作品の完成度は上だった。チェンジリングのプロットの練られ度は段違いだったと思う。 が、アカデミー賞に選ばれるということは2008年の他作品にない何かがあった。ということだろう。この年のノミネート作品はそもそも派手な傾向があったから、そういう年だった。という風にもとれる。王道的なアカデミック作品でない、というところで言えばそういう感じだ。どことなくアジア映画っぽく感じられるようにわざとアジア調(調、というところがミソか)にしてあるあたりが好感を得たのだろうか。よく分からん受賞作だ。 でも、冒頭の逃げ場のないサスペンス感が取調室に移り一瞬で甘口になってしまったのは惜しい感じがするし、後半のユルさは妙な安心感さえある。作品としてこじんまりしてしまっているような気がする。とはいえ生い立ちの中の出来事がたまたまそのままクイズの答えだったという以上の展開は、21世紀のハリウッドのプロ脚本家でも考えつかないのだから仕方がないのかもしれない。 予告編でふくらんだあの絶体絶命な感じと、逃げ場のない鬱感と、針に糸を通すような正着へのギリギリの駆け引きがありそうな予感。そういうものが一切含まれていなかったことにむしろ驚いた。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-03-09 00:53:10) |
165. ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ
映画を見るようになってから間もない人が見るような類の映画か。そういう意味でもしかしたら面白いと感じる人もいると思う。 が、さすがにこの手の映画をいくつも見てると、開始後すぐにオチのパターンがすべて類推できてしまうのはいただけなかった。どのパターンに行くかハラハラするような作りならまるで問題ないが、一直線であのオチだったからガッカリ。 高額な俳優を使ってこれはもったいなさ過ぎるというか、予算が出たから使い切りました的な至極アメリカ的(日本的とも)な作った人の都合が見え隠れするのがよくない。とはいえ、それら捨て鉢の上にいくつかの名品が生まれるとするんであれば全く気にはならない。 やっぱり本作は、キングでもないのにキングネタを扱い、さらにはキングオチまでやってしまうと言う乱暴さがいただけなかった。キング映画と比較すると、ちょっと格調があるのもまずいし、俳優選びがまじめすぎるし、想像の余地もありすぎた。そういう意味で、どっしり構えて「どうせクソ映だろ?」と見ることができない。それが落胆を生む。 [DVD(字幕)] 4点(2010-03-06 12:46:34) |
166. 呪怨 (2003)
そこそこいけてしまった。 そうか?そうなのか?この映画って全然怖くないの?私はビビりまくってしまったし、布団の中とかシャンプー中とか不安になりまくったりした。このシリーズではハリウッド版の方が話が何となく良かったから日本劇場版は一つ印象が負ける感じだが、十分怖かった。 ホラー映画に耐性がないと、こうも怖いのかとおののいた。10年近く前になるのか。ハリウッド版をみてこの映画やOVA版、続編をみて、さらに他の日本製ホラーをいくつか試したがやはり呪怨が一番不愉快な気味の悪さが良い。良かあないけど。 ホラー慣れしていなければ結構いけるんじゃないかと思う。 [DVD(邦画)] 6点(2010-03-03 00:02:30) |
167. フォーガットン
《ネタバレ》 前半のストーリーは結構ワクワクさせられた。唐突に湧く疑念とか、かなりつかみが良い。この手の話で、政府陰謀ルート、主人公だけ狂ってるルートとその逆、パラレルワールドとの自身入れ替えルートなどを想像してかなりドキドキと楽しんだのだった。 がしかし、一番やってはいけないルートを堂々と選んでいるのには驚いた。21世紀の映画でだ。まさか90年代のオカルトブームや世紀末ブームが忘れられている21世紀にハリウッドが、 エイリアンが普通の人を誘拐して実験をしたいと主張する映画を作ってくる とは毛ほどにも思わなかった。 というわけで、このコケ様はスゴい。レンタル開始早々に見た本作は、心の中にそっとしまわれていた。が、このコケ様ときたら誰かに言わなければならない、突然思い出した。 鬼中尉だったゲイリー・シニーズのイメージはZ級映画の精神科医になったんだなと思っていたが、直後彼は鮮やかにマック・テイラーになっていた。完全にフォーガットンだ。 [DVD(字幕)] 3点(2010-02-28 13:51:11) |
168. エミリー・ローズ
《ネタバレ》 ホラーではないが、気味の悪さというものが巧く作用している。 法廷という理論や実証が支配すると思われていながらそれそのものに矛盾を持つ場で、オカルトという本来存在しえないが、その存在し得ないことの証明が実は難しいという矛盾がじりじりと受け手を引きずり込む。 ストーリーは法廷劇として進むが、いくつかのプロットは異様な演出を伴っておどろおどろしい雰囲気を作り出している。そのイメージが法廷劇にまとわりつくからこその味わいだが、残念なことに法廷劇があまり好きではないこともあってこの新しい味わいをそれほどには楽しめなかった。 法廷ものとオカルトものが好きな人が見たらなら相当楽しめるだろうと思うが、ホラーファンがホラー映画と思って見始めたら、やっていることが違いすぎてほとんど楽しめないだろう。純格闘技マンガだと思って買ってきたものがヤンキーの喧嘩マンガだったくらいのショックを受けるだろう。 だが、意外といけちゃう人もいるんじゃないかとも思う。 [DVD(字幕)] 6点(2010-02-26 00:43:34) |
169. WATARIDORI
病院で手術を受けるため、メンドクセェなっておもいながら麻酔科の説明会が始まるまでの時間ではじめ見た。たいそうなパンフレットを渡されちょっとした恐怖心をあおる記述(自分とは関係なくても)が気持ちをダウンさせるなか否応なしに流れていたのが本作。 このときCGが使われているとか全然思っていなかったし、後日DVDのジャケットにCG一切なし的なコピーがあったことからCGが使われているかもしれないということには一切疑っていなかったが、そうか、そうなのか。CGが混ざっていたのか。意外。(無責任に未確認) けど、この映画。良い映画だったな。ドキュメンタリ好きには何時間でも見ていたい映像が延々とながれ解説まで入っている。それこそ何時間でも見ていたかったのだ。麻酔の説明が始まってしまうだろ!説明遅らせろ!つうか良いとこなんだから止めるんじゃない!と、小心者なので言えず。検索して邦題がWATARIDORIとわかった時には拳を握りしめた。 この映画はほんとうに良い作品だった。生き物が好きでドキュメンタリが好きならおそらく日本語ナレーション版のBDが出たら買ってしまうだろう。しかし映画ドキュメンタリでこの邦題だから何コーナーに置かれるか予測できない。セガールコーナーの隣にそっと置かれていたらきっと間違って買ってしまう人もいるのかもしれない。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-20 14:49:41) |
170. バーン・アフター・リーディング
《ネタバレ》 なかなか。ツボに入った。元工作員が書いたインチキ自伝小説を機密書類だと勘違いする微妙にアホな人たちと、それに振り回される微妙にアホな人たちが良い。スパイものの極秘指令のお約束をタイトルにしてて見たり、どこまで本気か分からない微妙さもまた良い。 微妙なアホさ加減に終始ニヤニヤさせられるが、その塩梅たるや練られまくった印象。ガイリッチーがやりそうなプロットだが、その演出やストーリーが全然違う。つまり同じような題材を使いつつ全然違う楽しみが込められていてなかなか良い。 なぜコーエンズがガイリッチー的世界観なのかというところはよく分からないが、まじめさにウケる。こう言う映画ならまず音や画で楽しませようとするような、自転車で追いかけるシーンやあのバキューンなシーンでさえこう言うアホが居るよな、な実在感で迫る。 それだけに予測不能な演出にプッの連続。さすがにバキューンでは大笑いしてしまったが、全員狂ってますな世界は妙に静かな可笑しさで楽しめた。そういうテンションが好き。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-02-17 23:52:11) |
171. わが教え子、ヒトラー
《ネタバレ》 なかなか面白かった。ドイツ製の質実剛健なヒューマンドラマかと思ったら、がっしりと作られたコメディだったりする。ドロッと黒い笑いに満ちていて、その黒さがまたクスクスッと笑わせる。 アメリカのコメディのように、ストレス発散的笑いはどこにもないが、隅々まで行き届いた揶揄にはニヤニヤとさせられる。例えば敬礼や、命令伝達の場面の温さはいかにも微妙な空気を生んでいて、画ならではのおかしさというのを味わえる。 話の筋はオーソドックスだが、それだけにこれが黒いコメディではないと気づかなかった場合、設定の緩さに何をやってる映画だかよく分からないという事態も引き起こすかもしれない。ドイツ製らしく、オーソドックスに、まじめに作り込まれているため、笑いもせずに笑いを作ったという雰囲気がまたおかしい。独特の間が好きだ。 [DVD(吹替)] 7点(2010-01-04 17:48:12) |
172. 夏至
《ネタバレ》 不倫不貞の話を面白く見られないので、そこでやや先入観丸出しで見始めてしまったが、雰囲気も合わず結構苦痛だった。 苦痛だったため、先入観が嫌悪感になって面白く見ることができなかった。いろんなところの評価が高いので、おそらく私の補完能力が劣るということなんだろう。だけどそれならそれでいいやと思える。 [DVD(字幕)] 3点(2010-01-04 14:42:01) |
173. ぐるりのこと。
《ネタバレ》 面白かった。 生活が壊れてしまった人たちの、そこからの人生っていうのは他人との関係がこうも微妙になって行ってしまうんだろうか。現実の人間が壊れたらもっと悲惨なのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 そんな人生の姿って言うのは、悲痛だったり冷静だったり、いい気味と思ったり、怒りだったり、いろんな感情を他人に与えるのかもしれない。冷笑を浮かべる人だっているかもしれない。そういう人生になってしまったらどういう風に生きていったら良いんだろう。 どうして良いか分からない。 そういう気持ちを心のどこかに抱える人ってどれだけ居るんだろう。どうして良いか分からない不安感や、行き詰まりをどういう風に解決したら良いんだろう。作中の夫婦には絶望感しか感じることが出来なかったが、次第に絵というよりどころを人生に組み込むことが出来るようになるその時は心が解けるようだった。よりどころとなる絵という業を持つ彼らには羨望さえ感じることができた。 何に向かわせればいいか分からない気持ちを、様々に巡らせたその後に残ったのは憂鬱でも爽快でもないが、何となく現実を上手に生きていきたいという気持ちに気づいた。 [DVD(邦画)] 8点(2010-01-03 22:10:29) |
174. ほしのこえ
《ネタバレ》 一人で作った・・・?すんんごいな、この人。 声優とかどうしたんだろいったい。その辺はよく分からないけどそういう人脈もきっとすんごい。 なぜか人型とか、エヴァンゲリオンみたいな生き物っぽい敵とか、とりあえず知ってるもので骨組みを作っていて、さらに男女関係の妄想を乗っけていくという作りには、組み合わせの妙っていうのかな、そういう巧さがある。 この話が大きな踏み台になって、いろいろなチャンスが舞い込んだだろう。ならロボットとか、SFっぽいギミックとかの出来があんまり良くない、その辺の日常で組み直しちゃえば?ってふと思ったら、そうか、それが秒速5センチなのか。 きっともう逢えないだろうっていう宿命というか、もっと冷酷に、逢えない事になっているというか。そういう絶望っていう物がラストに上手く仕掛けられてる。そこらへんの技術が凄い。結構うやむやなのに、見てる方が勝手にいろいろ考えることで勝手に見てる方が悲しくなっちゃうんだからたいしたもんだと思う。画の使い方とかだけじゃなくて不思議な間がある。それがなんだか分からないけどなんかあるんだろう、きっと。秒速5センチでリファインされてる。 さらにもう一回くらい、同じテーマで1時間くらいの短い映画が見たい気がする。どうしようもないくらいズキュンズキュン胸を痛めてみたい。 [DVD(邦画)] 6点(2009-12-31 02:38:59) |
175. アバター(2009)
《ネタバレ》 よもやこれほどの物が、これほどの質量で、これほどの記憶を残すとは。ビックリした。それ以外の言葉が思いつかない。 最初に言ってしまうと、昔の宮崎映画にインスパイアされてねえか?っていうシナリオには若干戸惑ったが、それは問題ないだろう。メタノールを金鉱だと思っているヨーロッパ人をターゲットにしてるんだろう、きっと。彼らにサトウキビ畑をどこに作るつもりなんだい、と説いているんだろう、きっと。そういうことにしてスルーしておく。だから日本人がいくらどこかで聞いたような話に感じても当人はそれほど気にならないんだろう、きっと。 といっても、もののけ以前のジブリのクラシック作品で自然保護を叫ぶ映画は、なんか思想的勘違いが入ってるし、そこを上手く練り直してくれてる。正直ありがたい。お話は似ていたらできが良い方が強い、発案者には価値がつく。それで良い。 特殊効果の表現だが、ちょっと待て。凄い。今まで、アクション映画はCGがリアルになってもT2初見の興奮を消し去ることはできないだろうと思っていた、が、今後はアバター初見の興奮を消し去ることはできないだろうという基準に変わった。 今まで観たCGIで、一番、圧倒的に、あり得ないほどリアル。広告やトレイラーを観たときは、生き物の(CG用語ではない)テクスチャが10年前に退化したな、タイタニックで時間止まってやがんな。位に思っていたが、それは一瞬で間違いだと分かった。そういう問題がどうでも良くなった。 モーションが今までのCGにはできなかったレベルで、物理法則が人間の頭では現実に見えるくらいのリアルさで迫ってくる。粒度や質量が、遠影が、実写じゃない人が、すべてが同じ密度に感じられてどこも浮いてない。背景がどう見ても実在し、オブジェクトが不気味なほどのリアルさで動いているということは、後にテクスチャを張り替えるだけで恐ろしいほどリアルな別バージョンを出すことができると言うことを意味する。明らかに意図的に嘘くさい生き物の質感には、そういう後出しじゃんけん商法を感じる。 実は楽しみだ。 [映画館(字幕)] 9点(2009-12-29 23:26:02) |
176. ドリームキャッチャー
《ネタバレ》 次々現れる伏線と、不安感をあおる設定。どのように収束するか全くの予測不能な展開。 それは宇宙人です 脳のずっと奥の方から、持ち上がってくるその言葉との戦いは困難を極めたが、無事に気づかなかったふりをすることができた。危ねえ。 キング映画なのに、おかしい。展開がスムーズでスリルまでありやがる、しかも広がっていく謎に不安が募るとき。そんなはずは無い、キング映画の伏線回収にそんな巧妙な技巧が使われる訳が無い。そんなときは十中八九 それは宇宙人 宇宙人ならどんなに複雑に絡んだ伏線も、「あっそっかぁ」だ。宇宙人ならどんなに説明が困難なトリックも「なるほどね!」。宇宙人ならいくら不可避な現実も「じゃぁだいじょうぶだね!」だ。 スゲェ。この映画の凄いところは、普通にサスペンスや恐怖ものとして最後まで作れば結構凄いところまでいけたような感じの着想なのに、わざわざ誰も思いつかない宇宙人オチを合体させてしまっている。 キングの凄いところは、見始めると一瞬で「ああ、これ宇宙人でしょ?」って分かる話を作るところではなく、一級のサスペンスホラーにZ級の宇宙人オチを合体させるその豪腕だ。普通なら一級のサスペンスホラーを考えたら、もったいなくて宇宙人に解決させることなんてできないはずだが、一瞬の躊躇もなく軽やかに「いやいや、これ宇宙人だから」と人間や人間世界のオカルト的なせめぎ合いをバッサリと、というか、気軽にヒョイッとゴミ箱につまんでドロップしてしまうようなその判断力。 やはりキング映画の魅力はただ事ではない。 [DVD(吹替)] 6点(2009-12-06 16:24:46)(笑:1票) |
177. ジェリーフィッシュ(2007)
《ネタバレ》 面白い。人に勧められなくもない。 想像が及ばない世界の、日常的ラブストーリー的な何かだろうと、ドサッとそろえたDVDの中に埋もれていたものを忘れた頃に観る。そういう中の1本だった。 だいたいそういう映画は観てみるとラブストーリーではなかったりする。時にはドキュメンタリだったりする。この映画もラブストーリーではない。だから、この映画を観たときの、「突然クビの後ろを触られてビクッとする」ようなヤメレよ的不意打ちではなく、「夏に買っておいたガリガリ君を冬に食ったら、それが当たってた」的な心くすぐる度は非常に心地が良かった。 日常をベースとして、物語がきちっと時間軸を狂わせることなく、3組のカップルと主人公と一人の女性たちが明確な接点を持たないまま、微妙な共通の上で虚ろさに悩む。こういった設定はアメリカやヨーロッパよりも、こういう中東とかアジアとか、そういう世界のベンダの方が得意なのかもしれないな、などとも思う。 不思議な少女の役割は決して明確ではないが、それは果たして主人公にとってのセラピーになったのだろうか、そのあたりをあからさまに表現しないあたりの繊細な力業は感服してしまう。すべての登場人物が、何らかの解答を得てそれに従うけれど、それが果たしてどういう未来を生むのかな、なんてぼんやりと考えられる味わいは秀逸。 また、日常を収めた画が非常に綺麗で、DVDが液晶テレビに映し出されるときの、不快なぼやけもなぜかそういう味かもね、という独特の雰囲気になっていた。もしかしたらブルーレイ(がでているかは知らないが)で観たら全然違う空気なのかもしれないが、作者も意図していないだろうその雰囲気に没頭することができた。 なんか得したな、そういう気持ちになれた。 [DVD(字幕)] 7点(2009-12-06 15:44:13) |
178. シークレット ウインドウ
《ネタバレ》 そこそこ面白い。 キング作品映画化大好きなワタシは、この作品、始まった瞬間「宇宙人」「妄想」「二重人格」に的を絞った。というか、普段これ以外の展開は無い。 と、言うわけで画面に現れる様々なヒントが中盤以降矢継ぎ早に出てくると、笑ってしまうのである。良い仕事してる。どう考えても妄想型の二重人格以外にはたどり着かないのに、今度は映画の方がひたすらとぼけ始める。この按配がたまらん。 キング映画の最大の醍醐味が始まると、いかにしてワタシは気づかなかったふりをするか、気づいてしまった自分との戦いが始まる。たぶん、キング映画とかキングサスペンスとかをまだ全然観たことがない小さな子供とか、キング映画を普段全く観ないそれなりに大きい子供がターゲットなんだろう。だから主役がジョニー・デップなのかもしれない。 それでも、キング映画が大好きだ。一瞬で違う話になっちゃうやっつけ感も、たまらない。良いじゃん、それで。というなんて言うか優しさみたいなのにあふれてる。 だからなのか、ショーシャンクやスタンドバイミーのようにガチな文学の方には少し距離感をおいてしまう。映画として、作品として、ストーリーとして違う人が原作なの?っていうくらいクオリティが違うのだが、こっちの何となく不完全な、ちゃんとしてないような、ずっとダラダラ観られるような、いわゆるキングな感じが好きだ。 [DVD(吹替)] 6点(2009-12-06 14:50:53) |
179. テキサス・チェーンソー
《ネタバレ》 テレビで夜中にやっていたのをたまたま見たんだが、そこそこ楽しめてしまった。 この映画に関する予備知識が全くなかったので、最初実録もののように眺めていた。しかしどうやら違うらしい。というかスプラッターじゃんこれ。と思った時にはもう遅かった。要するに主人公たちが生き残るのか死ぬのか、気になって気になって仕方がない。 しっかしセオリーお構いなしで死にますね。そのくせ最後は決闘してますし。新手と定石織り交ぜてきっちり片をつけて、さらにループ。うん、面白かった。 オリジナルがあるみたいだが、そもそもホラーが苦手なので見ないかもしれない。これより怖いとするとダメかもわからない。 [地上波(字幕)] 6点(2009-11-24 14:58:42) |
180. フォーン・ブース
《ネタバレ》 面白い。おすすめです。 短編小説のように詳述をさけ、一時間ちょっとの間に、ギュッと詰まったサスペンスをさあどうぞと提供してくれるのはとても便利ですね。よくできてます。 電話から出られなくなってからの小競り合いや、顛末までの流れもちょうど良いストレスを与えてくれるので、ラストのどんでん返しには参りましたね。こういうぼかし方があるかと。 真犯人の犯人像というものを想像すると、単に無関係というのではなく、最後の電話ボックスを盗聴することが日常であった男が、たまたま標的にしたということなんでしょう。その電話ボックスの利用者は、その網に掛かったら徹底的にマークされ、長い時間を掛けて狩られます。 この男のやっていることは要するに、自分だけに通用する正義なんでしょうが、そのテロリズムに付け狙われるヴァルネラビリティをその電話ボックスでたまたま披露してしまった主人公の運の悪さと、観客と犯人だけが真犯人を知っているが、永遠に生殺与奪のチャンスを窺われる気持ちの悪さという後味というのがまた良いのです。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-11-24 14:29:27)(良:2票) |