161. フォー・ルームス
《ネタバレ》 オムニバス好きのわたくしですが、これはつまらない一本でしたね。まず狂言まわし役のティム・ロスの過剰な演技が生理的に合わないんですから、どうしようもない。“タランティーノと仲間たち”といってもその後も活躍しているのはロドリゲスだけで、第一話と第二話の微妙さを見ればそれも納得です。 まああえて言えばロドリゲスの第三話がなんでも大げさに撮っちゃう彼らしさが良くて、後の『スパイ・キッズ』に繋がるところがあります。 と、貶しながらも実はこの映画では第一話が好きで、なぜかと言うとあの魔女たちのオッパイ見せながらやってくれる脱力系の踊りが、『死霊の盆踊り』みたいで自分にはストライクなんです(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-25 22:50:53) |
162. 真夜中のサバナ
《ネタバレ》 原作はアメリカではベストセラーのノン・フィクション小説なんだそうですが、映画化された本作はまったくノン・フィクションらしさがない、原作者が怒ったと言うのはそういう部分じゃないかと思います。この物語の主人公はサバナという町とそこに住む住人たちなのに、原作では第二部で語られてたケヴィン・スペイシーの裁判が映画ではメインに据えられているのでよくある法廷ミステリー映画になってしまったのが失敗でしょう。 サバナという所は、日本で言うと京都か金沢みたいな古都なんでしょうね。独自の文化を誇っている排他的な土地柄というわけです。そのサバナの実在の有名人であるレディー・シャブリなるオカマちゃんを出演させちゃったのが、やはり大失敗だったんじゃないでしょうか。だってスペイシーもキューザックも完全に喰われてしまってますもの、この素人に。 イーストウッドは真面目に丁寧に撮っているのは好感出来るのですが、この脚本ではどうしようもないところです。どうせベストセラーを映画化して原作者を怒らせるなら、『シャイニング』のキューブリックぐらい弾けて欲しいものです。そういう所はイーストウッドという人は固すぎるんだよなあ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-17 22:20:07) |
163. トータル・リコール(1990)
ジェリー・ゴールドスミス入魂の勇壮なテーマ音楽、出来の悪いアメコミの様なおバカなストーリー、不必要と思えるほどの人体破壊に走るグロ描写、となんか全体的にアンヴァランスなんですよね。『ロボコップ』を撮った後だから、ヴァーホーヴェンも確信犯だったんじゃないかな。『ロボコップ』と本作、そして『スターシップ・トゥルーパーズ』の三作は、その後のハリウッドSFに多大な影響を与えたヴァーホーヴェンの偉業だと私は思います(ちょっと褒めすぎかな)。 それにしてもシュワちゃんの拙い演技、ほとんどコメディですよ。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2012-08-11 23:12:14) |
164. 陰謀のセオリー
《ネタバレ》 まずキャスティング、実際の言動を考えると、陰謀論に取り付かれた様に見える主人公にメル・ギブソンを持ってきたのは、まず成功です。だってメル・ギブソン、陰謀論をほんとに信じていそうですから(笑)。しかしですね、ヒロインがジュリア・ロバーツってのは無駄に豪華なキャスティングの見本みたいな失敗です。彼女の現実味のない映画での行動は脚本のせいだからしょうがないけど、このキャラは花のある女優を使ってはいけません。 ストーリー・テリングも「虚実とり混ぜて」という風に引っ張っていくのが常道なのに、意外とあっさり黒幕を出しちゃって、しかもそれが薄いキャラだから嫌になっちゃいます。私の大好きな名曲"Can't Take My Eyes off of You"にしても、下手な使い方をされてしまって可哀そう。ジョエル・シルバー製作だから深みのあるお話しのはずもなくドンパチ・アクションを期待していましたが、その方面もびっくりするほどつまらなかった。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-06-08 22:39:32) |
165. ケープ・フィアー
《ネタバレ》 さすがスコセッシ、デ・ニーロとのコンビで『恐怖の岬』をリメイクするなんて、眼のつけどころがいいですねー。デ・ニーロのキ○ガイ演技はいろいろ観てきたけど、この映画のマックス・ケイディがいちばん凄いと自信を持って断言させていただきます。さかさまになってジュリエット・ルイスに電話をするシーンで見せるあの笑顔、これほど不気味な笑い方が出来る俳優はほかには絶対いない! オリジナルと同じバーナード・ハーマンのテーマを使っているけど雰囲気はだいぶ違っていて、とくに弁護士ボーデン親娘は三人とも脂ぎったキャラで全然共感できないようにしているところがスコセッシの芸が細かいところです。そしてペック、ミッチャム、バルサムといったオリジナルと同じ俳優が出てくるところがいいですね、やっぱこういうところにスコセッシのオリジナルと同じに対する敬意が感じられます。ミッチャムを善玉側、ペックを悪玉側と逆の配置にするなんてまた芸が細かいです。グレゴリー・ペックにとってはこれが最後の映画出演になりました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-26 23:01:00) |
166. アビス/完全版
《ネタバレ》 劇場版は観てないのですが、完全版はこれはこれで壮大なキャメロン節だと言うことは確かです。キャメロン版『未知との遭遇』ってわけですが、監督の理念とメッセージ自体はキャメロンの方が気宇壮大ではある。 ただこの映画は、深海アクションものだけとして十分成立する完成度であって、エイリアンのシークエンスになってくると特撮は別にしても急に陳腐になっちゃうのはどうしたことか。エド・ハリスがエイリアンのUFOの中でTV映像を見せられるシーンは、ちょっとセンスがなさ過ぎ、まさに「それをやっちゃあ、お終いだよ」でした。ラストの世界が大津波に襲われあわや滅亡かというシークエンスにいたっては、ほんとキャメロンの“Love&Peace”って底が浅いなと嘆かざるを得ませんでした。ほんとこれじゃあリュック・ベッソンの『フィフス・エレメント』と大差ありませんよ。原潜の沈没だってそもそもエイリアンが攻撃した様なものだし、それこそ劇中の誰かのセリフじゃないけど、「お前らにそこまで指図されたくないよ」です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-04-06 00:53:07) |
167. ショーガール
《ネタバレ》 下品、低能、おバカと普通の映画監督なら舌を噛み切って自殺しかねないぐらい世間から酷評されていますが、正直に言っちゃうと、自分はけっこう好きですね。最後まで成長しないビッチを絵に描いた様なヒロインとゲップどころか戻しそうなぐらい出てくるハダカのせいもあるけど、ストーリー自体はよく言えば普遍的、まあありきたりってわけで良くあるスポ根ものや不倫もの映画と大差はありません。そりゃヴァーホーヴェンは確信犯で、ベガスのショーに競争社会で勝者がすべてのアメリカを投影させているわけで、ひょっとして彼なりの女性賛美映画なのかもしれませんよ(ちょっと褒めすぎか)。この映画に出てくる男はどいつもこいつも爬虫類顔したお下劣な奴ばかりですけど、そんな中でロバート・ダヴィがけっこう爽やかな印象を残していたのが意外でした。 まあラジー賞総舐めというのは、私たちがある種のリスペクトを込めて『死霊の盆踊り』に0点をつけるのと同じ様なもんじゃないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-25 23:13:07)(良:1票) |
168. G.I.ジェーン
《ネタバレ》 リドリー・スコットが撮る現代ものアクション映画はみんな同じに観えるので困っちゃうのですが、その“リドリー・スコット節”の原点はこの映画なんでしょうね。まるで第三次世界大戦が始まるかのような大げさな音楽と緊迫感をあおる映像のオープニング、たかが女性士官が特殊部隊の訓練を受けるお話しなのに、そんなに力まなくても… これはリドリー・スコットの映画に共通することですが、彼の作品には驚くほどユーモア的要素がないんです。またこの映画に登場する上院議員やレズの女性士官が男性陣と比べて露骨に陰険でネガティヴなキャラなのを見ても、実は本作は反フェミニズム映画みたいな印象が残りました。まあスコットとデミ・ムーアも、そこら辺は深く考えないでこの映画に関わったと思いますがね(笑)。 軍隊の中であっても女性の能力はもっと別な分野で有効活用されるべきで、人殺しは男に任せておきなさい、というのがこの映画の教訓でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-10 19:38:35) |
169. スライディング・ドア
《ネタバレ》 パラレル・ワールドと思っていたら、実は死に瀕したヒロインの脳内妄想だったと言うオチは良く出来た脚本です。たしかに、「地下鉄に乗れた」という妄想世界のストーリーはまるでハーレー・クイン・ロマンスみたいなベタな展開で登場人物は善人ばかりでしたけど、こういうオチになるなら納得です。ふたつの世界を同時並行で観せてゆくので画面に映ったヒロインがどちらの世界の人なのか判りにくくなるものですが、そこをおでこに傷をつけて絆創膏を貼ったり髪をショートカットにしちゃったりと、なかなか細かい脚本上の工夫が功を奏しているのではないでしょうか。その分、ショートカットに始まりさまざまな髪型を見せたうえに髪の色まで変えるとは、もうグゥイネス・パルトロウ“ファン感謝DAY”状態で、彼女のファンには堪らないでしょう。男性キャストがどっちもイケメンじゃないところが製作側の意図としては「?」ですが、その分ヒロインのだめんず・うぉーかーぶりが強調される効果を狙ったのかな? まあジョン・リンチが演じた自称小説家のヒモ男ジェリーは、ヒュー・グラントをキャスティングするのが王道でしょう(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-02 23:25:39)(良:1票) |
170. 白い刻印
《ネタバレ》 人生がドツボにはまった男のあまりに暗く陰惨な物語で、ある意味、ここまで夢も希望もないストーリーを、ポール・シュレイダーよくぞ考えついたなと感心してしまいました。ニック・ノルティは“雪原のトラヴィス”というよりは、ただひたすら粗暴でイタイ性格の男でしかなく、そしてなかなか見事なバカっぷりです。なんせ人から聞いた話をすぐ信じ込んで自分の苦境を癒す妄想に走ってしまうんだから始末に負えない。そのきっかけは弟のウィレム・デフォーが造った様なもんだから、考えてみればこいつも罪な男です。ただどう考えてもデフォーのキャラはこの映画の脚本の大きな欠点ではないでしょうか。最初はモノローグだけで一時間もたたないと画面には登場しないし、なんか不必要な登場人物の様な気がしてなりません。子供のころの回想シーンで登場する弟がデフォーではなかったと判ったら、ますますこのシナリオに?が加わりました。ジェームズ・コバーンはこの映画でオスカー獲ったのですが、これは演技に対してというより功労賞的な意味あいが強いみたいですね。 まあとにかく、とても後味が悪い映画です。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-02-20 18:25:48) |
171. 娼婦ベロニカ
《ネタバレ》 “ベネティア版花魁一代記”といった風情ですが、国の権力者だけでなくフランス国王まで骨抜きにしちゃうところはさすがスケールがでかい。ベネティアの明るく陽気な娼婦文化は江戸時代の吉原に共通するところがあって興味深いところです。キャサリン・マコーマック、知性はともかく高級娼婦としての妖艶さには欠けるのでイマイチなのですが、かつての我がミューズ、ジャクリーン・ビゼットが母親役で久々の登場なのでそこは大満足です。ビゼットが娼婦の手ほどきをするシーンは、『プリティ・プリンセス』みたいで苦笑です。“永遠の恋人”はルーファス・シーウェルですが、この人が悪役じゃないなんて実に珍しいことです。彼の奥さんがナオミ・ワッツだけど、ちょっと観には彼女と判らないほどのブス・メイクは凄かったです。全体的に『プリティ・プリンセス』娼婦版みたいな軽い撮り方ですけど、ラストの裁判とその結末はなかなかイイ話しでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-12 18:41:24) |
172. プライベート・ソルジャー<TVM>
《ネタバレ》 TVMながらも並みの劇場映画をはるかに凌駕した、知られざる傑作戦争映画です。同時期に製作された『プライベート・ライアン』や『バンド・オブ・ブラザーズ』がレンジャー部隊や空挺部隊といったエリートの物語であるのとは対照的に、本作でとりあげられている師団は、兵卒も大半が徴兵されたばかりの普通の連中。主人公のマニングという兵士、ちょっと他の戦争映画ではみたことない様な卑劣で赤裸々な奴で、上官と取引して除隊の約束をさせるシーンで見せるニヤニヤ顔は人間の卑しい部分を見せられて強烈です。「ニタニタするな!」と大尉に怒鳴られるのも当然です。戦争では市街戦のつぎに兵士が嫌うのは森林戦だそうで、霧で視界が悪く地雷だらけの森で突撃させられるのは、ホント恐ろしさがひしひし伝わってくるシーンでした。冒頭で背負ってた戦友を途中で見捨てたマニングが、ラストは一度は見殺しにしようとした部下に背負われて死んでゆくのはなんという皮肉でしょうか。 [ビデオ(字幕)] 9点(2012-02-11 23:00:05)(良:1票) |
173. エスケープ・フロム・L.A.
《ネタバレ》 15年ぶりのスネーク・プリスケン復活を祝ってか、カメオ出演だけど前作よりも出演俳優が豪華になりましたね、これもカーペンター御大の人徳でしょうか。ロボコップも昭和のゴジラもシリーズが行き詰まってくると空を飛ばしたもんですが、さすがスネーク、二作目なのに惜しげもなく空を舞っていました(笑)。基本的には『ニューヨーク1997』のリメイクというかセルフ・パロディみたいなもんですが、ラストに世界文明をリセットさせちゃうなんてスネーク、お前カッコ良すぎだよ! あまりに安っぽいCGには参りましたけど、ピーター・フォンダに楽しそうにサーフィンさせたりして、カーペンターのおバカ・パワーが円熟した一篇です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-06 20:10:18) |
174. ボディ・バッグス
《ネタバレ》 いかにもTV映画として撮られたアンソロジーらしいエピソードばかりだけど、エロはないけどTV用とは思えないほどけっこうグロかったです。まあとにかく見どころは、リック・ベイカー謹製の特殊メイクに身を包んだカーペンター御大のホストぶりで、最後には解剖されてはらわたまで嬉々として見せるサービスです。薄毛に悩む男を襲う悲劇がテーマの第二話『ヘアー』なんか観ると、御大も実はリアルに自分の落武者あたまを気にしたんじゃないでしょうか(笑)。 [ビデオ(字幕)] 6点(2012-01-17 00:49:32) |
175. 恋するシャンソン
《ネタバレ》 ヒトラーに「パリは燃えているか!」と電話で怒鳴られたコルティッツ将軍が受話器を置くなり、“私が愛するものは二つ、祖国とパリの街♪”なんて女性の声で歌い出すオープニングは、予備知識なくて観てしまった人はきっと度肝を抜かれるでしょうね。私でも知ってる様なシャンソンのフレーズが数多く使われていますが、どのタイミングで歌がでてくるのか予測不可能なのが面白いところです。良くこれだけセリフにあったシャンソンを集めたなと感心してしまいます(それとも、集めたフレーズに合わせてストーリーを作ったのかな)。ジェーン・バーキンの出演シーンでは彼女のオリジナルの歌を使うなんて実にシャレてますね。これがかつて“世界一難解な映画を撮る男”だったアラン・レネの映画とは、まあ時代は変わるもんです。お話し自体は他愛のないもんですが、さすがレネの映画だけあってさりげないシーンにも彼の絶妙なテクニックが感じられます。 [ビデオ(字幕)] 7点(2012-01-10 00:49:39) |
176. 愛と精霊の家
イサベル・アジェンデの『精霊たちの家』の映画化ですが、彼女は73年のクーデターで殺害されたチリのアジェンデ大統領のいとこにあたり、原作小説もクーデターを織り込んだ70年間にわたるチリ現代史のサーガになっています。しかしこの映画では、舞台となっている国がチリであることを観客に理解させるセリフや描写が皆無なのがとっても不思議でした。 それにしても、ため息が出るほど豪華な出演者たちだこと! 全盛期を迎えていたジェレミー・アイアンズは、もう男の色気というかオーラがまぶしいくらいですし、メリル・ストリープとグレン・クローズの夢の共演(現在までこれ一度きり)とは何と贅沢なことでしょう。とくにグレン・クローズの演技は素晴らしく、彼女が霊となってメリル・ストリープたちの前に現れるシーンには思わず鳥肌が立ちました。ただ脚本が、南米文学に特有の「現実と超現実の境い目を超える壮大なホラ話」的な要素をばっさり削っているので、なんか壮大なメロドラマにしか観てもらえないのが残念です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-04 23:30:01) |
177. ニック・オブ・タイム
《ネタバレ》 ここまでノーガードで「さあ、突っ込んでください!」というプロットの映画も珍しいですよ。「劇中の経過時間をリアルタイムで見せる」という大事な仕掛けも、実際には1時間30分の出来事を1時間20分ぐらいの上映時間で描いているので、看板倒れもいいとこです。思うに、この脚本は本来メル・ブルックス調のドタバタコメディとして書かれたものを、何を勘違いしたのかマジなサスペンスで撮っちゃったんじゃないかな。ジョニー・デップが発砲して演説会場が大混乱になったところで、しびれを切らしたウォーケン以下悪人どもがマーシャ・メイスンに殺到してみんなで弾を撃ち込む、なんて展開はいかがでしょうか(笑)。 「やるな、俺の眼に狂いはなかった」というウォーケンのラストのセリフなど、コメディだったら大爆笑出来るんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-11-28 23:47:25) |
178. 8mm
《ネタバレ》 スナッフ・フィルムを観たがるのは絵に描いたような大富豪、撮るのはコテコテのビザール野郎ども、とまあなんの工夫もない直球勝負で来られても面白くもなんともない。使われる音楽はインド風というかアラブ風のエスニック系で、“スナッフフィルムのジム・ジャームッシュ”と呼ばれる監督はハリウッドの業界人ではなくNYが本拠地であるなど、製作者たちが深く考えずあざとくこの映画を撮っているのが良く判ると言うものでしょう。ラスト、“マシーン”が覆面をとって素顔を見せるところで観客にサプライズをぶつけれるとこの監督は思っていたのでしょうが、冗談じゃない、みーんなこの展開は読んでいましたよ。 思えばニコジーも、この映画あたりから芸歴の大迷走が始まった様な気がしますね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-09-19 22:11:58) |
179. 宇宙で最も複雑怪奇な交尾の儀式
《ネタバレ》 ロジャー・コーマンは海外から買い付けたクズ映画に勝手なアフレコを入れてアメリカ人向け娯楽映画をでっちあげてたそうですが、デヴィッド・ハイド・ピアースのナレーションがあまりに絶妙なのでこのコーマンの得意技を思い出してしまいました。このナレーションと“オス”と“メス”が結婚にいたるまでのクサイ芝居とのミスマッチ感がまた私のツボを刺激してくれます。“精子ネタ”はウディ・アレンの『SEXのすべて』(略称)のパクリの様な気もしますが、本作でも思いっきり笑わせてくれるのでOKです。“メス”を演じるナイス・バディのカーメン・エレクトラという人超絶的にダサい演技がこの映画にピッタリなんですが、なんとラジー賞のノミネート常連で受賞したことまであるリアル大根でした。そういやルーシー・リューも“メス”の友人役で出ていて大真面目な芝居を見せてくれますが、彼女にとって本作はふれて欲しくない恥ずかしい過去なんでしょうね。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-15 00:27:07) |
180. JFK
《ネタバレ》 自分は俗に言う「陰謀史観」というやつは鼻から相手にしないのですが、ケネディ暗殺だけはどう考えてもウォーレン委員会の公式発表はおかしいと思っています。オリヴァー・ストーンは「ケネディ暗殺が自分の青春を狂わせた」と信じているお方ですから、そりゃ私の様な半可通でもなっとくさせてくれる構成力というか力技で暗殺の陰謀を再現してくれました。でもその「虚実織り交ぜて」というのが曲者で、どこまでが事実でどこからがフィクションなのか判りにくいある意味「危ないプロパガンダ映画」としての側面も持っているのも事実です。ストーリーは後半クレイ・ショーという男の裁判が焦点になるんですが、こんな小物が有罪になってもどうケネディ暗殺の陰謀を暴くことになったのかが非常に判りにくい。もっともこの裁判シークエンスでのケヴィン・コスナーの論告は映画史に残る様な屈指の迫力で、最後の方なんかコスナーの声が喋り過ぎでかすれてくるぐらいですから。ストーンはこのシークエンスが撮りたいがために三時間もの長さの映画を製作した様なもんですけど、正直ぐいぐい引き込まれちゃって長さはあまり気になりませんでした。ラスト、ギャリソン親子三人が肩を並べて裁判所を出てゆくところをロングで捉えたショットは、『アンタッチャブル』を思い出させてくれました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-07-24 00:23:15) |