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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1880
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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161.  リトル・シングス 《ネタバレ》 
とある事件がきっかけで地方の保安官へと左遷された、かつての優秀な殺人課刑事ディーコン。正義感に燃えていたあのころの情熱などもはや涸れはて、今やその日を平穏にやり過ごすことだけを目的に生きていた。そんなある日、彼は上司からロサンゼルスまでの出張を頼まれる。すぐに終わる簡単な仕事のはずだった。だが、彼はそこで最近起こっている凶悪な連続殺人事件を捜査する若手刑事バクスターに声を掛けられる。懸命に捜査するものの犯人逮捕の糸口すら見出せないバクスターは、経験豊富な彼の意見を聞きたいというのだ。当初はしぶしぶ協力していたディーコンだったが、事件の概要を知るうちに過去に彼が追っていた未解決殺人事件との繋がりが明らかとなり……。若い女をさらっては拷問の末に殺害するという猟奇的な連続殺人事件の犯人を巡って、それぞれに追い詰められてゆく捜査員たちの苦悩を描いたサスペンススリラー。ベテラン俳優デンゼル・ワシントンと『ボヘミアン・ラプソディー』での熱演が記憶に新しいラミ・マレック、そして様々な作品で名バイプレイヤーとして活躍するジャレッド・レト。この三人のオスカー俳優が豪華共演ということで今回鑑賞してみました。しかも監督は、実話を基にしたお話で幾つもの佳品を手掛けてきたジョン・リー・ハンコック。これはもう観ないわけにはいきますまい。結果は……、ちょっと期待が高すぎたのか、正直イマイチな出来でしたね、これ。この監督らしからぬ、全体的な演出がちょっと雑な印象を受けてしまいました。まず、肝心の連続殺人事件の全体像が何とも掴みにくい。犯人が何処で誰を捕まえ、そしてどのように殺したのかが最後まで観てもよく分からない。なので犯人を懸命に追う主人公たちにいまいち感情移入できないんですよね。さらにはデンゼル・ワシントン演じる主人公の地方に左遷されるきっかけになった過去の出来事も最後までよく分からないまま終わっちゃいました。殺人事件の真相もすべて明らかにされず、心にモヤモヤしたものが残るという爽快感ゼロなラストも肩透かし感が半端ないですし。この重苦しいダークな世界観は凄く良かっただけに、この細部の演出の詰めの甘さが何とも残念。この監督ってやはり、実話を基にした映画じゃないとその実力を発揮できないんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 4点(2022-02-24 04:47:16)(良:1票)
162.  グリーンランド -地球最後の2日間- 《ネタバレ》 
地球のほぼ真横を通り過ぎる巨大彗星クラークの接近を控え、にわかに天体観測ブームで沸くアメリカ。糖尿病を患う一人息子を抱えた一級建築士のジョンもまたその一人だ。仲の良い友人や親戚たちを集め、そんな史上最大の天体ショーを自宅で楽しもうとした矢先、彼のスマホに謎のメッセージが届けられる。「これは大統領アラートだ。訓練ではない。この連絡がきたのは、地下シェルターへの避難を許された選抜者のみ。繰り返す、これは訓練ではない」――。その直後、州最大の大都市に彗星の破片と思われる巨大隕石が直撃するのだった。遠く離れた地であるジョンの自宅も爆風で激しく揺れ、何が何だか分からぬままパニックへと陥る近所の人々。すぐさまニュースで確認すると、これはアメリカだけではなく、世界各地の大都市も同じように隕石の直撃を受け壊滅してしまったらしい。すぐさま指示された空港へと向かうジョンとその家族。だが、そこでジョンは病気の息子は乗せられないと告げられてしまうのだった……。巨大彗星衝突により滅亡の危機にさらされてしまった世界を舞台に、決死の覚悟で生き延びようともがくある家族の姿を描いたパニック・アクション。主演を務めるのは、男臭い役柄がウリのジェラルド・バトラー。まぁ昔からよくある隕石衝突型のディザスター・ムービーなのですが、映像はそこそこ迫力があってけっこう楽しめました。本作のポイントは、これまで一個だった隕石が小さな破片が幾つも連なった彗星であるところ。おかげで隕石衝突の醍醐味が何度も味わえてお得感倍増。まあそれが予算の都合か、ほとんどテレビニュースの中の小さな場面でしか見られないのはご愛敬ですけどね(笑)。ただ、お話が最後までずっと一本調子だったのがちょっと物足りなかったかな。主人公家族が逃げて離れ離れになって暴徒に襲われてまた逃げて……の繰り返し。もう少し違うエピソードも見たかったような。こういうパニックものって基本群像劇になりがちなんですけど、本作もそうした方が良かったように僕は思いました。とはいえ最後の無数の隕石衝突の映像は迫力あったし、家族愛に絞った脚本もベタですけどそこそこよく出来ていたし、普通に面白かったです。少なくとも最近のローランド・エメリッヒ作品なんかよりは楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-24 04:36:41)
163.  ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 《ネタバレ》 
1960年代、公民権運動に揺れる激動のアメリカで、過激な黒人解放運動を展開した伝説的な政治結社「ブラックパンサー党」。暗殺されたその創始者マルコム・Xの後を継ぎ、自身も警察に殺害された指導者フレッド・ハンプトンの生涯を、組織に潜入捜査していたスパイの視点から描いた政治ドラマ。実話を基にしているということもあり、この全体を覆う圧倒的な熱量にはやられました。黒人の権利拡大を叫び自らの命を賭してまで活動を続ける党員たちと、政治には無頓着だったもののいつの間にか彼らに共感してゆくFBIの飼い犬潜入捜査員、彼らの鬼気迫るようなやり取りに最後まで釘付けです。特に、カリスマ的な指導者を演じたダニエル・カルーヤの熱演は素晴らしいものでした。聴衆をどんどんと熱狂させるアジテーションは観客さえも惹き込む熱気に帯びたもので、アカデミー賞受賞も納得の貫禄。と、制作者たちのこの事実を多くの人々に知ってもらいたいという情熱は確かに素晴らしいものでしたが、純粋に映画としての評価は正直微妙でした。事実を追うことに拘り過ぎたのか、ストーリーがちょっと分かりづらいところが多いんですよね、これ。しかも説明もあまりされないまま、ハンプトンが捕まったり、急に党本部で警察と激しい銃撃戦が始まったりと展開が急すぎてついていけなくなることもしばしば。潜入捜査物の醍醐味と言ってもいい、いつその正体が彼らにバレるのかというサスペンスももう少し盛り上げてほしかったところ。この驚きの事実を知れたという点で観てよかったとは思うのですが、映画としてはちょっと物足りなさが残る印象でした。それにしてもこの主人公の潜入捜査員が、それから何年も経ってテレビのインタビューを受け、それが放送された日に自ら命を絶ったというのは衝撃的ですね。それほどまでの傷を心に抱え込んでいたんでしょうか。人種差別問題の深い闇を改めて思い知らされました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-16 03:28:26)
164.  私をくいとめて 《ネタバレ》 
彼女の名は、黒田みつ子。今年で31歳になる、どこにでもいるような平凡なOLだ。何年も恋人と呼べるような人はおらず、都内のワンルームマンションでずっと独り暮らし、唯一の楽しみは週末ごとに一人で焼き肉やスイーツを満喫すること。そんなおひとりさま生活を送る彼女だったが、それでも全然寂しくはなかった。何故なら、みつ子の脳内には人生の指南役でもあり親友とも呼べる「A」が居るから――。一人でいるときは、ずっとその「A」との会話を楽しむみつ子。時には辛辣な言葉を言われたりもするけど、それでも彼女はそんな「A」との生活に満足していた。だが、ある日、彼女は重大な事実に気づいてしまう。それは会社の取引先の営業マンで近くに住む多田という青年が、もしかしたら好きかもしれないということ。これまでの平穏な生活が徐々に乱されてゆくのを感じたみつ子は「A」へと相談するもののどうにも埒が明かない。平和だけどどこか物足りないこれまでの生活か、傷つくかもしれないけれどそれでも新たな世界へ飛び込んでみるか。誰かこんな私をくいとめてと願いながらも、みつ子は徐々に暴走してゆく……。拗らせ女子の生態をポップ&キュートに描いた傑作『勝手にふるえてろ』の監督・原作コンビが再びタッグを組んで挑んだという本作、いやー、これが期待にたがわぬ素晴らしい出来でした。この監督のファンシーでポップでありながら、ちゃんと細部のリアルさにも手を抜かない拘りは相変わらずグッド!全編通じてあり得ない非日常な世界なのに、どこかリアルな日常を感じさせ、この主人公がとても身近な存在に思えてくるから不思議です。とはいえ、冷静に考えたらこの主人公はいわゆる統合失調症で専門医の診断を受けた方がいいんじゃないかとも思わせる絶妙な毒の効かせ方も、原作・綿矢りさならではの世界観。やはりこの二人のタッグは最強ですね!!それまでずっと声だけの存在だった「A」がみつ子の前に姿を現したときの、「ちょうどいい…」という彼女のセリフが個人的にめっちゃツボでした。階下の遊牧民のホーミーが最後、あんな形で活かされるとは思いもしなかったし(笑)。ただ『勝手にふるえてろ』と比べるとやはり長すぎて、中盤ちょっとだれてしまう部分もなきにしもあらずでしたが、僕は充分楽しめました。以下余談。段ボールで作った彼氏と妄想でいちゃいちゃする吉住のネタは、自分も最初見たときは衝撃的なくらい面白くて、さすがこの監督いいセンスしてると嬉しくなっちゃいました。ただ、あんな温泉の余興で老若男女にウケるようなネタじゃないと思うぞ(笑)。
[DVD(邦画)] 8点(2022-01-27 05:13:22)
165.  ミナリ 《ネタバレ》 
1980年代のアメリカ南部を舞台に、移民としてこの地にやって来た韓国系アメリカ人とその家族の苦難の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。ほとんどのセリフが韓国語でありながらアカデミー作品賞にノミネートされたということで今回鑑賞してみました。何が起こるわけでもない平凡な日々をただ淡々と描きながら、それでも最後まで見せきるのはこの監督の高度な演出力によるもの。破天荒なお祖母ちゃんや日曜は十字架を背負って町を歩く変わり者の農夫など、なかなか印象的な登場人物がたくさん出てくるのも魅力の一つでしょう。どこまでも夢を追い求める夫と家族の安寧を第一に考える妻の次第に擦れ違ってゆく心理描写も非常に丁寧で惹き込ませます。ただ、自分としてはいまいち嵌まらなかったです、これ。最後まであまりに地味で辛気臭いお話が延々と続き、観終わって僕はちょっとげんなりしちゃいましたわ。「これからも苦難の日々は続いてゆく」というラストも気が滅入るばかりで爽快感なんて欠片もありませんし。一つの作品としてその完成度の高さは認めますけれど、正直自分の好みではありませんでした。
[DVD(字幕)] 6点(2022-01-18 01:12:25)
166.  ゴジラvsコング 《ネタバレ》 
監督が変わるとここまで違うかというくらい、さっぱり面白くなかったでしゅ。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-07 00:45:19)
167.  プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵 《ネタバレ》 
1970年代、アパルトヘイトの嵐が吹き荒れていた時代の南アフリカ。政府のそんな理不尽な人種隔離政策に反発し、非合法な活動を続けていたある二人の白人青年が逮捕される。彼らの名は、ティム・ジェンキンとスティーブン・リー。裁判の結果は、それぞれ懲役12年と8年の実刑だった。判決は瞬く間に確定し、彼らは速やかに当時地獄と恐れられていた白人専用のプレトリア刑務所へと収監されるのだった――。だが、彼らはまだ諦めたわけではなかった。愛する者のためになんとしても脱獄しようと目論むティムが考えた驚きの方法。それは、刑務官が常に腰にぶら下げている鍵の形を暗記し、それを木で彫って複製しようというものだった。少しでも力を加えればすぐ折れるうえに、刑務所のドアを開けるためには外から差し込まなければならない。しかもそんな鍵が外に出るまでに10もあるのだった。無謀とも言える彼らの計画だったが、それでもティムとスティーブンは持ち前の執念と正義への情熱でもって少しずつ鍵を彫り続けてゆくのだが……。実話を基に、難攻不落とも言われた刑務所から決死の脱獄を図った二人の青年を描いたプリズン・サスペンス。主演を務めるのは、髭もじゃ顔がすっかりトレードマークとなったダニエル・ラドクリフ君。まぁいわゆる古典的な脱獄ものなのですが、本作の特徴はその脱獄の方法が木材で鍵のコピーを作ろうとするところ。しかも目で見ただけでその鍵の形を覚えようと言うのですからまさに無謀。そんな馬鹿な…と思わなくもないですが、この時代のしかも南アフリカですからこれくらいセキュリティが甘々だったのでしょうかね。これが実話じゃなかったら、「脚本家、テキトーに書きすぎ!」と途中で冷めていたところでしょう。とはいえ、脱獄のドラマだけに特化した本作は、その手のツボは押さえられていたのでけっこう楽しんで見れました。冷酷非道な刑務官にいつ見つかるか、彼らの計画がいつか露見するんじゃないのかと最後までハラハラドキドキの連続で目が離せなかったです。ただ、全体的な感想としては正直薄味。もう少し政治的な背景も描かれていればより深みが増しただろうけど、そこは敢えてバッサリ切っちゃったのは良かったのか悪かったのか。シンプルな脱獄ものとしては普通に面白かったんですけどね。
[DVD(字幕)] 7点(2022-01-02 04:55:50)
168.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 
海外旅行中のタイで事故に遭い、下半身不随の障碍を負ってしまった母親とその家族の苦難の日々を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。3人のかわいい盛りの子供たちにも恵まれ順風満帆の人生を送っていたのにいきなり、そんな失意のどん底へと落とされてしまう母親を演じるのはベテラン女優ナオミ・ワッツ。タイトルにペンギンとありますが本作にペンギンは一切出てこず、実際はペンギンと名付けられた小さなカササギが物語の鍵となります。内容は、そんな小さな一羽の鳥がこの壊れかけた家族の絆を再生してゆくという、まあ率直に言ってベタなもの。物語の前半、不慮の事故により一生車椅子生活を強いられることになってしまったこの母親のあまりにも自己中心的な姿に、僕はちょっと観たのを後悔してしまうくらい腹が立ってしまいました。いやいや確かにしんどいのは分かるけれどもあなたより大変な思いをしている人はごまんといるし、自分を献身的に支えてくれる夫も居るし何より3人のかわいい子供たちも居るのに、何をそんな自分が世界で一番かわいそうみたいな態度取ってんだよ!っていう、ね。そう思わせるほどナオミ・ワッツの演技力が素晴らしいんでしょうけれども。まあ「子供がトイレで吐いてるのに自分はもう駆けつけることも出来ない、母親として私もう終わってる」という言葉には、確かに心動かされるものがありましたけれど。でも、その家族の元へと迷い込んだカササギとの交流を通じてこの主人公が次第に前向きな気持ちを取り戻してゆくというのは、実話ということもあってなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。娘を思うあまり主人公に酷い言葉をはいてしまう母親の造形も何ともリアル。そして最後、色んなものを抱えながらもそれでも前を向いて生きてゆこうと決意する家族の姿には、素直にエールを送りたい気持ちにさせますね。ただ、最後にテロップで表示される「この母親はその後、カヤックで世界大会に出場し、障害者サーフィンで2度優勝した」との事実にはビックリ!え、そっちをメインで描くべきやったんじゃないの?(笑)。ここまでベタで行くなら、ペンギンとのエピソードはあくまでサブに抑えて、この失意のどん底にいた主人公がカヤックやサーフィンで世界へと羽ばたくというお話にした方がより面白くなったと思うんですけど……。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 17:05:48)
169.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 03:12:56)
170.  ムクドリ 《ネタバレ》 
生まれたばかりの赤ん坊を亡くしてしまった中年女性、リリー。以来、精神の不調から入退院を繰り返す夫を支えながら、近所のスーパーでパートとして働いていた彼女だったが、それでもふとした瞬間にどうしようもない悲しみに襲われるのだった。なんとか気分を変えようとリリーはある日、自宅の庭をガーデニングすることを思いつく。倉庫からスコップや鍬を取りだし、麦わら帽をかぶってこれから素敵なお庭を完成させようとした矢先、思いもよらぬ敵が彼女の前に立ち塞がるのだった。それは、一匹の小さなムクドリ――。庭で何かしようとするたびに自分のことを執拗に攻撃してくるそんな小さな闖入者に、いいように振り回されるリリー。ホームセンターでフクロウの置物や害獣用の駆除剤を手に入れ、なんとか撃退しようと目論むリリーだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、病院に入院していた夫の病状が悪化しているとの連絡が……。大切なものを亡くし失意の中に生きていた中年女性が、小さなムクドリとの攻防を通じて自らの過去と向き合う姿を描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは、何処にでもいるような平凡なおばちゃんを演じさせたら右に出るもののいないメリッサ・マッカーシー。彼女のナチュラルな演技は抜群の安定感で、そんなどうしようもない悲しみに暮れるパート主婦をリアルに演じております。基本暗くなりがちな内容なのに、最後までそこまで重苦しくならないのは彼女の持ち前の明るさによるところが大きい。アメリカ郊外のノスタルジックな映像とほのぼのとした音楽も観ていて心地よく、この悲しい物語をいい感じに中和している。なので最後まで気持ちよく観ることが出来ました。ただ、彼女と裏庭に棲み着いたムクドリとの肝心の攻防が物語としてイマイチ巧く効いていないのが僕的には物足りなくも感じちゃいました。もっとスラップスティックなドタバタに振り切るか、あくまでリアルに徹するか、どちらかにしてほしかったですね。そうすれば、後半に明かされるムクドリの習性ももっと活きてきたと思うのに。この監督の前作『ドリーム』でも感じた、暗く重い物語をあくまで明るいエンターテインメントでという作風は嫌いじゃないだけに何とも惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-06 05:03:00)
171.  トゥルーノース 《ネタバレ》 
実話を元に、今世紀初頭の北朝鮮で政治犯強制収容所に送られたとある少年の過酷な半生をフルCGで描いたアニメーション。監督が多くの脱北者から実際に聞いた話を元にしているため、非常に重く全編にわたって生々しいリアリティに溢れている。それまで普通に生活していた平凡な家族がある日突然、理由もわからぬまま捕らえられ極寒の地へと送られる。来る日も来る日も重労働を課せられ、配給される食料もごく僅か、しかも何か問題を起こせば過酷な拷問が待っている……。こんな酷いことが今もこの世界で続いていることに戦慄せざるをえません。それがピクサーのような明るいCGアニメで描かれているため、その重さが良い感じに中和され最後まで見やすくなっているのも新しい手法なのかもしれません。ただ、映画としての出来は正直「微妙」と言うのが僕の率直な感想。誤解を恐れずに言えば、そんな事実の重みに対してフィクションとしての物語が完全に負けてしまっている。お話がシンプルすぎるうえに演出もきわめてオーソドックスなため、物語としてはいまいち印象に残りにくいのだ。北朝鮮の強制収容所の実態を暴くのであればドキュメンタリーや再現VTRでいいわけだし、フィクションで勝負するならもっと見せ方を考えてほしかった。またCGアニメとして見ても、そのクオリティは恐ろしく低いと言わざるをえません。人物の顔などどれもモデリングで継ぎ接ぎしたのが丸わかりだし、その動きもカクカクしていてまるでCGが登場したころの初代プレステレベルでちょっとこれはきつい。今もなお苦しむ北朝鮮の人々の実態を世界に知らしめたいという、この監督の熱意には素直にエールを送りたいのですけどね。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-11-29 05:43:03)(良:1票)
172.  密航者 《ネタバレ》 
ここは、火星へと向かうために宇宙を航行する最新鋭の宇宙船。目的は、地球から持ってきた植物の種子を繁殖させ、不毛の地である火星を人が住めるような環境へと変えること。経験豊富な女性船長をはじめとする3人の乗組員は、2年後の火星到着を目指し順調に航行を進めていた。そんな矢先、彼らは予想だにしない事態に直面する。なんと空気濾過設備内に見知らぬ男が忍び込んで意識を失っていたのだ。しかも男のせいで設備に致命的な損傷が起こり、船内の酸素が火星到着まで持たないことが判明するのだった――。船内に積んでいた藻を繁殖させることでなんとか当面の酸素は確保したものの、計算してみると2年後の火星到着まではぎりぎり3人分しかない。意識を取り戻した当の〝密航者〟は、なぜ自分がこの宇宙船内に紛れ込んでいたのか記憶がないという。疑心暗鬼から次第に不穏な空気が漂い始める船内。ミッション遂行のため、仕方なく彼を「排除」しようと目論む船長だったが…。火星へと向かっていた宇宙船内で発見された密航者を巡り、そんな極限の選択を迫られる乗組員たちの葛藤を描いたSFドラマ。若手女優アナ・ケンドリックと実力派女優トニ・コレット共演ということで今回鑑賞してみました。率直に言って、さっぱり面白くなかったです、これ。SFなのにとにかく単調!!この黒人の密航者をどうするのかというただそれだけのお話が最後までダラダラ続き、僕はずっと眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。とにかく無駄なシーンやエピソードがてんこ盛り。普通に削っていけば一時間程度で終わるんじゃないかという薄っぺらいお話を無理やり2時間近くまで引き延ばしたような印象です。致命的なのは、この密航者がどうして宇宙船に忍び込んでいたのか最後まで一切明かさなかったところ。そこが物語として重要な鍵とちゃいますのん!密航者「どうしてこんなとこで寝てたのかさっぱり分からない」、乗務員「あ、そうですか。それは仕方ないですね」ってそんなアホな(笑)。また、宇宙空間を舞台にしているのにほとんど無重力の描写がないのも、恐らく予算の都合なんでしょうけど何とも不自然でした。最後のオチも後味が悪いだけで深みも何もあったもんじゃありません。久しぶりにこんなつまんない映画と出会ってしまいました。映像はちょこっとキレイだったので、ギリ4点!!
[インターネット(字幕)] 4点(2021-11-18 03:54:49)
173.  ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 《ネタバレ》 
離婚のショックから広場恐怖症を患い、以来狭い一軒家でずっと閉じこもって暮らす児童心理学者のアナ。愛する一人娘とも離れ離れとなってしまった彼女の唯一の心の慰め、それは向かいの家につい最近越してきた家族を夜な夜な覗き見ることだった。窓の隙間から双眼鏡を使い、そのラッセル家の赤裸々な日々をじっと見つめる歪な毎日。ラッセル家はそんなことなどつゆ知らず、彼女の元へと挨拶にやってくる。まるで初めて会ったかのように気さくに話し込むアナ。特に妻ジェーンとは夜中まで酒を酌み交わすほど意気投合するのだった。それでもアナは夜ごとカーテンの隙間から彼らの生活を覗き見ることを止められない。そんなある夜、アナは恐ろしい出来事を目撃してしまう――。なんとジェーンが夫との口論の末に刺し殺されてしまったのだ。動揺しながらも、すぐに警察へと通報するアナ。だが、ラッセル家を訪れた警察はそのような事実は確認できなかったと彼女に告げるのだった。さらには別の女性をジェーンだと言い張る夫も現れ、彼女の証言は誰にも信用されないまま警察は帰ってしまう。到底納得いかないアナは、部屋の中から独自に調査を開始する。ネットや電話を使い、夫の私生活を執拗に追ううちに彼こそが真犯人だという確信を深めてゆくアナ。ところが、彼女自身の心にも忘却の彼方へと押し込んでいた深い闇が潜んでいて……。引きこもりの孤独な中年女性がたまたま残虐な殺人事件を目撃したことによって、悪夢のような世界へと迷い込むサスペンス・スリラー。というなかなか古典的な設定の作品なのですが、何度もオスカーの栄誉に輝くジョー・ライト監督の作品ということで今回鑑賞。しかも同じくオスカー俳優のエイミー・アダムスとゲイリー・オールドマン、そしてジュリアン・ムーアが豪華共演というのですからこれは観ないわけにはいきますまい。この布陣からも分かる通り抜群の安定感で、最後までぐいぐい引き込ませる良質のエンタメ作品に仕上がっておりました。舞台はほとんどこの狭い家の中のみで登場人物も限られているのに手を変え品を変え、最後までこの緊張感を途切れさせずに見せきったのは素直に素晴らしい。ヒッチコック風の古典的なサスペンスでありながら、そこにSNSやGメールといった現代のアイテムをさりげなく盛り込む手腕もお見事。中盤に明かされる主人公の衝撃の過去もまぁベタではありますけども、エイミー・アダムスの真に迫った演技により惹き込ませます。肝心のことの真相が若干強引でしかも後味がいまいち良くないのが残念ではありましたけれど、僕は充分楽しめました。お薦めです。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-11-15 06:55:09)
174.  オキシジェン 《ネタバレ》 
人一人がなんとか横たわることが出来るような狭い密室である日、目覚めた一人の女。まるで棺桶のようなここには、高度な医療技術を備えた設備が整えられ、「ミロ」と名乗るAIが全てのシステムを管理していた。どうやら完全隔離された医療ポッドらしい。目覚めた女は断片的な記憶はあるものの、自分がなぜここに居るのか、なぜこのような事態に陥ってしまったのか、さらには自分の名前すら思い出せなくなっていた。「すぐにここから出して!」――。ミロにそう訴えるものの、ミロは「今はその時ではありません」と事務的に告げるだけで外部へのドアは固く閉ざされたまま。しかもポッド内の酸素残量はあと僅かしかなく、このままでは一時間もすれば窒息死すると冷徹に告げるのだった。あまりの事態に半狂乱になる女。酸素が底をつく前になんとか脱出しようと、微かな記憶だけを頼りに必死で解決法を探るのだったが……。手足を僅かばかり動かせるような狭い密室で目覚めた女の極限の恐怖を描いたサスペンス。一時期大量生産された、いわゆる密室系ソリッド・シチュエーション・スリラーの一種と言ってもいい本作、そんな期待せずに今回鑑賞してみました。だって『リミット』をはじめとするこのジャンルの映画にはさんざん苦い思いをさせられてきましたから。なのですが、僕のそんな先入観は良い意味で裏切られました。いや、なかなかの良作ですよ、これ。何が良いってまずはセンス溢れる美しい映像。ずっとこの医療ポッドの中だけで最後まで進むので物語としては単調になりがちなのだけど、青を基調としたスタイリッシュな映像がとにかくキレイでずっと見ていられます。時折挿入される回想シーンもノスタルジックで、現在の危機的状況との対比が巧く効いている。と、油断していたら、急に大量のネズミがポッド内に出現して、これがなかなか衝撃的でひえーっと思わず声に出しちゃいましたわ。この緩急のつけ方は見事というしかないですね。もう一つは、練られた脚本の力。主人公がポッド内の電話で警察と連絡を取るところから、「あー、これはきっと何処かのイカれた病院かサイコパスに地中に埋められたかだろうな」と思っていたら、途中でまさかの急展開!いや、そうくるかって感じです。そしてその真相はあまりに切ないもので、僕は思わず泣きそうになっちゃいましたわ。外の世界の映像があまりに美しく、より悲しみを倍増させます。自分だったらこんなの絶対耐えられないよ…。監督は『ピラニア3D』などのバカ映画を撮っていたかと思えば、急に『ルイの9番目の人生』というセンス溢れる良作を撮ったアレクサンドル・アジャ。この人のふり幅は相変わらず激しい。今回は良い方のアジャでした。最後の映像は個人的にはいらんかったと思うけど、低予算ながらなかなかの逸品でございました。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-11-15 05:22:20)(良:1票)
175.  ファーザー 《ネタバレ》 
ここは、ロンドンのとある平凡なマンションの一室。取り立てて豪華なわけでもないが、それでも一家族が過ごすには充分な広さを備えている。そこで暮らすのは妻に先立たれた孤独な老人、アンソニー。まだまだ足腰は健在で、日々の家事は問題なくこなせると自負している。それにずっと昔に独立した娘アンも頻繁に訪ねてきてくれ身の回りの世話を焼いてくれる。寂しいながらも、現役の頃と変わらぬ生活を今も続けている。そんなアンソニーだったが、最近自分でも認知機能が急速に衰え始めていると自覚せざるをえなかった。日々の記憶が曖昧になり、自分でも何をしていたのか分からなくなることもしばしば。そんな折、頼りの娘アンが恋人とともにパリに移住すると言い出すのだった――。代わりにアンが雇ったという介護人がやって来るのだが、アンソニーは赤の他人が自分の家にいることがどうにも落ち着かない。しかも自分の大切な時計がいつの間にか無くなっている。きっとあいつが盗んだに違いない。そう決めつけたアンソニーは、口論の末にその介護人を追い出してしまうのだった。血相を変えてやって来るアン。だが、いつの間にか家にはアンと結婚して10年になるという見知らぬ男が現れる。しかもアンは、自分はパリに移住なんかしないと言い出すうえに、ここは自分たち夫婦の家だと主張するのだった…。現実と妄想がどんどんと曖昧になってゆく、そんなとある認知症の老人を幻想的に描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めた名優アンソニー・ホプキンスはこの役で、アカデミー主演男優賞を史上最高齢となる83歳で受賞しております。観る前は何だか辛気臭そうな内容なのかなと思ったのですが、これがなかなか幻想の扱い方が非常に巧いシュルレアリスム劇の逸品に仕上がっておりました。娘婿と諍いをするディナーのシーンなど、気が付いたら冒頭へと戻っているところなどとても巧い。時間はずっと流れていたと思わせといて、最後の老人ホームへと収斂させてゆく展開も見事というほかない。過去と現在の境界が曖昧となり、娘をはじめ彼女の夫や介護人が全て誰が誰だが分からなくなる…。自分の認識がぼろぼろと崩れてゆく恐怖がひしひしと感じられ、もはやとても他人事とは思えません。認知症の人の頭の中ってきっとこうなんだろうなと思わせるだけの説得力が、ここにはある。A・ホプキンスの見事な熱演もそんな恐怖をますます増幅させ、より悲哀を深くさせますね。またこの監督の気品に満ちた映像センスも素晴らしく、過去と現代を繋ぐ見事な編集も相まって、とてもこれが映画デビュー作とは思えない気迫が感じられます。今回は認知症の老人というテーマでしたが、この監督の違う題材の作品も観てみたいと思わせるなかなかの良作でありました。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-11 01:52:09)
176.  私というパズル 《ネタバレ》 
赤ん坊を自宅出産した女性が、助産師のミスからか、産まれたばかりのその子供を死なせてしまい、以来激しい喪失感と罪悪感に苛まれる日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。見どころとなるのは、やはりなんといっても冒頭30分にも及ぶワンカットで撮られたリアルな出産シーンでしょう。不安や痛みがダイレクトに伝わってきて、まるで自分もその場で立ち会っているかのような緊張感が感じられました。このシーンは率直に見事というしかない。ただ、それ以降、映画はずっとこの子供を亡くした夫婦の苦悩の日々をひたすら淡々と描いてゆきます。アカデミー賞にノミネートされただけあって、主役を演じたヴァネッサ・カービーの熱演も真に迫っております。ただ、とにかく暗い!!正直自分はこういう後ろ向きな人々の激しい口論がひたすら続くような内容がかなり苦手です。いや、彼女たちの気持ちは分かるんですけどもう少し明るい内容というか、もっと希望を持てるような展開がないとちょっときついですね。もう気が滅入って仕方ありませんでした。病んだ妻に嫌気がさして浮気しちゃう夫も、余計なお世話を焼いてますます事態を拗らせちゃう身内も、誰も彼も全く好きになれませんし。きっと完成度は高いんでしょうけれど、自分はこういう内容は好きじゃないです。すんません。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-09 01:16:52)
177.  ケイト 《ネタバレ》 
大都会・東京の裏社会で暗躍する凄腕の殺し屋、カイト。引退を決意した彼女が最後に挑む任務をハードに描いたサスペンス・アクション。ハリウッド・スターのウディ・ハレルソンが出演し、日本からは海外でも活躍する浅野忠信や國村隼が出演しているということで今回鑑賞してみました。率直な感想を述べますと、まー、ダメな映画でしたね、これ。『96時間』風のシリアス路線でいきたいのか『ジョン・ウィック』風のコミカル路線でいきたいのか、最後まで軸がブレブレで何とも中途半端。「今時これはないだろ!!」っいうアメリカ人が思い描くトンデモ日本描写もまぁ狙ってやってるのは分かるんですけど、振り切れてないから全然笑えないし、マジで見る分には寒すぎる。冒頭のやくざに追われた主人公が公道から車を盗むシーンなんて、わざわざ一番ど派手なヤンキー車をチョイスするというバカっぷり。何度も繰り返されるブーンブーンレモンのくだりもしつこいうえに終始すべってましたし。クライマックスなんてグダグダでもう見れたもんじゃありません。完全なる実力派の無駄遣い映画でありました。トホホ。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-11-06 02:52:52)
178.  この茫漠たる荒野で 《ネタバレ》 
彼の名は、ジェファソン・キッド大尉。今は退役したものの南北戦争で戦ったかつての英雄だ。そんな彼の現在の職業は、〝ニュース屋〟。まだ通信技術も移動手段も限られていたこの時代に、普段新聞を読まない市井の人々のために全米各地を転々としながら日々の出来事や政治情勢を分かりやすく読み聞かせることを生業としている。今日もまた次の町へと向かうために荒野を旅していた彼は、途中10歳くらいの謎めいた少女と出会う。白人でありながら英語は話せず現地の民族服を着た彼女は、明らかにインディアンに連れ去られた子供だった。調べてみると、彼女の名はジョハンナ。6年前にインディアンによって家族を皆殺しにされて、そのまま部族の中で育てられたらしい。唯一の身寄りは、テキサス南部に暮らす叔父夫婦のみ。遠方へと出払ってしまった保安部隊の代わりに、地元当局から身内の元へと送り届けてほしいと頼まれた彼は、仕方なく彼女を連れて荒野へと旅立つのだった。だが、武器となるのは鳥撃ち用の貧弱な散弾銃だけ。そんな二人を当然、荒野の荒くれ者どもは見逃すわけもなく、執拗に付け狙い始める……。『キャプテン・フィリップス』のポール・グリーングラス監督と名優トム・ハンクスが再びタッグを組み、南北戦争後のアメリカを舞台に孤独な退役軍人と家族を皆殺しにされた少女との苦難の旅路を描いたロード・ムービー。主人公となるのが現役バリバリの英雄なんかじゃなく、今や老境へと差し掛かろうかという枯れたオヤジというのが本作のミソ。そんな圧倒的に弱い立場の二人の旅路は常にサスペンスフルで最後までハラハラドキドキの連続で目が離せません。特に中盤、少女を売春宿へと売り飛ばそうという無法者3人に荒野で追い詰められるシーンは、リアルで生々しくひりつくような緊張感に溢れた名シーンでした。それ以降も、豪族が支配する地方の村落でニュースの読み聞かせからのアジテーションで村民に暴動を起こさせて逃げようとするシーンは、名優トム・ハンクスの面目躍如といった素晴らしい熱演で見応え充分。そんな彼とタメをはる子役の女の子も、これが新人とは思えない堂々とした演技で全く負けておりません。最後のオチもベタながら、この茫漠とした世界の中で微かな希望を感じさせ、良い余韻を残してくれます。過酷な運命に見舞われた少女がこれから先、少しでも幸せになってほしいと祈らずにはいられないなかなかの逸品でありました。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-06 02:43:16)
179.  THE GUILTY ギルティ(2021) 《ネタバレ》 
ここは、ロサンゼルス各地からかかってくる911コールを一手に引き受ける緊急通報センター。自らのデスクで今日も業務にいそしむ彼の名は、ジョー・ベイラーだ。数日前に発生した大規模な山火事により、その日はいつもよりも通報が多くもう目が回るような忙しさだった。ようやく勤務が終わるというその時間に彼はある一本の通報を受ける。「私の名は、エミリー。今、元夫の車に拉致され何処かへと向かっている。私、このままじゃ殺される、お願い、助けて」――。明らかに切迫した彼女の悲痛な声に、ジョーは運転しているであろう夫に悟られないよう慎重に言葉をかける。警察と連携を取り、すぐさま発信元である高速道路へとパトカーを向かわせるジョー。ここで彼の仕事は終わったはずだった。だが、自らも幼い娘を抱える彼は、携帯の登録情報から彼女の実家へと電話を掛けてみる。電話に出たのはエミリーの幼い子供だった。詳しく話を訊いてみても、血だらけのママが父親に連れ去られたと泣き叫ぶだけ。さらにはまだ赤ん坊の弟までナイフで刺されて血だらけになっているという。どう考えても異常な事態。居ても立ってもいられなくなった彼は、現場の警察とは別に独自の行動を取るのだが……。緊急通報センターという閉じられた空間を舞台に、主人公であるオペレーターとあとは電話の向こうにいる幾人かの人々とのやり取りのみで描くという挑戦的なスタイルでスマッシュヒットを飛ばしたデンマーク製サスペンスをリメイクしたという本作、監督は男臭いエンタメを得意とするアントワン・フークワでしかも人気実力ともに今一番脂ののっているベテラン俳優ジェイク・ギレンホールが主演を務めております。ちなみに僕はオリジナルの方は鑑賞済みで、そのワンシチュエーションな設定ながら練られた脚本の力で最後まで見せきったなかなかの佳品だったので、今回楽しみに鑑賞してみました。結論を言うと、ほぼオリジナルに忠実なリメイクでしたね、これ。状況設定もお話の展開も最後のあっと驚くどんでん返しも。なので新たな驚きはなかったのですが、やはり見どころは主役を務め、ほぼ最後まで独り芝居を披露したジェイク・ギレンホールの熱演でしょう。オリジナルで主役を演じた方も決して悪くはなかったのですが、ハリウッドの第一線で子役の頃から何十年もキャリアを積んできた実力派はやはり違いますねぇ。最後までぐいぐい惹き込ませる素晴らしい熱演でした。特に最後、自らの過ちに気づいた彼の真に迫った表情には圧倒されるものがあります。新たに追加された山火事設定がいまいち活かされていなかったのがちょっと気になったけど、なかなか見応えのあるサスペンス・ドラマの逸品でありました。お薦めです。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-01 03:49:39)
180.  時の面影 《ネタバレ》 
第二次大戦前夜、イギリスの歴史を揺るがすような世紀の大発見をなしたとあるアマチュア考古学者と地主の未亡人との交流を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。ベテラン俳優レイフ・ファインズとキャリー・マリガンが豪華共演ということで今回鑑賞。丁寧な演出と確かな時代考証、そして全体に漂う気品に満ちた美しい雰囲気とで終始心地よく観ることが出来ました。主演俳優二人の抑制の効いた静かな熱演も素晴らしく、何より第二次大戦前夜のイギリスを覆っていたであろう不穏な空気を忠実に再現することに成功している。と、作品の世界観はなかなか素晴らしかったのですが、肝心のお話の方には僕はちょっと物足りないものを感じてしまいました。一言で表すなら、「ザ・事実の羅列」。色んなエピソードが並列的に描かれるのですが、軸となるお話が何とも弱い。学会から軽視され続けた異端学者の偉業達成、戦争によって夫を失った未亡人の苦悩、宇宙に憧れる少年の鬱屈した青春の日々、これらのいったいどれをメインに見ればいいのか最後まで分かりません。特に、リリー・ジェイムズ演じる助手研究員の不倫話は明らかに不要。彼女が出てきて二人の男とチュッチュチュッチュするたびに何だか白けた気分になっちゃいましたわ。いや、見たいのはそこじゃないですから。全体に漂うこのノスタルジックな雰囲気や、世紀の大発見の裏に隠された市井の人々の努力を現代に蘇らせたその着想などは大変良かっただけに、惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-10-22 05:17:31)
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