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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1861.  人のセックスを笑うな 《ネタバレ》 
長回しって、ある時間のかけがえのなさをその場の空気ごと捉えることもできるが、ちょっとの違いでただルーズにカメラを回しているようにも見える。見る側の気分に左右される要素が大きい。年上の女に、え? え? という感じで裸にされていく年下の男の子を捉えたりすると、その丁寧な言葉づかいもあいまって、とても充実した時間を封印できる。気まずさを描くのはこうするしかない、というように。でも空気マットを膨らませるところでは、緊張が抜けてみえた。たぶんこちらの気分の微妙な差なのだろう。長回しってほどではなかったが、バックする忍成の車の移動撮影なんか新鮮だった。一番よかったのは、だだっ広い畑の中のバス停のベンチの二人、その所在なげな感じをタップリ見せた後で男がバイクを反対方向に向け、とそこでカメラが突然向こうの反対側に移り、二人で乗って行くところを捉える。このカットつなぎの効果が生きるのも、前半の長さがあるからだろう。蒼井優・忍成修吾と『リリィ・シュシュ…』の顔が出てるが、あれも北関東で上映時間もほとんど同じ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-02-08 12:01:47)(良:1票)
1862.  のど自慢
『人のセックスを笑うな』は珍しい桐生ロケだったが、これも桐生であった。あっちには蒼井優・忍成修吾が出てるが、こっちには伊藤歩が出てる。みんな『リリィ・シュシュ…』の同窓生だ。あれっ、『リリィ・シュシュ』のロケもたしか北関東のどこかだったな。なにか北関東の空気って、どうだ、と“地方”を誇示するわけでもなく、もちろん卑屈さはかけらもなく、シャラッとしていて小気味よい。基本的に笑顔の似合わない女の子ってのが好きで、伊藤歩って似合わないでしょ、けっこう好きなの。でもこれは、暗い子が明るくなりました、って役柄で、笑顔になっちゃうんだ。でもまたそれもいいか(これで高校生演じた後で『リリィ…』で中学生演じたわけか)。予定調和的な話だけど、人前で、大観衆相手に、放送を通じて全国相手に歌う晴れがましさってのは、歌う楽しさの本質なのかも知れない、と思った。竹中直人は、葬儀の受付でただシミジミ泣いてたほうが笑いを取れた。
[映画館(邦画)] 6点(2009-02-07 12:18:05)
1863.  ムーラン(1998)
ディズニーアニメって、なにか壮大な変奏曲を聞かされ続けているようなところがあり、同じ定型の勇気のストーリーを趣向を変えて反復し続けている。歌も同じようなトーンに聞こえるし、小さい助っ人がだいたい登場する。そういった中では、本作は珍しい東洋味で、個性は強く出た。雪山のスペクタクル、白と黒の渋さがいい。都での襲撃、実は一番嬉しかったのは、屋根の上に悪漢が立つところで、ある種の懐かしさを感じた。なんだろう、この懐かしさは。子ども向けの活劇もので、よくこういうの見てたのかなあ。屋根の上に立つ怪人てのは実にまがまがしいものがある。なにかが取り憑いたって感じだろうか。ここが都の中心の宮殿で、下に人々が集まって見上げているという状況もいいんだろう。エンディングタイトルの中に、勇敢・決心・孝道・自重などと徳目があらわれるのが愉快。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-28 12:14:32)
1864.  そよかぜ
戦争終わって、さてなんか映画撮ろうというとき、軽音楽バンドの話にしよう、ってなった気分は分かる。あの戦争時の固い気分の正反対といったら軽音楽であろう。禁止されるちょっと前までは盛んだったわけだから、勝ったアメリカに迎合するというより、元に戻れたって感じ。上原謙がトランペット、佐野周二がトロンボーン、斎藤達雄がサックスという楽団。上原が「花も嵐も…」を吹く場面もある。照明係からスターになっていくという戦前パターンの踏襲も、とにかく元に戻れたって感じだ。けっきょく戦争の数年間が異常な時間で、昭和ヒトケタと戦後は気分としてつながっている。戦争を思い起こさせるものは壊れた橋が出るくらいで、中盤は戦災のなかった田舎に話が移る。都会の観客には、傷ついていない田舎の風景が希望に見えたのではないか、ちょっとの妬みも含んで。舞台で並木路子が「リンゴの唄」を歌うところ、「り~ん~ごの気持ちは~」ってとこで、テンポを落としてゆっくりになるのが、正調らしい。軽音楽の響きに、時代のホッとした気分が満ちている。まだアメリカの検閲や指導は本腰を入れてないころで、かなり正直な反映と思っていいだろう。人々はついに吹かなかった神風のかわりに、そよかぜを求めたわけだ(新聞の検閲が始まるのが10月9日、映画の検閲もそのころに始まったらしい。翌年になると佐々木監督が『はたちの青春』でキスシーンを入れるように情報局に強要されるまでにうるさくなる)。
[映画館(邦画)] 6点(2009-01-27 12:17:21)
1865.  シークレット/嵐の夜に 《ネタバレ》 
古典文学の偉大さは応用が利くということで、「リア王」の脇にスポットを当てればまた違うドラマが生まれ、しかし王の大きさはそのまま裏返されて残っているのが面白い。アメリカの農場を舞台にどう当てはめていくか、という、単純に見立ての面白さもある。ただ近親相姦話を持ち込んだために善悪がクッキリし過ぎてしまい、どちらが善でどちらが悪と割り切れない心理的な“合わなさ”を詰めたほうが面白かったようにも思う。また個人的な好みからすると、村の隣人たちとの交渉をもっとネチネチ見たかった。村人たちがふりかざす“正義”や“良識”の残酷さ、そういったものが“非人間的”なものを擁護してしまうシステムをあぶり出せたのではないか。追放とは、裏を返せば解放でもあるのだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-26 12:14:50)
1866.  ダイヤルM 《ネタバレ》 
クールビューティ系が苦手で、苦手って言っても嫌いってわけじゃなく、スクリーンから見つめられると、ついオロオロドギマギしてしまうの。グウィネス・パルトロウも分類すればクール系の顔立ちで、オロオロしてもいいんだけど、でもこの人はなんか口元あたりに、不似合いな幼さというか、いたずらっ子のようなあどけなさが残ってて、そこらへんクールになりきれないチャーミングさという独自の魅力になり、けっこう大丈夫なんだ。『セブン』のときはあんまり印象に残らなかったが、ジェーン・オースティンの『エマ』やったのが良かった。で、この映画だが、考えてみればこのパルトロウ、けっこうアホな役で、亭主にも愛人にもだまされてて、しかもミステリーではよくあるんだけど、密室で証拠突きつけて殺されそうになる。身の危険ということをよく考えて行動してもらいたい。でもそれも、あの口元の幼さがあるんで、仕方ないなあ、って感じで納得できなくもなく、グレース・ケリーとはまた別の味が出てたんじゃないか。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-24 12:18:08)
1867.  トゥヤーの結婚 《ネタバレ》 
なじみのない風土の物語のとき、どこまでがリアリズムでどこからが寓話なのか迷わされる。これ、別れた旦那を連れて再婚しようとするヒロインの話で、裁判所の人も驚いていたから異常な話は異常なんだろうけど、家族が労働力として第一に考えられるところでは、ある程度そういう異常の話も起こり得るという下地があるのか、それともまったく民話として考えればいいのか、迷わされた。登場する男がすべてヒロインを愛するあたり寓話性が強いようだけども、旦那が怪我で性的不能者になってることが話に複雑さを与えていて、一筋縄の民話では片づけられなくしてある。生活するとはこういうことか、というしみじみした納得が見ている間に訪れた。どこで立ち小便していいのか困るような広々としたところに道が長~く続いている色のない世界に、カラフルな衣裳と夜具で精一杯存在を主張している一家、ああここには確かに生活がある、と思う。なぜかやたらに人が負傷する映画であった。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-22 12:12:27)
1868.  銭形平次(1951) 《ネタバレ》 
活劇調ではなく、平次はひたすら推理する。最後は罠で引っかけるというのは、ちときたない。微罪の手下どもが毒薬で皆殺しにされてしまうのも気の毒であった。女房お静の長谷川裕見子のしょんぼりした場のみ、時代劇らしいしっとりとした味わいがあった。仕事に口出しするなと旦那に叱られて、酒買いに出ていくシーン。障子の影の使い方、外の路地の陰影などに、大映京都の手堅い仕事ぶり。女中役高森和子にも、こんなにかわいらしいときがあったのだ。「スタッフに松村禎三という名があったが、音楽ではなく美術であった」と見た日のメモに書き込まれている。
[映画館(邦画)] 6点(2009-01-19 09:09:41)
1869.  ヒトラーの贋札
「今日の銃殺より明日のガス」ってセリフは記憶に残るな。たとえそれが利敵行為と分かっていても、とりあえず今日の銃殺を避けようとするもんなあ。まして職人気質をくすぐられれば、歴史に残る贋札を作りたいと思っちゃう、そこらへんの「分かっちゃいるけどやめられない」の心理がナマナマしかった。『戦場にかける橋』で、つい捕虜たちが立派な橋を作りたくなった心理と同じだ。長期的な視点を持てないのではない、分かっちゃいるけど、現在の切迫がそちらの目を塞ぐのだ。歴史はこうしてクネクネと、理想へ直線的には動かないようにできてるのだな。ナチが悪役笑いするのには閉口。ナチの怖さは人格の卑しさから来るのではない。いたって有能な人物たちが、合理的思考に基づいてガス室の発明にまで至ったところにその怖さがある。この映画でだって、ユダヤ人の職工を使えば後始末が簡単、と合理的に考えるところが一番怖かった。よくナチと日本軍は同一視されるけど、どっちかって言うと対極にある。ナチは合理主義のバケモノ、日本は精神主義のバケモノだった。あっちは無駄を病的なまでに排斥する狂気、こっちは無駄が出れば出るほど気合いが入ると思い込んでいる狂気。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-17 12:09:46)(良:2票)
1870.  てんやわんや
はきはきした女性とウジウジした男の対比って、日本人が好んで描き続けた一つの型だが、とりわけこの戦後の時期を象徴しているみたい。それと、せわしなく変化する東京と保守的なものが残る地方の対比。この時期の地方を描くときって、石坂洋次郎ものでもそうだったが、残り続ける保守的なものを苦笑を持って見る、ってなスタンスだった、これが後の経済成長期になると、ノスタルジックな味を持ち批判性が薄れていく。淡島の床屋でのダンスレッスンシーンなどイキイキし、パチンコ台を使って何となくミュージカル的な気配も漂う。演説会のとき、川に馬が入る騒ぎのあたりの詩情に、すでにノスタルジックな味が感じられたのは、現在の目で見ているからだろうか。
[映画館(邦画)] 6点(2009-01-16 12:10:20)
1871.  獄門島(1949)
映画の中では誰もが「ゴクモンジマ」と発音していた。ついでに言うと“分鬼頭”は「ブンキトー」。これは同時代の物語だったのだ。引揚者のゴタゴタがまだ生々しかった時代。ラストに封建的なものへの批判が付いているのも、いかにもである。崑映画のノスタルジー的な味が入り込む余地がない。現実そのものだった。横溝ミステリーって、けっこう発表時ではリアリズムだったんだな。それにしても奇妙な気分である。崑作品のイメージが強いので、往年の名優たちによるリメイクを見ているような倒錯感。金田一が時代劇禁止中の片岡千恵蔵(いたってダンディ)。警部が大友柳太朗(何言ってんのかわかんない)。いい娘は三宅邦子で、島の警官が小杉勇、和尚が斎藤達雄、一番びっくりしたのは白痴三人娘の一人が千石規子だったことだ。やっぱりこの白痴三人娘はいいなあ。絢爛としたものが暗い風土の中を狂って駆け抜けていくってイメージは、横溝世界の芯であろう。海のギャングとの銃撃戦などで、壁に隠れてバキューンとピストルを撃つときの、片手で脇に低く構えたあの格好が懐かしい。実録やくざ映画あたりから、腰を落として両手で構えるリアリズムになってしまったが、昔の探偵はスタイル重視、反動もなんのその、片手でかっこよく撃っていたのだった。縁側のマムシを撃ったところでは場内が沸いた。犯人指摘の場で金田一が大笑いするのは、多羅尾伴内と混ざってる。
[映画館(邦画)] 6点(2009-01-14 12:18:37)
1872.  ミスト 《ネタバレ》 
どこかに立て籠もる話ってのがいたって好きなので、そこそこは楽しめた。以下不満。外に何かがいる気配で引っ張っていくのか、と思ってたら意外と早くタコ足が出てきて、そうか、実在する怪物の存在を周囲に信じてもらえない、っていう不安で引っ張る映画か、と思ったらそうでもなく、ポイントがなかなか定まらない。狂信家のモチーフが一番ユニークなところで、それならそうともっとはっきり中心に据えても良かったんじゃないか。でもそうだとすると、私たちの世界の外側に怪物たちの異世界が包み込んでいる、ってこの映画の発想がなんか旧約聖書的で、マーシャ・ゲイ・ハーデンの世界観と同じになってしまっているのはまずいだろう(彼女の演技はいいのよ)。演出も、徹底してスーパーの内側からの視点に絞らなければならないのに、イナゴの場など無神経に外から撮ったりするので、興ざめ。でもこの映画で感じるのは、今アメリカ人が、どうも我々はあんまり世界から愛されてないみたいだぞ、という不安に包まれてるらしいってこと。この外部の異世界ってのは、なにもイスラム過激派だけではないだろう。アメリカは敵意の霧に包まれていて、物資が豊かなスーパーマーケットはヒステリックに中絶反対を叫ぶ宗教右派に占領され、それが嫌なら外の開拓前の荒野に出ていかなければならない、ってな状況。あの蛇足のラストに意味を見つけようと思えばこんなところになる。車の出発で打ち切ったヒッチコックはやはり偉かった。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-13 12:20:31)
1873.  ゴルゴタの丘
キリスト物語って、地方の物語なんだ。政権の強いローマを離れて、地方の総督とかユダヤの議会や地域の王なんか、文化が複雑に衝突している周縁の話なんだな。あんまりそういうとこ考えたことなかったが、何か新しいものが生まれるってのは、そういう場所でなんだろう。ユダヤが“呪われた民”と見られるのは、これら“群衆”の象徴としてなんじゃないか、などと思った。セットや群衆に迫力があり、また丘の場の空の雲は、映画が舞台と違って天候を描けることの利点を改めて思い出させてくれる。裏切りに出ていくユダが振り返って目にする、窓の額縁の中の教団仲間の親密な光景が、ユダの孤独を浮き彫りにする。正直言って、キリスト話ってなんか倒錯(被虐加虐その他いろいろ)の匂いがしてあまり好きになれず、見るときはついユダのサイドから眺めてしまうんだけど、ヨーロッパ文明の底には確固としてこの倒錯が潜んでいるんだなあ、と思えば、やはり気にはなります。/なおこれでキリストを演じたロベール・ル・ヴィガンは、『地の果てを行く』や『どん底』にも出る個性派だが、占領下に対独協力派の放送局で働いていたため、『天井桟敷の人々』の古着売りの役を放棄してドイツに亡命し逃げ回り、戦後はアルゼンチンへ去った呪われた俳優。同じ経歴の、やはり呪われた作家セリーヌと一時一緒に逃げていたので、セリーヌの晩年の小説に登場してくる。セリーヌの小説に出てくるベベールという猫は、逃避行していたときこのヴィガンからもらったもの。ヴィガンのそういう後半生を知ると、受難のキリストを演じたことにも味わいが添う(国書刊行会刊・セリーヌ「城から城」の補注より経歴を引用)。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-11 12:19:43)
1874.  恋の片道切符 《ネタバレ》 
60年の新宿を、それも大通りではない新宿をたっぷり見せてくれる。ロカビリー歌手をめぐる物語。ポスターの多用。人の通行と直角に立っている、壁に貼られた薄っぺらの人間。時代のイケニエとして消費されることを自覚している若者たち。現在から見るとそのナイーブさが滑稽と紙一重なんだけど、そのじれったいぐらいのナイーブさがラストで弾け、若者同士が傷つくという構図。やはり、怒りの映画の時代なのである。人間関係から逃げていた小坂が、ラストで急速にピストル犯になるところがサプライズで、社会的成功を軽蔑していたはずの者の底にも、わだかまりが眠っていて、それが一気に顕在化した、というか。テープが飛びくる通路を歩く小坂のあおり、ステージ前まで来て、ふと煙草を口にくわえる、彼の内面が切り替わっていくところの描写が的確。篠田のデビュー作。助監督に山田洋次。
[映画館(邦画)] 6点(2009-01-09 12:17:33)
1875.  女だけの都
この映画で一番うらやましかったのは、17世紀初頭の風景をロングで撮れる、ってところで、江戸時代の始まりのころでしょ、日本じゃちょっとできない。フランドル絵画ふう、って言うんですか。昔の風景がちゃんと残っている、というか、残してある。うらやましい。おろおろする男としっかりものの女、というパターンの小喜劇で、“女は弱いもの”というタテマエがなくなった現在から見ると、もひとつ面白味がピンと来ないけど、全体のおおらかな気分は悪くない。もっと古典の型にはまった味にしても良かったんじゃないか、あるいは女たちの一夜のバッカス祭という感じで、もっとドンチャン騒ぎがあってもいいんじゃないか、などと思うのも、やっぱり現代人からの目であろう。向こうの人が見れば、衣裳の時代考証なども楽しめるのであろうな。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-07 12:12:10)
1876.  育ちざかり
内藤洋子って映画から出た正統アイドルの最後の人かなあ(突然変異的な角川娘はいたけど)。と言っても微妙なところで、たしかにデビューは『赤ひげ』と映画だが、名前を売ったのはテレビの「氷点」で、そういう面では過渡期の人。映画ではさかんにおでこを強調して、アイドルとしてのセールスポイントにしている。でもこういう「愛くるしい系」の時代は終わりつつあり、次は秋吉久美子のようなちょっとスネた不良性を漂わす感じが70年代の主流となっていくのだった。時代に間に合わなかった哀しみが、この人にはある。一生懸命プロモーション映画としていろいろやっている。乗馬姿あり、水着姿あり、テニスもやって、レモンもかじるし、定番中の定番、海岸をスローモーションで走ったりもする。こういう不良性のないアイドルは、次からは完全にテレビへと、たとえば天地真理にバトンされていったのだろう。
[映画館(邦画)] 6点(2009-01-05 12:10:09)
1877.  幕間 《ネタバレ》 
ここらへん、シュールレアリズムとコメディとは根が一つだったんだなあ、と思わせる。戦争が深刻になると、シュールレアリズムも陰鬱になってしまうが、もともとは“おかしみ”の新発見でもあったんだ。技術的にはスローモーションの発見。大砲のまわりでジャンプする紳士たちのスローモーション、噴水の上のラグビーボール(?)を射つ男が屋上より転落し、棺のあとを紳士淑女がやはりスローモーションで飛び跳ねながら行進する。棺が疾走し人々も走って追いかける。ジャンプするバレリーナを下から撮ったスロー。とにかくスローモーションの新鮮さが嬉しかったみたい。街を映しただけでも何か違って見えてくる。ふだん熟知していたはずのものが違って見えてくるって、この発見はシュールレアリズムの思想そのままだし。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-02 11:14:27)(良:1票)
1878.  やくざ絶唱 《ネタバレ》 
この監督の世界では、感情過多の人間が狭いところへ押し込められ、そのせいで傷つけあってしまっている。この兄と妹なぞまさにそれで、兄の過剰な愛と、それに対する妹の過剰な反応。雄渾に成りうる神話的構造を、極端に狭い場所に押し込めていく。冒頭の街の雰囲気、四ッ谷署とチラリと出たが、荒木町界隈だろうか、高低差がいい。やくざの“一家”と“家庭”と、どちらも閉じていて、大谷直子が結ばれる田村正和も、つまりは兄弟みたいなもの、さらに閉じて煮詰まっている。主人公の最期も風呂場の隅っこの狭いところだった。太地喜和子とやりあうとこも隅。みんながみんな、狭いところへ、隅っこの方へと追いつめられるように導かれていく。
[映画館(邦画)] 6点(2008-12-19 12:10:12)
1879.  クローバーフィールド/HAKAISHA
せっかくの趣向を生かしていない。最初のほうの混乱なんか、けっこう臨場感があって期待できたのに、しぼんでいく。物語を語り出してしまうからだ。友情物語やら救出物語やら、既存の“物語”に寄りかかって“記録”の視線を忘れてしまう。記録の目に徹する自信が作者になかったのだろう。カメラはこういう異常事態なら、とにかく怪獣を捉えようと懸命にならなければならないはずだ。それを友だちばかりに向けている。軍の発砲からパンして怪獣にカメラを向けるってのは、新米素人カメラマンのそれではなく、劇映画のカメラマンの動作である。一生懸命対象を見ようとして、それでもよく見えない、ってところにサスペンスが生まれてくるので、最初っからカメラが効果を狙って控え目なのでは、おののきたくてもおののけない。軍の前線基地みたいなところに入っちゃうのも、よくない。事態をまとめる視点を排除して、とまどいの視点に徹しきらなければ。さらに言えば、俳優の演技の質がもろにドラマのそれで。
[DVD(字幕)] 6点(2008-12-16 12:10:25)
1880.  犬、走る DOG RACE 《ネタバレ》 
この監督は、話の展開を観客に理解させようという気はハナっからなく、とにかく新宿の気分をこそ描きたかったのであろう。女の死体を運んでいても誰も気にしない街。アジアの言葉が飛びかって。香川照之っていいなと思った最初の作品だった、シャブ打ったあとのところなんか。そして大杉漣ってやっぱりいいなと確信した作品で、あれはどういう役なのか、ヤクザの事務所にたむろしているけど構成員じゃないんだよな、ヤクザ関係者っていうか、ささいなことで分け前を恵んでもらってるのか、そういう曖昧な役を実にそれらしく演じ、後半、ヤクザを裏切ったことがバレて追われ、屋根づたいに逃げ、すんませんすんません、と屋根から頭さげて謝り続けながら、下のやくざに瓦を投げつけるあたりのおかしさといったらない。スタントなしのかなり大胆なジャンプも本人がやってたようで感心した。そして終盤は全員で新宿を走り回る。表の新宿も裏の新宿も。
[映画館(邦画)] 6点(2008-12-14 12:20:49)
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