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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  気狂いピエロ 《ネタバレ》 
「ねぇ、ピエロ?」「フェルディナンだ」・・・この不毛なやりとりが幾度となく繰り返される。けど、それがいい。 ストーリーの中の二人の行動の大半が、これといった理由もないままに起きる。けど、それがいいのだ。 お互いに「愛してる」と言ったりする。二人は特に愛し合っているようには見えないのだが。しかし、それがまたいい。 アンナ・カリーナが、客人を背後から不意に瓶で殴りつけて殺してしまう。特にその客人との関係も語られず、既にベッドで倒れている男が誰なのかもわからないのだが。しかし、それがまたいい。 カフェでビールを2杯注文したところに出てきたオヤジ。「10万フラン貸した」「妻と寝ただろ」とくれば、そこからいざこざに発展しそうな感じだが、すぐに消えてしまう。ベルモンドも何事もなかったかのように新聞に読みふける。それがまたいい。後から考えて、あのオッサンはストーリーとは何の脈略もない人だったんだなぁと解ると、その存在が非常に面白く感じられて、見終わった後になって何とも言えない余韻に包まれる。あの男は、最後に登場する、音楽がづっとついてまわるという男と共に、非常に重要な役を演じているのだ。 最初の、A、B、C・・・と、順番に出てくるタイトル画面も最高にカッコイイし、全然荷物を持たないでいるのにいつもオシャレな服なところもいい。ストーリーとはさほど関係ない日記も好き。 ゴッホやルノワールの絵画が挿入されて出てくるのも、突然BGMに合わせて唄いだすのも、カメラ目線でおじいちゃんの真似をするのも、顔を青く塗っちゃうのも、海と空が溶け合った青一色のラストもいい。 要するに、何から何まで最高の映画。 自分の人生に影響を及ぼした映画。 猛烈にどこかに放蕩してみたくなる、そんな映画。 盗んだ車でどこまでも行ってみたいと思ったし、その車で海に突っ込んでもみたい。川の中を歩いて渡ってみたくなるし、銃で人を殺して大金をせしめてみたくなるし、ダイナマイトを顔に巻きつけてみたくなる・・・・・そんな映画。
[DVD(字幕)] 10点(2007-08-19 12:56:43)(良:1票)
2.  ロシュフォールの恋人たち 《ネタバレ》 
同じショットの繰り返しがどうしてこんなにも気持ち良くさせてくれるのでしょうか。 まず初めにドヌーヴが、次にドルレアックが、そしてラストではダニエル・ダリューが子供を迎えに行くシーンでは、まったく同じ位置からのショットでストーリーが展開され、また、町の広場の真ん中の泉を手前にした俯瞰ショットもこれまた幾度となく現れます。その繰り返しのショットが呼び起こすのは、日常の幸福感だったりお祭りの高揚感といった喜びの感情ではないでしょうか。登場人物が皆、喜びを歌にのせて踊るという演出は言うまでもなく我々をハッピーな気持ちにさせますが、それにも増して、この“繰り返し”のショットが自分にとっては一番気持ちの良いシーンであると断言できます。 ストーリーが、これまた素晴らしい群像劇で、歌の中身においても自然な繋がりがあるところも凄くいいですし、歌を唄いながらのダンスのシーンも、あの横長のスコープサイズの画面を、脇役の人物やインテリアやエキストラなど、あらゆるものを画面上に配置して構図を作っている。つまり、これも「シェルブール~」同様、綿密に計算されたカメラワークであると推測できるのです。 そして、日曜日のお祭りで全員が揃っての大団円かと思いきや、ドヌーヴの乗ったトラックにペランが乗り込んでパリに向かうという、何とも粋なエンディング。映画は終わったのに、あの車の中でどんな会話が、どんな歌が繰り広げられるんだろう・・・と想像して、自然とニコニコ顔になってしまいます(^_^) 
[映画館(字幕)] 10点(2007-07-16 16:44:03)(良:1票)
3.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
何度もこの映画を観ていると、色々なシーンでの監督の計算高さに感服させられます。最も凄いのは、オープニングクレジットのシーン。傘の配置(動かし方)が実に綿密に計算されていて、文字が出ていないところを、そのスペースを埋めるように傘が通っているのです。見事! そして、この映画で背景が効果的に用いられている点を主張したい。というのは、序盤でドヌーヴが店から出てきて二人で抱き合うシーンでは、白地の模様入りの壁が背景になっているのですが、ギイが兵役を終えて帰還した時と、修理工場を辞めてからもう一度彼女の店に行く時にも、序盤で二人が抱き合うシーンのその白地の壁がそのまま出てくるわけなのですよ。つまりここで、序盤での幸せだった頃との対比をこのわずか1,2秒のシーンでさり気なく表現していると思うのですが、このようなちょっと気を抜くと見過ごしてしまいそうなくらいの些細な演出が私は大好きなのです。 ここまで計算されていると、あの街並みは実はロケではなくわざわざセットを作って行われたのではないかという疑念まで湧いてきてしまいそうです。 ストーリーの方が、これがまたこの映画のさり気ない演出に負けないくらいにナチュラルに仕上がっているので気づかずに素通りしてしまいそうですが、身篭った娘の母親の心情なんか、初めて娘の妊娠を打ち明けられた時はカンカンに怒っていたのがお腹が大きくなるにつれて娘に対して少しずつやさしくなっていき、しまいには子供の服まで買ってきてしまったりする心理描写は妊婦の娘をもった母の心情をとてもうまく描いていると思います。鋭い人間観察ができる人でないとこのようには描けないでしょう。だんだんと手紙の様子が変わっていって、最後の方になると質問に答えなくなったとか、違う話題に話をそらせたりするのも、本当にありそうで怖いですし、また、「誰の責任とは言わないが困っている」や、「それが、申し上げました通り・・・」なんて、本当に実際に聞いたことがあるような日常で普通に交わされるナチュラルな台詞ですよね。 それと、ラストの場面の会話をよく見てみると、今は「自分の店と幸せな家庭」という守りつづけていくものがある、というギイの確固たる決意が垣間見れたのに対し、ジュヌヴィエーヴの方はわずかながら寂しげな気持ちがあるように見えました。この二人の心理描写もまたナチュラル(自然な感じ)です。
[地上波(字幕)] 10点(2005-01-16 20:08:38)(良:3票)
4.  昼顔(1967) 《ネタバレ》 
個人的に大好きな映画で、DVDも買って家に置いてあるのですが、スクリーンで再度観てみたら、やっぱり面白い。改めて実感。 他の映画のレビューでも書いてますが、この時代の映画でよく用いられるテクニカラーだのイーストマンカラーだのといった色調が醸し出す画面のくすみ具合が最高に好き。アメリカ映画とは微妙に違った雰囲気の、独特の画面の質感だけで気分が高揚してきます。 冒頭に出てくる森のシーンのミステリアスな雰囲気やその静寂感。木の枝や茂みまでもが美しく感じます。その一方で、パリの街並みの喧騒もとても開放感があり、こちらも何とも気持ちが良い。仲睦まじく馬車に乗っていたシーンが一変したときの緊迫感は勿論、木に吊るされ鞭打たれるシーンの美しいこと。そして、ドヌーヴが娼館に向かって歩いている姿を真横から映すシーンなんて、自分が観てきた映画の中でも最高のワンシーンといえます。 ストーリーの肝は、一般的な解釈“セヴリーヌの内面に激しい欲望が渦巻いていた”というよりも、彼女自身の不感症による夫への負い目を克服するストーリーを彼女の頭の中で展開していたと解釈してみました。 で、何が面白いかって・・・ラスト、重体であるはずのピエールが一命を取りとめて自宅で安静にしているわけですが、銃で撃たれたのに車椅子にサングラスという出で立ち。銃で撃たれたのに目が良くなるようにと薬を飲ますセヴリーヌ。全てを洗いざらい話せば楽になるという自己都合も甚だしい程の妄想。馬車の音が聞こえ外に出てみると、そこはクラクションが鳴り響くパリの街ではなく、夢に出てきたあの林道。 やっぱりこの映画、面白い。
[映画館(字幕)] 10点(2004-10-17 14:16:25)(良:1票)
5.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
こないだ、再度DVDで観てみたが、やっぱり面白い。 変更前に書いた、私立探偵アーボガストが階段を登るときの緊迫感溢れる映し方や、サングラスの警官のドアップ、最後の地下室で照明を揺らすことによって骸骨に陰を持たせて不気味さを増幅させていたりという映像の超絶テクニックを再確認し大満足であったが、今回の再鑑賞では、脚本の技巧さも随所に感じられた。 脚本を作る際に工夫したと思われるポイントは“母親が実在することを如何に信じ込ませるか”という事だと推測できるのだが、私立探偵アーボガストはノーマンとの会話で、マリオンがノーマンの母親と会ったという事は一切出てきていないにもかかわらず、ライラとの電話では母親と会ったという彼なりの推理を展開しており、これがあたかも母親が実在しているかのような錯覚に観客を陥れることに成功している。また、ライラの「相手は病気の老人よ」や、サムの「事の次第は母親が知っているか」など、真相が明らかになる直前までこんな台詞が出てきており、保安官夫婦の証言など簡単に吹き飛んでしまうほど上手く誘導されるのだ。 他にも、多くの方々が書いてらっしゃるので言うまでもないが、4万ドルを持っての逃走から主人公が入れ替わり、連続殺人へと展開するストーリーの組み方や、バーナード・ハーマンの耳を引き裂くような音楽など、クラシック映画の醍醐味を存分に堪能できる一本である。文句ナシの10点!
[DVD(字幕)] 10点(2004-06-04 14:38:12)(良:2票)
6.  未知への飛行 《ネタバレ》 
特にこの映画が見たかったという訳ではないのですが、自分がこないだ買った5枚組DVDボックスの中にこの作品があったので見てみました。 私もこの映画は前評判通り必見の映画だと思います。人に薦めることのできる一作ですね。S.ルメットの隠れた名作ではないでしょうか。 私はモノクロ映画が好きでよく見るのですが、モノクロで撮って大正解ですね。映像面での技巧さは本当に素晴らしい。カメラの角度や光の当て方、カットやズームのしかたなど、非常にメリハリのあるセンスの良い映し方で画面に引き込まれてしまいそうになります。 キャスト陣もみんな迫真の演技でどの人もいいのですが、一人挙げるとしたらやはりH.フォンダでしょう。さすが4回も大統領役をこなしてきただけあってとても味のある貫禄たっぷりの振る舞いを見せてくれます。ファンからH.フォンダを大統領にとの声が上がるのもよくわかります。 また、個人的にはグロテシェル教授役のW.マッソーが好きですね。彼はこの映画を面白くさせるのに大変重要な役割を果たしています。こういうキャラがいなければこの映画はここまで面白くならなかったはず。このグロテシェル教授と周りの人とのやり取りが見ていて本当に面白いです。映画の序盤で限定戦について語っているところなどは、何気なく聞いているとたいした内容ではないように聞こえるかもしれませんが、結構ドキッとするところがあります。 ストーリーの前半はやや退屈気味で余計なシーンも混じっているような気がしますが、後半あたりからの緊迫感は見事としか言いようがありません。爆撃機が目標に刻一刻と迫っている中、水爆を落とすまいとする両国の懸命の努力とその努力のために自国の軍事機密を提供してしまうことに自問自答する切迫感とが重なり合い、巧妙な駆け引きを繰り広げています。また、大統領の最後の命令を学友ブラッキーに指示するところなどは、皮肉というか何と言うか・・・。 副音声の監督の解説では、低予算だったことを繰り返し喋ってそれを自分で笑ったりしていますが、そんなことは全く気にならない優れた作品であると言えます。 あえて欠点を挙げるとすれば、あまりのリアルな緊迫感のため気軽に見れないといったところでしょうか。  私は「博士の異常な愛情」をまだ見てないのですが、見たらこのレビューを更新をします。
9点(2004-06-18 19:45:03)
7.  処女の泉 《ネタバレ》 
火に息を吹きかけて天窓を開けるオープニング。 火が強まり陽が差し込むことで画面の中がふわっと明るくなる。 オープニングをこの微妙な光加減で描いてみせたところに、画面作りに対する繊細さがうかがい知れ、そして一つの物語がここから始まるのだという象徴的なこのファーストショットに、自分の中に存在する何かが呼び起されたような気持になりました。 教会への道中、山羊使いの男たちに呼び止められ、食事を分け与えてから自身に危機が迫っている事に感づくまでの、じわりじわりと恐怖が少しずつ滲み出てくるような描写が実に良いです。完璧。 更に、少女を身ぐるみ剥いだその3人組がやって来たのがその子の家となれば、そこに生まれるサスペンス感たるや、もはや尋常ではない。 いつ、どのタイミングで少女の服が出てくるのかを想像すると、食卓を囲む何気ないシーンが緊迫感を帯び、ただならぬ雰囲気で満ち溢れてきます。 夜中に目を覚ました少女の母親が彼らの所に行ってみると、男は少女の服を差し出し高く買い取れと言う。この時の母親の不気味なまでの静けさはどうだろう。怒りに震えることすらもない異常なまでの静けさに身の毛が弥立つ思いがしました。 そして、父が身を清めるシーンのおぞましさ。その対極的ともいえる一本の木の詩的なショットを挟むセンスといい、もはや全てのショットが皆強烈なインパクトを放ち、目を釘付けにされてしまいます。 最後、少女の亡骸を起こした所から水が湧き出でる。 泉の出現という奇跡で終わりを迎えるこの物語は、神話とか聖書の中の一節を描いたようなとても不思議な映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-19 01:10:48)(良:1票)
8.  甘い生活 《ネタバレ》 
ストーリーは何てことはない、ゴシップ記者マルチェロの、行く先々で起きる出来事を羅列し繋ぎ合わせただけのストーリーのように思えます。 が、しかし、その一つ一つが全て失意の残る終わり方だったり、絶望感漂う終わり方で締めたところがなかなか興味深い。 トレビの泉で水しぶきと戯れていたら突然噴水が止まりそこにあった幻想的な雰囲気が消えて一瞬にして現実に連れ戻されてしまったり、奇跡が起こるとされる聖地に行っても奇跡が起こるどころか大雨に見舞われたり、互いを認め合う親友が一家心中をしてしまったり、元気だった親父にふと暗い背中を見せられたりと、何かと人生うまくいっていない様子。 極めつけはラスト。惰性や習慣で騒いでいたかのような、さほど大したことのないパーティーのように感じましたが、終わって外に出てみるとそこにあるのはやっぱり虚しさばかり・・・。しかも浜に上がった巨大な魚は、大海での威厳や存在感は一体どこへやらと言わんばかりの無残な姿でマルチェロの前に現れる。 どのエピソードもみんな暗い。一旦持ち上げといて不意に足元をすくわれるような、そんな暗い結末ばかりが映画を形成していくのだけど、こういう流れのストーリーは実は結構好き。 時折出てくるローマの街並みも、街灯が車のガラスやボンネットに反射することで画面全体がキラキラと輝いていて、モノクロの映像美を存分に堪能できるし、ニーノ・ロータの音楽も最初から最後まで(特にラストの乱痴気騒ぎで流れるヘンな曲「パトリシア」)完璧。 後で気がついたことですが、オープニングでヘリに乗ったマルチェロの声が相手に届かないというシーンが出てくるのに対し、エンディングでは逆に、相手からの声がマルチェロに届かないというシーンが描かれている。これは一体?!? 映画全体では一貫したストーリーはないように思えたけども、主人公マルチェロには最初と最後で変化が生じているということなのだろうか・・・と思ったら、どちらも自分から去ってしまってますね、ハイ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-01-20 00:27:19)(良:1票)
9.  アントワーヌとコレット 《ネタバレ》 
自分に置き換えてみると、これはかなりイタ~イお話。コレットが両親に「前にも話したでしょ」と言ってたのに、その両親はそれにお構いなくアントワーヌを食事に招いてたというのも相当イタい。 短編とは聞いていたが、ここまで短いとは正直思わなかったのだけど、この尺の短さがかえって良かったのだと思う。コレットの家に突然男が現れたことによって突然事態が急変し、一気にエンディングへと向かうのだけど、もし、観る前から上映時間が分かっていたとしたら、(そろそろ何かあるだろうなと予測してしまい、)突然の急展開にもさほど驚かないだろうと思う。約30分の上映とは、そういう意味で正にベストな長さ。 ラストの写真の数々もまた、短編らしい凄くセンス溢れる締め方で、切ないけど妙に満足してしまった。 また、「大人は判ってくれない」のポスターが劇中に出てきたのも、トリュフォーのユーモアが感じられて面白い。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-12-02 13:52:02)
10.  パリところどころ 《ネタバレ》 
6編全て良かったが、しいて挙げるとすれば、「サン=ドニ」・「北駅」・「モンパルナスとルヴァロワ」の3つ。 「サン=ドニ」(ジャン=ダニエル・ポレ)【8点】。 見るからにいじめられっ子風の男とちょっと我が強そうな娼婦との一幕。 特に意味もないのに執拗なほどに肖像画を映したり、女の脚を手前にして男を映すところや、男の品のない食べ方を撮り続けるカメラワークが非常に興味深い。 また、字幕についてだが、「そろそろ“やる”?」とか“する?”とか、「“”」で括られて出てくるからそれが妙に笑えて面白かった。ここは、音声のみで見るより楽しめると思う。最後のオチも上手く落としていて好感触。ホテルで停電って・・・まずありえないでしょ(笑)。 「北駅」(ジャン・ルーシュ)【8点】。 超絶的な長回しが素晴らしい。 車でぶつけられそうになった男との会話がオシャレでいいし、その後で自殺をしてしまうというのもちょっと可哀想だけど、映画のストーリーとしては面白い展開だと思う。 長回し=意欲的と捉えられることが多いけど、そういったチャレンジ精神が感じられる作品は自然と好きになってしまうことが多く、もちろんこれも好き。 「モンパルナスとルヴァロワ」(ジャン=リュック・ゴダール)【9点】。 ストーリー的にはこれが一番好き。 実は二つの手紙は入れ違いではなかったというオチは、かなりツボ。綺麗にストーリーが成り立っていて、いかにもフィクションっぽいところがすご~くイイ。 この主人公の女はしょーもない女だけど、ちょっととぼけた感じとか、独特の雰囲気が出ててまさに適役。 他にも「サン=ジェルマン=デ=プレ」【7点】の二人の男との恋愛模様も、ありえなさそうなストーリーだけど上手くまとまっているし、「エトワール広場」【7点】も、ロケ撮影の開放感が何とも気持ちが良いし、ストーリーもしっかりオチがついていて良い。「ラ=ミュエット」【8点】は、いたずらをしてしまう様子を描いたり、耳栓をつけたら音がなくなるといった演出が変にリアルで、生々しいラストもちょっと怖くて、これも完成度が高い。 要するにどれを観ても面白い。 6話の平均点数は7.83。よって8点。
[映画館(字幕)] 8点(2007-08-26 01:16:53)
11.  モード家の一夜 《ネタバレ》 
エリック・ロメールの「六つの教訓物語」シリーズ第3作。 本作は1,2作目のような若い男女の物語ではなく、恋愛経験も豊富な登場人物たちによって展開される、しかも“パスカル”や“カトリック”・“唯物的”・“秘蹟”などといった哲学的なキーワードが物語を彩る、ちょっと大人の物語。かなり敷居の高い映画なのではと思いきや、そんな専門知識など全くなくてもストーリーには十分に入り込める。 さて、人は生きていく上でいつどんな局面に立たされるかわからない訳で、つまりこの映画で言うならば、友人のヴィダルと一緒にモード家を訪れた時にヴィダルが先に帰ってしまい、特別に好きでもない女性と同じ部屋で一晩を過ごさなければならなくなってしまったというシチュエーションや、雪が積もった道を車で走っていたらタイヤがスリップして前にも後ろにも進めなくなってしまい、そのまま車を置いて同乗していた女性の家に入り込むことになってしまったというシチュエーション(やや故意的だが)がストーリーの中に出てくる。 前者の場合、相手の女性は着ている物を全て脱いで完全無防備な状態をつくり、主人公に、自分の主義を貫くか、それとも“男としての妥当な行動”に出るかのギリギリの選択を迫られる局面に遭遇する。 また、後者の場合も似たような局面に出くわすのだが、この対照的な場面をよくよく見てみると、さほど自分の好みではないモードという女に対しては、最初に自分の主義を貫いた結果失敗を招いたが、主人公好みのブロンド女フランソワーズに対しては、行動に出たとしてもうまくいかなかっただろうというところが面白い。 最後、何年か後にフランソワーズとの間に出来た子供と3人で海水浴に出かけたところで一悶着。その少し前の雪の中でのシーンで、フランソワーズが過去を懺悔したところである程度の予測がつくかもしれないが、数年後の思わぬ再会による思わぬ繋がりが発覚。そして最後、妻を気遣う軽い嘘が何とも綺麗で格好良い。 海水浴といえば夏なのに、この寒々しさ。しかし、何だか美しい。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-22 00:59:58)(良:1票)
12.  モンソーのパン屋の娘 《ネタバレ》 
エリック・ロメールの「六つの教訓物語」シリーズ第1作。 ストーリーは、いつも決まって同じ時間にすれ違う女性に主人公が恋に落ちるのだが、話すきっかけが出来た途端、姿を消してしまい、探している間に入ったパン屋でふとアルバイトの娘が気になり始め・・・という話。 気になった人の後をつけて、その人の住んでる家とかが判ったところでどうすることもできないんだけど、何か気になっちゃうっていうのは解る気がする。 主人公が徐々にパン屋の娘に興味を持ち、デートの約束までこぎ着けたところで姿を消したシルヴィが再び現れるっていうのは映画のネタとしては結構定番モノで、それを解ってて見ても十分に面白い。 パン屋の娘もシルヴィとはまた違った魅力があって、しかも主人公を見る時の“目の演技”が抜群で、誘っているのかいないのか、どっちにもとれる絶妙な目つき(俺の勘違い?)がじわじわとストーリーに入り込ませる。 出来れば、久し振りにシルヴィと出会ったところがパン屋のすぐ近くだったので、男が後ろを気にしながらシルヴィと会話してたりすれば、よりサスペンス感が出て良かったのになぁと思う。 その後で2人でレストランに入って、シルヴィが“シェフのおすすめデザート”なるものを頼んだのが、何とも面白い。ここが実質的なオチ。 最後のシークエンスは完全に蛇足で、その後でパン屋に入った時、違う女性が出てきたが、ストーリー中盤辺りから元々のパン屋の娘は、すぐ辞めると言ってたので、ラストで違う女性に替わっててもストーリー的な必然性が感じられず、ここが唯一のマイナスポイント。 けど、8点。面白い。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-13 01:18:08)
13.  カトマンズの男 《ネタバレ》 
投稿ゼロから推測される相当の駄作と思いきや、観てみたらこれが面白い。 ヨーロッパやアメリカの人が東洋を舞台に映画を作ると、大抵は変な違和感があるのですが、この映画はコメディ色が強く、そのおかげで西洋人の表現するヘンテコな東洋かぶれっぷりが妙にマッチしているように思えます。 この映画はとにかく見どころが満載で、書きたいシーンは山ほどあるのですが、海に飛び込んだアルチュールが吊り上げられて煙まみれになったり、何台もの車が交差点に向かって突っ込んできたりするド派手なシーンも、今まで観たベルモンド主演の映画では決して見られないものですし、馬鹿デカいベルモンドのモンタージュ写真も吊り橋のシーンも女装も、みんな非常に楽しんで観ることが出来ました。 もちろん、ベルモンドだからこそ面白いというのは言うまでもなく、ハリウッドのアクションスターが同じことをやったら失敗作になるのは間違いナシです。 [2021.5.21追記] 改めて観てみて良かったのが、アレクサンドリーヌ役のウルスラ・アンドレス。 持ち味の美貌のみならず、終盤で殺し屋のセスナ機に飛び乗って格闘したりする身のこなしの軽やかさは必見。 終盤の盛り上がりに一役買っているのを完全にスルーしてしまっている昔の俺(笑)。 それと、建物の馬鹿デカいモンタージュ写真をよく見ると、こっちは髭が生えていて面白い。付け髭してからいつ撮ったんだ?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-06 18:27:04)
14.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
何か、ストーリーの構成が「大脱走」に似ていると感じたのは私だけでしょうか。上映時間もほぼ同じだし、作られた年代も近い。シネマスコープだし、ナチが絡んでいるところや、前半までが面白く感じられたところまでも似ているような気がします。 私より前に書かれたレビューを拝見すると“健全な映画”との評価が多々ありますが、それはクラシック映画に存在する独特な秘めたる魅力なのだと思います。それがクラシック映画ならではの魔力(?)であり、健全さを感じるのはそのためだと断言しちゃいます(私の「ローマの休日」のレビュー参照)。 さて本題。この映画で一番大事なのは、マリア(←名前もすごくイイ!)の子供たちへの愛ではないでしょうか。父親の絶対的な規律により抑圧された生活を送っていたことの反動もあるかもしれませんが、子供たちのために服を作ってあげたり、歌を教えてあげたりと、人間らしさを呼び起こさせるような、マリアの愛情に満ち溢れた接し方に感動してしまいました。この映画は子供向けの映画などではなく、むしろ人を指導する側の立場の人間にこそ是非観て欲しい映画です。この映画を観てると、何か自分も教師になれちゃうような、そんな気さえしてくるようです。 それと、この映画の終盤で、ロルフという青年が自分の職務に忠実で、最後までトラップ一家を逃がすまいとしていたのが凄く悲しくて、何とも言えない寂しさに襲われた。前半であれだけリースルと愛し合っていただけに、軍の規律に恐ろしいほど忠実になってしまい、序盤の父親の教育方針もそうだったが、軍隊の規律というものは一人一人が持っている人間性というものを極限まで奪い取ってしまう恐ろしいものだと感じた。つまり、この悲しさや寂しさが“反戦映画”としてのメッセージなのでは・・・と思いました。 ところで、私が観に行った映画館には子供連れで来た人もいたようで、ドレミの歌を一緒に口ずさむ子供がいたのにはちょっと嬉しくなってしまいました(チョットうるさかったけど^^)。
[映画館(字幕)] 8点(2006-01-29 22:48:19)
15.  暗くなるまでこの恋を
やっぱり、この頃のフランス映画はいいです。あのヨーロッパ映画独特の画面のくすみ具合、古ぼけた感じがたまらんのですよ。そして、そのくすみがかった画面の中で愛を囁く男女二人。これだけでもう十分です。さらに、男の独り語りのシーンがあればより評価は上がります。 この映画のストーリーは本当に単調で、二人が仲良く暮らしている間も逃避行を続ける間も、愛を語り合ったり、喧嘩をしたり・・・というだけなのですが、何故かどことなく面白いのです。よく考えてみると、こんなストーリーって映画の中の世界に限った話をすれば、結構ありふれたストーリーのようにも思えてきますが、それでもやっぱりイイんです。 自分も人生で一度くらいはこんな恋愛してみたいなぁ~なんて思う反面、人生万事順調だった人が、たった一人の女に人生を狂わされると言うのはやっぱり見ていて忍びない。 けど、やや非現実的なストーリーなのかもしれませんが、一つの愛の形がキッチリと描かれていて映画の中に一徹したポリシーがあるのがわかるので、やっぱり評価が上がります。 映画の終盤での、ログハウスの中で「ハイ、これ飲んで♪」と余りにも自然な態度で優しく接していたので、白雪姫のカートゥーンを見ても、まさかそれはないだろうと、最後までその事実を信じることができませんでした。この映画のような“女の本性”って本当にオソロシイ・・・。 それと、この邦題は見事です!かなり気に入ってます。 〔追記〕スクリーンで観たときの印象↑と自分の部屋の小さなテレビで観たときの印象がこんなにも違うのかということをこの映画で痛感しました。まず、スクリーンで初めて観たときはシネマスコープサイズでもちろんノーカットバージョン(124分)。かたや、自分の部屋でレンタルしてきたやつを観た時は4:3サイズの100分チョイ版ときた。これだと、肝腎の暖炉で愛を語るシーンがカットされているわけなのです。この映画の中で一番好きなシーンだったのに・・・。もし、自分より前に投稿なされている方全員がノーカットのシネマスコープサイズの方で観ていたとしたらもうちょっと平均点上がっていたことでしょう。(序盤の出会いのシーンの格好良さは、絶対シネマスコープでないとわからないと思います。お金に余裕のある方は是非DVDで!)
[映画館(字幕)] 8点(2005-03-19 01:19:03)(良:2票)
16.  反撥 《ネタバレ》 
スクリーンで見たので、オープニングのカトリーヌ・ドヌーヴの目のアップが超ド迫力で、あのワンショットに完全に圧倒されました。 60年代の他のカトリーヌ・ドヌーヴの作品を観てから本作を観ると、他の作品での彼女が演じる役柄との間にとんでもなく大きなギャップがあるのに驚かされます。 本作のドヌーヴは目つきからして違う。内に秘めた狂気が伝わってくるようで怖い。演技ではなく本当に精神が蝕まれているかのようです。釘を打ちつけるときの手の震え、ペンを持ってガラスに文字を書いているときのあの目つきは鳥肌が立ちます。 それと、この映画はカメラの動かし方がとても魅力的。カメラがゆっくりと動いて部屋の中で起こっている状況を長回しで映し出す場面が幾度となく出てきましたが、これがまた何ともいえない独特の狂気の世界を表現していると思うのです。また、ウサギの料理やジャガイモが腐敗していく様が時間が経過するごとに映し出されたりするのもいい味出してますね。終盤近くでの、管理人が部屋に入ってきてドヌーヴの体を求めるシーンがありましたが、普通こんなシーンでは他の映画だと、管理人と剃刀のアップを交互に映したりするものですが、この映画では画面の隅の方に剃刀をちらつかせるという方法でスリルを高めていたのが非常に個性的で斬新な印象を受けます。この監督のフィルモグラフィーを見てみると、やっぱりサスペンスが多い。どうりで撮り方が上手いわけです。
[映画館(字幕)] 8点(2005-03-05 22:42:20)(良:1票)
17.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
初めて観たときのあのラストの衝撃は今でも忘れられません。このまま完全犯罪がまかり通る結末なんて道徳的に絶対ありえない、とまで思っていたにもかかわらず、息が出来なくなるほどの見事なエンディングを見せてくれました。あの映像からほんのわずかな場面を見せるだけでfinishにもっていくその展開の速さ(その間たった2,3分)はもう、芸術品です。 それと、今回の鑑賞で気づいたのですが、この監督は女性に対しての視点の鋭さがあるような気がします。それは、船の中でも仕事をするというちょっと真面目な部分だったり、トムが一人で帰ってきたときにほとんどマルジュが一人で喋ってしまってトムが全然喋らないまま事態が片付けられてしまう所、バレエのおばさん達がレストランに入った時も一人で喋って事を済ませてしまう所や、終盤でトムがマルジュの部屋に入ってきた所でもそういうシーンが見られます。 また、ストーリー全体を見ると、初めて観たときはフィリップ殺害シーンの波のうねりやナポリの市場の散策シーン、ホテルの一室でサインの練習をしているシーンなど、見どころがいろいろあって中弛みのない展開のように思えたのですが、肝腎のラストにかけての盛り上がりがないため、全体としてややストーリーに起伏がないような気がします。  けど、テレビでやっていると必ず見てしまうし、リバイバル上映で3回も見てしまうくらいです。映画館のロビーで流れていたBGMに誘われてついつい観てしまったということもありました(2本立て上映の1本目だけを観て帰ろうとした)。何だかんだ言って、やっぱり好きな映画なんです。
[映画館(字幕)] 8点(2004-11-02 22:30:44)
18.  ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
はっきり言ってこの映画(映画といって良いのかも疑わしい)はストーリーは二の次と考えたほうが良いでしょう。プロモーションビデオにオマケとしてストーリーが付いてきたものと思って見た方がいいと思います。プロモーションビデオ見るよりこれを見た方がいいと思いますよ(笑)。ポールのおじいちゃんがポーカーをやっている時のとなりにいた巨乳のオネーチャンのおとぼけ具合がいい味だしてます。
8点(2004-06-05 22:28:52)
19.  冬の猿 《ネタバレ》 
ヴェルヌイユはギャバンとドロンでサスペンスの傑作を撮っていますが、同じ2大俳優の競演でもこちらはこちらでまた良い作品です。 さて、男ってのは過去に生きるもの。 また自分の経験上、親子ほど歳が離れていると人間関係は大抵は合わないことが多い。仕事でも飲みの席でも。約30年の価値観の違いが互いを理解できずにそうなってしまうのだろうと思う。 1962年の公開当時は人気が出たかもしれませんが、令和の今の時代では若い人にはそっぽを向けられてしまうだろうという気もしますので、この映画は一種のお伽噺のような感覚で観るのがいいと思います。 自分がこの映画で印象に残ったのは、禁酒を続けて以来訪ねていなかった丘の上の酒場にベルモンドを連れて行ったシーン。 ルビッチの映画でもありましたが、相手を深く知って心を開き長年封印していた〇〇を開封するとか、何十年ぶりに火を入れるとか、アナログで映画的で良いんです。 オープニングで女主人が坂を登るショットとカメラアングルや構図まで同じなのはヴェルヌイユの意図したところに違いありません。 ギャバンは中国に、ベルモンドはスペインに思いを馳せ、互いに共感を抱く。 ここで約束が破られてしまったもののずっと禁酒の約束を守り続けていた律儀なところや酒を飲み交わす描写は、“男ってのはな・・・”をよく表していたと思います。 ラストは、ベルモンドの方は子供と一緒に新たな生活を築き人生のリスタートを果たすのでしょうが、ギャバンは火が消えた花火のよう。 これも人生、というヴェルヌイユの人生観として捉えさせていただきました。
[映画館(字幕)] 7点(2022-09-27 13:32:51)
20.  勝負をつけろ 《ネタバレ》 
「ラ・スクムーン」(1972)は、こちらもベルモンド主演の同原作映画(リメイク版)。 しばしば比較される両作品であり、自分も先週リメイクを観たばかりなので、いろいろと比較しがちなレビューになってしまうのですが、個人的にはオリジナルの本作品の方が良いと思いました。(以下リメイク版のネタバレありますのでご注意を) 本作のベルモンドは当時28歳。やや細身かつ猫背気味の姿勢のせいか威圧感に欠ける印象で、15分で閉店しろと指示を出すシーンでもその場にいたどの客よりも若いために見劣りしてしまう感覚もありました。 ただ、若さによるハンデはそこまででそれ以降は及第点と言えると思いますし、なによりも本作が良いのは登場人物それぞれの心情を丹念に描いたところにあると考えます。 リメイク版は物の破壊やバイオレンスシーンがやたらと多く目立った上にそのそれぞれのシーンもイマイチ迫力に欠けていましたし、爆弾処理のシーンの緊迫感も本作の方が格段に上だったと思います。 本作での終盤では、妹が撃たれるシーンが(無駄な抗争シーン等が少ない分)ストーリー上で際立っており、映画全体で抑揚が感じられたのが好印象。 そのままFINへの流れも、あっさりとしていながらも納得感のある締め方でとても良かったと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2022-09-24 01:22:05)
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