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アングロファイルさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  細雪(1983) 《ネタバレ》 
これも久々に劇場で鑑賞しましたが、とにかくすばらしいのひと言。映像面はもちろんですが、科白回しが絶妙。古式ゆかしい大阪言葉から生まれるリズムが、とても心地よい。ああいう言葉から日本独特の七五調が生まれたのかと、勝手に納得しました。市川作品では、2人の人物が言い争うとき、その2人を素早く切りかえすという演出がしばしば見られますが、本作ではそういう場面はありません。そういった激しさは似つかわしくない言葉なのです。そんなやまとことばの美しさを堪能できました。 物語的には、昭和十三年という激動の時代に、旧家4姉妹の変遷をうまく重ね合わせています。姉妹4人とも好演ですが、特に雪子役の吉永小百合。雪子というのは何を考えているのかよくわからない人だったのですが、物語を通し最後に至って、人の心を思いやれて、なおかつ頭がいいという人物像が浮かび上がってきます。彼女のお見合いが話を進めているようなところもありますし、実質主人公でしょう。とらえどころがなさそうで実は奥が深いという雪子を、吉永小百合がみごとに演じきっていました。 そして、最後に幸子がつぶやく「いろいろあったけど、結局なんも変わってへんな」という科白。もちろん、あれだけいろいろあったのだから、何も変わらないわけがありません。でも変わってほしくないという人の哀しさがにじみ出てしました。しかし案外、人間というのは本質的なところでは変わらないのではないかという期待も含ませているように思われます。いずれにせよ、すばらしいドラマを締める印象的な科白でした。 今回見直して、こういう映画の魅力を味わえる日本人に生まれてよかったとつくづく思います。ふだんはそんなことはまったく考えたりしないのですが。そんな映画を製作してくださった皆さまと、再び鑑賞する機会を与えてくれた「午前十時の映画祭」に感謝を。
[映画館(邦画)] 10点(2014-04-29 11:30:35)
2.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 《ネタバレ》 
最初の劇場公開版の方が評価が高いようですが、私はこちらの方がよかったです。前半は、復元されてやっと話が見えたところもあったし(隣村の映画館と連携するところなど)、単純に鑑賞しやすくなっています。後半、帰郷したサルヴァトーレがエレナと再会するあたりが、評判よくなさそうですね。が、あの一連のエピソードがあるから、サルヴァトーレの過去が清算される。つまり、「アルフレードの死」、「エレナとの再会と、最後の日にあった出来事の真相」、「エレナが残したメッセージの発見」、「ニュー・シネマ・パラダイス座の破壊」はすべて、サルヴァトーレが“アルフレードの呪縛”から解き放たれるために必要だったのです。そのとどめがアルフレードの最後の贈りもの、つまり、彼が「俺が保管する」と言っていたフィルムを返してもらうことだった。あのフィルムを見ることによって、サルヴァトーレはやっと自分自身の足で歩くことができるようになった、本当の意味でふるさとから旅立つことができたのだと思います。それからのサルヴァトーレは、心から愛し愛される人とも巡り会うことができるでしょう。私は劇場公開版を「懐古趣味の映画」、つまり過去にとらわれた物語だと感じたのですが、この完全版は逆に未来を向いており、その点でこちらに軍配が上がります。 それにしても、編集することでこれだけ印象の変わる映画に仕上げるとは、この監督には恐れ入ります。と同時に、改めて編集の重要性を認識しました。まあ、重要なエピソードがカットされていたのが、もっとも大きな原因でしょうが。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2010-04-10 13:38:35)(良:2票)
3.  泥の河 《ネタバレ》 
これはすばらしかった。子供と大人、それぞれの世界をバランスよく描いていました。そのからませ方がうまく、とくにきっちゃんが「戦友」を歌う場面は絶品。父の田村高廣と母の藤田弓子はやさしさが光るし、加賀まりこは出番が少ないのに存在感抜群。姿を見せない時から存在感があります。 本作では、一部を除いて町の中にあまり人が見られません。ほとんど主要2家族だけで話が進んでいきます。予算の都合とかあったのかもしれませんが、この家族が「もはや戦後ではない」、「神武景気」といったような世相とは、離れたところにいることを象徴しているように思えます。右肩上がりとは異なる、当時忘れられようとしていたかもしれない人の心を感じさせました。有名な映画だと思うのですが意外とレビューが少ないですね。モノクロだからでしょうか。もっと多くの人に見てもらいたい作でした。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2011-11-29 22:26:28)(良:1票)
4.  殺しのリハーサル<TVM>
『刑事コロンボ』の生みの親として有名な、リンク&レヴィンソンによる最高傑作との声もあるテレビドラマ。実はNHKでの日本初放送と民放で見ていて、今回が3度目の鑑賞。こうなると、すでに犯人は覚えているので、公正な意味でのレビューはちょっと難しいです。もはやサスペンスを感じないんですね。また、最初に見たときは意外性のある結末だと思いましたが、冷静に見てみると、犯人は特定しやすいかも。いややはり、あらかじめ知っているからそう思うのか、どうなんでしょう……。ただ、その結末に持っていくまでの用意周到ぶり、伏線の張り方はさすがにおみごとです。第一級のミステリー・ドラマと申し上げてよいでしょう。ミステリ好きは要チェックでしょうね。点数は、初見時の驚きも込めて高めにしておきます。
[DVD(字幕)] 9点(2010-01-20 20:43:29)
5.  殺したい女 《ネタバレ》 
のちに『裸の銃を持つ男』シリーズを作るザッカーズ&エイブラハムズだけあって、爆笑の傑作。バーバラ誘拐の顛末がメインのはずですが、脇で出てくるポルノビデオの誤解の連続がおかしすぎ。ああいうのがコメディの基本ですよね。最初はワガママだったバーバラが、痩せてサンディと仲良くなっちゃう展開がなかなか良いです。犯罪ものなのに最後が爽やかなのも好印象。とにかく面白い傑作です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-01-13 20:39:04)
6.  男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 《ネタバレ》 
寅さんとリリーの相性がいいためか、『相合い傘』と同じようなところがあっても惹かれてしまう。沖縄でまるで夫婦のように暮らし(これがまた似合ってるんだ)、プロポーズされても「夢でも見たのよ」で終わってしまう哀しさ。2人でいるのがいい雰囲気だけに、より強調されてしまいます。2人の関係が絶妙すぎて、ほかの人々がちょっとかすんでしまうのが難点か。それでもやはり、とてもいい作だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-09-29 22:02:16)
7.  リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986) 《ネタバレ》 
ミュージカルとは知らなかった。しかし内容自体はとても面白く、楽しめました。それになんといってもオードリーII君の動き! 変幻自在で、あれを見ているだけでも楽しい。歌ともよく合っています。人間ではやはりスティーヴ・マーティンですねぇ。この2人(?)がかなり持って行ってしまいますが、それ以外のキャストも個性的ではまっています。エレン・グリーンはちょっとトウが立っていますが、エロカワイイ魅力は十分出ていたと思います。時間は短めですが、かえって無駄がなく締まった内容になっていて、これもプラスでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-02-27 16:37:51)
8.  今朝の秋<TVM> 《ネタバレ》 
『ながらえば』よりもいいできだと思います。笠智衆と杉村春子が出ていることもあって、どことなく小津安二郎の映画を彷彿とさせるところがありました。小津作品が、堅牢だった日本の家族関係が緩やかになっていくさまを描いていたのに対し、本作はバラバラだった家族が、息子の病気をきっかけに再び集まるというプロット。ただしそれも一時的なもので、息子が亡くなればまたそれぞれ散っていく。とはいえ、以前とは違った関係になっているところが、余韻を残しました。この微妙なところがリアルでけっこう。各人物の心情も過不足なく描かれ、しみじみとした人間ドラマになっていました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-27 22:14:22)(良:1票)
9.  遥かなる山の呼び声
ストーリーとしては割とあるパターンですが、人物描写・心理描写のきめ細かさで見ごたえのある作品になっていました。登場する人はみな、人としてあるべき姿(ありたい姿)を体現した、人としての理想像ですね。人と人との心のふれあいを描いた人情劇として、高レベルでした。耕作の兄や民子の従兄弟など、ちょっとだけ登場する脇役にも味があります。こうなると『故郷』もぜひ見たいですね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-09-17 08:06:58)
10.  炎のランナー 《ネタバレ》 
はっきり言って日本人向きではないでしょう。スポーツものとはいえ、「根性」の要素は薄く、もちろん練習の場面はありますが、あくまで一部でしかありません。肝心なのは、なぜ走るのか。ハロルドにとっては、ユダヤ人である自分をイギリス人として認めさせるためのもの。彼を取り巻くアイテムに、きわめてイギリス的なケンブリッジ大学やサヴォイ・オペラが配されているところがうまい。一方のエリックは、信仰表明として走る。あくまで神のために走るから、安息日には走れないというのがいいです。世俗の名誉を越えた大きなもののために走っているわけで、このあたりが現代日本人にはピンとこないところでしょうか。 オリンピック終了後の、2人の違いが本作のポイントでしょう。ハロルドの方にあまりたいしたものが残らなかったというのは、やはりキリスト教思想が根幹にあるヨーロッパの価値観が原因でしょうか。イギリスにおける異邦人の扱われ方、アマチュアリズムなど、いろいろと考察できそうです。とはいえ、私にとってはイギリス的な風景・雰囲気・音楽が堪能できただけでも嬉しい作です。 (レビュー400本目・ブルーレイ初鑑賞)
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-08-30 20:35:09)(良:1票)
11.  ある日どこかで 《ネタバレ》 
言うならば「雰囲気映画」でしょうか。1912年を再現した美術・衣装は見もの。撮影も美しいし、鏡を使うなど演出もすてき。音楽はさらにすてき。ジェーン・シーモアは単に美しいだけでなく、作中コリアーがひかれたのもうなずけるような、何ともいえぬ魅力を放っています。ストーリーとしてはやや弱いのですが、ラブロマンスとして「短くも美しく燃え」という一点に絞ったところがよかったと思います。限られた時間だったからこそ、終盤の展開に説得力が出てきます。あれは一応、ハッピーエンドとなるのでしょうか? 冒頭でコリアーが受け取った懐中時計など、説明のつかない部分もあります。しかし考えると、この懐中時計がうまい。この時計は1912年から1980年までの間を、永遠に巡り続けるわけです。2人の愛が永遠であることを象徴するかのように。しかもそのアイテムが時間を示す道具であることが、より暗示的です。その象徴としての時計が重要なのであって、その由来を詮索するのはあまり意味のないことだと思います。一瞬にして永遠の愛を、美しい映像と音楽で堪能する映画でしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-03-12 20:58:33)(良:3票)
12.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
印象をひとことで言うと、「懐古趣味の映画」でしょうか。時はまさにレトロブームのまっただ中。本作では、映画が娯楽の王様だった頃が懐かしくも楽しく回想されています。特にお客の騒ぎっぷりは、陽気なイタリア人らしいし、いかにも娯楽が少なそうな田舎の村が舞台というのも、効果を上げています。常連客は個性豊かで、映画を見ている人を映すだけでこんなに面白くなるとは思いませんでした。改めて考えてみると、どんな名画でも見ている人がいなければ、ただ布きれに光を当てているだけです。そういう視点に立てば、映画館では「観客こそが主役」であると言えるでしょう。その事をあざやかに描いてみせるあたり、監督は本当に映画が好きなんだろうなと想像します。 お話としては、やはりトトの少年時代が楽しいです。「子供と動物には勝てない」とはよく言ったもの。青年期もそれなりにいいのですが、よくある青春ドラマのパターンに陥ってしまい、強いインパクトを残さなかったことが残念です。しかし、観客の面白さはあいかわらず。そしてトトを育てるアルフレードの存在。主人公の「人生の師」として理想的なキャラクターで、作品を非常に締まったものにしていました。 映画館が本来の主役(?)だけに、破壊される場面ではこちらも感無量の気持ちになりました。その後、トトがエレナを映したフィルムを見るシーンもいいですね。それに比べると、ラストシーンはそれほどでもありませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-10 20:21:19)
13.  チャイルド・プレイ(1988) 《ネタバレ》 
人形を題材にした怪奇小説は昔からあって、江戸川乱歩の「怪談入門」にも人形怪談という項目があります。しかし本作のチャッキーは、それとは根本的に違っていそう。  人間の魂が人形に宿るという設定自体はホラーかオカルトですが、内容や演出は『13金』のようなスプラッター映画に近い。特にチャッキーが正体を現してからは、それまでと一転してアクション中心になります。終盤のしつこさもスプラッターの悪役かゾンビを思わせます。  その点では予想外だったのですが、これはこれで楽しめました。ユーモラスな場面も多々あり、観客を楽しませようという精神にあふれていました。シリーズ化されるのもうなずけます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-08-25 10:53:44)
14.  最前線物語 《ネタバレ》 
長い版があるとは知らず、2時間弱のバージョンで見ました。  戦場の悲惨さを熱くならず、クールに描いたところがよい。エピソードの連続なので、時にホッとしたり笑えたりするところがあるのもいいです。「生き残った者が勝ち」というのは、戦争のみならず人生そのものに当てはまることで、そういう点でも評価したいです。4人の若者はそれほど個性的に描かれていたわけではありませんが、現実的にはこんなものかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-20 10:54:16)
15.  男はつらいよ 寅次郎物語 《ネタバレ》 
男はつらいよ・母を捜して三千里編。そのあたりが中心で、実のところマドンナとの色恋沙汰はないのですが、どうも秋吉久美子という人は何を言っても台詞を喋っているようにしか聞こえないので、かえってよかったと思います。母親捜しの珍道中は手堅いできで、わりと安心して見ていられます。松村達雄の先生もいい味を出していました。早々に立ち去ろうとして秀吉に説教するあたりも寅さんの男気を感じさせていいのですが、泣かせてやろうというのが露骨に出ていて興醒め。「なんのために生きるのか」、「働くとはどういうことなのか」ということをさりげなく出していて、そのさりげなさが魅力的です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-10-24 20:02:38)
16.  炎のごとく(1981)
加藤泰監督、最後の劇場公開作品だそうです。会津小鉄会の始祖が主人公ですが、渡世の義理より女が大事というのが面白い。時代に翻弄されながらも我が道を行く仙吉が小気味いい。前半の倍賞美津子、後半のきたむらあきこと、ヒロインも魅力的です。菅原文太はとにかく怒鳴っているような印象で、普通ならあまり評価できないのですが、これは作品自体が熱に浮かされたようなところがあって(幕末が舞台のせいか)、そこにあって浮かずにうまくはまり込んでいるところは、監督の計算でしょうか。音楽がテレビドラマ風で安っぽいところが残念。2部に別れているのですが、それぞれが75分程度で、テレビなら90分枠で収まりそうです。もともとテレビドラマとして企画されたというのは考えにくいのですが、主人公を考えるとなきにしもあらずか? 構成は雑然としたところがあって粗いのですが、先に書いたような熱いところがあり、力業ではあっても捨てがたい魅力がありました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-04-17 10:59:11)
17.  バック・トゥ・ザ・フューチャー 《ネタバレ》 
普通に面白い。主人公がわざとらしくピンチになったり(トランクの鍵が中に落ちるという状況がよくわからないが)、父親が急に強くなったりと、ご都合主義な展開で盛り上げるのもそれらしいです。本作で一番評価したいのはテンポのよさで、2時間近くをダレずに楽しく見させるところは、おみごとでした。現在と過去の両親を同じ俳優が演じているというのも、面白いです。今見るといい意味で時代を感じさせるのは、タイムトラベルものの特権でしょうね。全体としてソツがなく、まとまりもいいのですが、逆にこれはというポイントがない。どこかとんがったところのある作品の方が、評価が高くなるものでしょう。  ついでに、古典的な探偵小説が好きな人間からすると、伏線というのは「そうだったのか!」と思わず膝を叩くようなもので、本作での「辻褄合わせ」(試験の答え合わせのような)は、およそ伏線と呼ぶに値しません。ドクの防弾チョッキぐらいですねぇ、感心したのは。とはいえ、だからつまらないというわけでもないですが。ギャグのネタとしては、十分機能していたと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-20 11:29:59)
18.  バベットの晩餐会 《ネタバレ》 
途中までは「おいしい食べ物は人の心を温かくする」とかなんとかいう話だろうと思っていて、実際そういう要素もありました。しかし、バベットが「芸術家は貧しくありません」というところに来て、膝を叩いたわけです。 お断りしておきますが、私は食べ物というのは栄養をとるためのものであり、味はよほどまずくなければ平気だし、料理が芸術なんてアホらしいというか、ある種の驕りだとしか考えていません。だから芸術云々はどうでもよくて、「貧しいか否か」がポイント。もちろん金銭的な貧富ではなく、精神的なものです。その点からいえば、主人公姉妹や彼女たちを取り巻く村人も、「貧しくはない」人々です。それが年を経るうちに貧しさが忍び寄ってくる。それがバベットの料理でふたたび心の豊かさを取り戻す、という結末でした。この「心の豊かさ」を描くために宗教が使われているわけですが、それはヨーロッパ人にとってわかりやすいからでしょう。信仰心が厚くても心の貧しい人はいるようで、宗教だからどうこう言うのはあまり適切とは思えません。また、姉妹に心惹かれながら去っていく男性が軍人とオペラ歌手(しかも得意なのがモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』)というあたりも暗示的で、うまく対比させていたと思います。 まあ、芸術というか、料理を作る過程もいかにもおいしそうに描いており、グルメ映画としても成功の部類でしょう。しかしそれ以上に、「清貧の高貴な魂」を慎み深く描いていたという点に引きつけられました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-02-28 20:13:30)
19.  ラルジャン 《ネタバレ》 
無駄を省いたドライでハードボイルドな映像は、それだけで引きつけられます。話の内容もある種非情な不条理劇ですが、偽札を使った人々がそれぞれ罰を受けるあたり、因果応報もちゃんと描いています。しかし主題は、運命に見放されたかのような男の、自分を陥れた「金」への復讐?(なのかどうかはよくわかりません) まあ、あまり理屈をこねるタイプの映画ではないでしょう。とりあえず、ある程度の魅力は味わえました。  ところで、ミサをラテン語で挙げていましたが、時代設定はいつなんでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-09 22:13:56)
20.  ながらえば<TVM>
「感動名作系」としては普通でしょうか。よくできていると思います。笠智衆と宇野重吉の場面など、静かですが見ごたえあり。まあ最近では、この主人公のような男性はめっきり減ってしまったでしょうから、そういう意味ではややリアリティに欠けてしまうところがありました。 それにしても、寺尾聰は親父さんに似てきましたねぇ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-11-29 20:21:18)
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