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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1882
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  キル・ユア・ダーリン 《ネタバレ》 
自分の好きなものを葬り去れ!これまでの退屈な詩や小説なんか全て切り裂いてしまえ!その向こうにこそ新たな文学の地平が拓けるんだ――。1943年、偉大な詩人を父に持つ若き学生アラン・ギンズバーグは、旧時代の体制や芸術などに反抗的な目を向ける青年ルシアンと出合う。彼を取り巻く芸術家や作家志望の若者たちと、酒やドラッグに溺れる刹那的な日々へと身を投じるアラン。いつしか同性愛にも似た友情を育んでゆく2人だったが、ある日、突発的な悲劇が訪れるのだった……。実話を基に、戦後アメリカ文学の一翼を担うことになる作家たちの若かりし日の破滅的な友情と挫折をドラマティックに描いた青春群像劇。僕が今もっとも注目している若手俳優ディン・デハーン君と、大ヒット作であるハリポタシリーズも終わってただいまちょっぴり迷走気味(?)のラドクリフ君が競演ということで、今回鑑賞してみました。なんですが、いやー、つまんなかったですね~、これ。とにかく何がやりたいのかさっっっぱり分からない登場人物たちが繰り広げる、何が言いたいのかさっっっぱり分からないストーリーに終始睡魔が……。特に、図書館に忍び込むシーンの意味不明っぷりにはびっくりです。挙句、最後に表示される「彼らはこの後、こんなにも大活躍したのだよ」と言わんばかりのテロップを読んで僕は「知らんがな!!」と思わず叫びそうになっちゃいました(笑)。この作品に携わった全てのスタッフたちに一言忠告して差し上げたい、「既存の映画という枠組みを葬り去ってやる!と意気込むのもいいけど、その前にもっと映画作りの基本もちゃんと勉強してください!!」。野獣のように鋭い目つきのデハーン君の相変わらずの格好良さに免じて+1点!
[DVD(字幕)] 4点(2024-05-18 15:17:33)(良:1票) 《更新》
2.  キャリー(2013) 《ネタバレ》 
「ねえ、ママ、どうして生理のこと教えてくれなかったの?あたし、みんなに笑われたんだよ。それとママがいくら反対したって、あたし、絶対にプロムに行くわ。たとえ、どんな目に遭おうとも」――。狂信的なまでに保守的で厳格な母親に大事に大事に育てられた大人しい少女キャリー。クラスメイトとうまく打ち解けることが出来ない彼女は、周りからの理不尽なイジメにずっと耐える苦しい生活を強いられていた。だが、まだ誰も知らない。キャリーには人智を越えた恐ろしい力が備わっていたことを。プロムの夜、いじめっ子が軽い気持ちでやった些細ないたずらがキャリーを追い詰める。それが恐ろしい惨劇を招くことも知らずに……。スティーブン・キングのデビュー作をブライアン・デ・パルマが映画化した名作の誉れ高い作品を、人気若手女優クロエ・グレース・モレッツ主演で現代風にリメイクした青春モダンホラー。デパルマ版の過去作はずっと昔に観たという記憶はあるのだけど、僕の好みにいまいち嵌らなかったのか、その内容はほとんど憶えていない状態でこの度鑑賞。うーん、観終わってすぐの率直な感想を言わせてもらえば、「ザ・無難」という言葉に尽きると思います。ストーリーの盛り上げ方も、映像の見せ方もキャラクターの描き方も全てが予想の範囲内の及第点クラスなんですよね。だから、クライマックスのキャリーの暴走もカタルシスがあってけっこう見応えあるし青春ドラマとしてもなかなかセンスを感じるし決してつまらなくはないんだけど、こうもう一つ何かが足りないという印象。あのジュリアン・ムーア演じるお母さんがもっとぶっ壊れてて一度見たら忘れられないくらい強烈なキャラクターだったりだとか、クライマックスの惨劇ももっとやり過ぎなくらい血みどろグチャグチャにしちゃうとか、そんなデパルマ版を少しでも追い越そうというようなエッジの利いた演出があればもっと良かったと思うんですけどね。クロエちゃんも頑張っていましたが、彼女はもっと元気もりもりキャラを演じたほうがその魅力を発揮できると思います。という訳で、まあぼちぼち面白かったかなって感じですね。うん、6点!
[DVD(字幕)] 6点(2024-05-18 15:12:21)《更新》
3.  エンダーのゲーム 《ネタバレ》 
「姉さんへ。僕はこれから敵の母星に程近い訓練基地に向かいます。そこで最終試験を受け、合格すれば、僕は侵攻艦隊を任されることになります。本当は嫌だけど、戦争は避けられないでしょう。姉さんの無事を祈っています。エンダーより」――。凶悪な異星生命体“フォーミック”の突然の襲撃により、滅亡の危機へと陥ってしまった未来の地球。人類は偉大な英雄の犠牲により、辛うじて敵を追い返すことに成功するのだった。だが、戦力を回復した敵の再襲撃が近いことは明白だった。人類は世界中から天才児を集め幼いころから英才教育を施し、彼らにすべての希望を託したのだった。その中の一人である聡明な少年エンダーは、訓練施設内で様々な葛藤を抱えながらも仲間たちと共に少しずつ成長してゆく。人類の未来を守るために……。数々の権威ある賞に輝くベストセラー小説を、ハリソン・フォード&ベン・キングスレー主演で映画化したごりごりのSF作品。徹底的に拘りぬいて創られたであろう、その美麗な映像は確かに見応えありました。冒頭の訓練施設内での、『フルメタルジャケット』のハートマン軍曹へのオマージュとも言える描写が象徴するように、SFの枠を借りながらも戦争がもたらす人間性の破壊とそれでも戦争を続けざるを得ない人間の宿命を寓意的に描き出す、その視線の鋭さには感服するものがあります。そして、この全編に横溢する半端じゃない緊張感にも圧倒されました。ただ…、あくまで個人的な好みなのだけど、僕はこういう登場人物誰一人として最後まで心の底から笑わず、ずっと眉間に皺を寄せて、延々とクソ真面目に任務を遂行するような超クソ真面目な作品って個人的に苦手なんですよね~。この子供たちっておならとかしないんですかね(笑)。それに、終盤辺りまで一向に敵と開戦しないものだから「あんたら何時まで訓練しとんねん!」と突っ込みそうになったら、最後に「実は…」という展開を見せるところも僕は「はぁ、マジで(怒)」って感じでした。そこのところを許容できるかどうかが、今作の評価の分かれ目でしょうね。でもまあ、通好みのハードSF作品として、「スタートレック」や「エヴァ」シリーズが好きな人は充分楽しめると思います。主人公エンダーを演じた少年の目力も凄かったですし。
[DVD(字幕)] 6点(2024-05-18 14:50:18)《更新》
4.  ムード・インディゴ うたかたの日々 《ネタバレ》 
フランス、パリ。蓄えられた豊富な財産で悠々自適な生活を送るコランの家には、不思議なものが溢れかえっていた。蛇口を捻ればは水の変わりにうなぎが飛び出し、呼び鈴を鳴らせばベルから足が生えて部屋中を這い回り、小さなネズミ人間がそこらじゅうを闊歩する……。でも、それはちっとも不思議なことじゃない。何故ならパリ全体がそんな摩訶不思議な現象で溢れているのだから――。ある日、そんなコランは友人のパーティーで出会った美しい女性クロエと瞬く間に恋に落ちるのだった。様々な困難を乗り越えてやがて結ばれる2人。だが、クロエの肺に睡蓮の種が迷い込んだことからそんな幸せいっぱいの彼らの生活に暗い影が忍び込む……。マジカルでポップ、独創的でシュール、そんな唯一無二の摩訶不思議な映像で描き出される、ストーリー自体はいたってシンプルなラブストーリー。僕のこよなく愛する『エターナル・サンシャイン』を撮ったミシェル・ゴンドリー監督が新たに挑んだのは、いかにも彼らしい冒険心に満ちた前衛的作品でありました。うーん、この監督の作品って観れば観るほどやっぱり「エターナル~」は奇跡の一品だったんじゃないかと思っていたのですが、本作を鑑賞して残念ながら僕の疑念は確信へと変わっちゃいました。何が駄目かって、この全編を彩るまるで監督が自分のセンスをひけらかすような映像の数々に必然性が一切感じられないこと。たとえば「エターナル~」では、そのシュールな世界観は脳内記憶消去というプロセスの中で主人公が見る観念的世界を映像化したという大前提があったからこそ素晴らしい作品となりえていたのです。ところが本作、その基本となる前提が成立していないから一向に作品世界に入り込めません。それに監督の独り善がりとも思える、意味不明な映像も多数あって僕はちょっぴりイライラさせられちゃいました。例えるならアリスの出てこない不思議の国の物語を延々と見せられただけ。観客が感情移入できる登場人物が一人も出てこない、なんとも締まりの悪い作品でありました。ミシェル・ゴンドリー監督、前衛的な作風へとアグレッシブに挑戦するのもいいけれど、今度はちゃんと中身のある充実した作品も撮ってもらいたいものです。あなたはかつて、『エターナル・サンシャイン』という傑作を創った人なのだから。
[DVD(字幕)] 4点(2024-05-18 14:35:10)《更新》
5.  オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主 《ネタバレ》 
「僕の名前はオッド・トーマス。何処にでも居る、いたって普通のフリーターだ。セレブでもないし、その子供や恋人ってわけでもない。でもここだけの話、僕の生活はほんの少し変わっているんだ」――。死者の霊が見えるという特殊能力を持った青年“オッド(奇妙な)・トーマス”。持ち前の正義感から、彼はそんな能力を活かして日々未解決殺人事件を解決へと導いたり、悪しき霊の仕業と思しき現象を封じ込めたりと人知れず世のため人のため尽力している。幼馴染みの超可愛い彼女ストーミーともラブラブ、とっても充実した毎日を過ごしていた。だがある日、彼は血の匂いに惹き寄せられる死神ボダッハが大量発生したことを知るのだった。きっとこれは大変なことが起ころうとしているに違いない!その日からオッドとストーミーは、死神たちが引き起こす恐ろしい大量殺人計画へと巻き込まれてゆく……。これまで肩の凝らない良質のエンタメ映画をいくつも撮ってきたスティーブン・ソマーズ監督が新たに挑んだのは、そんなシンプルなストーリーの青春ホラーアクションでした。冒頭から、この監督らしい小気味の良いスピーディーな展開と軽快でノリのいい音楽、死神や霊たちの適度なグロ描写、そして主人公オッドの青臭~いモノローグでぐいぐい引っ張る二転三転するストーリー等々なかなか面白かったですね、これ。まあ、ベタっちゃあベタですけど、この手の中2病的青春映画には珍しく主人公が初めから妄想力爆発なぐらい超リア充なとこはけっこう新鮮だったかも。特に、オッドの彼女ストーミーを演じた女の子が滅茶苦茶可愛いくてしかも性格もスタイルも抜群(そのホットパンツから覗くすらりと伸びた両脚なんてもう100点!!)で、そんな彼女とますますリア充爆発しちゃうクライマックスなんか観ていてちょっぴり(かなり?笑)腹立つくらいだったのだけど、最後の意表を突くラストシーンには完全にやられちゃいました。まさか、こうくるとは……。うーん、切ない!!というわけで、ちゃんとツボを押さえた楽しいアクション映画でありながら、最後は意外にも切ない余韻を残してくれる良質のエンタメ作品であったと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2024-05-10 13:43:47)
6.  フローズン・グラウンド 《ネタバレ》 
「奴は、羊を狙う狼のように次の娘に迫っている。そして犯し、必ず殺す。娘たちには一刻の猶予もない。だから、部長、捜査令状をくれ、今すぐに」――。1983年、アラスカ州。何人もの娼婦が誘拐され残虐な方法で殺されて死体となって発見されるという猟奇殺人事件が多発していた。そんな中、監禁されていた17歳の少女シンディが自力で脱出し警察署に保護される。彼女の証言を元に、すぐに容疑者としてハンセンという男が浮かび上がるのだが、有力な証拠は見つからなかった。そんな困難な事件を担当することになった、正義感の強いハルコム刑事。捜査を進めていくうちにハンセンが犯人であるという確信を得ていく彼だったが、まるで蛇のように狡猾な犯人はするりするりとそんな捜査の手を潜り抜けてゆく。やがて、とうとうシンディの元にも再び犯人の魔の手が迫るのだった…。実際にあった事件を基に、刑事と猟奇殺人犯、そして社会から疎外され孤独に生きてきた娼婦の決死の攻防をスリリングに描いたサイコ・サスペンス。最近、あまりにもトホホな作品への出演が相次いでいるニコラス・ケイジ&ジョン・キューザックという二大トホホ俳優が競演といういうことで、あまり期待せずに観たのだけど、結果はやっぱり「トホホ…」でしたね、これ。実話を基にしたから仕方ないのかもしれませんが、とにかくストーリーが分かりづらい!容疑者であるハンセンが普段何をしている人で家族関係がどうで心にどんな闇を抱えているのかさっぱり分からないから、こういう猟奇殺人モノに不可欠な要素“身も凍るような恐怖”が一切感じられず不満爆発!事実を追うだけなら単にドキュメンタリーや再現VTRを見ればいいのだし、少なくとも映画という芸術表現でもって人様からお金を貰おうとするのなら、映画として最低限のクオリティは確保してほしい。最後に表示される、実際に殺された少女たちもこれでは浮かばれないでしょうね。
[DVD(字幕)] 4点(2024-04-06 13:24:38)
7.  ハウス・バウンド 《ネタバレ》 
ATM強盗中にへまを犯し、警察に捕まった不良少女カイリー。未成年ということもあり、更生のために実家で数か月の保護観察処分という判決を受けた彼女は、保護観察官と一緒に久しぶりに実家へと帰ってくる。義父とともに静かな余生を送っていた母親は、渋々ながらそんな娘を受け入れることに。いろいろ衝突しながらも久しぶりに家族水入らずの生活を送る親子。だが、しばらくすると不可解な現象が家の中で多発するようになる。家のものがいつの間にか動いていたり、使った覚えがないのに電気代が高騰していたり、地下室から不審な物音が聞こえてきたり……。そしてとうとうカイリーは、地下室で霊と思しき存在を目にしてしまう。そう、ここは過去に凄惨な殺人事件があったいわくつきの家だったのだ――。果たしてこれは全て幽霊の仕業なのか。足首につけられたGPSのせいで家から離れられないカイリーは、怪奇現象オタクだった保護観察官ともに真相を究明しようと動き出す……。かんなり低予算で撮られただろうそんな本作、魅力的な登場人物たちがつむぐテンポの良いストーリーは観やすくてなかなか面白かった。かなりはねっかえり娘だけどどこか憎めない主人公やぐちぐち言いながらも結局娘に引きずられちゃう母親、オカルト大好きないかつい保護観察官。彼らのコミカルなやり取りはベタではあるけれど終始微笑ましくて大変グッド。ただ、ストーリー自体は率直に言ってありがち。序盤ゴリゴリのオカルト押しではじめといて中盤で実は……という展開は途中で読めてしまうし、けっこう突っ込みどころも多い。特に途中で主人公が義父をハサミで刺しちゃう展開は重すぎるし、その後も実家で暮らし続けるとかどんなけ甘々な警察やねん(笑)。そこら辺はもう少し考えてほしかった。ただ、中盤で真相はこういうことだったのかと思わせといてでも実は違いましたという、さらなるどんでん返しを見せる終盤はちょっと新しかったですね。「そうくるか~」って感じで。全てが明らかとなった最後の最後、それでもこの共同生活続けてんのかい!と思わず突っ込んじゃうオチはさすがに笑っちゃったわ。と、そこいらへんのユーモア感覚やところどころのホラー描写にけっこうセンスを感じたのでボチボチ面白かったかな。監督はこの後、ハリウッドでスマッシュヒットを飛ばしたホラー『M3GAN ミーガン』を撮ることになるジェラルド・ジョンストン。自分はそちらは未見なので、本作からどれだけ成長したのか今度期待して観てみようと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2024-04-06 09:16:51)
8.  50/50 フィフティ・フィフティ(2011) 《ネタバレ》 
「母さん、落ち着いて聞いてくれ。実は僕、癌なんだ。2日前に分かった。でも、大丈夫。ネット情報だけど5年後の生存確率は50%、カジノなら楽勝の勝率だよ、きっと生き残ってみせるさ」――。ラジオ局に勤める働き盛りの27歳の青年アダムは、愛する彼女や友人たちと充実した日々を送っていた。だが、ある日彼は、医師から重度の癌を患っていることを知らされるのだった。突然のことに、もちろん動揺を隠せないアダム。それでも彼は、周りの心優しい友人や恋人、セラピストの励ましを糧に、持ち前の楽観的な性格からなんとか前向きに生きようと試みる。施設から捨て犬を引き取ってみたり、思い切ってスキンヘッドになってみたり、自虐ネタで女の子をナンパしてみたり…。だが、そんな気丈に振舞うアダムも、とうとう癌という病と真剣に向き合わざるを得なくなってしまう……。若手脚本家が実際に体験したそんな重い事実を、反対に終始軽いタッチで描いた闘病物語。うん、評判どおりなかなか良かったですね、これ。まるでポップアイドルグループのPVのようなセンス溢れる映像と軽快な音楽でこんな暗いお話を、ちゃんと現実の理不尽さを直視しながらも最後まで小気味よく見せきるこの監督と脚本家の手腕は素直に素晴らしいと思います。若い女性カウンセラーとの恋愛描写もちょっぴりご都合主義っぽかったけれど、医師と患者との間で揺れ動く彼女のいじらしい姿にはけっこう胸キュンでした~。反対に、あの浮気しちゃう主人公の彼女のいかにもビッチって感じの描き方は、脚本家の相当の私怨が込められてますね(笑)。なんだか、同じくゴードン・レヴィット主演の男目線ラブストーリーの佳品『(500)日のサマー』を思い出しちゃいました。総じて、世に溢れ返る薄っぺらいお涙頂戴の闘病物語とは一線を画する、軽さと重さの間を絶妙のバランス感覚で描いた人間ドラマの秀作であったと思います。ただ…、主人公の親友であるカイルがあまりにもデリカシーのないやつ(こいつ、ホントに女とHすることしか考えてねーんじゃないのって何度も突っ込んじゃったし!笑)で、いまいち僕の好きになれないタイプのキャラクターだったんで、そこだけちょっぴりマイナスっす。
[DVD(字幕)] 6点(2024-04-03 12:57:59)(良:1票)
9.  最愛の大地 《ネタバレ》 
1992年、ボスニア・ヘルツェゴビナ。画家の卵である若き女性アイラと軍部隊将校である青年ダニエルは、仲の良い恋人同士としてささやかながらも幸せな日々を過ごしていた。だが、突如として民族紛争が勃発。ムスリムであるアイラとセルビア人であるダニエルは、そんな時代のうねりに巻き込まれ図らずも敵同士となってしまう――。収容所に投獄されたアイラは、日夜男たちからの理不尽な暴力とレイプに耐える屈辱的な日々を過ごすことに。かつての恋人を救うため、ダニエルはそんな彼女を軍専属の画家として雇うのだった。束の間の平穏を享受する2人。だが、泥沼化する紛争と民族浄化の嵐の中で、彼らの精神は次第に壊れ始めていく……。国連親善大使でもあるアンジェリーナ・ジョリーが初メガホンを取って描き出すのは、第二次大戦以降最大の人道危機とも呼ばれたボスニア紛争によって、運命を翻弄されるそんな恋人たちの悲劇を描いた重厚な人間ドラマでした。有名俳優は一切起用せず、最後までドラマティックな音楽も流さず、ただひたすら理不尽な現実に翻弄される市井の人々を淡々と追うことで、戦争がいかに人間性を破壊していくかを冷徹に見つめた彼女のそのストイックな姿勢には感服するものがあります。ただ、誤解を怖れずに言うと、そんな圧倒的な現実に対して肝心の物語が弱い。僕が映画に求めるものは、この世界は残酷で理不尽な暴力に満ち溢れていて人間は何処までも愚かで人生とは生きるに値しないのかも知れない、それでも生きていたいと思わせる何らかの〝言葉〟。あるいはラース・フォン・トリアーのように「この世は生きるに値しない」という絶望的な〝言葉〟でもいい、監督が極限まで考え抜いて絞り出した答えがそれなら僕は真摯に受け止めます。対してこの作品には、そんな心に響く〝言葉〟が乏しかった。これでは、遠くない過去に起こった――そして今でも世界の何処かで起こっているだろう残酷な現実をただ再現しただけに過ぎません。今も何処かで声にならない悲鳴を発し続けているだろう社会的弱者を少しでも救いたいというその思想には好感がもてるものの、今作を観るかぎり彼女に映画監督としての才能は乏しいと言わざるをえません。
[DVD(字幕)] 5点(2024-04-03 12:08:22)
10.  インターステラー 《ネタバレ》 
僕のこよなく愛する『インセプション』という傑作を撮ったクリストファー・ノーラン監督の最新作にして3時間に迫るSF大作ということで、久し振りにわざわざ映画館へ――。結論を言うと、無茶苦茶面白かったです。圧倒的なスケールで描かれる壮大な世界観、イマジネーションが奔流のように迸るスタイリッシュで洗練された美麗な映像、哲学的で難解なお話なのにそれを微塵も感じさせない考え抜かれたストーリーテリング……。特に、あの1時間経つと地球時間では7年もの年月が過ぎる水の惑星から帰ってきた主人公が、あの僅かな時間で既に27年も経っていたと知ったときの絶望感といったら凄まじかった。地球時間と宇宙時間のずれを見事に対比させることで、今まで誰も見たことのないような壮大なアクションシーンを創り上げたところなんか、さすが『インセプション』のクリストファー・ノーラン!ブラックホールを越え、予想だにしなかった世界へと迷い込んだ主人公が知る驚愕の真実には度肝を抜かれました。そして、最後に彼が娘との約束を果たすシーンは切なくてちょっぴり泣きそうになっちゃったし。そんな綺麗な円環を閉じながらも、物語は新たな旅立ちの余韻を残す希望に満ちたラストシーンを迎えます。ただただ圧倒されてしばらく席から立ち上がれませんでした。最近、この世界は結局唯物論であり、人間はDNAを運ぶための単なる容れ物にすぎないのではないか。愛だの神だの幸せだといった概念は、所詮は人間が作り出した生きるための勝手な理由付けなのだろうという虚無的な考えに捉われがちな僕なのですが、人間はそんな絶望を乗り越えうる素晴らしい観念(想像力)を持っているということをあらためて教わったような気がします。僕はこの作品から生きる希望のようなものをほんの少し得られました。個人的な好みで言えば『インセプション』の方に軍配が上がるけれど、こちらも映画史にその名を燦然と刻むだろう傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 9点(2024-03-30 12:47:10)
11.  ザ・コール [緊急通報指令室] 《ネタバレ》 
911。それはアメリカにおける、緊急通報システム。日夜、多種多様な人々からの様々な緊急連絡に対応してきた優秀なオペレーターであるジョーダンはある日、とある少女からの悲痛なSOSを受ける。今まさに猟奇殺人犯に捕まろうとしている少女の切実な叫びに、受話器越しに必死に対応するジョーダンだったが、彼女の致命的なミスにより、少女は数日後に遺体となって発見されるのだった――。6ヶ月後、以来現場から退き教官として後輩の育成にあたっていたジョーダンだったが、またしても幼い少女の誘拐事件が発生してしまう。犯人の車のトランクから携帯電話で必死に助けを求めてくるケイシーと名乗る被害少女。いてもたってもいられなくなったジョーダンは、そんなケイシーの命を救うため、再び現場へと復帰すると受話器越しに様々なアドバイスを与えてゆくのだったが……。猟奇殺人犯に拉致された少女と911のオペレーターとの電話越しの遣り取りをスピーディに描くサスペンス・スリラー。90分という適度な尺、小気味よく進む娯楽に徹したストーリー、相変わらずお美しいハル・ベリーの華のある熱演…。まあ、犯人があまりにも頭悪すぎ(死んだと思ってトランクに閉じ込めた被害者の男が実は生きていたって、犯人、脈ぐらい確認しろよー!てか、最初からケイシーを縛っといたら良かったじゃん!笑)ってところがちょっぴり失笑でしたけど、ツボを押さえたエンタメ作品としてはなかなか良かったんじゃないでしょうか。でも、それも中盤まで。ずっと受話器越しの遣り取りのみで被害者を救出すると思われた主人公が、何故かそんな司令室を飛び出して犯人のアジトへと乗り込んでいくって、おいおい(笑)。しかもそこから思いっ切り、『羊たちの沈黙(劣化版)』になっちゃってるし~。挙句の果てに、もうここまでベタでいくなら最後までベタで通してほしかったのに、奇を衒ったような変てこなラストシーンを迎えちゃいます。いやー、いろいろと残念賞な作品でありました。ハル・ベリーの相変わらずスタイル抜群のナイスバディと、反対に誘拐された少女の妙にエロいムチムチ・ランジェリー姿に+1点!
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-27 14:16:10)
12.  ノア 約束の舟 《ネタバレ》 
ダーレン・アロノフスキー監督が巨額の予算を投入して描き出す、旧約聖書中のノアの箱舟の物語を元にした壮大なるスペクタクル巨編。現代ハリウッドの第一線で活躍する監督たちの中でも、僕がその次作を心待ちにする数少ない傑出した才能の持ち主であるアロノフスキー監督。彼のそんな待望の最新作なのですが、これがこれまでの素晴らしいフィルモグラフィーの中で僕が唯一「これはさすがに失敗作やろ~」と言わざるをえない『ファウンテン』という作品を髣髴とさせる問題作でありました。うーん、確かに唯一無二の壮大なる世界観や哲学的で難解なストーリーなどはまぁある一定の水準に達してはいるのだけど、観終わってすぐの率直な感想は、「とはいえ、さして面白くはないよね、これ」でした。旧約聖書はずっと昔に所謂「モーセ五書」だけは読んだのだけど、ノアの箱舟ってこんな話でしたっけ?なんだか神の意思なら我が子をも殺すアブラハム(確かそんな名前だったと思うけど自信なしッッ)の物語とごちゃ混ぜにしているような印象が?まあ、そんなことはどうでもよくなるくらい映画としてみれば普通に退屈でした。特に、画的にも地味な前半1時間はまだ箱舟出来ていないのに、僕の意識が睡魔という名の荒波に漕ぎ出しそうになっちゃったし(ZzzZzz…)。大洪水が起きてからの後半はちょっぴり盛り返したものの、その結末があらかじめ分かっている展開にやはりのめり込めず…。監督、世間では失敗作と評される『ファウンテン』のリベンジをしたかったのかも知れないけど、完全に返り討ちでしたね、これ。うーん、こういうのはこれでもう終わりにして、次は『レスラー』や『ブラックスワン』といった、人間の心の闇や弱さを鮮やかに照射してみせる傑作をまた撮っちゃってください!期待して待ってるよ~ん☆追記・この後、監督はやはり聖書をテーマとした問題作『マザー!』を撮って無事撃沈(笑)。世間からどれだけ悪評を得ようとそれでもやりたいんだったら、僕はもう止めません……。
[DVD(字幕)] 5点(2024-03-27 13:37:59)
13.  大統領の執事の涙 《ネタバレ》 
アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン――。約30年にわたり、そんな7人の名だたる大統領に仕えた、ホワイトハウスの実在の執事セシル・ゲインズの物語を黒人の人種差別との戦いの歴史の中に描き出す社会派ドラマ。物語は、主人公セシルが幼少のころ、まだ黒人が奴隷と変わらない扱いを受けていた今世紀初頭の農場の描写から始まります。その後彼がひょんなことからホワイトハウスで勤めるようになると、社会ではキング牧師やマルコムXといった黒人運動家たちも台頭する。セシルがホワイトハウスで着実にキャリアを積んでゆく中、彼らが起こした公民権運動は道半ばで暗殺や暴力で中断されることに。それでも彼らの“ソウル”を受け継ぐ者たち(主人公セシルの息子もその一人)が地道に活動を続けて、やがて自らの権利を獲得してゆく様を重層的に描き出したところはなかなか見応えありました。この監督らしい、個性豊かな黒人たちをソウルフルに描き出す手腕は今作でも健在。歴代大統領たちとのエピソードも、ちょっとあっさりし過ぎな感もあったけど、豪華な役者陣の熱演もあり素直に良かったと思います。ただ、本作の胆となるだろう、執事としての職務と黒人としてのアイデンティティとの狭間で揺れ動く主人公というテーマがいまいち深く描かれていなかったのが残念。白人に母をレイプされ、父親までも殺され、さらには2人の息子まで奪われそうになる主人公。ここまで理不尽な目に遭いながらもそれでも職務を優先した彼の、抑えきれない魂の雄叫びみたいなものを僕はもっと観たかった。強大な苦難に立ち向かうマイノリティたちの普遍的なドラマとして充分見応えある作品に仕上がっていただけに、惜しい。本作品で全黒人たちの希望の星のように描かれ、あまつさえこれを観て涙を流したと喧伝されるオバマ大統領。彼が就任中、白人警官による17歳の黒人少年射殺事件に端を発する全米規模の大暴動になんら有効な手立てを打ち立てられなかったことを思い返すと、人種差別という病理の根深さに気が滅入る思いです。でもいつか、肌の色など関係なしに全ての人々が平等に暮らせる日がやって来ることを――たとえそれが恐ろしく困難なことだとしても、僕は願ってやみません。
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-23 15:32:26)
14.  LIFE!(2013) 《ネタバレ》 
超有名雑誌『ライフ』を発行する出版社に勤めながらもネガ管理室という地味な部署でこつこつと地道に仕事を続けてきたサラリーマンのウォルターは、ことあるごとに空想世界へと逃避する冴えない独身男。ある日、そんな彼の会社が経営危機に陥り伝統あるライフも休刊することになってしまう。途方に暮れるウォルターの元に、ずっと雑誌の表紙写真を撮り続けてきた世界をまたに駆ける伝説の写真家から、「これは俺の最高傑作だ。これこそ“ライフ(人生)”。まさに伝統あるライフ誌の最後の表紙を飾るにふさわしい」というメッセージと共に数枚の写真が届けられる。誰かの親指、海に浮かぶ小さな漁船、なんだか分からない謎の写真……。だが、すぐに彼は重要な事実に気づくのだった。「あれ、肝心のそのネガだけ入ってない!」。負け続きのこれまでの自分の人生を変えるため、そして想いを寄せるシングルマザーの同僚の気を惹くために、ウォルターはその孤高の写真家を追って広大な世界へと旅立ってゆく――。決して勝ち組とは言えない人生を送ってきた冴えない中年男のそんな人生を変える大冒険をコミカルに描いたヒューマン・ストーリー。うーん、確かにその狙いは分かるのだけど、生まれつき心根がひん曲がった生来のひねくれ者である僕にとってはまったく共感出来ない内容でしたね、これ。「人生は幾つになっても再チャレンジできる!」「チャレンジしないで後悔するより、チャレンジしてから後悔する方が良いに決まってる!」「どんなに地味な人生を送っている平凡な人でもいつかは光り輝く日が来る!!」「だから人生って素晴らしい!!!」と言わんばかりの暑っっっ苦しいメッセージの押し付けに途中からゲンナリしちゃいました。その予告編を見て、駄目中年男の妄想力が大暴走しちゃうハチャメチャコメディだと思って鑑賞した自分としては、完全に肩透かし。要は、こういう明日も前向きに生きていこうと思えるようなド直球の人生賛歌を素直に楽しめる程の心の美しさを僕が持ち合わせていなかったということなのでしょう。すんません、ひねくれ者で!4点!
[DVD(字幕)] 4点(2024-03-23 15:00:53)
15.  セイフ ヘイヴン 《ネタバレ》 
「久し振りです、あの時は助けてくれてありがとう。落ち着いたら連絡する約束だったわね。おかげで私は今、安全な場所に居るわ。心配掛けてごめんなさい。でも、ここは本当に良いところなの」――。第一級殺人事件の容疑者として、警察から追われる身となったケイティ。刑事の決死の追跡をなんとか逃れた彼女は、高速バスへと乗り込み、アメリカ南部の小さな港町へと辿り着く。身分を隠し何もかもを捨ててそんな小さな港町で新たな生活を営むことになったケイティは、そこで男手一つで幼い2人の子供を育てる雑貨店店主アレックスと出逢う。数年前に妻を癌で亡くしたという彼に次第に心惹かれていくケイティだったが、執念深い刑事の捜査網がそんな彼女の幸せな日々を次第に追い詰めてゆく……。これまで、市井の中に生きる様々な人々の人生の一瞬のきらめきを瑞々しく切り取ってきたラッセ・ハルストレム監督の最新作は、そんな恋愛小説の新たな名手と称される作家のベストセラーを原作とした大人のラブストーリーでした。小さなヨットが美しい波間に揺れる静かな港町を背景に、色んな困難を抱えながらも常に前向きに生きる純朴な田舎の人々や大人社会に翻弄される何も知らない無垢な子供たち、そして現れる女を暴力で支配しようという自己中心的な男…。もうまさにハルストレム節と言ってもいいようなそんな個性豊かな魅力に満ちた田舎の人々をセンス溢れる映像で描き出す手腕は今回も安定感抜群でした。さすがにちょっぴりマンネリ気味な感はなきにしもあらずだけど、主人公ケイティが殺人事件の容疑者というミステリアスな設定が良いアクセントとなっていて素直に面白かったです。スタイル抜群のそんな超美人な彼女が、胸元ざっくり開いたTシャツ&短パン姿でチャリンコこいでるとこなんか健康的なエロティシズムが炸裂してて劇中のアレックス同様、僕のハートもイチコロでした(笑)。ただ…、最後のあのまさかのオチは自分的にはちょっぴり蛇足感があったけど(あの唐突な夢のお告げはそういうことだったのですね!)。うーん、自分としては最後までリアル路線で貫き通して欲しかったかな~。それでも、理不尽な現実に翻弄される男と女の切ないラブストーリーとして充分魅力ある作品に仕上がっていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2024-03-15 13:25:42)(良:1票)
16.  ブラインド・フィアー 《ネタバレ》 
真実を伝えるためならどんな危険をかえりみない勇敢な戦場カメラマン、サラ。政情不安に揺れるアフガニスタンで取材中だった彼女はある日、テロリストの自爆攻撃に遭う。なんとか一命は取り留めたものの病院のベッドで目覚めてみると、彼女は自分が視力を完全に失ってしまったことを知るのだった――。3年後、当然のように引退を余儀なくされ、以来金融トレーダーである恋人と1匹の猫と共に豪奢なペントハウスの一室で平穏な生活を送っていたサラ。大晦日、そんな彼女がいつものように買い物から帰ってくると、そこには血の海に沈む恋人の死体とある〝もの〟を捜し求める凶悪な殺人犯が待ち構えていたのだった……。完全なる暗闇の世界に生きる盲目の女性と目的のためなら手段をいとわない冷酷な殺人犯との息詰まるような攻防を描いたサスペンス。冒頭、鼻歌を歌いながら自室のリビングでくつろぐ主人公サラ、そこに床に転がる血だらけの彼氏の死体が映り込むのに盲目の彼女は何も気付かず買ってきた物を冷蔵庫にしまいだす、そして背後には誰とも知れない男の影が……。というスリリングなシーンで、「お?もしかしてこれって面白いかも」と思わせる本作、でもその後の展開ははこれまで凡百のサスペンス映画で散々見尽くしてきたような凡庸な展開が。うーん、これで脚本がしっかりしていればまだ見られたものになっただろうに、まあ見事なまでにこちらの期待値を下回ってゆきます。捕まえた主人公が盲目だからって「何、寒い?いいだろう。今、ロープを解いてやるから自分で服を着ろ。あ、俺はあっちで電話してるから」ってこの犯人アホですか(笑)。案の定、次のシーンでは主人公に殴られて逃げられちゃってるし…。それに、後半の隠されたダイヤを巡る緊迫?の心理戦も無理やり話を引き伸ばした感が半端ない。挙句、ラストシーンでの「13階のベランダから落とされたあの黒猫ちゃんも無事に生きていたんだよ。だって猫って運動神経いいしさ。びっくりした?あはは…」って感じの、動物愛護団体&猫好きな観客への配慮に満ちた黒猫さん再登場…。ま、簡単に言うと「つまんねー映画!」でした。終わり。
[DVD(字幕)] 3点(2024-03-15 12:22:08)
17.  少女は自転車にのって 《ネタバレ》 
いまだイスラム教に厳格な保守層が支配する中東の大国、サウジアラビア。そこでは、女性たちはいまだ抑圧された窮屈な生活を強いられている。家族以外の男の前では全身を覆うスカーフを身に纏うことを強制され、お洒落をすることはおろか、車の運転をすることすら禁じられているのだ。思春期を迎えたばかりの幼い少女ワジダもまた、そんな抑圧された社会に疑問を感じながら暮らしていた。それでも、親や教師の目を盗んでは欧米の自由なポップソングをカセットで聴いたり、幼馴染みの少年と追いかけっこしたりして、ワジダはなんとか自分らしさを保っている。そんな中、彼女はとある店先でまるで自由への象徴のような格好良い自転車と出逢ってしまう――。女性が自転車に乗ることすら憚られるサウジアラビアで、必死に自分らしく生きようともがく少女の健気な姿を淡々と描いたアカデミー外国語映画賞候補作。詳しい経緯はあまりよく知らないのですが、そんな厳格なイスラム社会で女性監督がこのように挑戦的――まがりなりにも先進国の一員である我々にとってはあくまで普通のことなのですが――な内容の映画を撮れたことに、まずは賛辞を贈りたいと思います。DVDに収録された特典映像によると、本作はサウジ国内では上映不可能とのこと。少女が自転車に乗るというなんてことない映像ですら表現できない社会がいまだ存在しているという事実にあらためて驚かされてしまいます。さて肝心の内容ですが、とにかく主人公ワジダを演じた女の子のキラキラと輝くような笑顔がとても魅力的。そんな彼女が自転車が欲しい一心でコーラン暗唱大会に必死で挑む姿には素直に共感出来ました。変に政治的なメッセージを強調せず、あくまで一人の少女の日常を切り取ることで、サウジ社会が抱える問題を淡々と炙りだしたところも良かったと思います。ただ、あまりにもゆっくりとストーリーが進行してゆき、最後までいまいち心に残るシーンやエピソードに出会えなかったところが少々物足りなくも感じてしまいました。それでも最後、しっかりと前を見据え自転車を漕ぎ出すワジダのその凛とした後姿は、良い余韻となっていつまでも僕の心に残りそうです。いつの日か、彼女のような女の子が普通にお洒落したり恋をしたり自転車に乗って何処までも自由に旅をしたり出来る日がやって来ることを祈らずにはいられません。
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-07 11:11:58)
18.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》 
「私、誰かとベッドインするのって苦手なの。必ず泣くか笑うかどっちかなんだ」「そうなんだ…。じゃあ、僕らは友達のままでいよう」「いいの?」「うん、その方が僕らにとっていいような気がするんだ…。そうだ、知ってる?今日、7月15日は聖人の祝日なんだよ」「へえ、詳しいのね。私たち、来年の今日とかいったい何しているのかな」――。1988年7月15日、大学の卒業式の夜になりゆきでベッドイン寸前までいったエマとデックス。恋愛よりも友情を優先した彼らは、以来“友達以上、恋人未満”という微妙な関係を保ったまま社会へと出てゆくのだった。エマはバイトしながら作家を目指し、デックスはテレビの司会者として成功し数々の女の子と浮名を流す。それでも、彼らは共に過ごした7月15日を忘れたことはなかった……。とある男女の23年にわたる恋と友情を、それぞれの年の7月15日のみをクローズアップして描き出す意欲的なラブストーリー。僕の行きつけのビデオ屋さんの恋愛コーナーで、ずっと「(500)日のサマー」という僕のお気に入りのウジウジ系ラブストーリーの隣に並べてあった本作。あっちが500日ならこっちは1日だ!って感じの意欲的な設定に惹かれて今回鑑賞してみました。なんですが、完全にアイデア倒れで終わった印象が拭えない作品でしたね、これ。率直に言ってこれ、7月15日である必要性あります?べつにその年のある日の出来事だけで普通に成立しますやん。それに時間の都合か端折られている年もあるし、1年のうちの1日だけって設定の縛りが全然上手く機能していませんって。「この日は何があろうとキスしよう」だとか「どんなに忙しくてもこの日は連絡を取り合い、どちらが幸せか比べあおう」くらいの縛りを作ってくれんと、この設定は活きてこないですよ!それにこの二人って結局、お互いの恋愛が駄目になったときの保険としてお互いを利用しあってません?彼ら双方の恋人目線で見たら、超ウザいっすよ、こいつら。「お前ら結局、失恋した時のために保険かけとんのかい!」って。そして、最後のいかにもお涙頂戴といった伏線も何もない唐突な展開……。うーん、なんと薄っぺらい(笑)。と、いう訳で、「(500)日のサマー」と比べると圧倒的にあちらの方に軍配が上がるウザウザ系ラブストーリーでありました。けっこう期待してレンタルしてきただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2024-03-07 10:57:52)
19.  フィルス 《ネタバレ》 
イギリス、スコットランド。薄暗い地下道である日、留学中の日本人青年が何者かに暴行されて死亡するという凶悪な事件が発生する。捜査を担当することになったブルース刑事は、過去のある出来事をきっかけにアルコール・ドラッグ・セックスにボロボロに溺れるどうしようもない“フィルス(くず)”刑事だった。事件の捜査など二の次、ただひたすらどん底へと堕ちてゆくような生活を送るブルース。そんな中、離婚したはずの妻が彼の目の前に現れて……。果たして、ブルースは無事に殺人事件を解決し人生を立て直すことが出来るのか?青春ドラッグムービーの古典的名作『トレインスポッティング』の原作者であるアーヴィン・ウェルシュの破天荒な小説を、ジェームズ・マカヴォイ主演でシニカルかつエネルギッシュに映画化したクライム・コメディ。まぁ原作者が同じだから当然なんでしょうけど、いかにもトレスポ・テイストな作品でしたね、これ。八方塞がりのどうしようもない駄目駄目青春を送っていたあのジャンキーたちが、そのまま大人になって何故だか刑事になっちゃったような駄目中年どもの駄目駄目日常を同じようにスタイリッシュで猥雑に、そしてスピード感溢れる演出で描き出そうと頑張っている。でも、出来上がってみたものは残念ながら『トレインスポッティング』には到底及ばない残念な代物でありました。全編を通じて言えるのは、とにかく下品!「トレスポ」ではそんなガサツで品のないエピソードを描きながら、それでもそこに何故だか上質のユーモアを漂わせていたところが名作たる所以なのですが、今作はひたすら下品なだけの描写が延々続き途中から僕はもうウンザリしちゃいました。特に、あの誰のポコ〇ンが一番デカいか女たちに当ててもらおうという馬鹿丸出しゲームで、皆で並んで自分のナニのコピーを撮りにいく刑事どもには、「お前ら、とっとと仕事せいや!!」と殺された日本人青年に代わって怒り狂いそうになっちゃいました(笑)。ラスト、奇を衒ったようなあのへんてこなオチにも別段心を揺さぶられることもなく…。いかに『トレインスポッティング』が優れた作品であったかをあらためて再確認した次第であります、はい。
[DVD(字幕)] 4点(2024-03-07 10:32:30)
20.  SHAME -シェイム- 《ネタバレ》 
皆さん、都会で生きていると、たまに疑問に思うことはありませんか?街のいたるところに存在するコンビニに入れば、その雑誌コーナーの片隅には必ずと言っていいほど、いかがわしい雑誌――敢えて下世話な言い方をすればエロ本の棚が存在しています。ビデオ屋さんの18禁コーナーに入れば夥しい数の他人のセックスを収めたDVDが並び、ネットを開けば簡単に過激な動画を見ることが出来ます。電話を掛ければ、そういう女の人がすぐにやって来てくれ、繁華街に行けばさらに過激な性的サービスを供給してくれるお店を利用することが出来ます。なのに社会では、電車に乗っていると日常的に人身事故に出くわし、理不尽な暴力事件はあとを絶たず、幼児虐待やストーカー殺人などといった悲惨な事件も一向になくなる気配はありません。そして世界の何処かでは今も戦争が続き、貧困や飢餓が貧しい人々を苦しめている。それでも僕たちは自分の性欲を満足させるためにエロ本を買い風俗店に足を運ぶ。人のことなどどうでもいいと言わんばかりに……。いったい人間とは何処まで愚かな恥ずべき生き物なのだろうって。本作の主人公であるサラリーマン、ブランドンもそんな都会の片隅で、まるで日々恥の上塗りをするかのような刹那的な日常を生きている。行きずりの女と愛のないセックスに溺れ、商売女を自宅のマンションに呼んで快楽を貪り、あまつさえ仕事中にトイレにこもっては自慰行為に耽る…。なのに少しも満たされない孤独な心を抱えた彼の元にある日、「何処にも行き場所がないの!お願い、ここに住まわせて…」と、同じく鬱屈した日々を送っていた妹のシシーが転がり込んでくる。お互いの孤独を敏感に感じ取った2人でしたが、少しも正直になれない彼らはすぐに互いの心を傷付け合い、ますますその閉塞感を強めてしまうのでした。そして彼らは自らが生きる理由すら次第に見失ってゆく……。そんな愚かな人間たちの姿を冷徹に見つめながらも、物語は最後、微かな――今にも消え入りそうな本当に微かな希望の残像のようなものを残して静かに幕を閉じます。正直、見れば見るほど気が滅入るような作品なのですが、美麗な映像と実力ある役者陣の熱演、そして何よりも悲哀に満ちた美しい音楽とによって、胸を打つ哀切な人間ドラマへと見事に昇華されている。素晴らしいとしか言いようがない。人間は誰もが“恥(シェイム)”を抱えた愚かしい生き物、それでも人は幸せを求めて必死に生きてゆく。そんな当たり前のことをあらためて教えてくれる、美しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2024-03-01 12:39:51)
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