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性別 男性
年齢 53歳

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81.  ラストミッション 《ネタバレ》 「病で余命幾ばくもない殺し屋」だなんていう、実に“いかにも”な設定ですが、そこから連想するテイスト(要するに「孤独」というヤツですが)とはひと味もふた味も違った作品です。別居していた妻との関係もさることながら、娘との関係というのが物語の中心に描かれていて、ユーモアいっぱい。アクションは確かに見せ場ですが、それ以上に、演出の図々しさ(省略であったり、強引さであったり、反復であったり)が実に楽しいのです。主人公と娘との関係というテーマ、これ自体は正直、時間をとって描く割にはさほど繊細に描かれているようには思えないのですが、その代わり、「父と娘」の組み合わせが複数の家族にわたって登場する面白さ、さらにはそれが、主人公と謎の女性ヴィヴィとの不明瞭だった関係にも投影されていくようなラストのうまさ。なかなか意表をつまれる作品でした。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-04-18 09:11:43)

82.  最強のふたり すみません、どうも面白さがわからない…。全身がマヒした大金持ちと、貧乏なチンピラ兄ちゃんとの、要するに凸凹コンビなんだろうけれど、これがイマイチ凸凹コンビになってないのです。このふたりの間に、あまりに緊張関係と呼べるものがなく、最初から最後まで、ただ馴れ合いを見せられているようで。貧乏青年ドリスの存在が、茶番じみた上流社会を外部から批判的に見る役割となろうところも、彼の言動はただ単にTPOをわきまえない点で非常識なだけで、内容的には極めて真っ当、ある意味平凡。車いすの金持ちフィリップは、そんなドリスの言動を、ただ待ちかまえて受け入れるだけ。それって面白いの?と思っちゃう。釣りバカ日誌の方が、よほど楽しめるんだけどな、と思っちゃう。[CS・衛星(吹替)] 4点(2015-02-23 22:40:48)

83.  ミニミニ大作戦(2003) あの支離滅裂意味不明なまでに素敵に仕上げられた『ミニミニ大作戦』を、わざわざ「意味不明でない形」、つまりありきたりな形にリメイクするする必要があるのか(さらにはこの恥ずかしい邦題まで復活させる必要があるのか)とは思うのですが……しかしコレ、意外に面白いのです。敵がヘリから監視しているのに、何でわざわざあんな目立つ色のクルマをつかって金塊強奪をたくらむのか、と言えば、カーチェイスに見栄えがするから、ですね。ハッカー野郎が何であんな場所で作業してるのかも、何だかわからないけれど楽しいし、本作も十分、アホなことやってくれてますね。なかなかうまいリメイクだと思うのですが、どうでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-02-18 23:05:36)(良:1票)

84.  グランド・イリュージョン マジックのタネを知りたいという我々の下世話な欲求に乗っかった作品(しかし出てくるトリックは、乱歩の怪人二十面相モノ並み、という気もするけど)。さてこれが面白いのかというと、うーん、「トリック解説」という説明的な表現を超えられていないのが、ちょっとツライかな、と。ホントは(小説でも映画でも)まさかその場面にトリックがあると思っていなかったところにトリックがあった時にこそ、驚きがあるんですけどね。いや本作でも少しそういう趣向はあったりもするけれど、最初から作品の中で“ミスディレクション”という概念を強調しまくってるもんだから、そりゃそう簡単にはこちらも驚きません、驚けません。というわけで、本作の楽しみはトリックよりもむしろ、後半に展開するアクション(前半は少しダレる)。マジックを駆使して追手と戦う、ってのは、まあそれなりに楽しい。だけど、「マジシャンだから、とにかく色々できるんです」的な単発のツマラナさもあって、これを思うと、特殊効果マンの活躍を描いた『F/X 引き裂かれたトリック』って、あれは面白い作品だったな、とも思い出してみたり。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2015-01-11 09:58:56)

85.  ジャッカルの日 《ネタバレ》 私の場合は、映画を最初に観たのは随分昔で、かなり後になってから原作小説を読んだのですが。いやあビックリしました、面白いの何の、この小説(笑)。映画の方は、どっちかとうとドキュメンタリータッチの抑えた表現で、劇中で実際に背景に聞こえてくるBGM以外、音楽も無し。原作小説も、ノンフィクション小説風(現実の事件の関係者に取材し、そこにフィクションが織り交ぜられる)ですけれども、後半の盛り上げ方がとにかくスゴい。一気に広がる捜査網と、それを掻い潜ってターゲットに迫るジャッカル。追うルベルの焦り。ジャッカルの暗殺失敗からルベルとの対決に至る場面なんて、映画の方が実際の時間の流れに忠実なところがあって、小説の方がむしろ映画的とも言える、一瞬時間が止まったような緊張感あふれる筆致なんですね。こういう、原作と映画化作品との、不思議なアプローチの差異が、意外性があって面白いところ。映画の方が小説よりも一見地味なんですけれども、これは、映画でも小説と同様に煽るような描写に走ってしまうと、オーバーになってかえってシラケかねない、ってこともあるだろうし、それだけじゃなく、つまり映画が単に地味路線なのではなくって、映画ならではの緊張感がここにはあります。冒頭の暗殺未遂からOAS幹部の処刑に至る、畳み掛けるようなスピーディーな描写。中盤はジャッカルの行動と捜査側の様子がじっくり描かれますが、各エピソードが(特にジャッカルの行動にまつわる部分が)、あと数秒ないしあとワンカットあるのが普通かな、というタイミングで切れて、次のエピソードへ移行していき、小説とは異なる形でのテンションが維持されています。そしてクライマックスのパレードの場面、集まった群衆の光景と軍楽隊の音楽とが、もうどうにも引き返せない、どうにも止められない焦燥感に繋がって、小説とは異なる形での盛り上がりを見せます。実際、今回久しぶりに観て、というかかなり記憶が薄れていたので初見のつもりで観ていたのですが、それでもこのクライマックスシーンは強い印象が残っていて、懐かしき興奮を再び味わうことができました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-03 10:32:32)(良:1票)

86.  ターミネーター2 《ネタバレ》 まー要するに「考え過ぎ」というヤツですね。一作目よりも強く一作目よりも不死身の敵役を設定しようという意図が見え透いてしまった時点で、何をやっても驚きは半減、グダグダにならざるを得ない。ついに敵をヤッツケたと見せて、どうせまた復活するんでしょ、とか観客に思われちゃ、立つ瀬がありません。倒しようの無い敵を倒しても、八百長にしか見えなくなっちゃうし……とかいうのは、初めて観た時の感想であって、今となってはそれも、御愛嬌。本作、そりゃ悪いところもあれば、いいところだってある。別の場所にも書いたけど、シュワ型ターミネーターのポンコツぶり、銃の効かない相手に対しひたすら銃で対抗することしか知らない愚直さは、なかなか捨てがたい魅力があります(その代わり、1作目で築いたイメージは犠牲になってしまったけど)。あと、1作目には、「夜」のイメージが強くって、シュワ型ターミネーターの登場するシーンのすべてが夜という訳じゃないけれど、とにかくこの「夜」のイメージがシュワ型ターミネーターの不気味さに繋がっておりました。そしてこの2作目にも確かに、作品自体には「夜」のイメージが引き継がれています。サラ・コナーの病院からの逃走場面しかり、ヘリとのチェイスシーンしかり。その一方で、今回のシュワ型は悪役ではない訳ですから、「夜」のイメージから敢えて引き離すように、砂漠の陽光の下に引きずり出されもします。これも悪くないと思います。ただ、今回のT-1000には、1作目のシュワ型ほど強いイメージを持たせられなかったのが、とにかく本作の一番弱いところ。我々が驚き魅了されるのは、液体金属ターミネーター・T-1000を描写するCGの威力ではあっても、T-1000の存在の不気味さそのものに対してじゃない。例えばトレーラーとバイクのチェイスの後、T-1000が液体金属状態の姿を我々に曝すあの場面、あれは「液体金属とはこういうものだ」とか「どこかの誰かみたいにトレーラーが爆発しただけで情けない骨組み姿にはなったりはいたしません」とかいうことの“説明”でしかなくって……あまりにおおっぴら過ぎ、あまりに健康的過ぎ。もうちょっとT-1000の不気味さを感じさせる演出がなかったのか、と思っちゃう。T-1000は絶対、損してます。[映画館(字幕)] 7点(2014-10-24 21:11:32)

87.  天井桟敷の人々 第一幕、第二幕の二部構成。第一幕は登場人物が一通り出そろったところで終わり、という感じ。幕間の6年間に登場人物たちはそれぞれの道を歩み、第二幕で再び皮肉な再会を果たす。ドラマについては全体的に、ややセリフ過多な印象もありますが(ただし説明セリフに堕することはない)、劇中劇として繰り広げられるパントマイム劇が、それと好対照をなしていて、無言の舞台に引き込まれます。と同時に、セリフ劇にこだわるフレデリックと、パントマイマーのバチストとの対比もそこにはあります。飛び入りのように獅子の着グルミで舞台に立ったフレデリック、おそらくは肉体で客を沸かせる才能の持ち主でもあろうけれど、本人はセリフにこだわり、陳腐な詩を口ずさみ、後に別の劇団でシェイクスピア俳優として成功するけれど、その舞台はなんだかさらに陳腐。その一方、肉体で演じることに関しては雄弁だけど(パントマイムによる目撃証言!)それ以外はひたすら不器用なバチストの存在は、さらに純化されていき、それは周りにも影響を与えていく。映画冒頭の雑踏シーンが圧巻ですが、その雑踏から生まれ出てきたような登場人物たちが、映画を通じてその存在感を明らかにし、互いに複雑な関係で結ばれ、そしてラストでは、その雑踏によって引き裂かれていく。いやはやすごいラストシーンです。……映画中盤、ドラマを断ち切ってしまうような「省略」があり、もう少し描いて欲しかった部分もあるのですが……。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-27 09:32:32)(良:1票)

88.  狼の挽歌 いつもにも増してバカボンパパ似のブロンソン、なのにシブい、シブ過ぎるハードボイルド。彼が演じる主人公は寡黙な殺し屋。そりゃまあイタリア語のセリフをブロンソンがペラペラまくしたてても変なので、寡黙にもなろうってもんですが、まず冒頭からこれといったセリフもないままカーチェイスに突入。何が何やら、ですけれども、もちろん説明など不要。彼はまさに、そういう日常を生きる人間なのだから。やがて彼はある陰謀に巻き込まれていくのだけど、彼は決然と立ち向かい、そして刹那的に行動する。結局のところ、男ってのは、人を殺すときも、オネーチャンとエッチするときも、いつだって孤独なのだ、ということですね。モリコーネのノリのいい音楽が印象的ながら、あえて音楽を入れない静寂の中の、エレベーターのクライマックスが、さらに印象的。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-03 23:27:32)

89.  スウィッチ インターネットを発端にした巻き込まれ型サスペンスってのは、難しい。そもそもネットってのが基本的にウサン臭い訳で、“巻き込まれ型”というよりも、“不注意な私を巻き込んでください型”。オレオレ詐欺をサスペンス映画でとりあげるようなもんです。勿論、作り手もわかってるんでしょう、巻き込まれ型の不条理モノと思わせておきながら、「実は」とばかりに、因縁話っぽい路線を絡めて意表を突こうとしてくる。そこがそれなりに面白くもあるけれど、変にまとめ過ぎようとしてる印象が先行して、さほど意表を突けていない気も。で、そこもきっと作り手はわかってるんでしょう、中盤では、これでもかとかなりしつこい追跡シーンを展開してみせて、アクション路線も準備。ここはさすがに盛り上がるでしょ、と。そんな訳で、はい、サービス満点な映画でした。元サッカー選手が演じる刑事さんが、もうひとつ存在感を示せず、まあその曖昧さがイイといえばイイんですけれども、とにもかくにも、主人公の肝っ玉母さん、このヒトの存在が、本作一番のサービスでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-20 09:16:57)(良:1票)

90.  フリック・ストーリー 凶悪犯ビュイッソンを追うボルニッシュ刑事の姿を描いた作品、とくればいかにも典型的な刑事モノを想像しますが、実際に観て受ける印象は、ちょっと異質。犯人側と刑事側がほぼ均等に描かれていて、とは言っても『ダーティハリー』で映画の視点がハリー側になったりスコルピオ側になったりしたのがストーリー上の要請(要するになるべく盛り上がる描き方をしたらそうなった)だったのに対し、本作では、両者を並行して描くことそのものを主眼においています。で、ボルニッシュ刑事はあくまで常識人で、普通の人間らしく様々な感情を持ちつつもそれを抑制している。演ずるアラン・ドロンも比較的抑え気味で、どちらかというと彼を取り巻く人々との関係を主体的に描きながら、ボルニッシュ刑事自身の苦悩をジワリと表現してます。その一方で、ジャン=ルイ・トランティニャン演じるビュイッソンの、トンデモない冷酷さ。この男、殺人鬼としかいいようのない容赦の無さで、しかもただの無謀な乱暴者という訳ではなく、独自の行動規範と冷静さを持った男、要するに社会一般通念から見れば、規格外の怪物。身近にこんなヤツがいたら困りますが、映画として見れば、カッコいいのはボルニッシュよりもビュイッソン。そんな常識人と非常識人が対決するクライマックス、地味だけどシビレます。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-30 23:05:40)

91.  裏切りのサーカス ストーリーがわかりづらいのはとりあえずいいとしても(いや、困るんだけど、まあ「物語がワカル」ことが映画を楽しむ必須条件でもないので)、本作、物語がなかなか「動かない」ってのが、もうちょっと何とかならんもんでしょうか。推進力の乏しさ。一方でそれを補うのは、ひとつには入念に描写された各シーンの印象深さであり、またひとつには、抑制されつつもそれぞれの存在を主張する俳優たちの表情であり。大のオトナたちが繰り広げる命がけのスパイごっこ、それを静かにかつ残酷に描きだした作品です。その点では大いに見ごたえあります。しかし、ゲイリー・オールドマン、抑制した演技とは言え、それが何だか“抑えたフリを演技した演技”とでも言いますか、いかにも「実はワタクシ曲者なんです」とアピールしている感じがして、うーむこれでいいんだろうか、とやや違和感が。そうそう、あと、冒頭タイトルが出るタイミングの悪さも違和感ありました(この「いまさらタイトル出すなよ」という間の悪さも、推進力を損なってる一因じゃなかろうか)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-24 00:02:31)

92.  ラルジャン どういうカットを組み合わせるか・何をどう配置しどう動かしどう撮るか・あるいは撮らずに省略するか。等々。映画作る側はそりゃあ神経使うんでしょうけれど、それがあまりにリキ入ってると、観てて疲れる場合もありますわな。本作なんかもずいぶん「作りこまれた」印象がありますが、それが作為として気になることなく、むしろ我々を圧倒して映画に引き込んでいくのは、その各シーンがまるで、非情なる運命の歩みを刻々と刻んでいくように、我々に迫ってくるから。まさに目が離せない映画(もっとも、目が離せる映画ってのが存在するのかどうか知りませんけれども)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-06-23 17:16:30)

93.  明りを灯す人 舞台は中央アジア・キルギス共和国の、とある村。主人公は、その村で電気工事をやってる、いかにも朴訥としたオジサンですが、このヒトがこの映画の監督さんなんだそうで。こういう見事な作品を作るヒトが、こういう顔をしてるってのが、意表を突きますね。電気を引き明りを灯す、といのはいわば文明の第一歩。村の“はいてく”担当であるところのこのオジサン、電気の扱いにこそ慣れていても、別にインテリでも何でもない。自分に息子ができないことを悩んで、友人にトンデモない依頼をしたり、妙な事を信じて感電死しかけたり。その一方でオジサンは、風力発電なんぞにも取り組んで、彼なりの夢や希望を持っていたりもする。で、そんなオジサンの日常がそのまま続けばよいのだけど、村の外にはオジサンの知らない世界が広がっていて、その世界は、オジサンが村に文明をもたらすのよりもずっとずっと速いスピードで動いている。そしてその世知辛い外部の世界と接したら最後、元には戻れない……まるであの「遠くを見たかった」という子供が、木から降りられなくなったように。そして待ち受ける暗い運命、それは中盤のヤギを奪い合う競技で予告されていたり、冒頭シーンが思わぬ形で後のシーンに繋がったり、「風車」が象徴的に取り入れられていたりと、作品が巧みな構成を持ちながらも、一方ではノンビリした美しい光景が広がっていて、技巧に走った印象を与えることなく自然な映画の流れを感じさせる。見事な作品だと思います。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-04-27 13:43:07)

94.  悪魔の陽の下に 87年のカンヌ映画祭パルム・ドール。いかにもテツガク的な作品でございます、といった感じで、なかなかにとっつきにくいのですが、ひと癖ある奇妙な作品でもあります。ジェラール・ドパルデュー演じる主人公の神父、深刻な自己懐疑に捉われており、今日も今日とて自らを鞭打つ苦行に励む。一方、男たちをたらし込むハスッパな少女、自分を捨てようとした男を射殺してしまう。そのふたりが出会った時、彼らに何が起こったか、彼らに救いはあるのか…とはいかないのが本作。救いなどなく、神父はさらなる自己懐疑に陥るしかない。彼は、ときには彼を誘惑する悪魔を退け(誘惑と言っても、自称「悪魔」はただのオッサンの姿なので、私でもこれは願い下げだけど)、またときには死者を蘇らせる奇跡すら起こす。でも自身が自己懐疑にとらわれている限り、彼に救いは無い訳で。死に至る病とは絶望のことである、とかつてキルケゴールが言ったけど、自己懐疑・自己否定・自信の無さといった「絶望」こそ、人間の心に巣食う“悪魔”であり、しかもそれは人間が本質的に抱えている“救われなさ”でもある。いやですね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-03-13 22:46:46)

95.  女王陛下のダイナマイト リノ・ヴァンチュラ演じる元ギャングのコワモテ男、ひょんなことから、とある小心者の男と腐れ縁になり、彼を狙うイギリス金髪ギャング軍団と戦うオハナシ。ははは、意味不明ですね。隣国をここまでおちょくって許されるなんて、東アジアの某諸国間ではなかなかマネできません……。前半はそれなりにノワール調、とはいっても線が一本抜けちゃってる感じですが、後半に至るともう何本の線が抜けたのやら、ハチャメチャな脱調ぶり。敵味方、ひたすらダイナマイトの応酬、マンガのようなウソ臭いミサイルも登場し、(テレビ番組のコントみたいな)爆発また爆発。映画のストーリーまでもがどこかに吹き飛んじゃいます。それにしてもあの橋のシーンはビックリ。『TAXi』ってなツマラナイ映画があって、基本的には『フェラーリの鷹』のパクリだと思ってたのだけど、こういう映画にも元ネタがあったんだなあ、と。しかしバカバカしさへの徹底ぶりはこちらが数枚上。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-04 09:37:28)

96.  怒りのガンマン/銀山の大虐殺 ちょっとダサめのテーマ曲、どっかで聴いたと思ったら、『キル・ビル』で引用されておりましたと。という点以外にはこれといって特筆すべきこともない作品なのですが、リー・ヴァン・クリーフがいかにもリー・ヴァン・クリーフらしいアクの強い貫禄を見せてくれるので、彼のファンならば(いるとしてだが)、悪くないんじゃないでしょうか。例のややダサいテーマ曲に乗って始まる冒頭、馬車の行く手を阻む武装集団。脱獄犯を追いつめようとしているらしい。で、やおら馬車から降り立ち、彼らの中を闊歩するのが、我らがリー・ヴァン・クリーフ。一見シブいのだけど……物影に隠れ脱獄犯を待ち構える彼らに対し、横を通り過ぎるごとにいちいちしょーもないチョッカイをかけていくのが、シブいというよりまるでコメディ。と思ったら、逃亡犯の方が胸のすく小粋なアクションでその場を逃げ切り、ついにはBGMまで陽気な音楽と化し、本当にコメディ調になっちゃいます。でまあ、くだんの逃亡犯氏は、かつて町を牛耳る一家の親分を殺害したということで、その息子たちに狙われているのだけれど、本人いわく、それは濡れ衣だと。元保安官のリー・ヴァン・クリーフも、彼は無実だ、オレは真犯人を知っていると。一体真犯人は誰なのか。って、観てれば丸判りなんですけれど、勿論それでいいんです。むしろ、実は予想外の人間が犯人でした、なんていうオチだったら、みんな怒りまっせ。予想通りの展開に、予想通りの決闘シーンへ。黒ずくめの主人公に、白ずくめの敵役。ダサいテーマ曲が流れ、それなりに盛り上がるのに、ラストでコメディ調の音楽に戻ってしまうのは、本当にこれでいいんでしょうかね~~。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-12-18 22:54:16)

97.  コロンビアーナ リュック・ベッソンという人、世紀が変わる前にはそれなりに独特のポジションにいた(要するに「作家」だった)と思うのだけど、2000年前後あたりから、大量の作品のクレジットに名前を連ねるようになって、ワケがわからなくなっちゃった。単なる「ハリウッドに負けるまじ」で突っ走っているような(まあ実態はハリウッドに片足突っ込んでるようなものかも知れないけど)。そもそも、あれもこれも「脚本:リュック・ベッソン」となっているけれど、ホントに自分で書いてるのかよ、と言いたくもなる。まさかそのギモンに答えるため、という訳じゃあないだろうけれど、「確かにワタシが書いてますよ」と言わんばかりの作品が、コレ。『レオン』から始まって『ニキータ』になり、途中『ヤマカシ』風味も加わったかと思えば、ジェット・リー起用作品やトランスポーター・シリーズを思わせる格闘シーンもある。さらにフィルモグラフィを遡って、ベッソンといえば“海”でしょ、と思ってたら、サメが出てきたのは関係あるのか無いのか(無いでしょ)。という、いかにもベッソン好みという感じの要素に満ち溢れた作品で、ああ、やっぱりこういうのを描きたいんだよね、ハリウッドへの対抗意識ばかりじゃないんだよね、と。いっそ、今後はこのまま同じような作品を作り続けてもいいかも知れない。目指せ「フランス映画界の小津安二郎」。全然違うけど。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-09-16 13:38:14)

98.  黄色い星の子供たち 邦題を見てSF映画だと勘違いしたのは私は決して少数派ではないと思うのですが。第2次大戦、ドイツ占領下のフランスで行われた、ユダヤ人一斉検挙。ある少年の目を通して描くと同時に、ヒットラーの姿もまた並行して描かれるのは、実際にあった事件の再現ドキュメントとしての性格を映画に持たせますが、ここでのヒットラーは、映画が描く事件の異常性と単純に呼応させるような“狂気の人”としての描写ではなく、時に狂気を演じこそすれ、周囲の人間にとっては“普通の人”としても描かれています。これは、ひとつには、蛮行に加担したフランスを告発するべき本作が、ヒットラーという個人に責任をなすりつけて良しとするようなカリカチュア化した描写を行う訳にいかない、という表れでもあるのでしょう。しかしそれに止まらず、一方で主人公の少年、一方でヒットラー、という映画の中で決して交わることのない二人が描かれることで、両者の間に存在するどうしようもない「分断」が明らかとなります。いやそれだけではなく、フランスにいるユダヤ人と、フランス人たちとの間にも「分断」があり、それによってユダヤ人家族たちをバラバラにしてしまう、新たな「分断」が生まれる。映画は、あえて「フランス人が1万人のユダヤ人を救った」と告げて終わるけれど、映画自体は明らかに、それを素朴に肯定して描いたりはしていません。映画は、悲劇を、大きな「分断」を、怒りを込めて描いています。「再会」も描かれるけれど、家族がそろった元の幸せな生活が戻ってくる訳ではない。「分断」でいったん損なわれたものは、もはや決して取り戻すことはできない、という現実。1万人救ったと考えるべきなのか、1万人しか救えなったと考えるべきなのか。実際にあった事件を描くということで、史実を追うという点ではドキュメンタリ調の部分もありますが、それに縛られることなく、むしろ、情熱と怒りに満ちた描写が多く見られ、これはあるいは、監督が映画界の外から来た人(ジャーナリスト出身)ならではの、“なりふりかまわぬ気迫”の表れなのかも知れません。凄い映画でした。 ちなみに、競技場等のシーンで流れるのは、フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2楽章。これはちょっとセンス無いかな……。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-08-31 12:10:37)

99.  危険がいっぱい これはどういうオハナシかというと、「日頃の不真面目さがたたり、ついに和尚さんにお寺を追放されてしまった小坊主さん、山中で道に迷い、たまたま見つけた一軒屋に泊めてもらうことに。しかしその一軒屋で暮らすお婆さんの正体は、鬼婆で……」という、アレですね。だいぶ違うけど、まあ、そういうことでしょう。ただし3枚のおフダは出てきません、代わりに気の利いたオチが待っています。アラン・ドロン演じる主人公、ギャングに追われ、逃げのびた先で、とあるマダムの運転手として雇われる。しかし、マダムの家には、秘密があった。という訳で、マジックミラー越しのやり取りなどのミステリアスな道具立てや、ときにはユーモアなども織り交ぜながら、自由きままだった主人公が、身動きが取れなくなっていく様を描いていて、大いに楽しめる作品ながら、毒のきいたオチには、ため息も出てしまいます。ラロ・シフリンのいかにも彼らしい音楽も、秀逸。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-18 16:38:55)

100.  バレッツ いや素晴らしい。我々をシビレさせてくれる映画がまたここに一本。悪の道から足を洗い平和な生活を望む主人公を、突如銃弾の嵐が襲う。全身蜂の巣となった彼は、一命を取りとめるが、仲間が殺害されるに及んで、ついに彼は復讐を開始する……で、もしこの作品が、リアリティ重視で行くんだったら大怪我をおった主人公が後遺症で苦しんだり、リハビリに励んだりする場面を脚本にたっぷり盛り込んでシタリ顔をするところなんでしょうけれど、本作はそういう枝葉末節にはこだわらない、なぜなら、雰囲気を描く映画だから。主人公は冷静に宣戦布告をし、着々と復讐を進める。そのシブさといったら、もうタマランのですね。その過程では、重要な登場人物である主人公の子供たちとの関係の描写すらも、グッと抑えちゃう。心配ご無用、映画の最後で家族愛はしっかり描かれるから。この作品は、主人公が過去を清算する物語。それなりの過去を持つ人間は、それなりの清算が無ければ、ささやかな平穏すらも得ることはできない。その姿を、その雰囲気をじっくり描けば、映画は映画になるのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-17 10:54:16)

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