映画『世界大戦争』の口コミ・レビュー

世界大戦争

[セカイダイセンソウ]
1961年上映時間:110分
平均点:7.42 / 10(Review 31人) (点数分布表示)
公開開始日(1961-10-08)
ドラマSFラブストーリー戦争もの特撮もの
新規登録(2004-06-13)【光りやまねこ】さん
タイトル情報更新(2025-04-30)【イニシャルK】さん
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監督松林宗恵
助監督田実泰良
キャストフランキー堺(男優)田村茂吉
乙羽信子(女優)お由
宝田明(男優)高野
星由里子(女優)田村冴子
笠智衆(男優)江原
東野英治郎(男優)笠置丸船長
山村聡(男優)首相
上原謙(男優)外相
河津清三郎(男優)防衛庁長官
高田稔(男優)司令官
中村伸郎(男優)官房長官
ジェリー伊藤(男優)ワトキンス
野村浩三(男優)石橋
白川由美(女優)早苗
織田政雄(男優)芋やのじいさん
佐田豊(男優)記者
桐野洋雄(男優)東京防衛司令部将校
草川直也(男優)ヘリの乗組員
石田茂樹(男優)有村
中北千枝子(女優)おはる
ハロルド・S・コンウェイ(男優)連邦軍発射司令
岡豊(男優)東京防衛司令部計算員
オスマン・ユセフ(男優)同盟軍通信員
大前亘(男優)笠置丸通信士
中島春雄(男優)警官
坂部尚子(女優)鈴江
三田照子(女優)伊本
古谷敏(男優)
池谷三郎(男優)アナウンサー
勝本圭一郎(男優)
宇野晃司(男優)
千葉一郎(男優)
二瓶正也(男優)
吉頂寺晃(男優)
脚本八住利雄
木村武
音楽團伊玖磨
撮影西垣六郎
製作田中友幸
藤本真澄
配給東宝
特撮円谷英二(特技監督)
有川貞昌(特殊技術 撮影)
向山宏(特殊技術 合成)
渡辺明(特殊技術 美術)
井上泰幸(特殊技術 美術助手)
岸田九一郎(特殊技術 照明)
渡辺忠昭
美術北猛夫
安部輝明
安丸信行(石膏)
編集岩下広一
録音下永尚(整音)
矢野口文雄
照明森弘充
その他IMAGICA(現像)
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💬口コミ一覧

31.ネタバレ 小学生の頃に読んでいた東宝特撮映画を紹介した本の中で紹介されていたのでタイトルだけはその頃から知っていたが、実際に見るのは今回が初めて。見る前は軽い娯楽作という印象が強かったのに大シリアスな映画だったのは驚き。フランキー堺は喜劇映画以外ではあまり馴染みがなかったが、喜劇とは違うとてもいい演技を見せていて素晴らしい。前半の人々の慎ましい日常生活の描写が丁寧である分、主人公が物干しで夕日に向かって家族の未来を思いながら叫ぶシーン、星由里子と宝田明の「コウフクダッタネ」「アリガトウ」の無線でのやりとり、パニックの中、娘の所に駆けつけようとする母親(中北千枝子)の姿、町中のみんなが逃げ去った後、ささやかに食卓を囲む主人公一家の姿など後半は涙が止まらないシーンばかりで今これを書いていても思わず泣きそうだ。子供たちが歌うお正月の歌も物悲しい歌として見終わったあといつまでも耳に残る。(たぶんしばらくは聴く度にこの映画思い出すだろうなあ。)ラストの笠智衆のセリフも言っているのが笠智衆なだけに説得力があり、よけいに胸をうってまた泣けてくる。21世紀の今見るとラストのテロップに異様なリアリティーを感じずにはいられない。この映画は一応はSFという形をとってはいるが、これ以上の反戦・反核映画は今後出ないのではではないかと思う。もちろん文句なしの満点をつけたい。
イニシャルKさん [DVD(邦画)] 10点(2008-09-18 17:37:20)
👍 1
30.ネタバレ 凄い。凄すぎる。戦争の恐怖に対しここまで徹底的に描いて見せたこの凄さ。特撮シーンの凄さ、恐ろしいほどのリアルさに眼を奪われがちですが、そんな中、フランキー堺演じるタクシー運転手の一般庶民の眼から見た戦争に対する怒り、悲しみ、そして妻、娘への思いやり、人間の優しさが全てフランキー堺の演技から見てとれる素晴らしい映画です。。娘が恋人との別れを済ませるあの場面のコウフクダッタネの通信、ここらから終わりまで涙で眼の前が曇ってしまうぐらいこれは泣ける。母の死を知らずにフランキー堺や乙羽信子、星由里子達の前で食事をする幼い二人の子供の姿にも涙!この場面なんて生活感溢れる素晴らしいシーンだ。フランキー堺が一人部屋の窓を開け、夕焼けの空の中、「母ちゃんに家を建ててやるんだ」と泣き叫ぶシーンなど泣けて泣けてヤバいぐらいです。その他にも国会議事堂がぶっ飛んだ後、船上の皆に向かって東京へ帰ろう!と言う東野英治郎の船長、更に人間は誰でも生きている権利があると訴えて涙する笠智衆さんと、最後に流れてくるお正月の歌、涙、涙で戦争映画という枠を超えた見事なまでの人間ドラマに文句なしの満点。人間として生まれてきた以上、本当に見るべき戦争映画はずはりこの映画だと言いたいぐらいの映画です。
青観さん [DVD(邦画)] 10点(2008-01-12 11:37:14)
29.藤子・F・不二雄の短編漫画に「ある日」という作品がある。
日常の何気ない生活が何の前触れもなく”プツン”と核爆発によって消失してしまう可能性を秘めた「現実」を、シニカルに表現した傑作である。

そして、この特撮映画の傑作を見て、まさにその短編漫画を思い出した。

人が自分自身の努力によって幸せに生きるという権利の崇高さと、それを一方的に消失させるという世界で最も愚かな暴挙。
「戦争」とはその暴挙そのものであり、どうしたって取繕うことなどできない「罪」だ。

映画では、平凡で幸福な人々が健気に生き、緊迫する両陣営の現場ではそれぞれの兵士らが「最終命令」が出ないことを心から望み、日本政府は事態の回避に苦闘する。
すなわち、世界の誰も「世界の滅亡」など望んでいるわけもなく、誰しもが平和に暮らしたいのだ。
愚かなのは、人間一人一人の意識を超えた、人間という「種」そのものの「不安定さ」だと思う。

ラスト、笠智衆の演じる炊事長のセリフにもあるが、人類全体がもっとシンプルに「生きたい」という願望を貫くことができれば、世界はもっと単純に幸福に存続していけるのではないか。
そういうただただ「生きたい」という望みが、フランキー堺の演じる父親の行き場のない嘆願に溢れ、涙が止まらなかった。

様々な面において、日本映画が世界に誇れる名作の一つだと思う。
こういう映画があることを、もっと多くの日本人に知っておいてほしいと切に思う。
鉄腕麗人さん [DVD(邦画)] 10点(2007-12-30 12:46:29)
28.ネタバレ これはすごい映画です。SF?人間ドラマ?反戦映画?特撮映画?そのどれもであり、それだけでは収まり切れず、それ故に評価が定まらずに語られることが少なかったのかも知れません。それほど、内容のインパクトに比して、知る人の少ない映画だと思います。核戦争を描いた映画は「博士の異常な愛情」や「未知への飛行」など傑作が多く、そのいずれもが当事者である政治家や軍人を描いた作品がほとんどです。それ以前の今から40数年以上も前に、慎ましやかな下町の人々の暮らしと核戦争、この一見ありえない取り合わせでこんな作品が日本で作られていたとは…驚きです。核を使用した国と使用された国、それぞれが体験し背負ったものの違いが表れているのかも知れません。まずは未見の方は、どれどれSF?特撮?みたいな感じでとりあえず観てみて下さい。ぶっ飛びます。そして、号泣します。
ParaPさん [DVD(邦画)] 10点(2007-07-31 00:24:35)
27.こんな名作のコメントが4人だけというのは実に勿体無い。「反戦」という重いテーマながらそのストーリーは軽妙で重くなり過ぎずタクシー運転手の一家を通して戦後の復興,反戦への市民の想いを描き,反面では軍部の緊迫感を上手く描いている。軽妙と記述したが観賞後に心に残るものがあるのは間違いない。約40年も前の作品でありながら特撮技術も現在でも充分観賞に耐えうる出来にある。未見の方には是非観賞して頂きたい作品です。
北狐さん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-11 09:58:12)
26.本作は昭和29年製作の「ゴジラ」以来、数々の特撮映画を生み出してきた本多・円谷コンビ作品とは味わいが異なるものであり、メガホンを撮った松林宗恵自身の戦争に対する深い思い入れで、「反戦」というテーマがより鮮明に打ちだされた作品だったと言える。まさしく次なる世界レベルでの全面戦争を描いたものであり、その終末イメージの強烈さは、公開されて40年以上経っても未だに脳裏に焼きついて離れない。市井の名もなき庶民の生活をホームドラマ風に描いた本編と、破滅へと向かう一連の破壊スペクタクルの特撮部分とのトーンが、明確に違うのが本作の特徴とも言えるが、それは勿論違和感があるという意味ではなく、ドラマも特撮も描き方がいずれも直截的であり、互いに拮抗するほど自己主張していることに他ならないからである。主人公のタクシー運転手を演ずるフランキー堺は、元々コミカルな持ち味で人気者となった人だが、同時期公開された「モスラ」の熱血漢溢れる新聞記者とはまた違った力演で、どちらかと言えば「私は貝になりたい」の主人公と重なるほどの性格俳優ぶりである。とりわけ終盤での物干し場から涙ながらに世界へ訴えかけるシーンは、「反戦」の代弁者としての熱演を見せてくれている。当時、典型的な「絶叫型反戦映画」と揶揄されたこともあったが、それでもなお、真実味のある血の通った生身の人間の素直な感情表現は、我々一人一人の心に十分伝わるものがあり、ストレートな感動を呼び起こす名場面となっている。またしっとりとしたラブストーリーでもある本作は、團伊玖磨の叙情的な旋律がより深い哀しみをもたらし涙を誘う。そういう意味でも、極めて日本的な反戦映画だったと言える。そして今回の「破壊」をテーマにした円谷特撮の素晴らしさは、国会議事堂やパリの凱旋門などの建造物のミニチュアを逆さ吊りにして、水爆のエネルギーで一瞬にして跡形も無く吹き飛んでしまうというイメージを具象化し、また溶鉱炉でドロドロに溶けた鉄などを使って焦土と化した東京を表現したりと、かつて無いほど画期的で大胆な発想を、そのまま実践に移すことの凄さにある。この「破壊の美学」とも言える、今や伝説となった彼ならではの奔放なイマジネーションには、CG万能の現代のクリエイターたちは足元にも及ばないだろう。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 10点(2005-08-15 17:20:39)
👍 1
25.最近、ちゃちな古い特撮にはまってて、なんか楽しいな~って色々あさってたら、とんでもない映画にぶちあたってん。こんな映画、日本にあったやんやね。全然知らんかったわ。この映画、フランキー堺がきのいい親父役で味があるとか、星由里子って今の感覚で観てもかわいーなとか、特撮はやっぱチャチくておもちゃみたいやなとか、外国の軍隊の描き方がいくら昔の時代でもヘボすぎるとか、あんな核の解除の仕方はありえへんしとか、そんなんで爆弾の誤動作はないやろとか、メッセージ性ですぎてるわとか、そんな色々な思いはどーでもよくなる。とにかく後半、涙がとまらんかった。しかもその涙も凍りついてもーた。これは、今の時代やからこそ日本国民全員観なあかん。特に政治家は観なあかん。外人も観なあかん。てゆか、世界の映画人は、まったく同じな各国バージョン作らなあかん。平和は粗末にしたらあかん。ってゆう熱い気持ちが、映画鑑賞後、フツフツこみ上げてくるほど冷静ではいられんかった。昔の映画やのに、アメリカCG娯楽大作好きな俺でも、これはデイアフタートゥモローより怖かったし迫力あったと本気で思えたで。(またゆーてもた、ごめん)。 でも、こんなすごい映画やのに、レビュー少なすぎひん? あと、正月に観ると悲しさ倍増、あんな悲しいお正月の歌はあかん。
なにわ君さん 10点(2005-01-06 13:33:01)
24.ネタバレ 核戦争の恐ろしさを普通のタクシー運転手の一家の視点で描いている。
本当に核戦争で東京が焼け野原になってしまった結末には泣けました。
今のアメリカに絶対見せたい不朽の名作です。
哀しみの王さん 10点(2004-08-11 12:51:16)
23.タイトルから分かるように第三次世界大戦という大作だが救いようのないテーマを、平均的な市民である運転手一家の視線を通じて描いています。監督は松林宗恵で、特撮はもちろん円谷英二。人間ドラマと特撮との役割分担をはっきりさせた割りには違和感のない仕上がりになっており、核ミサイルを制御する軍人達のスリリングなシーンを取り入れたりで、最後まで緊張感を持続して見れる。やはり最大の見どころは、特技監督円谷英二の集大成ともいえる精巧なミニチュアセットと特撮。今現在の視点で見るならば、時代を感じさせなくはないが(もちろん当時としては衝撃的だった)、それよりもいかに描写すべきかという発想そのものに舌を巻く。(これだけはセンスの問題であろう) 富士山の背後で閃光と共に立ち昇る巨大なキノコ雲、溶岩状の地上に僅かな原形を残す国会議事堂などなど、そら恐ろしい光景が画面に映し出される。それこそ核戦争が勃発しようものなら人類はこの様に崩壊するのだ、ということを見事描写しており、いつまでも脳裡に焼き付く。特撮という素晴らしい技術は、確かなテーマと強烈なメッセージに裏打ちされてこそ最大限に活かされるということをも、この作品では教えてくれた。「ゴジラ(54)」と双璧をなす特撮映画の傑作として、この作品を高く評価したく思います。
光りやまねこさん 10点(2004-06-17 11:11:39)
22.黒澤明の『生きものの記録』(1955)といい、『ゴジラ』(1959)といい、これ(1961)といい、当時拡大し続ける超大国の原水爆競争に、いかに人々が恐怖を抱いて暮らしていたかが、よく伝わってくる。それに今と違って、当時の日本人はまだずいぶん真面目に生きていたということ。この映画は、想像のフィクションとはいえ、そうしたことの時代の良い証言だ。そういう意味で、これは抜きん出た一作といえると思う。それになにより、これを見終わると、今自分が平穏無事に生きていること、それだけでも贅沢なことなんだと、あらためて感じさせてくれるところ。逆説的ながら、ここが素晴らしい。
goroさん [DVD(邦画)] 9点(2012-02-02 02:05:32)
👍 1
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21.おそらく核戦争のよる人類滅亡を描いた世界初の映画では? 本作の3年後にキューブリックが『博士の異常な愛情』で、人類滅亡をコメディという形で描きましたが、これはまさに対局。思い切り真剣。しかも戦争をする側ではなく、何の抵抗もできないまま巻き込まれていく一般市民の側から描いているからなおさら怖い。観賞後しばらく、夕日を見るたびにフランキー堺のあの絶叫シーンが脳裏をよぎって困ったものです。でもそれぐらいあのシーンは衝撃的だったし、ヘタな反戦メッセージなどよりよっぽど説得力があったと思います。未見の方はぜひ、お正月にご鑑賞ください。間違いなく休みボケが木っ端微塵に吹き飛びます(?)。
とかげ12号さん [DVD(邦画)] 9点(2008-03-08 22:51:18)
20.ネタバレ 家族のドラマと、政治ドラマ、戦争が起こる背景描写、それぞれが互いに繋がる事なく、断絶した状態で描かれてゆきますが、その断絶こそが恐ろしさ、無情さを明確にしています。平凡で平和な家庭が、ある時点でぷっつりと消えてしまう事の、その悲惨さが胸を打ちます。キューバ危機が起こるのは、この映画が製作された1年後。歴史的な事実を言えば、米ソが全面戦争に突入したとしても、日本が、そして世界が滅びるところまでは到底行かない程度の当時の核兵器の量ではあったようです。しかし、この映画のようになってしまうという危機感はみんな抱いていたのですね。被爆国として、まだ広島・長崎から16年しか経過していなかった訳ですから、それがもたらす恐怖と悲劇はこの国に色濃く染み付いていたことでしょう。今はソ連が崩壊し、内戦やテロを中心とした局地での戦いの世界、全面核戦争の恐怖からは程遠い状態になっているように思えます。だけど、この映画が製作された当時と違って今は、本当に、世界を簡単に滅ぼしてしまえる程の核兵器が、現実に、あるのですね。この映画の前半で描かれる、ちょっとした過ちから危機を招くエピソード、それは、ただ持っている、ただ存在しているというだけでも生じる恐ろしさを示唆しています。だけど、この国はそろそろ被爆の恐ろしさを忘れ始めたようですね・・・。
あにやん‍🌈さん [DVD(邦画)] 9点(2008-02-17 00:57:48)
19.ネタバレ 何とも漠然としたタイトルで、大規模なテーマゆえ作りも大味になっているだろうと、観る前は懸念があった。が、展開が進むにつれ目頭が熱くなる自分がいた。ささやかな市井の幸福が瓦解する恐怖感といったら凄絶の極み。逃げまどう大混乱の国民、閑散とした街に居残る田村家、そして冴子と高野のモールス信号に胸打つ。また、円谷英二の特撮にも感嘆。現今のCGよりも明らかに技術レベルは低いはずだが、本作の特撮の方がずっと緊迫感、悲愴感が伝わるからフシギだ。これは作り手の切実たる熱意の賜物なのだろうか。そして洋上の貨物船・笠置丸。東京の最後を見守った高野や船長(東野英治郎)たちが、東京へ戻るのを決意するという厳粛なシーン。そこへひょっこりコック長(笠智衆)が現れ、「船長、コーヒーを入れて参りました」。このセリフには思わずのけぞった。悲愴な空気の中、いつも通り淡々とした笠さん。しかもコーヒーどうぞときたもんだ。これは却ってリアルな虚脱を痛感する。そして脳裏をよぎる子供達の「お正月」合唱。 ♪もう~い~くつ寝~る~と~お正月~…この歌がこれほど悲しく聞こえたことはない。最強の核戦争映画である。
丹羽飄逸さん [地上波(邦画)] 9点(2008-02-11 00:16:48)
18.私の子どもの頃は米ソのみならず、イギリス、フランスなど各国が競争して核実験を行っていた。日本がそのたびいくら抗議しても変化なし。おまけに東西冷戦の緊張は日毎に増していた。ひとたび第3次世界大戦になれば、核戦争となり地球が破滅すると盛んに言われていた時代、そういう時代に作られた映画だから、映画自体は完璧ではなくても十分にそのメッセージは伝わってきた。ただ映画としては星由里子が年齢以上に大人びて見えるため、父親役のフランキー堺ととても父娘には見えないことが不満。
ESPERANZAさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-11-17 10:33:26)
17.ネタバレ 世界戦争になっていく状況を、一般市民の生活にスポットしながら描いた作品。
ただ、この映画のメッセージは勿論反戦なんだろうが、この映画では結局「日本政府は武力によらないでひたすら平和のためのメッセージを発し続けるが、それは意味がなかった」わけで、だとすると、軍事的背景のない口先で唱えているだけの平和にはなんの意味もないともいえよう。実際、状況を何も見ずに日本政府の発した「ともかく戦争をやめてください」みたいなメッセージは相当空虚に感じた。最後のテロップも、具体的方向性なくただ「平和を」では話にならない。戦争はみな「平和のため」と称して起こすのだから。
ただ、そうした点を除いても、描写それ自体のリアルさなどは迫ってくるものがあったので高い点をつける。

最後に。この映画がツタヤの「特撮」コーナーにおかれるのは、理解はするにせよ、やはり普通のドラマのところに置いてほしい
θさん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-12 18:44:15)
16.幼い頃、土曜の昼間にテレビで見て、無性に怖くトラウマとなった作品を40年振りくらいにDVDにて再見。台詞回しや、ミニチュアの特撮に時代を感じるものの、ドラマとしてしっかり腰を据えて作りこまれている。東宝映画スタッフの良心に敬意を表したい。
再見後、改めて思った事。それは、終末戦争の危機感と並行して、世の矛盾をあらゆる角度から見せつけている作品であるという事。
軍人や政治家を含め、世界の誰もが核戦争なんて望んでいる訳ではないのに、明らかにその愚行に進んでいくシナリオを書き治せない各国首脳。戦争の悲惨さを敗戦を通じて十分に理解しながらも軍需産業の株価に一喜一憂する一般庶民。
ラストの笠智衆の船上での「人間は素晴らしいもんだがなあ。一人もいなくなるんですか、地球上に」という発言こそ、まさに言い得て妙である。
この矛盾の打破(もちろん善意の方向に)をしない限りは、常に終末への不安は消え去らないという事を改めて考えさせられた。
主人公フランキー堺の夕陽に向かっての絶叫は確かに感動する。但し、そこに自己批判もあって欲しかった。終末は政治家や軍人が勝手に起こしているだけではない。本当に戦争を望まないという庶民の意識にも変化が必要だという事を。
こたさん [DVD(邦画)] 7点(2012-05-23 08:38:27)
15.ネタバレ 「大戦争シリーズ」として、見てみたが、これは「宇宙」や「惑星」と違って、SFではないシリアスなドラマ。兵器技術がどんどん進歩して、ボタンひとつで、世界を何度も破滅させるだけの核ミサイルが発射できる、という事に気付いた人々が、恐怖を覚え製作された映画。DVDに収録された資料などを見ると、この映画のメッセージ、本気で世界に発信したいと思っていたのが判る。立派な映画人たちだと思う。
 その手法は、まさかのバッドエンド。全編通して登場する人物を、最後たっぷり感情移入させといて、吹き飛ばしてしまう、その無情感。その恐怖。そこんところを、得意の特撮でたっぷり描こうというわけだろう。その部分の「爆裂的」な破壊シーン以外は、いいセン行ってると思う。相変わらず模型の戦車やミサイルはチャチだけど。

 高野さんが言った「日本人は世界ではじめて火薬兵器にやられ、次に原爆、ビキニ環礁での水爆、常に悲劇を味わってきた。だから我々日本人こそが、再び人類の上に不幸を招いてはいけないと言い続けるべき」という、ちょっとこじつけっぽい言葉も、すごくよくわかる。今現在では、「最初」でこそないが、それに原発事故の放射線汚染が、加わっている。
 この映画は、核戦争の危機の話だが、冷戦の去った現在でも核の恐怖は続いていることを、我々はイヤというほど思い知った。しかも、今回のは正面きってみんなが反対というほど、単純な話ではなく、相手も軍じゃない。今の相手は、利権と慢心。手強い相手だ。
 また、ミサイルに逃げない一家のバックに流れるラジオの声、「冷静になれ」というのが、イマドキの「直ちに影響はない」を思い起こさせ、ちょっと恐ろしくなる。
Tolbieさん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-28 11:12:41)
14.ネタバレ ラストの特撮シーンは、甚だしく映画的で絶品なのですが、トドメのテロップが台無しにしていると思います。当時、時代も時代なんですが、ああいう演出は蛇足だと思います。あと、気になったのが、宝田明と星由里子の会話が、「説明」なっています。申し訳ないのですが、教育ビデオっぽいんですよね。パニックシーンは、『宇宙戦争(53年度版)』彷彿させますが、臨場感は出ていたと思います。
氏木さん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-12-26 21:28:13)
13.ネタバレ 相互軍事陣営核ミサイル同時攻撃という第三次世界大戦勃発による人類滅亡の恐怖と惨劇を東京に住む一家族の日常の姿を通じて描いた作品。平凡な日常生活を送る市民が核爆発によって一瞬にして抹殺される様子を淡々と描けば、戦争の悲惨さは伝わると思うが、登場人物が自分たちの将来を知っているかの如く、いちいち平和の尊さや生きる素晴らしさなど、寓意や誡め、教訓めいたことを述べるので傾倒できない。平和の尊さ、生きる素晴らしさ、戦争の悲惨さなどはわかりきったことであって、説明する必要はない。最後の主人公一家揃っての食事場面が一入感動的なのは、そういった教訓臭が無いからだ。男が、幸福に生きている人間を抹殺する権利なんて誰にもない筈だと、怒りの感情を激白する。「原爆でも水爆でも来てみろ、俺達の幸せに指一本ささせないぞ」の心意気。学校を早引した子供が驚く両親に、「あら、何も知らないの?戦争が始まるんだって」と屈託無く言う場面も心に残る。これだけで十分で教訓や説明は不要。奇妙なことに、誰もが愚かしいと悟っている戦争に至る経緯に関してはほとんど描かれていない。軍事境界線地域での侵入や偶発的な小規模戦闘が拡大したものと理解できるが、それが局地的軍事行動に終わらず、どうして全面的核戦争に展開するのかという肝腎な部分が欠落している。関係各国首脳、国連なども登場しない。日本国に至っては国家首脳陣が「平和のために最大限の努力をしている」と会議室で熱弁するだけで、どんな努力をしているのかさっぱりわからない。又、どうして日本が攻撃されるのかも示されない。ただ軍事同盟に参加しているからでは理由が弱い。首相が病に冒されているなどの悲愴さを盛り上げる設定などはどうでもよろしい。戦争に至る具体的な経緯を描かないで、第三次世界大戦突入の不安と恐怖を描くことができない。一方で市民の日常的な生活を見せつつ、一方で彼等の預かり知らぬところでの政治的な駆け引きを見せることにより、我知らず戦争に巻き込まれてゆく無辜の市民の哀憫さが表現できるのではないだろうか。
主人公家族は歳の差のある姉弟にせず、三世代家族にすれば理解しやすかった。「小さな子がいる神経痛の老いた母親」は分りづらい。「人間は素晴らしいものだがなあ。一人もいなくなるんですか、地球上に……」は大袈裟すぎる。円熟期にあった円谷“和製特撮”は独創性に富み、高評価できる。
よしのぶさん [地上波(邦画)] 6点(2014-08-29 14:15:54)
12.ネタバレ ■「明るく楽しい」「不偏不党」がモットーである東宝が、SFとは言えよくぞここまでデスパレートな映画を製作したものだと感心します。あの当時は汚い核兵器である水爆の威力がほぼ頂点に達していた時期なので、あれだけ盛大にICBMを撃ちまくったらそりゃ死の灰が降り注いで全人類が滅亡するでしょう。ハリウッド映画ではよく“核戦争後の世界”というテーマがありますが、そう言えば邦画では皆無ですね。島国日本では水爆2~3発おとされたらもう逃げ場がないですし、放射能の恐ろしさを世界一に理解している国民ですから、当然です。■僧籍を持つ松林宗恵が監督ですから、根底には仏教的な無常観が感じられます。世界情勢の激変に巻き込まれてゆくフランキー堺親子という徹底的に庶民目線の作劇は、東宝特撮映画には珍しく乙羽信子が出演してることもあり、まるで新藤兼人が脚本を手掛けた様な印象です。二階で泣き叫ぶフランキー堺のシーンはあまりにも有名ですが、宝田明と星由里子が無線で「コウフクダッタネ」と交信するシーンでは観るたびに自分は不覚にも泣いちゃいます。流れ星みたいにミサイルが国会議事堂の上に飛んできてからの地獄絵図は、緻密なカット割りも功を奏して未だに強烈なトラウマとなっています。■この映画と言うか東宝という会社の限界は、「戦争は政治の継続である」と言われているのに、政治がまったく描かれていないところでしょう。ワルシャワ条約陣営を「同盟国」NATO陣営を「連邦国」と言い換えて国籍マークや軍服まで架空のものを使い、何をそこまで遠慮しなければならないの?と言いたいぐらいです。航空機や潜水艦などは当時の両陣営の実物をけっこう正確に摸しているのに、“ミグ”を“モク”と言い換えることまでしています。もちろん、アメリカやソ連と言った言葉はまったく出てこないので、なんで第三次世界大戦が勃発したのか理解不能です。登場する政治家は日本政府だけで、山村聡はじめ貫禄ある顔ぶれですけど、まるでバチカンかダライ・ラマみたいなご託宣を発するだけでどう見ても単なる傍観者でしかない。戦後の日本と言う国の国際的な位置づけからすると、この描き方もある意味リアルということでしょうか。■この映画が当時の観客にあまりに強い衝撃を与えたので、東宝は翌年に超能天気な『妖星ゴラス』を製作したんじゃないかと個人的に思っています。
S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-11-07 23:46:18)
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【点数情報】

Review人数 31人
平均点数 7.42点
000.00%
100.00%
200.00%
326.45%
426.45%
513.23%
6825.81%
739.68%
826.45%
9412.90%
10929.03%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 8.50点 Review2人
3 鑑賞後の後味 8.50点 Review2人
4 音楽評価 8.50点 Review2人
5 感泣評価 9.50点 Review2人

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