映画『トニー滝谷』の口コミ・レビュー

トニー滝谷

[トニータキタニ]
Tony Takitani
2005年上映時間:75分
平均点:6.10 / 10(Review 30人) (点数分布表示)
公開開始日(2005-01-29)
ドラマラブストーリーロマンス小説の映画化
新規登録(2004-07-12)【鉄腕麗人】さん
タイトル情報更新(2018-03-22)【イニシャルK】さん
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監督市川準
キャストイッセー尾形(男優)トニー滝谷 / 滝谷省三郎
宮沢りえ(女優)小沼英子 / 斉藤久子
小山田サユリ(女優)女子学生
水木薫(女優)斉藤久子の母
山本浩司(俳優)(男優)アルバイトの青年
木野花(女優)アパートの管理人
西島秀俊ナレーション
原作村上春樹「トニー滝谷」 (「レキシントンの幽霊」所収)
脚本市川準
音楽坂本龍一(音楽/演奏)
作曲坂本龍一
撮影IMAGICA(撮影協力)
製作橋本直樹
配給東京テアトル
美術毎日新聞社(美術協力)
録音橋本泰夫
照明中須岳士
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💬口コミ一覧

30.ネタバレ トニー滝谷の妻はいつも優美に服をまとっていた。彼女は元々洋服を買うのが好きであったが、ある時期を境にそれはまるで何かの中毒のように抑制が効かなくなってしまう。彼女は言う。「目の前に綺麗な服があると、私はそれを買わないわけにはいかないの」

孤独と恋の話である。トニーは彼女と出会う前、孤独であった。彼は彼女に恋をし、二人は結婚する。恋は孤独を安住の地から耐えがたい牢獄に変える。では、彼にとって結婚は安住の地となりえたのだろうか?
トニーは彼女のことが好きであったが、彼女が服を買いすぎることが気がかりだった。実際にそのことが彼女を突然の死へと導いてしまう。
彼女は洋服を買うことを「ただただ単純に我慢ができなかった」 それは彼女の中の異質なものの発現であり、今ある状態に決して充足できない何かが、彼女の趣味であり可能性であった洋服をを過剰な渇望に変えてしまったのである。それは彼女にとって孤独と等値なのだろうか?

トニーは結局、孤独に帰るのであるが、それはもう静かで穏やかな世界ではありえない。大きな欠落感であり、生暖かい闇の汁である。
ただ、映画で最後に(原作にはない直接的な表現としての)希望の光、ある種の共有感への予感が描かれている。トニーはひとりぼっちであるが、もう孤独ではいられないはずなのだ。このシーンは原作にはないが、悪くないと僕は思う。

映画。
多くの人が指摘するように、映画『トニー滝谷』は、小説の朗読と映像、音楽及び独白で綴られた作品であり、従来の(映画的と言われる)手法の映画とは趣きを異にする。ページを捲るように場面は展開し、単調な調べはその作品を小説それ以上にもそれ以下にもしない、そういう配慮のようにも思える。
僕はこの短編小説が好きなので、この作品も好きである。市川準の映像も小説世界にマッチしているし、宮沢りえの透明感溢れる存在感もよい。イッセー尾形は年を取り過ぎており、僕のトニー像にはいまいちフィットしないが、まぁそれなりの表情をみせる。
この映画で退屈することはまったくなかった。小説を読むように映画が展開するのだから、小説を楽しむように、この作品を楽しむことができるだろう。
onomichiさん [DVD(邦画)] 10点(2007-01-27 01:18:47)
👍 1 😂 1
29.美しい映像と美しい音楽。そして中身はからっぽ。
原作も読んでいますが、印象も記憶も薄かったためどのくらい話を広げるのかと思いきや、広がりもせず訴えかけもこない内容に。そこがいい。観るタイミング、場所…色々な要素できっと観終わったあとの印象は変わると思う。僕自身、数年前に違うところで観たり、数年後に誰かと観たら0点の可能性だってある。とにかく、無心ですばらしい時間を過せました。グレーっぽい映像は本当に美しく完璧だと思います。
はんにまるさん [DVD(邦画)] 9点(2009-05-20 00:45:38)
28.素晴らしかったと思う。小説の映画化作品というものは多々あるけど、この映画ほど、小説の世界観が直接に伝わってくる作品は無かったと思う。まるで映像の中に、文体とそれが伝えるものが、うっすらと浮かんでくるようだった。
市川準監督らしい、淡々としたカメラワークの中で、二人の素晴らしい俳優が、これが映画であるということを忘れさせるくらいに、静かに、確実に、息づいていた。
鉄腕麗人さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-16 02:08:15)
27.市川準が映画のコードを総動員して村上春樹作品の映像化を試みた、というような印象を持ちました。そして、かなり成功していると思います。原作は未読だけど、小説の中の文章をそのままシナリオに転用していると思える部分が多々あった。彼の文章を映像にすると、結果として限りなく詩的なエッセイに接近するようです。ストーリーらしきものが無く、シチュエーションの断片が積み上がる。それぞれのシチュエーションに登場人物がどのように感じたかは語られるが、「なぜ」そのように感じたかは語られない。ただ、そこからは哀しみや孤独だけが立ち昇ってくる。事象の表層から、特定の感情だけをすくい取り、まるで人は何かを失くすために生きているように見せる。それを繊細と感じる人もいれば、意味不明と憤る人もいるだろう。私は村上文学のテーマは「喪失感の描き分け」と思っていますが、本作からはそのエッセンスが十分に伝わってきました。通常の文法で映画を作るとこの味わいは得られない。本作が面白いかどうかは別にしても、私は拍手したいです。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-02 15:27:05)
26.この映画には独特な雰囲気がある。空気感がある。観れば分かる。それを感じるだけでもすごく刺激的だ。普通の映画に比べておおすぎる朗読、すくなすぎる音、短すぎる上映時間。そういう比較が虚しく思えるほど、この映画は表現したいことのために表現できているという意味で完結している。映画の中でトニー滝谷の孤独が感じられたことで、僕は、孤独なのは僕だけじゃないと思えた。孤独なものどうしが逆説的に共感し合えるなんて素敵ではないか。
wunderlichさん [DVD(邦画)] 8点(2007-04-29 22:08:43)
25.とても静かな作品。抑揚は無いがシーンの切り替えはリズムがよく、短い時間も好感がもてる。イッセー尾形と宮沢りえは2人とも好きな俳優なのでよかったのかもしれない。まるで空に浮いているかのように美しい映像。坂を駆け上がってくる宮沢りえが印象的。秀作。
カリプソさん [DVD(邦画)] 8点(2007-02-01 01:11:44)
24.映画を観ながら、小説を読んでいる。そんな体験ができる不思議な映画です。
parabenさん [DVD(字幕)] 8点(2006-05-22 15:51:02)
23.村上春樹の原作の持つ空気が、うまく出ていると思います。絵画のような映像は、映画というより絵本や紙芝居を見るような感じ。でも宮沢りえがいなければ、厳しかったかも知れない・・と思うほど宮沢りえがハマリ役です。すごくいい。春樹が小説で描く世界というのは、実は根底の部分ではすごくエグイのですが、この映画は表層だけを、その空気だけをうまく切り取って見せてくれてます。映画としてうまく昇華したのではないでしょうか。音楽もあいまって、なんてことないシーンで何度も涙がぽろぽろ・・・ひとりで見て良かったです。エンドロールの辺りからもジワジワ、かなり後までひっぱってしまいました。良作。
タマクロさん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-29 17:56:46)
22.私はかなり村上春樹の小説が好きなのですが、この映画に流れる雰囲気は村上春樹の小説のそれと似ていると感じました。美しい曲、美しいナレーション、美しい女優、そして美しい洋服。ナレーションの最後の部分を登場人物がしゃべるのが最初違和感がありました。あれはナレーションと映像を結ぶ役割があったんでしょうか?穏やかな映画だけど心がざわつきました。ハルキストとしてプラス1点
サイレンさん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-04 00:00:47)
21.次々と繰り出される横移動のカメラによる平面的な映像は、どこか都会的でアンニュイな雰囲気を漂わせている。今の場面と次の場面との繋ぎの役割を果たしているのは柱や壁。それらの影から登場人物たちをそっと覗き見しているような感覚は、昨今のドマラ性のあるCMを観ているようで、CM界出身という市川準のセンスを存分に感じさせる映像表現である。すべてを忘れ捨て去ったときに初めて生涯で最も大切なものに気づくというテーマの本作は、しかしながらストーリーを語っていく作品ではなく、あくまでも映像で綴っていくタイプの作品だと言える。だからだろうか、研ぎ澄まされたセリフのひとつひとつには深い思いが込められ、少ないセリフだからこそ余計胸に突き刺さるのである。登場人物は基本的にイッセー尾形と宮沢りえの二人だけ。長年一人芝居でキャリアを積んできたイッセーの才能は、ここに於いて遺憾なく発揮され、彼にしか出せない味を体現してくれた。また「父と暮らせば」などで二人芝居づいている宮沢りえは、二役をさり気なくしかし絶妙に演じ分け、一段と演技力が増したように思う。演技力があればこその起用であろうし、二人とも見事それに応えている。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 8点(2005-06-27 18:35:01)
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20.左から右へゆっくりと流れていくカメラと遮蔽物によるシーンのつなぎは、本の頁をそよ風が1枚1枚めくっていくようでとても落ち着いた雰囲気にあふれた映画でした。ぼそぼそとした西島秀俊のナレーションと坂本龍一のピアノ、抑制されたイッセー尾形と宮沢りえの表情、ふわっと揺れる宮沢りえの黒髪、モノトーンにくすんだ画面、バックを白く明るく人物を影にした構図・・・アンティークな喫茶店で壁にかかった絵画を眺めているような気分でした。服に埋もれた宮沢りえが突然泣き出すシーンには、「服」という記号からいろいろなことを想起させられ印象的でした。私も久しぶりに服でも買いに行こうっと。
彦馬さん [映画館(字幕)] 8点(2005-06-22 13:03:03)
19.映画ではない、小説でもない。カメラワークレス、語りで、コマ割られた絵本のような紙芝居のような。ノルウェーの森より、こっちの方が好きだな。
minさん [DVD(邦画)] 7点(2013-10-07 20:11:15)
18.ネタバレ 私、コレ、好き。すごく好き。
色が好き。音も好き。声が好き。

そして一番好きなのは、
彼女が、洋服を買いあさるところ。
ずーっと、足元を追っているキャメラ。
不穏な感じが、ドキドキする。

人生って、
ほんの少し気になっていた小さな一言を、
(すごく控えめにせよ)言ってしまった事で、
全てを失うってこともあるのね。

「口は災いの元」なんていうような、単純なお話では無いわね。

彼(トニー滝谷)は、孤独を理解することが出来て良かったと思う。
物心が付いた頃に既に「孤独」だった人は、孤独が当たり前すぎて、
「孤独」がどういうものなのか分からないのよ。
「孤独では無い」経験して初めて、「孤独」を感じ取れる。
それは、「孤独」を知らないよりは、ずっと良いわよ。つらいけど。

もと(独り)に戻っただけでも、「孤独では無い」経験があるか無いかでは
全然違うのよ。

最後に彼女を断ったように、寂しさから逃げないで、
それときっちり向き合って、生きていって欲しい。
ジャスミンさん [DVD(邦画)] 7点(2012-01-07 22:34:46)
17. イメージ映像付き朗読劇というか小説のPVという感じですね。ややもすると退屈になりがちな手法ではありますが、この作品は村上春樹の世界観と市川準の映像、坂本龍一の音楽が上手くマッチしていて観ていて心地良かったです。ただ、イッセー尾形の学生役はちょっと無理が・・・・・
TMさん [地上波(邦画)] 7点(2008-07-01 10:48:35)
16.ときおり吹く風が浮遊感を醸し出していて良かった。
michellさん [DVD(邦画)] 7点(2007-03-05 00:09:11)
15.記憶と物質の関係について考えさせられた。「記憶は風に揺らぐ霧のようにゆっくりとその形を変え、形を変える度に薄らいでいった」にあるように、物質には記憶が付随するから、影のように付きまとうが、処分していけば気持ちの整理もある程度はできるし、スッキリもするんだろう。でも結局は孤独しか残らないのかもしれないけど。
東京50km圏道路地図さん [DVD(邦画)] 6点(2014-01-25 13:09:39)
14.仮に画面を消して、音だけで聴いたとしても、一編のラジオドラマとして成立しないこともないぐらいの言葉による説明ぶり。ということは、一人前の映画とはいいがたいのだ、これは。ただ、淡いパステル画のような独特の雰囲気は捨てがたい。とはいえ、尺が短かすぎて、少々食い足りない。もっと映画として熟させれば名作になったかもしれない、残念な作品。
goroさん [DVD(邦画)] 6点(2008-10-03 03:04:44)
13.ネタバレ イッセー尾形の学生時代の姿は微笑ましい。
フッと猿死体さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-11-11 22:21:47)
12.予想していたよりは良くなかったです。
女性から観ればいい映画にうつるかもしれませんが、男性の私からしたら辛い映画です。
にじばぶさん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-10 20:04:18)
11.ああ、村上春樹はやっぱり照れ臭い。
さん [DVD(邦画)] 6点(2007-04-20 03:05:42)
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マーク説明
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★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 30人
平均点数 6.10点
013.33%
126.67%
200.00%
313.33%
426.67%
5413.33%
6516.67%
7413.33%
8826.67%
926.67%
1013.33%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 4.50点 Review2人
2 ストーリー評価 4.80点 Review5人
3 鑑賞後の後味 5.80点 Review5人
4 音楽評価 5.50点 Review4人
5 感泣評価 2.00点 Review3人

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