映画『砂と霧の家』の口コミ・レビュー

砂と霧の家

[スナトキリノイエ]
House of Sand and Fog
2003年上映時間:126分
平均点:6.49 / 10(Review 59人) (点数分布表示)
公開開始日(2004-11-06)
ドラマ小説の映画化
新規登録(2004-08-22)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2019-06-12)【Olias】さん
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監督ヴァディム・パールマン
キャストジェニファー・コネリー(女優)キャシー・ニコロ
ベン・キングズレー(男優)ベラーニ
ロン・エルダード(男優)レスター・バードン
ショーレ・アグダシュルー(女優)ナディ
フランシス・フィッシャー(女優)コニー・ウォルシュ
キム・ディケンズ(女優)キャロル・バードン
ジョナサン・アードー(男優)イスマエル
湯屋敦子キャシー・ニコロ(日本語吹き替え版)
麦人ベラーニ(日本語吹き替え版)
弥永和子ナディ(日本語吹き替え版)
原作アンドレ・デビュース三世「砂と霧の家」(日本語翻訳版・DHC刊)
脚本ヴァディム・パールマン
音楽ジェームズ・ホーナー
撮影ロジャー・ディーキンス
製作マイケル・ロンドン
ヴァディム・パールマン
配給ギャガ・コミュニケーションズ
特撮リチャード・O・ヘルマー(特殊効果監督)
マイケル・ランティエリ(特殊効果コーディネーター)
字幕翻訳太田直子
あらすじ
結婚に失敗し無気力な生活をしていたキャシーは自分の住んでいる家を税金の滞納から差し押さえられてしまう。亡き父が残してくれたこの家は即刻競売にかけられてベラニー元大佐の手に渡ってしまう。ベラニーのほうは新しい家を手に入れてもう一度人生をやり直そうとしていた。1つの家をめぐってキャシーとベラニー一家は激しく対立し、そして信じがたい結末へと向っていく。
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💬口コミ一覧

59.ネタバレ 家を取り戻そうとする女、家を守ろうとする男、家を捨てた保安官。 すべてが「家」という存在から物語は始まっている。結婚に失敗して無気力な生活を送っていたキャシーの「家」に対する執着心は最初はよく分からなかった。なぜ自殺する必要があるのかも不思議だった。 しかし徐々に彼女は住む場所としての物質的な家(ハウス)を求めていたのではなく、家族の象徴としての家(ホーム)を求めていたのだ、ということが分かってきた。そう考えると非常にこの映画が好きになってきた。 人間の愚かさや他人に対する無理解が垣間見られる一方、ホームとして家の存在が霧のように希薄になってしまった現代で、ホームに執着する元大佐のベラニーとキャシー。 2人がホームに求めていたものは、キャシーは家族であり、ベラニーは祖国であるだろう。 2人は、目で見える物質的な「家」をめぐって争っていたが、実はお互い目に見えないホームをめぐって争っていたのではないだろうか。 この映画で誰が悪いやつか?なんて考えるのは意味がないと思う。全員が愚かなのかもしれないし、全員が被害者なのかもしれない。

花守湖さん [DVD(字幕)] 10点(2005-07-23 13:06:53)
👍 1
58.ネタバレ この映画の本質は、「孤独」ではないかと思う。登場するメインの登場人物は、みんな孤独だ。ジェニファー・コネリーのキャシー然り、バードン保安官然り。ベン・キングスレーのベラーニ大佐がイラン人という設定は、そういう意味でもうまい設定だ。「イラン」という国名は「アーリア人の国」という意味で、だからかイラン人は他のアラブといわれる中東諸国とは違うんだという自負みたいなものがあり、(「アラブ人呼ばわりされるためにアメリカに来たんじゃない」という言葉が象徴的)しかもイラン革命で国を追われ、祖国のアイデンティティーを持ちながら祖国に受け入れられず、流れ着いたアメリカ社会も彼を温かく迎え入れてはいない。そんな彼が彼にとってかけがえのないものを失った時、皮肉なことに「あなたはもうすぐ自由の身だ」というセリフとともに初めてアメリカに受け入れられたように思う。しかし、もう遅すぎた。生きるよすがを、希望を失っては・・・彼だけでなく、キャシーもバードンもみんな不幸になってこの映画は終わる。それなのに、なぜか私は癒されたような感覚を覚えた。彼らは皆孤独という、彼らのある意味であるがままの姿に戻っていった。彼らが上辺で求めていたものも、本当に求めていたものも、何もかも失って、生まれたときのように何も持たない身になって。そしてその前に少しだけ、彼らがそれぞれ頑なにこだわっていたものが少しだけほどけて、人としての輝きを垣間見たように思ったからだと思う。人として、何か心に重たいものを感じながら、映画館を後にした。
合言葉は埜波と軍曹/埜波(のなみ)さん 10点(2004-11-21 08:51:52)
👍 1
57.ネタバレ 以前から観よう観ようと思ってやっと鑑賞したのだが、何の予備知識もないまま観たので、意外な展開。
ジェニファーの表情は本当に美しく繊細で儚く、観るものを圧倒する強さもある。
大佐もジェニファーも副保安官も、それぞれ選択を誤っているように見えるけど、人生のどこかで間違いを起こすことはある。
それが三人同時にやってくると、あんな悲劇になるのかもしれない。
大佐の意図を理解して、静かに最後のお茶を飲む奥さんの演技は素晴らしかった。
人が人生において犯す過ちを、観るものに思い起こさせる映画だと思う。
きちんと生きている人には呆れ果てる登場人物だろうけど、私には胸に突き刺さる映画だった。
佳作。
roadster316さん [DVD(字幕)] 9点(2018-11-25 03:01:48)
56.冒頭、保安官役でお気に入りのロン・エルダードが出てきた時に「こりゃただの親切なおまわりさんで終るはずない、絶対絡んでくる」と予想してそのまま鑑賞することにしました。
この映画のキーワードは「家」と「執着」でしょうか。母も兄も出て新しい道を選んだのに対しキャシーがあそこまで家に執着するのは家が大事なのではない、子どもを産むことを拒絶された上に去っていった夫、ひとりぼっちになった彼女にとって父の遺した「家」はたったひとつの拠り所、自分の存在を証明する唯一のものだからじゃないかな。けれど大佐の奥さんの暖かい心に触れ家はどうでもよくなる。母国を追われアメリカに亡命したイランの元大佐はアメリカではなんの効力もないにも関らず大佐という肩書き、身分を捨て切れず執着している。保安官は「自分の家と家族」はあっても心が満たされずにいる。
ひとつのことに執着し続けたキャシーと大佐、強引に前に進もうとした保安官。相手の事情、心情を考慮せず信じず、自分を押し通すことが最悪の結果を招いたということでしょう。皆性悪の悪人ではない、特に大佐の息子に罪はない、これが悲しいですね。この三者を結びつけたのが行政ミス、大佐が亡命するに至った理由も国の都合なのでしょうか。アメリカだからの話じゃないですね、ただ、そこに銃があるかないか、警官がすぐに発砲するかしないかの違いです。
現実的な社会を背景にして人間の業を描き、問題提起しているモノというのは国や民族文化が違ってもあらゆることに共通、通じることだと思う、この映画は「対岸の火事」じゃないですね。
envyさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-04-27 12:59:24)
55.ネタバレ 面白い。無駄なシーンがないので、集中して観ることができた。自殺を助けた家族が全員死ぬ展開はいまいちだな。ラスト以外は完璧でした。
やっぱトラボルタでしょうさん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-08 08:49:32)
54.911以後やたらアメリカの病理を描く映画が多いです。本作もその範疇に入るでしょう。自分がちょっと前に映画館で観たヴェンダースの「ランド・オブ・プレンティ」、ワインの世界をを描いた「モンドヴィーノ」なんかでもそうです。なにも「華氏911」とかいうあからさまなのじゃなくてもそんなのが多いです。創作をする人々は時代の空気を表現したいものだそうです。それは単に英雄気取りでアメリカを悪者にしているわけでもないし、サヨってわけでもないでしょう。アメリカ人監督なら相当な危機感をもって自己反省しているのだし、他国の監督ならアメリカに将来の自国の姿を見ているのです。そりゃ自己満足はあるでしょうけどね。私のレビューよりはないでしょうが・・・。国家のあり方や時代の空気なんて我々個人に関係ねえよ、いや、あんまり関係あって欲しくねえ・・・と思っている私ですが、そういうものが実際に個人をどうしようもなく不幸に陥れることもあるし、人々の精神に影響を与えているのは間違いないでしょう。こういう政治的な観方は本来嫌いなんですけど、近年の一連の同じ系譜の映画の連続がそんな観方を強要しているかのようですし、そういう観方をすれば本作も結構すんなり納得いくところが多いです。ヘタレ警察官はあまりに見事なアメリカぶり?でちょっとやりすぎかもしれませんが・・・。でも、本作はそういうことがメインの作品では全然ないと思いますけどね。人それぞれの不幸の度合いは比較不能で、誰が特に悪いわけでもなかったり、みんなが悪かったりで解決不能な問題が世の中にはあります。比較不能な価値の対立があります。本作はそんな表現し難い泥沼の世界のあり様を傍から見ればどうでもいい醜い小さな争いに凝縮し、悲劇的に美しく描いています。私ごときには言葉で本作の感動をうまく表現できないのが残念です。自分の文章力と脳ミソではこの作品の不思議な感動と憂鬱を表現できないのです。そこで上っ面をなぞったレビューもありかな・・・とアメリカ嫌い的な文章になっちゃいました。ごめんなさい。こういう観るからに出来の良さげなのは好きです。映像についてはカメラワークとか知りませんけどキレイでしょ?。玄人受けしそうで高尚だからって私は嫌うことはありません。鼻についてもそれはそれで讃えてやればいいじゃないですか。監督の次作期待してます。
しったか偽善者さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-17 23:20:04)
👍 1
53.ネタバレ 久しぶりにいい映画を観た。僕はてっきりハッピーエンドになるのかと思っていて、あの状況からしてどう転じていくのか期待してたので、ああいう結末になったことは残念だけど、それがこの映画の価値を左右するとは思わない。脚本を追うような見方では共感しないかもしれないが、制作者の意図は映像と共に常にあり、全編を通して表現の豊かさに満ちていた。
アランチャさん [DVD(字幕)] 9点(2005-07-20 02:35:50)
52.見る物全てが灰色に曇ってしまうような、そんなあまりにも悲しすぎる映画でした。個人的には「ミスティック・リバー」よりもこちらを推します。まるで善良な映画ファンとDVDの転売コレクターとの泥沼の戦いを見ているようでちょっと身につまされる…、というか痛ましい光景が続きます。全てを覆い隠してしまう霧、出てくる俳優が皆上手いというところも心憎い。ここまで完璧なのに何故アカデミー賞ではたった三部門にしかノミネートされなかったのかは解せないけど、美しくも苦い味が残る大傑作だと思いました。
かんたーたさん 9点(2005-03-08 14:06:11)
51.ネタバレ 強烈な印象に残る映画であり、あまりにも悲しかった。どうしてこのような悲劇が起きてしまったのだろう。元は言えば行政を司る郡のミス、いやミスではすまされないことなのだが、それを攻めてもどうにもならないだろう。
失って初めてわかるもの、あまりにも犠牲は大きかった。予告編で求めていたのはHouseでなくHomeだった(予告編でネタバレ)と言えばそれまでだが・・・。
人を脅し従わせる銃、自殺をするための銃、大切な人を守る銃、そして危険を除去するため射殺する銃、米国の銃社会、それはいつか大きな不幸を呼ぶと声を上げて叫びたい。
ESPERANZAさん [DVD(字幕)] 8点(2012-04-11 20:45:51)
50.「呪われた家」とでも形容したくなるようなストーリー展開で、ひとつの家を巡る泥臭い利害の対立を、美しい背景映像に対比させて描いた秀作です。俳優の持ち味を生かしたキャスティングも見事で、特にジェニファー・コネリーが美しい。
windanceさん [DVD(字幕)] 8点(2009-08-25 18:40:32)
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49.本質的な意味は私にはわかりませんが、作品の構成には隙がありませんし、映像も美しく良い作品だと思います。伝統的な威厳をもった国(社会)と、歴史は浅いけれど世界の警察官に成り上がった、ややはすっぱなアメリカ社会とを比較した作品なのかなあ(前者の代表がベラーニ大佐で、後者の代表がレスター警官ですよね)。その中に家族の関係も入ってきて、国家・文化と家族の関係を融合させて深みのある、美しい作品に仕上がっていると思います。
ひよりんさん [DVD(吹替)] 8点(2007-11-04 12:42:50)
48.前半は、誰が特に悪いというわけでなく、降りかかってきた不幸という感じだったのが、あの保安官のせいですべてが台無しになってしまった。アメリカの税の書類なんてあんまり見てもわからないし放置しがちなものなので、起こりうる不幸という目で見てしまった。まあ家を持っていないから差し押さえられる心配はないんだけれど。それにしてもあの親子は24でも親子だったということを忘れないようにしたいな。
HKさん [DVD(字幕)] 8点(2005-12-07 22:42:50)
47.かなりこなれた映画じゃないですか?!クロウと受けしそうですね。僕は 女もベラーニも悪くないと思う。 お互いの主張はしごく当然だし、ただしインゲマル?!だっけか?アメリカナイズされてスケボー小僧だし、警官はまさにコンサーンレスのアメリカ人そのもの。現在の中東アメリカの関係に、アンチテーゼを鋭く突き立てているような、素晴らしい映画ですね。お互い後悔するぐらいなら、お互いがもっとしなやかに為るべきだったね。詰まるところ銃(武器)と言う存在が、悲劇を生む切欠になっている。憲法9条、靖国問題、我々も襟を正さねば、同じように悲劇を生む事を、学習しなければならないね。
Pizzさん [映画館(字幕)] 8点(2005-10-21 03:22:23)
46.『ダンサー・イン・ザ・ダーク』以来のやるせなさで、しばらく涙がとまらなかった。体力・気力ともに充実してるときに観ないときつい作品。
ぷっきぃさん [ビデオ(吹替)] 8点(2005-05-29 22:04:58)
45.宗教的な慈愛と尊厳、懺悔と贖罪。そういった感覚に満ちた素晴らしい映画。何の前知識もなく見たが、よもやこんな展開になるとは。後半、展開が急な気がしたがよく考えると細かい複線が山ほど張られていたように思う。例えば、DVの夫をハメる保安官の話とか、コネリーがヤク中だったと示唆する態度であるとか。イラン人夫婦の演技は素晴らしく、ジェニファーコネリーの腐りっぷりも良い。音楽も、最後ベラー二が軍服に着替えたときの中東旋律などはたまらん。職人的映画。
さん 8点(2005-03-23 17:43:14)
44.重く深い映画、登場する人物それぞれが何らかの事情が有り、その彼らが一軒の家を巡って争う、誰も悪くないのに展開が悪い方向に向かってしまう。あえて悪を探すとすれば、郡と頼りない弁護士。決してハッピーエンドにはならないが、わざとらしい終わり方をしないところが良い。レスターの下心ありありの行動には疑問を抱くが、自分が同じ状況なら同じ行動をするかも知れない(相手がジェニファー・コネリーならしょうがないでしょう?)と思うと非難はしにくい。ベン・キングスレーの演技は素晴らしい、同年アカデミー賞主演男優賞を取ったショーン・ペン(ミステック・リバー)よりも上だと思う。
みんてんさん 8点(2005-03-21 08:24:33)
43.重い悲劇だけれどいろんな問題提起がされているようで興味深く、見ごたえのある作品だった。
一つの家を巡って対立することになる女性とイランからの亡命者一家。
失意の日々で怠慢から家を失うことになった女性も、かつての栄光ある誇り高い大佐もそれぞれ家にこめた思いや切実な事情がある。双方とも悪意はないのだが、どちらにも肩入れできないというところもある。
解決するにはお互いによく話し合って双方が譲り合うしかないと思うのだが、私情で女性側に立つ副保安官が絡んできて事態をこじらせてしまう。
この人物のとった対応がアメリカという国を示唆してるようでもある。本人には悪意というより正義感からなのだろうが、事態をよく理解しようともせず一方的な感情で銃で脅しつけて介入したことで思わぬ悲劇を招くことになる。
非常事態で大佐が息子に言う「臆病だから銃で武装する。臆病者は刺激しないように冷静に振舞おう」といったようなセリフも印象的だった。言葉も文化も異なる者が利害で対立した時何が大切か、どういう対処をすべきなのかといったことを考えさせられる。両者をイスラム社会とアメリカの現在の姿として見るととても興味深い。
J・コネリーやベン・キングスレーなど出演者もとても良かった。


キリコさん 8点(2004-11-16 21:20:39)
👍 1
42.ネタバレ 家の取り合いから最悪の結末へ。一見すると自己中の人達によるドタバタ惨劇だが、アメリカの貧困問題、移民問題やイラン革命といった世界史的な背景に気づくと風景がまったく違って見える。
結局登場人物の誰にも感情移入できなかったが、その理由は、所詮私も平和ボケした日本人のひとりに過ぎないってことなのかも。
la_spagnaさん [地上波(吹替)] 7点(2021-03-31 15:19:48)
41.ネタバレ それぞれの胸に秘めた想い。よかれとやったことが最悪の結果を招いた悲劇的な物語です。ジェニファー・コネリーは家、というよりも家に染みついた家族の想い出を求めている。大佐は家に家族の将来像を重ね見ている。偶然行政の不手際によって交わってしまう2つの家族。ジェニファー・コネリーは何とかして家を取り戻そうとする。泣き落としや逆ギレ、果ては自殺未遂まで。大佐は家の転売益を元手に商売を初め、息子を大学にやりたい。唯一現状から這い上がる手段を手にしているので折れることが叶わない。そこに絡んでくる警察官の横暴で皆が不幸に陥ってしまう。最後、大佐は心中(もしかしたら無理心中かもしれません)を図ります。妻には毒を。自分は毒ではなくもっとも苦しい窒息を選ぶ。そこに折れることの出来なかった自分。このような状況を招いてしまった自分への懺悔の意思が潜んでいるように感じられました。
kirieさん [地上波(吹替)] 7点(2014-10-12 22:35:06)
40.ネタバレ 映画としては多少マイナス方向のご都合主義(悪い結末になるように登場人物が行動する)を感じた部分はあるものの、特に前中盤はそれぞれの立場の切実さが描写されていてどうなるんだろうとワクワクしながら見ていた。人間ドラマとしておもしろい。
自分としてはベラーニ大佐側に感情移入して見ていた。特にクズの保安官が立場を利用して下衆な脅しをかけてからは圧倒的にそうなった。
バートンはもちろんだが、キャシーも同じぐらい酷い人で、手続きに則らずに勝手に家に近づいて怪我をしたのにもかかわらず、暖かく介抱してくれた一家に対し、盗人呼ばわりし、保安官と良い仲になり私情で動かす。挙句の果てに家族の前で自殺をしてトラウマを残させようとし、それを必死の処置で救ってくれた一家を我が情夫が監禁している事実を知っても助けようとしない。恩を仇で返すとはまさにこのこと。

ベラーニは確かに妻に暴力を振るったが男尊女卑の気が強いであろうイランで育った男性としてはかなり優しいほうなのだろう。元大佐としてのプライドを持ちながらも、家族のために肉体労働や雑貨屋のアルバイトをし、食事はチョコレートバーで我慢しそれすら家計簿につける姿には涙が出た。あの家は正当な手続きで所有したのであり、納得のいく値段でない限り家を返さないという主張は法的に完全に正しい(と思われる)し、欲深いからではなく、息子の進学費用等に是非ともお金が必要だというのだから倫理的にも全く責められるべきではない。

キャシーは家を失った程度で(もっとも弁護士は長引きそうだといっただけで完全に家を失ったのかよく分からない部分は残る)自殺を図るのなら、それよりはるかに自殺にふさわしい理由が3つも増えた以上、エンディングのあと当然自殺したのではないかと想像している。

自分としては息子を殺された後、復讐に走る展開になるのかなと思ったが、そうではなく、静かに死んでいくのはある種の誇り高い行為に思えた。自分達の命であった息子が死んだ以上、もうイラン時代の亡霊である自分達には生きる意味はないと思ったのだろう。(自殺は悪いことであることに変わりはないが。)
Anything goes.さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-07 19:45:12)
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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 59人
平均点数 6.49点
000.00%
100.00%
223.39%
346.78%
446.78%
558.47%
6915.25%
71830.51%
8915.25%
9610.17%
1023.39%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.50点 Review2人
2 ストーリー評価 5.66点 Review3人
3 鑑賞後の後味 2.40点 Review5人
4 音楽評価 7.00点 Review2人
5 感泣評価 7.50点 Review2人

【アカデミー賞 情報】

2003年 76回
主演男優賞ベン・キングズレー候補(ノミネート) 
助演女優賞ショーレ・アグダシュルー候補(ノミネート) 
作曲賞(ドラマ)ジェームズ・ホーナー候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2003年 61回
主演男優賞(ドラマ部門)ベン・キングズレー候補(ノミネート) 

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