映画『河童のクゥと夏休み』の口コミ・レビュー

河童のクゥと夏休み

[カッパノクゥトナツヤスミ]
Summer Days with Coo
2007年上映時間:138分
平均点:6.65 / 10(Review 49人) (点数分布表示)
公開開始日(2007-07-28)
ドラマファンタジーアニメファミリー小説の映画化
新規登録(2007-03-21)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2023-12-18)【イニシャルK】さん
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監督原恵一
松元環季上原瞳
田中直樹上原保雄
西田尚美上原友佳里
なぎら健壱クゥの父親
ゴリキジムナー
安原義人オッサン
藤原啓治司会者
矢島晶子女子アナ
玄田哲章ディレクター
納谷六朗プロデューサー
郷里大輔社長
富田耕生トシオ
藤本譲名主
羽佐間道夫武士/清水
一城みゆ希食堂のおばさん
稲葉実宿の客の夫婦
成田剣雑誌記者
大川透コメンテーター
太田真一郎アナウンサー
平野正人タクシー運転手
ゆかなアイドル
結城比呂東京タワーの職員
子安武人レポーター
阪口大助カラス
大西健晴カラス
島香裕プールの先生/テレビの声
中村千絵遠野駅アナウンス
永島由子あやなの母
瀧本富士子河童淵の観光客
木村雅史カメラマン
佐々木敏部長
定岡小百合宿の客の夫婦
宮本侑芽あやな
西川宏美電車内のおばさん
原作木暮正夫「かっぱ大さわぎ」/「かっぱびっくり旅」
脚本原恵一
音楽若草恵
作詞原恵一「雨乞いの歌」(ノンクレジット)
作曲朝本浩文「夏のしずく」
原恵一「雨乞いの歌」(ノンクレジット)
宮沢賢治「星めぐりの唄」
編曲朝本浩文「夏のしずく」
若草恵「雨乞いの歌」/「星めぐりの唄」
主題歌大山百合香「夏のしずく」
製作松竹(「河童のクゥと夏休み」製作委員会)
シンエイ動画(「河童のクゥと夏休み」製作委員会)
テレビ朝日(「河童のクゥと夏休み」製作委員会)
電通(「河童のクゥと夏休み」製作委員会)
プロデューサー茂木仁史
制作シンエイ動画(アニメーション制作)
配給松竹
作画堤規至(CG監督)
末吉裕一郎(キャラクターデザイン/作画監督)
大塚正実(原画)
林静香(原画)
美術野中幸子(色彩設計)
武田双雲(題字)
中村隆(美術監督)
編集小島俊彦
録音大熊昭(音響監督)
西尾昇(デジタル光学録音)(デジタル光学録音)
その他東京現像所(現像)
文化庁(支援)
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💬口コミ一覧

49.子供達の素朴な感情が、とても良かった。
muntuさん [映画館(邦画)] 10点(2008-05-04 18:57:10)
48.ネタバレ クゥちゃんが妙にカワイイので、珍しくアニメを劇場鑑賞。「アメリカのCGアニメと違って顔が雑だわ~」ぐらいの気持ちで観始めたのですが・・。笑ったり泣いたりでしたが、後半はクゥが何か言うと泣き、クゥが泣くと泣き・・とボロボロでしたわ・私。何で自分がこんなにボロボロと泣いてしまうのか、映画を観ながらも不思議だったのですが、帰りにクルマを運転していて気づいた・・。クゥがおびえるクルマもTVや雑誌もネットも「私のモノ」なんですよ。「私」がクゥの生きる場所を奪っている「何か」の一部なんです。醜い行動を繰り返すマスコミもネットも支えている愚民がいてこそ、凶暴化する・・。そうやって生きる場所を失った人や存在がいることをどこかで意識しているんだけど、それをこの映画で突きつけられて涙が止まらなかった・・。


ごめんね、くう。
グレースさん [映画館(邦画)] 10点(2007-08-09 20:09:12)
👍 1
47.ネタバレ 東京タワーのふもとで、おっさんに死なれ、怒りにとりつかれたクゥが豹変し、巨大化し、目が怖くなり、ギっと念じた瞬間東京中の人間がバーンと粉砕され、まるで『もののけ姫』のカタストロフィみたいになったら、それはそれで面白いのだが、原恵一はそんなことはせず、宅急便でお別れという極めて地味な決別を選んだ。それがいいよね、とても。
幸薄女の子とのやりとりもとても泣ける。小学生同士の仲だから、あそこで抱きしめたりはしない、そういういわばプラトニックな付き合いが懐かしい。
犬のおっさんが達観した悟りの声でクゥと会話する様子を見て、昔うちで飼っていた犬を思い出した。きっとあいつもあんな風に物事を言語で考えていたのだろう。そう思うと泣けて泣けて。
no_the_warさん [DVD(邦画)] 9点(2009-01-26 01:14:21)
46.泣けた。このひとことに尽きる。

とにかく主人公の河童が素直で純真でいじらしすぎる。彼の一挙手一投足、言葉の端々に、今の日本人が忘れてしまった礼節や誠意、自然界に対する畏敬の念などが感じられ、現代日本人へ対するシンプルなメッセージが感じられるのだ。
監督が"ずるい"のは、最初から“彼ら”が存在するものとして描いていることだ。観客はあそこへ行けば当然あれが出てくるものと期待する。そしてその通りの結果になっている。ラストの演出でもそうだ。そういう、観る側のワクワク感をあおりつつ、その期待を裏切らないことでますます観客を映画の世界へ引き込んでいくのだ。
そして後半になって、カレー事件やE.T.のような展開をさせることで、今の日本人社会が抱えるさまざまな問題点への大きな提起しているのだ。たかが「犬畜生」(あえてこう書いているのでご容赦を。私自身、昔は犬も飼っていて、その素晴らしさもわかってます)や「チビ妖怪」にも劣るような感性でいて、「人間として恥ずかしくないのか?」と。
残念ながら私自身、あの場に遭遇したらFOMAのカメラを無神経に向けてしまう側にいると思うし、日常生活が物欲の権化だし、自然や祖先への感謝の念にも欠けている。だからこそ、ラストの"彼"の祈りは大きく心に響くのだ。

ひとつだけ残念なのは、おっさんの件。これだけはどうしても納得いかないままだが、全体を通して、頑張って生きることや未来への希望、自然への畏敬の念や先祖への感謝など、現代日本人が失ってしまったことへのメッセージは大きい。

映画を観終わった後、またこどもの頃にかけまわった山野や川や湖で遊びたくなった。
オオカミさん [DVD(邦画)] 9点(2008-06-29 12:26:23)
45.この作品を待ち望んでみにいってきましたっ!まずこの作品は穏やかに見るほうがよいと思います!勿論期待通りの作品ですがゆったりと考えながらみるべきだと思います。それだけ内容が詰まっています。クゥ目線、康一目線のどちらの見方もあり誰かひとりにたって感情移入してみることが難しかったです。でも別れのシーンは心を動かす何かをもっています!!素敵な音楽の奏でとともにもう一度見たくなります!
ランニングハイさん [映画館(字幕)] 9点(2007-08-05 00:39:34)
44.ネタバレ  シン・ゴジラは今の日本にゴジラが出たらどうなるかを映像にしたとも取れる作品だけど、同様に河童が出たらどうなるのかを考えたのがこの作品だな。自分的には発見時に公的な機関に相談せず自宅でペットにしちゃうのはどうかなとも思ったが、もうテレビ出演時には公的機関への相談なんかあり得ない事態になってた。

 もう、クゥちゃんが途轍もなくかわいいんだよね。ルックスはそうだけど、まあ、心がきれい。それと、それを囲む家族のリアリティがすごい。特に妹。他では見られない人物造形だと思ってらクレヨンしんちゃんの監督さんなのね。そういえば、作画なんかもそんな感じ。きっと、いつもリアルの子供がどんな反応をするのか観察しまくってるんだろうな。泣いている同級生の女の子を扱いきれずに逃げちゃうとこなんかなかなか描けないところだよね。徹底的にオリジナルの子供目線に拘っていますね。この辺は、クレヨンしんちゃんで鍛えたところかもしれません。クゥちゃんがマスコミに登場した後の描写もリアルを感じる。家の周りに張り付くカメラとか、見物人とか、会社からかかる圧力とか、面白いね。おっさんについては賛否あるかもそれないけど、全国のワンちゃんの尊厳の為にもよろしかったのではないのでしょうか。

人間だけが嘘をつくのなら或いは、それが為に今日の種としての繁栄があるのかもしれない。そんな風に考えるとちょっと微妙な気分になります。
たこのすさん [地上波(邦画)] 8点(2022-09-19 11:52:34)
43.ネタバレ いやー、予想外にすごく良かった。存じ上げませんでしたが、クレしんの監督さんなんですね。
犬のおっさんの最後の扱いだけがマイナス。あれは、犬飼ってる人の逆鱗に触れるの分かりそうなものなのに、スタッフに犬好きがいなかったのかなあ? あと河童は川遊びの怖さを子供に教える役割もあるので、かわい過ぎるクゥちゃんはその年代に見せると効果が薄れそう・・・
人間の嫌な部分が描かれてるからこそ、リアリティがあって良い。
くろゆりさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-07-23 21:37:25)
42.ネタバレ 細かい理屈をガタガタ言う気がなくなるような、いい映画だった。映画の中でセルフツッコミしてるけど、「なんで分かるの?DNA検査でもしたの?」「エイリアンと同じで病原菌とか持ってるじゃないの?」なんて言うのがいかに無粋か・・・。普段映画を観て、そういうツッコミを自分もよく入れてしまうので、ちょっと反省。アニメだからただの画ではあるんだけど、頻繁に相撲をとったりして、文字通り「ふれあい」が描かれていて良かった。実写映画以上に身体性や「ふれあい」にこだわっているように感じられた。専門的なことは分からないけど、キャラ同士が触れ合うアニメーションって高度なテクなんじゃなかろうか。そういう意味ではこの絵が雑だとはとても思えない。そして、こういう感想自体も野暮な気がしてくる(笑)。座敷童やキジムナーの、どーんと余裕のある生き方も、なんだか救われる(そして笑える)。もしまた人間社会に迷い込んで困っている妖怪があらわれても、座敷童やキジムナーのように、クゥはしっかりそいつを助けてやれる河童になっているだろうな。「こんな時は相撲でもとるか!」とか言ったりして。 犬のオッサンが死んでしまう場面があるが、その後の家庭のシーンでも常にオッサンの存在が感じられるようになっている。犬小屋は片付けずにそのままにしているし、記念写真を撮る場面でも、しっかりオッサンの写真を添えている。決してご都合主義やお涙頂戴で殺したわけじゃないし、ないがしろにしてるわけじゃないと思う。クゥが別れを経験した後に、父親に「オレにも人間の友達ができたよ」と報告する姿にもカッパ泣き!映画のすべてが繋がる最高のラストシーン。たとえ離れていても、死んでしまっていても、仲間や家族の絆は繋がっている。
ゆうろうさん [DVD(邦画)] 8点(2013-06-26 02:37:45)
👍 1
41.興味本位でナメた姿勢で鑑賞に入り、、、感動した。クレしんは正直あのキャラデザのせいでそんなに感動した事無いんですが、今回は監督の世界観にすんなり入り込めました。でもまぁ、子供用にしてはグロかったりするので、私みたいな大きなお友達向けアニメかな。
movie海馬さん [地上波(邦画)] 8点(2012-07-30 18:26:17)
40.ネタバレ 「構想○○年」とうたい文句にしている映画はあまり面白くない印象があり、この映画も原恵一監督が20年ほど前からあたためていた企画を実現させた作品と聞いていたので、見たい反面、不安もあり、なかなか手が出ずにいたが、ようやく見た。ほのぼのした前半からマスコミがクゥのことを嗅ぎつける中盤あたりからシリアスになり、やがてそれが広まって報道陣が上原家の前に陣取る様子はものすごくリアルで、テレビの取材に興奮する康一の描写なども実際こういうことに遭遇すると仕方がないよねという感じでものすごくリアリティがある。ストーリーはこの後半からつらい方向にいき、自分がいることで上原家に迷惑をかけていると自責の念に駆られるクゥに感情移入し、虐待を受けていたオッサンの過去もついついウルっときてしまった。テレビに出演したクゥが父親の腕を見せられるところや、クゥを守ろうとしたオッサンが跳ねられて死んでしまうシーン、それに東京タワーのシーンはそのときのクゥの気持ちが痛いほど分かり、見ていて本当に泣けてくる。とくにオッサンが死ぬシーンはそれまでのクゥとの関係や、これまでのオッサンの生き様を考えると切なくてたまらない。全体的にはややいろいろ詰め込みすぎてしまった感はあるが、この映画の主軸はひとりぼっちになってしまった河童と現代の家族の交流を描いたひと夏の物語であり、登場するのはごく普通の平凡な家庭。中盤以降にある動物の目線から見ると人間社会はこうだというやや批判めいた描写が強烈で、マスコミや野次馬の描き方なども露骨ではあるが、でも決してそれが後半の主題になることはなく、クゥと上原家、クゥと父親、それに康一と菊池の関係がずっと主題として描かれている。おそらく「クレヨンしんちゃん」映画シリーズと同じく家族や親子、友情を描くことに原監督のこの映画に対するテーマというか、そういうものがあるような気がする。アニメの絵柄が最新のデジタルでなく、地味なアナログのような絵柄なのは原監督の意向かもしれないが、絵柄が素朴な分、映像もなんとなく優しさが感じられるものになっているのもいい。どこかで原監督は松竹大船調を受け継ぐ監督だと聞いたことがあるけど、それもよく分かる。それにしても最近殺伐とした映画ばかり見ていたような気がするのでこういうあたたかい映画を久しぶりに見ると、やっぱりこういう映画っていいなあと思える。見る前の不安はすっかり消え去り、見終わったあと、素直にこの映画を見てよかったと思えたし、原監督らしい佳作だったと思う。これからも原監督の作品はできる限りずっと見ていこう。
イニシャルKさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-29 16:12:15)
👍 1
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39.ネタバレ えらそうなメッセージ色も無かったし、おっさんの悲哀、座敷わらしの造形の可愛らしさ、「ほう・・」って好きっ!
優しい人が日本中では一番多くいる(私的に思っている)県の守り妖怪が救いの手を差し伸べた、、、そこんとこも最高に大好きっ!
木村家の娘さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-26 14:34:26)
38.ネタバレ クゥが吹っ飛ばしたものはカメラのレンズやカラスではなく、人の頭でもおかしくない状況だったと思う。ただ、それをやったら違う映画になってしまったのでしょうね。クゥの言動はよく考えられていたと思います。全く虚飾が無く正直にしかしゃべれない。嘘なんて言葉は知らないのでしょう。ラストで少し涙が出たのはクゥの純粋さに打たれたからだと思います。そのクゥと暮らし始めた家族の描写も上手でした。サラリーマン家庭に妖怪がやってきた状態が無理なく描かれていて、その構成力に感心しました。クゥの純粋さと対極に描かれたのがワイドショーメディアの醜悪さでしょう。この映画を観た大多数の人が同様に感じたと思うけど、ワイドショーは今日も逞しくどうでも良いネタを追い続ける。現代人が抱える業にげんなりしてしまう。少し考えると、クゥの受難は時代こそ違え彼の親父が被った災難と同じ種類のものと気付く。元凶は我々、ということになる。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-02-11 18:46:50)
37.ネタバレ クレヨンしんちゃんを視聴する年でもなく、またアニメ鑑賞率が低いので、アニメ作品としてどうなのかはわかりません。
人間(特にエキストラクラス)の表情が雑かな、とは思いました。そのかわりクゥの造形には全力あげているようで。
ストーリーについては↓で書かれていたようにおっさんは生かしてあげて欲しかったし、本筋のクゥの物語とサイドストーリーのいじめの話の絡ませ方が緩慢で長く感じられました。
などと、悪い癖で色々突っ込みながら鑑賞したのですが、色々な欠点があるにもかかわらず、クゥがとうちゃんの腕を抱えてぽちゃんと川に沈むラストの遠景ですべて持っていかれました。プロローグの悲劇性も際立ちました。
どこかに仲間が生きていることを願わずにはおれません、て、いい年して何言ってんだか(笑)。
完璧ではないけど、とても愛しい映画。
夕顔急行さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-06-09 14:54:56)
36.ここに出てくる上原家とクレヨンしんちゃんの野原家はちょっと似てるなー。家族構成も一緒だし。犬の名前がおっさんっていうのには、笑いました。
Yoshiさん [DVD(邦画)] 8点(2008-05-30 05:48:01)
35.クレヨンしんちゃんシリーズの原恵一監督が満を持して世に放った本作。
この映画で私がすばらしいと思ったのは、康一とクゥの旅路に代表されるような日本の自然や風景の美を描いた点にあると思います。アニメーションながら遠野の自然はもちろんのこと、沖縄や康一の住む東京郊外の描写に至るまで本当にすばらしい。ロードムービーとしての快作だと思います。
脚本面においては、本作では様々なエピソードが登場します。その一つ一つはよく出来ているのですが、映画全体の流れの中で各々のエピソードは一人歩きしている感があり、様々な要素を詰め込みすぎて焦点がぼやけているようにも見えますが、本作はあえてそうすることでこの映画に登場する各々のキャラクターたちの成長を描いた”ロードムービー”として作られているんだとしたら、前者のロードとかけて本当にニクイなぁと思うばかりです。
そして本作は全くもって子供向けの作品ではありません。完全に大人、それもそれなりに育った子供がいる家庭を持つ、大人向けの映画であると思います。宣伝ではファミリー向けとされているものが目立ちますが、本当にこの作品の宣伝担当者はこの映画のことを分かっているのでしょうか。本作を見終わった後、クゥの人形とかストラップとか見ると悲しくなります…。アニメということで大人の方の中には抵抗を感じられる方もおられると思いますが、アニメだの実写だのそんなものは表現媒体の違いに過ぎないということをこの”映画”は証明してくれます。
私にとっては、映画館でクゥたちとともに過ごした旅はこの夏の思い出の一ページとして刻まれることでしょう。
フジさん [映画館(邦画)] 8点(2007-08-03 14:31:25)
34.ストーリー面でもアニメーション面でも、派手さはない。しかしその分鑑賞後に来る胸をえぐられるような後味はかなり良い。鑑賞前は『遠い海から来たCOO』を髣髴とさせる設定に、環境保全とか文明批判とかいった類のテーマを想像していたのだが、それら「言われなくっても分かってる」ことについては比較的言外に提示するだけに止めてある。説教臭さを感じさせないこのバランス感覚はさすが。むしろこの作品が最も強く訴えたいものは、もっと現実的なテーマのようだ。アニメ映画に変な言い方だが、大人だけでなくも現代の子どもたちに是非観てもらいたい一作。
Mum,theSanChrysさん [映画館(邦画)] 8点(2007-08-02 18:52:48)
33.ネタバレ うちの近所にも昔は河童がいたことになっていたかも知れないが今はいない。個人的にも河童に特に思い入れはない。
この映画の河童は野生動物のような存在らしいが、知能があって人の言葉を話すからには人間としても軽くは扱えない。ただ河童だけでなく犬やカラスも人並みの知能がある設定なので、対等な生き物として扱うべき対象はさらに広いことになる。人智を超えた能力としては言語によらない意思疎通の方法を持ち、さらに人類文明を超越した存在ともつながる立場だったようで、かえって人類の方がそのような世界から疎外された種族ということになる。
劇中河童は現代の文明社会で人間の保護を必要としていたが、子どもながら人格がしっかりしていて自立心もあり、見るからに哀れっぽい存在には描かれていないのがいい。非力そうに見えてちゃんと相撲が強いのも侮れないが、場合によって破壊的な能力を発揮するのはやはり人間として畏怖を感じさせる存在ともいえる。
また自然環境に関する問題意識についてはよくある普通程度の感覚だろうが、この映画では最初を江戸時代まで遡ることで、現代の都市開発だけでなく大規模な水田開発も自然環境に影響を及ぼしたとの認識が示されていた。ちなみに「やんばる」は2021年7月に周辺の他の地域とともにユネスコ世界遺産に登録され、いまだ米軍の訓練場に隣接していながらも、保全の条件は改善されていると思われる。しかしその遺産登録もそれ自体が別に強制力を持つわけでもないようで、何より守ろうとする人間の意思が大事なのだろうが、今後の国際情勢や経済・科学・軍事その他の都合でどう変わるかわからないと思えば、どこまでも人類など信じられないという思いはある。人類社会に上辺の社会正義はあっても良心は存在しないので、劇中河童には何とかうまく生き延びてもらいたい。

物語としては夏休みの出会いと別れということで、これまで特に主体性なく生きてきた少年に自立心が生まれ、初めて心の通じあう他者を認識する機会になったということらしい。ラストで河童と少女はそれぞれ新しい生活環境での暮らしを始めていたが、少年ともまたつながることのできる可能性を残していたのは救われる。
なお製作に当たって遠野市の後援を得たにもかかわらず、物語上は遠野に河童はいないと断言した形になってしまっていたが、座敷童子はいたのでまあいいかともいえる。その座敷童子の歌には少し心を打たれた。他にも心を動かされる場面の多い映画だった。
かっぱ堰さん [DVD(邦画)] 7点(2023-09-30 10:51:02)
32.ネタバレ 家族向けに作られても、比較的シビアな描写も少なくないため上級生からだろう。長い時を経て目覚めた河童と少年の交流を描いたファンタジーと、人間社会の醜さを描いた現実が地続きで、クレしんの主人公が大人の世界に半分片足を入れたようなセルフパロディ感があり。ところが、中盤マスコミから狙われているのに、クゥを撮影したビデオを見せたら行動がエスカレートするのは誰も想像できるはず。問題提起を意識するあまり、無理矢理悲劇と泣かせに突き進むあざとさには辟易してしまう。それでも、その醜い社会に一度絶望しながらも折り合いを付けて、少年もクゥも前に進んで生きることを選んだあたり、『オトナ帝国』から『カラフル』まで原監督らしいテイストが一貫しているように見えた。「目先の問題だけを見て、足元にあるささやかな幸せを何故見ようとしないのだろうか」と。一度別れても、いつか再会できると信じてやまない。
Cinecdockeさん [映画館(邦画)] 7点(2018-06-01 19:44:12)
31.ネタバレ 登場人物がやたら泣く映画 特にクゥの号泣ぶりは時に感動的ですらある 哀しいから泣く、てらいない泣きぶりがこちらの慟哭をも誘う 反面メインキャラ以外の人間が余りにもバカに描かれているのが気になった クゥを取り巻くマスコミや観客、主人公の友達までも、クゥ達妖怪よりもわがままでどうしようもない動物という周囲のザコキャラ的描き方で安易すぎる 家の前で犯罪者に対するように詰問するマスコミとか、実際にはドラマ以外では見た事が無いし、むりやり主人公を羽交い締めにしてバックの中のクゥを撮るカメラマンとかいるはずが無いだろう オッサンを轢いた若者達も、出てきたとたんに「クソやろー」で、こいつらがオッサンを轢くぞと思ったらその通りになった この映画は日常的な生活がリアルに描かれているので、逆にステレオタイプな人間達が出てくるとそこだけが現実感が無くて違和感がある 初めての一人旅に不安もなく振り返りもしない主人公の成長ぶりに、親離れがちょっと寂しい涙を流す母親の気持ちがまったくわからない父親とか、家族の機微にはめちゃリアルなのに、家族を取り巻く人達の気持ちとのバランスが悪くてたびたび感情移入を妨げられた ラストもハッピーエンドに落とすのは難しいと思っていたが、他の妖怪が突然救いの手を差し伸べるとか安易じゃなかろうか まぁバットエンドよりはずっといいけど、ちょっと唐突すぎるかな 途中で「ああこれだったのか」と思わせる伏線を仕掛けられなかったのか?
にょろぞうさん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-12-16 16:05:44)
30.ネタバレ 友人と鑑賞。
「妖怪は嘘をつかねぇ。」私の心にグサリときた台詞だ。
昨今のNHK教育でも見られない地味で素朴なキャラ。かわいいというより不気味さが先にたつクゥ。見始めるとそんなことはまったく気にならなくなる。丁寧な表現とほのぼのとした笑いに素直に顔が綻ぶ。そのぶん、中盤から後半の流れが辛くなってくる。思わず観ていて目をそむけたくなった。それは表現が過激なためではなく『人間はこういう生き物だ』と別の生き物達の目から淡々と見せ付けられるから。この映画に説教はない、批判もない。人間批判をしているわけでも妖怪賛歌でもない。ある少年とクゥという河童がかけがえのない一夏を過ごした思い出の映画だ。
クゥを守りきれなかった上原一家に憤る人もいたのではなかろうか。けれど上原一家はあくまでどこにでもある平凡な一般家庭。仮に別の子供の手によってクゥが復活したとしても、結末は変わらないものになったと思う。クゥのような、人間ではない小さな生き物が日本のどこかで静かに暮らしている事を願ってやまない。
余談だが、新天地で川の神様に挨拶をしてはいるクゥにはっとさせられた。この映画を観て以来、私は見知らぬ土地に出向く時は心の中で「お邪魔します」と一礼するようになった。
どぶん子さん [映画館(邦画)] 7点(2009-12-05 23:49:32)
👍 2
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 49人
平均点数 6.65点
000.00%
112.04%
200.00%
324.08%
436.12%
536.12%
61122.45%
71326.53%
81122.45%
936.12%
1024.08%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.80点 Review5人
2 ストーリー評価 5.60点 Review5人
3 鑑賞後の後味 4.80点 Review5人
4 音楽評価 5.16点 Review6人
5 感泣評価 6.20点 Review5人

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