映画『自虐の詩』の口コミ・レビュー

自虐の詩

[ジギャクノウタ]
Happily Ever After
2007年上映時間:115分
平均点:6.25 / 10(Review 75人) (点数分布表示)
公開開始日(2007-10-27)
ドラマラブストーリーコメディ漫画の映画化
新規登録(2007-09-26)【ジャッカルの目】さん
タイトル情報更新(2025-02-15)【イニシャルK】さん
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監督堤幸彦
演出諸鍛冶裕太(アクションコーディネーター)
キャスト中谷美紀(女優)森田幸江
阿部寛(男優)葉山イサオ
アジャ・コング(女優)熊本さん
カルーセル麻紀(女優)福本小春
西田敏行(男優)森田家康
名取裕子(女優)美和子
遠藤憲一(男優)あさひ屋マスター
岡珠希(女優)中学時代の幸江
丸岡知恵(女優)中学時代の熊本さん
佐田真由美(女優)森田秋子
Mr.オクレ(男優)喫茶店店主
蛭子能収(男優)新聞販売店主
松尾スズキ(男優)中年男
竜雷太(男優)組長
谷津勲(男優)
斉木しげる(男優)小春の夫にそっくりな訪問販売の男
島田洋八(男優)ポン引き
野添義弘(男優)パチンコ屋の店員
出演斉木しげる小春の夫(写真)
脚本植田博樹(ペンネーム「里中静流」)
音楽澤野弘之
志田博英(音楽プロデューサー)
主題歌安藤裕子「海原の月」
撮影唐沢悟
製作遠谷信幸
島本雄二
松竹(「自虐の詩」フィルムパートナーズ)
S・D・P(スターダストピクチャーズ)(「自虐の詩」フィルムパートナーズ)
ジェネオンエンタテインメント(「自虐の詩」フィルムパートナーズ)
電通(「自虐の詩」フィルムパートナーズ)
エイベックス・エンタテインメント(「自虐の詩」フィルムパートナーズ)
松竹ブロードキャスティング(「自虐の詩」フィルムパートナーズ)
製作総指揮迫本淳一
企画細野義朗
プロデューサー植田博樹
配給松竹
特撮野崎宏二(VFXスーパーバイザー)
美術相馬直樹[美術]
編集伊藤伸行
照明木村匡博
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💬口コミ一覧

75.ネタバレ 原作未読ですが、DVDは何度も(おそらく10回近く)観ています。

私はこの映画が本当に大好きです。
でも正直言うと、初めて見た時は「まぁ面白い」程度の評価でした。(点数で言えば6~7点)
しかし、この作品には不思議な中毒性があります。
なんだか急に、本作に溢れている『さまざまな愛の形』に触れたくなるんです。
そういう時は大抵、自分の心が疲れて荒んでいたり、優しくされたい、愛されたい!と思っている時なんだなぁ…ということに気がついたのも、ごく最近のことです。
一度目より二度目、二度目より三度目とどんどん魅せられていき、最終的には私にとってバイブルのような存在になったのが、加点の理由だと思います。

序盤は、ただひたすら不憫な女性にしか見えない幸江と、端から見ればただのダメ男であるイサオの関係性が、テンポよくコミカルに描かれています。
悲壮感は一切漂わず、寧ろ笑ってしまう(幸江ちゃんごめん!)描写が多いので、不快感もありません。

では何故イサオに不快感を抱かずにいられるのか?
それは、彼から「幸江に対する深い愛情」が感じられるからだと思います。
イサオは天性のヤクザ気質を必死で抑え、堅気として真っ当な人生を歩みたいのに歩めない葛藤に苛立ちます。
ゆえに物に当たりギャンブルに逃げるものの、決して幸江には手を挙げず、弱音も吐かず、言い訳もしません。
どんなに辛くても、嫌気が差しても、すべては幸江のため、愛する幸江あってこその決断だから。
幸江に対する誹謗中傷も一切許さない彼の姿勢には、「深い愛」と「男としてのスジ」を感じさせます。
その「スジ」が厄介だったりするのよね…と女の私は感じる時もあるのですが、それはきっと男の人にしか解らない領分ですから、私も幸江のように受け容れようと思います。
そんなイサオの醸し出す「何か」があってこそ、幸江が献身的に尽くす理由に含みを持たせてくれています。

その「何か」は、現在の2人とは真逆の関係性だった「過去」にあることが判明します。
2人の関係だけでなく、幸江自身の過去も詳らかになることによって、彼女の人間性にも深みが増してゆきます。
人間は多かれ少なかれ、裏切り、裏切られる人生を歩むのだと思います。
幸江は若くして信じていた人たちに裏切られ、たくさん傷つきますが、彼女自身も自分を必要としてくれた人を裏切り、傷つけていたのもまた事実です。
しかし悲しいかな、人間は傷つけるより傷つけられた事実の方が心に大きな影を落とします。
ゆえに幸江は常に愛されることを望み、愛されることこそ幸せになる近道だと信じていましたが、自分から人を愛するという観点は無いため、愛し方にも疎い、悲しい人間になってしまったのだと思います。

けれど、そんな彼女に『ありのままの自分と向き合う強さと勇気』を教えてくれたのが熊本さん。
そして『一途に人を愛することの難しさと美しさ』を教えてくれたのがイサオ。
死の淵でも『自分の見方を変えれば愛や幸せは常に感じられる』ということを、幸江は母から教わります。

私が思う『彼女にとって最も幸せなこと』とは、「愛とは、幸せとは何か?」を教えてくれる人たちが周囲にたくさん居たことだと思うのです。
彼女はそれに気づき、自分を変え、受けた愛情や恩を彼女なりにお返ししていこうとする心を持ったからこそ、ずっと欲しがっていた愛情や幸せに値する人間になった…のではないかと思います。
不思議なパラドックスですが、渇望するほど遠のき手放せば近づいてくるのは、世の真理なのかもしれません。

彼女は一見、決して幸せとは言えない人生を送っているのかもしれません。
けれども、その過程で彼女が手に入れたのは、何よりも大きく、何にも代えがたく、日頃は気が付きにくくて手に入れるのがとても大変なもの、だったのではないでしょうか。

「愛する」とは「必要とすること」や「信じること」で、受け取る以上に惜しみなく与えるもの。
それが自然にできた時こそ、幸せは私たちの心に訪れるのかもしれません。

幸も不幸も同じだけ価値がある。人生は確かに意味がある。今の私なら、その言葉に心から同意することができます。
ありがとう。
港のリョーコ横浜横須賀さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-11-18 17:22:00)
👍 1
74.ネタバレ いぃ~。とっても良い。原作の昔からのファンだったので、映画化の話を聞いた時にはあの四コマの世界をどうやって映画にするんだ!!とあまりの暴挙に怒りを覚えて、絶対観に行くか!なんて思ったけど、取り合えず阿部ちゃんファンでもあることから公開と同時に劇場へ…そしてびっくり。原作の世界観を壊すこと無く、逆に映画という世界の中で新しい自虐の世界を拡げて見せえくれた。キャスティング自体もそこから原作キャラをイメージすることなどできないが、映画の世界では何故か彼らがきっちり納まってそこに居る。そしてエンドロールの後のラストはとても感動的であり、これは映画でしか表現することができないな、映画化されてよかったな、と感じた。
リニアさん [映画館(邦画)] 10点(2007-12-16 01:10:21)
👍 1
73.ネタバレ 俺は泣いた。中谷美紀、演技うますぎ。阿部寛、パンチ似合いすぎ。こんなに素晴らしい作品をタダで見せてもらって良いのだろうか? 自責の念に駆られ、俺は前売り券を買った。嫁さんをロードショーに連れて行ってやろう。「人生に負けてしまいそうです」手ぬぐい、を手に入れた。部屋に飾ってある。原作の漫画、上・下巻も買った。業田良家さん、印税でどうか楽な余生を送られてください。男ならだまって、ちゃぶ台返し!!  追記;映画館で鑑賞。夫婦で泣いた。まさか、アジャ・コングで涙するとは・・・。不覚じゃ。私たち夫婦の幸せ度が少しは上がっただろうか。子役達も良かったぞ。
ジャッカルの目さん [試写会(邦画)] 10点(2007-09-26 22:47:38)
72.ネタバレ JFKA大壊滅を見た後、なにか笑えるものを、ということで観ました。阪神終了を一時でも忘れさせてくれるなかなか良い映画でした。最後熊本さんとの再会シーンで不覚にも泣いてしまいました。
SAS30さん [DVD(邦画)] 9点(2008-10-04 11:44:19)
71.ネタバレ 前半は中途半端な笑いの小ネタが満載でずっとニヤニヤしてました。
これは何?全体的に突っ込んでほしい映画なのかと思ってたら、中盤の回想シーンぐらいからいきなりのストーリー展開に。
なんというか主人公の幸江だけじゃなくイサオもマスターも親父も自虐だなと。
阿部寛がなんで中谷美紀を見ないで上の空みたいな死んだ目線してるのかとか、
やけに眠くなるようなな長ったらしい回想シーンとか、
ラストに向けての布石で上手い事やってくれてました。
笑いなのか泣きなのかって中途半端って気もしましたが、自虐自体そういうもんじゃないのかと思います。
 
以下、思ったこととか感じたこと色々と。
 
西田敏行って大御所だと思うんだが結構なんでもやるなと思った。
アジャコングが熊本さんにそっくりだと思った。(あれ?逆?)
結局安部寛はなんでパンチパーマになったのだ?
ユキエ、女子大生て…
シャブ中の幸恵が、お札の福沢さん出てくる幻覚ですが、昔クスリやってた友達が同じ感じでお札と話してたこと思い出した。
ひで太郎さん [DVD(邦画)] 9点(2008-08-17 02:19:47)
70.ネタバレ 今年の邦画最高峰というと褒めすぎか。原作の哀愁感というか、人間の孤独と偉大さを描ききる感じをなんとも良く映画に落とし込んでいる。一見して表面的にはろくでも夫婦でありながら、その過去いきさつを順々に描いていくことで、人の縁と生のなんとも悲しく愛しくあるのを感じさせるやり方は原作そのままに、観る前と観た後の自分の心のあり方を変えさせてくれる。役者も良く、すきがない。最後の安藤優子の曲も良い。もう一度みたくなる映画。
JUKEさん [映画館(邦画)] 9点(2007-11-15 00:28:10)
69.ネタバレ 原作を事前に読んでから映画館へ行きました。映画をいきなり見た人には判りにくい事も、原作にはしっかり説明がありますので、見る人は原作を見てから行った方が楽しめると思います。私は原作を読んでおいて良かったです。中谷の演じる大人の幸江も良かったですが、中学時代を演じている岡珠希さんと言う女優がとても良かったです。幸江と丸岡さんのエピソードは最高に良かったです。再会のシーンは原作と違いますが、アジャの演じる大人になった丸岡さんが子供時代と似ていて驚きました。エンディング後にも話が続きますので、最後まで見ないとですよ!!原作には出てこないシーンで嗚咽しそうになりました。幸せってなんだろうって思っている人は見てみると、生きる気力が生まれるかもしれない作品です。僕は1800円分楽しめました。
ペスカトーレ手塚さん [映画館(邦画)] 9点(2007-11-09 22:45:00)
👍 1
68.ネタバレ ラスト直前、クマモトさんが出てくるときいやにどきどきした
人を見た目で判断しない と僕はつい先日までそうしていこうと頑ななところがあったから そんな僕がただ人を見ただけで嫌悪感を覚えるとかそんなこと認められないのだ
そのためラストでどこかかわいいアジャコングが出てきたときはちょっとホッとしたが、演技もくそもなかった
そんなにあのシーンは必要だったのだろうか
いや、確かにあのシーンで僕は少し感動していたではないか・・・
あのシーンで泣いている中谷美紀はやはり女優なんだなってすごいなって僕は思った
きれいだし 
阿部寛はすごい あんなトンでも役にハマれるのって世界的に見ても希少なんじゃないかなぁ 
 
いろいろひっくるめて、安心して見れるいい邦画
おでんの卵さん [DVD(邦画)] 8点(2010-06-21 02:04:32)
67.中谷さんと阿部さん双方好きなので+1 。
シトロエンさん [DVD(邦画)] 8点(2010-01-31 17:51:23)
66.ネタバレ 原作未読。素直に楽しめ、感動出来た。

減点ポイント・・・
・東北出身の僕にとって、訛りが不自然すぎて気になった
・イサオが何故マトリックスwからあんなにひどい男になってしまったのか、その過程の説明が無かったこと
・エンドロール後のシーン、映像で終わらせれば美しかったものを、取って付けたような語りで締めるのはどうか


この3点以外はテンポも良く、何より中谷美紀の演技が素晴らしい。
後半の回想シーンあたりからグッと感情移入させられる。

感涙ポイントは・・・やはり熊本さんでしょう。
おーるさん [DVD(邦画)] 8点(2009-11-15 10:46:06)
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65.ネタバレ 泣きました。号泣しました。自分の辛かった学生時代を思い出しました。慎ましく生きる姿に好感が持てました。不器用でも愛のある心のこもった映画だと思います。
PINGUさん [DVD(邦画)] 8点(2008-09-22 13:35:02)
64.アチキのオヤジもよくちゃぶ台ひっくり返していたんだな。母ちゃんが割れた皿をすすり泣きながら片付けてた事思い出しましたね。アチキはその時なんも出来んでした。二度と高い急須は買わないと、いまだに実家には急須がないです。多分産まれた子供はアチキと同じ経験するんだろうなぁ。
トメ吉さん [DVD(字幕)] 8点(2008-08-29 10:02:04)
63.ネタバレ ちゃぶ台返ししか情報がなくて見たのですが、これは久々の秀作です。中谷美紀は、前前作の「嫌われ松子」とこの作品できれいなだけの女優さんから、見事に演技派にイメージチェンジしました。大女優の予感もします。いやあ、ラーメン屋の店員姿はぞくぞくしますね。私的には回想シーンの熊本さんとのからみ。ラーメン屋の店主とのやりとりなんかは、腹を抱えて笑いました。でも、底辺に悲しみも背負っているっていうのはチャプリンのコメディーにも通じる思います。
ジブラルタの星さん [レーザーディスク(邦画)] 8点(2008-06-28 21:10:19)
62.ネタバレ  しかし、中谷美紀は「嫌われ松子の一生」(どうしても比較してしまいます)もそうでしたが、こういう幸薄い女性の役が本当にハマりますね。この作品でも見事な(?)薄幸ぶりを見せてくれています。
 
 完成度の高さでは厭らしいほど緻密に作りこまれた「嫌われ松子の一生」には及びませんが、観終わった後に晴れやかな気分にさせてくれる作品でした(まさに松竹人情喜劇という感じですね)。
TMさん [映画館(邦画)] 8点(2008-01-26 21:09:06)
61.なぜ何度もちゃぶだいをひっくりかえすのか
?それは、ちゃぶだいをひっくり返した後、あとかたずけをするひとの心情と、おぜんをひっくり返したひとの、その後の心情が痛い程、よくわかるからです。人はとっても強いもんだと思うが、時として、非常に弱い。
 わたくしごとだが、わたしは、じつの母親に何度か、手をあげてしまったことがある人間です。わたしは、自分がそんな事をしてしまったことによる、心の痛みは、一生消えないです。非常に冷静に、あっさりとしたひとこと言えるとすれば、”人間短気は損気”です。
この映画の若い頃の”幸江ちゃん”がとっても、愛おしいです。映画はまあまあでしたが、ジャージ姿の幸江ちゃん、親友の作ってくれたたいせつなお弁当をほおばる幸江ちゃんの事を思うと、、、、、、、、やはり、最高に、幸せになってほしいです。若いころの幸江ちゃんに乾杯!
男ザンパノさん [映画館(邦画)] 8点(2007-11-07 23:38:17)
👍 1
60.ネタバレ 阿部寛のパンチパーマとちゃぶ台返しの情報しかしらないで観に行きました♪『嫌われ松子』以来の中谷美紀ちゃんファンなので・・・。まったく美紀ちゃんは、薄幸な女性を演じされたら天下一品ですね~!最初、あんなダメ男にどうして・・・って思ったけれど、観終わったら、二人が羨ましいほどの素敵な関係。どうせ、たった一度の人生なんだもん。いいじゃん、こんな濃い人生!年中、警察に頭下げに行ったり、病院に駆け込んだりと、普通の人なら一度あるかないか(笑)の出来事が日常にあっても、マスター(遠けん最高!)やカルーセル麻紀演じる、これぞ大阪の未亡人って感じのオバチャンに愛されてる。すごく素敵だったなぁ!ちょっと回顧シーンが長い?と思ったけど、観終わって、あれがあったからこそのラストシーンなんだってそう思いました。笑えて、泣けて・・・最高!そして、主題歌がとても良かったデス。
らふらんすさん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2007-11-04 20:57:40)
59.ネタバレ 原作未読で観ました。
中学生の時のエピソードと「熊本さん」との友情には泣かされました。
再会する時も名前を呼び合うだけで、時間も空間も超えてしまえる強さを、二人の女性がつちかいながら成長したいったことに感動しました。
中学校の教室の隅にひっそりといる「こういう女子たち」を描いた作品は、これまで観たことがなかった。
必ずクラスにふたりぐらい、こういう子っているんですよね。
どうしても「松子」と比較したくなる作品ですが、
「森田・熊本」部分だけでも、この映画の価値はあると思います。
どんな時も、どんな環境でも、誰かが支えてくれていることに気づくことができれば
人は生きていけると思える。
「松子」と「ちょっと似ていて、ちょっと違う」女性映画です。
*~DVD化されて再度、鑑賞~
この映画のメッセージが最後の幸惠の「幸も不幸もない。人生は素晴らしい。」というセリフに凝縮されていることを痛感しました。
気仙沼時代にイジメられ、女子グループに駒として利用され、互いに傷つけあう中で、生涯続く「熊本さんとの友情」という「宝」を得る。
ダメ男のイサオを支え、ダメ父まで抱え、喜ばれない妊娠、更に事故にあう・・という中で知る「支えられている幸せ」。
キリスト教の「貧しきものは幸せである。天国は彼らのものである。」に通じる「足らぬ中で、足るを知る。」という心象。
まさに松竹らしい人情劇だと納得です。
グレースさん [映画館(邦画)] 8点(2007-11-01 16:35:53)
👍 3
58.ネタバレ 中谷主演や類似設定ゆえ、『嫌われ松子の一生』との比較は避けられない本作。コメディ色が強い前半は同監督の『トリック』を、不幸話が続く中盤から終盤にかけては、確かに『松子』を彷彿とさせます。シンボルシーンのちゃぶ台返しは序盤に集中。バリエーションを付けて楽しませてくれます。阿部の顔はそれだけで“勝ち”みたいなものだし、遠藤憲一も巧い。堤節が楽しめるコメディパートは概ね上々の出来。笑いはOKです。ただし“泣き”の方はパッとしません。『松子』で培った中谷の演技をはじめ、役者陣は申し分なかっただけに、演出・脚本面での不手際が感じられます。幸江の過去の回想場面は冗長で中弛み。シリアスモードに水を差す阿部のロン毛。熊本さんとの後日談も取って付けたような。完成度という尺度で『松子』と比較するのは相当厳しい。DVDレンタルやテレビ放映等が済んだ頃の評価は、5~6点台で落ち着くと思います。でも自分は本作が好き。大好きです。エンドクレジット、海に漂う大量のクラゲを見つめながら胸に込み上げるものがありました。(※クラゲは黒沢清監督の某作と同じ比喩表現。でも物語に取り込めておらず、これまた使い方は下手です。)ラスト赤子を抱えて寄り添うイサオと幸江。「幸も不幸も関係ない」「人生には明らかに意味がある」そんな当たり前の事を言葉に出すのは恥ずかしい。でも本作のように下手な映画はそれでいい。不粋なやり方でも観客の心に届けばいい。シチュエーションで泣かされていると思います。多分に主題歌の影響もある。原作が素晴らしいのでしょう。そうだとしても構いません。冷静に映画を分析するよりも、素直に自分の心と向き合うほうがきっと幸せ。自分の人生が愛おしく思える。そんな映画はダメじゃない。下手くそだけど、いい映画だと思います。
目隠シストさん [映画館(邦画)] 8点(2007-10-30 18:28:25)
👍 2
57.ネタバレ もうひとりの松子とも言うべき幸江の物語。かたやささやかな未来を見つけながらも、孤独なまま命を落としてしまった松子と、一命をとりとめたことで、かけがえのない愛とその結晶を手に入れた幸江。もしかすると中谷美紀はこの幸江を演じることで、もうひとりの分身、松子をも救おうとしていたのかな?なんて思いながら最後のシーンを見ていたら涙がじんわり溢れてきました。そう深読みしてしまうぐらい「松子」以降の中谷さんは素敵な女優になった気がします。動いてるだけで目がくぎずけになってしまうパンチの阿部さんも完璧でしたけど。
シネマンさん [映画館(字幕)] 8点(2007-10-29 20:22:31)
56.全く期待せずに観た...前半はまあこんなものか、と。ところが後半から終盤にかけて様相が変わってきて、泣ける映画になっている。
観て良かったと思う。意外性で加点。
simpleさん [地上波(邦画)] 7点(2017-08-14 21:24:06)
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マーク説明
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《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 75人
平均点数 6.25点
000.00%
100.00%
211.33%
322.67%
479.33%
52026.67%
61114.67%
71520.00%
81216.00%
945.33%
1034.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.66点 Review9人
2 ストーリー評価 7.00点 Review10人
3 鑑賞後の後味 8.20点 Review10人
4 音楽評価 7.62点 Review8人
5 感泣評価 7.55点 Review9人

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