映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の口コミ・レビュー

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

[ジツロクレンゴウセキグンアサマサンソウヘノミチ]
2007年上映時間:190分
平均点:6.73 / 10(Review 44人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-03-15)
ドラマ犯罪もの実話もの
新規登録(2007-10-23)【TM】さん
タイトル情報更新(2019-12-20)【イニシャルK】さん
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監督若松孝二
キャスト坂井真紀(女優)遠山美枝子
ARATA(男優)坂口弘
伴杏里(女優)重信房子
中泉英雄(男優)植垣康博
桃生亜希子(女優)持原好子
RIKIYA(男優)金廣志
坂口拓(男優)塩見孝也
高野八誠(男優)加藤能敬
タモト清嵐(男優)加藤元久
佐野史郎(男優)さらぎ徳二
奥貫薫(女優)あさま山荘管理人
大西信満(男優)坂東國男
地曵豪(男優)森恒夫
ウダタカキ(男優)吉野雅邦
光石冨士朗(男優)
原田芳雄ナレーター
脚本若松孝二
音楽ジム・オルーク
製作若松孝二
企画若松孝二
特撮ビル横山(ガン・エフェクト)
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💬口コミ一覧

44.ここに描かれた人々と自分自身との間に明確な線引きは出来ないと理解する人であれば、この映画と何かを共有することが出来るだろう。人は生まれながらにして弱く、それでも他者に競り勝って生き延びることを遺伝子レベルでインプットされた動物である。共産革命という理想の前に、より優位に立とうとして争ったのは彼らが特殊な思想に洗脳されていたからではなく、掲げられた理想がどのようなタイプのものであっても同じことが起こっていたに違いないとわたしは思う。集団というものが宿命的に持っている要素が凝縮され、さまざまな不運の積み重ねによって壮絶な粛清、逃走、自滅への道をひた走って行く。昭和という時代を語る上で、避けて通ることの出来ない日本人の恥ずかしい記録を、若松監督は同じ時代を生きた映画人として、強い使命感から1つ1つフィルムに刻みつけた。自主制作という言葉の響きから連想されるよりもはるかに完成度は高い。その圧倒的なテンションの高さは、3時間10分という長編をかたときも飽きさせず、スクリーンに釘付けにする。学生運動が時代のかいた汗だとしたら、連合赤軍とあさま山荘は掻き崩された汗疹の傷だ。歴史の中で一瞬の点としか捉えられることのないこの事件は、人が人でいる限りたぶんどんな時代、どんな社会でも繰り返される可能性を秘めている。
anemoneさん [映画館(邦画)] 10点(2008-05-02 09:56:25)
43.出だしから、歴史年表的なさっぱりとした映画のすすめかた、原田のオッサンのナレーションで映画をしめる!と思いきや、そのうち、赤軍の俳優達に引き込まれ、そんなことなど忘れる。これをみて、安易に”オウム”を連想する。
いや、赤軍の彼らには、哲学が!ビジョンが!あった!と思っていた。しかし、なんてことはない。グループをかさにまとった、”殺人者たち”だった。法務大臣が、”死刑執行”の最終判断をくだす。”軍隊が戦場に赴く”。爆撃する。爆弾をかかえ自爆する。傭兵として働く。兵器をつくる。兵器を売る。銃を撃つ。刃物を使う。人が人を殺す。10億の平和の為に、1億の犠牲はやむおえない。とひとは言う。国がある。集団がある。宗教がある。哲学がある。家族がある。俺がある。だから殺しはやむをえない。すべて、ていのいい、言い訳にすぎない。ひとは今日も殺しつづける。この事件でショックなのは当然、仲間どうしの”リンチ殺人”である。ぼくが常々おもうことは、ヒトはつねに”他人の目を気にして自死する”ということ。実は、ホントは死にたくないのに、おかれた状況の流れで簡単に殺すし、自ら死ぬ。シンプルにいえば、ひとり孤立して”生活”すれば、ものごとの”哲学”思想”戦争”でみずから死ぬことはありえない。あきれ返るほどの頑な、しかも、なんの脈絡もない、真実でもない、正否でもない、必要もない、”組織のおやくそく、雰囲気”で殺す、死ぬ。われわれ平和をあいする一般はセセラ笑う。ハタチそこそこの大学生が。机上の空論が。巨大なデモやってもそれじゃ、なにも変わらない。と、ふつう思うだろう。いや、そうではないだろう。一撃の、一握の、かなり大掛かりな爆弾で、毒ガスで、兵器で、武器で、世の中は比較的簡単に変わってしますはずだ。それは残念で、たいへん恐ろしいことだが真実だ!モノをこわすのは簡単だ。もっとも、いかに絶望的に破壊されようが、衰退しようが、すぐに復活、復興するだろうけどね。これ、名作だとおもう。俺は好きだ。あえて、極論しよう!殺したいものは、殺せばよい。殺されたくないものは、反撃するか逃げればよい。それ以上それ以下でもない。現実はひとつ。


男ザンパノさん [映画館(邦画)] 10点(2008-04-25 00:16:04)
42.ネタバレ  第20回東京国際映画祭で鑑賞しました。凄い作品でした。上映時間が3時間10分と聞いて、ちょっと長いなと思ってましたが、実際観てみると非常に密度の濃いストーリーに惹きこまれあっという間にラストになっていた感じですね。連合赤軍事件について詳細に描かれているのは勿論のこと、その結成までの流れや時代背景までも触れているので私のようなリアルタイムでは知らない人間でも、非常にわかりやすい作りになっています(用語等は難解なものもありますが)。特にクライマックスの「あさま山荘事件」での山荘内部の状況を描いていて非常に興味深かったですね。
 
 戦後の日本(勿論現在も含む)を総括する意味でも、この作品は多くの人に観てもらいたいです。

 

 
TMさん [映画館(邦画)] 10点(2007-10-26 23:37:24)
41.ネタバレ ちょうど高校入試の真っ最中だったので中継を見た記憶が希薄、少し前に札幌オリンピック、横井さんが「発見」された年の事件です。最初ゆるい気持ちで観はじめたんですよ。ナレーションが原田のオッサンだって気づくまで少しかかった。従兄弟たちが大学在学中だったし、わたし自身ませたガキで時代の空気もそれなりに受けとめてたから背景はわかります。入山するまでに起こったことを淡々と列記し、悪夢の記述に取りかかってからは目を離せなくなってしまい、そのままエンディングまで一直線。事実は後でわかることなんだけど、とてつもなく「牽強付会」な殺人が主義や理念のもと実行されたのは、文革、ポル・ポトにも匹敵するくらいの出来事ですね。森は「脱走」の汚名返上のため先鋭化したんだと理解できる演出で、彼自身が為したことはとてもひどいことなんだけど、まだ理解の範疇というキャラクター設定がされていますね。フィクションだったら「受け入れられる」役。それに引き替え永田の描写は一刀両断。35のかたが書かれてるようにしつこく捲土重来の機会をうかがい、そのチャンスが到来するや嵩にかかって攻撃するという「ケチな人格」。わたしそんな人何人か知ってます。結局、赤軍の残党には「カス」しかいなかったという現実をちゃんと語っているのでこの評価。なお党派的修辞学がわからないと、彼らのしゃべっている言葉がまったく頭に入ってこないので低評価になると思いますが、当時の活動家はこんなだったんです。徹底的に赤軍側を描くことにより、山荘での警察側や「鉄球」という費用がかかるシーンを出さずに成立させたのはうまい。寒さ、冷たさ、そしてなにより「臭い」があまり伝わってこなかったので1点減点。
shintaxさん [DVD(邦画)] 9点(2012-07-03 08:35:55)
👍 1
40.ネタバレ この映画を観るまで、あさま山荘事件といえば警察が鉄球?で山荘を壊したりカップヌードルが有名になったきっかけになった事件だ、ということくらいのイメージしかありませんでした。
僕には学がないので劇中赤軍や極左の連中が言っていることが難し過ぎて所々理解できませんでしたが、平成に生きるゆとりな若者である僕にとってこのようなことがわずか四十年ほど前に起きていたということはとても衝撃的でした。
確かに国に対する不満などは持ったことがありますが、実際に団結して革命を起こし、日本を変えるなんて発想はしませんでした。
この映画を観た後、文章には書き起こせないほどの感情や考えが頭の中を駆け巡りました。
多くの方に観ていただきたい作品です。特に僕と同年代くらいの方。
eurekaさん [DVD(邦画)] 9点(2010-02-11 15:05:39)
39.この闘争、叫ぶことや戦うことを忘れてしまった世代の私としては、歯噛みを覚えるくらいに理解し難い。もはや羨望と言ってもいいくらいに。
aksweetさん [DVD(邦画)] 9点(2009-08-28 12:09:55)
38.ネタバレ 坂口弘らの手記を基にして構成されたであろう連合赤軍の山岳ベースを舞台にしたリンチ殺人・粛清劇の映画化である。そもそも連合赤軍事件は、12人の同志殺害という事実だけで繋ぎ合わせてみれば、「総括」や「自己批判」などという内実のない言葉だけが飛び交う、理想と現実と空想が入り乱れた薄っぺらな観念劇とならざるを得ない。
本当にそうだったのだろうか? 連合赤軍事件とは一体何だったのか? 学生達が殺し合い、12人が死んだという事実を連ねただけでは事件の全てを「総括」できはしないだろう。12人の同志殺害というテロルの論理は、密室における群衆心理や永田洋子の執拗な嫉妬心等の心理学だけで理解できるものではないと思う。そもそも、彼らを集団殺人へと駆り立てた観念とは何なのか? 一線を越えさせた契機とは一体何だったのか?

先鋭化した学生運動に深く関わった経歴をもつ推理小説作家笠井潔は、連合赤軍事件に衝撃を受け、革命という観念が必然的に生み出すテロルの論理について思考し、三島由紀夫やドストエフスキーの小説についての文芸批評、ヘーゲル哲学の方法論によってマルクス主義を象徴とする観念批判論を纏め上げた。80年代に上梓された名著『テロルの現象学』である。この本によれば、テロルは、自己観念-共同観念-党派観念という道筋を辿ることにより、方法論として正当化され、論理的、観念的に絶対化される。
僕は学生時代に『テロルの現象学』と『バイバイ、エンジェル』を読み、連合赤軍という事件を初めて理解した(と思った)。事件そのものは映画で描かれたような思想的に矮小な集団殺人劇であったかもしれないが、それを本当に批判の対象とするには、観念という悪霊の出自、テロルの論理を理解することが必要なのだと思う。
連合赤軍事件とは一体何だったのか? オウム事件からさえも10年以上経った現在では、その問い自体が空疎に響かざるを得ない。それはこの映画が放つ薄っぺらな切実さと共鳴し、(その後に鑑賞した)映画『トウキョウソナタ』で描かれた現在の廃墟へと一直線に伸びているように思えた。
onomichiさん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-29 20:42:04)
37.ネタバレ 正直、「闘争モノ」って嫌だなぁ・・とは思ったんですが、各方向での高評価が気になり観てみました。自分はこの世代ではないので、あまり知識もない。自分の大学が拠点として法学部長室が乗っ取られていたんだぁ・・と知ったというレベルの知識。でもやはり「山」からは一気に引き寄せられていきました。永山の怖さや森の怖さも、能天気な私でも「永山度44%」や「森度62%」みたいなタイプの人間は職場や学校で見覚えもあるるわ。私も適当に「女を意識してるよねー強烈にさぁー」と同調してみたりもするな。責められている友人や同僚を後から慰めたり(つまりその場では助けてない)やっちゃうんですよ。思い当たるふしがありすぎる。。さらに、兄弟で山に入った加藤兄弟の、長兄が総括されてしまう、未成年の次男と高校1年生の3男の存在が衝撃でした。高校1年生があさま山荘にいたなんて知らなかった。監督には申し訳ないけど「生きて捕捉する」という警察の方針に感銘を受けた。この二人は生きて「山」を降りるべきだ。特に高1の子が開放されたところは本当に安堵した。
しかし、私にとって「あさま山荘」が「未知の黒歴史」であったように、今の高校生や中学生にとっては、すでに「オウム事件」が同じように「未知の黒歴史」になっている。
アドバルーン的に「正義」「思想」「宗教」を上げて青年たちが、互いに監視しあい・社会的に共同行動を起すという歴史を日本は規則的に繰り返してきているのかもしれない。
「226事件」「あさま山荘」「オウム」と。
私はオウムを同時代に傍観した。
では、今の10代アンダーは、どういう方向に向かうのだろう。
過去に起きたこのような事件を知ることの意味は大きいと思う。
しかし、こういう暴走的な事件が起こると、文明のなかでつちかってきた「思想」「政治」「宗教」(特定の・・ではなく全ての思想・全ての宗教)を除草でもするように全て否定するのも日本人の極端なところだと思う。
日本人は白黒ハッキリではなく、グレーで・・というが、
  こういう事件があると一気に「宗教って胡散臭い」「思想とか怖い」「政治なんて面倒くさい」と全部を単純に否定してしまうことで、次の「こういう事件」を招く地盤をそのまま放置しているのではないか・正面から問わずに逃げ続けているのではないか・・と思う。
グレースさん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-06 00:40:01)
36.えらいものをみてしもた。
直後はそれでいっぱい。確実に今までみた中で一番恐ろしい映画となった。
観て三日は、突然目の前に永田洋子が現れて、あの目で、わたしを石のように固定し、
「○○さん。あなたは、あの時○○したわね。あなたは、それを、どう総括するの?」と、ゆっくりと刺すように、問う。そのイメージに苛まれた。
実際は、長身のわたしよりはるかに小柄だと思われる彼女の、巨大な威圧感。
「自己批判しなさいよ!」問いつめられ問いつめられ否定され否定され、自分というものの意味をとことん剥がされて、
恐怖に視界の狭まったわたしは、あの場で一体どう言うだろう?わたしに一体、何ができるだろう?そう真剣に想像することは、息が詰まるほど恐ろしい。恐ろしいがきっと「何か」にはなる。一度は観て欲しい。そしてリアルに想像して欲しい。
しばらくは(きっと何年か)観る自信はないけれど、たとえ二度と観なくても、あの叫び声は、一生忘れないと思う。
airさん [映画館(邦画)] 9点(2008-05-27 12:26:56)
35.ネタバレ 冒頭、デジタル撮影されたTVの再現VTRのような安っぽさで「これで3時間大丈夫なのか?」と不安げに見ていた。しかし、山岳ベースに入ってからその空気は引き締まったものになっていく。物質主義と癒着にまみれた世界を変えるための崇高な理念が次第に手段になっていき、"総括"と称した反乱分子への私刑に移り変わっていくのでは本末転倒だろう。体制側から描いた『突入せよ! あさま山荘事件』を見ていたので、赤軍側の視点は興味深かったが、ラストの監督の主張がやり過ぎなのは御愛嬌と見るべきか。荒削りならではのエネルギッシュさがある反面、大人のアプローチが欲しい。
Cinecdockeさん [DVD(邦画)] 8点(2015-07-09 18:52:52)
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34.ネタバレ 「実録」というタイトル通り、映画的な面白さよりもできるだけ事実に忠実に描くことを意識していたようですね。当時の時代背景や事件に興味のない人は全然楽しめないと思いますが、ドキュメンタリー的な観点からみると、非常に興味が湧きました。しょーもない「映画らしさ」を出されるよりよっぽどいいですね。この監督の昔の作品である「天使の恍惚」は、ただのごっこ遊びにしか見えませんでしたが、この作品は本当にこわかったです。時代って、ちょっとしたノイズや歪みであんな集団を生み出してしまいます。こわいですねー。それに、森や永田のような、自分の行動を心から「正しい」と信じ切ってる人、現代社会にも存在しますよね。◆総括リンチのシーンはトラウマになりそうなくらい悲惨で、気分が悪くなりました。◆昔、誰もが「共産党・共産主義ってこわい」って言ってたのは、この人たちのせいだったのかな?◆「君たちは完全に包囲されている」というフレーズは、この時に生まれたんでしょうか?また、彼らの「我々の革命的行為によってどうのこうの~」みたいな演説、確か「天才バカボン」でそういうシーンがあったの、思い出しました。そうか、あれはこの人たちのパロディだったんだ・・・。◆「光の雨」の山本太郎は、ただの殺人快楽者のように描かれてしまい、そういう意味ではこの作品の森の方がリアルでこわかったです。◆この映画で「坂井真紀の裸が見られる」と知り、期待していましたが、尻が少し見えた程度でガッカリ。このような観点から本作品を鑑賞しようとした自分を自己批判し、総括します(笑)
ramoさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-02-15 23:55:19)
33.本作は3つのパートから構成されているのですが(連合赤軍結成までを描く序盤・のちに山岳ベース事件として知られる総括リンチを描く中盤、あさま山荘事件へと雪崩れ込む終盤)、タイトルが示す通り、あさま山荘事件そのものではなくそこに至る過程を重視することで、あの事件が非常に分かりやすくなっています。また、本作のように歴史的経過を追う作品は事実の要約に終始してつまらないものになりがちなのですが、本作は山岳ベース事件という美味しい部分を山場に持ってきたことで、映画としての面白さがグっと増しています。連合赤軍との付き合いもあった監督にとって本作は思い入れの強い企画だったようなのですが、ただ個人的な思いをぶつけるだけの映画に終わらせず、観客にうける形を追求したことで客観的な完成度も維持できています。俳優の演技も良く、森恒夫と永田洋子の恐ろしさは尋常ではありません。どこかで聞きかじってきたそれらしい理屈を大声で主張し、そんな自分の言葉に酔って周りが見えなくなる森、こういう男って確かにいます。他の女性に対する個人的な僻みや嫉妬心をいつまでも覚えていて、まっとうな理由付けができるタイミングでウサを晴らす永田、こういう女性もいます。彼らをレクター博士やジョン・ドゥのようなモンスターとして描くのではなく、ありふれた人格の延長としてその凶暴性を描いたことで、より恐ろしさが増しています。両者とも指導者には向かないタイプの人間なのですが、組織を結成した大物達が逮捕されるか逃亡したかという状況では、彼らが組織を仕切らざるをえなくなっていました。さらに、学生運動に何万人もが参加していた時代は過ぎ去り、運動では社会を変えられないことが明らかになった時代。少しでも我に返れば「俺達は一体何をやってるんだ」と自覚してしまうことが怖くて、彼らは内面世界へと固執するようになっていました。気に入らないことがあれば「革命のためだ!」と叫んで暴力をふるう、それによって自身の指導力不足と一向に成果をあげられない焦燥感を同時に紛らわせることが出来たというわけです。なんとも恐ろしい世界。しかし、組織のメンバー達も革命ごっこを止めたくないからリーダー達の蛮行に黙って従っていたというのですから、こちらもまた恐ろしい限りです。
ザ・チャンバラさん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-23 20:05:26)
👍 3
32.とにかく怖い!下手なホラー映画なんかよりよっぽど恐ろしい。
見所は、のちに「山岳ベース事件」と呼ばれることになる凄惨なリンチシーン。
「総括」というワケの分からないものを強要され、自分の「同士」であるはずの仲間から集団で暴行を受ける、という、その理不尽さに身の毛がよだつ。
特に「遠山」というどこかおっとりした女性が自ら顔を殴って、顔が無残に腫れあがるシーン(これを映しだす映像がまたやたら長い)や、その後縛られてトイレに行けずに漏らしていたり、ついには気がふれるところなど、ちょっとトラウマになるくらいの怖さ。
こんな背筋の凍る思いをできるだけでも、この映画は非常に価値がある。
もっとも、3時間にも及ぶこの長編映画で評価できるのは、作品の中程にあるこの「山岳ベース事件」のシーンのみで、それ以外は正直見るべきところはない。
最初にえんえんと連合赤軍の軌跡のようなものを語るのだが、これはかなり退屈。また後半にはあさま山荘に立てこもるシーンが描かれるのだが、これも、まあいってみれば刑事モノでよくあるような立てこもってドンパチやってるだけのもの。しかも、制作費が相当にケチられているようで、そのドンパチにもまるで迫力がないお粗末な出来。そもそも、あさま山荘を取り囲む機動隊の姿が一切出てこないとかありえないだろう。あさま山荘事件の象徴的な「クレーン鉄球攻撃」シーンも直接描写がなく、残念である。
また、このあさま山荘のシーンで、メンバーの一人が突然「おまえらには勇気がない!だからこんなことになったんだ!」みたいなことを語りだすシーンがあるのだが、これがかなりずっこける。ご丁寧にBGMまで流して、なんだかそのシーンがこの作品の重要な「主題」のような感じなのだが、しかし、「どうして勇気?」と首をかしげざるを得ない。作品を通して、彼らの行動に「勇気がなかった」と、そんな風に描かれることが一度だってあったか?彼らの行動はすべて、勇気を通り越して「無謀」の域に達していて、少なくとも「勇気がない」という感じでは全然ない。とってつけたようなテーマ性みたいなの入れるのはやめて欲しいもんだ。
あと、細かいようだが、映画の冒頭で「この作品に描かれることはすべて事実だが、一部フィクションも含まれる」などと説明があるのだが、全て事実なのに、一部フィクションとはこれいかに?MMRの注意書きじゃないんだからさ(笑)
椎名みかんさん [DVD(邦画)] 8点(2010-07-25 01:21:22)
31.確かに3時間の割にはあっというまに終わってしまったと感じる。「ソーカツ」とか「いぎなし!」とか、中身のない空っぽの会話なのに、たくさんの人が傷ついていく、その瓦解していく人間関係が、まるで『es』のようにスリリングであった。逃亡する奴もいたが、なぜだれも止められなかったのだろうか。女の子に手を挙げる前にだれかが気づかないものなのか。きっと人間なんてそんなもんなんだろう。
母からの説得演説を聞いてARATAのセリフの「ふけたな」が泣けた。
no_the_warさん [DVD(邦画)] 8点(2009-09-14 22:18:07)
30.彼らが何言ってるのかさっぱり理解できん!でも怖かった!すいません!ということでこの映画に対する自己批判とさせていただきたく思います。
ととさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-08-09 01:01:25)
29.ネタバレ 「こんな映画は難しくて総括できません」などと言ったら、殺されかねない…。そんな怖さを感じる映画でした。戦争映画などでこの100倍人が死んでも、こんなに怖かったことはない。あさま山荘で被害に遭われた方には申し訳ないが、あれはオマケみたいな事件だったんですね。少なくとも、この映画の頂点は山岳ベースでのリンチ殺人にある。自分には、出来もしないことをやろうとして苛立った執行部の八つ当たりにしか見えなかった。その八つ当たりが次第にエスカレートして行く。続くのは陰湿で過激なイジメです。イジメが原因で人が死んだら、いじめっ子も反省するのが普通ですが、このいじめっ子は共産革命の高邁な理想を精神的な隠れ蓑にして、反対に何故解ってくれないんだとばかりに悲愴ぶる。狂信的という言葉が似合う状況です。でも冷静に見るとイジメで死んでいるだけで、その情けないシンプルさがとても怖かったのだと思います。冒頭に一部フィクションがあるというテロップが入りますが、山荘で高校生が「勇気がなかった」と言った時に、これのことか、と思いました。あのひと言だけが浮いていたのは、ノンフィクションの流れの中に製作者のメッセージを強く感じたからです。この事件は学生運動に救いようの無い陰を落としました。もし、あの山岳ベースにいた人たちに森と永田を止める勇気があれば、その後の学生運動は良い意味で違った展開を見せたのでは…、という若松監督の悔しさが言わせたひと言だと思います。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-05-28 03:34:03)
28.監督の思考で行けばもう少し右よりかと思いきや、フラットで事実をなぞって作られていると思います。「光の雨」という作品とも、せりふが同じ場面も多いので概ねこういうことだったんだと思います。ただあちらは、山荘立てこもりの前に終わるし、劇中劇の手法をとっていますのでこちらの作品をお勧めします。山荘立てこもりより後は、「突入せよ」で見たことあるような場面が続きます。監督も今の時代は革命をおこすことは無理とTVで発言していましたが、あの時代はある意味、若い人に気概とかパワーがあった夢を見ることのできる時代であったのではないでしょうか。
たかちゃんさん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-27 15:00:39)
27.組織が存在するうちに、当初の立派な理念は忘れられ、リーダーが権力を誇示するための装置に成り下がる。時には理不尽な粛清も…。観ていて思い切り嫌な気分になりましたが、現在でもそういう例は山ほどあるかと。連合赤軍はそれを極端に表したものと言えますね。
次郎丸三郎さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-22 14:19:42)
26.ネタバレ 1960年、70年代の日本の高度成長期が生んだ狂気の徒花として、確かに連合赤軍はあった。それは、若松監督が擁護し正当化するように、若者達が暴走した、まさに青春の歪んだ部分の象徴として存在していたと思う。しかしこの映画を観ると、監督の思いとは裏腹に、革命・平等な世界を作るという高邁な思想はどこかに置き去りのままで、薄暗く息のつまるアジトという密室で特異な世界の中で、凄惨なリンチ・処刑が繰り返されていた場面が詳細に映されていて、憤りとやるせなさでたまらなくなる。自己批判・総括とはいったいなんだろう。連合赤軍のリーダー2名は自己批判・総括という名の下にリンチを繰り返す。その理由も幹部批判を行ったり、自分だけ銭湯に入ったり、顔立ちが単に綺麗であるのが気に入らないといった、本当に人間の嫌らしいねたみ・エゴといった理由によるもので、高邁な思想とはほど遠く、怒りすら覚える。総括を指示するリーダー2名こそ、自ら自己批判・総括を行うべきだろう。しかも2名はそれぞれいた恋人を捨てて愛し合うことになる。女性リーダーは「あなたのことは好きだけど、革命を求める2人はこうなって当然だと思う」ということを元恋人に告げる身勝手さ。もうまるで近くの国のことみたいだし、少し前に解体した新興宗教集団のようでもある。話が拡散したけれど、人間は、人間らしいが上に、革命思想とか理屈とかに縛り続けることはとうてい無理で、そんなこと解っているはずなのに、いろいろなことを革命と結びつけて理屈付けしようとするから歪んでしまうし、だからテロ活動も引き返すこともできなかったのだと思う。浅間山荘事件のクライマックスの中で高校生が「勇気がなかったんだ」とメンバーに向かって叫んだけれど、連合赤軍の行動がオーバーヒートしていったのは正にこの一言に尽きると思う。実際に山荘の中でそういったかは不明だけど、そのように連合赤軍のことを捕らえている若松監督の感性に共感を覚えます。それにしても、たった30名程度で、拳銃や猟銃だけで世の中がひっくり変えるわけがないのに、軍事演習といって実施している内容もままごとのようで、それでも真剣に行っている様は、彼らの行く末を知っている自分たちビューワーにとっては本当に空しく・淋しいし、とりわけ総括の下に拷問死してしまった坂上真紀は本当に哀れで可哀想でした。
たくみさん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-21 23:44:48)
25.ネタバレ 60年代から各地に広がった学生運動の経過と、その行き着いた先としての連合赤軍の「山岳ベース事件」と「あさま山荘事件」を中心に映画化した作品。冒頭のテロップにあったとおり、実名での配役を含め、事実に即した構成になっている。ちょうどその年代に生まれた世代の私などは、これらの事件(特に山岳ベースでのリンチ事件)を全く知らなかったが、この作品はそのような世代にもわかるように丁寧に時系列で彼らの軌跡を見せており、まさにあの学生運動という巨大なエネルギーがどのようにして「あさま山荘」に至ったのか、文字どおりその道程を描いている映画である。各役者も体当たりの演技を見せており、見応えのある映像に仕上がっている。エレキギターをフィーチャーした音楽も雰囲気が見事にマッチしている。これまでにこのような作品が作られなかったことを考えると、近年になって永田や坂口らの主犯格(ここではあえてこう表現する)の刑罰が確定したことからも、この事件をようやく「総括」できる時期にさしかかって来たと監督は判断したのだろうか。しかし私個人としては彼らの行動を「総括」することはまだできない。ただ言えることは、いかなる高邁な理想を掲げた組織であっても、大衆の支持(そしてその健全なる監視)を得られず、閉鎖的になった途端、そのエネルギーは外から内に向かうようになり、その理想とは正反対に自己破壊に至ってしまう、という現実だ。これはいかなる組織にも言えることだろう。その意味で、彼らの本当の敵は、体制ではなく、自らが創造した組織(軍)そのものだったのではないだろうか。それゆえに、あさま山荘で加藤弟の「あんたも、あんたも、勇気がなかったんだ!!」との叫び(これがあきらかに脚色だとしても)に、この事件の真実があると若松監督は言いたかったのではないだろうか。しかし、それ以上に、この作品は極めて近い過去に、理想に生き、命がけでその理想を実現しようとした若者たちが確かにいたことを改めて想起されてくれる。かれらの犯した罪に弁護の余地はないとしても、「思いつき」で「なんとなく」人を殺してしまう今の一部の若者を思ったとき、あの時代の若者が、今の若者に「私たちは確かに失敗した。だが、あなたたちは命をかけて悔いない理想があるか」と問いかけているように感じてならない。あっという間の3時間余りを観おえ、平和な街の喧騒を歩きながら、そう思った。
田吾作さん [映画館(邦画)] 8点(2008-05-05 19:12:36)
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【点数情報】

Review人数 44人
平均点数 6.73点
024.55%
124.55%
200.00%
324.55%
412.27%
536.82%
624.55%
71125.00%
81227.27%
9613.64%
1036.82%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 4.00点 Review2人
2 ストーリー評価 6.00点 Review3人
3 鑑賞後の後味 3.50点 Review4人
4 音楽評価 5.00点 Review3人
5 感泣評価 4.25点 Review4人

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