映画『告白(2010)』の口コミ・レビュー(2ページ目)

告白(2010)

[コクハク]
Confessions
2010年上映時間:106分
平均点:7.04 / 10(Review 252人) (点数分布表示)
公開開始日(2010-06-05)
ドラマサスペンス犯罪ものミステリー青春もの学園もの小説の映画化バイオレンス
新規登録(2010-05-07)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2022-08-18)【イニシャルK】さん
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監督中島哲也
助監督滝本憲吾
キャスト松たか子(女優)森口悠子
木村佳乃(女優)下村優子(少年Bの母)
岡田将生(男優)ウェルテルこと寺田良輝
西井幸人(男優)渡辺修哉(少年A)
藤原薫(男優)下村直樹(少年B)
橋本愛〔1996年生〕(女優)北原美月(少女A)
井之脇海(男優)前川優真
刈谷友衣子(女優)三浦瑠菜
草川拓弥(男優)高橋弘輝
近藤真彩(女優)大谷梨紗
清水尚弥(男優)神崎唯
能年玲奈(女優)桐谷修花
野本ほたる(女優)松川早紀
三吉彩花(女優)土田綾香
山谷花純(女優)内藤由香里
新井浩文(男優)渡辺修哉の父
山口馬木也(男優)桜宮正義
芦田愛菜(女優)森口愛美
山田キヌヲ(女優)修哉の継母
高橋努(男優)戸倉
金井勇太(男優)教授の教え子
野村信次(男優)
三浦由衣(女優)
新木優子(女優)(ノンクレジット)
山野井仁テレビの声
出演AKB48(劇中ビデオ映像)
原作湊かなえ「告白」(双葉社刊)
脚本中島哲也
作詞秋元康「RIVER」
主題歌レディオヘッド「Last Flowers」
挿入曲AKB48「RIVER」
撮影阿藤正一
製作島谷能成
東宝(「告白」製作委員会:製作プロダクション 東宝映像制作部)
博報堂DYメディアパートナーズ(「告白」製作委員会)
双葉社(「告白」製作委員会)
山内章弘(「告白」製作委員会)
中島かずき(「告白」製作委員会)(名義「中島一基」)
企画川村元気
プロデューサー市川南〔製作〕(エグゼクティブプロデューサー)
配給東宝
美術桑島十和子
西尾共未(装飾)
編集小池義幸
あらすじ
ある中学校の終業式の日、一人の女性教師が、担任するクラスで衝撃的な告白を始める。それは、事故死したはずの彼女の一人娘が、実はそのクラスの2人の生徒に殺されたというものだった。しかし、告白はそれだけにとどまらず、より深く恐ろしいものとなっていく。彼女の復讐劇が幕を開けたのだ。 本屋大賞に輝いた湊かなえの原作を「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督が映像化。
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💬口コミ一覧

232.ネタバレ すごい映画だ。原作が良いのか映画化が上手いのか。原作は未読だが賞も獲っているし、両方いいのだろう。いろんな意味で登場人物が皆こんなに残酷でエゴイスティックな映画は初めてだ。好き嫌いが分かれる映画かも。ただ、傑作であることは間違いない。最初は登場人物の行動が理解できないが、告白が進むにつれその理由が怖いくらいにクリアになっていく。その演出がうまい。一見モノクロといってもいいくらいの彩度の低さだが、これを通常の彩度にすると血の色が鮮烈過ぎて、登場人物の告白に対する集中がかけてしまうに違いない。だからこの色合いは正解だと思う。また、深刻な内容に一見合わなそうなBGMの選択が恐ろしくいい。あと個人的には木村佳乃の演技が良かった。
MASSさん [映画館(邦画)] 9点(2010-06-12 17:58:38)
231.評価を見て大いに期待しましたが自分には解せない部分があり過ぎました。自分が中学生の時にもバカな生徒はいたし苛めもありました。人並かそれ以上に色々悩んだこともありましたが、だからといって映画としてこう言う表現はいかがなものでしょうか。どんな悲劇もエンターテイメントに昇華する監督の腕前に期待しましたが本作では救いは一切無く、奈落の底に突き落とされます。その点はリリィシュシュに似ているかも。しかし今の子供達はここまでバカじゃありませんよ。制作者側の悪意を感じる表現が散見できました。良いところも沢山あります。松子も大好きだし素晴らしい監督だとは思いますが本作に関しては人には絶対に勧めたく無いと思いました。
Kの紅茶さん [映画館(邦画)] 4点(2010-06-12 18:02:49)
👍 3
230.自分は「39 刑法第三十九条」という映画が好きで、この映画の予告編に同じ匂いを感じて見に行った。
けど、ダメだった。
とにかく映像とセリフがバラバラの回想・独白シーンが延々と続いてウンサリしてしまう。
それでも飽きずに見れたのは、グロシーンに目が引かれるから。
でも、ウンザリだから次のシーンを想像してしまい、ほぼ想像通りになってまたしばらくするとウンザリの連続という感じ。
そして、終盤のCGシーンはハァ?なんじゃこりゃ?としか思えなかった。
期待して見に行った分、ちょいガッカリ。
まかださん [映画館(邦画)] 5点(2010-06-12 18:09:47)
229.ネタバレ アップとスローモーションの多用、不安を煽るCGの曇り空、松たか子の舞台的な芝居掛った演技、唐突に始まるクラスメイトのダンス、ステレオタイプに肉付けされた反抗的な中学生達。全体が「ああ、作り物の世界だな」と思える演出はいつもの中島哲也らしい。原作小説の中盤を一纏めにして描いた事はストーリーのテンポを考えると上手い選択ですし、観客の物語に対する関心をグイグイ引っ張っていく手際は流石だなと思えます。
ただこの映画(原作も)、観客が聖職者の生徒への復讐が成し遂げられ様を見てスカッとしてしまう所が最も怖く、最も面白い点だと思いましたので、前述した様な「作り物で~す」と思える舞台にしちゃったのは個人的に勿体無いなと。画作りをリアルにすればするほど松たか子に感情移入出来て、最後の復讐を目の当たりにした時、観客に恐ろしい爽快感が残ると思うのですが。でも何故か人が死ぬ所だけはやけにリアルなんですよねぇ。
民朗さん [映画館(邦画)] 5点(2010-06-13 00:37:28)
228.ネタバレ この悪意満載の映画には正直、興奮した。結末どころか中身が全部わかっている以上、映画になったときに期待するのはどの辺まで小説のアイデアを拝借してまるで違うものが作られているかということだが、ここまで同じ話なのにここまで面白く、映像や音の威力というものの神髄を見たかのようだった。

後味が悪いことや、倫理観が壊れてしまうような感覚、自分が知っている子供世界との差異へのたじろぎのような不快感は、すでに全く同じような原作の感想を方々で見ている。この作品が持つ不快感というのは明らかに作り込まれた不愉快であり、人造であるが、自然と作品の主張であるかのように存在感がある。

人工物であるという、隙のようなものがある種の箱庭感、安心感を醸すのだがこの作品に神経を逆なでされた人たちは、策略に乗せられても現実世界をもう一度認識することで強い不快感を顕わにする。それはこの作品の中で広がるいやな世界を否定することで現実世界の安心感を確かめたということだと思う。

しかし、これほどの不快感を人に与える暴力的なお話であるというところに私は何とも言えない魅力を感じてしまう。原作のもつ人に煩累を植え付ける暴力性を否定する書評やレビューが自然と、その嫌悪感の虜になった人たちの評価を浮き上がらせる。なんというか巧妙な心理操作がたまらない。心地よささえ感じてしまった。

松たか子がなぜかすんごい美人に見えて、吸い込まれるように感情移入してしまう。言い逃れする余地を存分に残し、最後には仕返しのためなら無差別に殺してみせる。実行犯を仕立て上げておきながらなお、すべてを失っている彼女は、真実が露見したら自殺するから良いもんね位の軽い薄ら笑いを浮かべた。「私が命の重さとか言っちゃって面白かった?ケケケ」的な確信的な薄ら笑い。が、なぜかすんごい爽快感だった。なんだこのザマーミロという爽快感。

なんかオレ変なんだろうなきっと。
黒猫クックさん [映画館(邦画)] 9点(2010-06-13 01:09:44)
227.ネタバレ 大賞受賞に偽り無し!面白すぎて一気に読破してしまった湊かなえの原作。
ベストセラーの低脳映画化などよくある事、不安過多で鑑賞したが、この作品の出来栄えは想像を遥かに超えていた。この作品のもつ“あの”異様な空気が存在し続け、鑑賞時間があっという間に感じてしまったほど。
既に内容など分かってるのにここまで面白いと思ったのは稀ですし、この監督と自分はシンクロしてたのかと思うほど想像どおりの映像化なのが怖い。。面白いと一概に言うのは語弊があるけども素晴らしい作品。今後は「告白」の監督と宣伝文句決定か!?(笑)

物語は原作同様に登場人物の告白、各々の主観形式で進んでゆく。それ故、序盤から非常に台詞が多いのも特徴だが、その台詞ひとつひとつがシークエンスとなってる点も興味深い。「人間の失敗作だよ」ではなかったのはアレですが、一語一句に至るまでもほぼ忠実。映画なりに脚本はコンパクトに纏まられているが、全体が青白いトーンであったり、モノローグの挿入方法やカメラの目線や高さがどうしてあの位置なのかなど、映像化への昇華、演出が見事というしかない。
先生の告白で始まるファーストシーンは特に象徴的であり、これから語られる作品の異様さがにじみ出ている。学級崩壊寸前の雰囲気の中、淡々と冷静に淡白に語る先生。そして生徒が興味を惹くキーワードを小出しに話していくにつれ、静まり返っていく教室内。このあたりはホント背筋の凍る怖さを感じました。松たか子のキャスティングは良かったがウェルテルはちょっとイメージ違ったかな。
賛否両論のクライマックス、逆周り時計のエピソードがあんな形ででてくるとは驚き。後味良くないと思われつつも「ドッカーン」で気分スッキリしたのは自分です…なんてね!

シネマブルクさん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-13 12:24:17)
226.ネタバレ 色々とコメントしたいところですが私はあえて・・・やはり最後の一言 

「~なんてね。」

がつくかつかないか。原作は電話のみのやり取りで、更に疑問を投げかけて終わっているが、映画は実際に目の前に現れ少年の髪を掴み、軽い感じの~なんてねを使用している。

監督の優しさから出た言葉なのか、空想を広げようとしたことなのか?・・・はたまた主人公の復讐に狂気を持たせたかったのか?私はどれなのかよく解りません。

実際爆発したのでしょうか?それも明確でもありません。
私は爆発しなかったと思っていたのですが、一緒に見に行った母は私と意見が違っていました。
もし少年2人の母親が復讐と化した教師の操りによって、結果的に息子に殺されてしまったのであれば、見終わった後の感じ方が全く変わってしまう・・・。

個人的に「後は想像で・・・」という終わり方が好きではないので-2点にしています。

見た人によって色んな意見が出ると思われる、問題作ですね。
映像も、役者さんの演技も見事でした。

血が苦手な私はちょっと眩暈がしました。
母は見終わった後、呆然としてすれ違う人と何回も肩がぶつかっていました・・・。

そんな映画でした。(今後忘れることもないであろう濃い映画。)
あまり人には勧めたくありませんがね・・・。
だんぼ32cmさん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-13 15:05:15)
225.ネタバレ この話、ひとことで言えば、「ばかばかしい」。
これは、前に原作小説を読んだときに感じたことでもある。映画も基本的には原作をそのまま踏襲しているので、話の展開自体は同じように「ばかばかしい」。
なので、最後の方で再登場した松たか子が吐き捨てるように呟いた「ばかばかしい!」という台詞には正直ドキッとした。ほんと、そうですよね。ばかばかしい話ですよね。このプロット、この展開。松さんの言うとおりです。。

松たか子。前作「ヴィヨンの妻」も良かったけど、本作も堂に入った演じっぷりで、台詞回しや表情、そして、うしろ姿にはとても迫力があった。最後の「どっかーん」も鬼の形相のような笑顔も結構ぐっときた。

映画は、ばかばかしい話を随所に映像的に盛り上げていて、なかなか見所があった。この監督の映像感覚は相変わらず面白い。賑やかさの中に毒が効いていて、はっとさせられる場面もあった。ただ、あの断続的な映像が100分間ぶっ続けなのだから、やっぱり疲れるかな。

この話が観ている時の衝撃以上に全く心に残らないのは、話自体がマンガ的、キャラクター小説的だからだろうか。ノリとしては、よくある少年マンガのキャラ対決と同じかなと。少年が罪を犯す理由が「世間に自分を認めさせるため」であり、特に母親との関係に自我の心理的な動機を求める。100年前からの伝統に基づく実に類型的なお話である。(そこに最初から父親の影すらないのが現代的だけど) ついついそういう所につっこみを入れながら観てしまうのだが、何れにしろ、しっかりとキャラが立っていたので、この手の物語としてはかなり出来がよいのだと思う。マンガとしてみればその破天荒なばかばかしさは痛快だったし、多少の違和感を残しながら、最後はしっかりとオチが付いて、めでたし、めでたし、である。

告白とは? ということを考える。私の告白とは誰の告白なのだろう。私? 告白する私とは誰だろう? 告白すればするほど、いや、告白したつもりが、ただそう言わされているだけで、それが本当の私であるという確証など何処にもない。そうだろうか? 今や告白こそが私そのものであり、それ以外の本当など存在しえない、つまり「本当の私のココロ」などというものこそ、もはやありえないのだ、、、と考えてみる。そういう「告白」に人々が振り回されるという意味において、この映画の「告白」は実に現代的で軽い、なーんてね。
onomichiさん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-13 20:48:35)
👍 1
224.どっしり重い空気が心地よかったです。
Keicyさん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-13 21:04:58)
223.ネタバレ 原作未読。どのような視点で評価するかによって、採点がえらく変わってしまう作品だ。話の筋は、こちらの意表を衝く展開の上、事件がてんこ盛りに発生するので楽しめるのだが、現実性があるかと問われると、少し疑問符を付けざるを得ない。いくら口封じをしたところで、クラスの誰かが血液入り牛乳の件を親か他の先生に話すに決まっている(と思う)。そもそも、犯人Bが怯えすぎ。頭が悪く、人を信じやすいという設定だが、あれだけマザコンならイの一番に親に話すだろう。

あとは、主人公がたかが中学生の少年たちに対してまともに相手をしすぎ。僕だったらいくら子供を殺されてもああいう対応はしないと思う。同じ土俵で争う自分が大人気無くて恥ずかしくなるし、そんなに暇じゃない。僕だったら、少年AもBも、普通に警察に突き出し、一旦少年院に送ってもらう。彼らもそのときは「有名」になれたと喜んでも、大人になれば結局は損をするわけで、彼らが大人になった後に過去の事件を持ち出してねちねちと攻めたてて、孤独に追いやった方が、よっぽど「復讐」の醍醐味を味わえるのではないか。大人になって手に入れたものを失わせるほうが、「目には目を」の精神にも合致していて美しい。

映像に定評のある監督だけに、確かに映像の使い方はうまい。ともすれば単調になりがちな「語り」が多い映画だが、スローモーションを効果的に使った映像で、生徒たちの思春期のきらめきを見事に表現できていた。ただし、終盤の爆発シーンは冗長だったが。

学校に心底うんざりしていた中学生の頃に観たら、もっとカタルシスを得られたかもしれない。中学生の持つ「うざさ」が、すごく良く描けていた。うざいいじめっ子、うざいネクラ、うざい秀才。みんな身の回りにいたような気がする。そのリアリティを加味して、総合で6点。話の展開には不満が残るが、観て損は無い作品だと思う。
枕流さん [映画館(邦画)] 6点(2010-06-14 00:17:11)
👍 1
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222.ネタバレ 原作未読。映画を見た感想は「お腹いっぱいご馳走様でした!」と数年ぶりに大満足できた一本です!! 冒頭は、私語ばかりで落ち着きのない生徒たちと、それを当たり前にして話をする教師の姿にイラッとしましたが、ラストにはそんな気分もすっかり消え失せてニヤリ&スッキリ。ものすごくスカッとしました! 日頃「子供産んで無責任な育て方してる奴は社会の迷惑だ」と思ってる口なので、不謹慎と思われようと、今回の物語の二人の母親がその責任を取らされたのが気持ち良かったです。少なくとも今回の物語のケースは二人とも母親失格間違いなし(なので「こんなしっかりした親にしっかり育てられて、何故?!」というようなケースならどうなのか気になりますが)。しかし大人の男が全く存在しない世界の話でしたが(ウェルテルもまだ若すぎて「大人」ではない)、これはしっかりした大人の男が不在の社会がいかにして甘ちゃんで勝手な子供たちを作り出すかというのを見せられた思いです。そもそも物語から無視されるほど、男親側も情けない。【追記】以前、少年院の子供たちの手記集を読んだことがあるが、ある程度同情はできても「そんな甘えで人を殺すな!」「ふざけんな!」と怒りたくなるものがいくつもあった。テレビ報道を賑わせた有名事件も含め、犯罪動機のほとんどはバカバカしさに満ちている(大人の犯罪だってバカバカしいのは多い)。なかには自分自身の心理さえつかめなくて真実の動機など本人にも把握できてないケースもあるだろう。現実にバカバカしい悲劇が何件もある。失った命の天秤の向こう側にあったものの質がそういうことなのだ。それだけに主人公森口の放つ「どうしてですか」の末の「バカバカしい!」は印象大。命の重さを表す「パチン」と「ドカーン」の対比もいい。昔は真剣に向き合って叱ってくれる恐い大人というものがいた。今は「子供と同じ土俵に立って大人げない」なんて言われかねない世だが、一方で「子供も大人と同じに法で罰しろ」とも言う。少年法云々の前に、子供たちを作り育てているのは大人たち社会であることを思う。その大人の責任が先。自分の場合、少なくとも命に関わることされれば真剣怒る。反省したふりなんて楽勝でこなしそうな少年Aなど、司法や警察や世間といった他人任せで済ますほど自分は他人の心や力を信じないし、本当に痛みを思い知らせることができるのは当事者だけだと思う。
だみおさん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-14 16:45:53)
221.
原作未読。/CMかミュージックビデオのように手の込んだサービス精神溢れる映像。それをずっとテンションを保ってたたみかけるようにテンポよくリズミカルに見せ続ける。この監督の魅力的なスタイルです。私は好きです。その映像は派手で悪趣味ですが(こんなの映画じゃないと言う人も多いだろうが)、バズ・ラーマンやダニー・ボイルに勝るようなカッコ良さがあると私は思います。おそらく日本独特のサブカルの土壌の上に成り立っており、見せ物的に見事だと思います。/そうした映像の手法は、前3作では存分に威力を発揮し、私は映像の勢いに流されるままに楽しませてもらいました。しかし、本作ではそうはいきません。本作は復讐劇、サスペンスとしてはたしかにそれなりに面白いでしょう。人間の闇の部分なども結果として垣間見えているかもしれません。だが、物足りません。本作には倫理の根幹を揺り動かされるような衝撃がありませんでした。現実味のないばかばかしいストーリーでも構いません。ただ、こんな人間の悪意を描くような話だと私はどうしても心に対する強烈な一撃を求めてしまうのです。「罪と罰」なんかを下敷きにもってくるからには、いわば自分の存在自体に不安を覚えるような恐ろしさや気持ち悪さを感じさせて欲しいと思ってしまうのです。人物ごとのモノローグで展開という形式や過激なストーリーから「紀子の食卓」を勝手に連想してしまったのですが(全く別物だけど)、衝撃や強度、叙情性といった点で本作はあれには全然及ばないと思います。中学が舞台の残酷な話という点から「リリィ・シュシュのすべて」も連想してしまいましたが、あれを観た時のように心が痛くはありませんでした。/パンフを読むと、監督はこれまでの自分の作品には「余白」がないと反省して本作を作ったというようなことが書いてましたが、その点改善があるとは思えません(別に改善しなきゃならないとも思わないが)。映画全体をコントロールしてしまおうとするかのような姿勢(別にそれが悪いとは思わないが)が本作ではやや傲慢で単純に感じられてしまいました。勝手な印象ですが、特に逆再生の部分なんかは余計な作り込み(前作まではそういうのが良い方に働いていたが)で陳腐に感じられたし、不要だとすら思います。/ところで、「ヴィヨンの妻」に続いて松さん良かったですね。どこか浮世離れしたかわいらしさが好きです。
しったか偽善者さん [映画館(邦画)] 6点(2010-06-16 01:25:01)
220.この監督さんのセンスは、日本一と思うのだが、毎回題材が極端に明るいか暗いかになるのが気になる。今回は暗い方。娘を教え子に殺された教師が、復讐をする話だが、そのやり方はどうだろうと思った。告白するだけで、十分いじめの対象にできたと思うし、犯人Bには有効だったが、犯人Aにはかえって強みにしてしまった気がする。あの女子生徒はかわいそうだった。あれがなければ、犯人Aにも救いようがあったのだが・・・先生の最後の言葉は、どっちとも取れるが、まあやってないという事でしょうね。
Yoshiさん [映画館(邦画)] 6点(2010-06-16 22:02:23)
219.ネタバレ レディースデーの劇場で鑑賞。周囲は、団体のおばちゃん達がたくさんで、「うるさかったら、やだな・・」と思いつつの鑑賞だったが、そんな心配は全く無用。周囲に人が居ることすら忘れるほどに、冒頭から映画の世界に吸い込まれ、そしてエンドロールが終わるまで、観客全員が息をのんだ状態だったような気がする。ずっと読みたかった原作だったが、未読のまま、先に映画を見ることになった。監督のこれまでの作品と比べてどうかとか、難しいことは一切わからないけど、単純に、すごい映画を見てしまった・・と思う。中学1,2年の頃の自分は、自意識過剰で自己中心的で、ものすごく打たれ弱くて、今の年齢になって考えると心底虫酸が走る嫌な人間だった。大人になって初めて見えてくる、あの年代特有の嫌な部分を、これでもかって程に見せつけられる不愉快さ。自分の子どものことにしか心が動かない、少年B母の狂気。愛するわが子を失ったことで、感情も失ってしまったような森口の顔(妙に眉毛が薄い、松たか子のメークが絶妙!)。さらに、個人的には、牛乳をこぼすと、何度も何度も拭いて、匂い残りをチェックせずには居られない方なので、牛乳のシーンには、かなり不快感を煽られた。そして、憎いはずの少年A
の「告白」シーンでは、少しだけ彼に同情してしまったり、森口の復讐行為に、「ちょっとやりすぎじゃ・・」と思う反面、実は胸のすく思いがあったりと、相当に感情を揺さぶられた。そして重苦しい空気に包まれた100分間だった。
おおるいこるいさん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-16 22:11:37)
218.この映像感覚はすごいなぁ。逆再生はやりすぎで、最後も邪魔に感じてしまったのだけど、スローモーションやあえてカットを飛ばすところなど、すごく斬新で、ポップで、観やすいのだけど雰囲気を壊していなくて素晴らしかった。ストーリーに関しては特に言うこともないというか、今思い返してみるとよくある話、といっては語弊があるけれど、よくあるキャラ、要素を合わせた感じでした。とはいえ松たかこ始め、演じてる方々は力が入っており、迫力があります。うーん。すごい。一気に観させられる。
Balrogさん [DVD(字幕)] 8点(2010-06-17 01:05:42)
217.ネタバレ 凝った映像が印象的でした。映画全体に悪意だけが漂うストーリーなので好き嫌いは別れるかも知れません。冷酷で異常な少年も、結局は捨てられたママに会いたいのが理由で・・と言うよくあるパターンに多少がっかりもしました。
東京ロッキーさん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-18 18:27:30)
216.しばらく日が経ってから思い返すと、意外に大して心に残ってないことに気づいた。
観た直後は、いやースゴいものを観てしまったと興奮しきりだったにも関わらず。
そしてもう一回観てみたいとも別に思わない。
なぜかと考えると、「あのシーン、あの画がよかった」と言えるところがないからではないか、と。
ストーリーの面白さ、撮影、編集の見事さにまんまと熱中させられたが、ある意味勢いで観させられたというか、画がお話を語るためのものでしかないからでは、とも思う。
美しいものにしろ怖いものにしろ、心に残る映画がいい映画だと思う自分にとって、この映画はそれほどいい映画とも思えなかった、ということだ。
ととさん [映画館(邦画)] 7点(2010-06-18 19:20:21)
👍 1
215.ネタバレ 一言では言い表せられない作品です。後味が悪すぎて、簡単には人にお薦めできないです。でもとにかく凄い!こうも映画化しにくい物語を、忠実に、むしろ映像の良さが表現されていて…。原作では、第六章で成り立ち、とにかくそれぞれの人物が一方的に語っていく訳ですが、映画で表現すると、このような展開になるのか…と、中島監督の手腕に脱帽です。また、役者陣の思わず唸ってしまうような芝居も魅力でした。主役の松たか子は文句なしです。原作ではとにかく冷静な(非情で冷血ともいえる)イメージですが、彼女が演じることによって、どこか柔らかい女性像がみえました。演技指導が厳しいことで有名な中島監督ですが、撮影現場はどのようなものだったのでしょう?(笑)一番感心したシーンは修哉が母親に見捨てられた時に聞こえた、泡が弾ける音。シャボン玉。これは映像でないと表現されませんね。私は、映画を見て、原作を読みましたが、もう一度映画を見ようと思います。
西川家さん [試写会(邦画)] 10点(2010-06-19 07:41:39)
214.人と人となんてのは分かりあえる生き物ではなく、そもそも誰しも本当の自分なんて他人に分かって欲しいとも思っちゃいない。心のすれ違いという言葉では生ぬるい、もっとドロドロとした沼底みたいな見通しの悪さが社会にはある筈で、そこにエゴという黒い汚染が混入してしまうと仮初めの秩序はいとも簡単に乱れる。みんなそれに気づいてはいるんだけれどもあえて知らないふりをしていて。そんな当たり前のことをこの映画は深く抉ってつきつけてくるから、不快だ、怖い、ナンセンスだと思いつつも目が釘付けになる。決してまた見たいと思う作品ではないので1点減点はしたが、正直面白かった。それにしても松たか子はすごい。抑える演技をしつつも、突如内側からものすごい輝きを放つ瞬間を見せたり、次の瞬間にはオーラをかき消したり。主演の割に彼女の出番が少なかったのが一番残念。
Mum,theSanChrysさん [映画館(邦画)] 9点(2010-06-19 23:45:05)
213.ネタバレ スプラッタームービーですか?というくらいの血しぶきの演出。飛び過ぎてかえってリアリティを感じないのか、それが狙いなのか、途中から感覚が麻痺してきました。もう少しこういった場面を控えてくれれば「見応えあるエンターティメント作品」として人に勧められるのに・・・。多少の不快感は覚悟の上で、かつ過剰な期待を抱かなければ満足できる映画だと思います。内容には全く肯定できないけど、作品としては楽しめるという変な感じ。それにしても今の子どもってあんなに残酷なんでしょうかね?イジメを誇張しているけど、完全にフィクションとも言い切れずという・・・精神が未熟な分もあって子どもが生きにくい世の中になりました。子どもは大人の映し鏡というように、子ども達が異常なら大人の社会が異常だということなんでしょうね(余談ですが)。教師森口が少年Aを追い詰めるためにAの母親の爆死を誘導した旨はやはり狂言かと。でないと複数の他人を巻添えにするだろう(都合良く母親が死ぬとは限らないし)ことは、結局Aがやろうとしていたことと何ら変わりなく、それも想像出来なくなるほど正気を失っていない限り整合性が保てなくなると思います。ところでHIV注射の件を生徒が皆黙っていたり、いくら無実とはいえAを壇上で演説させ生徒達が大喝采の豹変ぶりとか、ネットで流した爆破予告が全く騒がれなかったことなど、話の流れ的にリアリティに欠ける部分が散見されたのが惜しい。
LORETTOさん [映画館(邦画)] 7点(2010-06-20 00:34:40)
👍 1
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 252人
平均点数 7.04点
051.98%
172.78%
231.19%
393.57%
441.59%
5249.52%
6218.33%
75019.84%
86124.21%
94618.25%
10228.73%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.43点 Review23人
2 ストーリー評価 7.45点 Review31人
3 鑑賞後の後味 6.50点 Review34人
4 音楽評価 7.35点 Review28人
5 感泣評価 4.85点 Review20人

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