映画『奇跡(2011)』の口コミ・レビュー

奇跡(2011)

[キセキ]
I Wish
2011年上映時間:128分
平均点:6.37 / 10(Review 43人) (点数分布表示)
公開開始日(2011-06-11)
ドラマロードムービー
新規登録(2011-06-04)【+】さん
タイトル情報更新(2024-12-12)【イニシャルK】さん
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監督是枝裕和
キャスト前田航基(男優)大迫航一
前田旺志郎(男優)木南龍之介
橋本環奈(女優)早見かんな
内田伽羅(女優)有吉恵美
平祐奈(女優)平祐奈
阿部寛(男優)坂上守
長澤まさみ(女優)三村幸知
大塚寧々(女優)大迫のぞみ
オダギリジョー(男優)木南健次
夏川結衣(女優)有吉恭子
橋爪功(男優)大迫周吉
樹木希林(女優)大迫秀子
原田芳雄(男優)山本亘
高橋長英(男優)
りりィ(女優)
田山涼成(男優)
中村ゆり(女優)
脚本是枝裕和
音楽くるり
作詞山中恒「はしれちょうとっきゅう」
谷川俊太郎劇中詩「生きる」
作曲湯浅譲二「はしれちょうとっきゅう」
編曲くるり「奇跡」
主題歌くるり「奇跡」(ビクターエンタテインメント)
撮影山崎裕
製作白組(「奇跡」製作委員会/製作プロダクション)
バンダイビジュアル(「奇跡」製作委員会)
ギャガ(「奇跡」製作委員会)
毎日放送(「奇跡」製作委員会)
松竹ブロードキャスティング(「奇跡」製作委員会)
制作白組(制作プロダクション)
配給ギャガ
美術三ツ松けいこ
編集是枝裕和
照明尾下栄治
その他ギャガ(宣伝)
あらすじ
小学生の兄弟、航一と龍之介は、両親が離婚し、鹿児島と福岡で別々に暮していた。ある日、兄の航一は、新しく開通する九州新幹線「つばめ」と「さくら」の一番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起こるという噂を聞く。また、家族で一緒に暮したいと願う航一は、弟と友達を誘い“奇跡”を起こす計画を立てる。
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💬口コミ一覧

43.ネタバレ 是枝監督は本当に「人間」が好きなんだなぁ、と思わせる素晴らしい映画。「桜島、噴火してんじゃん、みんな平気なんて、意味わからん」と前田(兄)がつぶやくその大きな桜島にかぶせて「奇跡」というタイトルが出る。これはなかなか意味深だ。彼はこの映画の最後には、その桜島の灰の中で生きていくことをいつの間にか受け入れている。普通「奇跡」を願うというのは、「一瞬」にして、自分にとってしんどい現実が変わってくれることを願うものだと思う。だからその「一瞬」=新幹線の一番列車が交差するという「瞬間」に向かってドラマは進む。しかし、都合良くその瞬間に願い通りのことは起こらない。桜島は爆発しないし、死んだ愛犬もよみがえらない。しかしその時、「家族がまた一緒に暮らせますように」ではなく、オダギリ・ジョーの言葉を借りれば「世界」を選んでしまうことが、自分の心の深い所で起こってしまった前田(兄)の表情はどうだろう!あの表情がこの映画の正にハイライト。一人の人間としてすごい体験を(思わず)してしまった説明がつかない顔だ。だから、彼は鹿児島中央駅に戻って来た時に言うのだ。「ただいま」と。そして自分の家へと走って行く。灰が降る街で、灰と共に軽やかに、また逞しく「泳いで」行くために。(この兄弟がスイミング教室に通っているというのも暗示的だ)。「奇跡」は一瞬ではなく、むしろ、厄介な「日常」の中を生きていく勇気が生れていくことなのではないか。九州新幹線が全線開通したのが今年の3月の12日。あの東日本大震災の翌日だということろに、この映画の公開の何か不思議なめぐり合わせを感じる。自分では変えられない現実を、それを受け入れながら生きる人間たちへの愛とエール。この年のこの映画の公開の意味は小さくないと感じる。(今のところの今年のベスト映画。)しかしそれにしても、この映画の一番重要と思えるなセリフを、あの情けない父の姿が良く似合うオダギリ・ジョーに言わせているところが実に面白い。
ワンス・モアさん [映画館(邦画)] 10点(2011-07-18 12:55:03)
42.ネタバレ 素晴らしい男女7人夏物語でした。いや、犬も一匹いたしな、素晴らしい男女7人犬物語でした。早速ひとに勧めたくなってしまった でもまえだまえだの二人じゃなかなか誰も釣れんのだろうな ここはやっぱ長澤まさみの生脚で釣るのがベストだろうな 少ない出演だったが十分満足 綺麗なお姉さん、長澤まさみさん。← 小学生なんぞには渡さんぞ(^^;) 
でも、それよりなにより、まえだまえだのまえだのほう(弟くん。) 自立心がいっぱいっぽい役どころも良かったけども、とても気持ちのよい演技しますね 気持ちのよいお子さんですね。  まえだまえだのまえだくん(この場合は、兄貴くん。)のほうも悪くはないよ良かったよ。子どもら7人の子供芝居 みんなよかったよ。芝居に全くみえないところがすっごく良かったよ。子供らを泊めてあげた老夫婦の気持ち、すっごいよく分かります。あの一夜のシーンがとても好きです 素敵です。
3737さん [地上波(邦画)] 9点(2014-01-16 19:02:19)
41.ネタバレ 『奇跡』とは、両親が離婚した為に、鹿児島と福岡に離れて暮らすことになった幼い兄弟が「奇跡」を信じて、ある行動を起こす物語。というと、最近流行りのハリウッド的な一大アドベンチャーのように聞こえるかもしれないけど、実際は全く違う(当たり前か)。これは奇跡を起こす物語ではなく、奇跡を信じること(=子供)と世界を取ること(=大人)を巡る物語なのである。

この映画では、大人たちがとても単純に見えてしまう。それは、登場する子供たちが大人以上にいろんな感情に揺れ動いて、様々な心の機微を働かせており、そんな子供たちの存在によって、大人たちが完全に相対化されているからだろう。

しかし、ここで描かれる子供たちは大人たちの分身である、とも思える。今、大人になった僕ら(登場人物の先生たちや親たちも含めて)がタイムスリップして、フィクションとしての子供を演じている。僕にはそのようにも思えた。だから奇跡は起こらない。最終的にすべては世界の平常の為、ゆるゆると丸く収まっていくのである。僕らは素直に子供たちに感情移入できる。大人っぽい子供たちは、奇跡を信じつつ、最後には目の前にある「世界」の方を取ってしまうから。ささやかなかなしさを感じつつ。
onomichiさん [映画館(邦画)] 9点(2011-07-08 21:20:39)
👍 1
40.ネタバレ 大人になるっていうのは、自分って個だけの状態から他者に視点が向かい、兄弟や家族、友達、そして社会、世界と自分との折り合いをつけてゆくって事で、この、なんでもない、大した事は何も起こらないように見える映画は、子供が大人になってゆく、その一瞬一瞬を捉えた稀有なドキュメンタリーとも言えるような作品。子供が生きて、世界を受け入れてゆくっていうのは輝く楽しさだけではなくて、悲しみも痛みも伴ってゆくもので、その一瞬一瞬を生きる姿が愛おしく切なく迫ってきます。主役兄弟だけでなく、彼らの友人達、彼らをとりまく大人達一人一人が、それぞれの役割を背負っているという大変によく考えられた脚本で。大人になろうとする子供と、子供であった事を忘れていない大人との、それぞれの折り合いがあり、そこに描かれるのが摩擦ではなく相互理解であるというカタチゆえ、じんわりと心に染みてきます。基本的にリアルに捉える画が多くて意匠を前面に押し出して主張するような作風ではない点が良かったのですが、それゆえクライマックスのその瞬間直前のコラージュはとても効果的でした。旅に出て以降の、ありがちであるにも関わらず溢れ出す懐かしいワクワク感、兄弟が現実を受け入れてゆく姿もいいのですが、同時にライバルに対する嫉妬心を上手く消化できなかったり、老犬を通して死を認識してゆく友人達の姿も本当に愛おしくて、見終わって子供達の未来に幸多からん事を心から願ったりしてしまうような映画なのでした。
あにやん‍🌈さん [映画館(邦画)] 9点(2011-06-28 21:49:37)
👍 3
39.ネタバレ 穏やかで美しいカメラ割に、暖かいバンドサウンドの音楽がひたすら心地よい。
この点だけでも、観る価値あり。これが映画の画であり、音である。
と、言いたくなるほど。
物語を豊かにしていたのはイチイチ面白すぎる会話。こんなに楽しく、笑える映画だとは思っていなかった。脚本があるにしてもないにしても、どうやったらこんなにも自然で
こんなにも面白い子供の会話が撮れるんだ? 奇跡なの? 天才なの?
 
子供たちの想いは一つではなく、みんなそれぞれ思い思いに自分の希望があって、考え方もバラバラ。兄弟だって、当然違う。でも、それで良い。それが良いのだ。 
「一つになろう日本!」とか言ってる場合ではない。
本当にささやかで小さな物語だが、ほんの少しだけ成長する子供の姿に大きく心を打たれてしまった。泣かせの演出なんてこれっぽっちもないのにね。
まえだまえだをはじめとする子役たち全員ブラボー。
その他のキャストもみんな映画の中にしっかりと生きていた。
くるりの曲もがっちりハマっていて素晴らしかった。 
是枝さんは、本当に信頼できる監督だ。
すべからさん [映画館(邦画)] 9点(2011-06-25 02:04:09)
👍 3
38.ネタバレ 監督の魅力が爆発した素晴らしいジュブナイル映画です。
「まえだまえだ」にどうしても注目が集まるところですが、他の子役も負けてはいません。
監督の子役の演技のさせ方は本当に素晴らしいです。ていうか演技していないです。
例えばじゃんけん遊びの一種「ブルドッグ」をやって、つねられたほうの子は「ばりくそ痛い~」とか言うんです。
普通に台本作っていたのでは「ばりくそ(笑)」なんてワードは出てこないでしょう。
すべておいて、子どもは普段の行動をそのままスクリーンで見せてるかのよう、もうこれだけで見る価値は十分です。
ストーリーもいい。前半は子どもと大人たちの生活をばっちり見せて感情移入をさせ、後半は「スタンドバイミー」のような描写で楽しませてくれます。
自分も子どものころこんな冒険をしたことがあるので、懐かしくってそれだけで涙が出そうになりました。同時に「いまの子どもたちって、あんまりこういう子どもだけの『秘密の冒険』がないんじゃないかな、是非してほしいなあ」と願ってしまいます。
自分が受け取ったテーマは、「誰かがそばにいたからこそ、成り立つものがある」ということ。
航一が「奇跡」の噂を聞かなかったら?
保健室の先生がずる休みを手伝ってくれなかったら?
龍之介が友達を連れてこなかったら?
老夫婦にところに上がりこめなかったら?
「奇跡」の瞬間は見ることができなかったでしょう。
いままで思っていた願いを捨て、奇跡の瞬間で新しく願ったこと─
彼はそれを楽しみにして、今後毎日を生きていくことができるでしょう。
毎日変わらない日常。
その中でも楽しいことや、かけがえのないものがたくさん散らばっています。
航一のような経験をしていなくても、それは誰もが持っているものです。
それこそが、普段気づかない「奇跡」です。
ヒナタカさん [映画館(字幕)] 9点(2011-06-21 22:09:47)
👍 2
37.大人には疑いがある。
迷いがある。
諦めがある。
己の人生に見切りを付け、
境界線をいとも簡単に引いてしまう。
これはやる、やらない。
これはやれる、やれない。
ぼくらはいくつもの限界と現実を、
この体と心で感じ、
知りもしない事を知ったように口にし、
知らない事に興味も示さなくなる。
大事な事はずっと昔に知っていたのに、
年を重ねて目を逸らす。
純粋で汚れのない、
まっすぐな眼差しの先に
見えているのは、その瞬間でしかない。
その瞬間に全力を注ぎ、
全力で気持ちを表現する。
笑い、走り、ときめき、夢を抱く。
いつからか
恥ずかしくなってしまったそれらの
輝きが、この映画からは惜しげもなく溢れている。
この映画は生き生きと輝いている。
映画館で観れて本当に良かった。
ボビーさん [映画館(邦画)] 9点(2011-06-14 00:54:48)
👍 1
36.ネタバレ 本作は時事ネタをうまくストーリーに取り込んでいるので、むしろ数年後、いや何十年も後に鑑賞した方が "風味" が増していて感慨深いかも知れません。短命だった民主党政権による事業仕分けネタ、九州新幹線の全線開通で盛り上がりを見せた話など、もう既に「そういえば、こういうこと、あったなあ」と、しみじみと懐かしく思えるし。 ところで、少年たちは遠路はるばる出向いて、新幹線のすれ違う瞬間、一斉に声を大にして願いを叫びましたが、全く「奇跡」は起きません。それはそうです。だって、奇跡は目に見えませんから。そして、ある意味では、それも時事ネタと同じ。この出会い、この「大冒険」、、彼らは数年後、いや何十年も後にこの思い出を振り返っては、あの出来事自体が奇跡だった、、とやがて感傷的に気づく時が来るでしょう。 もう一つ、そこにたどり着く前の晩の出来事を、どうか彼らに忘れないでいて欲しい。見ず知らずの彼らを泊めてくれた老夫婦たちとの出会い。一団の少女の一人が孫娘によく似ていた、その孫娘の帰宅を心待ちにする優しい老夫婦が住む家に、まるで狙いを定めたように迷い込んだ・・。 実はこれこそが、確率的に言っても、まさに奇跡と呼ぶに相応しい珠玉のエピソードだったように思えます。
タケノコさん [映画館(邦画)] 8点(2016-06-15 23:17:17)
35.ネタバレ 子供の持つ「力」の凄さを教えてくれる作品
九州新幹線開通にあたっての企画物映画ではありますが、宣伝色を感じさせないドラマを作りつつ、九州の魅力を映し出しているのはさすが是枝監督という感じです。

TMさん [地上波(邦画)] 8点(2014-06-07 00:35:18)
34.ネタバレ 冒頭、意味わからんわの一言で共感してしまった。
僕もまったく同感で、意味がわかりません。
噴火してるのにね。
出演者の顔触れが凄いので期待してしまうけど、話のメインは子役たちなので、超豪華キャストはぼんやりした味わいを醸し出す程度。
でも、それが逆に良かったような気もする。
何しろ天下の長澤まさみが生足まで披露したのにあっさり振られちゃうとか贅沢な使い捨て演出に爆笑させられましたからね。
女優を目指してる子の話も良かったし、熊本で家に泊めてもらうシーンでは少し泣きそうになりましたよ。
あと、振り込め詐欺の件もちょっと笑えました。
そして、やっぱりラストの世界を選ぶという着地点には感心しました。
僕にも少し意味がわかったような気がします。
もとやさん [地上波(邦画)] 8点(2014-01-03 12:34:40)
👍 1
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33.ネタバレ どこまでも子供が主人公のこの作品は、自分もかつてはこの子たちのようだったなと思い出させる。新幹線がすれ違う瞬間に起こるフラッシュバックの演出がイイ。
eurekaさん [DVD(邦画)] 8点(2012-05-04 17:21:50)
32.ネタバレ (略)
ごく大雑把に言えば、この映画はこの一人の少年の成長譚だ。序盤、「意味わからんわ」と彼は繰り返しつぶやく。なぜすぐにでも噴火するかもしれない火山の麓に住まなければならないのか。なぜわざわざ坂の上に学校を作るのか。父親や弟と離れ離れに暮らすという非日常的な状況に置かれた彼は、それでも長男らしく現実主義者である。目の前にある問題をまず解決することが「生きる」ということだと心得ており、少しでも矛盾を感じればそれを口に出さずにいられない。
(略)
いっぽうこの映画は、人に対する思いやりの場面を多く映しだす。教室で、家で、図書館で、保健室で。それらは大人から子供たちへの気遣いという形だけではなく、博多ステージにおいては子供同士のそれとして見られる。あくまで日常的な行為として、ごく自然にやり取りされるそれらの振る舞いは、結局この映画のほぼ全編において描かれることになるのだが、監督はなぜそのことにこだわったのだろうか。
(略)
トンネルの上に並び、いよいよ彼らがすれ違いの瞬間を迎えようとした時、兄の心の内に去来したのは過去に見た様々な情景だ。木の芽や、火山灰や、自販機の下で 100円玉を発見した時の感動や、肩に触れた先生の手の力強さや、きれいなコスモスの花や、犬っころの死だ。もし火山が大噴火すれば、それらすべてが灰になり消え去ってしまうかもしれない。そう悟った時、彼は「家族より世界を選んだ」のである。この地球上で、あらゆるものが生きて動いていることじたいが奇跡なのであり、いろんな場所で、それらと自分とたまたま邂逅することが、もうすでに奇跡なのだ。むろん自分もそのような奇跡の一員であり、自分と同じように他者も、地球上のいろんな出来事も消してしまってはならないのではなかろうか。兄はそう気づいたのである。

この映画、はっきり言ってたいしたショットはひとつもない映画だが、このフラッシュバックだけで千年生き永らえる価値を得た。そのくらい素晴らしいシーンである。
(略)
ラスト、兄は風に指をかざして「今日は積もらへんな」とつぶやく。彼はもう境遇に文句をいうことはない。「意味わからん」の意味を理解しかけ、なんとか自然と共存していくことを選んだのである。実にきれいな終わり方であり、例の震災さえなければみごとな良作として心に残ったことだろう。
(略)
アンギラスさん [映画館(邦画)] 8点(2011-09-12 22:30:20)
👍 3
31.ネタバレ かるかんの様にぼやけている映画としか捉えられない人もいるでしょうが、
ほんのりと大人の味が判るころには、良い映画だと認識できるでしょう。
cogitoさん [DVD(邦画)] 7点(2018-07-15 00:59:26)
30.是枝監督だからつい期待してしまう。
普通の監督だったらもう少し点数が高くなると思うけど、是枝監督ならもっといいものを期待してしまう。
aimihcimuimさん [DVD(邦画)] 7点(2014-08-15 10:25:01)
29.ネタバレ まえだまえだが主人公ということであまり気が乗らなかったが、観てみると予想外だった。
是枝監督が子役の魅力をうまく引き出しているようだ。
どうせ子どもの健気さに打たれた別居中の夫婦がヨリを戻す話だろうと思えば、そういうベタな展開ではない。
自分の生活より大事なものを持って欲しい、たとえば音楽とか世界とか――オダギリ扮する父の言葉は客観的には甘い自己弁明ともとれる。
でも、息子(兄)にはじんわりと効いてくる。
兄が個人的な家族の祈りを叫ばずに世界のことを考えたのは、父の言葉を理解できるだけ成長した証し。
少年や少女たちのしなやかな成長がうかがえる佳作だ。
飛鳥さん [DVD(邦画)] 7点(2013-11-18 20:57:12)
28.日本版スタンド・バイミーって感じですね。派手さはないですが豪華キャストで楽しめました。
アフロさん [DVD(邦画)] 7点(2012-08-21 04:37:44)
27.ネタバレ 「かわいい子には旅をさせろ」という諺がありますが、あれは子供の成長を促すというより、親に対しての戒めの色合いが強い。「過保護になるな」という意味で。子供たちが自らの意志で積極的に「旅」をしたらどんなことが起こるのだろう。本作はそんな映画だったと思います。九州を縦断する新幹線が初めてすれ違う瞬間を見る。その他愛無い目的も、遠く距離を隔てた場所で起こるので、小学生たちにとってはただ事ではありません。計画から準備、資金繰り、親や周囲の大人たちとの調整など、途上の苦労や工夫は、思い込みが激しい分だけ力強い経験値となって蓄積されます。幼児が「初めてのお遣い」で世界を拡げるように、彼らも「初めての旅」で世界を拡げました。「お遣い」との違いは、自分たちが受けている外界からの恩恵を実感したことではないかと思います。その自覚は彼らの内面をひと回り太くし、大人への第一歩を刻ませました。家族4人が一緒に暮らす「奇跡」をスケープゴートにしながら、自然とその過程がテーマになっている構成がとても良かったです。新幹線がやって来る直前、この「奇跡」を目指したアクションの記憶をフラッシュバックさせる演出に感心しました。複雑な想いや状況をひとつの方向性へと昇華させる刹那の心情を見事に表現していると思います。子供たちの成長のために、本当に大切なことは何なのか。教育機関などにクレームを付けることを生き甲斐にしているモンスターペアレンツさんたちに見て欲しい映画です。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-08 18:07:10)
👍 1
26.ネタバレ JRからの持込企画、鉄道もの、家族が新幹線の始発と終点の鹿児島と福岡に分かれて住んでいるなど、製作者側の不純な動機と強引さが強く漂う。ところが、観始めると、子供達の純粋さと自然な演技が、こうしたマイナス要素を忘れさせてくれる。もっともらしい話でもないのに奇跡が起こると単純に信じ込む子供達。しかも、奇跡として考えていることは、家族が一緒に住むこと、死んだペットが生き返ること、芸能人になることなど。まさに、小学生の考えることだ。妥協や挫折の人生を重ねてきた大人たちの感覚とは、まるで違っている。だが、彼らの置かれた立場を考え、彼らの会話を聞くにつけ、笑うどころか、思わず、そうか、頑張れと応援したくなるのだ。子供達の世界観で、真剣に考えて、一所懸命に行動している姿はいじらしい。彼らは6年生か。やがて、中学生になれば、大人の世界に一歩近づく。このような経験は、ほろ苦い思い出となるに違いない。
パセリセージさん [DVD(邦画)] 7点(2012-05-30 22:26:36)
25.ネタバレ あの本物の兄弟が、今、この年齢でいてくれたことの「奇跡」。
おおるいこるいさん [映画館(邦画)] 7点(2011-07-11 10:57:09)
24.ネタバレ 是枝監督の映画は全般的に好きだ。まず、何と言っても静かだ。そして人間の心の動きがリアルだ。壮絶ぶったり、びっくりさせようとしたり、無駄に派手なことやったりしないところがよい。出てくるのはみんな大体普通の人だ。隣に住んでいても違和感の無い人たちだ。普通の人たちだから、怒鳴りあったり、むやみに他人をぶん殴ったりはしない。でも、みんな当たり前だけど個性がある。普通の人の中にも面白い人もいれば怖い人もいる。冗談が通じる人もいれば通じない人もいる。そういう細かい描写の積み重ねでしか描けない部分を描くから、映画は面白くなる。この映画も「なんちゃない話」なんだが、「味わい深い話」でもある。
この「奇跡」という映画の設定はちょっと変わっている。主役の兄弟は離婚してしまった両親にそれぞれくっついて鹿児島と福岡に住んでいる。この家族はもともと大阪に住んでいたという設定なのでみな大阪弁である。鹿児島の母の実家に身を寄せる兄・航一は家族みんなでもう一度暮らすことが夢。「意味分からん」が口癖でなかなか鹿児島になじめない。一方、弟の龍之介はバンドでプロデビューを目指す父親と父親の出身地である福岡で二人暮らし。持ち前のオープンな性格から友達も新しくできて、今の生活に不足を感じていない。いや、むしろ自由な生活を満喫している。
この二人のそれぞれの世界を軸に物語は進行する。それぞれの家族との交流。それに先生や友達との交流。そして電話を通じた兄弟の交流。水泳や勉強や遊びに明け暮れる二人だが、周りの人とのコミュニケーションを経て少しずつ大人になっていく。「世界」の何たるかを理解していく。この映画は子供の成長をとてもうまく描いている。その成長が分かるあからさまなシーンは無い。だから観客は子供と同じ目線に立ちながら、同時に彼らの成長を慈しむことができる。この表現力は素晴らしいと思う。
ラストの爽快感は開通した九州新幹線のせいだけではないはずだ。この映画は私に子供時代に誰もが持っていたはずの活力や好奇心や夢を思い出させてくれた。劇場を出たときに心の濁りや目の翳みが澄み渡るこの感覚は新鮮だった。
枕流さん [映画館(邦画)] 7点(2011-07-01 00:13:49)
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 43人
平均点数 6.37点
000.00%
124.65%
212.33%
300.00%
424.65%
5716.28%
61023.26%
7920.93%
8511.63%
9613.95%
1012.33%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 Review0人
2 ストーリー評価 6.00点 Review2人
3 鑑賞後の後味 6.00点 Review1人
4 音楽評価 7.00点 Review1人
5 感泣評価 Review0人

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