映画『ツリー・オブ・ライフ』の口コミ・レビュー

ツリー・オブ・ライフ

[ツリーオブライフ]
The Tree of Life
2011年上映時間:138分
平均点:5.33 / 10(Review 46人) (点数分布表示)
公開開始日(2011-08-12)
公開終了日(2012-03-07)
ドラマ
新規登録(2011-06-13)【+】さん
タイトル情報更新(2020-09-19)【S&S】さん
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監督テレンス・マリック
キャストブラッド・ピット(男優)オブライエン
ショーン・ペン(男優)ジャック
ジェシカ・チャステイン(女優)オブライエン夫人
タイ・シェリダン(男優)スティーヴ(三男)
フィオナ・ショウ(女優)ジャックの祖母
ジョアンナ・ゴーイング(女優)ジャックの妻
堀内賢雄オブライエン(日本語吹き替え版)
山路和弘ジャック(日本語吹き替え版)
竹口安芸子ジャックの祖母(日本語吹き替え版)
千田光男(日本語吹き替え版)
脚本テレンス・マリック
音楽アレクサンドル・デスプラ
編曲コンラッド・ポープ
アレクサンドル・デスプラ
撮影エマニュエル・ルベツキ
製作ブラッド・ピット
グラント・ヒル〔製作〕
配給ウォルト・ディズニー・ジャパン
特撮ダブル・ネガティブ社(視覚効果)
美術ジャネット・スコット(セット装飾)
ジャック・フィスク(プロダクション・デザイン)
衣装ジャクリーン・ウェスト
編集ビリー・ウェバー
ダニエル・レゼンデ
ハンク・コーウィン
その他フランク・ヒルデブランド(プロダクション総指揮)
アレクサンドル・デスプラ(指揮)
ウォーレス・ショーン(スペシャル・サンクス)
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💬口コミ一覧

46.ネタバレ 非常にシンプルなスピ映画。
そのシンプルさが本当は真理を現している。
別に特別なものに真理がある訳じゃなく、日常や自然にごろごろしているという事だと。
そして、どちらが良い悪いという二元性を超えている。
息子はそれを理解した。ツリーの枝葉として。
父母はその二元性の象徴。
すべてはあるがままであるという認識だと。
スピ系映画では歴史に残るんじゃないでしょうかね。
森のpoohさんさん [映画館(字幕)] 10点(2011-08-17 11:08:39)
45.ネタバレ 生きていくということ。生命の系譜について。その大切なことの全てがこの映画には詰まっている。創世から神の国に至る道筋を個人の意識(記憶)を含めたイメージとして映像化し得たこと。素晴らしいと感じた。これまでに経験したことのない種類の感動が確かにあった。旧約の世界。創世から人類の誕生。生命の樹。楽園からの追放。カインとアベル。ヨブの物語。そしてイエスの愛。それは、キリスト教世界のエッセンス、歴史を辿るイメージであると共に、現実的な主人公の家族を巡る物語に重なる。壮大且つちっぽけな物語。

"There are two ways through life. The way of nature and the way of grace. You have to choose which one you will follow."

映画の冒頭で語られる言葉であり、一見この映画の主題そのものを言い当てているように思える。「世俗に染まるか、神に委ねるか」と訳されていたが、意味合いとして、世俗とnatureは少し違うような気もするけど、natureとgraceがキリスト教世界における対概念であることは確かである。しかし、この映画から僕が受けた印象は、その対立ではなく、融合。対立を含む一体化である。映像によって一体化されるnatureとgrace。それは地球と生命の歴史を含んだ旧約から新約に至るキリスト教的な世界の系譜そのものであり、イエスの愛に至る道筋そのものであり、同時にそれは個人の歴史に重なり合う。その物語、その映像。究極にエッセンシャルな物語。だからこそ、この映画はすごい。

National Geographic的な映像の美しさがこの映画の特徴でもある。その中に恐竜のCGが挿入されていて、最初は??と思ったが、あの映像こそ、この映画の主題そのものに通じていたのだと今にして思う。それは、兄弟や父子の確執が途中決定的な亀裂を垣間見せながら、最終的に和解へと至る道筋を示唆していたと言えないだろうか。そういう伏線も感動的である。

この作品は、確かにこれまでの映画という概念を易々と超えている。映画を評価する客観的な従来型の指標があるとして、それには到底当てはまらないし、自らの知識と理解を超えた内容に対して「これは酷い」と思わずつぶやいてしまう気持ちも分からないではない。しかし、それはすごく勿体ないことだ。この映画が誘う世界、想像力が導く世界は、新しいイコンである。僕は、この作品をもう一度観たいと思った。
onomichiさん [映画館(字幕)] 10点(2011-08-16 08:42:09)
👍 1
44.この作品の評価は二分するでしょう。それこそ映画の冒頭で語られる「世俗に生きるか神に委ねるか」のように、低評価を下す人は世俗型で、高評価を推す人は宗教型と類型化してみても満更でもないかもしれない―――。

飴を渡されそれを直ぐに口に入れ甘さだけを味わう人にこの映画の良さは伝わらないと思う。与えられた飴の意味を思索する人に見てもらいたい映画だ。
クロちゃんさん [映画館(字幕)] 10点(2011-08-13 00:31:15)
43.ネタバレ 難しく考えないでほしい。本作は「アナタハ カミヲ シンジマスカ?」という映画ではない。何度か出てくる母の言葉「人に優しくしなさい」この一言である。家族だけではない、全ての人々が「人に優しく」することを願う。単純だが、的を得た表現ではないか。人(又は他の生物)に優しく接することが出来るのは人間だけである。「優しい」というより「思いやりを持って」と言い換えた方が理解できるだろうか。
nizamさん [DVD(字幕)] 9点(2012-09-19 11:23:34)
42.ネタバレ 2回見ました。1回目は正直、人物関係もこんがらがって、かなり頭も使って集中して見ていましたが、2回目は余裕を持って映像の美しさに浸ることができました。筋自体は優しい母、厳しい父、その間で葛藤する子供たちという簡単なものです。しかし映像は、宇宙や大自然から母と子が遊ぶシーンまですべて美しく輝いています。大画面で見るべき映画だと思います。
masatonizationさん [映画館(字幕)] 9点(2011-08-15 23:54:00)
41.ネタバレ 世間での評判を見て色々と覚悟して臨みましたが、思ったよりもずっとシンプルな映画で、とても良かったです。別に読み解こうとする必要もなければ、独自の宗教観や信仰がなくたってどうでもいい、これって、ただ受け手が映画を見ている間、自分って存在と向かい合い、自分の生を顧みる時間を提供するだけの作品なのだと思います。そこにあるのはミクロとマクロの世界。自分という個(人間という、ではなくって、あくまでごくごくパーソナルな自分)と、流転する万物の関係性について、ちょっと考えてみましょう、っていう。自らの行為、自らが体験する事柄、それらがこの世界に内包される以上、それは世界の一部である、ゆえに自らの考えや行動は、小さな、独立したものに思えるけれど、万物の進むべき道、意志というものが存在するならば、ただ勝手に存在しているのではなくて、その万物の一員としての心構えがあって然るべきなのですよ、って。もうちょっと簡単に言うと、自分がした事、思った事で、正しい事と間違っている事についてきちんと見つめてみましょうって、そんな映画かなって。回想される子供の姿は、何も過去を示している訳ではなくって受け手の過去から現在までを映すための誘因要素。映画を見ている間、私は自分の中の様々な事柄を思い、考えました。自分を見つめるなんて事、なかなか出来ない訳で、1つの家族のエピソードと壮大な映像に誘われ、貴重な時間を提供してくれる素晴らしい映画でした。
あにやん‍🌈さん [映画館(字幕)] 9点(2011-08-14 13:36:00)
👍 1
40.ネタバレ テレンスマリック監督の作品はどれをとっても映像が美しい。
しかし独特の作風のため評価は分かれる。
説明的なことは極力省き視聴者の感性にゆだねる姿勢は過去の5本の監督作品すべてで一貫している。

それぞれの作品は時代も場所も設定も違うが彼の映像美は一貫している。
底にあるテーマも同じだ。
自然をいつくしむ心、自然への畏怖、人間もその自然の一部である、ごく当たり前の人間の生活、それは何十億年かけて誕生進化してきた生物の営みそのものなのだ。
そしてどこか宗教的、哲学的な表現。 大学で哲学を学んだから表現がそうなるのか。

The Tree of Lifeは特にそれが顕著に出ている。 もともとストーリーが明確に説明されない映画を撮る監督だが、今回もその例にもれず登場人物がどんな人なのかを説明するようなわざとらしいセリフはほとんどない。
1950年代初頭か、アメリカのごく普通の一家族の物語を中心に話は地球誕生、生命の誕生、その進化にまで及ぶ。
初見ではやや混乱したが、2度目に観た時はかなりわかりやすい編集なのではないかと感じた。

恐らく多くの人が同じ感想を持つのではないかと予想するがスタンリーキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」を思い起こす映像がかなりある。 内容的に感覚的で視聴者に思考を求めることも似ているがそれ以上に具体的な映像で相似のものがあるのだ。 極めて効果的に使われている。

また気を引いたのが長男が淡い恋心を抱くクラスメートの女の子。 くっきりした顔立ちのキュートな子だがThe New Worldのポカホンタス役の子になんとなく似ている。 Days of Heavenに出ていた女の子も似ているし、Badlandsのシシー・スペイセクも似た雰囲気だ。 監督の好みが出ている
称えよ鉄兜さん [映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2011-07-01 16:26:52)
39.どのシーンを切り取っても額にいれて飾れる程の映像美は圧巻。台詞も少なく宗教、哲学色の強い本作ですが、壊れて行く少年の心や家族の空気感は痛いほどによく伝わりました。宇宙の誕生、生物の進化と人生の対比は分からなくてもいいと思います。「感じる映画」製作者が求めたのはここなのではないでしょうか。CGも近年見た中では段違いに美しかったです。お見事。
Kの紅茶さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-03-19 14:36:03)
38.ネタバレ 理解できないとか聞かされていたわりにはすごくシンプルな話だった。あらゆる時あらゆるものはミクロにもマクロにもありのままで同じ、それなのに?だからこそ?個人的にはNatureとかGraceとかどうでもいいから、いつまでも悩むなよと思いますけど。あと1時間宇宙とかのシーン増やせばカルトになったのになあ。 ///追記///よく考えるとNatureとGraceどうでもいいわけない。外的には同じでも、内的には違うもんな。だから赦せたし、赦しをこうことができたし。誰もが死んでしまうし、それは突然かもしれないけど、それは不幸ではないと。残されたものについても同じ。救済、神の愛。と思っていいのかしら。宇宙の誕生から波のように繰り返される、ほんのわずかな時間の生を委ねると。そんなわずかな時間神の元に平等なら愛するのが正解なのかな。
長谷川アーリオ・オーリオさん [映画館(字幕)] 8点(2011-09-02 00:54:07)
37.物語はいたってシンプルにひとつの家族、そのなかで自己を確立していく少年時代の回顧録という形をとっている。
しかし、その回顧は、具体的なエピソードだけでなく、万物の創造や宗教を想像させる壮大な映像が多用され、非常にシンボリックなものとなっており、聖書の「ヨブ記」の神とヨブの関係と、強権な父と子の関係をリンクさせているようでもある。
殊に「モルダウ」の調べに乗って家族の幸福な時代が顧みられるシーン、どんな人の人生にもある一瞬の蜜月を切り取った映像は非常に美しく感動的だ。
この映画は「物語」ではなく、一編の「映像詩」として楽しむのが正解かもしれない。
一つ一つの映像に意味づけを探したりするよりも、ただスケール感に圧倒されるとか、自分の家族に思いを馳せるとか、宇宙から見たらどうでもいいし、という前向きなパワーを養うのもアリだと思う。
家族愛に涙しようなんてハンカチ握りしめて観に行ったら大火傷するだろうし(途中退席する人や早々に深い眠りに誘われる人も多くお見受けした)、積極的に他人にお勧めしたいとは思わないが、それほど高尚でも小難しくもなかったと、私自身は感じた。
世の中がどんなに不条理でも、わたしたちは壮大な宇宙の中で神に愛されている一員であり、そしてちゃんと帰るべき場所があるよ、という優しい優しい「映像詩」である。(8.17新宿ミラノ座)
poppoさん [映画館(字幕)] 8点(2011-08-18 07:36:36)
👍 1
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36.ネタバレ 冒頭でヨブ記が出てくるので、そこでテーマは明示される。あとはそれについていけるかどうかで評価が分かれるのでしょう(ちなみに私はキリスト者ではありません)。てっきりブラピ≒ヨブとして話が展開するのかと思ったのですが、息子が死んだり事業に失敗等々はするものの、本人はツライでしょうけどヨブの苦悩に比べればよくある話と言ってしまえばそれまでで、かと言って「主は与え、主は奪う」と回心するわけでもなく、「俺は献金したのに!」と神に対して恨み節。恩寵がカネで買えるわけがないでしょうよ。キリスト教的には近代合理主義的などうしようもない人間ですけど、彼なりに息子の事を思って教育はしたのでしょう。音楽家になれなかった自分の後悔があるクセに、子供には親のエゴを押し付けて同じ事を繰り返す。結果確執を生むのですが、世間一般的には普通の親で普通の人間だろうと思います。母は信仰心のある人でどうしてこの2人が結婚したのかがナゾですが、この両極端の親が息子に影響を与える。この辺はエディプスコンプレックスを抱えた少年物語という矮小な話に転換し、田舎のそれなりに裕福な家庭に育った少年期のよくあるノスタルジックな思い出話がダラダラと続く。ショーン・ペンに息子でもいれば「父の気持ちがわかった!」という家族の物語になるんでしょう。が、そこまでやるとファミリー作品になってしまい、宗教作品ではなくなってしまう。あえて淡々と描く事によって人間中心世界からの脱却を図ろうとしており、良くも悪くも観客の期待を裏切っていると思います。「世俗に生きるか、神に委ねるか」アジアでは中庸という考えがありますが、欧米人はこの問いに悩み続けるのかもしれません。大地や生命といった恵みが神から与えれ、神の計画の中で人間は生かされている。という壮大な話を平凡なイチ家族(の回想)を通して描くというのはちょっと乱暴というか飛躍もあるようにも感じますけど、映像的に強引に仕上げたという感じですね。ミクロとマクロの関連性の表現に中途半端というかギャップがあるのは否めませんが、どこかに連れて行かれそうな世界観というか不思議さはあります。鑑賞者に信仰心があればラストの最後の審判後に復活を遂げた家族との再会を思わせる映像展開に救いを感じるのかもしれませんが、そうでない人にとってはあまりにもちっぽけな己の人生に絶望し、逆にニヒリズムに陥ってしまうような気もします。
東京50km圏道路地図さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-05-31 14:08:00)
35.ネタバレ ななな… なんだこれは… 映画を見ようと思ったのに宗教の勧誘ビデオでも始まったのか?…というような最初の30分だったけど、その後はちゃんと映画らしくなって一安心。難しいことはよく分からないけど、やはり自分にもジャックと似たような時期があったから、懐かしいやら何やらで、それなりに面白かった。
リーム555さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-20 18:39:52)
34.ネタバレ 小説で新人賞獲ろうとかって場合、ラストにどれだけスゴいオチが待っていようとも半分も読む気になれない作品はダメだとか聞いた記憶がありますが、この映画はまさにその部類のものだと自分は思います。壮大な時空を追いながら、ある親子の絆を描こうとする試みなのかなんなのか僕にはわからないけれど、広大な時空を舞台になぜ人類全体の描写ではなくある特定の特異なタイプの親子の絆一つに絞り込むのか、そこにどういう意図なり効果が期待されるのか、作品の半分も付き合う気持ちになれないです。つかみは全然OKじゃないし、その上に半分も見続ける気持ちにさせないなんて、やっぱり上手なストーリーテリングではないと感じてしまいます。壮大な時空にひと組の親子というだけならまだしも、ポルターガイスト現象みたいに椅子が勝手に動いたり、人が宙に浮いたり、さらに意味不明。我慢強くずっと見守ったからといってラストにすごいオチが待ってるわけでもないです。どれだけ有名で認められた映像作家だろうと、自分がどれだけ見る目のない低脳であろうと、この作品に真摯に付き合えない自分でいることに何のマイナスも感じない。この作品を理解できる感性が自分に備わっているとしても、これはかなり観るタイミングを選ぶ作品だと思う。キャッチコピーが気になってレンタルしたのに。。。0点を付けないのは、とくに不快でもないからです。 ただ「分かる人だけ分かってもらえばいい」みたいな姿勢は商業媒体でやっている以上、作家として失格なんではないでしょうか? 「父さんのこと嫌いでした」系なら、これ見るのに時間割くより、いつまでも同じことうだうだ繰り返してる某アニメを見る方がまだ価値がある気がします。【11/28追記】 悩みも心配事もない落ち着き切った平穏な時に再鑑賞。 多分、万物の誕生・成長・進化と神(法則=ルール)の物語。キャッチコピーの「父」とは多分「神」に変換可。宇宙を作り出し、生命を生み出し、人に「我々は一体いつどこからなぜやって来た?」と意識させた時、哲学や宗教や道徳や芸術や科学が生まれ、人は自らのルーツへの意識からあらゆる分野の発展と発見と進化を遂げた。なのに理不尽な不幸はなくならない。そんな神など嫌いでした…けれども…って話だと受け止めました。幸福には当たり前で感謝なく、不幸には強い不満を訴える、その対比は雄弁。涙の出る良作と認識。1点から大幅変更です。
だみおさん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-27 00:48:09)
33.ネタバレ 『地獄の逃避行』も『天国の日々』も『シン・レッド・ライン』も肌に合わなかったので覚悟して鑑賞したのですが、今回のテレンス・マリックはイケました。わかったようなわからんようなポエム、あまりに長くクドすぎる環境映像と今回もマリック節は全開なのですが、父と子の対立と和解というわかりやすいドラマが横糸に入ったおかげで随分と腹に落ちやすい映画となっています。。。
この映画のテーマは神の存在なのですが、神とその創造物である人類との関係を極限にまで凝縮し、ある親子の関係を通して神の存在を描いています。「男の子にとって父親は神に等しい存在である」という言葉そのままに。神とは全知全能ではあるが必ずしも人格者ではなく、良い決断もするが、時に気まぐれな決断もする厄介な存在であるとマリックは考えているようです。我々人類はそんな神の気まぐれに付き合わされ、正しい方向へ導かれたり、野放図にされた悪に苦しめられたり、訳の分からん試練を課せられたりして右往左往しているわけです。あたかもそれは、主人公ジャックが父オブライエンに振り回されているかのように。オブライエンはあまりにクセの強い思考回路を持っているため、子供達にとっては頼もしい父親であると同時に巨大な脅威でもあります。ジャックはこの圧倒的な脅威に対してまず恐怖心を抱き、次に反発を覚え、最終的に和解するのですが、この流れは人類の信仰プロセスと合致します。。。
このドラマにおいて、テレンス・マリックは素晴らしいストーリーテリングの技術を披露しています。ジャックとオブライエンの関係は決して特殊なものではなく、多くの男子が共感できる普遍的なものです。裏を返せば何の変哲もない少年の成長物語なのですが、それをここまでドラマティックに仕上げ、おまけに哲学的なメッセージも込めている。これは圧倒的な仕事だと思います。願わくば、訳の分からん環境映像やポエムは控え目にして、見る側の生理に配慮した作りにしてくれれば最高だったんですけどね。
ザ・チャンバラさん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-06-30 19:20:37)
👍 1
32.ネタバレ いや~、なかなかの映像美でしたね~。テレンス・マリックの映画は、台詞より映像で語ろうとするタイプだけど、あの「天国の日々」に匹敵、いやそれ以上の美しさでした。宇宙、波、森、子供達の遊ぶ光景。ただ、これはテレンスさんの人柄によるものだと思うけど、あえて象徴的には描かないんですよね。それが人によっては中途半端に感じたり、わかりにくく感じたりするので賛否両論が出てきちゃう。とても壮大に見えるけど、実際にはとてもパーソナルな作品だと思う。要するに、ジャックはテレンス・マリック自身なんですよ。彼の個人的な体験がベースになっているんだろうし、壮大な外的宇宙を描くというより、彼自身の内的宇宙を見せているんだと思う。この作品は、なにかの答えを出すというものではないですね。最初の台詞で、「人の生き方は二通りある。神に仕えるか、世俗的に生きるかのどちらかだ」って言うのがあるけど、人間(あるいは西洋人)ていうのは、この狭間にいていつも揺れ動いてるんですよね。お母さんは信仰深くて母性そのものという感じで、お父さんは利己的で優しさより強さを求めるタイプ。特にお父さんは、アメリカンドリームを実現出来なかったから、それを息子達に実現してもらおうとより一層子供達に強さを求めてる。途中、恐竜が出てくるけど、お父さんの弱肉強食の起源があれで描かれてるわけですよね。ジャックは父親似だから、そういう面を引き継いで色々と悪さするし、それ故に大人になって成功してるけど、母親の面も受け継いでるだろうから、それで揺り動いちゃうんでしょう。だから、ジャックの葛藤というのは、そういう人間の両義性、利己的で弱肉強食の面と、利他的で博愛の狭間にいる事からの宿命的なものなんだと思います。それで思い悩むわけだけど、人が思い悩むことって、実は「狭い世界」からしか生み出されない。葛藤の起源をどんどん遡っていくと、どんどんと世界が広がっていく。そうすると、自分の悩みというのは、実はとても狭い考えから生れでたものであって、外に目を向ければ不思議と癒されていく。たぶんそんなことが言いたいんじゃないかしら。
あろえりーなさん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-03-08 12:40:03)
31.ネタバレ 見終わった直後は子供の成長を壮大に書いただけのシンプルな映画だと思ったが、しばらくして自分なりの一つの結論を得た。これはショーン・ペン演じる主人公の死ぬ間際の回顧を描いた作品なのだろう。自分の成長や過ち、悩み、苦しみについて。厳しく、憎かった父について。優しく美しかった母について。そして兄弟達についての思い出を振り返っている。そう仮定すれば自分なりにこの抽象的なストーリーの意とする所に納得ができる。所々に織り込まれる美しく壮大な映像は星の誕生と命の誕生をリンクさせているのだろう。実に粋な演出だ。そしてラストに家族が出会っていたのは恐らく天国。全てを理解したモノ達の行きつく先なのだ。この解釈が正確だとは微塵も思わないが、このように見ている人に色々なイメージを与える作品は貴重且つ高尚で評価に値すると自分は思う。
関白宣言さん [映画館(字幕)] 7点(2011-08-23 05:02:53)
30.う~ん芸術映画。いや、もはや仏像・仏閣レベルか!と思うほど厳かな映画でした。
宇宙が大地が海が風が植物が動物がそして人間が紡ぎだす「いのちの木」。
宇宙と生命の真理をミクロとマクロの視点から説き伏せられ、
映画館にいながらお寺で座禅を組み、合掌しているような荘厳な気持ちなりました。
さすがに2時間以上も瞑想してると退屈で欠伸も出るし足も痺れてきますが
映画館でこんな体験は滅多にできるものではありません。
観終わった後もどこか消化不良を感じながらも心の中は不思議とスッキリ晴れやかでした。
慌ただしく窮屈な生活に疲れた現代人には
こういうある意味退屈な映画が必要なのかもしれませんね。
映画館の中でも気持ちよさそうに寝息を立ててる方がいっぱいいらっしゃいましたし笑。
8bitさん [映画館(字幕)] 7点(2011-08-21 14:55:07)
👍 1 😂 1
29.僕はどちらかというと映画に明確な「ストーリー」とその中で繰り広げられる「人間ドラマ」を求めるタイプで、「映像美」とか「精神性」とかに日ごろ興味は薄いのですが、この映画に限ってはどちらかというと擁護派です。監督の生まれや育ち方については、何も分からないので、主人公≒監督なのかどうかは分かりませんが、主人公ジャック・オブライエン(ショーン・ペン)の心の旅をただそのまま映像化するというこの映画作りへの取り組み方には清新な驚きを感じました。はっきり言って彼の半生は特にドラマチックでもないし取り立てて面白いエピソードがあるわけでもないんですが、そのひたすらパーソナルな思い出の羅列と無駄に壮大な自然風景とを単純にミックスすることで、映画の中に名状しがたい独特の融合感が生まれていることは否定できません。
ありふれた思い出は人間みんなが持っているもので、何も特別なものではありません。でも、その一つ一つの思い出は一人ひとりにとってかけがえのないものであり、それを作り出してくれたのは、太古から続く連綿とした生き物の連なりです。そして、木が枝分かれして多くの葉をつけるようなその「連なり」の背後には「神」がいます。僕は残念ながら、この一神教における「神の存在」という感覚が自分にはどうしても理解できない(世界を考える上で重要とは思えない)のですが、この映画が言いたいことは何となく理解できました。この映画は、かなり汎神論に近い考え方に基づいて作られている気がしますし、自然と神の融和ならば、神を信じていない僕の心にも比較的すっと入ってくるのです。
この映画の中には、確かに色々と訳の分からない箇所もあります。そもそも次男が死ぬという設定も必要ないと思いますし、恐竜を使って安直に生命の歴史を概観するに至っては失笑も禁じえませんでした。なぜカンブリア爆発を映さなかったのかは理解に苦しみます。それでも、この映画は今までに観たことがない優れて映画的な映画だったと思うのです。こんな作品は映画以外の媒体では生み出されえないと思いますし、今までに観たどの映画とも似ていない映画で、それはそれで凄いことだと思います。この映画のことをきちんと理解できていないとお叱りを受けるかもしれませんが、「自分史を地球誕生から書き始めるというあまりにも壮大かつ稚気溢れる試み」には少なくとも拍手をもって報いるべきではないでしょうか。
枕流さん [映画館(字幕)] 7点(2011-08-19 00:02:38)
👍 2
28.みなさん本当に映像が美しかったですか?
僕にはテレビで放送している世界遺産系のドキュメンタリーの方が数倍美しいと感じます。
内容として言いたいことはわかるけど別のアプローチがあるんじゃないかと…。
ただ一緒に観に行った母が心が穏やかになれたと喜んでいたので+2点献上します。
ままごとさん [映画館(字幕)] 7点(2011-08-17 13:10:26)
27.たかが一家族のウダウダを、全宇宙の歴史にも匹敵するほどの一大絵巻だと位置づけてしまえるハッタリぶりと大風呂敷ぶりが、さすがテレンス・マリック。この人には、見る側への配慮のためにどうのこうのというのは一切似合わない。
Oliasさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-10 02:34:35)
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【点数情報】

Review人数 46人
平均点数 5.33点
024.35%
136.52%
248.70%
3510.87%
448.70%
548.70%
6510.87%
7919.57%
836.52%
948.70%
1036.52%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 4.66点 Review6人
3 鑑賞後の後味 6.80点 Review5人
4 音楽評価 8.20点 Review5人
5 感泣評価 7.33点 Review3人

【アカデミー賞 情報】

2011年 84回
作品賞 候補(ノミネート) 
監督賞テレンス・マリック候補(ノミネート) 
撮影賞エマニュエル・ルベツキ候補(ノミネート) 

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