映画『リンカーン』の口コミ・レビュー

リンカーン

[リンカーン]
Lincoln
2012年上映時間:150分
平均点:6.37 / 10(Review 57人) (点数分布表示)
公開開始日(2013-04-19)
ドラマ戦争もの政治もの歴史もの伝記もの
新規登録(2013-01-26)【放浪紳士チャーリー】さん
タイトル情報更新(2021-03-28)【イニシャルK】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督スティーヴン・スピルバーグ
キャストダニエル・デイ=ルイス(男優)エイブラハム・リンカーン大統領
サリー・フィールド(女優)メアリー・トッド・リンカーン
デヴィッド・ストラザーン(男優)ウィリアム・スワード国務長官
トミー・リー・ジョーンズ(男優)タデウス・スティーブンス
ジョセフ・ゴードン=レヴィット(男優)ロバート・リンカーン(大統領の長男)
ジェームズ・スペイダー(男優)W.N.ビルボ共和党議員
ハル・ホルブルック(男優)プレストン・ブレア共和党議員
ジョン・ホークス〔1959年生〕(男優)ロバート・レーサム
ジャッキー・アール・ヘイリー(男優)アレキサンダー・スティーブンス南部連合副大統領
ブルース・マッギル(男優)エドウィン・スタントン北軍長官
ティム・ブレイク・ネルソン(男優)リチャード・シェル
ジョセフ・クロス(男優)ジョン・ヘイ(リンカーンの秘書)
ジャレッド・ハリス(男優)ユリシーズ・S.グラント合衆国陸軍総司令官
リー・ペイス(男優)フェルナンド・ウッド民主党議員(奴隷制強硬賛成派)
ピーター・マクロビー(男優)ジョージ・ペンドルトン民主党議員(奴隷制強硬賛成派)
グロリア・ルーベン(女優)エリザベス・ケックリー(リンカーン家の家政婦、元・奴隷)
マイケル・スタールバーグ(男優)ジョージ・イェーマン民主党議員
ウォルトン・ゴギンズ(男優)クレイ・ホーキンス民主党議員
ルーカス・ハース(男優)兵士
デイン・デハーン(男優)兵士
ジュリー・ホワイト(女優)エリザベス・ブレア・リー(モンゴメリー・ブレアの娘)
デヴィッド・オイェロウォ(男優)アイラ・クラーク
アダム・ドライバー(男優)サミュエル・ベックウィス
宮本充エイブラハム・リンカーン大統領(日本語吹き替え版)
野沢由香里メアリー・トッド・リンカーン(日本語吹き替え版)
菅生隆之タデウス・スティーブンス(日本語吹き替え版)
小島敏彦ウィリアム・スワード国務長官(日本語吹き替え版)
稲垣隆史プレストン・ブレア共和党議員(日本語吹き替え版)
田原アルノ(日本語吹き替え版)
佐藤しのぶ【声優】(日本語吹き替え版)
長克巳(日本語吹き替え版)
大川透(日本語吹き替え版)
水内清光(日本語吹き替え版)
脚本トニー・クシュナー
音楽ジョン・ウィリアムズ[音楽・1932年生]
撮影ヤヌス・カミンスキー
製作スティーヴン・スピルバーグ
キャスリーン・ケネディ
製作総指揮ダニエル・ルピ
ジェフ・スコール
配給20世紀フォックス
美術リック・カーター(プロダクション・デザイン)
デヴィッド・クランク〔美術〕(美術監督)
衣装ジョアンナ・ジョンストン
編集マイケル・カーン
録音アンディ・ネルソン[録音]
ゲイリー・ライドストロム
字幕翻訳松浦美奈
スポンサーリンク

💬口コミ一覧

57.ネタバレ 見入るような面白い作られ方をしているかといえば、全く地味でオーソドックスな感じの映画だと思います。けれど、いくつかの登場人物たちから発せられる名セリフの数々が凄いなと、これほど人の発する言葉に魅了されたのは初めてかもしれません。歴史資料だけをもとに、これほどの印象的なセリフの数々が並べられるだろうか? これはきっと脚本家たちの並々ならぬ努力があったのではないかと…もし、そういうわけでもないならば、それらの言葉を現実に口にしたであろう歴史上の方々の生きる力の凄さといいますか、どう言っていいかわかりませんが、とにかく言葉が持ってる魂がパワフルなのです! 吹き替えで鑑賞しましたが、字幕でも観てみようと思います。吹き替えは、サリー・フィールドの声が「違うやろ~!」過ぎます。

「リンカーン知ってる知ってる、奴隷解放した人だよね」程度のバカ私に、この偉業を成し遂げるのにどれほどの難関と苦悩があり、どれほどの人々の努力と知恵と勇気が必要だったかを教え刻んでくれたこの映画を作ってくれたスピルバーグに感謝します。
だみおさん [DVD(吹替)] 9点(2015-02-05 21:55:15)
56.運命の投票が行われている議会の喧騒をよそに、“彼”は我が子を懐に抱え一緒に昆虫図鑑を読んでいる。
端から見ると、気が気でない心情を紛らわしているようにも見えるけれど、きっとその時彼は、本当に息子と図鑑の中の虫たちのことしか頭になかったと思う。
常に自分の目の前に置かれた物事に心血を注ぎ続けた人。エイブラハム・リンカーンとは、たぶんそういう人だったのだろう。

この映画を観て何よりも驚いたのは、「奴隷制度の撤廃」が成されたのは、奴隷制度を絶対的な違法と定める合衆国憲法修正第13条が、可決成立されたからに他ならないということ。

英雄的な大統領が「奴隷解放宣言」をしても、「自由」を謳う北軍が優勢に戦局を進めていても、憲法が改正されなければ、奴隷制度の完全撤廃には至らなかったであろう事実。
そして、この映画は、憲法改正を成さなければ、人種差別の根本は民衆から消え去る事無く残り続けるだろうことを見抜き、何としてでも憲法改正を推し進めた「偉大な政治家」の姿を描いていた。

そこには、“リンカーン”という固有名詞に対して人々がイメージするであろう聖人的な人物像は無く、時には「俺は合衆国大統領だ!」となりふり構わず最大権力を振りかざしてでも、己の信念を貫き通そうとする等身大の男の姿があった。

米国史に明るくないので、この映画の時代背景に具体的なイメージが付随しないのは残念に思った。せめて南北戦争の流れくらいは把握しておけば、もっとこの映画に登場する人物たちの一挙手一言動に感動できたかもしれない。

ただそうでもなくても、この映画が伝えるリンカーンという政治家が成した功績の重さと、彼の人間的な感情は充分過ぎる程に伝わってきた。
監督と主演俳優の功績はもちろん大きいが、この映画に携わった誰一人として手を抜いてないであろうことがびしびしと伝わってくることこそが最も素晴らしいことだと思う。

先だって観た「ジャンゴ 繋がれざる者」に続き、米国史における奴隷制度の実情を垣間見て、気持ちが悪いくらいの嫌悪感を感じ続けた。
そこに映し出された人間の残虐性は、決して米国に限ったことではなく、世界中の歴史の中で繰り返されてきたことであろうことに、更に虫唾が走る思いになる。
しかし、そう思えるということは、幾分なりとも世界が良い方向へ変わってきていることの証明でもあろう。
鉄腕麗人さん [映画館(字幕)] 9点(2013-04-29 23:13:47)
👍 1
55.ネタバレ 大変素晴らしい映画でした。巨匠になってなお、これだけ尖った主張の映画を作り続けるスピルバーグは本当に凄いとしか言えない。
基本的に派手なアクションは無く全編に渡って政治家達の舌戦が繰り広げられますが、まずこの会話劇が滅茶苦茶面白い!伏線も上手く貼っていて、ハイライトとなる修正第13条の決議当日とそれに至るまでの攻防はドキドキあり、驚きあり、笑いありで最高でした。黒人たちが当日に議事堂に入ってくる時にはホーキンス議員の顔芸のせいもあって思わずガッツポーズしちゃいました。そしてスティーヴンスが可決された修正第13条の原紙を手渡す相手がまた泣ける...
リンカーンは奴隷解放を実現するために下院で修正第13条を可決させようとしますが、南軍が疲弊し南北戦争が思いの外に早く終わってしまう危険性が浮上する。使節団が和平を求めているとなると、修正第13条を可決する意味が民主党側には薄れてしまう。何とか可決に導こうとする為に主人公はありとあらゆる工作を張り巡らせる。でもそうなるとある葛藤が生じてくる。いくら平等を勝ち取るためとは言え、政治に工作が行われても良いのか?ということです。スピルバーグはそんな彼を主人公として、ヒーローとして描きました。何故なら平等という名のもとには全てが優先されるから。
ある人はラディカルな政治運動による統治は絶対に為させるべきでは無いと思うでしょうし、その考え自体も間違いでは無いです。というか答えなんて絶対に出ない。それでも"人種差別の根絶は全てに優先する"という考えを私は支持したい。最近、ヘイトスピーチが公然と行われ言論の自由を盾に逮捕すらされない日本という国に住んでいる自分にとって主人公は紛れもないヒーローでした。
民朗さん [映画館(字幕)] 9点(2013-04-28 22:16:26)
👍 1
54.ネタバレ う~ん、以下のことしか言えません。憲法96条改正を声高に叫んでる人たちは、この作品観てからにしてね。安直に自分たちの主張を通す方法に邁進するより、出来るだけ多くの人の納得の上に立つ合意が必要だと150年前の米国人は言ってるわけですよ。その後時間的余裕があったら「声をかくす人」観てね、青臭い物語だけど正論だから。そうそうトミー・リー・ジョーンズが演じたスティーヴン、もうけ役だよね。でもよかった。
shintaxさん [映画館(字幕)] 9点(2013-04-22 20:47:03)
53.ネタバレ この演技を観たら、アカデミー会員なら誰もがダニエル・デイ=ルイスに一票を投じざるを得なかったんじゃないでしょうか。もちろんデータは公表されるわけないですけど、この三度目のオスカー主演男優賞を獲ったときのデイ=ルイスの得票率はさぞや高かったのでは。彼に歴史上の人物を演じることを禁止するルールを制定することを、今後ハリウッドは真剣に考えないといけないでしょう、そうしないと今後何個オスカーをかっさらわれるか想像もできません(笑)。 彼の演じるエイブラハム・リンカーンは、自分がタイムスリップして生のリンカーンを観ている様な錯覚さえ覚えるほどの説得力があります。そして特に自分が感じたのは、信念を持った政治家というのはこれほどカッコ良いものなのか、ということです。彼も決して聖人君子ではなくて、憲法修正13条を下院で通すためにはほとんど買収すれすれの裏工作まで行うし、国務長官など身内にも平然とウソをつきます。双方の兵士たちに犠牲が増えることも構わず、その為には南北戦争の終結を遅らせようとまで画策します。そう言ったある意味汚い政治家としての一面も含めて、スピルバーグは極めて冷徹なタッチでこの映画を撮っています。ラストの劇場もてっきり有名なリンカーンの暗殺を見せるのかと思いきや、観る方の緊迫感が十分に高まったところで「フォード劇場で大統領が撃たれた!」という叫びがあがりここは違う場所なのだと判らせるくだり、スピルバーグの円熟の技巧が冴えわたっていました。 急進派の共和党重鎮議員を演じたトミー・リーもデイ=ルイスに決して引けを取らない好演だったと思います。ラストで修正案が成立して家に帰りズラを外して黒人メイドとベッドをともにする、「あんたは最高の男だよ!」と思わず声をかけたくなるほどでした。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-16 23:31:28)
52.一見、地味な映画ですが中身はすごい人間ドラマでした。「人種差別」といういまだに解決出来ていない問題を真っ向から立ち向かった人々の軌跡を描いている。この時代「差別は間違っている」と堂々と言う事にどれだけに勇気が必要だったか。ましてや国会で取り上げるなど、本当に命がけの行為です。
観賞するにあたっては、ある程度の予備知識は必要とされる大人の映画。
まず、米国で一番傷になっている戦争は第二次世界大戦ではなく南北戦争なのです。生活している場が戦場になったのですから。
どれだけ奴隷が冷遇されていたか知るには「ルーツ」というドラマがお勧めです。
大統領という巨大な権力を持ったとして元は一人の人間。リンカーンの孤独と苦悩がひしひしと伝わってくるようでした。
しかし、なんといってもトミー・リー・ジョーンズの存在感がすごい。
「私はこの修正案を通すためならどんなにののしられようと構わん」
卑怯者と言われようがいくらでも泥をかぶってやる。これが本当の信念と覚悟ってやつですね。
自らのプライドを優先する人はただの見栄っぱりのお子ちゃまです。
派手な戦闘シーンやアクションなどをウリにしたチープな映画があふれかえる昨今、こういった良質の映画がもっと作られて欲しいな~と思います。
果月さん [地上波(字幕)] 8点(2016-04-16 21:54:00)
51.ネタバレ 南北戦争時代、アメリカで最も人気のあると言われた大統領リンカーンの最後の数が月をスピルバーグが描く。

用意された葛藤は並大抵のものではない。このまま不十分な内容の条件で戦争を終結させ大勢の兵士の命を救うのか。それとも人間の法の上での平等や尊厳を確実に法に刻むために現段階での戦争終結を引き延ばすのか。奴・隷解放宣言だけでは不十分だったリンカーンの人間的ドラマでもあり、その周辺の人間たちとのやりとりも含めたダイナミックな議会ドラマでもある。

ユーモアもあり人の心を持つリンカーンをダニエル・デイ=ルイスが熱演。少しシンシティのときのミッキーロークに見える(^_^;)

さて…そんな…とても見応えのある…本作ではありますが…。

もうね!トミーリージョーンズのヅラ頭に目がいっちゃって目がいっちゃってストーリーについていくのに必死になっちゃって(≧∇≦)

映画内でもトミーリージョーンズはヅラについて話題にします(^O^)/
後々ヅラとったりします。
議会での慣例とはいえ、あまりの似合わなさといつもの仏頂面に乾杯!
JFさん [DVD(吹替)] 8点(2015-09-13 23:26:29)
50.リンカーンの生涯を追ったものではなく、憲法の「修正法案」を通すことにほぼ特化した映画だった。
物語に入り込んでしまえば、とても素晴らしい作品だと思う。現実的な自由への意思をとても強く感じるし、何度も行われる主張や演説は心に響く。
評価が分かれるかもしれないが、かなり考えさせられる出来栄え。
simpleさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-10-11 23:52:20)
49.ネタバレ 真正面からの骨太な政治ドラマで、このような分野が好きな自分としてはすごく楽しめた。特に、大好きなトミー・リー・ジョーンズが演じるスティーブンスに強く、強く魅かれた。「妥協」すること「自分の信念を曲げる」ことがこんなに美しく感動的な場合があるなんて!
 確かに当時の情勢、アメリカの政治制度等、知識がないと楽しみにくい部分もあると思うが、そんなものネットで調べればいいだけの話で。
 自分は衛星放送等で放映される場合も、(実況したい場合は除いて)録画しておいたものを後で見ることが多いが、わからないこと、疑問に感じたこと、興味を持ったことはその都度調べながらの鑑賞です。
 それこそ映画を録画して見る際の大きな利点では?
2015年12月25日 再見
とにかく面白いと同時に、猛烈に好奇心を刺激される映画。
大は南北戦争の発端、経緯から小は裏切って投票した民主党議員一人一人の実際の人物像まで。
映画を見ながら、これほどいろいろなことを知りたくなるのも珍しい。
rhforeverさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-07-28 10:24:14)
48.2014.02/13 鑑賞。登場人物の多さとセリフのスピードに追いつけぬ。こういう歴史ものは好きだ。偉人と呼ばれる人の生き様が感動を覚えるとともに歴史の一端が良く解る。政治の駆け引き、醜さ、一方 信念と意思による強さと苦闘と孤独。2/3の賛成とは現在問題となっている憲法改正と同じとはビックリ!! 良く修正13条が通ったものだ。
ご自由さんさん [DVD(字幕)] 8点(2014-02-13 21:58:25)
スポンサーリンク
47.ネタバレ なんで伝記映画?と思ってたら、やはりスピルバーグは着目するところが違うね。前半は正直、しんどかった。何やら学習映画みたいな造りで、スピルバーグも自分の孫のためにこんなもん、創るようになったのか、なんて思ってた。でも修正案可決のために20人の議員抱き込みを開始するあたりから、何やら今まで観たことのない社会派映画だぞ!?なんて思ったら、こりゃ世界史史上最も影響の大きい法廷劇だったんだ~!!(感涙)暗い室内でのダニエル・デイ・ルイスのティラノサウルスみたいな目だけがやたら印象的で、感情移入しづらいなぁ、こりゃトミーリージョーンズの方がよっぽど親近感わくよな、と思ってたら、おやおや自分の子どもが戦場に行くなんて言い出して、それで戦争終わらせようとするの?こりゃ知らんかったなぁ、人民のためじゃないじゃん!突っ込みどころ満載の偉人伝かい!そこを政治の舞台裏や議案可決のサスペンスタッチなどあれこれ演出の天才スピルバーグは見事に料理して、我々に提供してくれた。やっぱり、この人、世慣れた天才じゃないかしら?と思わせて、さて次回作は?と思っちゃうんだよなぁ、まったく。
トントさん [DVD(字幕)] 8点(2013-12-29 20:12:41)
46.ネタバレ 日本人で且つ歴史に疎い自分は南北戦争と奴隷制廃止はセットだと思っていたが、そんなに単純な話ではなかったのですね。できればリンカーンの奥さんはもう少し綺麗な女優さんがよかったです。。。
kaaazさん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-10-13 23:16:50)
45.ネタバレ リンカーン=奴隷解放した大統領位の知識しかないので歴史的整合性等は分かりません。
てっきり彼の生涯を描くかと思ったが、実際は南北戦争終結間近から奴隷制度廃止までの1ヶ月がメインで、エピローグ的に終戦とそして・・・。
ストーリーは歴史好きなら特段驚くような内容ではないと思うが、それを演出している技術がとてつもなく高く、それによって構成されたシーン全てが、本作を形作るのに必要不可欠なモノになっており、それが150分ギッチリ詰っており本当に無駄が無い。
特に印象に残っているのが中盤の電文を送る所で、通信士と技術者との会話を終えゆっくりと立ち去るリンカーン、この時動いているのは彼だけだが、しばらくして技術者がゆっくりと立ち上がりながら後姿を見送る。魅力的な会話やストーリー的にもターニングポイントになるシーンなので視聴者がしっかり余韻を楽しめつつ、僅かな『動』を入れることでリンカーンがただ歩いているだけで尺が変に伸びてるように感じさせない作りになっていた。
他の箇所でも適度な間やベストなカメラアングル操作、BGMの挿入等あらゆる演出能力を駆使してグイグイ物語に引き込まれていきました。
主演の演者さんも外見や演技はもちろん、喋り方や声質等細かい演技にいたるまで『寛大大らかながら熱く固い意志を持った男』と言う本作におけるリンカーンのイメージにベストマッチしていた。
総評
ド派手なアクションやCG等大金を掛ければある程度の人間でもできてしまう様なものではなく(それが悪いとは決して言いませんし才能が不要とも思いませんが)、本当に映画を撮る上で必要な『技術』のみ(しかもとてつもないハイレベル)で勝負してきた作品。
戦争シーンや露骨に感動させようとするシーンも無く、スピルバーグの『俺の大好きなリンカーンを知って!!』と言う炎の様な熱意が伝わってくる傑作でした。
ムランさん [映画館(字幕)] 8点(2013-04-19 23:39:53)
44.ネタバレ 巨匠であるスピルバーグ監督。これだけの地位を作り上げても尚、新しいことにチャレンジしようとする姿勢には頭が下がる。おそらく彼にとって本作は、かなりの挑戦だったのではないか。その作風たるや、彼のこれまでの作品とは真逆である。スピルバーグ監督は、言葉より映像で語る作風である。しかし本作は、映像より言葉で語ろうとする。全編音楽が鳴り響くはずの彼の映画が、本作では音楽無しの場面が圧倒的に多く、付随しても実に控えめだ。露出過多で人工的な映像美が多かったこれまでと比べ、映像は自然な美しさを目指している。そして内容もまたベクトルが逆である。スピルバーグがリンカーンを映画化すると聞いて、リンカーンの一大歴史劇を期待して鑑賞した人も多かろう。しかし、そんな内容ではない。いわゆる、「スペクタクル」な要素を意図的に避けており、名言すらも本人には言わせない。リンカーンといえば奴隷解放宣言が有名だが、それはいわばただの言葉であって、実質的に意味があるのはその後の第13条修正にある。人々は政治に、理想や勧善、崇高さを求める。しかしリアルな政治の世界は、もっと泥臭く地味なものである。奴隷解放を実現するためには、理想だけでなく、それがきちんと機能するよう明文化しなければ意味がない。支持取り付けのために、あらゆる手を使って奔走しなければならない。それは英雄リンカーンとて同じである。ただただリアルに、現実そのものを、まるで記録映画のごとく写し取りたかったのだろう。民主主義はとても時間がかかるシステムだが、無秩序ではないのだ、というメッセージもよく伝わってくる。抑揚のない展開が続く中、一人一人賛成と反対を言う採決のシーンは本作一番の見せ場だ。
あろえりーなさん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-11-19 23:12:37)
43.ネタバレ 誤解を恐れずに言うとリンカーンと小泉元総理は似ている。お互いに抵抗勢力と戦ってきた政治家だ。「奴隷解放」と「郵政民営化」はスケールが違うかもしれないが、この映画を観ていると2人の政治家がやったことはやはり似ている。映画を観ていて一番印象に残ったのは、誰がリンカーンの敵なのか?という点である。味方の中に敵がいる。敵の中に味方を作る。そんな感じだが全体的に大統領は孤立無援だった。しかし国民が味方だった。小泉さんもそんな感じだった。自民党の党首なのに自民党の中に大勢の敵がいた。リンカーンも共和党の党首なのに同じ共和党のトミーリージョーンズとなぜか敵同士みたいな関係で描かれている。このへんは複雑だ。2人は同じ奴隷解放という目的を持っていながら急進派と現実派という違いがある。また共和党の中には、黒人という財産を手放すのが惜しい政治家も多い。いわば既得権益だ。郵政民営化を阻止しようとした連中も同じく既得権益を手放したくなかった。リンカーンも小泉さんもこんな腐った抵抗勢力たちと戦ったのだから偉いものだ。誰か郵政民営化を映画化してほしい。けっこうおもしろいと思う。政敵は亀井静香で。
花守湖さん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-16 19:39:17)
👍 1
42.ネタバレ 南北戦争も、演説も、凶弾に倒れる部分もなく、ひたすら、改憲による奴隷解放の政治的部分だけにテーマを絞ったことは面白いです。制作者の意図が分かりやすい。案外細かい仕草や、セリフに凝ったものがあったり、感情のやりとりなど案外楽しめました。
minさん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-15 21:30:08)
41.憲法修正13条をなぜ成立させなくてはならないのか。戦争に勝つことでも、そこでどんな崇高な理念を語るかだけでなく、その理想を一つの「しくみ」として「国」に根づかせなければ社会は本当には変わらないことを彼は強調する。そして、国に根付かせるために、ありとあらゆる政治的手段が駆使される。南北戦争はアメリカ合衆国がはじめて1つの「国(Union)」という意識を共有するきっかけになった戦争であり(それ以前は州(State)こそが「国」であり、合衆国は「国」が連なった「連邦」でしかなかった)、リンカンが「しくみ」にこだわったのは、それが一つの「国」をつくる作業であったからにほかならない。そこに注目したスピルバーグの慧眼。リンカンの偉人伝を聞かされて育ったアメリカの観客に訴えるだけでなく、「民主化」やら「憲法」をめぐってバタバタしている世界じゅうの国々にも明確なメッセージを持った作品だ。ただ、冷徹な政治劇の陰でちらちら姿を見せる「甘い」シーン(ラストのスティーヴンスのシーンはとくに・・)もスピルバーグらしい(イーストウッドならこうはいかない)。ただ、その「甘さ」のミックス度合いが今作にあっていたのかどうか。今作に限って言えば、音楽のジョン・ウィリアムズをはじめ、いつものスピルバーグ組のやり方が、今作で描こうとしていたことと微妙にずれていたような。それがテンポを悪くし、印象をぼやけさせてしまったように思う。
ころりさんさん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2013-07-15 23:31:49)
👍 1
40.ネタバレ リンカーンの映画と云われるとCG満載の南北戦争の派手な戦闘シーンや、超有名な名演説のシーンなどが必須のように思われるが、スピルバーグはそんなことはしない。この映画でのリンカーンは、夫婦喧嘩をし、官僚にヒステリーを起こし、票のために賄賂を出し、戦争をも利用する並以下の政治家である。奴隷制度という人種差別の根元を廃止した歴史的英雄は、圧倒的なスーパースターなどではなく、強い信念を持った我々と同じ凡人なのである。デイ・ルイスを中心とする圧巻の会話劇を淡々と続けることでそのことがより強調されているが、2時間半はさすがに疲れた。
ふじもさん [映画館(字幕)] 7点(2013-06-01 20:13:01)
39.ネタバレ 奴隷解放の下院成立にフォーカスした映画だったんですね・・CMだけの予備知識で観たので南北戦争全体が描かれるのかと思っていました。
それなりに見応えはありましたが、民主党と共和党の立ち位置が現在とは違い??としばらく混乱しました。
法案成立に向けてのリンカーンの執念が描かれていましたが、何故そこまで?という動機などには触れられていないので日本人が観ると完全には理解できないようにも思えました。
最初の歴史背景の説明はスピルバーグじゃなく池上彰ならわかりやすかったかも?(笑)
東京ロッキーさん [映画館(字幕)] 7点(2013-05-09 18:52:15)
38.ネタバレ 観賞のハードルを上げてしまう様で申し訳無いのだが、本作を楽しむにはアメリカ近代史のおさらいは必須、そうしないと睡魔に襲われかねない。
ダニエル・デイ=ルイスの演技はアカデミー賞受賞も納得の熱演。
誰も動いている本物のリンカーンを見た事など無いのに、恐らく世界中の人が彼の演技を見て「本物のリンカーンが居る」と思った筈。
トミー・リー・ジョーンズが奴隷解放の法制化に熱心な事が判る終盤のシーンも良い。
たくわんさん [映画館(字幕)] 7点(2013-05-06 11:31:26)
スポンサーリンク
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 57人
平均点数 6.37点
000.00%
100.00%
200.00%
311.75%
435.26%
5915.79%
62238.60%
7915.79%
8915.79%
947.02%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 Review0人
2 ストーリー評価 6.83点 Review6人
3 鑑賞後の後味 7.33点 Review6人
4 音楽評価 5.00点 Review1人
5 感泣評価 4.00点 Review1人

【アカデミー賞 情報】

2012年 85回
作品賞 候補(ノミネート) 
主演男優賞ダニエル・デイ=ルイス受賞 
助演男優賞トミー・リー・ジョーンズ候補(ノミネート) 
助演女優賞サリー・フィールド候補(ノミネート) 
監督賞スティーヴン・スピルバーグ候補(ノミネート) 
撮影賞ヤヌス・カミンスキー候補(ノミネート) 
作曲賞(ドラマ)ジョン・ウィリアムズ[音楽・1932年生]候補(ノミネート) 
音響賞アンディ・ネルソン[録音]候補(ノミネート) 
音響賞ゲイリー・ライドストロム候補(ノミネート) 
美術賞リック・カーター受賞 
衣装デザイン賞ジョアンナ・ジョンストン候補(ノミネート) 
脚色賞トニー・クシュナー候補(ノミネート) 
編集賞マイケル・カーン候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2012年 70回
作品賞(ドラマ部門) 候補(ノミネート) 
主演男優賞(ドラマ部門)ダニエル・デイ=ルイス受賞 
助演女優賞サリー・フィールド候補(ノミネート) 
助演男優賞トミー・リー・ジョーンズ候補(ノミネート) 
監督賞スティーヴン・スピルバーグ候補(ノミネート) 
脚本賞トニー・クシュナー候補(ノミネート) 
作曲賞ジョン・ウィリアムズ[音楽・1932年生]候補(ノミネート) 

■ ヘルプ