映画『永遠の0』の口コミ・レビュー(2ページ目)

永遠の0

[エイエンノゼロ]
2013年上映時間:144分
平均点:6.29 / 10(Review 102人) (点数分布表示)
公開開始日(2013-12-21)
ドラマ戦争ものミステリー小説の映画化
新規登録(2013-07-18)【マーク・ハント】さん
タイトル情報更新(2025-03-17)【イニシャルK】さん
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監督山崎貴
助監督マイケル・アリアス(米軍パート監督補)
キャスト岡田准一(男優)宮部久蔵(ラバウル航空隊・筑波海軍航空隊/零戦搭乗員)
三浦春馬(男優)佐伯健太郎(司法浪人)
井上真央(女優)松乃(宮部の妻)
濱田岳(男優)井崎(ラバウル航空隊・宮部小隊/零戦搭乗員)
新井浩文(男優)景浦(ラバウル航空隊/零戦搭乗員)
三浦貴大(男優)武田(宮部の教え子・筑波海軍航空隊/予備士官)
橋爪功(男優)井崎(余命わずかの入院患者)
夏八木勲(男優)賢一郎(弁護士・健太郎、慶子の祖父)
田中泯(男優)景浦介山
吹石一恵(女優)佐伯慶子(健太郎の姉・フリーライター)
風吹ジュン(女優)清子(宮部と松乃の娘・健太郎、慶子の母)
染谷将太(男優)大石(宮部の教え子・筑波航空隊/予備士官)
山本學(男優)武田(経済界の大物)
平幹二朗(男優)長谷川(元零戦搭乗員)
遠藤雄弥(男優)香川(予備士官)
斉藤とも子(女優)井崎の娘
上田竜也(男優)小山
駿河太郎(男優)
栩原楽人(男優)
古川雄輝(男優)
阿部亮平[1980年生](男優)
飯田基祐(男優)
須田邦裕(男優)
原作百田尚樹「永遠の0」(太田出版刊)
脚本山崎貴
林民夫
音楽佐藤直紀
作詞桑田佳祐「蛍」
作曲桑田佳祐「蛍」
編曲サザンオールスターズ「蛍」
主題歌サザンオールスターズ「蛍」
撮影柴崎幸三
製作市川南〔製作〕
島村達雄(共同製作)
阿部秀司〔製作〕(共同製作)
東宝(「永遠の0」製作委員会)
電通(「永遠の0」製作委員会)
ROBOT(「永遠の0」製作委員会)
白組(「永遠の0」製作委員会)
講談社(「永遠の0」製作委員会)
双葉社(「永遠の0」製作委員会)
朝日新聞社(「永遠の0」製作委員会)
ジェイ・ストーム(「永遠の0」製作委員会)
制作ROBOT(制作プロダクション)
東宝映画(制作協力)
配給東宝
特殊メイク藤原カクセイ(特殊メイクデザイン)
特撮山崎貴(VFX)
白組(VFXプロダクション)
渋谷紀世子(VFXディレクター)
美術上條安里
龍田哲児(装飾)
藤原カクセイ(特殊造形)
編集宮島竜治
録音藤本賢一
照明上田なりゆき
その他山内章弘(プロダクション総括)
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💬口コミ一覧

82.「私たちだけが特別なのではない」
映画のラスト、夏八木勲演じる主人公の祖父が秘めた真実を語り終えた後にそう付け加える。

特攻の美化だ、右傾化だなんだと、原作者の人間性も手伝って賛否の激しい作品であるが、結局この物語が最も伝えてくることは、その夏八木勲の台詞に込められていると思う。

軍人も、民間人も含めて、激動の時代を生きたこの国の総ての人たちが、悲しみも、怒りもひっくるめた「物語」を秘めて、その後の時代を何事もなかったように、耐え、忍んで生きてきたという事実。
この映画で綴られる物語はもちろんフィクションであるが、あの時代を生き、命を継いだ人たちがいたことは紛れもない事実であり、そのそれぞれの物語に対して否定も肯定もないと思う。

「戦争」においては、正義も不義もないことと同様に、それに関わった人間の行為においても、善悪の判別をつけることなど出来ない。
この物語において、生存者の“証言”によって異なる人物像が伝えられるくだりは、そのことをよく表している。

「戦争」は否定されるべきものだと思う。
しかし、ただただ一方的に偏った意見を聞き入れ、そのまま否定することも、安直で、それもまた危険なことだと思う。

あの時代を生き抜き、命を継いでくれた人たちそれぞれが語る言葉の意味を、今の時代の僕たちは今一度知り、考えていかなければならないのだと思う。


原作の時点で賛否の激しい作品ではあったが、個人的にはそれほど偏った思想を感じることはなく、むしろ生存者の証言という要素を軸にした中立的な物語だと思った。また戦争という悲しみを孕んだ物語ではあるが、構成として娯楽性の高い作品だとも思った。
「証言」を軸にした物語構成は、人気バラエティ番組「探偵ナイトスクープ」を手がけた放送作家らしい作品だとも思う。

山崎貴監督は、彼自身の最大の武器であるVFXを存分に活かして、このベストセラー作品の映画化を成功させている。
主題ともいえる“零戦”が飛び交う交戦シーンの迫力とクオリティーの高さは、間違いなく国内最高レベルであり、この作品に相応しい映像としての説得力を備えられていた。
それは、凡庸なドラマパートの演出力を補って余りある総合的な演出効果だったと思う。

キャストにおいては、“証言者”である老人たちを演じたベテラン俳優陣が皆さすがの味わい深い演技を見せてくれる。
ただここはやはり、主演俳優である岡田准一の熱演を特筆したい。
人々の記憶の中にのみ残るある意味人物像が定まらないキャラクターを、熱く、真摯に演じきって見せたと思う。
この俳優には、所属事務所の枠を越えて、今後もっと幅広い役柄を演じていってほしいと思う。


ついに特攻に赴く時、エンジンの不調を察知した主人公は一寸安堵のような表情を浮かべる。
やはり彼は、どんな心情であっても、どんなに無様であったとしても、最後まで生き残る道を模索していたのだと思う。

戦後70年。実際に、生きて、残った命の価値と、彼らが継いでくれた命の意味を、改めてよく考えていきたい。
鉄腕麗人さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-08-16 20:02:10)
81.ネタバレ 「逃げ回っていた」「臆病者」と言われた祖父の本当の生き様は、それらとは全く異なるものであり、誰よりも戦争の無意味さを説いていたと思う。一方でこの物語の最大の鍵である「何故、宮部は特攻を志願し、死んだのか?あれほどまでに生きろ!と説いたのに…。」ということについては、自ら指導した教え子たちが特攻などで死んでいくことに対する慚愧の念に堪えず、さらに最後に見せた微笑みは教え子に対する贖罪として死を迎えることができることの表れと捉えた。

戦争の酷さ、死んでいった者への贖罪、殺した者への悔恨、残された者の悲惨さそして悲しみなど多くの思いが散りばめられた作品だと思う。宮部教官に伝える言葉があるとすれば、あなたの孫をはじめ家族にはあなたの生き様そして伝えたかったことの多くが伝わりましたよ、ということか。
黒兵衛さん [地上波(邦画)] 8点(2015-08-01 17:50:31)
80.ネタバレ 原作未読。TX系のドラマ版を見て、映画版が見たいと思っていたところで劇場版がテレビで放映されたので見ることが出来ました。
この映画を見る自分の心の中ではゼロ戦に対する背景があり、9歳の時にいきなり堀越二郎の「零戦」を読んでしまった→坂井三郎の「大空のサムライ」も読破。当然プラモデルで作る飛行機はゼロ戦が多くなる→中学時代、軍事雑誌?の「丸」買い漁る。書店の主人に「君はよく丸を買ってくれるねぇ」と、戦争を知っている世代の方に褒め?られるこの頃はゼロ戦無敵と思っている→長い時を経て中年になる(笑)→ゼロ戦は実は書籍などで活躍したと書かれていたのはだいぶ事実とは異なるとインターネットで知ることになる。その他様々な情報が過去の過度に賞賛された内容を書き換えていく。→いい歳になってやっとパイロットの気持ちや一兵卒の気持ちを考え始める。→それでもゼロ戦は日本のサムライを体現したようなものだと思い続ける。→ここで「永遠の0」登場。
特攻隊の関連の情報はかなり見た。 この映画に出てくるような人もいたことだろう。うまく言えないがいろいろ思うものはたくさんあります。 映画としては、岡田准一がこれほど出来るとは思っていなかった。 語り部の戦争経験者の方々の演技も素晴らしい。 三浦春馬も言うほど悪くはない。 少々オーバーな演出、演技もあるが自分の中ではOKです。 こういう映画の形でも構わないからこれからの若い人たちにもいろいろな形で当時の事を知ってほしいなと思わせる作品でした。
ゆたろさん [地上波(邦画)] 8点(2015-08-01 15:53:25)
79.ネタバレ 第二次世界大戦で零戦特攻隊に志願し戦死した祖父を姉弟が調査する中
明らかになっていく人となり、そしてその死に真相が浮かび上がってくる。
小説を読んでたので映画は楽しみにしていましたがやっぱり面白いですね。
Dry-manさん [映画館(邦画)] 8点(2015-02-14 02:24:02)
78.ネタバレ 天皇陛下万歳、大日本帝国万歳。と死んでいく人ってどれくらいいたんだろう。誰もが日本を守りたいという一心で命懸けで戦ってくれたのだと思いますが、死ぬ時は、妻の事、子供の事、両親の事、を思っておられたと思います。
主人公は人一倍そうだったはずなんだけど、あのラスト、どう思って死んでいったんだろう・・・。特攻を志願した理由も・・・・。強い心の持ち主が、心が折れた時。そういう描写がまた良かったです。
アキラさん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2014-08-24 11:25:06)
77.ネタバレ  永遠って普通は∞をイメージする。ゼロは無・帰らない人。だけど、ゼロなのに永遠。妻と子のために生き延びようとした男は、帰らなかったけどその思いは永遠だった。さらにそれは孫の青年たちへ引き継がれ。「永遠の命」なんていう、ちょっと小っ恥ずかしい言葉を思い出した。
 良い映画だ。
Tolbieさん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-19 19:47:03)
76.ネタバレ 激戦の太平洋戦争最中、特攻の空に散った日本海軍一の臆病者・宮部久蔵の足跡を追究します。そんな宮部がなぜ特攻隊を志願し、散ったのかー宮部の孫が宮部の戦友たちに突撃取材を敢行。「生まれ変わってでも戻ってくる」、それがこの作品の全て。2013年の人気小説が原作で、デキすぎた戦争ドラマですが日本人なら万人感じ入るでしょう。監督はオールウェイズシリーズの山崎貴。2014年の大河ドラマ主演の岡田准一が好演。2013年最後の映画観賞にして傑作。
獅子-平常心さん [映画館(邦画)] 8点(2014-01-11 01:50:38)
75.ネタバレ 原作は「命を惜しむ戦闘機乗り」というこれまでに描かれなかった異色のキャラクターを主軸に、現代ともリンクさせた家族愛や同志愛、さらにはミステリー要素も盛りまれ、その底流にゼロ戦や、太平洋戦争史といったミリタリー面からのアプローチを誠実に描いたところに秀逸さがある作品だが、本作はまずこうした原作に対する監督のリスペクトがしっかり感じられる作品とはなっている。特に歴史考証がしっかりなされた衣装やセット(戦後のバラック小屋などは地味だが手抜きをせずに作っている等)に加え、本作の面目躍如はリアルな空戦シーンなど、監督がこだわったであろうシーンもVFXの進化によって過去にないレベルで再現されている点だ。反面、現代パートは定点での取材シーンが中心のため、画面に動きをつけるのは難しかったと想像されるが、ベテラン俳優の演技力がしっかりそれをカバーしていたと思う。特に本作が遺作となった夏八木勲は味のあるいい演技を見せている。もし宮部久蔵なる人物が実在していて、その史実に基づいたフィクションとして製作され、エンドロールで実際の写真が映し出されたと想像すればおそらく嗚咽クラスの感動があったかもしれないが、作中でも語られていたように、戦争で死んだ人、生き残った人にも、それぞれのドラマがあったことを改めて想起させてくれる点で、この作品が平和な時代に生きる私たちに有益なメッセージを投げかけていることは間違いない。
田吾作さん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-28 20:46:44)
👍 1
74.ネタバレ 「今を感謝」込められたメッセージを感じた。原作者は映画化の話を何度も頂いていたが断っていたという。しかし今回の脚本を観た時にこれはと思いOKを出している。最近のアニメのリメイクなどに見られるこれを本当に原作者がOKだしたのか?と思えるような作品が多い中、本当にいいものに仕上がっていると感じた。私の叔父も特攻隊で亡くなっている・・・何か哀悼の思いが湧き出て来て涙が止まらなかった。気が付けば2夜連続劇場に足を運び観ていた。会ったこともあまり話を聞いたこともない叔父ですが何故か私との因縁を感じる。かつて広島に住んで居た時に江田島術科学校に見学に行った時、叔父の名前を碑に刻まれているのを観た時感慨深かった。戦争がどうのこうのなんていう奇麗ごとはその時代通用しなかったと思う。今だってそう思う。絶対にやってはいけない・・・と言っても私たちの世界でどうこうなる問題でもないように思うし、また世界が「今に感謝」を取り戻せばそれも回避出来るのではと感じる。離婚したり自分の家庭や学校、職場も平和に出来ない世の中である。これは価値観の違いからそうなると思う。それが世界レベルになればそれこそが戦争の火種では・・・それなのに戦争問題になると色々言うことに矛盾を感じる。「感謝がなくなると当たり前になる」これは先般の震災で学んだこと。そんな中普通でいる。家族がいるなど当たり前のことがそうではないんだということに思いを致さねばと思います。物が豊かになり便利になった今、心を更に豊かにするべきだと私自身反省しました。先人達の「愛国の志」に感謝と敬意を表します。
レスポーラさん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-28 01:11:30)
73.ネタバレ 原作を読んでいないので、戦争末期の上官と部下、2人の祖父の関係とそれぞれの思いが見えてきた時はやはり感動しました。

原作から省略されている部分もあるのだろうけど、家族のために生きて帰ることにこだわっていた宮部がなぜ特攻に志願することになったのか。その心の軌跡も十分感じることができたし、敵艦に辿り着くこと無く特攻機が次々に撃ち落とされていくシーンは、戦争の虚しさを感じざるを得ないと共にその迫力は映画ならではものであり、映画館で見て良かったと思えました。

2人の孫がもう1人の祖父の実像に迫ろうとする中で出会う、かつて宮部の戦友や部下であった老人達を演じるベテラン俳優陣、特にヤクザの親分役の田中泯の凄味のある存在感。別れ際にかつての戦友の孫と抱き合うシーンは、彼が宮部をどう思っていたのかが伝わってくる感動的なシーンでした。本作の最終番で語られる、終戦間もなくの時期に宮部の妻が襲われた際に、日本刀を持って助けてくれたという男。これが誰だったのか明確な答えは出されませんが、それで十分ないいエピソードの挿入でした。

2人の孫に全てを告白する、今年お亡くなりになった夏八木勲さんの姿にも感動しました。もう1人の祖父の実像に迫ろうとするミステリーでもあり、戦時中と今、時を越えて繋がる男の友情や家族愛のドラマでもある。2時間半近い長尺ですが、長さが気にならない中身の濃い映画でした。
とらやさん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-26 20:23:05)
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72.ネタバレ 最後の米兵の回顧がない所、姉の恋人が出てこない事、いくつかのエピソードは省かれましたがほぼ原作のエッセンスは盛り込まれたつくりでした。CGも素晴らしく迫力があり満足です。泣き所はそれほどありませんが、完成度の高い映画に仕上がっていました。ヤクザの家での三浦君はちょっとオーバーアクト?な部分などいくつか気になる点はありますが十分楽しめる映画でした。この上映時間を長く思わなかったのが何よりの証拠ですね。
東京ロッキーさん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-22 01:45:06)
71.不謹慎な表現だが、美しい。
TERUさん [インターネット(邦画)] 7点(2025-03-14 21:33:06)
70.2017.06/01 BS鑑賞。肝心の宮部と景浦の関係が描ききれていない。青年時代と老人時期キャスティングがアンマッチ。でも結構お涙もあり楽しめたし俳優陣も充実。
ご自由さんさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-06-02 00:16:17)
69.ネタバレ  「上手い」と感じる部分と「ズルい」と感じる部分とが混在しており、評価が難しい一品ですね。

 まず、本作はフィクションであるはずです。
 にも拘らず、さながら事実をそのまま映像化したような印象を与えてしまう。
 これは創作物として非常に優れた点であると同時に「現実と虚構の区別をつかなくさせる」作用も大きく、純粋に「映画」として楽しむ事を妨げているようにも思えました。

 実質的な主人公である宮部久蔵というキャラクターは、非常に魅力的ですね。
 軍人でありながら命を惜しみ、誰にでも敬語で礼儀正しく接して、端正な顔立ちの二枚目。
 大人しくて卑屈な性格かと思いきや、仲間の尊厳が踏み躙られた時には上官に反抗だってしてみせるという、正にフィクションだからこそ許される存在。
 この映画のタイトルに「実録」なんて付いていようものなら(これ、絶対美化しているよね?)と疑ってしまうのは避けられなかったはずです。
 積極的に戦争に参加していないくせに、実は凄腕のパイロットであるという矛盾した一面も良い。
 同僚と「模擬空戦」を行い、瞬時に相手の背後を取って、鋭い眼光で睨み付けている時の姿なんて、とても格好良かったです。

 上述の「ズルい」部分に該当する話でもあるのですが、この映画って「戦争は良くない」という基本スタンスでありながら、空戦シーンは非常に面白く撮っていたりするのですよね。
 主人公が零戦を宙返りさせる姿にも、思わず見惚れてしまうような魅力があり、そういった意味においては「軍人に憧れる子供」を生み出してしまう可能性はあるかも。

 その一方で「上手い」と感じたのは、作中において大きな謎である「何故、命を惜しんでいたはずの宮部が特攻したのか」に対して、明確な答えを出さなかったという事。
 作中の情報から推測する限りでは、教え子達が次々に特攻して死んでいくのに、自分だけが生き延びるという罪悪感に耐えられなかったからだと思えます。
 ただ、自分としては、この「理由を知りたいのに決して知る事が出来ない」という現象が「何故なら、その人は死んでしまったから、訊きたくても教えてもらえないのだ」という答えに繋がっているようにも感じられたのですよね。
 恐らくは戦争行為における最大の喪失であろう「人の死」が「決して明かされる事のない謎」を生み出してしまったという、何とも悲しい結末。
 だからこそ、特攻していく宮部の姿を最後までは描かず、不思議な笑みを浮かべさせたまま、戦死の直前で終わらせたのだと思われます。
 一度死んで0になってしまったものは、永遠に0のまま、1には戻らない訳です。

 面白いというか、少々意地悪なユーモアを感じられたのは、現代パートにおいて宮部の孫が「特攻と自爆テロの違い」について語る場面。
 ここは作中の流れを踏まえて考えれば「特攻は無差別に民間人を狙ったりしない。空母だけを狙うのだから、自爆テロとは違う」という結論で終わらせても良かったはずなのです。
 けれど、本作においては議論の相手から「昔の日本軍を美化して考えるのは、今現在の自分に不満があるがゆえの逃避行動だ」という指摘が行われており、結局それに対して宮部の孫は反論出来ず、大声で怒ってから逃げ帰るというストーリーにしている。
 この「特攻を美化して話す人間の格好悪さ」を、意図的に描いているような辺りは、良いバランスだなと思えました。

 山崎貴監督は、基本的には好きな監督さんですし、本作においても家族愛を軸に据えて、万人が感動出来るような形に仕上げてみせたのは、実に見事だと思います。
 ただ、どうも演出過剰な面もあり、ラストに零戦の幻影を見るシーンなんかは、それが悪い方向に作用してしまった気もしますね。
 あそこは、もう少し静かに余韻を残して、平和になった現代の姿を映し出すだけでも良かったかも。

 その一方で、過剰だからこそ良いと思えたのは、宮部の戦友である景浦が感情を発露させる場面。
「特攻がどんなものか、見ていますよね?」
「殆ど敵艦に辿り着けていないって!」
「殆ど無駄死にだって!」
 と訴える姿には、大いに心を揺さ振られるものがありました。
 もし、この映画に何らかのメッセージが込められているとしたら、それはこの叫びに尽きるのではないかな、と思う次第です。
ゆきさん [DVD(邦画)] 7点(2016-08-11 19:58:46)
👍 1
68.ネタバレ 原作者は好きじゃないので、叩く気満々だったけど、いい映画だった。岡田准一もよかった。これがヒットしたのは納得できる。【ネタバレ注意】後半の展開はバレバレとはいえ、だからこそ最後のどんでん返しみたいにせず、早めに話をもってきているのがよい。“明らかにはされない”最後のオチもいい感じだった。戦闘シーンも映像の迫力を追いかける感じではなく、しかし不自然ではなかった。「自爆テロと違うんだ」というくだりは気になったが、決して戦争や特攻を美化しているようには見えなかった。なんで原作者は、ああなんだろうね。
mohnoさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-03-14 18:05:23)
67.ネタバレ この映画のテーマは継ぐということではないでしょうか。戦争を体験した世代から戦時はおろか戦後さえ知らない世代にかつてこの国が戦争をしたのだという事実を継ぐ。戦争を体験した世代が時代とともにどんどん減っていきそれに伴い、国もどんどん変わってきました。それは決して悪いことではなく、個人的には良いことだと思います。ただ、まだしばらくは戦争について次の世代に継いでいく必要があるのかなと思います。誰かが語り継がなくとも少なくともこの映画が戦争のある側面は語り継いでくれるでしょう。
いっちぃさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-11-13 18:10:59)
👍 1
66.ネタバレ 戦後を積み重ねて70年。
継いでいかないといけませんね。
作品としても、興味深く観れました。
演者、演出が巧みだったと思います。
ろにまささん [地上波(邦画)] 7点(2015-08-25 13:49:34)
👍 1
65.この映画については、賛否両論あるのと、原作者の発言が物議を醸しだしているのとで、見るべきかどうか悩んだが、そうした先入観抜きで、かつ原作未読で見れば、まあまあよくできた反戦映画だと思う。つっこむ点はいろいろあるが、そうした点に目をつぶればそこそこ良い映画。やっぱり戦争はよくないなと改めて思える。
チョコレクターさん [地上波(邦画)] 7点(2015-08-08 15:31:30)
64.ラストの宮部の大活躍に素直に泣けました。岡田准一さんが好演でしたね。当時の日本人としての、そして上官としての宮部の複雑な思いを見事に演じてらっしゃいました。夏八木勲さんの位置付けは冒頭から何となくわかってしまいましたので、劇中の孫ほどは驚きませんでしたが、家族ヒストリーとして素敵なお話でした。全体的にただ1ヶ所、、、ラスト近くの孫:佐伯健太郎の勝手な回想&現代パートにアレが登場するシーンは頂けなかった。非常に残念なシーン、一気に冷めてしまいかけた。その後の宮部の大活躍で持ち直しましたけれど。三浦春馬くんは嫌いではないのですが、役によって合わない時がありまして、今回は合わなかったかなぁ。個人的には新井浩文さんと田中泯さんが演じる景浦が印象に残りました。
movie海馬さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-03 21:48:21)
63.岡田准一は存在感があり、良い演者だなぁと感心しました。
初見時は涙腺が緩んでしまいましたが、サザンの唄でガックリ興ざめ…orz(サザンファンの方ごめんなさい)。
メッセージ性が強いこのような映画では、歌詞付きテーマ曲(しかもイロモノ系)って、本編を台無しにすることがあるので勿体ないです。
Fatboyさん [DVD(邦画)] 7点(2014-12-11 05:16:22)
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【点数情報】

Review人数 102人
平均点数 6.29点
010.98%
132.94%
243.92%
343.92%
454.90%
51413.73%
61514.71%
72524.51%
82019.61%
965.88%
1054.90%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review6人
2 ストーリー評価 6.33点 Review12人
3 鑑賞後の後味 6.72点 Review11人
4 音楽評価 5.60点 Review10人
5 感泣評価 6.27点 Review11人

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