映画『かぐや姫の物語』の口コミ・レビュー(2ページ目)

かぐや姫の物語

[カグヤヒメノモノガタリ]
The Tale of Princess Kaguya
2013年上映時間:137分
平均点:7.19 / 10(Review 113人) (点数分布表示)
公開開始日(2013-11-23)
ファンタジー時代劇アニメ小説の映画化
新規登録(2013-07-23)【鉄腕麗人】さん
タイトル情報更新(2023-05-24)【イニシャルK】さん
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監督高畑勲
朝倉あきかぐや姫/女官
高良健吾捨丸
地井武男
三宅裕司翁(一部代役)(特別出演)
宮本信子媼/語り
高畑淳子相模
田畑智子女童
立川志の輔斎部秋田
上川隆也石作皇子
伊集院光阿部右大臣
宇崎竜童大伴大納言
中村七之助(二代目)御門
橋爪功車持皇子
朝丘雪路北の方(友情出演)
仲代達矢炭焼きの老人
クロエ・グレース・モレッツかぐや姫(英語吹き替え版)
原作高畑勲(原案)
脚本高畑勲
坂口理子(脚本)
音楽久石譲
東京交響楽団(演奏)
作詞二階堂和美「いのちの記憶」
高畑勲「わらべ唄」/「天女の歌」
坂口理子(脚本)「わらべ唄」/「天女の歌」
作曲二階堂和美「いのちの記憶」
高畑勲「わらべ唄」/「天女の歌」
主題歌二階堂和美「いのちの記憶」
製作氏家齊一郎
奥田誠治(製作担当)
スタジオジブリ(「かぐや姫の物語」製作委員会)
日本テレビ(「かぐや姫の物語」製作委員会)
電通(「かぐや姫の物語」製作委員会)
博報堂DYメディアパートナーズ(「かぐや姫の物語」製作委員会)
三菱商事(「かぐや姫の物語」製作委員会)
東宝(「かぐや姫の物語」製作委員会)
高井英幸(「かぐや姫の物語」製作委員会)
島谷能成(「かぐや姫の物語」製作委員会)
市川南〔製作〕(「かぐや姫の物語」製作委員会)
ウォルト・ディズニー・ジャパン(「かぐや姫の物語」製作委員会)
製作総指揮フランク・マーシャル(英語吹き替え版)
企画鈴木敏夫
プロデューサー西村義明
制作星野康二
スタジオジブリ
配給東宝
作画百瀬義行(特任シーン設計)
安藤雅司
小西賢一(作画監督)
大杉宜弘(原画)
森田宏幸
タツノコプロ(作画協力)
日本アニメーション(作画協力)
古屋勝悟(原画)
美術男鹿和雄
編集小島俊彦
録音東京テレビセンター(音響制作協力)
浅梨なおこ(音響監督)
その他スタジオジブリ(提携)
日本テレビ(提携)
電通(提携)
博報堂DYメディアパートナーズ(提携)
三菱商事(提携)
東宝(提携)
久石譲(指揮・ピアノ)
高畑勲(劇場公開時キャッチコピー【ノンクレジット】)
太田光(DVD・ブルーレイ用キャッチコピー【ノンクレジット】)
IMAGICA(デジタルラボ)
種田陽平(協力)
読売新聞社(特別協力)
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💬口コミ一覧

93.期待した以上によかった、絵もよかった
マンデーサイレンスさん [DVD(邦画)] 9点(2015-01-09 22:41:32)
92.ネタバレ これは単に闊達な少女の喜怒哀楽や生き様を描いただけの娯楽作品ではない。人間の本質とは何かを問う、高畑勲の人間観を世に突き付けた作品だ。高畑がこの作品を通じて強調したのは、人が自由を求める心、欲望、極端に言ってしまえば「煩悩」の肯定である。この映画には幾つもの高畑解釈・オリジナル要素が挟まれているが、つとに「友達と野山を駆け巡った幼少期の楽しい思い出」が姫の心、作品全体を支配する。姫の「自由への渇望」を強調するためだ。籠の中の鳥となった姫は、終始人の世の煩悩に振り回される。養父の上昇志向、男達からの求愛、そして帝に迫られる(男の直接的な煩悩に触れる)や、ついに現世=地球での暮らしを疎ましく感じてしまう(この時の姫のゾッとする表情がまた秀逸)。これが月の世界=極楽浄土帰還のスイッチとなる。月から迎えに来る王が釈迦の姿をしていたりと、仏教義への痛烈な皮肉が垣間見える。煩悩にまみれ穢れた人の世=地球に憧れた罪により、人の煩悩に苛まれて生きる罰を与えられた姫は、しかし最終的に自らの煩悩を肯定する事になる。男達からの求愛を尽く退けてきた姫が唯一グラついたのが「駆け落ち」の勧誘だった。「ここではないどこかへ行き二人で暮らそう」との言葉に、自由を求める姫の心は一瞬揺らぐが、それまで姫を肯定し続けた養母に珍しく阻止される(これは駆け落ちなど大概上手くいかないという年長者からのアドバイスであり、倫理観によるものではない)。しかし幼馴染みのイケメン青年と再会するや、彼が妻子持ちであるにも拘らずあっさり駆け落ち宣言。もちろんこれは幻想に終わるが、姫は初めて女としての欲求を素直に表現し、不倫という不道徳な願望=煩悩を抱いた。「人の世は穢れてなどいない」と力説する姫の言葉は、高畑自身が叫ぶ人間賛歌ではないだろうか。自由を求め、欲求を抱く事こそが人間の本質である、と。こうして原文「竹取物語」にて描かれていない姫の「罪と罰」を明確にした点がこの作品のテーマであると同時に最大の見所・魅力である。
にしきのさん [映画館(邦画)] 9点(2014-02-19 02:44:10)
👍 1
91.ネタバレ この「かぐや姫の物語」は、「ナウシカ」や「ラピュタ」に拘ることをしなければ、
正に「ジブリの最高傑作」といえる内容だったと思う。
西洋ファンタジーが好きな自分としては「ナウシカ」「ラピュタ」の方に軍配が上がるが、
後期ジブリアニメ勢の中では紛れもなく最高傑作であると思う。
アニメの原点に立ち返り、高畑勲のテーマでもあるだろう古き良き日本の美というものを見事に観客に伝えている。
線や絵はジブリらしくないが、見事に「ジブリの原点回帰」を果たした作品だと思う。
正直、宮崎駿の集大成「風立ちぬ」は(作品としてはいいが)彼らしくなく煮え切らず、実はまた宮崎駿は新作を構想中なんだろうなとひそかに僕は思っているが、
高畑勲の集大成「かぐや姫」は燃え尽きた感があり、彼の作品のファンでも納得のいく集大成だったと思う。
平凡な日常の仕草が丁寧に優しく描かれていて感動を覚える。そこに愛があふれているようだ。
日本昔話のような内容ではあるが、そこで勝負した結果彼の才能が前面に出たと思う。
絵の細かいところは省いてあるが、筆の強弱で感情や動きが表現される。
これが効果的で、誰もが楽しめるアニメは絵を細かくすればいいとか、
色をたくさん使えばいいとか、そういうのとは程遠いところに答えがあるのかもしれない。
このアニメーションの美しさは「沢山のスタッフを使って豪勢に作ればいい」とかいう次元のものではない。
そして監督の作品に対する愛情が伝わる。「風立ちぬ」よりも。
「風立ちぬ」よりも「アニメで表現できることは何か」をよく考えられていると思う。
淡い色遣いの中に激しく感情揺さぶられたり儚かったりいろいろなものが込められてるが、あくまでもシンプルであるというのが良い。
シーンのいくつかのぶつ切り感はあったと思うが作品のクオリティに変わりはない。
しかしほんとに高畑勲監督と宮崎駿監督はライバルなんだろう、
宮崎駿「風立ちぬ」のタイトルに「の」が入ってないと思ったら、
高畑勲の「かぐや姫の物語」にはちゃんとタイトルに「の」を入れてきた。

最後の最後で高畑勲は宮崎駿を大きく超えてきたようだ。
ゴシックヘッドさん [映画館(邦画)] 9点(2014-02-13 21:05:11)
90.ネタバレ エンドロールまでが作品。急に成長するかぐや姫、その成長のきっかけがいちいち日本の美点。育て親もその点を涙ながらに喜ぶも、その喜びを再度、エンドロール直前で思い出すとは。良いと思っている時代に戻りたい、そんな思いが届かず、しかし残っていてほしいと願う姫のはかないものがたり。はかないとここに書きながら、はかないと自身を思えることってそう無いよね。傑作。
元祖さん [映画館(邦画)] 9点(2014-01-31 23:02:35)
89.ネタバレ いやこれ完全に傑作でしょう。単純なストーリーなどではなく、言いたいことを読みとるのが楽しい系の映画。ぜひ原作(という呼び方で良いのかこの場合?)を読んでから観ていただきたい作品です。本作の構成の上手さがわかります。ストーリー自体はほぼ原作通り、①翁が竹からかぐや姫を発見、育てる②5人の皇子と帝がかぐや姫に求婚する③月に帰るという3本柱ですが、本作はこれにプラスしてかぐや姫が成長する過程が描かれる点が原作と大きく違う。すなわちかぐや姫が山での暮らしで自由や喜び・楽しさ・愛を知る描写。しかし都に出るとそれらは一転、自由が無く、喜びも楽しさも愛すらない現実の辛さを思い知る。小さな庭を作ったり「じっと我慢すればいずれ春が来る」と信じたが、所詮は誤魔化しに過ぎなかった・・・。

 「姫の犯した罪と罰」というのがキャッチコピーというのは鑑賞後に知りましたが、なるほどものすごく納得しました。かぐや姫はかつて月で「地球に好奇心を持つ」という罪を犯した。それゆえ「地球で生きる」という罰を受けた。何も思い悩むことのない無色の月で生きず色どりあふれる地球で生きることがどんなに辛く苦しいことかをかぐや姫に思い知らせること、それが罰だった。

 しかしそれでもかぐや姫は地球で生きたいと願った。どんなに辛く苦しいことがあろうと「生きていたい」と願った。

 最後のシーンの羽衣がかけられた時のかぐや姫の一瞬の表情の変化と、背景が白黒になる描き方は素晴らしかった。「色どり」から「無色」へ。感情を失ったにも関わらず最後にかぐや姫が流した涙にこそ、この映画の言いたいことが込められていると思います。
 ・・・と、なんか感想じゃなく考察(しかも浅い)になってる気がしなくもないですが・・・とにかく、素晴らしかったです!
53羽の孔雀さん [映画館(邦画)] 9点(2014-01-29 23:10:48)
👍 1
88.ネタバレ 竹取物語のストーリーはうろ覚えだがもちろん知っている。何をいまさらアニメにするのかと、半信半疑で観た。観終わって、私が知っている古典のほうは、こんなにも生きることと死ぬことに肉薄した内容だっただろうか、と驚いた。近年ない感動だった。風立ちぬ本編の前に流れたこの作品の予告編で不覚にもぼろぼろ泣いてしまったが、それがなければおそらく観に行かなかったかと思う。近くに座っていたうるさい子供も「かぐや姫の死」(と私は捉えた)にはさすがに黙った。すべての人の心に訴えかける、そういう映画なのだと思う。
よーちーさん [映画館(邦画)] 9点(2014-01-23 18:01:09)
87.ネタバレ アニメーションもここまで来たかという圧巻の芸術性に痺れました。
非オタク向け、非スイーツ向けのアニメとしては最高でしょう。
例えば、美術館に行って絵画を楽しめる程度の、文化的リテラシーがある大人なら間違いなく楽しめる作品ですし、子供が見ても充分面白いでしょう。
あえて減点ポイントを上げるならば、最大の見せ場である月の住人の降臨が、やや期待はずれ。
日本古来の世界観に思いを馳せたいシーンですが、なぜか菩薩が降臨して仏教説話みたいになっているのはかなり疑問ですし、彼らが奏でる音楽も単なる現代西洋音楽なのは興ざめです。
事あるごとにクローズアップされる主人公の歌、琴の音も単なる西洋音楽であり、あからさまにマイナーコードに転調したりすると折角のロマンが壊れますね。監督の意向を受けて作曲しているだけかも知れませんが、ジブリ作品ではたまに音楽がちぐはぐな作品が見受けられ、何も毎回久石譲氏にオファーをする必要はないのではないかと個人的には思っています。
Mum,theSanChrysさん [映画館(邦画)] 9点(2013-12-15 13:33:32)
86.ネタバレ アニメーション、ストーリー、共に素晴らしい作品だと思います。まずアニメーションですが、本作ではかぐや姫が泣きじゃくるシーンが二回ある。一回目は赤ん坊の頃で、二回目は月に帰りたくない心の丈をブチまける場面。姫は思い切り顔を崩して泣きじゃくる。その顔はとても写実的です。しかしその前後の例えば目の間に垂れてきた蜘蛛を寄り目で見つめるシーンや、成長した後の姫はとても漫画的な可愛らしさに満ちている。しかも背景は中国画に良く見られるような抽象的な画です。その写実的表現と漫画的表現、抽象的表現が完全に違和感無く同居している。見せ場でもあろう姫が宴を飛び出し野を駆けるシーンの疾走感も素晴らしかった。
ストーリーも申し分無いものでした。『竹取物語』は元来月の住人である姫と周囲の人間を通して、当時の貴族社会を風刺した作品なのですが、その"身分の差"という点も十分に描きながら、姫を主役にすることでオリジナリティも十分に感じられるものとなっています。新たに付け加えられた要素は"自由"について、もっと限定して言えば"生命賛歌"でしょう。月からの使者の容姿から容易に想像できるとおり、月の世界は謂わば極楽浄土です。老いもなければ苦しみもない。しかし姫は生や死が蔓延る地球に憧れて、罪人としてその地に落とされた。姫は帝から逃げ出す際に月に迎えの信号を発してしまいますが、 捨丸と再会して気づいたことはやっぱり生や死がある世界の方が素晴らしいということ。それは宮内で貴族的生活に辟易していた姫自身も反映している。そして観客も同時に気付いてしまうのではないでしょうか。「辛かったり、楽しかったり、生きたり、死んだりするから人生なんだ」ということに。何故なら誰でも"ここではないどこか"を目指して生きているのだから。現状がどれだけ肉体的にも精神的にも満たされているからと言って、そこに甘んじている事は本当の生の実感には繋がらないでしょう。監督は「今日性があるのかは分からない」とコメントしていますが、人が自由を求める限りいつの時代にも通じるテーマだと思います。
まさか『竹取物語』から話の大筋を変えずにこれだけ深いテーマに到達する作品とは思っていませんでした。
民朗さん [映画館(邦画)] 9点(2013-11-28 02:07:46)
👍 1
85.子の成長、四季の移ろい、里から都への暮らしの変貌。
その「移りゆき」をモチーフとするアニメーションの素晴らしさは、
かつて高畑勲監督が賞賛したあのフレデリック・バックの『木を植えた男』
からの継承を思わせる。
作中のワンシーンにある、樹々の再生の件などはまさにそれへの
オマージュともいえる。

桜の樹の下で舞い踊る娘の喜び、野や山をひた走る娘の激情が迸るクロッキー風の
タッチ。
生物の営みそれ自体への慈しみが滲んでいる柔らかなタッチ。
その伸びやかで、味わいのある筆致が創りだす画面の躍動は、
動画であって動画を超えている。
(エンディングのスタッフロールでは馴染みのない様々な作画の役職が並んで
興味深い。)

波やせせらぎの表現の斬新と大胆。木々の影が人物の衣類に落ちて、揺れ動く紋様を創りだす様。機織りや演奏などをはじめとする写実的なアクションと、快活に跳ね回り、飛翔する姫のファンタジックなアニメーションの絶妙なバランス。

題材とのマッチングゆえか、今回はその技巧もそれ自体が目的といった感が無く、
一枚一枚のスケッチの丹念な積み重ねがキャラクターに血を通わせている。
ヒロインを回り込むようなカメラの動き、彼女の寝返り、振り返りなどの動作は
スケッチを立体的に浮かび上がらせるだけのものではない。

青い星を振り返る姫の涙が美しい。



ユーカラさん [映画館(邦画)] 9点(2013-11-26 23:59:30)
84.ネタバレ 正直、高畑作品は今までピンとこない作品が多かったんですが、これは非常に良かった。日本人なら誰もが筋を知っている竹取物語。凡百の監督ならその題材に気負い込んで、独自の解釈をこれでもかと詰め込んで、別物の話に変えてしまうところですが、この作品は原作の筋をあくまで尊重し、王道的な手法で現代的なストーリーに昇華させています。その勇気にまず拍手。そして監督の解釈による、姫が最も感じたかったこと=生命の躍動感は、独特の絵柄と、ジブリならではの繊細な動きを通じて表現され、十二分に味わえました。心配だった役者の声も、プレスコ録りだったので、画に合っており、そこまで違和感はありませんでした(とはいえ背後に役者の顔は浮かびましたが…)。故地井武男さんの声も良かった。姫のキャラクターも素晴らしい。「ジブリ史上最高の"絶世の美女"」のコピーは伊達ではありません。久石譲の音楽もまた、ずるい。最も悲しい/切ないシーンに、あえて最も楽しげでワクワクする音楽を持ってくるとは。これで涙腺が決潰しました。子供の頃から筋を知り尽くしている昔話で、まさか泣かされることになるとは。結果的に「風立ちぬ」との同日公開を断念し、最後まで作り込んだのは、正解でしたね。今年見た映画で一番です。地井さん・氏家さんも泉下で喜んでいるでしょう。海外でも間違いなく受けると思います。
蛇蟇斎狐狸窟さん [映画館(邦画)] 9点(2013-11-23 21:29:47)
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83.ネタバレ 良かった。実に良く出来た映画です。
丁寧な脚本と作画で誰もが知っている竹取物語をちゃんと感動できる映画に仕上げたと思います。
かぐや姫と姫を取り巻く人々の心情を丁寧に描いた事が一番の功績でしょう。やっと映画らしい映画を見た。
高畑勲監督のわがままを辛抱強く聞いて、無事完成までこぎつけたジブリと日テレにも合わせて賛辞の言葉を贈ります。二階堂和美さんの「いのちの記憶」も最高ですね。
ぴのづかさん [映画館(邦画)] 9点(2013-11-23 14:16:05)
82.ネタバレ 山、都。月の三つの世界があり

山は少年時代のたいせつな思い出 すがりたい過去
都は大人になってからの現実 日々のくらし
月は死の世界 運命

月は穢れのない平穏の世界
天女「清らかな月の都お戻りになれば そのように心ざわめくこともなく この地の穢れも拭い去れましょう」
姫「汚れてなんかいないわ 喜びも悲しみも この地に生きる物はみんな彩りに満ちて 鳥、虫、獣、草木、花、人の情けを」

雪の上でゆきだおれた時に月の世界を思い出している。
月の迎えは、来迎そのものである。

良かれと思ってしたことが姫には受け入れられず、
再起を待つ草の芽を見て都の生活を受け入れる。
そのくせ庭に山を見立てた庭園を造り心をなぐさめる。
貴公子の死を知り自分の行為をのろい
「私もみんなニセモノだ」と庭園を壊す。
山(捨て丸)への憧れと、都(親)を捨てきれない束縛。
媼だけはその苦悩を知り密かに山へ連れて行く。

捨て丸に出会った姫は「しあわせになれた」と告げて二人空を飛ぶ。
満月を前にして姫は抗しきれず彼の前から姿を消す。
捨て丸にも妻子を持っている現実がある。それなりに受け入れて子を抱く。
本当に姫と逃げるつもりなどはない。
(おそらく姫はそれに気づいてしまった)

来迎までの出来事には決着というものが無く
結局はかみしめるしかない
それらを含めて、いまわの際には愛着を持って思い出すということか。
死を見据えて作ったような作品。

帝の入内要請を断る姫の台詞「おとうさまが位に就いたのを見届けて死にます」
帝から逃れようとして月を呼んだ。
月に戻るということは現世からの離脱すなわち死

誰のものにもならない(すてまるの元に行きたかった)ということを守り抜いた結果がこれである
翁が姫と山に居続けていたら、すてまると結ばれ、月に戻されることもなかったのだろうか。

生きている実感。

かぐや姫がどうしてそこまで頑ななのか、理解にくるしむ。
月の住人ゆえの感じ方か。

まとまらずすみません。
pigeさん [DVD(邦画)] 8点(2020-01-12 22:13:03)
81.ネタバレ この映画はストーリーを楽しむというよりは映像を見て凄い。美しく幻想的な世界観を見て楽しむ映画である。まるで本当に竹取物語の世界の中へ入り込む様だと思うぐらいの美しい映像に圧倒させられる。その美しい映像は初めて溝口健二監督の映画を見た時の様な驚きと一緒で、ただただその美しい映像を見て、凄い。凄いと見るのが正しい。高畑勲監督の作品全てに共通する人間だけでなく動物、昆虫に対しても優しさを感じることができる。空を飛ぶ鳥、木の枝に舞う蜂、かぐや姫が嬉しそうに桜の木の下で身体全体で喜びを表現して踊る姿は人間の感情のが全てを見せてくれている。捨丸が殴られているのを見て、泣きくずれるかぐや姫の切なさ、人間の生命、生まれてきた以上は必ず向かえる死、別れ、日本人なら誰でも知っている竹取物語、かぐや姫の姿を通して訴え掛ける作品として見応え十分です。高畑勲監督、もっと評価されていいし、評価されるべきだと声に出して言いたい。最後にもう少しだけ!宮本信子のナレーションを聞いてると、あまちゃんが見たくなる。
青観さん [DVD(邦画)] 8点(2018-04-08 10:52:30)
👍 2
80.日本画は「描かない」余白に大きな意味を込めて、空間の「遠さ」や「広がり」などを表現し、それが日本画独特の美しさや詩情を生み出す事がある。という言葉を聞いたことがある。
この映画における余白の使い方を観て、ふとその言葉が浮かんだ。余白を使うことにより、物語の寓話性もより高まっている。
そして、色彩表現の豊かさ、濃淡の綿密さ、曖昧な色の表現がそのままこの物語が言わんとする、人間が持つ一つの言葉では言い表せない心の機微の尊さ、良い事も悪い事も含めて美しい人生というのを表現していると思った。
そして日本人に根付いている、四季に寄り添い生活を共にするという美徳も、美しいアニメーションを通して改めて感じることが出来た。
この映画における色彩による映像表現は、CGアニメや実写では、現時点では到達していない域に達していると思う。そして、これこそが世界に誇れる日本のアニメーションの凄さであると思った。
宮崎駿、高畑勲という二人の監督の違ったベクトルの集大成、生き様を「風立ちぬ」そしてこの「かぐや姫の物語」で見せてもらうことができた事が幸せだと思った。
ちゃじじさん [DVD(邦画)] 8点(2016-03-01 23:14:17)
79.ネタバレ 「月に帰る」とは「自殺」の暗喩なのか? と、この作品を観てはじめて考えました。この世界にいたくない=この世を去る。あの世には思い出も持って行けないでしょうしね。日本最古の物語で、しかも日本最古のSFで、もし本当に自殺の物語だったら、その比喩表現の感性があの時代にあったというのは凄いことだなと思う。考えてみればオチは『コクーン』に近いのかも。
だみおさん [DVD(邦画)] 8点(2016-01-29 17:20:53)
👍 1
78.ネタバレ 「ジブリの新作は高畑勲で『かぐや姫』だぁ?おいおい大丈夫かよ?」…大変申し訳なかったです。素晴らしかったです。
絵巻物を思わせるような独特の作画も、この映画全体に流れる“お伽噺の空気”の表現としてグッドでした。

そして自分も昔から知っている『かぐや姫』の物語ですから、もちろん最後に月からのお迎えが来ることは分かっているワケです。
かつての映画化でモロにUFOが登場して失笑を買ったりしていたコトを覚えている身としては「どんなのが来るんだろう?」とドキドキしていたら、やってきたのが凶暴なまでの優雅さと冷酷さを体現した“あの世軍団”…非暴力という名の暴力というか「うわ、コイツら絶対俺たちのコトを虫ケラぐいらにしか思ってないだろうな~」と思わせる怖さを出していました。

そして捨丸兄ちゃん…女房子供いるのに姫との逃避行に即答…しかも最終的には「夢か…」と子供を肩車…うーん…苦い…。
“やさしいおじいちゃん”だった翁が権力欲に取りつかれて俗物になっていく様子(しかも瞳キラキラ)も怖かったです…。

気になったのは…物語の中で延々とこの世の醜さにブルブルしていた姫が、何故そこまでこの世に残りたかったのがちょっと俺には分かりにくかったコトかなぁ…。そしてラストは“ただの月のショット”で終わってヨカッタのに…。「ああ!もったいない!」と俺には思えてしまいました。

あと個人的には…クライマックスで、姫の最大のマブダチ?だった女童(ちょっと萌w)の“ナギナタで待機、からのワンパク大行進”に、ちょっとオジサンは涙腺やられました…。←涙腺ユルすぎ(笑)
幻覚@蛇プニョさん [地上波(邦画)] 8点(2015-11-29 07:36:50)
👍 2
77.ネタバレ 高畑勲監督の本当に久しぶりとなる新作。「竹取物語」は以前にも市川崑監督が沢口靖子主演で映画化しているが、こちらはあの映画のようなSF色はなく、ファンタジックな印象の強い映画になっている。それに、娯楽性よりも芸術性の高さを感じさせる作風はこれまでのジブリ作品ではあまり見られなかったような気がして、こんなジブリ作品もいいなと思った。高畑監督の前作「ホーホケキョ、となりの山田くん」でも水彩画のような画風が印象的だったのだが、本作でもその水彩画のような画風で作られていて、その優しいタッチが本作の雰囲気にとてもマッチしていて美しかった。ストーリーは原作の「竹取物語」から大きく逸脱することなく、忠実に進んでいくが、それが何か懐かしい。かぐや姫の視点から描いたことにより、深みが出て、そのことで、きちんと見ごたえのある映画になっているのがいい。山では優しかった翁が都に出てきたとたんに欲が出て、見栄を張るというふうに変貌を遂げたり(本人はかぐや姫の幸福のためと言っているが、あまりそんなふうには見えない。)するのは見ていてリアルだし、かぐや姫に求婚する男たちも今見るとどこか支配欲に満ちているというふうに見えるのは自分の見方が変わったせいだろうか。本作ではかぐや姫が地球に来た理由が描かれていて、これを見るとこのかぐや姫がとても純粋無垢な女性であることが分かるし、そんな彼女が帝に求婚されたときに思わず「月に帰りたい」と願ったのもその純粋さをこれ以上奪われたくないという思いからだろう。汚らわしいものもあるが、それと同時に素晴らしいものもこの世界にはあるということを知っているかぐや姫は帰りたくないと言って涙を流す。かぐや姫の心理描写がうまく、ついかぐや姫に感情移入して見てしまうし、昔読んだ絵本などを後年に思い返してみるとクライマックスの展開が少し唐突に感じる部分ではあったのだが、これならじゅうぶん納得がいく展開だ。迎えに来た者たちにそのことを訴えるかぐや姫(途中で羽衣を着せられるのが無情。)や、自分たちも連れて行ってくれと懇願する翁と媼の姿が切なく、今までさんざ知ってる話のラストシーンにも関わらず、思わず泣きそうになってしまった。高畑監督が東映時代から企画していて、ようやく実現した映画だと聞くが、それに見合う出来の傑作になっていて、間違いなく高畑監督の代表作の一本になる映画だと思う。それからもう少し、いつもファンタジックな映画を作る宮崎駿監督が「風立ちぬ」でリアル路線の映画を作ったのに対して、ジブリでは「火垂るの墓」などリアル路線の映画の多い高畑監督がファンタジー路線で映画を作っているのは面白いなと思った。
イニシャルKさん [地上波(邦画)] 8点(2015-09-23 17:15:19)
👍 1
76.ネタバレ ◆水彩画の如く色彩豊かな四季のように、時には生き生きと、時には激しく、感情を揺さぶられた。建前と見栄で成り立った都の高官のエゴに笑いを誘われつつも、生の歓びと逞しさに満ち溢れた山間との落差を際立たせる。女を所有物とみなす都の男とかぐや姫を幸せにさせたいが余りその価値観に従った翁とは対照的に、金や権力に執着せず田畑に勤しむ媼とかつての素朴な生活に目を輝かせるかぐや姫との対比が、理想主義vs現実主義という、現代の男女の価値観の違いにも通じるものがある。◆都の苦悩も悲しみもない月で地球に憧れることは果てして罪なのか? ちょっとしたエゴで周りを傷付き狂わせたかぐや姫は存在するだけで罪なのか? 生きている以上、周囲との摩擦は避けられず、息苦しさと生き辛さを感じるのは、人の業であり罪そのものだろう。誰もが自分勝手だから悶え苦しむ。◆避けられない結末、空気を読まない極楽な曲調で連れて帰っていく月の一行。天の羽衣を着せられ、記憶(=地上での人生)をかき消されたかぐや姫は死んだように見えた。それでも残酷で醜悪な世界だとしても、己が無力だとしても、生きているだけでも結構悪くないもんさ、と諦めにも似た希望が感じられるのは80近い高畑勲の集大成そのものかもしれない。
Cinecdockeさん [映画館(邦画)] 8点(2015-05-05 21:31:18)
75.ネタバレ 高畑勲監督ごめんなさい。
完全に食わず嫌いでした!

アニメでは長尺の部類のはずなんだけど、最初から最後までイッキに観れました。
色彩や躍動感がハンパなく、新しい表現方法に挑戦ている点も素晴らしかった。
ろにまささん [地上波(邦画)] 8点(2015-04-29 15:29:43)
74.子どもの頃見た絵本とお話の世界が映像によって再現されるすばらしい映画だ。竹から生まれ月へ旅立っていくストーリーはもちろんのこと、求婚者たちに無理難題を課して結婚を断るのも原作通り、それどころか捨丸という架空の人物を作り出しいっそう物語を発展させている。また翁と媼や子供たちを周囲に置くことによって、幼いかぐや姫の成長が見られるのだが、この辺では昔テレビで見た高畑監督のアルプスの少女ハイジを思い出す。後半のかぐや姫の苦悩も胸に迫るものがあり、童話やアニメの世界以上のものとなっている。ただ月からの迎え一行がマッチしていないように感じられたのが残念。
ESPERANZAさん [DVD(邦画)] 8点(2015-03-19 08:27:23)
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マーク説明
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 113人
平均点数 7.19点
000.00%
100.00%
210.88%
310.88%
497.96%
597.96%
61815.93%
72421.24%
82017.70%
91916.81%
101210.62%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.22点 Review9人
2 ストーリー評価 7.85点 Review14人
3 鑑賞後の後味 7.37点 Review16人
4 音楽評価 7.86点 Review15人
5 感泣評価 7.42点 Review14人

【アカデミー賞 情報】

2014年 87回
長編アニメーション賞 候補(ノミネート) 

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