映画『予告犯』の口コミ・レビュー

予告犯

[ヨコクハン]
2015年上映時間:119分
平均点:6.12 / 10(Review 33人) (点数分布表示)
公開開始日(2015-06-06)
サスペンス犯罪もの刑事もの漫画の映画化ネットもの
新規登録(2015-03-23)【DAIMETAL】さん
タイトル情報更新(2017-03-25)【イニシャルK】さん
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監督中村義洋
キャスト生田斗真(男優)奥田宏明(ゲイツ)
戸田恵梨香(女優)吉野絵里香
鈴木亮平(男優)葛西智彦(カンサイ)
濱田岳(男優)木村浩一(ノビタ)
荒川良々(男優)寺原慎一(メタボ)
宅間孝行(男優)岡本大毅
窪田正孝(男優)青山祐一
坂口健太郎(男優)市川学
小松菜奈(女優)
田中圭(男優)北村
滝藤賢一(男優)栗原
本田博太郎(男優)加藤
小日向文世(男優)設楽木匡志
仲野茂(男優)石田清志
村松利史(男優)年配の労働者
名高達男(男優)副総監
菜々緒(女優)レッドクァンタムのCMモデル
脚本林民夫
撮影相馬大輔
製作TBSテレビ(映画「予告犯」製作委員会)(製作幹事)
WOWOW(映画「予告犯」製作委員会)(製作幹事)
電通(映画「予告犯」製作委員会)
毎日放送(映画「予告犯」製作委員会)
東宝(映画「予告犯」製作委員会)
ジェイ・ストーム(映画「予告犯」製作委員会)
企画平野隆
集英社(企画協力・集英社「週刊ヤングジャンプ」編集部)
プロデューサー平野隆(プロデュース)
制作WOWOW(制作プロダクション)
配給東宝
美術清水剛
録音松本昇和
あらすじ
ある日、頭に新聞紙を被った男が大手動画サイトで、集団食中毒を起こした挙句に開き直った食品加工会社に対して放火の予告をする。警視庁サイバー犯罪対策課の吉野絵里香(戸田恵梨香)は、その謎に包まれた予告犯「シンブンシ」の捜査を開始する。「シンブンシ」は予告と制裁の実行を繰り返し、ネットを中心に大きな支持を得るようになる。
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💬口コミ一覧

33.ネタバレ 原作の漫画は昔読んだことがあり、かなり面白かった記憶があります。だから、おおまかなストーリーはわかっていたんですが、それでも面白かった。原作の雰囲気を踏まえつつ、原作以上の感動をもたらしてくれて、結構泣いちゃいました。現実の社会で実際に起こってるネット問題や派遣労働者問題などをネタにして描いていますが、根底には、誰かのために何かをするとゆう普遍的なテーマがあり、その漫画の描いたテーマをちゃんと踏まえていたのもよかったです。役者の方々も好演していて、特にラストのメタボの涙は、彼らがなぜ最後に嘘をつかなくてはいけなかったのか、保身よりも嘘をつくことがどれだけつらいことなのかを物語っていて、さらに泣けました。あと、ネットでのつぶやきが、現実の風景や人物にオーバーラップする仕掛けも、ありがちですが面白い表現でした。
なにわ君さん [DVD(邦画)] 10点(2015-12-10 03:55:24)
👍 1
32.ネタバレ 非常にスカッと楽しめました。完全芝居でゲイツが実は死んでなければ大拍手でしたが、そこまでは無理だったようで残念。仲間全員を(良い意味で)欺いておいて、どうやってあのビデオを撮ることができたのか? と思ってたら、ちゃんとそれもいい種明かしが後に出てきて、話作りがうまいなーと感心しました! 「あなたにはわからない」と言われた女が、どうわかる奴に変わっていくのかに大いに興味を抱いていたのですが、シンブンシ達の生い立ちや現在に至るまでを真剣に調べ始めるには、あと一押し強烈なキッカケが欲しかったなぁと思います。で、彼女の成長については、どうしても不満が残りました。「なんで助けを求めないのよ⁈」ってセリフがね、「結局あんたはわかってないじゃん」と感じてしまったのです。 そりゃ世の中悪い人ばかりじゃないけれど、助けに応じてくれる人に出会うまでに、いったいどれだけの数の裏切りや屈辱や落とし穴に耐えろっていうのか、それでも完璧に健全であり続けろというのか、わからないお前が「世の中は生きる価値がある」とか説得力ないわー。と、そこだけがどっと覚めてしまった部分でした。生活保護が必要な人だって、シブられてなかなか受けられなかったり、受けられても非難されたりナマポとバカにされたりな世の中なのに、無理な社会肯定観。ゲイツがヒョロに言った「お前が腎臓売ってまで来たかった国がこんなでごめんな」が、この映画での一番印象に残るセリフでした。物語のリアリティとして一つ大きく気になったのは、「さすがに仲間1人死んだら警察呼ばないの?」という点。違法な怪しい仕事っぽかったけど、だからって人死んでも黙ってるの? てのがねぇ。あと、欲を言えば「青酸カリだと信じ込んでるようだが実は違うんじゃね?」と思って見てしまうので、心中シーンは緊張しませんでした。魚か何かで試すような「本当に青酸カリです」と示す場面が欲しかったです。そういうわけで満点はつけられませんでしたが、ものすごく楽しめましたです!
だみおさん [DVD(邦画)] 9点(2016-04-23 01:22:43)
31.ネタバレ とにかく脚本が素晴らしい。全く飽きることなく最後まで引っ張られてしまった。そしてなによりこの映画には「叫び」がある。ひとりの人間の叫びがどれだけ重いものか、頑張って生きていける人にはわからない、頑張ってもどうしようもない人たちの叫び。「人は誰かのためになるなら動くことが出来るんです」という叫びをエンターテインメントに昇華した傑作。各俳優も自分のオーラを消して役を作り込んでいる。リアルな色調の映像も素晴らしい。
ブッキングパパさん [インターネット(邦画)] 8点(2023-09-26 01:15:17)
30.予告犯の4人がみんなかっこいんだよね。それにもましてネカフェの店員、窪田くんがかっこいい「小さいことでも人は動くんです。それがだれかのためになるなら…」いやー、名セリフだが、それは彼が言うからこそ。そのセリフで映画に緊張感が生まれた。最後はちょっと悲しい終わり方だったが、感動した。
木村一号さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-06-17 21:50:02)
29.ネタバレ 中村義洋という監督さんは、安定してますね。ハズレが無い。
どれも今一歩な面がある事はありますが、見終わった時にいつも
何かの暖かい感情を残してくれる監督さんです。
大した役でもないのに、そうそうたる顔ぶれのキャスト陣。
監督の人柄にもよるのかな・・。
観ている途中は、時系列が理解できず、山中での殺人事件と
ネット利用犯罪が、同時期かと勘違いしていました。反省。
自分のような鈍感な人は、字幕表示してもう一度観る事を
おすすめします。
前後関係がワカラナイと、彼らの動機というか、病死した
少年への思いが空振りです。
他の監督だと、その辺の説明に時間やセリフを追加する処を、
中村監督は、いつもサラリと流すので、置いていかれてしまう。
要は、ここまでの大事件にした事で、少年の父親が一体誰なのかを、
日本の警察を本気にさせて、全国民から探し出してもらった・・?
まあ、フィリピン人の子供が懇願しても、こんな途方も無い調査、
誰も動いてくれるわけも無いのが世の中の現実。
彼らはその後の追い込まれた状況の中で、自分達がやるべき事は
これしかないと決起してしまった。
そして、ラスト。親友を得るのが夢だったゲイツは、親友の為に
あえて犠牲になる事を選択。それを知った時の仲間たちの供述。
犯罪者達の心が響きあい、捜査担当者までも共鳴していく展開。
この映画(原作)は、結構深いかも。

気が付けば、他の映画「ヒミズ」で、染谷君が泣きながら走る
ラストシーンを、また観たくなってました。無関係ですが・・
グルコサミンSさん [DVD(邦画)] 8点(2016-06-01 22:00:16)
28.ネタバレ 『八日目の蝉』もそうですが、犯罪者が主人公の感動系ヒューマンドラマというものは、なかなか厄介なものです。犯罪者=悪という社会の絶対的共有価値観(社会の視点)と、個人の人生観に基づく私的信条(個人の視点)のせめぎ合いが、心の中で勃発するから。共に恵まれぬ幼少期を過ごしながら、正反対の立場にあるゲイツと吉野。そんな2人が合わせ鏡のように重なり合う姿に心を動かされるのは何故?死んだらお仕舞。最悪の選択。でも自分の命よりも大切な命が存在するのも真実。ゲイツの自己犠牲を非難できない自分は間違っているのか?青山(窪田)の台詞『大きな事じゃなくても人は動く。それが誰かの為になると思えば』に心震えるのはどうして?ひたすら自身の心に問い掛ける作業を繰り返しました。こんなふうに自分と向き合える映画は久しぶり。お気に入りの一作確定です。ただし、あまりに苦しいので、観返す予定はありません。(以下余談)私は映画ポスターのコレクターでもあるので、ポスターデザインは承知しておりました。生田一人アップの先行版と、生田と戸田が映るレギュラー版。正直ありきたりな図柄で、良作の香りなど微塵も感じませんでした。しかもタイトルはあの『模倣犯』を彷彿とせるもの。邦画サスペンスにはハズレが多いですし、期待値はゼロ。ところが鈴木亮平に、濱田岳、荒川良々と、単独主演クラスが次々と出てきてビックリ。さらに窪田正孝に、小日向文夫、滝藤賢一って、どれだけ豪華キャストなんだと。あれ、監督・中村義洋、脚本・林民夫コンビって『ルート225』、『ゴールデン・スランバー』に『みなさん、さようなら』の名コンビじゃないですか。そりゃ私の趣向にピッタリなハズです。予習をサボったおかげで、良作を引き当て、得した気分です。
目隠シストさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-30 21:29:47)
27.とても面白かったです。ストーリーがとても良く出来ていて、最後はなるほどと唸ってしまいました。テンポも良くて無駄なシーンもほとんどない。最後まで一気に観て、そしてスカッとする。後でよく考えると全てうまく行き過ぎだし、突っ込みどころも結構ありますが、鑑賞中にそう思わない程度だったので良しとします。先にWOWOWのドラマ(映画の2年後の話らしい)も観ましたが、そっちもなかなか面白いですよ。
ぽじっこさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-15 19:22:45)
26.ネタバレ かなり面白かったです。
シンブンシは現代の必殺仕置き人かと思いきや、対象が小物でやることがしょぼい。
では、その真の目的は?というと、途中でわかるので、それで引っ張るミステリーでもない。
結局、泣かせるドラマでした。でも、それが悪いのではなく、とても良いドラマだと思います。
ヒョロが無邪気で純真だから、ゲイツたちに凄く共感できます。
ゲイツに「父親に会ったらどうしたい?」と聞かれてのヒョロの答え「お父ちゃんて言いたい」
「そんだけ?何で捨てたんだってぶん殴ってやればいいだろう」
「うーん、会って、お父ちゃんて言いたい」と飛び切りの笑顔。
ここ思い出すだけで涙が出ます。
配役は皆適役で良かったです。
ずっとニートで多分両親が亡くなって働かざるを得なくなったノビタ役の岳君、毎度芸達者。
関西弁で気のいい兄貴風のカンサイ、三浦良平。ピッタリです。
なんとクレジット、大トリだった荒川良々。メタボ役なのでお腹に綿巻いて小太りにしてたんですね。
ゲイツ役の生田斗真は、カッコ悪い格好しててもカッコ良かったです。
最後については、ゲイツには私も吉野の口調で「カッコつけてんじゃないわよ」と言いたい。
生きていればいいこともある、と言いたいです。
最後のメタボの涙にやられたので本編は7点だけど、この最後のシーンで1点追加です。
nanapinoさん [映画館(邦画)] 8点(2015-08-16 22:44:12)
25.ネタバレ とても面白かったです。プロレタリアートの反逆という感じで、
行き場のない人たちにスポットを当てて問題提起しながらも娯楽作として楽しめる、そういう良作に仕上がってます。
一番良かったシーンは、臓器売って日本にやってきた彼が死んじゃって、それに対しての投棄屋のおっさんの態度に
キレてみんなでスコップで殴り殺すシーン。なんかスカッとしたわぁ。あれは無罪でいいね、うん。
ただ、ラストに関してはどうしても引っかかるというか、これで良かったのかなぁって。
残された3人は、主人公の思いを知って、彼の死を無駄にするまいと嘘を言って悪者に仕立てちゃうわけだけど、
主人公の優しさはちょっと酷だなというか、あれでは3人は重い十字架を背負って生き続けるみたいになっちゃうと思う。
まぁとにかく面白かったので7点を献上しときます。
あろえりーなさん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-07-23 21:40:10)
24.ネタバレ もっと大規模な事件が次々起きるのかと思ったら、警察とネットで大騒ぎしているだけで
小粒な事件だけなんですね。まあリアリティはその方がありますが思ってたような内容とは
ちよっと違ってました。まあ悪くもないけどそんなに良くもないといった感想
映画大好きっ子さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-06-18 23:16:40)
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23.ネタバレ  戸田恵梨香(この人の映画見るの、2ヵ月の間に3本目ですな)はなんかちょっと違うんでないか?と。極端な味付けをし過ぎていて。あんな延々ギスギスした演技ばかりしてたんじゃ、んなヤツぁいねーよ、とツッコむしかない訳で。過去の回想シーンとの対比で「だからこういうキャラなんです」ってのは安直に過ぎる気が。で、やっとラストの方でキャラ的に救われるんですが、それがまた本来あり得ないシチュエーションでしか救われてないっていう。刑事だったらあんな行動は取らないよね・・・。そこら辺、ホントに作り物臭くて、また他のメンバーは『SP』の出来損ないのようでもあり、警察側は見ていてかなり厳しい出来な感じ。

 一方、犯罪者側はよくできていたと思います。中二病をこじらせたクズのように見せながら、薄皮を徐々に剥いでゆくようにそこに至る悲劇と、でも悲劇だけに終わらない、彼らなりに獲得できた幸せな時間とが明らかになっていって。

 名前が映画を貫くキーワードになっていて、名無しの時代に損得勘定でなく名前を持つ人間同士で繋がりたいと願う、切ない話。ネットが普及して誰でも世界に向けて情報が発信できる、けれどその解放されている筈の世界の閉塞感は一体どうした事か?と。底辺で足掻くしかなかった名無しの束の間の輝きが胸に迫ります。

 新聞男4人+ヒョロ+インターネットカフェのバイト、役者の好演で存在感を得た彼らによって、映画はこの時代を映す意外な拾い物になっていました。
あにやん‍🌈さん [映画館(邦画)] 7点(2015-06-11 20:40:54)
22.ネタバレ 中盤の、路地裏から用水路へ至る追走劇などが映画ならではの
ロケーションと走りのアクションで頑張っている。

生田斗真を追って水路に入ろうとする戸田恵梨香が一瞬のためらいを
見せる。その引っ掛りのショットは、別箇所の周到な台詞の伏線とも
リンクしながら後の彼女の「水面」のフラッシュバックへと繋がっていくわけだが、
その彼女の生い立ちを仄めかす回想も橋と少女とランドセルの落書きのショットで示唆するという、
寡黙で簡潔な語りが実にスマートだ。

動機や説明や回想の類をどうしても必要とする物語だが、後半もさほど失速させずに2時間におさめられた
のは、そうした過不足ない語りの聡明さにもよる。

投棄現場詰所の蒼い光の中、抱く・抱かれる「友達」二人のショットも
十分に説得的で感動的だ。

ネットを始めとするメディア画面も『白雪姫殺人事件』よりも
熟れてきた感じで、携帯端末画面の有効な使い方も巧い。

荒川良々の反則的な涙にも癪だがやられた。
ユーカラさん [映画館(邦画)] 7点(2015-06-07 19:46:25)
21.ネタバレ 予告犯登場~制裁を加えていくまではのめり込んだ。
結末に向かうまでの停滞間が残念。
バッジョさん [DVD(邦画)] 6点(2018-06-09 21:13:29)
20. やや粗い内容だが、登場人物の境遇が切ない。見ているうち次第にのめり込んでいた。
海牛大夫さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-01-22 22:39:36)
19.前半と最後はなかなかいい。後半途中でダレるのでそこが惜しい。
あと、戸田恵梨香は好きな女優だがこの映画には合っていないと思う。いずれにしても、期待しなかったが意外に面白かった。
simpleさん [地上波(邦画)] 6点(2017-01-14 17:03:34)
18.ネタバレ 自分の倫理観や価値観からしたら『?』ってところも多かったですが、
社会の歪みで苦しんでる若者を主人公にした辺りは良かったかな。
物語として最後まで楽しく観れました。
ろにまささん [地上波(邦画)] 6点(2017-01-12 05:47:39)
17.ネタバレ ぼーっと眺めている分にはなかなか面白かったです。ただ、もう一歩入り込めなかったのは、冒頭の派遣さんの扱いにあまりリアリティを感じられなかったからかもしれません。私の職場にも派遣さんやパートさんがいますが、どうしたらこの映画の中のような状況になってしまうのかが想像できないですね。
この状況に親近感を覚える人が大勢いるとすれば正に、「こんな国でごめんな」って感じなんでしょうけど。
最下層の人達に救いの手を差し伸べることはもちろん悪い事であるはずはないのですが、遥か上層で甘い汁を吸いながら世の中を操っている連中が「努力はしています」とお茶を濁して、矛先が自分達に向けられるのをかわすネタくらいにしかなっていないのが現状なのではないでしょうか。
本当に世の中を変えるには、人として常識的に許される範囲を何桁も超えてしまうような財産を築いたり、あっちからこっちへ動かしたりできる仕組みにメスを入れることができるかどうか、だと思いますよ。まあ、世の中を操っている連中がそれを許すはずがないですけどね。
マー君さん [DVD(邦画)] 6点(2017-01-07 12:34:30)
16.ネタバレ  この映画、面白いです。

 面白いんですけど……序盤の拷問シーンで「悪趣味だなぁ」と思い、終盤の感動シーンで再び同じ感想を抱いてしまったので、どうも手放しでは褒められない内容。
 「良い話にしようとしているのは分かるけど、無理あるよね?」という思いが浮かんで来てしまい、中々それが消え去ってくれなかったのです。

 結局のところ、本作を楽しむ上でのキーポイントは「外国人の友達が死んでしまった」→「彼は死ぬ前に父親に会いたいと願っていた」→「自分達で探しても父親は見つからない」→「日本で一番捜査力が高いのは警察。死んだ友人の名前を騙って事件を起こし、彼らを動員して父親を探させよう」という、犯人達の行動を受け入れられるかどうかに尽きるのではないでしょうか。
 自分としては「死んだ友人の名前を騙って」の部分が、ちょっと受け入れられなくて、本当に友達想いの奴なら、そんな事はしないだろうと白けてしまい、残念でしたね。
 作中のテーマとしては「理由があって、頑張れない奴もいる」という、社会的弱者の存在を肯定するような意図があったのだと思われます。
 けれど、就職活動はともかく、父親探しにおいて主人公達が「頑張れない」理由がハッキリしなくて、真っ当な方法では探せないと諦めて、死んだ友達に犯罪者の汚名を着せるのを承知の上で、楽な手段を選んだだけとしか思えないのです。
 せめて「何年もかけて自力で探したけど手掛かりすら掴めなくて、止むを得ず最後の手段を選んだ」という形なら納得も出来るのですが、そういった過程を経ていないので、主人公達が努力を放棄したようにしか見えない。
 酷く典型的な台詞になってしまうのですが「そんなやり方を、本当に生前の友人は望んでいたのか?」という疑問も浮かんできます。

 それらの罪を償う為の自殺オチだったのでしょうが、終盤やたらと主人公を賛美する展開になっているものだから、どうも作り手との価値観のズレを感じました。
 主人公と対峙し、その思想を否定する立場だった美人女刑事にまで「全てを予告し、やり遂げた」と嬉しそうに言わせたりしたのは、ちょっとやり過ぎだったんじゃないかなと。
 生き残った犯人グループの仲間が、罪を全部主人公に被せて自分達だけ助かる件も、シニカルに描くのではなく「主人公の自己犠牲の美しさ」を強調するような演出だったりするものだから(えっ、そこで感動させようとするの?)と驚いてしまったくらい。

 その他、主人公が会社での陰口に気が付く件なんかも、あまりにも非現実的な「周りの人間は皆、嫌な奴」過ぎて(これ、現実なの? それとも主人公がそういう被害妄想を抱いているって描写なの?)と戸惑ってしまったし、女刑事と犯人の追跡シーンでも(どうして応援を呼ばないんだ? 刑事なら何らかの連絡手段は確保しておくべきでは?)と集中力が削がれてしまった形でしたね。
 そういった諸々が伏線なのかと思いきや、全然そんな事は無かったという意味も含めて、終盤の展開が本当に残念。

 「作中で明かされた真相に納得がいかなかった」というパターンの為、ついつい文句を並べてしまいましたが、以下は良かった点を。
 まず、導入部から展開がスピーディーで「異常な犯人、シンブンシの目的は何か?」と観客にも推理させていく流れは、とても楽しかったですね。
 映画の構成としては、序盤は刑事側の目線で事件を追いかけていく形であり、中盤以降に主人公=犯人へと視線転換して、その背景が明かされる訳ですが、順番が逆だったら冗長な話になっていたでしょうし、この導入部には「掴みが上手い」と感心。
 主演の生田斗真の力によって、新聞紙で覆面をして犯行予告するシーンでも、ダークヒーロー的な恰好良さが醸し出されており、作中で彼らの賛同者が生まれていく展開に、さほど不自然さを感じさせなかった辺りも有難かったです。
 ここのハードルをクリアしてくれないと、作中の世界観が根底から崩れかねないので。

 犯人グループが仲良くなっていく過程も、短いながらも丁寧に描かれており、青春ドラマとしての魅力も備えている形。
 主人公の「友達が欲しい」という夢が叶っていたのを示す、和気藹々としたやり取りを、最後の最後に持って来て、カタルシスを与えて終わらせた辺りも、上手かったですね。
 ここで「良い友達を持つ事が出来て、幸せだ」などと口に出しては言わせず、主人公の表情や音楽などで伝えてみせる演出は、本当に好み。
 決してハッピーエンドではないはずなのに、それに近い味わいがありました。

 色々と気になる点は多かったのですが、それらを差し引いても面白かったし、良い映画だったと思います。
ゆきさん [DVD(邦画)] 6点(2016-12-28 12:09:22)
👍 1
15.ネタバレ 人生に希望を失った若者達の物語。そんな彼らにも夢がある。些細な夢だけど彼らにとっては一筋の光である。人は自分のためだけに生きていくのは難しい。誰かのためになら生きていける。生きる価値が生まれる。彼らは出会えて良かった。
いっちぃさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-08-21 13:42:48)
14.ネタバレ いかにも今のニホンならではな雰囲気の映画。ちょっと極端な人物設定も見受けられたけど、あんな人いるのかな? いるとこにはいるのかな?? 。一見誰も知らない人ばっかりな本作だけど、シンブンシのメンバーはなかなかな人構成、でもその割に思ったほどハッチャケタことは起きなかったかな~。ちょいと物足りなさを感じつつの6点
Kanameさん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2016-07-28 07:26:53)
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★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 33人
平均点数 6.12点
000.00%
100.00%
213.03%
313.03%
439.09%
5618.18%
61030.30%
7412.12%
8618.18%
913.03%
1013.03%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.33点 Review3人
2 ストーリー評価 6.66点 Review3人
3 鑑賞後の後味 5.33点 Review3人
4 音楽評価 5.50点 Review2人
5 感泣評価 5.00点 Review2人

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