映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の口コミ・レビュー

湯を沸かすほどの熱い愛

[ユヲワカスホドノアツイアイ]
2016年上映時間:125分
平均点:6.18 / 10(Review 38人) (点数分布表示)
公開開始日(2016-10-29)
ドラマ
新規登録(2016-07-11)【DAIMETAL】さん
タイトル情報更新(2025-01-21)【にじばぶ】さん
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監督中野量太
キャスト宮沢りえ(女優)幸野双葉
杉咲花(女優)幸野安澄
篠原ゆき子(女優)酒巻君江
駿河太郎(男優)滝本
伊東蒼(女優)片瀬鮎子
松原菜野花(女優)宮田留美
りりィ(女優)向田都子
松坂桃李(男優)向井拓海
木村知貴(男優)
オダギリジョー(男優)幸野一浩
脚本中野量太
撮影池内義浩
製作クロックワークス(「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会)
テレビ東京(「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会)
プロデューサー福田一平(エグゼクティブプロデューサー)
配給クロックワークス
美術三ツ松けいこ
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💬口コミ一覧

38.ネタバレ 双葉、安澄、鮎子。奇しくも全員が母親に捨てられた子たち。タイトルからラブストーリーなのかなと思って見始めましたが、この映画はそんな彼女たちのきずなや生き方を描いた物語。

安澄のイジメに始まり、おかあちゃんの病気、父親の発見とその連れ子との共同生活、銭湯の再開、旅での出会いなどなど・・・見終わってみて、ほんの2時間くらいの映画にここまで色んな出来事があったのかと驚くほどたくさんのエッセンスが凝縮され、それでいて時間を忘れるほど話に見入ってしまいました。

4つものシーンで泣いてしまいました。制服を取り返した安澄がお母ちゃんと抱き合うところ、鮎子の朝食のしゃぶしゃぶでの言葉、君江さんの「何故手話を?」に対して安澄が返した言葉、そして双葉の「死にたくないよ」
特に心打たれたのは、絞り出すように話す鮎子の「これからは一生懸命働きます。だから、できればでいいから、ここにいさせてください」「でもママのこともまだ好きでもいいですか?」という台詞だった。これを言えば本当の子供でもない自分はここを追い出されるかもしれない、などとたくさん悩んだであろう心の葛藤が見ているほうにも刺さるように伝わりました。
さらに安澄と君江の、「なぜ手話を?」「母が、いつかきっと役に立つ時が来るから」「勉強しときなさいって」というシーンにはやられた。こんないい話、反則だ。

文字で書くとなんだか単調になってしまうが、改めて見直すと鮎子や安澄、君江の感情がやはりひしひしと伝わってくる。迫真の演技だと思う。演技なんて言うとかえって失礼ではないかと思うほどに。単調になってしまうのは多分に自分の文章の拙さゆえもありますが。

そして最後、9点くらいかなぁと思っていた自分の点数が、あのラストによって10点になってしまいました。賛否ありそうですが、逆にそれでこそ映画!って締め方で良かったと思います。

双葉、ここにあり。

ですね。
TANTOさん [インターネット(邦画)] 10点(2022-02-04 22:26:22)
👍 2
37.冒頭の朝ごはんのシーンから、この映画の主人公である“母娘”の存在感に、何だか“違和感”を感じた。
ただし、その“違和感”は、決して不快なものではなくて、何気ない会話を交わす母娘の佇まいに実在性の曖昧さを感じ、彼女たちの発する空気感が妙に心地よく、不思議な浮遊感を覚えたのだった。
宮沢りえと杉咲花が演じるその母娘像は、勿論実像としてそこに映っているのに、感覚的にはまるで秀逸なアニメーションを観ているようだった。

その不思議な感覚の正体は、ストーリーが連なり、織り重なるドラマの流れの中で、徐々に明らかになっていく。
詰まるところ、この映画は、ありふれた人情物語ではなく、母娘の機微に溢れた愛すべき“ファンタジー”だったのだ。

神々しいまでに強く慈愛に満ちた母親、その厳しく熱い愛を一身に受け止める娘。彼女たちが発する時にエキセントリックにさえ見える「激情」の意味と意図が、“ファンタジー”という言葉に集約される。
それは決して非現実的な絵空事を描いているという意味ではない。
少々現実離れしていようが、常軌を逸していようが、ありのままに描きつけたかった「母の愛」。
その表現の手段として、現実的な“しがらみ”を廃すためのファンタジー性だったのだと思う。

「母の愛」と一言で言うけれど、そのありふれたテーマ性を、こんなにも真っ直ぐに、深く、強く、愛おしく、そしてファンタジックに描いた日本映画があったろうか。
冒頭で感じた違和感を早々に通り越し、この映画世界に息づく母娘の言葉と表情がダイレクトに心に突き刺さるようになってからは、琴線が震えっぱなしだった。

この物語が素晴らしいのは、テーマである「母の愛」と、それにまつわる「母娘の機微」が、決して主人公母娘だけの事柄ではなく、ストーリーに絡む多面的かつ多層的な“母娘像”の中で描きつけられていることだ。
そして、描き出されるそれらの殆どは、決して安直な美談としてではなく、胸が締め付けられるような辛辣な現実と共に映し出される。

自らの病を押し隠し、まさに「聖母」のような美しさと強さを見せる“母親”自身にも、自らの“母親”に対する拭い去れない心傷があり、その傷は安易に癒やされることはなく、より一層深く刻まれる。
むしろ、この映画の中で語られる幾つかの「母娘」の関係性においては、一つとして“幸福”のみで綴られているものはない。
どの母娘も、何かしらの深い後悔と失望に苛まれ、恨みや怒りを孕み、苦しみ、泣き濡れる。

それでもだ。
それでも、心のどこかで、母親は娘を愛し、娘は母親を愛し続ける。幸か不幸か、そこから逃れることなんてできないのだ。

「でも、まだ、ママのこと、好きでいてもいいですか?」

母親に置き去りにされた少女が振り絞るように発するその吐露に、この映画に登場するすべての「娘」の感情が表れているのだと思えた。


いや泣いた。少なくとも、この1〜2年の間では一番泣いた。
宮沢りえは、最強だ。杉咲花は、最高だ。

ラストシーンは、銭湯での葬式。その一寸エキセントリックに見えるシーンから、「風呂桶」と「棺桶」という言葉に見え隠れする密接な関係性を知ったこの幸福な映画体験は、暫く心から離れそうにない。
鉄腕麗人さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2018-06-30 16:48:49)
36.ネタバレ 前のレビュワーさんも書いてるけど、確かにこんなに簡単に乗り越えられない壁ばっかりの内容。でも僕は10点献上した。ひと頃の身勝手な大人の多かった時代の後始末をこうも痛快に解決していく、宮沢りえの演技が実に説得力があるからだ。子役(特に冒頭の鮎子ちゃん)も実にいい。しかし映画を観ていくと、3人の女性、全員親に捨てられてるんだよね。なのに愛が湧き出てくる宮沢りえ演じるお母さん。最後のお湯も愛の沸騰した湯加減だったんでしょうね(笑)
トントさん [DVD(邦画)] 10点(2017-07-09 00:35:44)
35.ネタバレ この映画、寅さんシリーズに似ています。
肩ひじはらずに気楽に観て泣き笑えばそれで善しです。
リアリティーが無い、不自然だ、それを言っちゃあおしまいよ! です。
またイジメ・不倫・蒸発・末期癌・聾唖・・・不幸話満載ですがそれらを余り深掘りせず展開するストーリーにはむしろ小気味良さを感じます。
冒頭の「湯気のごとく主人が蒸発しました、当分の間お湯は沸きません」の張り紙アップシーン、これでプッと吹き出し気楽観賞モードにスイッチオンです。
絵の具だらけの安澄に「何色が好き?」と聞く双葉(批判;イジメ加害者に真摯に向き合え)、自分を捨てた母に無視され塀上の置物を母の居る部屋に投げつける双葉(批判;瀕死の病人にそんな体力無いし部屋の子供が危険)などなど双葉の行動一つひとつに私は爽快感を覚えました。
ただラストの「○○を燃料にした湯船にみんなで浸かる」シーンは少々やり過ぎ感がありましたが双葉の一貫した意思や本作の良い意味での現実離れしたストーリー展開を考えるとOKでしょう。「違法では?」などとヤボなことは言いません。 
yoroshikuさん [映画館(邦画)] 9点(2017-09-04 14:06:35)
34.ネタバレ 難病映画は好きじゃないのですが、この作品は違いました。宮沢りえの元気に周りを引っ張る姿から、徐々に弱って臨終間際の姿までしっかり描いてくれたものだから思い入れ出来るし応援したくなりました。人間ピラミッドとか普通は失笑ものなんですが。
次郎丸三郎さん [DVD(邦画)] 8点(2023-12-04 23:44:37)
33.めちゃくちゃ良い映画だった。
心が暖まるどころか、熱い家族愛。
「湯を沸かすほど」はダテじゃなかった

序盤から最後まで、泣くわ泣くわ。
濃密なヒューマンドラマの映画でした。
杉咲花が思った以上にすげー良かった
愛野弾丸さん [レーザーディスク(邦画)] 8点(2020-12-20 18:57:36)
32.ネタバレ 母親とは何だろうか。
“腹を痛めて産んだ子だから可愛いんだ。”よく聞く台詞だが、宮沢りえが演じるこの「母」もそうだと思っていた。

「お母ちゃんの遺伝子ちょこっとだけあった。」そう言って涙ぐみながら強く微笑む娘の姿にこの「母」の血が流れていることを疑わなかったのだ。自分は。

しかし物語が進む内にそうではなかったことが描かれる。そうだ。手話を知っている娘の姿があった。あれはこの為だったのだ。この「母」はどういう想いで手話を習わせたのだろうか。それを思うともう涙が止まらない。

ただの「母」の物語ではない。綺麗なことばかり描いているわけでもないし、暴力的なところもある。でも人間なんてそんなグチャグチャな想いで溢れている生き物だろうという作り方がいっそ清々しい。

余命が短いと知った母親が用意したものは新しい家族の形。それは全てが彼女の意図したものではないが、彼女の行動によってもたらされたものに違いない。最後にここまでしてくれる彼女を呼ぶのに「母」以外の呼び方などあるはずがないのだ。
さん [インターネット(邦画)] 8点(2019-08-16 09:22:10)
31.ネタバレ 親から継いだ銭湯を営む夫が1年前に遁走し、やむなくパートで働きながら娘を育てる「お母ちゃん」を、宮沢りえが文字通り「熱演」している。
そのお母ちゃんが末期がんと診断されてからの、約3か月を描いた作品。

本作では、どこにでもありそうな家庭の雰囲気を上手く表現している。
洋画に対する邦画のひとつの優位性は、この「どこにでもありそうな」画を通して、観客を作品世界に誘いやすいことだが、
特に家での食事シーンなどは、家族ならではの会話や独特の間などに、俳優や脚本(監督)の力量を感じる。

高校で陰湿ないじめに遭う娘に「今逃げたらずっと逃げることになる」「お母ちゃんにはわからない」「いやわかる」「わからない!」「わかる!」
このやりとりだけで、お母ちゃんもかつていじめを受けていたことが暗示される。
普通なら、戸惑いのなか中途半端な同情から甘やかしてしまうところを「お母ちゃん」は決して妥協せずに娘の背中を押す。

産みの母の迎えを待ち続ける(夫と他人の間に生まれた)子を真剣に気遣い、明るく受け入れるお母ちゃん。

突然家からいなくなった夫を許したのも、すべて自分がいなくなった後の家族を考えての事。

夫婦問題やいじめ、複雑な家庭環境といった不遇な人生を経験した人間なら、彼らの喜怒哀楽が画面の向こうの出来事とは映らないだろう。
(本作では、これらを演じる俳優陣の演技力も相当に高いことも付言しておきたい)

そして、物語が進むにつれて、それらのお母ちゃんの愛が「湯を沸かすほどの熱い愛」だったことに気付いていく流れも秀逸。

娘に買ったブラジャーや、毎年同じ日に届く「タカアシガニ」、たびたび食卓に登場する「しゃぶしゃぶ」といった小道具も上手く活用している。
(ちなみにこの「しゃぶしゃぶ」の湯も暗示的ではある)

そして、最終盤には、このお母ちゃんにも、はやり不遇な過去があったことが示されるくだりでは、胸が痛くなった。

最後のオチも含め、この家族の行動には現実離れしているところも多いが、私は映画表現として問題なく受け入れられた。
そして観終わった後は、(湯を沸かすほどではないにしろ)自分の心もお母ちゃんにほのかに暖められていたことに気付く本作は、久しぶりに観てよかったと思える作品だった。
田吾作さん [インターネット(邦画)] 8点(2019-06-09 20:04:48)
30.冷静に見ると変なところはたくさんあるけど、
最後のシーンにまっすぐ進む脚本は小気味よく、
何より役者たちの自然な演技で映画の世界観に違和感なく引き込まれる。

永い言い訳、淵に立つ、湯を沸かす〜と立て続けに見た家族の映画の中で
一番心地いい物語。
aimihcimuimさん [DVD(邦画)] 8点(2017-06-03 10:50:56)
29.ネタバレ 余命わずかのアタシ、周りはダメな人ばっかり。気性の激しいアタシ、風呂屋の女将にして怒り沸騰。愛のムチを幾度となく振り回す。不器用ながらもその人たちなりに懸命に生きてアタシの下、一致団結。三段ピラミッド完成だい。刻々と迫る最期の時。悲愴感漂う死に際。皆に愛されたアタシを宮沢りえが熱演。杉咲花、ちんちくりんながらも体当たり名演技。銭湯の煙突から立ち昇る愛の煙、心温まる家族ドラマ。良作。
獅子-平常心さん [DVD(邦画)] 7点(2021-01-04 01:57:10)
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28.逃げなければ地獄のような日々が延々と続く陰湿ないじめなんて世の中にはいくらでもあるので、この映画を真に受けてしまって最悪の状況に追い込まれる人が出ないことを祈ります。リアリティと正論だけを追い求めると違和感だらけですが、物語が進むにつれてツボを押さえているのか心に刺さってきます。銭湯での葬儀もなかなかキマッてましたが、タイトルの真意を彷彿させるラストにはビックリ。主演と助演の女優さんお見事でした。
ProPaceさん [地上波(邦画)] 7点(2019-06-06 00:07:05)
27.ネタバレ 所々うまく出来すぎているふしもあるが、温まる映画。
情緒あふれる銭湯と、主人公の周りの人々とのやり取り。家庭ごとに様々な隠れた事情があるのだなと思い知らされる。
なにより、宮沢りえの圧倒的な存在感に目を奪われる。惜しまれて死にゆく人とはこういう人なのだと印象付けられた。
カジノ愛さん [インターネット(邦画)] 7点(2018-07-09 10:11:39)
26.ネタバレ なんともやっかいな映画でしたね。
超絶感動できるところもあり、なんじゃそりゃってのもあり。
でも、まぁ、映画なわけだし。
なにかを考えるきっかけを与えてくれる、いい映画でした。
そもそも映画を人に薦めるのって苦手だけど、これなんか、まさにそんな感じ。
ろにまささん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-04-04 00:35:23)
👍 1
25.ネタバレ ◇昭和の、古き良き、ファンタジー映画。困難を、時限的に次から次へと解決する母。あなたは強い。
◇テーマである、母からの愛・母への愛を、熱い愛、冷たい愛。温度差で描く。
◇時折見せる弱さ、死に向かう暗さの中で際立つ赤色。それらの対比がアクセントになり、一気にラストまで見てしまった。
◇ちょっとビッグフィッシュに似てるな、と思いました(あちらは父息子)。宮沢りえさんの役者魂にプラス1点献上。
ハクリキコさん [地上波(邦画)] 7点(2018-01-02 12:37:27)
24.ネタバレ 余命を知ったとき我が子に何を残してやれるのか、という映画なんだと思ってみてました。だから、1時間30分頃にもう一人の(我が子の)大事な味方のために彼女が準備したことには、胸をつかれました。ここで暗転して葬儀のシーンに進んでもよかったような気もしますが、きっちり口当たりの良くないくだり(緩和ケアセンターパート)も盛り込んだことは、監督は逃げなかったんだというふうに評価したい。オチはいかにも、「チチを撮りに」の中野監督。安澄の「ひとりにはしない」という病室での決意はこれだったのね。
なたねさん [DVD(邦画)] 7点(2017-06-10 15:34:33)
23.ネタバレ 日本人が信じて疑わない"当たり前"をぶち壊してくれた映画、と思っています。例えば冠婚葬祭にやたらとお金をかけること。お祝いごとはまぁいいとしよう。でもお葬式はね~。ただでさえ大事な人が死んで悲しいのに、葬儀代でさらに大金を絞り取られるなんて、まさに弱り目に祟り目、泣きっ面に蜂。この映画を観ていたら、別にお金をかけなくても、心を込めて送り出せばそれでいいんじゃない?なんて思えました。もう一つ、葬儀とか決まって黒のイメージが付きまとうのに、そこに赤ときたか!という感じ。生前のイメージに合えば、別に黒じゃなくてもね。殴ったり叩いたり(蹴ったり笑)の関係だって、お互いに愛情と信頼さえあればね。赤いメッセージそれは、愛情の象徴としてだけではなく、毅然とした正しさや正義の象徴としての赤、とも感じました。いろいろな意味でりえお母さんに元気をもらった映画です。明るく笑顔で送り出してあげたくなるような、そんな人でした。だから天国に旅立つ彼女には、"情熱の真っ赤な薔薇"を捧げましょう。
タケノコさん [映画館(邦画)] 7点(2017-05-15 23:19:04)
22.そこまでして葬儀代ケチりたいんか。と思ってしまった・・・。
ケンジさん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-05-07 21:04:20)
21.ネタバレ 栃木県足利市というところには個人営業の銭湯がまだあるようだが、うちの地元ではもうなくなった(最後の1軒が映画撮影に使われた)。
自分としては同じ監督の「チチを撮りに」を見たことがあるが、あまりに私的で濃密な家族像が描写されていて辟易するものがあった。今回も実は全く期待していなかったが、さすがに商業映画ということで万人向けの娯楽を意識した感じで、全体としてこのくらい一般人に寄せて作ってあると、多少のことは監督の個性とか“映画とはこういうもの”的に納得しやすくなる。ちなみに互いに尻を蹴り合っていたのは「チチ…」にもあった姉妹のじゃれ合いの表現である。

劇中では母の愛に欠けた事例がこれでもかこれでもかと提示され、かなり極端な設定のようだがまあ一応の許容範囲である。最後はいわば母の愛を熱エネルギーに変換して家族に分与したということのようで、現実問題としては非常識でも物語上の表現としては受け取れる(多少グロテスクな印象はあった)。
時間がない中、主人公が各種課題を次々解決していくのは都合が良すぎるともいえるが痛快ともいえる。主人公の娘の捨て身の勝負は思い切ったところが個人的に好きだ(あのデザインの下着でよかったのかは別)。また「鮎子ここにあり」というのも気が利いている。
そのほか手話とかピラミッド関連とか個別のエピソードはいいのだが、問題は総まとめとして、主人公がどういう人物だったか台詞で説明していたのは口で言うほど説得力がない。これはその後の展開の言い訳にしか聞こえないところもあり、むしろ言わずに済ませられなかったかという気がした。

ところで世評によれば物語中には観客の気に障る場面が結構あったようだが、自分としては(今回は)それほど気にならなかった。ただし子ども(小学生)相手に平気で性的な話をする人物が否定的に扱われていないのは映画の品位に関わることであり、こういうものまで観客に受け入れさせようとするのは無理がある。
また最後の件については登場人物も違法性は認識していたようで、これは映画と現実世界との最低限の擦り合わせを意図したもののようでもあり、“映画のためなら何でも許される”といったような独りよがりは少なくとも感じなかった。煙突からの煙は非現実的でわざとらしかったが、映画のラストを強く印象づけるものにはなっていた。
かっぱ堰さん [映画館(邦画)] 7点(2017-01-13 23:28:29)
20.ネタバレ 赤いリンゴ、赤い車、吐血の赤とアクセントをつけつつ、ラストにはもう一発何らかのアイテムを用意しているのだろうと思いつつ観れば、
なるほどしっかりと情熱的でファンタジックな赤で期待に応えてくれる。

夜の人間ピラミッドや、宮沢りえの投石を始め、泣かせのシーンにもユーモラスな笑いをほのかに混ぜ込む加減が絶妙で、エモーションのほどよい
バランシングが心地よい。

宮沢と松坂桃李の抱擁、伊東蒼と杉咲花の蹴り、篠原ゆき子への平手打ち、オダギリジョーに対する頭突きやパンチなどの
意表を衝く少々手荒なスキンシップによる親愛表現もよろしい。

勿論、杉咲花が披露する手話も感動的だ。身体で感情を表現させるべくして設定された属性である。
ユーカラさん [映画館(邦画)] 7点(2016-11-01 23:52:06)
19.ネタバレ 設定だけならば凡作に陥っていてもおかしくないのですが、作中の家族同様、やはりりえちゃんが偉大でした。周りの全員の芝居を全部受け止めて、一本の柱として画面内に存在しています。しかしそれに加えて、杉咲花ちゃんの、各シーンの意味を的確に理解した演技力にもびっくりしました。りえちゃんも大いに刺激されていたんじゃないでしょうか。●脚本は、全体的に台詞抑えめなのには好感が持てますが(子供たちが「ママ」とか言わないのも良い)、作為的なところもかなり目につきます。特に、拓海君の登場とその後の処理とかね。探偵が娘を連れて仕事をしているというのもかなり強引ですが、これは、ピラミッドのシーンの「横にちょこんといる娘」の構図を撮りたかったのでしょう。そういう発想は嫌いではありません。●あと、性的な描写が多めなのは意図的と思われますが(娘達に番台業務をさせるとか、直接的でないものも含め)、それ自体は悪いことではないものの、やはり、「妹のパンツを回収せずにドアノブ引っかけ放置」と、「子供2人に対していきなりラブホ話」だけはいかがなものかと思いました。そもそも脚本上も必要ないし。
Oliasさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-05-07 01:21:58)
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【点数情報】

Review人数 38人
平均点数 6.18点
000.00%
100.00%
225.26%
337.89%
425.26%
5718.42%
6513.16%
71026.32%
8513.16%
912.63%
1037.89%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 6.00点 Review4人
3 鑑賞後の後味 6.33点 Review3人
4 音楽評価 8.00点 Review1人
5 感泣評価 6.66点 Review3人

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