映画『君たちはどう生きるか(2023)』の口コミ・レビュー

君たちはどう生きるか(2023)

[キミタチハドウイキルカ]
The Boy and the Heron
2023年上映時間:124分
平均点:5.78 / 10(Review 67人) (点数分布表示)
公開開始日(2023-07-14)
公開終了日(2024-07-03)
ドラマアドベンチャーファンタジー戦争ものアニメ動物もの
新規登録(2023-04-26)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2025-05-06)【イニシャルK】さん
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監督宮﨑駿
山時聡真牧眞人
菅田将暉覗き屋の青サギ/サギ男
柴咲コウキリコ
あいみょんヒミ
木村拓哉牧勝一(特別出演)
木村佳乃夏子
小林薫老ペリカン
火野正平大叔父様
國村隼インコ大王
大竹しのぶあいこ
竹下景子いずみ
風吹ジュンうたこ
阿川佐和子えりこ
滝沢カレンワラワラ
ロバート・パティンソン覗き屋の青サギ/サギ男(英語吹き替え版)
フローレンス・ピューキリコ(英語吹き替え版)
福原かれんヒミ(英語吹き替え版)
クリスチャン・ベール牧勝一(英語吹き替え版)
ウィレム・デフォー老ペリカン(英語吹き替え版)
マーク・ハミル大叔父様(英語吹き替え版)
デイヴ・バウティスタインコ大王(英語吹き替え版)
原作宮﨑駿
脚本宮﨑駿
音楽久石譲
麻衣(演奏)
作詞米津玄師「地球儀」
作曲米津玄師「地球儀」
主題歌米津玄師「地球儀」
撮影奥井敦(撮影監督)
製作星野康二
西村義明(協力製作)
宮崎吾朗(製作プロデューサー)
スタジオジブリ
プロデューサー鈴木敏夫
制作スタジオジブリ
スタジオポノック(制作協力)
配給東宝
作画本田雄(作画監督)
井上俊之
近藤勝也
田中敦子〔作画〕
米林宏昌
高坂希太郎(原画)
コミックス・ウェーブ・フィルム(作画協力)
亀田祥倫(原画)
美術武重洋二(美術監督)
高屋法子(ハーモニー)
編集瀬山武司
録音木村絵理子(アフレコ演出)
東北新社(音響制作)
あらすじ
太平洋戦争が激化しつつある中、東京に住む少年・牧眞人は入院中の母を病院を襲った大火で失い、その後父とともに疎開する。疎開先には父の再婚相手であるナツコが待っていたが、彼女は亡くなった母の妹であり、眞人の弟妹となる命を身籠っていて、彼は素直に新しい母として受け入れられなかった。更には転校先の学校の子どもたちとも打ち解けられず、眞人にとって孤独な日々が始まることに。そんな中、広大な屋敷の敷地を歩いていた彼は、森の中にひっそりと佇む朽ち果てた様子の塔に辿り着く。その塔に惹きつけられる眞人。すると謎めいたアオサギが彼に語り掛け塔の中に誘うのだった。「風立ちぬ」以来10年ぶりに宮崎駿監督が送る長編アニメーション作品。
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💬口コミ一覧

67.家族みんなで気軽に楽しむエンターテインメント作品とはまるで異なる、宮崎駿監督が自らの創作人生を凝縮させたような“シュール”なアニメ映画です。
これまでの『トトロ』や『ナウシカ』のように語りやすいあらすじやわかりやすい構成を期待すると、きっと戸惑うことでしょう。
しかし、その不可解な雰囲気こそが本作の大きな魅力であり、“死生観”や“輪廻”をファンタジーとして描き込むことで、観客に深く考えさせる余白を与えているのです。

本作の舞台には、戦争や事件といった現実世界の痛ましい歴史がさまざまなメタファーとして散りばめられています。
それは単に大昔の出来事として語られるのではなく、生きるとはどういうことか、死と向き合うとは何かという普遍的な問いへとつながっていく仕掛けに思えます。
例えば、主人公が異世界へ誘われる場面も、一種の“死者の国”を思わせる描き方がなされるなど、生と死、そして再生が曖昧な境界のなかでぐるぐる回り続ける構造が印象的です。

だからこそ、この映画は一度観ただけではすべてを理解するのは難しいと感じました。作品内にちりばめられたヒントを手繰り寄せ、何度も考察を重ねる行為そのものを楽しめるともいえます。
わからない部分を想像で埋め合わせてみたり、戦争にまつわる歴史背景や宮崎監督自身の人生観を重ね合わせてみたりと、
謎解きのような読み解き方もできますし、純粋に不思議なファンタジー世界として眺めるのも良いかと思います。

さらに興味深いのは、本作が“子ども向け”ではないとされながらも、少年が主人公であることです。
少年が受け継がなければならないもの、放棄しなければならないもの、その葛藤は観客一人ひとりの生き方に直結します。
宮崎監督自身の少年期や、盟友・高畑勲監督との想い出が投影されたともいわれるキャラクターたちは、固有のエピソード以上に“人はどう生きるべきか”という原点的な問いを浮かび上がらせるのです。
アカデミー賞でも評価された映像の美しさ緻密さは、子供にもインパクトのあえるファンタジーな画像をストーリーにこだわらずに心に残すことも可能ですので大人だけの映画でもないのです。

だからこそ私は、「わけがわからない」という理由でこの作品を遠ざけてしまうのはもったいないと思うのです。
宮崎駿監督が集大成としてアニメという表現を使い、あえて常識的なストーリー構成をこぼれ落ちるほど詰め込んだ結果、多層的な謎と象徴が生まれたのでしょう。
観客がそれぞれの答えを探す喜びを味わうための“余白”ともいえます。

ぜひ劇場や配信でこの作品と向き合い、自分なりの“答え”を探してみてください。
たとえ答えが出なくとも、その旅路こそが宮崎駿監督の問いかけに応える一歩ではないでしょうか。
私はファンとして、そしてひとりの観客として、この未知なる冒険をより多くの人に体験してほしいと心から願うのです。
そくらてつこさん [ブルーレイ(邦画)] 10点(2025-03-22 00:26:34)
66.圧倒されるイメージ力と
物語の語り口がとても心地好く。
素晴らし時間を体験することが出来ました。
muntuさん [映画館(邦画)] 10点(2023-10-07 12:53:38)
65.ネタバレ ジブリ作品は好きな方です。でも、作品に込められた意味とか、あんま考えたことはなくて、じゃあ、なにが好きかと言いますと、それはジブリ作品独特の怪異的な存在の描き方かな。時にはコケティッシュで、かわいかったり、時には意味不明で不気味だったり、ナウシカの巨神兵とか、千と千尋のカオナシとか、トトロのまっくろくろすけとか、もののけ姫のこだまとか、とにかくずっと観てられます。あと、飯の食い方がいっつも豪快でうまそーとか、アクションのドタバタ感とか、そんだけかな。でもそんだけで、ずっと楽しめちゃう。だから、この作品も普通に面白かったです。最初は真面目な感じで、不安でしたが、途中から、僕が好きなジブリを楽しめました。それにしても、まさか昔のⅯ1の笑い飯のネタが、まんま作品になるなんて。ようこそ、鳥人(とりじん)の世界へ。ちなみに、俳優が声優をやることに関して、普通はあんま好きじゃないんだけど、ことジブリにおいては、全然、気にならず、むしろ、うわー、あの俳優がこの声やってるんやってゆう驚きとかの方が大きくて、例えば、美輪明宏 「黙れ小僧」とか、印象的で。今作でも、菅田将暉とか、映画が終わってから、あの声、やってたんやってゆう驚きが得られて楽しめました。一緒に観に行った小5の息子も楽しめたみたいで、なによりです。
なにわ君さん [映画館(邦画)] 10点(2023-08-09 09:54:10)
👍 1
64.ネタバレ  タイトルからして人はその人生を主体的に生きることが前提になっているのが分かります。主人公は母親のいる病院の火事(1940年なので空襲ではない)で周囲の止めるのを振り切り現場に駆け付けますが、救うことが出来ませんでした。即ち子供的万能な主体性は傷つきますが、二年後、疎開した際、美しく若い新しい母親(夏子)に出会い、魅かれながらも彼女を性的対象にすることを許されず、決定的に無気力になってゆきます。しかし、彼の行き場を失った自我は喧嘩の傷を自傷の形で追加します。これは多分復讐と呼んでも良いでしょう。或いは主体的に生きることが出来なかった負の紋章とも考えられます。もしかしたら、この辺り革命を叫びながらも社会を変えられず鬱屈していった団塊の世代の思いの表現かも知れません。

 ですが、その後新しい母親が異世界に誘い込まれるのを目の当たりにして性的な部分でないところでの関係性が構築できると考えた主人公は彼女を救う冒険に旅立ちます。様々な困難を乗り越えて夏子に会うことが出来ますが、これを可能にし成功を保証するのがアオサギ男です。異世界のガイドですね。冒険の途中、火を使う少女と出会いますが、彼女こそが実の母親、久子の若き日の姿でした。ですが、この辺りちょっとボーイズミーツガール的な雰囲気で微妙な感じです。作品の最後に別の時間帯に続く扉を開けて異世界を後にする二人ですが、久子は主人公を明確に自分の子供と認識しています。

 さて、ここからがよく分からない所ですが、その久子はどうして入院していたのでしょうか。作中の若い久子に見ているとその後何があっても健康を害するようには見えません。それに火を使う能力を持った彼女が火事で死んでしまうようなことがありうるでしょうか。実は、主人公が継承することを放棄した世界の制御を彼女が行うことになったのではないかと思いました。でも、そのために病院を燃やすほどのイベントが必要なのかなとも思います。神隠しで充分だろうと。

 あと面白いと思ったのが、食べられてしまうという危険です。ユーチューブで、獲物を狙い待ち伏せするチーターが後ろから来たライオンに捕食されるシーンを見ました。生きることは死を前提にして初めて意識されます。病気でも事故でもない、捕食される事が最も唐突な死です。食べられる可能性を示すことで生きることの意味を更に強く表現しようとしたと思われます。実際、主人公が吊るされていた調理場には人間のものと思われるしゃれこうべなんかも落ちていたような。

 後、鳥についてもコメント。アオサギってペリカンの一種らしいですが、彼らはすごく脳みそが軽いらしい。食うしか考えてないのね。その点、インコは賢いらしい。鳥類ではカラスと双璧をなすくらい。鳥って恐竜の直属の子孫ですから本来強力だし、かっこも良いんです。最後の最後にインコの王様とか結構いいキャラ出してきて宮崎さんの底知れぬ創造力を感じました。

 なんか、色々訳の分からんことを描きましたが、あの宮崎監督の新作を観られた事がうれしい。そして、人々のその時々に見せる表情や歩く時の膝の角度とか土のへこみ方とかそんな細部の拘りがこの年でようやく分かるようになり見入ってしまいました。彼の作品のすごいところは登場人物の多さ、そして、その沢山の命にいちいち来歴が感じられること。昨今はアニメ映画全盛の感ですが、やはり少しばかり格の違いを感じました。
たこのすさん [映画館(邦画)] 9点(2023-07-23 23:33:09)
👍 1
63.ネタバレ いろいろ言えそうだけど、私には「シン・ラピュタ」に思えました。空から降ってきたのがシータではなく死んじゃったお母さんだったら(しかも若き日の)、という話で、二人で冒険して最後に一緒に世界を救う決断をする、という。アニメ界の後輩たちに「宮さんパンツ取れ」と言われ続けて、最後の最後に「自分はロリコンではなく、筋金入りのマザコンなのです」と80オーバーの老人がパンツ脱ぐ話。幼き頃からいろいろ楽しませてもらいました。そして今回も。ありがとうございます。
みげるさん [映画館(邦画)] 9点(2023-07-19 13:48:55)
👍 1
62.ネタバレ 現実の世界・歴史と強固に繋がっている物語ではありますが、ジャンルとしてはごく純粋なファンタジーですね。前述の構造も含めて、ジブリだと『トトロ』とか『千と千尋』に酷似しているとも思いますが、個人的にはよりプリミティブな『不思議の国のアリス』の様なお話だな…とはいちばん最初に感じたトコロです。表現としては、誰しも「コレがジブリだ!」と膝を打つ様な監督固有のアニメーションが見事に健在だったコトに加えて、今作では炎や水といった抽象的な部分の(おそらくCGによる)表現に更に磨きをかけて⇒ソレを前述の手書き風アニメにより完璧に融合させている様子もまた見事だったと思います。もう一つ、コレは確実に意図的に監督の過去作=嘗てのジブリ作品中の種々の風景・象徴的要素を物語の中に非常にふんだんに織り交ぜてゆくのですよね(⇒観れば誰でもスグに気付くというレベルで)。でも、正直なトコロ、全体として非常に示唆的・比喩的に見える物語ではあるものの、話の内容や個々の描写・台詞自体にソコまで高度な意味が積まれている様には見えなかったor 少なくとも1回観たダケで分かる様にはつくってない(or 最低限私にはソコは伝わらなかった)という、控えめに言ってもごく「難解な」作品だとは、確実にそー思われましたですよね。

でも、しかし、じゃあナニも伝わらなかったのか?とゆーとそんなコトは全くないのですね。むしろ、私個人としては観終わった瞬間、コレは監督がもう、有りと有らゆるモノ全てを完全に肯定している作品だ…という実に暖かくてポジティブな感覚に包まれたのです。前述のセルフオマージュが意味するモノは監督の映像作家としての人生そのものだ、とも感じましたし、ソレも含めてナニかを次の世代に引き継ぐこと・或いは引き継げずに新しく真っ新に始めてゆくしかないコト、悪意の無い世界に生きるコトが叶わず、夢破れて斃れてゆくコトも有りうるというコト、すらも、全て一切合財が此処に至ってはこの世界の美しさに見えるのだ…と。重ね重ね私には、今の今、最後に監督の心の中に残って居るのであろうあの懐かしい風景の数々が、また今も尚こんなにも美しく+その感覚を全世界の人々と確実に共有可能だ、というそのコトこそが、映像作家としての監督の最も尊い部分なのではないか…と思われたのですよね(途中、ワリとウンウンと唸りつつも、今作を観て最後にはそう思うに至りました、と)。

この予想が外れてもナニも哀しくも・悔しくもありませんが、私自身はやはり、今作が監督の(正真正銘の)最後の作品だと信じておるのですね。そして、今作がその最後の作品であって本当に好かった…とも、また信じているトコロではあるのですね。
Yuki2Invyさん [映画館(邦画)] 9点(2023-07-14 23:06:54)
61.ネタバレ これは戦時中の話です。主人公は転校先で同級生の悪意にさらされ、自分で自分の頭を傷つけて嘘を吐きます。一方、父親は戦闘機を作っている人で、個人の悪意に対しても国家の悪意に対しても「力で解決できる」と信じているように見える。家のなかに戦闘機の操縦席のガラスをたくさん並べるシーンがありますが、あの部品の数だけの若者が特攻で死んだのではないかと思います。そのように命が使い捨てにされる現実のなかで、主人公は地下の世界に潜り、命の神秘(生まれる前と死んだ後)の世界を体験します。ひとりの人間の生き死にには壮大な物語があるし、この世に産まれてくるのも、死なずに生き延びるのも簡単なことではない。
大叔父は悪意に満ちた世界を作り直そうとしています。父や祖父は子孫を残した人ですが、一般に「叔父」というのは子孫を残さなかった人の象徴だろうと思います。おそらく大叔父は、命の連鎖から切り離されたところで世界を作り直そうとしている(『ポニョ』でいえばフジモトの立ち位置に近い)。そして頭に同じ傷をもつ主人公も大叔父と同じ資質をもっている。しかし結果的に、主人公は大叔父の仕事を引き継ぐことなく戻ってきます。それは「悪意に満ちた世界を生きるほかない」「戦争を含む人間の文明に向き合うほかない」ということを意味します。そして、観客であるわたしたち自身もそのような世界に生きている。
映画公開時には「難解」との評判だったので身構えてましたが、すこしも難解とは感じませんでした。あきらかに宮崎アニメの過去作の延長上に作られており、共通のテーマを負ってるのも分かります。簡単にいえば『ポニョ』と『風立ちぬ』を組み合わせたような構造ですが、過去作に比べてもテーマ性はより明瞭になっている。実際、本作を観ることで『ポニョ』のテーマが理解しやすくなるはずです。残念ながら『ポニョ』はキャクター造形などから幼稚な作品と思われがちですが、じつは本作にも通じるテーマをもつ作品だったというべきです。
宮崎駿のアニメは、たんなる反戦映画でもなければ、たんに世界を肯定する映画でもなく、つねに否定と肯定の宙吊り状態のなかで「人間としてどう生きるか」を問うてくる映画です。そういう映画は珍しいわけじゃありませんが、その宙吊り状態に耐えられず、より簡単な答えを求めたがる観客には拒絶されるのでしょうね。
まいかさん [地上波(邦画)] 8点(2025-05-03 01:53:04)
👍 1
60.『君たちはどう生きるか』は、「宮崎駿が高畑勲に掛けられた呪いから自らを開放する物語」と確かに読める。そうであれば、彼は少なくとも、呪縛が解かれた自分としてもう1作品作りたくなるのではないか。

呪いとは何かは、二人の間のことなので正確には分からない。しかし、高畑勲が『火垂るの墓』『平成狸合戦』の人であれば、彼は教養の人であると共に哲学的意味において「精神」とその獲得の為の闘争の人だったのだろうと感じる。それは「どう生きるか」において呪縛となるであろう。
onomichiさん [映画館(邦画)] 8点(2024-09-05 22:27:18)
59.先に観た人から聞いた通り、物語の本筋が途中から分からなくなります。それでも観ないまま終わるのは勿体ない作品です。なんとなくハッピーエンドですしね。
次郎丸三郎さん [映画館(邦画)] 8点(2023-08-04 23:28:14)
58.ネタバレ 鑑賞直後、腹が減ったのでワッパーを食いながら久しぶりに感想を。
とても、よかった。
見る前は宮﨑駿がやりたい放題で意味不明なイメージ垂れ流しの走馬灯ムービーだったらどうしようと思っていたが、全然そんなことはなかった。
冒険と生死と出会いと別れと成長、世界へのテーマが描かれた、ハヤオまだやれるやん!と思える力いっぱいの作品。
時空も生死も姿も曖昧で、崩壊しつつある異世界。何のためにこの世界が必要なのか、大叔父様が世界を作る前は死んだ人はどこにいってたのか、どう生まれ変わってたのか?とかよくわからんところはあるし、理解もできない。理解できる気もしない。
ただ、奪い合い火を放つ悪意の世界をどう生きるかと問われた真人は、友達を作ると言った。悪意に満ちた邪悪な存在に見えたアオサギも友だちになれたからね。単純で幼稚かもしれないけど、めちゃくちゃいい答えやんと思った。
お母さんとの別れのシーンもよかったよ。死ぬことはわかってるけど、母親になるために元の世界に戻る。いい子だから。泣ける。
世界観よくわからんとか設定よくわからんとか、何か深すぎてわからんとかまああるだろうけど、面白かった。ハヤオは小さい頃から見てきたハヤオだった。ちなみにナウシカ、ラピュタ、ハウル、トトロ、魔女宅は好き、もののけ、千尋はいまいち、風立ちぬは嫌いです。
ブラック武藤さん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-30 15:16:45)
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57.最初は、
「世界は時間も次元も善悪も生き物も鉱物もイメージもすべてがつながっている。死んだ人とも当然逢えるが楽園にはとどまらない。楽園追放でもあり色即是空空即是色でもあるあらゆるユニバースを包括した上での実存主義!」
といったことかと思って感動したのだが、文庫の「君たちはどう生きるか」の要旨を見るとどうも違うメッセージらしい。

もちろん作品の解釈はそれぞれでいいのだが、この映画の場合だけは文庫版の「君たちはどう生きるか」のメッセージと大きく違ってはいないだろう。文庫版「君たちはどう生きるか」を読めと言ってるわけだから。

文庫版「君たちはどう生きるか」のメッセージは基本説教です。そして人類はその手の説教をほとんど聞くことなく、エゴ優先であいも変わらず自分たち自身を追い詰めている。そのために起こる地球環境問題もほぼほぼ乗り越えることはできないところまで追い詰められている。

そんなときにこんな昭和初期のメッセージでいいのかと思う。

さらに宮﨑氏がよく言ってたはずの空想の世界に留まるな、現実に向き合え的メッセージも入ってるわけだが、いまやイーロン・マスク氏すら「この宇宙は仮想現実」という。

そしてAIの進歩はその開発者たちも脅威を覚えて規制してくれと訴えるほどだ。人類は近い将来AIに取って代わられるかもしれないほどに現実が進行している。

地球が自らが破壊されるリスクを負っても人類(巨大な大脳新皮質)を生み出したのはなぜか。

AIを地球の管理者にし、宇宙が新しい進化をはじめようとしているのかもしれない。人類はその移行のための存在なのだろうか?

昭和初期の人たちがまったく想像もできないそんなとんでもない時代になってきているというのに、こんな昭和初期のメッセージでいいのかとも思う。
wooさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-24 23:12:56)
56.ネタバレ 帰って宮崎駿の生い立ちをネットで見て
あーなるほどと思ったけど、
この作品の主人公は宮崎駿自身なんでしょうね。
だから今回の主人公は男の子。

「風立ちぬ」では両親への想いが描かれ、
本作では自分自身の人生と向き合い、
口では説明のできない感覚・感情を映像の世界に昇華させた。
そんな感じなのかな!?

監督自身のコメントの
「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。
私自身、訳が分からないところがありました」
というのは照れ隠しのような気もする。

映画の成功や評価より、
宮崎監督は自分の為にこの映画を作り、
完成した時点で満足なんじゃないかな。
壮大な自己満の世界なんだけど、
結局、映画でも音楽でも文学でもアートでも、
芸術と言われるものの多くはそこが原点。

賛否あるのはわかるし、すごく面白かったとも言えないんだけど、
ジブリの世界観はあったし、何よりジブリ作品を映画館で楽しめた。
僕は好きな作品でした。
ゆにおさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-24 17:01:35)
55.少し唐突な印象も残るくらいにあっさりと映画が終わった。
その時点で、とてもじゃないが言語化はまだできておらず、一抹の戸惑いと、何かしらの感慨深さみたいなものが、感情と脳裏を行き交っている状態の中、少しぼんやりとエンドロールを眺め見ていた。
すると、「作画協力」として、今やこの国のアニメーション文化を牽引する錚々たるスタジオの名前が整列するように並んでいた。
他のアニメスタジオが作画協力に名を連ねること自体は、さほど珍しいことでもないのだろうけれど、スタジオジブリ作品、そして本当に宮崎駿の最後の監督作品になるかもしれない本作のエンドロールにおけるその“整列”には、何か特別な文脈があるように思えた。

そしてはたと気づく、ああそうか本作の「真意」は、クリエイティブの極地に達した創造主からの、新たな創造主たちに向けたメッセージだったのだなと。

宮崎駿、その想像と創造の終着点。
そこには、彼がこの世界に生まれ落ち、いくつもの時代を越えながら吸収してきた数多のクリエイティブの産物で溢れかえっていた。
彼が吸収したものが、いくつものアニメーション作品の中で具現化され、一つ一つの「世界」となって、積み木のように積み上げられていったことをビジュアルによって物語っているようだった。
そしてその世界は、「崩壊」という形で、時を遡って、何も生み出していない無垢な自分自身に継承される。それはまるで、クリエイターの根幹たる魂が「輪廻」していくさまを見ているようだった。


宮崎駿が生み出した「世界」そのものは、創造した自分自身の手によって崩壊という終焉を経て、無に帰す。
ただし、同時にそこからは、色とりどりの無数のインコが飛び立っていく。
この色とりどりのインコたちこそが、エンドロールに名を連ねた新世代(ジブリ以降)のアニメスタジオであり、新たな創造主たち(=クリエイター)を表しているのだろう。

“声真似”をするインコを用いたのは、どこか“ジブリっぽい”アニメ作品を量産しているクリエイターたちへの皮肉めいた批評性、というか明確な“イヤミ”もあるのかもしれない。
その一方で、宮崎駿自身がそうであったように、先人たちの数多のクリエイティブを吸収し、真似て、発信しようとするプロセスは、必然であり、正道であることを暗に伝え、激励しているようにも思えた。


あらゆる側面において、極めて意欲的な作品だったと思う。
ただ、本作においいて、宮崎駿というクリエイターの本質とも言うべき“支配力”や“エゴイズム”が、全盛期同様に満ちていたかというと、そうではなかった。
クリエイティブという活動そのものの性質や限界を考えると、それは至極当然のことだろう。
むしろ、クリエイターとしての限界のその先で生まれた作品だったからこそ、本作はそれに相応しい「崩壊」や「終焉」をエモーショナルに描き切ることができたのだと思う。

創造と崩壊、巡り巡ったその先に、君たちはどんな「世界」を創るのか。
様々な解釈はあろうが、それは、「夢と狂気の王国」築き上げ、積み上げ続けた一人の狂気的なクリエイターの、決して優しくはないが、力強いメッセージだったと思う。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-20 12:47:44)
👍 1
54.ネタバレ 時は戦時中。東京に父と住んでいた主人公の少年・眞人は、家から離れた病院に入院中の母を火災で亡くし、父子ともども田舎に移り住むこととなる。彼らが到着した駅には、人力車に乗った身なりの良い女性が待っていた。眞人にとっては新しい母親だという。その場でいったん父と別れ、緊張の面持ちで女性と新しい家に向かう眞人。やがて大きな屋敷に到着、眞人はその中を案内される。すると…。

本作は広告宣伝一切なしのまま上映を開始した。ネットを見ていると物語のネタバレこそないものの、参加キャストやスタッフの名前をあちこちで目にするようになった。「そのうち物語のネタバレも不意に見てしまうかも」。そうなる前に観てしまおうと決意したのであった。ちなみに宮崎監督の長編作品は『風立ちぬ』以外視聴済み。

本作については、宮崎監督のエンターテインメント観と人生観の総決算を見せられたという印象を強く持った。

物語の構成は『千と千尋の神隠し』そのものだ。主人公は新しい環境にどちらかといえば後ろ向きで、ひねくれたところもある。やがて巻き込まれる非日常の困難に能動的に立ち向かい人間的に成長、最終的に日常に戻っていく。監督の過去作『ルパン三世カリオストロの城』『天空の城ラピュタ』『崖の上のポニョ』などを彷彿とさせる場面や演出が頻出し、まるで過去の宮崎作品の名場面集、もっと言ってしまえばセルフパロディのようにも見える。

物語の最終目的は「さらわれたお姫様を救い出す」、これも宮崎作品の典型だ。今回はお姫様ではなく新しい母親であるために動機がやや弱く感じられたし、異世界でも唐突かつ理解しきれない展開があったが、それを各々の世界観のアクの強さと丹念な演出、そして圧倒的な作画の力で観客に半ば強引に見せきってしまう作りは宮崎にしかできない芸当だ。前述の名場面も含め、これまで宮崎の後継者と目される他の作り手たちが表層的模倣にとどまっていた宮崎的描写を自らの手でやってのけて「どうだ! これが俺だ!」と高らかに宣言しているように僕には思える。

世界をコントロールする大叔父様の姿からは、未来永劫新たな世界を描き続けたい宮崎自身の願望が感じられた。世界をコントロールするツールであった積み木が最後に他者の手によってあっさり壊されてしまうところからは、「やっぱり人間は有限であり、永遠の世界作りはできない」と外部からの情報によって現実的な考えに軌道修正したのではないだろうかと想像した。

ここからはスタッフやキャストについて思うことを少し書きたい。

まずは絵作りの中心を担うアニメーターについて触れなければならない。超絶作画で作品を支えた作画監督や原画マンたちの何と豪華なこと! 作画マニアが見たら鼻血が出そうな豪華メンバーだ。現在のアニメ、特にテレビアニメはとにかく大勢の作画マンの人海戦術によって何とか形になっている印象があるが――厖大な制作本数に対してアニメーターが不足している、作画作業の分業化によって仕事がスムーズに回らなくなりそれが悪循環を引き起こしている、制作期間が短いなど原因はいろいろあると思われる――本作は極めて密度の高い画面が比較的少数精鋭で作り上げられている。制作環境が整えられていたのだろう。

特に中盤までのピアノ独奏が印象的だった音楽は宮崎作品の常連・久石譲らしくなく、今回は誰が音楽担当だったんだろうと思っていたらエンドロールに久石の名があり驚いた。かつてミニマルミュージックを得意としていた久石の面目躍如だろうし、同時に新境地ともなったのではないだろうか。

キャストは相変わらずの非声優陣。キムタクが声をあてる情報は前もって入ってしまっていたが、どのキャラクターを演じているかがわかったのは中盤以降であり、それ以降も特に違和感を感じなかった。他のキャストも熱演していたと思う。

最後にちょっと尾籠な余談を一つ。本作の上映が始まって一時間くらいからは尿意(と便意)との戦いだった。列中央の席に座っていたし通路が暗くて一度出たら二度と戻ってこられそうになかったのでどうしようと思いながら観ていた。思い切って出ようと腰を浮かせたら尿意が少し治まったので、両肘で体を支えながら背もたれを使わない姿勢で観続け何とか最後まで持たせた(両隣は空いていた)。余韻なしではぁはぁ言いながら館内から出たのは初めてで、前を歩いていた女性を小走りで追い抜き痛い視線を感じながらトイレにスッと駆け込んだのだった。

帰り道の車のアクセルをいつもより少々強く踏みがちだったのはその余韻か、他の車が走っていなかったためか、はたまた作品に心動かされた余韻か、今となってはわからない。
はあさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-19 16:57:07)
53.ネタバレ ■初回上映時に劇場から出てきたお客さんにワイドショーかなんかがインタビューして、感動のあまり泣き出してしまった青年の画像がネットで出回ってたけど、私はまさにあの状態になってしまった。劇場前にカミさんが迎えに来てくれてたのだけど、車に乗ってカミさんに「どうだった?」と聞かれたとたん、ボワーっと涙があふれてきて、次に「え?どんな話だったの??」と聞かれて、「全然分かんない…」と答えるのがやっとだった。
■イマジネーションのオンパレードに圧倒された、という感覚は、千と千尋にも匹敵した。あれが80のじいさんの頭の中から出てきたという事実に、全く打ちのめされた。
■尻切れトンボ感は各所で指摘されているけれども、怒涛の折り畳みからプツっと終わって、真っ青な画面で米津を聴かされる、ってのは、何にも整理できなくて心がぞわぞわさせられたままで、それが泣いた原因の一つだとも思う。
■ブログやYouTubeで考察を見るのが大好きなのだが、その意味では私にとってこれほどおあつらえ向きの映画もない。どこそこの場面は何とかという絵画や映画がモチーフで、という指摘は実に勉強になるし、今作は日本中のアニメスタジオから著名なアニメーターをかき集めて作ったそうで、彼らの作画への影響を論じるものもあって、大変興味深かった。傑作は、これはジブリの内情を表しているというもの。半ば都市伝説めいているのだけれど、真偽はともかく、それ自体がエンタメとして面白い。
■さはさりながら、基本的には不思議の国のアリスなのだろうから、「説明不足」の類の批判は見当外れかと思う。その意味では意外と子供の方が素直に楽しめるのかもしれない。
■母や義母の描写が、今までの宮崎作品にはないほど艶めかしかった。考察によれば、それは外部アニメーターのアイデンティティの発露、という意見がある一方、齢八十にしていよいよ宮崎翁がリミッターを外してきた、という人もいる。今作から「みやざき」の「ざき」の字が別字になったらしいから、シン・ミヤザキとして、後者であるのだと思いたい。
麦酒男爵さん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-19 10:46:28)
👍 1
52.ネタバレ  まず、御年82歳の巨匠が自らの集大成を総括した作品に対し、10点満点(もしくは5点満点)で採点すること、そしてこのような「考えるな感じろ」的な作品に対し、感想を文字化し可視化することが極めて無粋である事と知った上で、あえて書かなければならない。そうしないとこの作品を見た意味すら見失ってしまいそうな、そんなつかみ所の無い作品だったから。自分への覚書のようなものとして、書いておこうと思う。
 ネタバレ厳禁をここまで徹底する要素が、果たしてこの作品にあったのか否かは疑問。あくまでも戦略だっただけのように思う。そもそもネタばらしをしようにも、あらすじなるものを簡単に言葉で語り継げるようなストーリーをまず持っていない。とりあえずは「感じろ」と。しかしその次の段階には、登場する全ての物に何かしらの意味が隠されている事を「考える」こととなる。メタファーにつぐメタファーの連続。そして過去作品のセルフオマージュの連続。この、メタファーとセルフオマージュの連続が、一見取り留めのないものの羅列として、退屈を感じさせてしまうのかもしれない。この作品、実は、感じろ、ではなく、考えろ、だった。
 全ての鑑賞者の数だけ、解釈の数がある。監督の持つ戦争観、死生観、男女の在り方役割分担、アオサギとは、ペリカンとは、インコとは、そして13の積み木と跡継ぎ問題、産屋へ入ることが禁忌であるということ。
 この作品に限らず、監督は常に、生きろ、と言う。生物は生きているか死んでいるかしかない。死んだ者は、食べられるか埋められるかしかない。生きている者は、生きるため産むために殺生をすることがある。イレギュラーケースとして、生きるか死ぬかの基準の中には存在しない行為、自分の頭を石で殴った自傷行為の事を彼は「悪意」と言う。彼が負傷のために刈上げた頭で真剣に武器を作る姿は、デニーロのタクシードライバーを思い出してしまった。捕らえられた女を救出するために命を懸ける男の話だ。男が女を守り、女は子を産む。この古臭い男女の役割分担という考え方が、現代では禁忌、ストレートには表現できないタブーとなっている。メタファーという鎧で自分を守りながらでないと表現出来なくなり、そのために分かりにくい面白くないと評価されるようになってしまう表現者。13の積み木(ゲド戦記を含む13作品)を積み終わった後は、許されるのであれば悪意の無い跡継ぎにこの場を渡してしまいたい。言葉をしゃべるが中身のないインコみたいな無責任な不特定多数の群衆どももいるこんな世の中だから、最新の注意を払って、自分と自分の周りの大切な人を守って、生きていかなければならないんだなぁ、と。どのように生きるか、という監督からの設問への、これはあくまでもほんの一回答、です。
ちゃかさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-18 15:51:56)
👍 2
51.ネタバレ どうせ、私たちの生きるのは、大叔父の作ったシンプルな原則で理解できるような世界ではなく、眞人が選んだのと同じ、猥雑で不幸なことばっかりのこの世界だ。どう生きようとも、そこで生きるしかないのだ。なんちゃって。
なたねさん [DVD(邦画)] 7点(2024-07-26 21:09:24)
50.言うなれば難解。ファンタジーというより妄想。
(今更ながら💦)セル画では到底なしえないワラワラとした圧倒的な雑踏感。
近年の宮崎作品に特有な要素はてんこ盛りに含まれていて尚且つ暗示的で哲学的な要素を
これでもか!と詰め込んでいるので1度みただけでは理解不能。
ただ言える事は当年82歳にもなる後期高齢者とは到底思えない
底知れないイマジネーションのパワーは見せつけられた気がする。
それこそ頭の中に蟲でも沸いてるのか?と思えるくらいのファンタジー・・・もとい
死生観?或いはインターステラー?・・・とにかく常人に理解できないワールド感に圧倒される。

・・・と4カ月前に思っていたありのままレビュー、今になってようやく投稿できた
理由は分からないが自分の中で咀嚼できなかったか・・・単に忘れていただけか。。。
後者だな、歳も歳だし忘れる事も肝要。それが普通の人
sting★IGGYさん [映画館(邦画)] 7点(2023-11-21 22:50:02)
49.ネタバレ まるで「千と千尋の神隠し」のように隠喩を散りばめた、「ラピュタ」のような冒険活劇、といった作風ですが、そこに戦火の混乱期という時代設定があり、まさに監督宮崎駿、人間宮崎駿の集大成、、と言えそうです。 その内容については、観終えたばかりの浅い解釈を書き並べても安っぽいし、それこそラピュタの方が、千と千尋の方が、、それを延々と書き並べても仕方がない。よって、本作を通して直感的に感じたことを一つだけ。 近年のジブリ映画は、宮崎駿監督 (個人) の哲学的思想が色濃く出ていて、あまり好きになれないところがありました。そこは、まさにラピュタを夢観たクリエイターたちの、歯がゆくも、手出しできない聖域であったと思います。しかし、最後と銘打つ本作を観るかぎりでは、ジブリはまた、ラピュタや千と千尋をやってもいいんだよ、、という、御大の置き土産であり、ありがたい「お言葉」のようにも思えます。 堂々と言うが、エンディングの歌は私の心には全く刺さりませんでした。最近の若いアーティストの歌全般、ほとんど心に響かないし、本作こそ、ユーミンでいいやん? って、心底から思った私は、はるか昔にその感性は取り残されているのかも。しかし、思うに宮崎駿が最後にこの「歌」だから、若い後進たちは、ユーミンに縛られることなく、誰に気兼ねすることなく、これからは好きな歌を自由に歌っていけるはず。 後進たち、クリエイターたち、、ジブリの栄枯盛衰を共に生き抜いた君たちへ。 そして、君たちはどう生きるか。 これは、"監督" 宮崎駿 、からの言葉です。
タケノコさん [映画館(邦画)] 7点(2023-10-03 23:21:46)
👍 2
48.ネタバレ  観ました。
 環境はIMAXのほぼ最上級環境で。宮崎駿作品なら映像&音響の良い所で見とどけないといかんなと思い。

 率直な感想としては、宮崎駿監督、まだまだやるなあ!(感嘆)て感じでした。

 絵が最後まで息切れせずに割としっかりしてたのは、他の人に描いてもらってたんやねと知ったりしました。
 本映画についてはだいぶ前に情報がちらっと出ていて「君たちはどう生きるか」の漫画版が出てちょっと評判になった後に実はそのタイトルで映画を作ろうとしている、という話が出て、そのあとその小説の映画版ではなくて作中の主人公が愛読してる本が『君たちはどう生きるか』だってだけ、という情報が出たりなんかしてたのを見ながら思い出しました。
 『君たちはどう生きるか』と本映画の内容が合ってるかというとほぼ関係なくて、『君たちはどう生きるか』って卑屈と罪悪感と裏切りの話じゃん、てのに対して本映画だと主人公が初期の宮崎駿作品のようにとてもしっかり主人公主人公してて強い意志を持って行動していくので、なんかもう心根が全然違うわけで、まあ別物です。
 まあ、終盤のあの人……が深読みすればそんなような心境の人と言えなくもなく、監督の心情に近い人でもあってそこで共感したのかとか思いましたが元の『君たちはどう生きるか』の主人公の人ってまったく偉い立場の権力を持った人でもないただの普通の人であるのに対して、あなたはもうすでに絶大な権力を持ってて、何を泣き言言ってるんだと言わざるを得ず、なので主人公が話の途中で『君たちはどう生きるか』を読んで泣く場面があるんですけど、いやいやいやあなたのそのキャラクターでその本の話にどう涙できるかさっぱりわからんわ、て感じでしたか。

 で、元の話が現実の普通の人の話なので、現実を舞台にした展開になっていくかと思ってたら、どんどん異様な様相を見せていき、まさにジブリワールド、宮崎駿ワールド全開の破天荒な展開になっていって、そういや宮崎駿監督って、メルヘン・ファンタジーの鬼才でもあったよなあと思いだしたりしました。そっち方向は『思い出のマーニー』ですっかり米林宏昌監督に追い抜かれたと思ってたのですが、いやいやまだまだやるじゃんと。

 でまあ不思議の国のアリスばりのナンセンスな展開をしていくので、途中が、ええ!? なんでそんな風に行くの? みたいな電波的なご都合主義っぽい展開が多いんですけど、宮崎駿監督作品って物語的要請とか映像的説得力の剛腕とテンポの良さで違和感なく話を進めてしまう感性の達人で、ナウシカと同時期にやってた『シュナの旅』でもまさにそうだったわと思いだした感じです。

 本映画で個人的に好きになったのは、いままで自分の言い訳ばかりして体よく装うことに終始してて自分のことでいっぱいいっぱいで勝手な人だと思ってたのが、本作では新進の存在に対して暖かいまなざしで見られるようになったような表現があって、丸くなったなあってところです。

 あと、主人公の母親が主人公を抱きしめて、あんた本当に良い子だねえ! しっかり生まなきゃ! とかいう場面はホロっと来てしまいますね。

 そんなところです。
simさん [映画館(邦画)] 7点(2023-08-30 15:10:09)
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【点数情報】

Review人数 67人
平均点数 5.78点
022.99%
122.99%
222.99%
3710.45%
457.46%
51116.42%
668.96%
71623.88%
81014.93%
934.48%
1034.48%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 3.50点 Review4人
2 ストーリー評価 5.33点 Review9人
3 鑑賞後の後味 6.70点 Review10人
4 音楽評価 5.85点 Review7人
5 感泣評価 5.50点 Review8人

【アカデミー賞 情報】

2023年 96回
長編アニメーション賞宮崎駿受賞 
長編アニメーション賞鈴木敏夫受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2023年 81回
作曲賞久石譲候補(ノミネート) 
アニメ映画賞 受賞 

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