映画『欲望(1966)』の口コミ・レビュー

欲望(1966)

[ヨクボウ]
Blow-Up
(Blowup)
1966年上映時間:111分
平均点:6.80 / 10(Review 40人) (点数分布表示)
公開開始日(1967-06-03)
ドラマサスペンスミステリー小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2017-06-28)【S&S】さん
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監督ミケランジェロ・アントニオーニ
キャストデヴィッド・へミングス(男優)トーマス
ヴァネッサ・レッドグレーヴ(女優)ジェーン
サラ・マイルズ〔1941年生〕(女優)パトリシア
ジェーン・バーキン(女優)ザ・ブロンド
ピーター・ボウルズ(男優)ロン
ジョン・キャッスル〔男優・1940年生〕(男優)ビル
出演ジェフ・ベック本人(“ヤードバース”:ノンクレジット)
ジミー・ペイジ本人(“ヤードバース”:ノンクレジット)
原作ジュリオ・コルタザール「悪魔の涎」
ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本トニーノ・グエッラ
ミケランジェロ・アントニオーニ
エドワード・ボンド英語の会話部分
音楽ハービー・ハンコック
撮影カルロ・ディ・パルマ
製作カルロ・ポンティ
配給MGM
美術アシュトン・ゴートン
衣装ジョセリン・リカーズ(ドレス)
編集フランク・クラーク〔編集〕
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💬口コミ一覧

40.ネタバレ 不思議な映画ですね。空気感が凄い好きです。とくに意味は考えずに見て雰囲気だけで楽しんじゃいました(笑)。写真を拡大していくとそこには殺人者が・・・!という場面はゾゾゾ~としました。映画を見ている自分自身が、気づかぬ内に何者かに見られている、というシチュエーションが個人的には苦手です(褒めてます)。他の映画だと「リング」とか「殺人の追憶」とかにそういう演出があって好きです。しかし思い出してみるとかなり間抜けな絵になってますけどね(笑)。ラストも凄い。人間の精神が徐々に狂っていく様ってこんな感じなんでしょうか。未知の領域を見せられた気分です。
ゆうろうさん [DVD(字幕)] 10点(2012-05-22 00:17:12)
39.ネタバレ 半端なホラーやサスペンスとは比べ物にならないほどの張り詰めた緊張感が映画全体を貫いています。写真を拡大していくシーンが素晴らしい。
作中では折れたギターのネックとプロペラ、拡大に拡大を重ねられた証拠写真と抽象画、死体とテニスボールなど複数の例を取り上げ、真実の主体性と客観性、その曖昧さが鮮やかに描かれています。他人と認識を共有することがどれだけ困難なのか。テニスゲームを見つめ、最後には在る筈のないテニスボールをつかんだ後フッと消える主人公に、何か不気味な怖さがあります。
njldさん [DVD(字幕)] 10点(2008-12-10 01:44:44)
38.ネタバレ 観終わって、なんとも言えない深い余韻に浸った。素晴らしい芸術映画だと思う。自分は観終わったあと、我々が見ている世界、それがいったいなんなのか?という深い疑問が沸き起こった。「写真は真実を写すもの」なんて言葉を聞いたことがあるが、たとえそこに写っていて、一人の人間がその現場を目撃していたとしても複数の人間が観ていなければ、「真実」であるとは言い難い。もし、自分一人が観ていたとしても、それが「真実」であり現実の世界で起こっているかどうかは確証が得られない。ジェフ・ベックが壊したギターのネックが、ライブハウスから出てしまえばなんの価値も無くなってしまうように、その場で得られる何事にも変えがたい記念品は、そこに多くの人間と同じ時間を共有し、その記念品の価値が分るものか、その場に居合わせたものしか記念品の価値は見出せない。ボールやラケットがなくても、複数の人間たちでその世界を共有しあうことで、マイムによるテニスが成立するように、この「現実」と言う世界は成立しているという事表現していると解釈することもできる気がする。
驢馬賭DE弐瑯さん 10点(2004-09-23 01:27:40)
👍 1
37.不条理にこそ本質があるだと語りかけているように感じた。「去年マリエンバートで」における記憶の曖昧さ、不確かさと同じような感じだった。日々流れ行く時間の中で、もがきながら生きている男が観たものは真実なのだろうか、はたまた幻想に過ぎないのだろうか、しかし、他の方が言うように、この映画には結論は重要ではないし、要求することも意味を持たない、ただ、我々は、ミケランジェロ・アントニオーニが作り出す「欲望」という名の無機質で人間味がまるでない映画に身を委ねさえすればいいのだと思う。そうすればなんともいえない高揚を得られると確信している。 いろいろ考えさせられる映画だ。 特にラストのテニスのシーンが鮮烈に印象付けられてしまった。
たましろさん 10点(2004-01-29 23:50:06)
👍 1
36.ネタバレ 映像が分割される。柱や壁や家具や、その物の縁が区画線になっている。そこに人間がいる。窮屈な形でいる。現代人の孤独を表すのか、物と対比された存在だといいたいのか。色遣いも鮮明な明るさを要求している。公園の緑さえどこか人工の緑に見えてくる。あくまで映像は人間の手によるものであるとの主張。いろいろと意味の仕掛けをだしてくる。モデルにマウントポジション、あれこれは○○シーンだね、とか、公園の風、あれは、内面での心が騒いでいるか、不吉の予兆か、ってね。適当に想像しろ、と監督は言っているようだ。プロペラも何かだ。紫の紙の中での○○シーンも何かだ。ライブも何かだ……死体も意味があった。主人公が本当に見たものは何か。否、見るとは何か。そこにあると思っているから見える、とでも言いたいのか。テニスボールのように。現象学的な事を言う。写真家だってとろもミソだな。見る商売だからね。私達もつい主人公と同じように見てしまうしね。ま、監督の仕掛ける罠かな。見る事にどんでんがえしを用意していた。最後は、私はここで主人公が消えたらおもしろいのになぁと思っていたら、あれ、本当に消えた。映画自体も「あると思っているからあるんだよ」と最後の最後まで、見る者を煙に巻く
K-Youngさん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-17 17:04:57)
35.ネタバレ 本来この手の、芸術性の高すぎる映画はあんまり好きではありません。初めて見終わった後は1年くらいモヤモヤ。私は当時15歳で「よくわからんがすごい映画を観た」ということは感じましたが・・正直理解できず、その後何度も見返したり、図書室でアントニオーニ関係の本を読み漁りました。解釈にも飽きてモヤモヤ感も消えたころ、とりあえず私にとって『欲望』は一おしゃれ映画で終わりました。ところが15年くらいたって改めて見たら、もうとんでもない映画。やはり難解ですが、初見ではできなかった気づきや色んな解釈を楽しめました。またバネッサ・レッドグレーブがとても綺麗だったことにびっくり(昔は綺麗というよりは結構オバサンというイメージだった。すいません。)。そしてやはり、ラストシーンのパントマイムがすばらしかった。このシーンを味わうための映画です(と言ってしまうと期待を過大にさせちゃうか?!)。女、ネガ、死体、ボール、主人公。この映画で消えるものが映画そのものの手がかりを消して行き、見るものを煙に巻くのでしょう。アントニオーニの思惑どおりに理解したわけではないけれど、初見のモヤモヤ感が間違いではなかったのだと実感でき嬉しかった。まだ見ていない人にはとりあえず見て!というしかないです。
さん [DVD(字幕)] 9点(2007-03-18 01:44:42)
34.ネタバレ まず、衣装・セット・女性のずば抜けたセンス。そしてカメラワーク。人の目で見ているような息遣いを感じる動と、斜めからフィックスで撮る静のカメラが非常に印象的だった。話はというと、公園で撮った写真を引きのばしていくと殺人現場らしきものが写っていたというもの。こう聞くとサスペンスのようだが、けして違う。それは衝撃的なシーンで合えて効果音や音楽を排除していることからも顕著である。この作品は、人間がその一瞬一瞬に見たこと・感じたこと・思ったことの儚くたゆたっている不確実さを映像化したもの。女には飽きたと言いながらもセックスをするその姿も、ライブハウスから出ればごみ同然となるぶっ壊されたギターも、ひどく気に入って即買いしたプロペラも全てこの象徴であり、その空ろさ故に、その感覚を他者と共有することは限りなく不可能だという真実を示している。出来事は他者にとってはある種全てが虚構であり、何が存在していて何が存在していないのかは問題ではないということが最後のパントマイムテニスにもよく表現されている。気分屋で気難しい写真家という繊細な役柄を見事にこなした演技、混沌とした中から少しずつ形を成してくる抽象画のように、引きのばした粒子の粗い写真から何かを見出すというプロット構成を高く評価したい。
stroheimさん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-15 15:03:10)
👍 1
33.<ネタバレあり>元々殺人も、あの女性さえも存在せず、彼の妄想だったのでは?もっと言うと、冒頭の公共の安宿から彼が出てくる時点から、全てがもう1人の主人公(宿で寝ている老いて落ちぶれた写真家?)の夢だった?なんて見方もできます。観た人の想像にお任せしますというのは、一見無責任のようですが、小説を読んだり、絵を観るのと一緒で、一本の映画についても人それぞれに感じ方が違うのは当然であり、それが一番の楽しみです。たまにはこんな作品を見て色々想像するのも楽しいのでは?とあらためて感じさせてくれる点が、この映画の良いところだと思います。パントマイムは何の象徴だったんでしょうか?
クロマスさん 9点(2003-02-18 02:17:16)
32.退屈な映画と言ってしまえばそれまでですが、不条理な終わり方が最高!推理ものかと一瞬思ったが、なーんにも解決しない。風変わりな男の日常の一遍。
りぃひさん 9点(2003-02-09 19:29:39)
31.ネタバレ 抽象画風のやや難解な映画だ。現代人の「虚無と孤独」が主題だと思う。主人公の写真家は、「現代人、特に男性」を象徴する。経済的に恵まれ、仕事も成功しているが、心は空虚である。移り気で何をしても満足できず、熱中しやすく、冷めやすく、時に人道主義的で、時に冷淡で、女性に惹かれながらも蔑視し、日常生活に飽き、どこか別の世界に行きたいと願う。写真家の人物描写が興味深い。底辺の労務者を撮るが、同情はしない。飛んで階段を登ったり、スライディングして電話をとったりと落ち着きがない。モデル撮影に熱中したかと思うと、さっと止める。静寂を感じると車のクラクションを鳴らす。骨董屋ではプロペラを欲しがるが、スタジオでは見向きもしない。二人の少女と戯れるだけ戯れると、まるで別人となり殺人事件の写真解明に向かう。ライブハウスではギターネックを欲しがるが、通りにでると捨てる。自分というものが無く、周囲の刺激や雰囲気に大きく影響を受けてしまう。殺人事件は事実だ。拡大写真に消音器付拳銃が映っているし、死体も触って確認している。注意深く観ると、デモのプラカードを乗せた写真家の車を追跡する男女同乗の車に気づく。男はレストランを窺っていた怪しい人物で、殺人の実行犯だろう。女は唐突にスタジオに登場したのではなく、追ってきたのだ。スタジオが物色されて写真とネガが奪われたのも、事件が事実であることの証明だ。だが写真家は事件を目撃したという事実に確信が持てなくなる。写真とネガはないし、語るべき相手がいない。抽象画家の恋人と編集者に話すがまるで通じない。画家の恋人には「まるで抽象画」といわれるし、編集者に「何を見た」と訊かれて、「何も」と答えるしかない。「伝達の不毛」「人間関係の不毛」だ。虚無を象徴するのが「無音世界」だろう。無音に耐えきれず、クラクションを鳴らすし、ギターネックに執着したのも音に惹かれたから。公園の死体が消えた後、彼は自分を失って彷徨う。カメラだけを信じて生きて来たのに、それさえも信じられなくなった。そこでパントマイム・テニスの無音世界に出遭う。影響されやすい写真家は、パントマイムに参加し、見えない球を投げ返す。すると聞こえるはずのない打球音が聞こえてくる。無音世界が真実になったとき、写真家の姿は消えた。意識ともども無音世界に行ってしまった。60年代ロンドンの現代アートを刻み込んだ貴重な作品。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 8点(2013-09-15 14:42:03)
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30.原作フリオ・コルタサルの数ページの短編を膨らましまくった作品あり、アントニオーニ監督の中でも最もポップに楽しめる作品だと思います。ストーリーの筋の良さというよりも、「芸術における現実とは?そして現実における芸術とは?」と、観ている側が自問自答するうちに訳が分からない世界に没入していく感じのサスペンスに仕上がっています。
hayakawadotcomさん [ビデオ(字幕)] 8点(2013-01-29 03:31:03)
29.ネタバレ 緑の公園の木々のざわめきのなかでシャッターをきりまくる。写真の中に映り込む殺人事件。引き伸ばし(Blow Up)作業だけで見せる映画は、いうまでもなく、コギト主義的な認識のあり方に対する根本的な反抗(こういうナイーヴな表現も似合う時代の映画)である。
ひと3さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-11 22:59:37)
28.ネタバレ 大好きなミケランジェロ・アントニオーニ監督。
その作品群の中でも『太陽はひとりぼっち』の次に好きな本作。

観てから時間が経っても頭の中で色んなシーンがどんどん浮かび上がってくる。

とにかく不思議でとてつもない魔力がこめられた作品だ。


「不思議でいて騒々しく、それでいて心地よい風」が吹きすさぶ公園。

その後のゾクゾクするような現像シーン(ブロー・アップ・シーン)。
写真をどんどん引き伸ばしていって、いきなり人の手らしきモノが現れた時の、あの驚き。
すごすぎます。

そして更に引き伸ばしたら、見やすくなるどころか逆に見えなくなってしまったという顛末。

一定距離でしか見えないものは、そこに存在すると言えるのだろうか?言い切れるのだろうか?

存在の不確かさ。逆に不存在の曖昧さ。
どちらが存在するもので、どちらが存在しないものなのか?

それすらも終盤には分からなくなる。非常に哲学的な作品。
考えさせられます。
にじばぶさん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-03 16:01:07)
27.サスペンスフルな哲学ワールドを、青いギンガムチェックのシャツと白いパンツ姿のD・ヘミングスが迷走する。花形ファッション・カメラマンの地位にも倦んだ彼がふと手にした1本のネガは、退屈な日常から奇妙な世界への扉の鍵となる。V・レッドグレーヴの謎の美女、クラブで演奏するツインリードのヤードバーズ、グルーピーよろしくカメラマンに纏わりつくJ・バーキンといった布陣も華やかに作品を彩るが、本質は極めて観念的。見えたもの見えないもの、在るもの在ったはずのもの。見慣れた風景も突如新しい顔を見せ、彼は自分が物事の表層しか見ていなかったことに気づく。わずか一夜でその世界はまた閉じるのだが、一度中に入った彼には開かれたままであり続けるのだろうか。オースティン・パワーズにも影響を与えたスタイリッシュな幻惑。(この映画のJPはまだ使用前て感じですが、ジェフは殿堂入りした今でもこの頃と全然変りませんね)
レインさん [映画館(字幕)] 8点(2007-07-16 13:24:21)
26.最初にお断りしておきます、ストーリーはよく理解できません。でもDVDを購入してしまいました。理由はストーリー以外のところが良すぎるから(笑)。ファッションオタクなら序盤の撮影シーンはヨダレものでしょう(ペギー・モフィットのゴテゴテメイクがカッコいい)。これ、約40年前の映画ですが、ライブシーンとか、俳優のファッションとか、ロンドンってあんまり今と変わらないように見えますね。今見てもおしゃれです。ロンドンのストリートファッションって「流行」じゃないんだなぁ。建物も変わらないしね。デヴィッド・ヘミングス、カッコいいなあ。ヴァネッサ・レッドグレーブ(若い!)きれいだなあ。申し訳ないんですけど、個人的にはモッズ期まっさかりのロンドンを切り取った貴重な映像として位置づけさせて頂いております。あ、チョイ役のジェーン・バーキンはまだ、やや魅力ないなあ。ゲンズブールに出会う前だからかなあ?
ミカエルさん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-05 22:07:49)
25.え・・・今回、我輩が紹介する映画は『欲望(’66)』です。本作は色々な意味で凄いため、感想を上手く言葉に出来ません!よって多くの事はあえて語りません。ご了承ください。(中略) さて次に印象に残ったところを語っちゃいましょう。我輩のReviewを定期的に読まれている方、我輩がどういう人間かを大体知ってる方は予想が付くかもしれません。何々?付かない?それは困りましたねぇ・・・では、よ~し、バラシちゃいます。ズバリ、ヤードバーズのライヴであります!なんとぉ、、、ジェフ・ベック大先生、そしてジミー・ペイジ大先生が出てるじゃありませんか!コノ2人の競演が見られるだけで・・・我輩の様な重症ファンは失禁モノなり(笑)ジェフはギターを壊す!壊す!壊す!の3連発~!!!初めてギターを壊すシーン、見ました。そしてアンプも壊す!壊す!壊す!の3連発~!!!恐ろしいベック先生でした。ジミーは地味だな(笑)とはいえ細くてカッコいいよ!今じゃ・・・中国人説が流れるくらいアジア人ぽいオヤジになっちゃったからねぇ(苦笑)点数は合格ラインの8点です。もしエリック(・クラプトン)師匠が出てたら文句なしに9点!まあコノ時点で彼はバンドのポップ路線が嫌で脱退してて無理たけどね・・・あはは(苦笑) ≪追伸≫ ヤードバーズについて語るのは我輩と月子さまの2人だけですね。いやはや嬉しいですわ(?)
ピルグリムさん 8点(2004-08-11 20:58:48)
😂 1
24.とても哲学的な映画ですね。真理の追究、意味、関係的と現象的、そういったことが要素としてあると考えられます。「人間は意味を求める動物である」とヴィクター・フランクルは言いましたけど、証拠や死体が消失する様はまさに意味の喪失だと言えます。トーマスは写真を並べて物語を構成し、意味付けを行う。それで殺人事件だと判断して、自分で公園に行って死体を見つける。だけど写真は盗まれ死体も消えてしまう。意味がなくなってしまった。それって不条理でしょう。現実というのは不条理の世界ですから。その後のギターを壊して、その破片を手に入れて外に出たら捨ててしまう、ていうのも、要するにあのライブハウスの中では貴重なものだという意味付けが、外へ出たらなくなって単なるゴミに変わってしまう。現実の不条理さを端的に表していると思う。その後で友人と死体を一緒に見に行ってくれと誘い、写真を撮ろうとする。これは現象的と関係的の要素があります。例えば、幻覚を見たら、それは関係的にはその幻覚で見えているものはないものだと言う事になるけど、現象的に言ったらあることになる。幻覚が見えている人にはそれは実存するわけです。トーマスは、自分の見たものは実際に存在するものだと証明するために、友人を誘って、写真を撮ろうとした。関係的証拠を求めた。だけど、断られ、一人で見に行ったら死体は亡くなってた。自分の見たものは果たして本当に存在したといえるのか?「誰もいない森で木が倒れたら音がするか?」というおきまりの哲学的問題がありますけど、この場合は、物的証拠がない場合、自分の見た殺人事件は、死体は、本当にあったと言えるのか?裁判だったら物的証拠がなければ裏付けがないので存在しないことになっちゃう。ラストの見えないテニスもそういう要素を含んでるし、最後は主人公がさーっと消えて終わる。あの最後によってこの問いが観客に向けられる。この主人公は、実際に存在したと言えるのか?例えば、世界には60億を越える人間がいるけれど、あなたはそのほとんどの人と出会ったことはない。出会ったことがない人を存在しているとどうして言えるのか?この映画は真理を求めようとして意味を喪失してしまうなんとも不条理な映画です。だから僕がこうやってこの映画に意味付けをしても、この映画はするりとその意味付けをかわしてしまう!まるで救い上げようとしても、手からこぼれおちる水のように。
あろえりーなさん 8点(2004-07-24 03:10:14)
👍 2
23.いいですねコレ。鮮やかな色彩と、静寂。ホントに「夢」の中にいるような感覚。おもしろいとは言いがたいけど、低い点はつけられないなあ。
RITAさん 8点(2004-06-05 11:53:28)
22.ストーリーはまぁあってないようなモノですが。。。音楽と映像で5点位上がってます。メイクやファッションが60年代って感じでいいと思います。最後のシーンは特筆すべき美しさだと思うんですが。
さみーさん 8点(2003-04-21 21:25:28)
21.人間の欲に対する執着時における盲点を、スタイリッシュな感覚で表現した作品。
序盤は主人公の性格描写を中心に、中盤はサスペンス調へと展開、
終盤は抽象的な映像演出でテーマをまとめてます。とても変わった構成で想像力も使うけど、
すべて一本の線で繋がっているので、そこを見失わなければ、理解はできるかと。
TVドラマなどでは、まずお目にかかれない作りの映画。面白い。
MAHITOさん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-07 07:58:17)
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【点数情報】

Review人数 40人
平均点数 6.80点
000.00%
100.00%
237.50%
325.00%
425.00%
5410.00%
637.50%
7717.50%
81025.00%
9512.50%
10410.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 3.60点 Review5人
2 ストーリー評価 7.60点 Review5人
3 鑑賞後の後味 8.75点 Review4人
4 音楽評価 7.66点 Review6人
5 感泣評価 Review0人

【アカデミー賞 情報】

1966年 39回
監督賞ミケランジェロ・アントニオーニ候補(ノミネート) 
脚本賞トニーノ・グエッラ候補(ノミネート) 
脚本賞ミケランジェロ・アントニオーニ候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

1966年 24回
外国語映画賞 候補(ノミネート)(英語外国映画賞として)

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