映画『酔いどれ天使』の口コミ・レビュー

酔いどれ天使

[ヨイドレテンシ]
Drunken Angel
1948年上映時間:98分
平均点:7.12 / 10(Review 60人) (点数分布表示)
ドラマ医学ものモノクロ映画ヤクザ・マフィア
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2025-03-17)【イニシャルK】さん
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監督黒澤明
演出小林恒夫(演出補佐)
キャスト三船敏郎(男優)松永
志村喬(男優)眞田
山本禮三郎(男優)岡田
木暮実千代(女優)奈々江
中北千枝子(女優)美代
千石規子(女優)ぎん
久我美子(女優)セーラー服の少女
進藤英太郎(男優)高浜
清水将夫(男優)親分
殿山泰司(男優)ひさごの親爺
堺左千夫(男優)ギターの与太者
大村千吉(男優)ヤクザの子分
谷晃(男優)ヤクザの子分
飯田蝶子(女優)婆や
笠置シヅ子(女優)「ブギ」を唄ふ女
宇野晃司(男優)
脚本黒澤明
植草圭之助
音楽早坂文雄
作詞黒澤明「ジャングル・ブギー」
作曲服部良一「ジャングル・ブギー」
撮影伊藤武夫
製作本木荘二郎
配給東宝
美術松山崇
村木与四郎(美術助手)
ヘアメイクうしおそうじ(刺青)(ノンクレジット)
録音小沼渡
あらすじ
眞田医師は闇市の近くで開業する貧乏医者。昼間から酒をあおり、口も悪いが、シャイな性格で正義感も強い。ある日ヤミ市の顔役松永がピストルの創の手当を受けにやってくる。眞田は、松永の結核を疑い、治療を受けることをすすめるが、松永は全く取り合わない。強がりを言い相変わらず酒と女の日々の松永だが、兄貴分の岡田が出所してくると、羽振りも落ち目になり、身体も徐々に病魔に蝕まれてくる。松永の中の汚れていない部分に共感を示す眞田は、しつこく安静を迫る…。
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💬口コミ一覧

60. もう4,5回は観ている作品で、それは何度も観たくなる魅力があるから。
 飲んだくれの町医者が、結核を患ったヤクザの若頭を診てやるうちに、父性のような感情が沸いていき、翌年の『野良犬』における若造=三船敏郎、古株=志村喬というパターリズム的な関係性がこの作品ですでに十分に漂っている。
 また、黒澤作品としては珍しく「任侠」の世界に踏み込み、かつ痛烈なヤクザ批判を観る者に浴びせているのも見どころである。
 ただ、本質的なメッセージは、眞田医師が何度か口にしていた「理性」とは、松永のようなヤクザ者が欲しいままにする「欲望」とぶつかり合った場合、どちらが生きる上での「力」となるのか、という「人間」のあり方を問うところにあるように感じた。眞田にしても、松永にガミガミと「お前は病人なんだから、ああしろ、こうしろ」と説教しておきながら、自分は昼間から勤務中でも酒浸りなのだから。
 それにしても、三船が前半のギラギラしたエネルギー満タンの風貌から、後半の病状が悪化して瘦せ衰えて死神のような風貌への変貌ぶりが凄まじい。この役作りもさることながら、「滅びの美学」ともいうべき松永の最期を体を張ったアクションで見事に飾ってみせた三船の役者魂。あれはかなり危険度の高い演技だったに違いないが、まさに日本映画屈指の名ラストシーンといえる。
 そこには、敗戦後の日本が「何が何でも立ち上がってやる、簡単に死んでたまるか」という尖ったバイタリティを感じざるを得ない。
あやかしもどきさん [DVD(邦画)] 10点(2025-06-22 03:36:46)
59.ネタバレ 1948年の黒澤明監督映画。
結核を患うヤクザ松永をなんとか治療しようとする医師真田の物語。
この映画のテーマは2つある。
1つは反社会的勢力的な意味である。
松永はヤクザの仁義を信じて疑わないある意味で純粋な人間であるのだが、ヤクザの仁義などというものは虚像であり、惨めな末路を辿る。
もう1つは理性である。
理性と欲望の間で葛藤する松永であるが、岡田の登場を機に欲望に溺れていく。
対照的に最後まで理性を失わず真面目に結核と向き合い松永とは正反対の結末を迎える。
黒澤明は、バラが沼へ沈んでゆくシーン、クライマックスで飲み屋の女が女学生と真田に見せる目など、洗練された演出でこのテーマを完璧に魅せる。
そして俳優陣の素晴らしさがそれを際立てる。
反骨心溢れる演技を見せた主人公真田役の志村喬も勿論素晴らしいが、熱いギラギラとした演技を見せとてつもない存在感を表した三船敏郎が素晴らしい。
黒澤明監督映画の中でも1、2を争う傑作である。
こしちさん [DVD(邦画)] 10点(2014-08-07 21:33:40)
58.ネタバレ 若い三船敏郎さんの格好よさ、美しさに見惚れました。作品の随所に出てくるもの悲しいギターの音色がとても効果的です。敵役のひとの登場場面は「よ、待ってました!」的な格好よさで、娯楽映画のツボをおさえているなあと感心しました。三船さんがペンキで真っ白に染まって死んでいく場面の凄絶さは、映画史上に残る美しさだと思います。
藤堂直己さん [DVD(字幕)] 10点(2006-02-11 14:02:50)
57.とにかく三船に驚いた。、、、、美しい、、、、、、、、、。この三船を見て、黒澤が、羅生門や七人の侍で何を描きたかったのかに合点がいった気がした。(歌舞伎の所作などに染まっていない、無垢な三船を時代劇で使う、という囚われない斬新さ)、、、、、、それと黒澤のリアリズムのありかが、少しわかった気がした。、、、、、口で理想的な生を語ることは容易だが、実際にそれを送ることは難しい。様々に現実との格闘を必要とする。つまり理想は、現実との格闘を経て鍛えられてゆく。、、、、だから、黒澤は、理想に対して、これでもか、これでもかという程に現実(リアルなもの)を対比させてゆく。、、、、この映画では、久我美子が純粋な理想を象徴しているだけで、あとは、大なり小なり、理想と現実の間を格闘している。志村喬は、医術に殉じるのではなく、酔いどれるという現実を抱え、三船は、病を治し、足を洗うという理想には全く届かない。、、、、、、、映画全体として、理想の姿はかぼそいが、ラストの久我、千石とのコントラストは、微かであっても、理想の姿を追うのだという黒澤の固い決意を見た思いがした。
王の七つの森さん [DVD(字幕)] 10点(2005-06-28 12:48:50)
👍 1
56.この1作でミフネではなく志村喬にハマリました。最初の方で、汚染しまくった沼を睨み付ける眼、(やくざを見る目と同じ)ミフネに飛ばした左手のビンタ。(親子のような情愛を感じた)素敵です。
プリさん 10点(2002-10-20 08:00:52)
55.ネタバレ 日頃から札付きのチンピラみたいな顔の三船がヤクザの「松永」を好演。

デビュー作「銀嶺の果て」から既に雄の匂いがプンプンしていたが、この映画でそれが爆発。
演技は駆け出しホヤホヤのチグハグで、何を言ってるか訳わかめ。
字幕があっても声が聞き取れねえ。

ただこの男が醸し出すオーラ!
戦争の暗さを背負い、それに負けない笑顔と怒りに満ちた三船敏郎は演技を超えた凄みを感じる。
地のオーラと動きで魅せる。

マキノ雅弘の「抱擁」でスマートなヤクザを演じていたのとは対照的だ。

オマケに仲間のヤクザに裏切られようともまだ仁義があると頑なに信じる松永。何度裏切られようとも。
酔いどれの医者に気遣われた恩を忘れずに庇い、「こんな腐った泥の中にも、一輪の蓮の花が残ってるはずだ」と信じ続ける。泥の中に咲く蓮の花を・・・。
こんなヤクザに同情すんなって方が無理だよチクショウ。

最後までヤクザを貫く山本礼三郎の存在も圧倒的。機銃のようにギターを抱えていやがる。

千石規子と久我美子は最高の癒し。
「静かなる決闘」の千石規子も良かったぜ。久我美子の初々しさが「白痴」であそこまで変貌しようとは思わなんだ。

壮絶な決着の後に、静かな感動をもたらしてくれる。
ペンキ塗れの壮絶な散り様は「野良犬」のクライマックスで“色”がつくラストにも繋がっている。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:29:58)
54.黒沢映画のマイベスト。すぐに物を投げる志村、黒沢作品初の三船、「ジャングル・ブギ」を歌う笠置シヅ子、余りにも可憐な久我美子、威圧的なギョロ目の山本礼三郎、妖艶な木暮実千代、全てが素晴らしかった。
丹羽飄逸さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-01-02 18:25:04)
53.先に『七人の侍』や『生きる』を観ていたため、本作における志村喬の暴れっぷりにはちょっと驚かされました。しかし本作はやはり三船敏郎に尽きる。個人的には菊千代・桑畑三十郎と並ぶ彼のベストアクトだと思います。
とかげ12号さん [ビデオ(吹替)] 9点(2005-11-20 17:43:38)
52.ドヤ街の外れの沼からあぶくがブクブクと浮かぶシーン、混沌としたこの時代、そしてこの映画のイメージを決定づけ、強烈な残像感を伴っていつまでも心に残ります。
放浪紳士チャーリーさん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-07 14:02:02)
51.三船敏郎が凄いギラギラしてていい。
夏目さん [映画館(字幕)] 9点(2004-06-12 11:44:18)
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50.三船の画面から飛び出してきそうなギラギラした迫力がすごい。台詞が聞き取りにくさなんて、ちっとも気にならなかった。夏の季節感の出し方が抜群、これは「野良犬」にも感じたことだ。物干し竿で、死んだ三船を捉えたカメラの動きに注目。ちょっとした場面のカメラの動きが素晴らしい。
ひろみつさん 9点(2003-11-06 22:35:10)
👍 1
49.黒沢曰く、「これが俺だ」。黒澤監督が自分流を見つけた記念すべき傑作。道徳を描きつつも、三船敏郎演じる結核もちのヤクザが、主人公より出てくるを抑さえきれなかったという。これが効きました。黒澤、三船の黄金コンビスタート。戦後の混沌としてよどんだ町は、生きるものの力を感じる。
チューンさん [映画館(字幕)] 9点(2003-06-27 02:05:09)
48.三船が最期に倒れる物干し場(?)のシーンに黒澤の底力をまざまざと見せつけられた。
るーすさん 9点(2003-02-15 23:38:10)
47.ネタバレ もちろん酔いどれ天使の志村喬さんは良いのですが、やはり三船敏郎のギラギラとした感じが凄まじく、これ以降、黒澤映画の主役として圧倒的なスター性を放ち活躍することになるのも頷けます。黒澤監督もきっと三船のシーンの方が撮っていて面白くなってしまったのではないかと思わせるほどです。例えば、最後に岡田の所へ殴り込み行くシーンが素晴らしく、実際はそう長くない?廊下を長く使って見せ、乱闘の末にペンキでベトベトになって物干し場で事切れる松永の姿は強く心に残るものがあります。あの場面が素晴らしいあまりに、その後にあるエピローグの部分が全くの蛇足に見えてしまうほどです。
ミスター・グレイさん [ビデオ(邦画)] 8点(2010-04-06 18:27:56)
46.ネタバレ ふきだめの沼、猛暑、バルコニーでの死など印象的なシーンがおおい。しかし人間模様は清清しい。
ホットチョコレートさん [ビデオ(邦画)] 8点(2009-05-24 08:49:20)
45.ネタバレ 黒澤監督に駄作無し!
またこの言葉を繰り返さなければならなくなった。

セリフが洒落ている。聞きづらいので、字幕入りで鑑賞。面白い!
相変わらず天才の演出ぶりに唸る。
ダンスホールの赤沢か、岡田か選ぶシーンは面白い。

黒澤作品全部に言えることなのだろうが、ハートがある映画なんだよね。
手塚治虫のブラックジャックは、これはヒントじゃなかろうか?などと思ってしまった。
最後は、「灰とダイヤモンド」の黒澤流アレンジと見たが、如何かな?(笑)
トントさん [DVD(邦画)] 8点(2008-04-23 18:09:57)
44.日本のヤクザものはどうしても好きになれないけど、この映画だけは別です。若き三船敏郎の他の黒澤作品とはまた違った魅力いっぱいの演技と志村喬の名演技のお陰で見応え十分の作品になっています。
青観さん [地上波(字幕)] 8点(2005-07-02 18:49:59)
43.棺桶の夢のシーンが印象的。なかなか病気からは逃げられない、と。クライマックスで、松永が死に物狂いで開けた扉から光がブワッと入ってくるのも印象に残りました。
ゆうろうさん 8点(2005-03-18 00:06:51)
42.強がっているが実は結核で重病のヤクザの松永、それが気になり親身になって説教し手を差し伸べる眞田は酔いどれ(アル中)ではあるが人情味ある医者、というのは後の赤ひげの原型か。彼が言う言葉は正論だがあえて難を言えばセリフが語りすぎてやや説教くさい気もする。
三船も志村さんもいいのでそれは当然見所なのだが、松永の見る棺おけの夢がシュールだったり、松永と岡田のペンキまみれの死闘、松永の死に様など映像的に印象的なシーンも多い。
その他にも小暮美千代ってこんなにバタくさい美人だったのかとか、千石規子が三船を口説いてるってのもすごいねぇとか、久我美子がなんてはつらつとしてて若いんでしょとか古い作品にはいろんな驚きや楽しみがあって面白い。
キリコさん 8点(2004-08-29 14:26:58)
41.確かに三船も良かったけど、それ以上に志村喬の「生きる」からは想像も出来ないような演技に驚いた。
ボーリックさん 8点(2004-02-03 02:08:04)
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マーク説明
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《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 60人
平均点数 7.12点
000.00%
100.00%
200.00%
311.67%
423.33%
558.33%
61626.67%
71118.33%
81220.00%
9813.33%
1058.33%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.00点 Review2人
2 ストーリー評価 8.25点 Review4人
3 鑑賞後の後味 8.00点 Review4人
4 音楽評価 7.66点 Review3人
5 感泣評価 8.33点 Review3人

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