映画『山猫』の口コミ・レビュー

山猫

[ヤマネコ]
The Leopard
(Il Gattopardo)
1963年上映時間:161分
平均点:7.10 / 10(Review 30人) (点数分布表示)
公開開始日(1964-01-18)
ドラマ戦争もの歴史もの小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2022-05-30)【Olias】さん
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監督ルキノ・ヴィスコンティ
キャストバート・ランカスター(男優)ドン・ファブリツィオ
アラン・ドロン(男優)タンクレディ
クラウディア・カルディナーレ(女優)アンジェリカ
パオロ・ストッパ(男優)ドン・カロジェロ
リナ・モレリ(女優)ステラ
ロモロ・ヴァッリ(男優)ピローネ神父
テレンス・ヒル(男優)カヴリアギ伯爵
ルッチラ・モルラッキ(女優)コンチェッタ
ピエール・クレマンティ(男優)パオロ
ジュリアーノ・ジェンマ(男優)ガリバルディ軍将軍
オッタビア・ピッコロ(女優)カテリーナ
セルジュ・レジアニ(男優)トメオ
マリー・ベル(女優)(ノンクレジット)
久松保夫ドン・ファブリツィオ(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日】)
堀勝之祐タンクレディ(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日】)
小原乃梨子アンジェリカ(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日】)
宮川洋一ピローネ神父(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日】)
山田康雄カヴリアギ伯爵(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日】)
細井重之(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日】)
大宮悌二(日本語吹き替え版【1971年テレビ朝日/1988年テレビ朝日】)
有川博ドン・ファブリツィオ(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
井上和彦タンクレディ(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
山田栄子アンジェリカ(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
江原正士ガリバルディ軍将軍(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
大塚芳忠カヴリアギ伯爵(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
青野武(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
仲木隆司(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
京田尚子(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
沼波輝枝(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
筈見純(日本語吹き替え版【1988年テレビ朝日】)
原作ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ
脚本ルキノ・ヴィスコンティ
スーゾ・チェッキ・ダミーコ
エンリコ・メディオーリ
パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ
マッシモ・フランチオーザ
音楽ニーノ・ロータ
撮影ジュゼッペ・ロトゥンノ
製作ゴッフレード・ロンバルド
美術マリオ・ガルブリア
衣装ピエロ・トージ
編集マリオ・セランドレイ
あらすじ
19世紀後半、貴族に分割統治されていたイタリアを他ヨーロッパ諸国と同じ近代統一国家にまとめようとしたのはガリバルディに率られた赤シャツ党員などの庶民だった。旧体制を頑なに擁護するシシリアの貴族ドン・ファブリツィオは、自分を慕う若い女たちと別れて赤シャツ党に合流しようとする甥のタンクレディを暖かく送り出す。しかし、イタリア統一運動に干渉する外国勢力と赤シャツ党との激しい衝突を収めるためにサルジニア島の領主(国王)ヴィットリオ・エマニュエレ二世が立ち上がり、大勢は国内旧勢力のエマニュエレに傾いていく。
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💬口コミ一覧

30.ネタバレ 完全版で鑑賞。一大叙事詩という意味では「バリー・リンドン」と似ている。こちらはもっと人物描写に力を入れながらも、一つの時代の終焉を描く。時代の終焉とはすなわち、その時代の象徴であるサリーナ公爵の内面の死を意味する。ラスト、大舞踏会のシーンでサリーナ公爵が予感する「老い」や「死」とは決してサリーナ公爵という人物の死という意味のような生やさしいものではない。自分の生きてきた、信じてきたイデオロギーの死を確信しているのである。重厚な演技と相まって、えもいわれぬ哀愁と尊厳をそこに感じる。また、この時代考証と徹底的な絵作りは凝っている、なんてレベルではなく、1860年代当時のイタリア(もちろん見たことはないが)そのものである。
Balrogさん [DVD(字幕)] 10点(2010-10-01 15:34:25)
29.サリナ公爵、そうとう腹黒い男と見た。政局が不安定なイタリアの議員になるより、甥の義父に恩を売った方が得だと計算したんだな。
Snowbugさん [DVD(字幕)] 10点(2007-07-26 18:06:34)
28.貴族出身のヴィスコンティによる貴族のいやらしさと崩壊を描いた傑作だと思う。ヴィスコンティの作品は貴族の退廃といいますか、貴族の内幕モノという印象があります。アラン・ドロンがクラウディア・カルデナーレに婚約指輪を贈る、大喜びする彼女。けれど平民の娘である彼女にはそれなりの指輪を選んでいるのね。同じ貴族に「安物ですよ」と囁くドロン、貴族のいやらしさがうまく描かれていたシーンだと思う。細かな演出、特にバート・ランカスターの気品ある振る舞い所作など見事です。豪華絢爛、これぞ映画を観た!と堪能できる作品。
envyさん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-12-06 23:57:02)
27.”現状を守りたければ、変わらなければならない””獅子と山猫の時代は終わった、 あとは、ハイエナと羊が残るのみ。 ... ”地方の郵政貴族の没落と21世紀の日本国を予見したような傑作です。
Waffeさん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-09-13 03:59:00)
😂 1
26.この映画にもう少し早く出会っていたかった。
みんな嫌いさん [DVD(字幕)] 9点(2011-10-30 01:48:20)
25.最も豪華な、最も優美な、あるいは最も壮大な映画は何か?と問われれば、それは「山猫」であると答えるでしょう。 画面の隅から隅まで、いやおそらく映っていない外側の部分でさえも雅であろうと思えるほどで、その一部たりとも隙のない華やかな世界で落日してゆく貴族をバート・ランカスターが見事に体現しています。本来なら全く興味が湧かない貴族社会の舞踏会の様子が永遠と描かれているのに退屈せず、特に心理描写があるわけでもないのですが、涙をながすランカスターに訳もなく泣かされてしまうのですから、これはもう凄いとしか言い様がありません。
ミスター・グレイさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-13 18:43:30)
24.ネタバレ 冒頭からニーノ・ロータの荘厳な音楽に、何か只ならぬ物語の幕開けを予感させる。個人的にガリバルディについてはあまりよく知らなかったのですが、それでも政治的変化による社会混乱によって翻弄される一家の一大叙事詩ということで大いに楽しめました。行動力の強いシチリア貴族演じるアラン・ドロン、特に前半部分の眼帯を付けた彼の姿はまさにベスト・オブ・ドロンと呼ぶに相応しい凛々しさです。大人の味わいを感じさせるバート・ランカスターは、劇中の「シチリアが2500年の間植民地だったのは我々の責任であり、我々は疲れ果て力尽きたのだ」という台詞に彼の人間性が集約されているような気がします。又、後半部分の随所に広がる美術の数々はヴィスコンティならではの豪華絢爛ぶりで、無駄な字幕を読んでいて見過ごすのが勿体無いほどの美しさです。
かんたーたさん [ビデオ(字幕)] 9点(2004-11-11 21:19:45)
👍 2
23.ちょうど時代の転換期に生き、変革の必要性を十分に理解しながらも自分は旧体制側の人間だと自覚している公爵の姿が孤高で切なくて胸を打つ。これまで通りの生活が永遠に続くと思っている様子の単純な公爵夫人や、新しい時代の象徴であるがやや品位の欠ける中産階級との対比が見事。
みねこさん 9点(2004-01-10 23:32:46)
👍 2
22.巨匠ビスコンティが落ち着きのある手慣れた筆致で、移りゆく時代を理解しながらも受け入れる事の出来ない封建領主の心情を見事に描ききったさすがの一本です。ヘルムート・バーガーは出ていませんが、アラン・ドロンもクラウディア・カルディナーレもとても綺麗だし、バート・ランカスターの渋く、抑えた演技は当然の如く絶品です。私としてはビスコンティを初めて見るなら、むしろこれを薦めたいですね。それから家族の肖像を十分に堪能していただいて、次に地獄ではまって下さい。
GRAY GHOSTさん 9点(2003-04-13 03:26:57)
👍 1
21.観てて、「斜陽」という言葉が脳裏に浮かびます。時代の流れの中で徐々に滅びゆくものたちの、最後の輝き。。バート・ランカスターはガッシリしてるし、アラン・ドロンは若々しいし、クラウディア・カルディナーレはキャピキャピしてるんだけど、ここに描かれている「旧時代の貴族社会」そのものが年老いてて、もう、先は無いんだなあ、という想いが湧いてきます。
そもそも舞台がシチリア島で、屋内には確かに豪奢な貴族社会があるけれど、一歩外に出て見りゃ、ハッキリ言って、
ド田舎
なワケです。しかしそのド田舎にも、時代の移り変わりの不穏な動きが、徐々に伝わってくる。こんなところに兵士の死体が。
映画後半に展開される舞踏会。貴族らしい豪華さはあるけれど、何やら老朽感めいたものも散見されます。冒頭の昼のシーンでは窓が開けられカーテンが優雅に揺れていたけれど、夜の舞踏会では窓が閉められ、その中でバート・ランカスターやアラン・ドロンが汗だくになっている。その姿が、何やら病人めいたものすらも感じさせて、あーこりゃもう先は長くないなあ、と。
ラストで去り行くバート・ランカスターの姿が何とも寂しくって、本作と言い、『カサンドラ・クロス』と言い、こういうのが似合う人ですなあ。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-07 09:15:48)
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20.ネタバレ あのヴィスコンティの佳作。ワルツのシーンだけでも、大満足。退廃的な美学を扱ったら、この人以外にいません。政治家の小沢一郎氏の好きな作品だそうです。それは、年老いたる主人公と自分(小沢氏)を重ね合わせてのでしょう。でも、周りに悪魔的な魅力を放つドロンがいるでしょうか?アラン・ドロンの悪魔的な魅力・カルディナーレの野性的な魅力も満喫できます。
にけさん [映画館(字幕)] 8点(2018-12-21 15:18:44)
19.静かな祈りの時間に、次第に高まってくる外の騒がしい声。この人の映画は、下り坂にかかる者の前に、不吉の影がよぎるところから始まる。闖入者たちはしかし次の時代の主流であり、それを公爵自身が一番よく知っている。だからといって潔く滅びようとするわけでもなく、けっこううまく立ち回ろうともする。そこらへんの複雑さが、また魅力にもなる。カルディナーレに対する恋情(と言うより欲情か)を自覚し、翻弄されていることも自覚している苦さ。ここらへんの演技が見事。階級的衰退と、個人としての体力の衰退とが重なっている。しかもこの娘、自分のとこの小作の孫なのだ。衰退にある程度抵抗はしながら、全体そういう流れなのは仕方がないと、最後は受け入れてしまうだろう自分を納得する広さも持っている。タンクレディが赤シャツ隊に入るのを微笑んで見送るように。すべてを受け入れ、時の流れを肯定し、しかしやはり前時代の人間としての孤独に入っていくというところでラストの感動があるわけ。革命のさなかに悠々と決められたとおりに避暑に出かける人物が、冒頭で神父に盛んに毒づいていた人物が、敬虔な祈りを捧げるの。いつもながら人物の配置が美的。必ず控えている人物がいたり、奥で優雅に刺繍している娘がいたりする。そしてカーテンのそよぎ。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 8点(2012-07-07 10:01:32)
👍 1
18.ネタバレ 【史実】イタリア統一運動(1815年~1871年)。1848年の革命で「ローマ共和国」成るがすぐ崩壊。サルデーニャ王国が北イタリアを統一。ガリバルディが義勇軍として、千人隊を率いてシチリア、ナポリを解放。統一の英雄となる。中部イタリアでは住民投票によってサルデーニャ王国への併合を決めた。この時の旗に、現在のイタリア国旗である赤白緑の三色旗を基本としたものが用いられた。1861年にはイタリアはほぼ統一され、「イタリア王国」成立。
【感想】王制の終焉を迎え、没落してゆくイタリア貴族(封建領主)を描いた作品。崩壊貴族にさほど興味はないが、歴史や文化の勉強には役立つ。当時の貴族を豪勢に演出してくれた監督に感謝。愛惜の籠った作品で、これこそ映画だ。◆日本とは違う風習が目についた。先ずその信心深さに驚く。家族揃って聖書を朗読する祈祷の時間。土曜日ごとの告解。旅に出るにも神父を連れ。神父が秘書を兼ねているのか。神父の教会はおんぼろ。別荘のある領地に着くと、村人総出で歓迎してくれ、そのまま教会で歓迎セレモニーが始まる。週に三日の舞踏会。飛び跳ねる踊り。公爵は愛人に逢いに行くが、それは神父公認で、訪ねるアパートが貧民層にある。妻はとび抜けて信心深く、夫にへそも見せない。◆公爵は古い人間だが、愚かでは無い。時代の変遷も革命の息吹も感じ取っている。貴族が崩壊する階級であることを理解している。周囲には物分りの良い人物として認知されており、新時代に対応するための布石も打ってある。しかし生粋の貴族である彼には、時代に合わせて利口に立ち回ることはできない。自尊心が許さないし、老いも感じている、何より自分の気持ちに正直でありたい。貴族を盲目的に賛美しているわけではないが、彼にとって貴族でなくなることは、幼少よりの価値観を失うことであり、例えば故郷を失うようなもので、受け入れ難いのだ。◆公爵のそのような感情を表現するのが全編のおよそ3分の1を占める舞踏会の場面だ。舞踏会はまさに貴族の象徴。豪華な屋敷、可憐な衣装、妍を競う女性達、いつ果てるとも音楽と歓楽の世界。同時に堕落した姿であり、退屈でもある。公爵は舞踏会の終焉が近いことを知っている。同時に自分の命が尽きる日が近いことも。たまらず流してしまう涙。若き娘からダンスを申し込まれて、最後の花を咲かせる。火照った感情を冷やすには夜露に濡れて帰るしかない。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 8点(2010-12-26 17:24:59)
17.ネタバレ この映画は人間の美しいものに対する嫉妬と、自分が年老いてしまった事への哀しさ、空しさ、それこそがこのヴィスコンティ監督が描こうとしてた世界、それはこの監督の他の映画でも見られるように人間はいつかは必ず年老いて死んで行く。その前に一度だけで良い。歳の離れた美しい女性と踊りたい。美しい者への嫉妬と憧れ、その両方をきちんと描くことによって生まれる感情、全てを包み隠さずに見せる監督の演出、人生の儚さ、厳しさ、若くて二枚目の甥が若くて美しき娘との結婚、二人が優雅に踊っている場面を見て、いったい何を思うか?自分が甥と同じようにもしも、若かったらという思いがバート・ランカスターの演技からひしひしと伝わってくる。アラン・ドロンとクラウディア・カルディナーレの二人の姿には誰もが自分が彼ら、彼女らのように若くてかっこ良くて、美しかったらと思うに違いないほどそれを見るバート・ランカスターの公爵の気持ちは男なら理解出来るであろう!年老いた者にしか解らない哀しさ、同じ監督の「ベニスの死す」のあの老人と重なって見えてくる公爵の姿、アラン・ドロンが見つめる眼の前でクラウディア・カルディナーレにワルツを一緒に踊りませんかと言われた後の嬉しそうな表情が忘れられなくなりそうなほど本当に嬉しそうである。人生という名の元に老いていく者の辛さを痛烈に描くこのヴィスコンティ監督の視線の中には厳しさが物凄く伝わってきて、そういうものを何一つとして包み隠さずに描き切るという所がこの映画の凄さであるような気がしてならない。
青観さん [ビデオ(字幕)] 8点(2010-02-26 19:17:48)
👍 1
16.ネタバレ 完全版を見た。
皆さんが仰るように美術は大変素晴らしく、古典画を実物で再現しているようだ。
柔軟だがポリシーのない若者と信念を持つが頑固な老人、
下品だが素直な新興勢力と上品だが嫌らしい貴族。
それらの対比が全編に貫かれていて、完成度の高い作品に仕上がっている。
個人的には、タンクレディを深く愛しながらも、彼のミーハーぶりに失望する
コンチェッタが興味深かった。ある意味、親父以上に頑固で高潔である。
Rubyさん [DVD(字幕)] 8点(2006-05-07 02:25:22)
15.3時間6分の完全復元版を見ました。前半はシチリアの美しい情景を、後半は社交界の豪華絢爛な美をバックに、貴族出身のヴィスコンティ自身が投影されているだろうサリーナ公爵を通して、貴族の衰退と自らの老いをリンクさせながら描いてゆく。繁栄すればその後には衰退がある、生きていれば老いてゆく、というヴィスコンティの哲学とも言えるテーマの中で、平民の血をいれるという変革を決断し自由奔放な若きタンクレディに跡を任せるという潔さがまさに滅びの美学。しかしそこには葛藤がある。葛藤を隠して踊る堂々としたワルツの美しいこと。葛藤とは無縁のような性格のタンクレディが新しい時代に相応しいというのもどこか皮肉であるが、情勢によって立場をころっと変えてしまうタンクレディは誰からも好かれる好青年であり、その印象の良さはことさら強調される。若さと老いの対比である。 後半の舞踏会では、本物の貴族の家を使い、食器から装飾品までもがシチリア貴族のものを提供されたものらしい。そこまで拘ってはたして映像で伝わるのかどうかはわかりませんが、風前の灯火のごとく光輝く美がたしかにありました。この「美」の部分だけでも見る価値あり。
R&Aさん [映画館(字幕)] 8点(2005-04-08 19:39:42)
👍 1
14.ルキノ・ヴィスコンティを語る上で外すことができない大変重要な作品である。ネオリアリズムを描いてきたヴィスコンティがデカダンスを全面に押し出して貴族の崩壊を描いた力作である。バート・ランカスター演じるファブリッチオがタンクレディに未来を託し、自らは貴族社会の崩壊、終焉が来たことを実感するわけだが、これは貴族出身だったヴィスコンティの貴族に対する愛や別れを意味するものだと感じた。デカダンスを描いた最初の作品であるが、この後の作品になるにつれ、後姿や、視線のズーム、深層と表層の対比といった主題は強まっていくのである。
たましろさん 8点(2004-02-08 21:15:40)
👍 3
13.ネタバレ ビスコンティでは、これが一番分かりやすくて、好き。

前半では、シチリア島からのイタリア統一を掲げていた革命軍から、国軍へと
転身したタンクレディ(ドロン)とアンジェリカの恋。
(アンジェリカの笑い声がヒステリックで怖い・・)
後半は、その革命軍の有志を討った男と貴族たちの宴。
ここで主人公のランカスターは、日和見な連中の中にいて、孤独を感じる。

貴族の没落を描くことの多いビスコンティは、ここでは退廃ではなく、
新時代になったことで旧体制との関わりの強かった貴族の没落を描く。
ここでランカスターはボソッとつぶやく。
「山猫と獅子は退き、ジャッカルと羊の時代が来る。
山猫も獅子もジャッカルも羊も自らを地の塩と信じている」と・・
題名の山猫は、ランカスターら貴族のことである。

誇りあるが、孤独な老貴族の後ろ姿に、映画冒頭の
引用文が思い出される。
「現状を保つには、変わるしかない」

いつの時代も変わらないですね(寂)
トントさん [ビデオ(字幕)] 7点(2020-10-25 23:45:45)
12.やっと鑑賞することができました。あのワルツのシーンに心酔わされました、いい余韻です。この退廃的な臭いに対する嗅覚はヴィスコンティならですよね。
HRM36さん [映画館(字幕)] 7点(2013-08-26 11:03:56)
11.ネタバレ タイトルの「山猫」とはシチリア一帯を統治するファブリッツィオ家の紋章。劇中においても「獅子と山猫は去り、ハイエナと羊が生き残る」という台詞が出てきたこともあり、没落の象徴をタイトルに持ってきたことがよりタイトルに深みを感じさせているように思えます。
既に語り尽くされていますが、やはり後半の舞踏会の豪華絢爛さは素晴らしく、この映画の主題を踏まえて言うならば、最後の輝きを解き放つが如くの一大シークェンスでしょう。
貴族社会が時代の流れと共に地に落ちゆく様とバート・ランカスター演じるファブリッツィオ自身の老いとをシンクロさせることによる相乗効果で、主題となるストーリーがより引き立つような感じが出ていて面白く、しかも映画の終盤に進むにつれて、それが徐々に色濃くなりながら語られているところが凄く印象に残りました。(特に、小部屋にまで入り込んで来た数珠繋ぎでダンスをする若者の輪の中に躊躇いもなく溶け込んでいったタンクレディらと、動きの激しいダンスのそばを独りで歩く公爵の後ろ姿との対比!)
一方のタンクレディは、時流に順応する才を持つまさに次世代の担い手として相応しい男として描かれ、アラン・ドロンは他の出演作での貧しい中で苦労しながら生きる役よりも本作のような気品のある役でこそ彼の本領が発揮されると思いました。
またアンジェリカの方はと言えば、美しいとしか彼女を称賛する言葉が出てこないというのと(“美しい”以外には何もないというストーリー設定だから、当然と言えば当然ですが)、彼女が登場するシーンの時にはBGMが優雅な曲調に変わっていたのが誇張が過ぎる感じがして気になってしまいました。
やはり何と言っても、豪華絢爛さばかりが注目されがちな部分はありますが、広大な丘陵を一面に見渡すショットや、埃まみれの家で若者二人が密かに愛し合うシーンなど、オープニングクレジットから芸術的な場面が目白押しで、ヴィスコンティらしくどのシーンにも妥協を感じさせない力強さを感じました。
もっつぁれらさん [映画館(字幕)] 7点(2013-02-03 02:45:41)
👍 1
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【点数情報】

Review人数 30人
平均点数 7.10点
000.00%
100.00%
200.00%
3413.33%
426.67%
526.67%
613.33%
7413.33%
8826.67%
9516.67%
10413.33%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.33点 Review3人
2 ストーリー評価 6.25点 Review4人
3 鑑賞後の後味 6.33点 Review3人
4 音楽評価 8.00点 Review3人
5 感泣評価 7.00点 Review3人

【アカデミー賞 情報】

1963年 36回
衣装デザイン賞ピエロ・トージ候補(ノミネート) 

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