映画『八甲田山』の口コミ・レビュー

八甲田山

[ハッコウダサン]
1977年上映時間:170分
平均点:6.33 / 10(Review 83人) (点数分布表示)
ドラマアドベンチャー歴史もの実話もの小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2024-08-18)【イニシャルK】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督森谷司郎
助監督神山征二郎
中田新一
キャスト高倉健(男優)徳島大尉
北大路欣也(男優)神田大尉
三国連太郎(男優)山田少佐
加山雄三(男優)倉田大尉
緒形拳(男優)村山伍長
秋吉久美子(女優)滝口さわ
加賀まりこ(女優)徳島妙子
栗原小巻(女優)神田はつ子
大滝秀治(男優)中林大佐
島田正吾(男優)友田少将
丹波哲郎(男優)児島大佐
小林桂樹(男優)津村中佐
藤岡琢也(男優)門間少佐
前田吟(男優)斉藤伍長
佐久間宏則(男優)長谷部一等卒
森田健作(男優)三上少尉
玉川伊佐男(男優)沖津大尉
江角英明(男優)進藤特務曹長
田崎潤(男優)鈴木貞雄
菅井きん(女優)斉藤の伯母
東野英心(男優)伊東中尉
下條アトム(男優)平山一平卒
花沢徳衛(男優)滝口伝蔵
加藤嘉(男優)作右衛門
山谷初男(男優)沢中吉平
浜村純(男優)中里村の老人
丹古母鬼馬二(男優)福沢鉄太郎
樋浦勉(男優)佐藤一等兵
神山繁(男優)本宮少佐
浜田晃(男優)田辺中尉
新克利(男優)江藤伍長
竜崎勝(男優)永野軍医
山西道広(男優)野口見習士官
大竹まこと(男優)青森歩兵第五連隊兵士
加藤健一(男優)高畑少尉
金尾哲夫(男優)中橋中尉
伊藤敏孝(男優)花田伍長
仲野裕(男優)井上見習士官
堀弘一(男優)渡辺伍長
五頭岳夫(男優)鬼島軍医
原作新田次郎「八甲田山 死の彷徨」(新潮社版)
脚本橋本忍
音楽芥川也寸志
東京交響楽団(演奏)
撮影木村大作
加藤雄大(撮影助手)
岸本正広(撮影助手)
製作橋本忍
田中友幸
野村芳太郎
東宝映画
企画佐藤正之
川鍋兼男
馬場和夫
配給東宝
美術阿久根巌
編集池田美千子
南とめ(ネガ編集)
録音東宝録音センター(整音)
吉田庄太郎
照明高島利雄
その他芥川也寸志(指揮)
IMAGICA(現像)
木村大作(4Kデジタル修復版監修)
あらすじ
ロシアとの戦争の可能性が強くなった1901年末、第四旅団指令部は八甲田山での雪中行軍訓練の実施を決定した。行軍計画は、青森第五連隊からの部隊と弘前第三十一連隊からの部隊が八甲田山中ですれ違うというものであった。第三十一連隊の徳島大尉(高倉健)率いる部隊は、少数精鋭で出発するが、第五連隊の神田大尉(北大路欣也)隊には、上官の山田少佐(三國連太郎)が加わり、大部隊で出発した…。
スポンサーリンク

💬口コミ一覧

83.ネタバレ この映画は小さい頃から何度も観ています。実際にあった悲惨な事件なのでなかなか簡単に「良い・悪い」の評価は難しいです。準備不足・無能な指揮官など色々考えさせられる教育的な意味でも貴重な映画ですね。神田大尉と徳島大尉との交流、八甲田で出会う予定などのエピソードは映画独自の脚色だったのは驚きでした。しかしその部分がこの映画の一番の見どころだったと思います。神田大尉と徳島大尉が八甲田で出会うシーン、棺で対面するシーンは何度観ても涙が止まらないです。個人的な意見ですが、高倉さんには是非「二百三高地」に出演して頂きたかったです。こういう軍人の役ははまり役だと思います。
金田一耕助さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2024-02-28 13:31:42)
82.ネタバレ この映画は、封切り当時、雪山の恐ろしさを私に伝えたい父に連れられて映画館で見ました。当時の私は小学校の高学年でした。以下、当時の感想を、他のレビュアーの皆さんの感想も絡めながら書きます。まず、大画面で見たからでしょうか、雪山での登場人物の顔は、概ね区別できました。青森5連隊と弘前31連隊の場面上の区別にあたっては、「31連隊は、少人数で耳当てをし、歩くときに小声で数を数える」を手掛かりにしました。そしてどんなに努力しても立ちはだかる山・木々・崖・吹雪の夜…という出口の見えない5連隊の場面展開には「絶望」を感じました。また「我々には磁石がある」と道案内を断ったことに端を発する大隊長の態度が事態を悪化させたことは、「組織論」を知らない子供の私でもわかりました。そして「5連隊の人達には一人でも多く助かってほしい。神田大尉は、徳島大尉と再会してほしい」と祈るように見ていたため、全く眠くなりませんでした。徳島大尉の子供時代の回想シーンも印象的でした。私の父も自分の故郷の山や川を自分の原点としていつも語っていたため「つらく苦しいとき、子供時代の故郷の思い出が、生きる力になるんだ」と子供心に思ったものです。このように大画面に没入していたため、遺体安置所で神田大尉の奥さんが「徳島様とお会いできるのだけを楽しみにしていました」と語った瞬間、私は生まれて初めて、映画・TVドラマで涙を流したのでした…。このように、小学生をも感動させる力が、この映画にはあったのです。
その後、年齢を重ねながらTV放映を見るたび、スタッフの皆さんや、実はオールスターキャストだった俳優さん達の、並々ならぬ情熱・苦労・忍耐にも思いを巡らせるようになりました。ただし、最近、DVD(特別愛蔵版)で見たときには、雪山での登場人物の顔が黒くつぶれてしまって違和感がありました。同時収録の予告編での顔はそれほどでもなかったので、おそらくディスク収録上の問題と思われます。私はテレビ画面を一時的に明るく調整して対処しました。もし今後、DVDでご覧になる方で、暗くて顔の区別がつかない場合には、同じようにしていただくと、少しはましになるかもしれません。
さて、採点ですが、最初に見たときの感銘そのままに「鑑賞環境」は「映画館」とし、10点を献上します。芥川也寸志さんの音楽と共にいつまでも鮮明に蘇る、私にとっては永遠の名作です。
せんべいさん [映画館(邦画)] 10点(2015-02-11 19:51:54)
👍 2
81.中学時代、体育館で全学年で鑑賞した時、「天は我々を見放した」の台詞で期せずして
全員が拍手しやがったのを思い出すと今でも腹が立ちますな。
ケムール人さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-11-20 20:21:20)
80.ネタバレ 子供の頃この映画を見て「雪の進軍」を覚えてしまった。最後に「徳島大尉以下八甲田雪中行軍を成功させた人達が日露戦争にて勇猛果敢に戦い戦死した」との文章を読んで彼等に対して深い感謝の念が沸いた。日本映画も素晴らしい傑作が多く存在することをより多くの人々に知ってほしい。♪雪の進軍氷を踏んで、どれが川やら道さえ知れず、馬は倒れる捨ててもおけず、ここはいずこぞ皆敵の国、ままよ大胆一服やれば、頼み少なや煙草が二本♪
和魂洋才さん 10点(2004-09-19 22:27:51)
👍 1
79.ネタバレ 雪とは何か、寒さとは何か。その姿を確認するために無謀な雪中行軍に行かされる。そんな建前のような目的って何? そんなこと意識しなくても、抽象的ではない現実としての過酷な自然に放り出されれば、雪って何?寒さって?と否応なしに思わされる。
更に、理不尽な命令に従わなければならないという人的な過酷。建前とプライドで固められた謎の訓練によって、若い兵士たちが大勢犠牲になった。指揮系統の混乱、案内人も無下に断り、吹き荒れる暴風雪の中彷徨うしかない。「天は、我々を見放した」その言葉を機に、それまで何とか形を保っていた集団が一気に崩壊した。敵は寒さであり雪であり、士気の乱れ、諦めである。手ごわい外敵から身を守るためには、入念な準備、強い生命力、そしてそれを保つための仲間の存在があるだろう。高倉健の隊と北大路欣也の隊が生死を分けたのはまさにそれ。しかし冒頭ささやかな友情を結んだ二人がこんな形の再会となってしまい、無念を残した。皆そろってこの八甲田山に負けたのだ。
そしてそもそもが日露戦争に向けての訓練だったが、ラストのテロップでその顛末を知らされると、また戦争の虚しさを感じざるを得ない。

度々挟まれる美しい十和田湖畔の花畑や、活気あふれるねぶた祭りの映像。日本には四季がある。今は真っ白な雪と凄まじい暴風に囲まれる色のない景色だが、春になるとあんなにも穏やかで輝いている。そんなことを心の糧に任務を遂行するのだ。それは、この作品を撮影するスタッフ、役者にも通ずる過酷な任務だった。
ちゃかさん [映画館(邦画)] 9点(2025-05-19 13:41:07)
👍 3
78.ネタバレ 指揮権の所在と責任の明確化、指揮官の資質と判断力の重要性、周到な調査と準備の必要性などと共に、大自然に対する畏敬の念の重要性をも考えさせられる映画が、この「八甲田山」だと思います。

この映画「八甲田山」は、「砂の器」に次ぐ第二作として、橋本プロダクションが東宝映画と製作提携した作品で、脚本は橋本忍、監督は「動乱」「海峡」の森谷司郎、原作は新田次郎の「八甲田山 死の彷徨」。

昭和49年2月にクランクインしてから、3年余の歳月と7億円の製作費と30万フィートを超すフィルムを費やして完成された、当時の日本映画界にあっては未曾有の超大作です。

この映画のテーマについて、森谷司郎監督は、「厳しい自然と人間の葛藤を通して、人と人との出会い、その生と死の運命を描かなければならない。自然の思いがけない不意打ちと、それに対応しようとする人間の闘い、その強さと、胸にしみるような悲しさを八甲田山中の、人間を圧倒するような量感で迫ってくる雪の中で、アクティブに描きたい。それには映画のもつ表現力が、もっとも強く迫ることができるにちがいない」と語っています。

原作と映画を比較する事は、もともと芸術の分野が違っているので適当ではないかも知れませんが、雪におけるこの原作と映画の表現に差がある事を、原作者の新田次郎は認めています。

彼は、雪に対する"筆の甘さ"に対して、「この映画は、雪を完全にとらえることができたから、雪を背景として起こった人間ドラマを完全に映像化することに成功したのであろう」と率直に語っています。

地吹雪、雪崩、その雪の中の絶望的な彷徨を、厳しく、しかも美しく描き出した映像には、この映画に参加した人達の肉体の限界に迫る苦労が、そのままにじみ出ており、芥川也寸志の音楽をバックに映画のもつ圧倒的な表現力が生かされているように思います。

日露戦争直前の明治35年1月21日、弘前を出発した第31連隊の徳島大尉(高倉健、実名は福島泰蔵大尉)の率いる部隊は37名、その大半が士官であり、十和田湖を迂回して八甲田山に入る10泊11日間、240kmの行程は無謀に見えましたが、綿密で周到な準備と道案内によって万全が期せられていました。

一方、1月23日に青森を出発した第5連隊の神田大尉(北大路欣也、実名は神成文吉大尉)の率いる部隊は211名、2泊3日、50kmの行程は一見容易に見えましたが、混成の部隊であり、第二隊長山田少佐(三國連太郎、実名は山口勲少佐)らの大隊本部が同行しており、指揮命令系統に混乱があると共に、大部隊のため食糧、燃料の運搬のためのソリ隊が足手まといとなっていたし、案内人も雇っていませんでした。

この部隊は初日に目的地の田代まで、後2kmのところで道を見失っていて、零下22度、風速30m、体感温度零下50度という猛吹雪の中で、死の彷徨が続くのです。

1月27日に徳島隊が八甲田山に入った時には、神田隊は壊滅状態になっていましたが、徳島隊は全員無事に踏破に成功したのです。

神田隊の生存者は山田少佐以下12名、凍死199名。
映画はこの両隊の劇的な成否を交互に対比させながら描いていますが、もっと我々観る者にわかりやすくするために、随時、現在地を示す地図を入れるとか、隊名やそのルートを入れるというような工夫が必要だったのではないかと思います。

この映画を観終えて、指揮権の所在と責任の明確化、指揮官の資質と判断力の重要性、周到な調査と準備の必要性、そして、環境の急変に対する臨機応変な適切な対応、特に大自然に対する畏敬の念と慎重な行動の重要性と言う事をつくづく考えさせられました。

尚、八甲田山の踏破に成功した徳島(福島)大尉は、却って、その後、冷遇されたうえ、日露戦争では雪中行軍の生き残りと共に、酷寒の黒溝台の激戦で戦死しています。
この事から、八甲田山で起こった事実を隠蔽しようとする陸軍の陰謀の匂いを感じてしまいます。

また、事実として、その後、自決した山田(山口)少佐の実像は、映画のような悪役的な人ではなかったと言われています。
問題は、危機に耐える事が出来なかった神田(神成)大尉の弱さにあったように思われます。

最も困難な時点で、徳島(福島)大尉は、「吾人もし天に抗する気力なくんば、天は必ず吾人を亡ぼさん。諸子、それ天に勝てよ」と兵に告げているのに、神田(神成)大尉は、「天はわれ等を見放した。俺も死ぬから、全員枕を並べて死のう」と絶叫しているという事からも推察できるのです。
dreamerさん [CS・衛星(邦画)] 9点(2023-08-28 08:53:39)
77.ネタバレ 上に立つ者が無能だとどうなるか。
三国連太郎の大隊長は絵に描いたような悪者ですが、
北大路欣也の中隊長だって何で抵抗しないのですか。
「ただの付き添いだから」と了解して付いてきたのに何度も口を出されて、「現場の指揮権は私にあります」と何で言えないのですか。悔しい思いで見ていました。
逆らえない「空気」。
現実のその後の大敗北にまっすぐつながるような気がします。

対比的に描かれているのが弘前から出発した高倉健の中隊長。
秋吉久美子演じる案内人の村娘が役目を終えて隊を離脱するとき、無表情な中隊長はそのまま見送るのかと思いきや「案内人どのにたいし、捧げ、筒!」一同で最大限の敬礼をします。
ここなんですよね。

wikiをよむと史実とはだいぶん違うようですが、集団となった日本人のいけないところがくっきりと描かれている良作です。
2時間以上の大作でこれでもかと兵士たちが狂い倒れていくのを見続けるのはつらかったのですが、よくもまあこんな雪中ロケを敢行した製作陣の熱意に頭が下がります。大滝秀治、緒形拳、前田吟、東野英心ら脇役も好演。
9点啓上。
pigeさん [DVD(邦画)] 9点(2020-01-14 07:35:32)
👍 2
76.オールスターキャスト登場の日本映画。
緒方拳あたりでもちょい役になっている。

三國連太郎がいい。
一見有能そうで、実は無能の役。
エゴと自尊心だけが強くて、結果的に部隊をほぼ全滅させてしまった。
最後はそれに自分が気がついて、、、、

神田大尉の苦悩と葛藤が手に取るように分かる。
これは、戦争映画というよりは、現代社会の縮図を表現したヒューマニズム大作でしょう。
この演出では、指揮命令系統の乱れが大惨事に至ったみたいな描かれかただが、実際は、本当にありえないくらいの大寒波が真の理由みたいです。
それじゃ映画にならないでのこうしたのしょうでしょう。

両大将の妻役、栗原小巻と加賀まりこの圧倒的な美しさ。
この頃の女優は凛とした趣があった。
案内人役の秋吉久美子も絶品。AKBで楽にセンター張れるでしょう。
今の女優は薄っぺらいね。



たきおか4号さん [地上波(邦画)] 9点(2012-12-08 19:11:08)
75.ネタバレ 中学生のころ家族全員で観に行った最後の映画です。雪が降るたびに♪雪の進軍、氷を踏んで♪と歌いながら行進したなー。などとセンチメンタルになりつつDVDで再鑑賞。真冬に実際の八甲田山でロケを敢行した映画作りの情熱は、それだけで感動します。案内人さわ(秋吉久美子が可愛い!)との別れで、敬礼を持って送り出すシーンは当時は感動しましたが、今観ると美化しすぎかなと少しマイナス評価をしました。
原作『八甲田山死の彷徨』を読みながら本作を観るとリーダーシップ論のよい教科書であることに気づきます。計画・リスク・決断について考えさせられます。こういう映画の見方もあっていいのではないかと思っています。
爆裂ダンゴ虫さん [映画館(邦画)] 9点(2010-01-10 18:40:10)
74.リーダシップとは何か?を考えさせられる映画。
<追記>10年ぶりに再見。欣也は愚かなリーダーというイメージだったのだが、よく見ると部下の信頼は厚く、慕われているが上司に振り回されてモノが言えない哀れなリーダーだったのだなと。まあ軍隊だから仕方ないけど。一方対比的に描かれる高倉健の方はちょっと英雄過ぎてファンタジーになってしまっているような。諸々の選択の結果も偶然性が高いというか、単純に各々の隊の善悪を決め付ける事もできず、自然の前では人間は無力なのだなあと思わせられる。特に311後だと痛感する。再見で気になったのは加山雄三の存在。常に冷静で空気を読む。上司の前ではしゃばらず、部下に対しても偉ぶらず、あまりリスクもとらない。こういう人が組織では生き残り、出世していくタイプなのかなと。
各々の隊については極端に対比的に描かれているが、どうも史実はちょっと違うようである。この辺についても詳しく調べてみたいなと思った。
東京50km圏道路地図さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2003-12-27 23:33:08)
スポンサーリンク
73.いっつも見たいと思う映画ではないけれど、時々、思い出したように見たくなる映画なんだな。高倉健さんの格好良さは、まあ、役柄ということもあるけど、やっぱりこの人は、こういう格好良さが内側から滲み出てくる人だよね。でも、印象的なのは、遭難してしまう側の兵隊達の置かれた極限状態で、凍傷とか血尿とか発狂とか、そういうシーンが脳裏に焼き付いてるなぁ。ただ、そんな悲惨さの一方で、規律と礼節を重んじる高潔さとが絶妙なバランスを持っていて、とにかく妙に心に残る映画のひとつですね。
由布さん 9点(2003-09-25 22:51:30)
72.あまり期待していなかったけど面白かった!人間の極限状況を描いた映画だけど、高倉健の中隊と北大路欣也の中隊が対照的で、後者がいかに無茶な雪中行軍をしたかがよくわかった。雪山の怖さをいやというほど教えられた。典型的な暗い日本映画だけど、この作品は本当に考えさせられるものも多く感動できました!
たなぼたさん 9点(2003-01-15 20:50:34)
71.ネタバレ 近年では新資料の発掘により高倉健が演じた徳島大尉=福島大尉の傲慢ぶりやその雪中行軍での実像が明らかにされていますが、原作の『八甲田山 死の彷徨』はあくまで(当時判明していた)史実をもとにしたフィクションであり、割り切って観るのが正解です。それでもこの原作を映像化したプロジェクトは、日本映画界の偉業というか狂いっぷりとして永く語り継がれてゆくことでしょう。だいたい、真冬の八甲田山であの豪雪の中ロケを敢行するというムチャっぷりがぶっ飛んでます。これはヴェルナー・ヘルツォ―クの『アギーレ/神の怒り』や『フィツカラルド』に匹敵する映画的暴挙とも言えるんじゃないでしょうか。CGなんかもちろん存在していなかった時代、あの腰まで埋まる積雪や暴風雪、雪がこびりついた軍服や軍帽のひさしから垂れる氷柱まですべて本物なんですからねえ。特に息を飲むのは雪崩に巻き込まれるシーン、実際にダイナマイトを使って起こした雪崩は想定を超えた規模になり、撮影現場で見ていた橋本忍は「こりゃ死人がでたぞ、これでこの映画は終わりだ…」と戦いたそうです。俳優やエキストラたちも過酷な扱いになり、褌一丁で雪の中で転げまわさせられたりしてこれだけでも重病人が出そうな撮影です。神田隊の隊列を鳥瞰で見せるカットからはその人数は史実通り200人超の様であり、普通の映画よりはるかに少人数だとは言ってもエキストラの確保は苦労したでしょう。某角川映画にエキストラ参加した経験がある自分としては、エキストラの半分が逃げたというのは実感できます。でも屋外ロケはほとんどが雪原であり、照明が使えないうえに雪が光を乱反射してしまうからフードを被った俳優たちの顔は昼間でもほとんど識別不可能、声で判断するしかないってのは苦しいところです。もっとも加山雄三だけは、あの独特の太い声と大根なセリフ回しのおかげですぐ判りますけどね(笑)。有名な「天は我々を見放した~」というセリフは史実に基づいているそうですが、たしかに部下の前で隊長が言ってはいけませんね。それよりも、徳島大尉=高倉健が道案内してくれた秋吉久美子に「案内人どのに向かって、かしら右!」と号令をかけるところの方が心打たれました、もちろんフィクションですけど。あと忘れてはいけないのはこの映画のテーマソングにすら思える軍歌『雪の進軍』、名曲です。 印象に残ったのは、地元青森出身の兵士が言う「あいつらは宮城や岩手の人間だから雪の本当の怖さを知んねえ」という言葉、雪国育ちではない自分にとっては宮城も岩手も冬は雪が多いところというイメージですが、青森から見たら全然違うってことなんでしょうね。でも確かに地図を見てみれば青森周辺は本州の中でももっとも太平洋と日本海が近接している地域で、この地理的要因がもたらす自然の猛威は軽く見てはいけないんですね。
S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2022-02-13 22:48:57)
👍 2
70.リアルな映像と迫真の演技であっという間の3時間でした。豪華キャストでしたが、この時代の人達は上手いですね。作戦で何故こんな事するの?ってのがいくつかありましたけど、まーそれはそれでご愛嬌ですね。健さんも変わらずシブかったです。
SUPISUTAさん [DVD(邦画)] 8点(2016-09-17 21:15:34)
👍 1
69.ネタバレ これまでに何度か見ているが、国土地理院サイトの地形図やGoogle Earthで場所を逐一確認しながら見ると退屈しない。特にGoogle Earthを見ると山の形から撮影場所がどのあたりだったかわかる場合もある(注:現在はGoogle Mapでも3Dが使えるらしい)。原作本にも当時の詳細な地図がついている。
撮影秘話のようなものはあまり読んでいないが、映像からすればいかにも厳しい現場だったようには見える。特に、休止中の人々の頭の上に相当量の雪がそれらしく積もっていた場面があったが、落ちた様子を見ると本物の雪だったように見え、これはこのように雪が積もる間この人々がずっとここに立っていたことを意味するのだろうかと素朴な疑問を感じる。
また物語に関して印象に残るのは、まずは当然ながら兵隊さんのご労苦ということになるが、暗澹とさせられたのが最後の説明文で、生還した人々がわずか2年後に戦死したと書かれていたことである。この時の経験が満州の平原で生かされたのかどうか不明だが、明治日本が列強に追いつく過程ですり潰されていったかのような人々の存在が痛々しく、登場人物の子どもの頃の情景も、むしろそのこととの関係で哀しく思われた。

ところで弘前の部隊が村へ入る際、案内人を先頭にしてラッパ付きで行進した場面は普通に感動的だった。これは原作とも違っており、当時としては常識外れのことかも知れないが、しかし現代の映画としてはかえってこれでよかったのではと思われる。昔の軍隊は百姓町人に教わることなどないと思っていたかも知れないが、わからないことはわかる人間に尋ねるべきであり、またその人間には敬意を払わなければならない。そのような態度が成功をもたらすというのはまあ当然だろうが、この点でちゃんと筋を通してくれたことで、この映画が昔の軍隊の理不尽さを糾弾するだけのものでなく、現代人の心にも通じるものになっていた気がする。
なお部隊が敬礼をしたときに、案内人殿が照れたように笑っていたのは可愛らしい。いくら何でもこんな人が現地にいたかとは思うが、重厚な高倉健と軽やかな秋吉久美子の極端な対比は非常にいい感じを出していた。「まんまくうべや」という台詞が耳に残る。
かっぱ堰さん [DVD(邦画)] 8点(2016-05-28 14:11:03)
👍 1
68.ネタバレ 今さらながら初見。数ある高倉健主演作の中で、これがベストかなと。ドキュメンタリーと見紛うような過酷なシーンの数々もさることながら、やはり組織論・リーダー論として秀逸です。最後まで隊列も士気も乱さない少数精鋭の高倉隊と、いつの間にか隊列も指揮系統もバラバラになって壊滅していく大所帯の北大路隊の対比が、痛々しいほどに伝わってきます。それに、崩壊の元凶となる三國の描き方も見事。現場の知識や経験もないのにメンツや職位にこだわり、場当たり的な提言に翻弄され、結局組織を崩壊に導くような人物は、明治の八甲田のみならず、平成の企業組織にもいる気がします。ただし大きく違うのは、責任の取り方。三國はさすがに明治の軍人らしく、潔く自らの非を認めました。それに対して平成の団塊オヤジは「部下が無能だった。オレは被害者だ」とか平然と言い放ちそうですよね。
眉山さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-10-12 21:06:52)
👍 3
67.ネタバレ  何しろ日露戦争頃のお話。無線も飛行機も未だ普及していない。そんな時代(110年も前だ)には大層な冒険だったことだろう、吹雪の雪山の行軍。そのその過酷な行程の、イヤというほどの時間を使った描写は、見事。途中途中に回想として挿入される、青葉の木漏れ日や、美しい花畑などの映像が、さらに吹雪の厳しさを強調する。登場人物たちの背景に、遠目に見える雪崩が、CGなんかじゃ無いことを知っているだけに、余計に怖い。
 また、この映画は他にありがちな、事件当人にまつわる家族や、恋人などの周辺の人のドラマを、あまり追っかけておらず、事件そのものの描写に注力しているのも良い。

 戦争批判というのとはちょっと違うが、実際に当人に伝えるすべのない状態で、「作戦は中止した」のなんのって言う、司令官たちの会話が、実に虚しく滑稽だ。その上、馬鹿な上司のお陰でドンドン、ドツボにはまる様を見ていると、腹立たしくなってくるが、原作者は確かお役人さん出身だったと思い出し、彼の上司にこんな人がいたのかなあ、なんて思ってみたりもする。
Tolbieさん [DVD(邦画)] 8点(2012-11-24 01:51:22)
66.最近、雪が降った日にふと思い出してDVDを借りてみた。小学生の頃、TVで観たときは、雪の中を行軍するのが、どちらの部隊かわからず、ただ中盤以降の阿鼻叫喚がインパクトに残っていました。(寒さで発狂して裸になるシーンはトラウマです)今は組織論としても理解出来、史実を調べてみると興味深く見る事が出来ます。三国連太郎の山田少佐が無能な上司の見本のように見えるのは映画的な脚色であったのでしょう。北大路欣也の心中がクローズアップされてるので騙されてしまいますが、山田少佐の判断は、それぞれの状況では兵たちの士気を重視しており、間違いとは言いきれないです。多くは準備不足に起因する遭難だったのでしょう。高倉健の徳島隊長にしても、史実では案内人に対して、かなり非情な扱いであったらしいです。公開時は案内人に「八甲田で見たことは一切喋ってはならぬ!!」と脅しともとれるシーンさえカットされてますから、役者のイメージと2つの部隊の対比をドラマ的に鮮明にするためだったのでしょう。映像的には雪崩のシーンは本物の雪崩を起こしたというからびっくりです。すごい絵です。夏に公開され、夏に納涼のために見る映画の代名詞的存在ですが、むしろ寒い日に見ることをオススメです。この過酷さを見ていると部屋の中の寒さなんて逆に忘れてしまいます。
どっぐすさん [DVD(字幕)] 8点(2008-02-13 00:17:50)
👍 1
65.ネタバレ 第一次世界大戦下の日本で、実際に起こった陸軍の八甲田山での遭難事件をモチーフにしているため大筋は遭難パニック映画なのだが、新田次郎の脚色により、ゴーストストーリーが加味されている。
子供の頃、これを観た時はその不思議話を理解できずに、ただの遭難モノとして観てしまった。
それでも尚、壮絶でショッキングな作品である。
そこにゴーストストーリーを加えて何とも、切ない味付けを施している。
今尚、名作である。
あむさん 8点(2004-05-04 19:49:15)
64.日本の軍服映画の中では好評価できる作品。
学生時代スキーに行った時、吹雪かれて数メートル先が見えなくなる経験を初めてし、この映画のことを思い出した。山の天候は変わりやすい。くれぐれも侮ることなきように。
Waffeさん 8点(2004-04-19 04:54:20)
スポンサーリンク
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 83人
平均点数 6.33点
022.41%
100.00%
222.41%
322.41%
4910.84%
51416.87%
6910.84%
72125.30%
81214.46%
989.64%
1044.82%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.33点 Review3人
2 ストーリー評価 7.75点 Review4人
3 鑑賞後の後味 7.20点 Review5人
4 音楽評価 9.33点 Review3人
5 感泣評価 8.00点 Review3人

■ ヘルプ