映画『灰とダイヤモンド』の口コミ・レビュー

灰とダイヤモンド

[ハイトダイヤモンド]
Ashes and Diamonds
(Popiól i diament)
1958年ポーランド上映時間:102分
平均点:7.66 / 10(Review 35人) (点数分布表示)
ドラマ戦争ものモノクロ映画政治もの小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2020-05-15)【イニシャルK】さん
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監督アンジェイ・ワイダ
キャストズビグニエフ・チブルスキー(男優)マチェック
仲村秀生(日本語吹き替え版【テレビ朝日】)
真山知子(日本語吹き替え版【テレビ朝日】)
臼井正明【俳優】(日本語吹き替え版【テレビ朝日】)
愛川欽也(日本語吹き替え版【テレビ朝日】)
槐柳二(日本語吹き替え版【テレビ朝日】)
脚本アンジェイ・ワイダ
配給ニッポンシネマコーポレーション
東映(1979年リバイバル)
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💬口コミ一覧

35.ネタバレ かなり熱のあるレビューが多い中で恐縮ですが、僕はこの映画を見て「なんだ、これって『飲み会』の映画じゃん!」と思ってしまいした。
このオハナシを戦後のポーランドから現代の日本に置き換えてリメイクしてみるとこうなります。
「今日飲み会なんすよね~」とか言いながら、前半は各々の社員が仕事をしながら人物紹介。後半から飲み会がスタート。クリエイティブがどう、グローバル化がどう、イノベーションがどう、などとスケールのでかい話をショボい居酒屋で繰り広げます。中には「ちょっと抜け出さない?」とかなんとか言って若手社員カップルがどこかにシケこみます。無礼講を真に受け、大失態を犯す奴もいます。で、散々大騒ぎして食い散らかした挙句(あとで掃除する人がいるなどとは想像もしていません)、けだるい朝を迎え、裏手の生ゴミ置き場に千鳥足で倒れこみTHE END。
こう書くと、かなりショボくてセコい話になりますが、現代日本の縮図にも見えてくるわけですね。
と、架空の映画の感想はここまでにしておいて(笑)。
つまりこの映画って、戦後ポーランドの縮図になっているわけです。
映画を見る前は、ポーランドの歴史など予備知識がほとんどないままで鑑賞しましたが、そんな状態でも十分理解できる映画になっていたと僕は思います。むしろ、この映画自体が「これが戦後のポーランドだ」とわざわざ説明してくれているんです。(そりゃ、歴史をちゃんと勉強していたほうがより真正面から理解できるとは思いますが。)
とくに終盤、『宴の後』の朝は、まんま『終戦』を思わせる映像でしたしね。
どんな時代だろうが、どんな境遇だろうが、社会に対して、そして自分自身に対して持っている矛盾と葛藤するのは誰にでもあることです。
まだこの映画を観ていない人は、あまりハードルを上げすぎずに見るのがいいんじゃないでしょうか。
僕は掛け値なしに大好きな映画です。
ゆうろうさん [映画館(字幕)] 10点(2012-12-01 16:41:24)
34.ネタバレ この映画を始めて見た時の衝撃は相当なものでした。
それはこの映画をメッセージ色の強い政治的な映画として見なかったかもしれません。
私にとってこの映画はどきどきはらはらのサスペンスであり、
恋愛映画であり、もしかしたら青春映画かもしれません。
主人公のマチェックやクリスティーナも抜群に魅力的で、
この2人が出演してなければこれほど感情移入はしなかったでしょう。
どのシーンも飽きることがなく私にとっては最高の娯楽作品です。
そして映画の終盤、「マチェックはどうなるんだ??」とハラハラしながら見ていた
私が見たのはあの鮮烈なラストシーンでした。呻き、すすり泣きながらゴミにまみれて死んでいくマチェックを見てしばし呆然でした。映画では本当に沢山の人がどんどん死んで行きますが、これほど感情が揺さぶられるシーンは、ゴッドファーザーのソニーの射殺シーンぐらいでしょうか?私の生涯ベスト3に入る映画です。
仏向さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-11-01 17:55:11)
33.この作品が何故これほど、ツラく哀しいのか、それは、歴史に使い捨てされる、消耗品としての人間、その最後の静かな、しかし精一杯の生のアガキがここにあるから。戦時下で死んでいった者がいれば、死にそびれた者もいる。一方では彼らをヨソに、新しい世界が始まりつつある。「死にそびれた」主人公は、若くしてすでに年老いているようにも見える。虚しい殺人。死体を見下ろす花火。せめてあのように華やかに散ることができればよいのだが・・・。ひとつの時代の終焉を描き、時に見せる、すべてを透視するような冷徹なカメラの視線が、なんともコワイ。そう、これはコワイ映画だ。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2007-11-22 07:34:51)
32.ネタバレ これは、男なら一度見ておくべき作品のひとつですね。とにかく、ズビグニエフ・チブルスキー 演ずるマチェックが格好よすぎます。マッチのつけ方、タバコの吸い方、酒の扱い方(クリスティーナに酒を自前のマグカップについでもらうシーンは本当にしびれました)等々ついつい真似したくなりました(特に最後の銃で撃たれた後の演技は圧巻です。たぶん日本の俳優でも影響を受けた人いるんだろな・・・・・)。予備知識ゼロでも十分楽しめますが、事前にネット等で第二次世界大戦時のポーランドの状況を予習しておくと更に深くこの映画に入り込めます!)
TMさん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-16 22:36:52)
31.大戦末期のワルシャワ蜂起で、地下水道の迷路を必死で逃げ惑い生き延びてきた主人公が、戦後、自由主義的な政治信条に促されてテロに走り、人生に一瞬の希望の光を感じながらも、結局は転向できずに、もがき苦しみ自らの命を犠牲にするまでの三日間の出来事。主人公の生き様は、大国の支配と恐怖に翻弄され苦しみぬいたポーランドの歴史を象徴しているかのようでもあり、自らの父親を「カチンの森事件」で失った監督ならではの国家観、宗教観、政治観、人生観に対する全世界への強烈なメッセージのように受取れました。
チャターBOXさん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-10-11 14:12:34)
30.ポーランドという小さな国にこういう「核弾頭」みたいな人がいたなんて思っても見なかった。あとからこんなに込み上げてくる映画はないと思う。政治的な知識が無くても全然楽しめた。マチェックが銃でうった政治家が、倒れて死ぬ事を嫌い自分に抱きついてくる。その瞬間、マチュックは自分が明日から命を狙われる存在になり、恋人も失ってしまった事を実感し苦しみを顔一杯に表現する。そして突然の背後から打ち上がる花火。人々は家の窓から顔を出し、笑顔で空を見上げる。
カラスの飛び交うゴミの山で廃人のように歌いながら死ぬのも、映画史上これとない名シーンだった。桁外れにすばらしいよ。
セクシーさん 10点(2003-12-06 11:39:10)
👍 1
29. 第二次大戦勃発直後、そもそもポーランドはドイツとソ連によって半分ずつ
分割占領されるのです。ソ連はヒトラーと一緒にポーランドの東半分を軍事
占領したのです。
それ自体ポーランド民衆への裏切りです。
ソ連の意に染まない勢力は文字通り抹殺されました。
(ポーランド軍将校の大量虐殺がカチンの森事件です。)
大戦終了間際、ドイツ軍がまだポーランドの首都ワルシャワを占領していた
のですが、ソ連軍が段々迫っていました。イギリスにあった亡命政府は、
このままソ連軍にポーランドをドイツ軍から解放されたら、ポーランドはソ連の
軍事支配下に入ると正しくも考えました。
その為、ソ連軍にワルシャワを解放される前に自力で武装蜂起をワルシャワ
民衆に訴えました。ワルシャワの民衆は武器を持ち、立ち上がりました。
しかし、圧倒的なドイツ軍の軍事力の前に壊滅的敗北を蒙りました。
一部の人々は地下水道に逃げます。その出口では鉄の柵があり、出口なし
でした。その川の向こう側の風景を映し出す....
 ...これが「地下水道」のラストシーンです。
その川の対岸にはソ連軍が実はもう到着していたのです。
ソ連軍はワルシャワの民衆が虐殺されるのを待っていたのです。
米英仏の帝国主義国側の影響力のあるワルシャワ蜂起が成功すれば
戦後のポーランドで彼らに政治的主導権をとられてしまうと正しくも考え
たのです。
 米英仏とソ連の政治的対立...
そのためにワルシャワ民衆は、米英仏から政治的に利用され、ソ連から
見殺しにされたのです。

 その地下水道を這い回った残党の一人が、「灰とダイアモンド」の主人公
マチェックです。彼は戦後のポーランド共産党幹部を暗殺します。
妹之山商店街さん 10点(2003-11-01 05:15:24)
28.第二次世界大戦後の政治的背景の中で描くマチェクの心の葛藤の表現が素晴らしい!同胞の死の悲しみを胸に秘めながらシチュカを暗殺する一方、クリスティーナとの恋の中で普通の人生を送りたいと考え苦悩するマチェク、まさに灰とダイヤモンドです。そして最後、ごみ溜めで死ぬマチェクが切なすぎます。
たましろさん 10点(2003-10-17 00:54:47)
👍 1
27.もちろんリアルタイムで観ていない。だが、そんなことはどうでも良くなるほど素晴らしい映画『灰とダイヤモンド』はアンジェイ・ワイダ監督のレジスタンス3部作のうちの1本であり、僕が主人公に初めて深く感情移入できた大変思い入れのある作品である。クリスティーナが「なぜいつも黒メガネをかけてるの?」と尋ねると主人公が「祖国に対する酬われない愛の記念さ。」と答えるシーンや、ワルシャワ蜂起で死んでいった同志たちの名をつぶやきながら、グラスに火をともすシーン等を観ると、主人公の背中に背負った悲しさには、祖国ポーランドの悲しい歴史まで垣間見ることができる。かつて、映画の中のひとりの主人公がこれほどまでに重い悲しみを背負っている作品があっただろうか?少なくとも僕は知らないので、切ないなどと一言で済ますのは彼にとって可哀相な気がする。また、クリスティーナと雨宿りをしている教会の墓碑に「永遠の勝利のあかつきに灰の底深くさんさんたるダイヤモンドの残らんことを―」とノルヴィッドの詩が刻まれているが、個人的には『灰』とは主人公や酬われず死んでいった同志たち、『ダイヤモンド』とはクリスティーナの放つ一筋の光を表しているのではないかと思えてならない。物語は第二次世界大戦直後の1945年、ポーランドがまだソ連系共産党の支配を受けていない混沌とした時代が背景で、大戦中は対ナチスレジスタンス運動をしていた主人公が、大戦後はソ連系共産党地区委員長(労働者党書記)シチュカ暗殺を命じられるが、失敗する。そして、宿泊していたホテルでクリスティーナと出逢い恋に落ちる。ここで、主人公の気持ちはクリスティーナとシチュカの人柄によって揺れ動かされる。シチュカは大戦中、対ナチスの同志として活動を共にした人物であったわけで、大戦中は対ナチスレジスタンス運動という明確な目的意識を持っていたが、意味もなくテロ行為を起こす自分に対して疑問を抱く。更に、彼女に恋をしたことで、今までの死に関して無頓着な生き方をやめ普通の生活を送りたい、生きたいと願う。そんな若者の心の葛藤・矛盾を見事に表現しながら、シチュカ暗殺を済ませる。しかし、やり場のない虚しい気持ちを持ちながらクリスティーナに別れを告げた旅立ちの朝、武器を持っていた主人公は銃で撃たれ死んでしまう。この時に、クリスティーナが何かを感じ取って呆然とし、涙する表情は非常に感慨深いものであった。白いシーツを血に染めて自分の血を匂っている主人公の姿はテレビ『太陽にほえろ!』のジーパン刑事殉職シーンでの「なんじゃ、こりゃ!」そして、ごみためでもがき苦しむ若者の死に様はテレビ『傷だらけの天使』のラストシーンにも少なからず影響を与えているはずだ。映像的にはシチュカ暗殺の後の花火のシーンも美しいが、その他に冒頭でシチュカと間違えて暗殺したスモラルスキの背中に銃の弾が引火した後、さっきまで開かなかった教会のドアが開くところ、教会に逆さまにぶら下がっているキリスト、主人公とクリスティーナがキスし別れた後、唐突にでてくる白い馬などが非常に印象深く残っている。また、お気に入りのシーンはクリスティーナが酒を注ごうとした際に、主人公が胸元からマグカップを取り出しておどけてみせるシーンだ。以上の通り、主人公の揺れ動く感情を簡単に説明してきたので、今後、この映画の意味がわからなかったなどと言うレビューで点数を下げるのはやめていただきたい。
Fatmanさん 10点(2003-04-26 22:51:41)
26.ネタバレ 第二次世界大戦での連合国戦勝日である1945年5月8日の出来事。NYやロンドンでは大群衆が繰り出してのお祭り騒ぎだったのに、このポーランドでの異様なまでの冷静さと静けさはいったい何なんだろう。まだ正式に共産主義政権が成立したわけではないが、人々が自分たちの国の運命になんの希望も持てなくなっているのが痛々しい。 刹那的に生きてきたマチェクが、恋に落ちて未来を考えようとした途端に悲惨な死を迎えることになるのはなんという皮肉なことか。廃墟の教会でマチェクとクリスチナが教会で話すシーン、カメラの前景にアンチ・クライストの象徴でもある逆さまになった十字架のキリスト像を映すことで、もうポーランドには神はいないんだというA・ワイダの叫びが聞こえる様な気がします。 厳しい検閲制度があった当時ですから、いろいろと意味深なメタファーが散りばめられているけど、そこには詩的なセンスを感じさせられるシーンが多々あります。夜が明けて朝日が室内に差し込んできますが、そのあまりに白っぽい光線は屋外の風景をまったく見えなくしています。ラスト・ダンスを終えてその光の中に入ってゆくカップルたちの虚ろな表情、これぞ戦後のポーランドがたどった歴史のカリカチュアです。 Z・チブルスキー、若死にしちゃったけれど素晴らしい俳優でまさにポーランドのJ・ディーンです。それにしても、J・ディーンをはじめJ・P・ベルモンドや石原裕次郎などこの当時各国にチブルスキーと同じ様なタイプのスターがいたというのは面白いですね。ベルモンド以外はみんな早死にしちゃいましたけど。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-05-04 22:23:37)
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25.『世代』『地下水道』を観た上で数年ぶりに再鑑賞してみたらガラッと印象が変わっていました。正確にはこの三本は独立した映画で続編モノではないですが、観ているうちに何となく主人公マチェックが、『世代』『地下水道』での戦いの生き残りのように思えてきます(サングラスの件は明らかに『地下水道』と結びつけようとしています)。それだけに、恋人ともに生きるごく普通の市民生活への憧れと、骨の髄まで染み付いた抵抗運動への執念との狭間で葛藤するマチェックの姿が実に痛々しく、ラストもまた残酷極まりない。ということで、新時代を生きられなかった無数の灰とダイヤモンドのために評点アップの9点贈呈。
とかげ12号さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-20 21:18:54)
24.ネタバレ 久々の9点です。一度見ただけでは時代背景などよく分からず、レビューを読み、ポーランドについて調べてからもう一度見直しました。作品に感情移入しておぼれることなく、あくまで他人の目、他人の立場として冷静に主人公の苦悩を描いた監督には敬意を表したいです。ラストも素晴らしいという言葉では済まないと思います。マチェクが死に場所に選んだのは、美しい海の上でもなく森でもなく、ゴミだめの中。しかし自分を「灰」とたとえていた彼にとって、そこは彼にふさわしい死に場所だったのではないでしょうか。すみません、もうレビューがかけません。これ以上書くとこの作品の質までも悪くしてしまいそうで・・・
トナカイさん 9点(2005-02-25 22:02:29)
23.『ずびぐにえふ・ちぶるすきー』
この名前覚えるのに3ヶ月かかりましたよーだ!
nizamさん 9点(2004-07-31 12:46:36)
22.ネタバレ 「命を賭しても好いと思える様な(自分にとって)重要な」仕事と、「ただ命を賭す覚悟が無ければ出来ない」仕事、というのは似て非なるものであり、一見はレジスタンス活動の危険な任務の齎す高い目的意識で充実している様に見えなくもないマチェクの人生は、その実確かにとても空虚である様に思える。崇高な理想の下に立たせて「貰って」はいたとしても、所詮彼も(替えの効く)歯車でしかないのだ。『世代』と同様にコレも本質的には青春映画、ただ今作は徹底して、その何者でもない若さの「虚無感」を逆説的に描き出している様に思われる。

クリスティーナがマチェクに惹かれたのは、彼に自分と同じモノを感じ取った、からだと思いませんか。彼女も虚ろな人生を生きているのでしょうが(彼女の人生をそう至らしめたのは確実に戦争なのでしょうが)、だから今作で描かれる彼と彼女の交りというのは、おそらく愛だ恋だと言えるモノでもない様に思えて、唯「成り合わざる」トコロの埋め合せ合い、なのではないかと思うのです。でも、不思議にもその一夜だけの情交には、これも逆にどこかピュアで清々しい人間性というのを感じ取れたのですよね。それは、終戦を祝う乱痴気騒ぎと其処で浮かれる濁々とした「大人」達、其れと彼らとの対比が見せる幻、なのかも知れませんが。
Yuki2Invyさん [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-23 22:20:18)
21.ネタバレ 午前10時の映画祭を利用し劇場で鑑賞。勿論、歴史や政治背景抜きで語れない映画だということが前提となるのだろうが、この映画が名画とされているのは、そもそも「娯楽映画」としてきちんと面白いからだろう。マチェクのニヒルなかっこよさ、そして自身のアイデンティティを巡る葛藤は青春映画としても見れるし、シュチューカ暗殺に関するシークエンスはサスペンスフルでアクションもかっこよい。時代や政治背景を良く熟知した上で見ることでさらに理解が深まることは、確かにあるだろうが、仮に何も知らず表面的に観たとしても娯楽映画として充分面白く作られている。途中宴会のシーンで少し退屈に感じるシーンがあることもあるが、かといって不要なシーンかというとそういうこともない。ホテルの電話ボックスから電話するシーンや花束を持った子供が出てくるオープニングの銃撃シーンなど、作画としては「市民ケーン」や黒澤明の「野良犬」からの影響を確かに感じられた。もう60年以上も前の作品なのだが、何も古臭さを感じさせず、今でもスタイリッシュで普遍的な魅力に溢れている作品だと思う。恐らくその時その時の「若者」が見て、強く影響を受けるべき映画なのだろう。シュチューカを抱きかかえながら背後から花火が上がるシーンの美しさというか儚さ、こういう映画的に優れた、かっこよい演出が多いのも本作のポイントだろう。
rain on meさん [映画館(字幕)] 8点(2018-10-18 23:03:00)
20.ネタバレ ああ、「地下水道」を生き延びた者たちの運命がこんなだなんて。終戦したというのに,今やかつての同胞に銃を向けているなんて。かつてはワルシャワ蜂起の使命感で燃えていたのが、これではただの殺人者。誤って殺した工員の、遺族の悲嘆の声に追われてもなお新しい人生に歩みだすのには勇気が必要で、その勇気にたりなくて結果ゴミが舞う中で絶命するマチェク。ダイヤモンドになれずに、無数の同胞たちと同じに灰となって散った彼。シーツが翻る、白い幕の中を縫うように逃げるシーンは、ダイヤの輝きはなくとも閃光のような一撃でもって強烈に脳に焼きついた。大国に引きずり回され、傷だらけになったポーランドと、かの国で人生を散らした苦い無数の青春。「地下水道」のような、重低音で迫り来るような迫力は無いけれど、ノルヴィトの美しい詩の印象もあって静かで哀しい、この映画はワイダ監督によるたくさんの同胞へのレクイエム。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-05 00:25:49)
19.ネタバレ せっかく戦争が終わったのに誰も浮かれていません。待ち行く人は皆うつろです。家族に心を開かない共産党指導者、戦争を終わらせたくない旧レジスタンスや軍人、新政府に出世の糸口を見出す打算的な役人、戦争が終わってもその虚無感を背負い続けなければいけない人々の業。朝までダラダラ続くパーティー、廃墟のさかさまのキリスト、これらは戦後ポーランドの混乱の象徴でしょう。自分の行き方に疑問を抱きつつも、結局は戦争をすてられないマチェック。シーツの波を抜けてゴミ捨て場で死んでいくラストは屈指の名シーンです。
爆裂ダンゴ虫さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-12-15 11:37:51)
18.ネタバレ 戦時中、レジスタンスの一員として精一杯生き抜き、テロリストとしての使命を全うし、国の為に亡くなった(暗殺された)一人の若者の切なくも悲しい物語です。時代背景から浮かび上がってくる何とも惨酷な世界、人間として生まれた以上は一度や二度は人を好きになり、恋もする。そんな若者の苦悩、悲しみが見ていても辛い。好きな人が出来ても国の命令に従わなければならないという惨酷さと解放を祝い打ち上げられる花火の美しさを対比するかのような主人公のやりきれない思い、あの洗濯場で暗殺される主人公の場面においても美しい。人が殺される場面をこうも美しく描き、それでいて人間の惨酷さ、やりきれない気持ちをここまで美しく描く作品はなかなかないと思うぐらいどの場面も本当に美しい。けして楽しい映画でもないし、何度も観たい映画でもない。しかし、国を愛する者、それは例えどんな国の人間であろうともけして、変わらない。気持ちは同じであるはず!この映画は単なる政治向きのお堅い映画ではない、青春映画としても見応え十分の作品です。
青観さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-07-21 22:25:06)
17.平気で人殺しをしてきた若者が一人の女性に出会い「愛がどんなものか知らずにきた。人生を変えたい、やり直したい」と、それまでテロリストとして生きてきた人生に初めて迷う。生き方を変えることもできたのに彼は暗殺を実行し、結局ゴミだめの中でのたうって死んでいく。
この頃のポーランドの歴史的背景についてよく知っていればもっと深く作品を理解でき思いも深くなるのかもしれない。しかし通り一遍の知識でもこんな生き方しかできなかった若者の青春悲劇として切なく心に響くものがあるし、廃墟の教会の逆さキリストなど印象的な映像シーンもたくさんある。
時代や国も状況も違うとはいえ、マチェクのような若者が今もイラクやチェチェンなど各地にいるのかもしれないと思うと彼の悲しい生き方もちょっと現実味を帯びてくる気もする。


キリコさん 8点(2004-08-30 22:09:47)
👍 1
16.暗殺者がゆえの切なさ。ここの評価を読んで1点プラスです。
せつな過ぎますね。
とまさん 8点(2004-01-18 12:51:21)
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【点数情報】

Review人数 35人
平均点数 7.66点
012.86%
100.00%
200.00%
300.00%
438.57%
500.00%
6514.29%
7411.43%
8925.71%
9411.43%
10925.71%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.50点 Review4人
2 ストーリー評価 5.00点 Review4人
3 鑑賞後の後味 4.25点 Review4人
4 音楽評価 4.00点 Review2人
5 感泣評価 3.75点 Review4人

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