映画『家族(1970)』の口コミ・レビュー

家族(1970)

[カゾク]
1970年上映時間:107分
平均点:7.30 / 10(Review 40人) (点数分布表示)
公開開始日(1970-10-24)
ドラマロードムービー
新規登録(2003-09-28)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2024-03-27)【イニシャルK】さん
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監督山田洋次
キャスト倍賞千恵子(女優)風見民子
井川比佐志(男優)風見精一
笠智衆(男優)風見源三
前田吟(男優)風見力
池田秀一(男優)風見隆
梅野泰靖(男優)丹野先生
塚本信夫(男優)沢亮太
絵沢萠子(女優)沢みさお(名義「松田友絵」)
花沢徳衛(男優)チンケ
春川ますみ(女優)娼婦
太宰久雄(男優)長崎本線の客
森川信(男優)旅館の主人
三崎千恵子(女優)通りがかりの人
谷よしの(女優)旅館の仲居
寺田路恵(女優)看護婦
水木涼子(女優)力の隣人
犬塚弘(男優)喜劇俳優
桜井センリ(男優)喜劇俳優
安田伸(男優)喜劇俳優
石橋エータロー(男優)喜劇俳優
ハナ肇(男優)喜劇俳優
渥美清(男優)青函連絡船の男
原作山田洋次
脚本山田洋次
宮崎晃
音楽佐藤勝
撮影高羽哲夫
製作三嶋与四治
配給松竹
美術佐藤公信
編集石井巌
録音松本隆司(調音)
小尾幸魚
その他IMAGICA(現像)
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💬口コミ一覧

40.ジョンフォードの「怒りの葡萄」のような傑作。脚本には、簡単な状況だけが書いてあり、台詞は俳優が、その場でアドリブで考える。準備が出来てなくても、照明の準備が出来てなくても、場合によってはカメラを回すという非常に実験的な作品でもある。ロードムービーとしても出色。ラストを巡って「馬鹿みたいな終わりかただ」「甘い」「酪農の現実は、こんな楽観的なものではない」と批評家に、様々に批判されたらしいが、監督がもっとも堪えた批判は、舞台となった北海道の酪農家の人達にお礼の試写会をした時に酪農家の親父さん達に言われた「何故、お爺さん(笠智衆)を死なせたのか?赤ん坊が死ぬのは仕方が無いとしても、お爺さんまで死なせたのは、あまりに可愛そうだ。あのラストの雲ひとつない青空、北海道の、うららかな春を、あのお爺さんにも見せてやりたかった。あのお爺さんまで死なせたのは可愛そうだ」と言う言葉だったという。主要な人物を殺すと、確かにドラマチックになるので、つい作者は主人公や登場人物を死なせたい誘惑にかられるが、どんなに辛い物語でも、何とか死なせない努力をすべきではと、その時から考えるようになったという。セミドキュメンタリータッチの中で、プロの俳優、ズブの素人、みんないい演技をしている。前田吟もよかったなぁ・・・・・。
ひろみつさん 10点(2003-12-27 11:44:49)
39.ネタバレ 懐かしき映画「家族」実に思いで深い。東京五輪から大阪万博へと高度経済成長の波に乗り世界第2の経済大国へと発展していった日本、その片側には閉山危機が迫る炭鉱があり、もう片側には開拓の夢が広がる原野があった。この映画はその日本西端の島から、長崎、福山、大阪、東京、北海道と東端の開拓村にたどり着くまでの3000kmの旅の映画であり、旅する家族にとっては実につらくて悲しいものとなった。
なぜそれほどまでして旅を続けなければならなかったか、つっこみを入れたくなるのは第三者としての感情というもの。いったん走り出したからには後には引けない厳しい現実があったのだと思う。幼子を亡くしたのは実に残念なことであったが、祖父の場合はあの炭鉱節での笑顔を思うと、あれで良かったのかもしれないと少しは救われる。
この映画は日本のロードムービーとして確固たる地位を誇っているが、またそこに描かれているのは、1970年という時代のそのままの日本の姿である。若き人にはその時代風景をもぜひ見てほしい。
ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 9点(2011-06-06 17:04:35)
👍 1
38.こういうロードムービーが観たかった!故郷と比較しなくてもドラマありすぎですね。そんな散々な思いをしてまで行くか!って突っ込めるところが最高なんです。
アキラさん [DVD(邦画)] 9点(2008-09-15 02:55:03)
37.ネタバレ 高度成長期の日本の姿を、ある家族の長崎から北海道への旅を通じて描いた素晴らしいロードムービーです。大阪万博の熱気や、東京・大阪の当時の町並み等非常に貴重な映像が多く出てきておりとても興味深かったです。
また、俳優陣が非常に素晴らしく、特に笠智衆は本当に味のある演技を見せてくれます。シリアスな作品ですが、何か一緒に日本列島を旅している感覚で見ることができ、あっという間にエンディングを迎えてました。
1970年当時の貴重な記録映像として、後世に遺したい作品です。
TMさん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-08-08 11:20:01)
36.ネタバレ この2年後にほぼ同じスタッフ・キャストで作られた似たような内容の「故郷」を先に見ていたので、印象がかぶってしまわないかとちょっと心配だったけど、「故郷」とは違い、北海道にたどり着くという一つの目標があり、それを達成するために旅を続ける家族の姿が描かれ、また違った感動がある。東京で娘が倒れてしまい、必死に病院を探す主人公夫婦にとても感情移入してしまった。とくに、倍賞千恵子演じる妻のなんとか助けてあげたいという気持ちが痛いほど伝わってきて、かなり切ない。前田吟や笠智衆も良かった。シリアスな物語の中にあって、チョイ役で出演の森川信やハナ肇、渥美清が出てくるシーンではついほっと一息つける。ドキュメンタリーを見ているかのような撮り方もその時代の空気が伝わってくるようで効果的だと思う。しかし、「男はつらいよ」を始めたこの頃の山田洋次監督の映画は本当に外れが少ないなあ。
イニシャルKさん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-01-04 14:17:00)
35.20年以上前に見て痛く感動した記憶が有ります。日本人の情感をここまで淡々と表現できる山田洋次監督は凄いです。2003年現在となってしまっては山田監督と言えども描くことができない世界なのだろうか。
かけさん 9点(2003-11-03 23:30:44)
34.九州の炭坑の島から北海道の開拓村まで、家族が新生活を始めるために3000キロの旅をする。ある庶民の一家の日本縦断を通して炭坑不況、大阪では万博など、当時の日本の社会状況もよく分かる。苦しい旅・生活と楽ではないが家族の絆の賛歌、逞しく新生活を生きていくだろうというラストに監督の暖かい目を感じる。
キリコさん 9点(2003-10-18 14:48:50)
👍 1
33.「男はつらいよ」シリーズの役者連他が、より現実的なシチュエーションで登場するロードムービー。「男はつらいよ」みたいにアイドルやわざとらしい善人ばかり出てくるなんてこともなく、それぞれのエピソードが自然な感じで、地味といえば地味だし、暗いといえば暗いんだけど、いい映画だった。初めて見たのが転校先の九州の中学校の講堂だったというのも、この映画を思い出深いものにしている。父(笠智衆)を引き取る余裕がなく、列車の窓から、もう生きて会えないであろう父に訣別の眼差しを向け、帰りの車の中で涙を拭う次男(前田吟)の姿に感動したのを覚えている。当時の九州・大阪・東京・北海道の雰囲気もよく出ていたと思う。
LEFTWINGさん 9点(2003-06-07 01:54:29)
32.ネタバレ 奇しくも大阪・関西万博開催の真っただ中に、元祖大阪万博の時代の映画を観ました。
人口も産業も都市部に集中していた高度経済成長期の昭和日本の、ほぼ西の端からほぼ東の端まで、家族連れ立っての大横断モキュメンタリーです。時代を反映して、衰退していった炭鉱町・伊王島から、万博で湧き上がる大阪、経済発展を遂げた東京を経由し、開拓地・中標津へと、一家揃って向かう風見一家。北海道には自主的に渡る事を決めたとはいえ、高度経済成長の末期に、裕福とは言えない一家が、日本の端から端へ、辺境から辺境へ追いやられる様を観ているようで、複雑な気持ちになりました。

途中、万博を一目観に大阪会場に立ち寄る様子も、入り口前まで行って中の様子を伺うのも、なんか解ります。時間の関係で入場は断念しましたが、一時的に大金を手に入れたためか、お金が無いのに展示物の一つでも観ようと思ってしまう気持ちも、痛いほど解ります。
当時の記録映像なんかを観ると、日本中が万博で盛り上がってたんだろうなぁ…なんて思ってしまってましたが、この時代でも好景気の波に乗れてない、風見一家のような家庭も多かったんだろうな…とも思えて、リアリティを感じました。お爺ちゃんの肉まんの一件も、私なら「きちんとお礼言いなさい」ってなりそうだけど、少し前までみんな貧しかったという時代背景もありますが、お金があまり無いからこそのプライドが出てしまうんでしょうかね。

都会の人ごみに疲れ果てて、車窓の富士山に視線を送る元気もない疲れ切った民子が、一家の状況を語ってくれます。西日本での観光旅行気分と、東日本に入ってからの、開拓地への移動との違い。また今の時代と違って、延々と陸路で移動する時間の長さも感じ取れます。北海道に入って、ず~~~~~~~~~~~っと雪景色の中、ぽつん、ぽつんと民家が点在する光景が延々と続く。それをジーっと見る民子を、映像として観せてくれるのも良いですね。実際、北海道の田舎って今でもあんな光景です。長崎から来た一家が、縁もゆかりも無いこんな寒々しい土地で、今後ずっと暮らしていくんだと思うと、なんだか逃げ出したくもなるでしょうね。
何もない真っ暗な中標津駅。ようやく目的の住居に到着して、玄関先で崩れ落ちる様子がとても心に響きました。ボーン、ボーン…という時計の時報の長さが、夜遅くの到着を伝えてくれます。観ていてこちらも、安堵感がどっと湧きだしました。

確かに、あの時代の鉄道中心の移動だと、相当な体力を削られるんだろうなって思いました。途中幼い赤ん坊が亡くなり、とどめとばかりに義父も亡くなる。犠牲の多さに、風見夫婦の決断、開拓地へ一家で行く決断は、本当に正しかったのか?って、疑問に思えてしまいます。
澄み切った青い空。どこまでも続く大平原。子牛の出産を嬉々として語る民子。三人目の報告をする精一…最後があまりに、理想の開拓地生活が過ぎました。作品全体のバランスを考えてのことでしょうが、確かに、このくらい“中標津まで来た甲斐”を観せてくれないと、映画鑑賞後の後味が悪かったと思いますし、あの時代、中標津で開拓をしている人達がいたことを考えると、この終わり方で良かったんだと思います。
K&Kさん [DVD(邦画)] 8点(2025-05-11 15:28:43)
31.いやー、面白かったです。誰が悪いわけでもないのに、裏目裏目が出てしまう。こんなところが人生の上手くいかないところを如実に表現できていて、見終わったあとに、面白かったと感心させられました。倍賞千恵子はどんなやくでも、上手いですね。もう、モロハマってました。
SUPISUTAさん [DVD(邦画)] 8点(2016-10-15 12:08:34)
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30.もう40年も前の映画。人の絆という言葉はあっても当時とはやはり違う。
すばらしい家族のロードムービーだと思う。笠智衆さんの唄う炭坑節がよかったな。
KINKINさん [DVD(邦画)] 8点(2013-12-22 15:22:05)
29.ネタバレ 例えば、新幹線の待ち時間で万博の「入り口」まで隆君を連れて行くシーン。一時間半でも中に入れてやりたかった父親の無念。おまんじゅうをもらった隆君に、「おまえは乞食ではない」と諭す祖父。この辺、男親としてものすごく共感できるシーン。ただ、この旅路で2人も亡くす必要があったかは、疑問。全体のトーンをおかしくしてしまったかのようなラストシーンを、10年後「遙かなる山の呼び声」でキッチリ落とし前を付ける山田監督はさすがです。
なたねさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-09-23 23:36:31)
28.ネタバレ 1970年といえば、私は小学校に入る前でした。関西在住なので大阪万博にも何度か行きましたし、何となく見覚えのある風景、当時の「空気」のようなものを感じさせて単純になつかしかった。内容としては、高度成長時代に取り残された家族といっても、当時は将来に対する希望があったことがよくわかります。だから、弟と意見が対立しても、子供が突然死んだとしても先へ進める。きっと何かがあるはずだと信じて前へ進めるというところが、現在と決定的に違う点だと感じました。なにしろ、「人類の進歩と調和」ですからね。
ということで、明るい未来を感じさせて終わるわけですが、もちろんそれだけではなく、この一家にはつらいことも待っているでしょう。しかし、この旅を経験したあとでは、それもきっと乗り越えられるだろうと思わせる内容でした。ドキュメンタリー風の撮影も魅力でした。出演者は山田組(というか寅さん組?)総登場という感じで、それだけで嬉しくなってしまいます。
アングロファイルさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-03-24 20:44:15)
27.ネタバレ 僕がこれまで観た映画で、笠智衆さんが演じた人物が映画の中で亡くなるシーンって見た事ないんです。「寅さんシリーズ」でも、最後まで御前様は台詞の中ではお元気という設定だったし。数多く出演された小津映画でも笠さんが亡くなるって映画って確かなかったですよね。(もしあるのならすいません!)この映画の終盤、倍賞さんの「・・・じいちゃん?」って問いかけに対し、無言のまんま安らかな寝顔を映したショットを見て、いきなり笠さんご本人のご臨終に立ち会ったような、厳粛な気持ちにさせられてしまいました。途端に涙がドドドと溢れて・・・(笑)僕の脳内では、笠さんと渥美清さんはのほほんと日本のどこかで生き続けている存在なので、現実を突き付けられたみたいでショックでしたね。ここで一点マイナス。あそこで爺ちゃんを死なせてしまったのは、新しい生命はこうやって受け継がれていくっていう事を言いたかったのかなあ・・・?後年の「遥かなる山の呼び声」はこの映画の続編??1970年当時の日本列島縦断風景、大阪万博の映像資料としても貴重な作品だと思います。倍賞さんは三角巾やエプロン姿がホント良く似合う!ちょっとだけ出てきた次男役、前田吟のホームでの別れの表情にぐっときた。
放浪紳士チャーリーさん [DVD(邦画)] 8点(2008-01-11 11:12:57)
👍 2
26.九州から北海道へと移り住むある家族の物語を山田洋次監督らしい実に丁寧な語り口と描写で描いた秀作です。一見、重苦しい雰囲気の中に見える山田洋次監督ならではの人情味溢れるドラマを見ることが出来ます。寅さんシリーズの常連さん達が沢山、出てきてホット出来るのもこの作品の良い所です。出番はほんの僅かではあるけど、森川信さんと渥美清さん、この二人がここでも凄く良い味出していて良かった。現代の余りにもうるさくてCGだらけの映画ばかりが作られる中で山田洋次監督が描く世界は人間的で温かく、けしてCGなどでは出すことの出来ない優しさがあって観ていて癒されます。
青観さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-08 22:08:08)
25.いい意味ですごく昭和臭い。年老いた気持ちになった。あのときの時代背景がドキュメンタリータッチで話が進み、今の時代しか見ていなかった自分にとって、「こんな時代もあったんだよなぁ」と家族のこと以外に映像とともにひとつの歴史も学べた。
Syuheiさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-20 01:03:17)
24.家族というのは個人の集まりの言わば、団体行動である。個人には性格と個性があり、意見や考えは一人一人異なった物を持っている。だからそれが団体となった時、意見の食い違いや争いが起きるのは当り前と言えば当り前である。しかし、それがエスカレートし過ぎた状態は本当に悲惨な物になる。その状態というのがまさにこの映画の中にあった。まるでドキュメンタリーのような映像とストーリーには、常にリアルな悲しみが付き纏っていた。だから中盤では何度も観続けるのが辛くなり、何度も停止ボタンの上に親指を乗せて悩みながら観ていました。結局最後の最後までこの苦しみと悲しさは癒える事はなく、最後もやはり悲しみが胸の中に残ったまま終って行きました。しかし、観賞後は本当に考えさせられました。命とは?人間とは?そして家族とは?この映画は嘘や偽りなどない本当に現実的な家族を見せてくれた。この映画から学ぶ事は山ほどあるような気がします。そして将来自分が父親になった時、素直で家族想いの良き存在になれるよう努力したいと強く思いました。
ボビーさん 8点(2005-03-21 22:24:41)
23.ネタバレ  石炭から石油へのエネルギー革命を背景に、長崎から北海道へ新たな仕事に向かう家族の葛藤、挫折と再生を描くロードムービー。
 ドキュメント風の演出で、生き生きとした方言が印象深い。反面、中標津の歓迎会はプロの俳優陣と素人さんの会話が少し浮いている感じ。 
 万博の開催で日本中が浮き足立つ中、公害や都会の冷徹さなど高度成長のひずみも見逃さない。東北本線の列車内で交わされる減反の会話は、さりげなく農政の転換まで描き、開拓に向かう家族ともども時代に翻弄される庶民の思いに共感を寄せる。
 長旅の末、中標津で最後の生の輝きを見せる祖父に人生讃歌を見た。祖父の死後、再起を期す民子の瞳の輝きが印象的で、2つの新しい命が一家の再生を象徴している。
 欲を言えば、ラストは「北の大地の春は花々が一斉に咲く」場面を観たかった。
風小僧さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2019-03-31 11:51:37)
22.ネタバレ 2年後に制作される『故郷』のプロトタイプ的な作品で、『故郷』に比べるとカメラワークや編集は若干雑な印象が有ります。
ドキュメントタッチで描かれているという事もあり、内容や演出等に統一性が余り感じられず、特に前半の西日本では万博でのチンケのシーン等、作品のトーンや内容からズレている箇所があり見難くなってしまっていました。
それでも富士山を過ぎた辺りからは見せ方や内容に纏まりが出始めて見易くなります。
しかし、作品のテーマである家族とそれを構成している個々の命の在り方についての描写は余り錬られている印象はなく、早苗や源三の死は少々強引且つ安直な表現である気がしますし、仔牛の誕生や民子の妊娠も取って付けた感じがします。
家族の生死に焦点を合わせるより、家族の繋がりをもっと丁寧に描いて貰いたかったです。

そんな中でも山田監督らしい叙情的に優れたシーンも有ります。
青函連絡船の中での精一の家族に対する怒りの態度は、処理しきれない彼が抱えた苦悩の裏返しであり、一人甲板に出て泣く姿は一家の主として切なく映ります。
そして源三の死の直後、民子に「俺はアホやった」と泣きながら弱音を吐く精一には男であるが故の悲しさを感じますし、そんな精一に寄り添い慰める民子の姿は印象的です。

前述した様に演出や話の内容がテーマに対して散漫になってしまってますが、俳優陣のレベルの高い演技によって作品自体はしっかりと纏まってみえます。
特に笠智衆さんの源三は、本当は気弱であろう精一や民子の理解者となる懐の深さを感じさせる役どころを朴訥とした演技で見事に演じきっています。
ビールを飲み「うまい」と言った時の表情や、隆と遊んでいる姿やお饅頭の説教等、彼の演技というか笠智衆さん自身を見ているだけで心地良い時間を過ごせます。
倍賞千恵子さんや井川比佐志さんの演技を柳の様に受け流しながら、決して主張はしませんが独特の個性と存在感を感じさせて作品の要となっています。
また、倍賞千恵子さんの誠実で安定した演技は既に完成されています。
日本で一番華のない天才女優だと言っても過言ではないと思います。

俳優さん達の演技は特筆すべき作品ですが、内容的には何も起こらない『故郷』は胸に染み入る様なドラマを感じるのに対して、色々な事が起こる本作からはそこ迄印象に残るものは感じられませんでした。
しってるねこのちさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-06-13 02:02:29)
21.ネタバレ 日本映画ってこういうのだろうな、と感じる。
長崎から北海道の東(中標津)まで、途中の大阪や東京での出来事を織り交ぜ、最後まで一気にみせる。
去っていく魂と、また新しく生まれる魂とが入れ替わって、家族というものは変わっていくものだということも意識させる。
ちょっと哀しいところもあるけど、良い作品だと思う。
simpleさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-18 20:58:56)
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【点数情報】

Review人数 40人
平均点数 7.30点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
537.50%
6820.00%
71230.00%
8922.50%
9717.50%
1012.50%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.50点 Review2人
2 ストーリー評価 7.00点 Review2人
3 鑑賞後の後味 6.00点 Review2人
4 音楽評価 5.50点 Review2人
5 感泣評価 4.00点 Review1人

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